Spotify、新型コロナ誤情報に抗議・宣言したニール・ヤングの楽曲を削除

ミュージシャンのNeil Young(ニール・ヤング)は、広く愛されている自身の音楽カタログをSpotifyから取り下げるという脅迫を実行に移そうとしている。ヤング氏は今週、同社とポッドキャスターのJoe Rogan(ジョー・ローガン)との関係に異議を唱え、Spotifyが少なくとも1億ドル(約114億8000万円)相当の取引で独占権を買ったローガン氏のヒット番組を通じて、新型コロナイルスに関するの誤った情報を広めていると非難した。

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Spotifyは米国時間1月26日に、TechCrunchに電子メールで送った声明の中で、ヤング氏の行動を確認し、同社はストリーミングサービスから「彼の音楽を削除するというニールの決断を残念に思う」と述べている。

我々は、世界中の音楽とオーディオコンテンツがSpotifyのユーザーに提供されることを望んでいます。そのためには、リスナーの安全性とクリエイターの自由を両立させるという大きな責任がともないます。私たちは詳細なコンテンツポリシーを設けており、パンデミックが始まってから現在まで、新型コロナウイルスに関連する2万以上のポッドキャストのエピソードを削除してきました。ニールがSpotifyから楽曲を削除したことは残念ですが、早く復帰して欲しいと考えています。

ヤング氏は自身の公式サイトを更新し、楽曲を削除する決断の背景にある考え方を説明した。「私は、200人以上の医師が力を合わせて、Spotifyの番組で見つかった命を脅かす危険な新型コロナウイルスに関する虚偽に挑んでいるという記事を読んで、初めてこの問題を知った」と知るし、ローガン氏の番組について名指しで言及することは避けている。

「……Spotifyは事実と異なり、誤解を招く、虚偽の新型コロナ情報を聞いているリスナーのほとんどは24歳で、多感で真実の間違った側に振り回されやすい。これらの若者は、Spotifyが著しく事実と異なる情報を提示することはないと信じている。しかし、残念ながらそれは間違いだ。私はそれを指摘するために努力しなければならなかった」。

公式サイトでヤング氏は、Spotifyが全世界のストリーミング収入の60%を占めている点を指摘している。「他のアーティストやレコード会社がSpotifyのプラットフォームから離れ、新型コロナに関するSpotifyの致命的な誤報をサポートするのをやめることを心から願っている」とヤング氏は「in the name of truth」と歌いながら書いた。

The Wall Street Journalは、Spotifyが1月26日にヤング氏の楽曲を削除する「作業中」だと最初に報じている。SpotifyはTechCrunchに対して、削除作業が進んでいることを認め、ヤング氏の楽曲は「まもなく」同社のサービスに表示されなくなることを確認した。本稿執筆時点では、彼のアルバムや楽曲はまだSpotifyの検索やキュレーションプレイリストに表示されているが、一部の楽曲は再生不可能というエラーが表示されている。

画像クレジット:Spotify

ヤング氏は自身のマネジメントチームとレーベルに宛てた公開書簡(削除済み)の中で、楽曲を引き揚げる意向を表明した。「私の行動は、Spotifyがワクチンに関する偽の情報を広めているためです。広められている偽情報は、それを信じる人々に死をもたらす可能性があります。「本日、すぐに動いて、そのタイムスケジュールを知らせてください」とRolling Stoneが最初にレポートした書簡で彼は書いている。

ヤング氏がストリーミングサービスと衝突するのは、今回が初めてではない。2015年には、Spotifyなどのプラットフォームが自分の録音の質を落としているという苦情を受けて、Spotifyなどから自分の楽曲を削除すると脅したことがある。当時、彼は高音質に特化したストリーミングハードウェアとそれに付随する音楽サービス「Pono」を立ち上げていた。新たな書簡の中でヤング氏は、遠回しにSpotifyのストリーミング品質の低さについて言及し、ファンにとって、彼の膨大なバックカタログをより高い品質で他のサービス見つけることができるのは「利点」だと述べている。

「まもなく、私の楽曲はもっと良い場所で生き続けるだろう」とヤング氏は書き、ファンにAmazonやApple Musicを勧めている。

画像クレジット:ALICE CHICHE/AFP via Getty Images / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Katsuyuki Yasui)

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TechCrunch Japan

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