Sympleは「B2B版のVenmo」を目指す

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VenmoやSquare Cash、そしてSnapcashなどのサービスが存在するいま、友人への送金が難しすぎるなんてことは言えなくなった。

しかし、かつてそれは面倒な作業だった。ひと昔前のデファクトスタンダードは紙の小切手だったのだ ― それは複雑な作業で、時間がかかり、即時送金なんて夢の話だった。小切手を書いてからその資金が相手に到着するまでに1ヶ月かかるなんてこともあった。小切手を書いたことすら忘れてしまった頃、引き落としにビックリしてしまうなんてこともあった。

しかし驚くべきことに、アメリカの多くの小規模ビジネスは今でも他社への送金手段として紙の小切手を使っているのだという。例えば、アメリカの典型的なレストランでは、複数のベンダーへの送金のために、1ヶ月に100枚以上の小切手を切ることもある ― そして、そのベンダーが銀行に持ち込む小切手の枚数を想像してみてほしい!

そこでSympleの出番だ。2017年冬のY Combinatorバッチにも参加した同社は、彼ら自身のことを「ビジネス向けのVenmo」と呼ぶ ― 確かにその通りのサービスだ。

使い方は以下の通り:

小規模ビジネスは受け取ったインボイスの写真を撮って、それをSympleに送信する(Eメールでインボイスが送られてきた場合、そのメールをSympleに転送すればいい)。Sympleはそのインボイスに表記されている金額や締め切り日をパースする ― そして、支払い担当者にそれを通知するという仕組みだ。

その後、支払い担当者はSympleを利用してワンクリックでベンダーの銀行口座に振り込みをすることが可能だ。

もちろん、ベンダーがSympleの会員となって口座情報を登録しておくことは必要だ。しかし、Symple共同創業者のSteve Abrahamによれば、ベンダーたちはこの会員登録の作業を受け入れる傾向にあるという。なぜなら、それによって長期的には売掛金を回収するスピードが上がることになるし、資金回収の安心感も増すからだ。

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Sympleには基本的な分析ツールも備わっている。同社が提供するダッシュボードでは、支払いのトラッキング機能、支払期限の通知機能などが利用できる。また、自分たちのビジネスがどこにお金を費やしているのかを確認することも可能だ。

現在、Sympleの主なターゲットはレストランやバーなどの外食ビジネスだという。外食ビジネスは週ごとに送るインボイスの数が多いからだ。しかしSympleは他の産業にもビジネスを拡大していく予定で、最終的にはすべての産業に利用されるプラットフォームを目指すという。

今のところSympleは無料で利用することができる。しかし同社は今後、プレミアム会員の導入も予定しているようだ。プレミアム会員では、QuickBooksなどの会計サービスとの統合機能など、より高機能なサービスを提供していく。プレミアム会員の料金は最大で月額150ドルで、ユーザー数や処理するインボイスの数によって料金が変動する。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

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TechCrunch Japan

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