TC Tokyoセッション変更のお知らせ:Prismaに代わってPlacemeter CEOが登壇

楽しみにしていた来場者予定の皆さまにお詫びしなければならない。9月に告知していたTechCrunch Tokyo 2016のゲストスピーカー、Prismaの共同ファウンダー兼CEOのAlexey Moiseenkov氏の来日の都合がつかなくなり、17日午前に予定していたセッションをキャンセルしなければならなくなった。

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PlacemeterのCEOで連続起業家のAlexandre Winter氏

代わりに、画像処理技術を使って「実世界コンバージョン率を導き出す」とうたうPlacemeterのCEOで連続起業家のAlexandre Winter氏にご登壇いただくこととなったのでお知らせしたい。

2012年にニューヨークを拠点に創業したPlacemeterは道路・歩道・店舗などの混雑や通行状況をリアルタイムの映像解析で行うクラウドベースのサービスだ。映像は街や店舗に設置するIPカメラで撮影するが、1台90ドルのPlacemeter提供の専用カメラを使うと、画像解析はカメラ内で行うためプライバシーの懸念にも対処している。

今のところPlacemeterの利用用途は商業用途と都市設計の2つがあるようだ。商業地区での店舗出店場所の選定のための基礎データや、ディスプレイの最適化によるコンバージョン率の向上(ウィンドウショッピングから、より多くの人が実際の購買に至るようにする)などだ。

自治体による都市設計だと、例えば先日Placemeterはシスコと組んでパリにおける都市設計の基礎データ収集を行ったという。これは「The Paris Smart City 2020」と名付けらた2014年から2020年にかけて1億ユーロ(約1160億円)の予算をかけて行う都市設計プロジェクトで、パリをエネルギー効率の良い都市に作り変えるのだという趣旨のもとにオープンイノベーションのディスカッション・プラットフォームまで用意して市民を巻き込んだ議論をしている。こうしたとき議論の基礎となるデータとして、人や自動車が区別できるだけは足りないので、Placemeterの画像解析エンジンは歩行者、自転車、オートバイ、自動車、大型車が区別できるように改善されていて、今後は区別できるオブジェクトの種類も15とか20に増やしていく計画だという。例えば、日本に多いスクーターだとか小型トラックなども認識するニーズだ。画像処理では、単にオブジェクトを認識するだけでなく、道路のどこを通っているかも分かるそうで、こうした分解能力の高さはコンピューターによる画像処理ならではという。

今回登壇するAlex自身はもともとはフランス国立情報学自動制御研究所の研究者で、Airbus Defenceで誘導ミサイルの画像処理の専門家として働いていた経験もある。その後、画像処理のスタートアップ企業LTU technologiesをフランスで起業し、これを米国市場でグロース。後に日本企業へ売却している。自分のことを画像処理を専門とするコンピューター科学者であるする一方、ビジネスや起業に情熱を持っている起業家と認識しているという。米著名アクセラレーターのTechstarsでは2014年からメンターも務めている。Alexは画像処理でPhDを取得しているほか、9つの特許を持つ。

ちょっと興味深いのは、Placemeterがシード調達をした2013年頃には、今とだいぶ違う方向性を模索していたこと。2013年に参加していたTechstarsのデモデイでPlacemeterは、将来人々は出かける前に天気予報を見るかのように商業施設や道路の混雑予想を見てから出かけるようになる、と言ってWazeに似たアプリとビジネスモデルを構想していたようだ。

経験を積んだ連続起業家でも「ピボット」と呼ばれる軌道修正をしながらプロダクト・マーケットフィットを模索していることが分かる話だと思う。Alexには、技術シーズと起業家マインドを持つ人たちが持つべき柔軟さやビズデブの重要性についても語ってもらえたらと考えている。ちなみに、これまでPlacemeterは4回のラウンドで784万ドル(約8.3億円)を資金調達している。

投稿者:

TechCrunch Japan

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