Tableauのアダム・セリプスキー氏が古巣AWSに戻りAmazonの新CEOジャシー氏に代わりに同社を率いる

2021年2月、Amazon(アマゾン)がJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が取締役会長になり、AWSのCEOであるAndy Jassy(アンディ・ジャシー)氏がAmazonの経営全体を統轄すると発表した際、ジャシー氏の後任をめぐる憶測が始まった。

そこで挙がってきた有力な内部候補は、AWSのグローバルインフラストラクチャ担当副社長であるPeter DeSantis(ピーター・デサンティス)氏や、営業とマーケティング担当副社長であるMatt Garman(マット・ガーマン)氏らだった。外部候補はあまり話題にもならず、TableauのCEOであるAdam Selipsky(アダム・セリプスキー)氏を挙げた人は多くない。ところがなんとセリプスキー氏が、2016年に去った古巣にトップとして戻ってくるのだ。

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ジャシー氏は1秒の時間も無駄にせず社員宛にメールを送り、彼がセリプスキー氏を選んだことを告げ、元社員であるセリプスキー氏が2005年に雇用されたときに、AWSの立ち上げを手伝ったことを述べた。彼はその後の11年間、ジャシー氏を助けて事業の構築に献身し、その後Tableauの仕事を引き受けた。このようにみると、その選択は完全に合理的なものだ。

「アダム(・セリプスキー)は、極めて強力なAWSのリーダーシップチームに、強力な判断と揺るぎなき顧客重視、チームビルディング、需要の生成そしてCEO体験を持ち込む。しかも、過去11年間、AWSでそのような上級職を務めてきた彼は、私たちの企業文化と事業をよく知っている」とジャシー氏はメールで述べている。

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ジャシー氏はAWSを初期から統轄し、ストレージとウェブサービスを動かす社内実験のようだったささやかな始まりを、現在の年商が510億ドル(約5兆5471億円)の巨大な事業部に育て上げた。セリプスキー氏がこれから統轄するのはそんな怪物だが、彼はその仕事に適しているようだ。

セリプスキー氏はベテラン経営者であり、これから巨大化していくというタイミングでAWSを去ったが、その文化を熟知しており、十分スムーズにその役割に踏み込めるだろう。同時に彼はTableauを去るが、彼は一介のデスクトップソフトウェア企業を堅固なクラウド企業に一変させている。

2019年6月、Salesforceは157億ドル(約1兆7078億円)という結構な価格でTableauを買収した。セリプスキー氏はトップの座に残ったが、AWSを経営するという魅力には勝てず、新しい職務に跳び移ることを決めたのだろう。

2020年の終わりにTechCrunchがSalesforceの豊富な役員人材について書いたとき、取り上げたCEOの1人がセリプスキー氏で、SalesforceのCEOで会長のMarc Benioff(マーク・ベニオフ)が下りたときに打席に立つのは彼しかいない、と指摘している。しかしながら、もっとありそうなベニオフ氏の後任はCOOのBret Taylor(ブレット・テイラー)氏のようで、セリプスキー氏は別のチャレンジに備えていたのだろう。

セリプスキー氏のAWSへの帰還は公式には5月17日になる。それから数週間の移行期間をジャシー氏とともに過ごし、その後、AWSのハンドルを1人で握る。ジャシー氏はAmazon本体のCEOになるため、2人の緊密な協働関係が続くことは明らかだ。かつて10年以上そうだったように。

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画像クレジット:Bloomberg/Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

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TechCrunch Japan

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