Startup Weekend Tokyo発の教員向けコミュニティ「SENSEI NOTE」が正式サービス開始

週末の54時間という限られた枠の中で、チームビルディングからサービスのローンチまでを進める開発イベント「Startup Weekend」。世界各地で定期的に開催されている同イベントだが、2012年11月に東京で最優秀チームに選ばれたプロジェクト「SENSEI NOTE」がいよいよ正式にサービスを開始した。

SENSEI NOTEは学校教員向けのコミュニティを提供するサービス。利用は無料だが、教員や教員志望の学生に利用を限定している。サービス上では、Facebookライクな画面でタイムラインに教育や授業に関する内容を投稿したり、「チャンネル」と呼ぶコミュニティに参加したりできるほか、Q&A機能の「質問板」を用意する。

サービスを運営するLOUPEは2013年2月の設立。“教員の知恵を持ち寄る”というコンセプトのもとサービスを開発したという。2013年5月にクローズドベータ版を開発し、知人や友人の教員、教育関係者に限定してサービスを公開していたという。法人設立から正式公開まで1年2カ月かかっているが、これについてCEOの浅谷治希氏は、「実はサービスも二、三度作り直したのだが、一番大変だったのは教育関係者とのネットワーク作り。特定のサービスに先生が集まっている訳でもなく、大学やNPOなどを通じて先生との接点を作ってきた」と説明する。

開発当初は、教員向けの資料の共有機能に特化していたサービスだった。だがベータテストの反応などから、コミュニケーション機能に特化したという。もちろん資料のアップロードなども可能だが、Q&Aのような先生同士の生の声でやりとりできる「場」を作ることに注力した。「『Facebookのコミュニティと機能面でどう違うのか?』と聞かれるが、機能よりもユーザーの意識が違う。能動的に参加しているので、本当に相談したい人は行動をする。Q&Aなどは、(ほかのSNSなどで)あり得ないくらいの長文で具体的なやりとりがなされている」(浅谷氏)。僕も取材の歳に実際の画面を見せてもらったが、課題が明確かつ、質問が具体的なこともあってか、数百文字にもわたる回答も少なくなかった。

教育の場での利用を想定したコミュニティサービスには、海外では「edmodo」、国内ではOpen Network Labの第7期にも採択された「ednity」などがある。ただしこれらは教員とその生徒とのクローズドなやりとりに利用するもの。教員間の情報共有に特化したサービスではない。

今後は、教材や文房具メーカーなどのコンテンツ広告や、学生向けのマーケティングなどで収益化を図る。「問い合わせも多い。またベータテスト中にも実績はでている」(浅谷氏)。ベータテスト中に、SENSEI NOTE上で教育向けの動画コンテンツを作成したところ、2人の教員が実際にそれを生徒に紹介し、400人が視聴したという実績があるのだという。「学校の課題のすべてを行政の予算だけで解決するのは難しい。そこで学校と企業のニーズをマッチングすれば、良好なエコシステムができるのではないか」(浅谷氏)。今後は年内に1〜3万人のユーザー獲得を目指す。


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TechCrunch Japan

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