TechCrunch Japanがハッカソンを開催する5つの理由

すでに告知させて頂いた通り、11月に東京・渋谷のヒカリエで開催予定のスタートアップの祭典「TechCrunch Tokyo 2015」に付随する形でハッカソンを行う。イベント本編は11月17日、18日の火曜日・水曜日なのだけど、ハッカソンはその直前の土曜日と日曜日、お台場で開催する。これまでにTechCrunch Japanでは何度かハッカソンを開催してた。その理由を5つほど説明させてほしい。

1. エンジニアリングをバックグラウンドに持つ人たちに、起業やスタートアップのカルチャーに触れる機会を提供したい

hackerシリコンバレーでは大学を出るか出ないかという理系のギークたちが、すでに成功したギークたちからビジネスのイロハを学び、資金提供を受けることで、大きなテック・ジャイアントが生まれてきた歴史がある。Y Combinator共同創業者のポール・グレアムが言ったのは、例えば「客のところへ行って話を聞いて来い」とか「人々がほしがるものを作れ」だったわけだが、これは考えてみれば、ずいぶんナイーブな話だ。客の声を聞いて客のニーズに合うものを作れというのは商売の基本ではないか。「汝殺すなかれ」というぐらいに自明すぎる。

つまり、ポール・グレアムがやったことは、そのくらい自明なことを知らないギークたちにビジネスの基礎を教えたら、とてつもない価値を生んだということなのではないかと思うのだ。

ぼくは日本にも技術力の高いハッカーは数多くいると思う。ただ、日本ではまだエンジニア起業家の成功例が少ないために、こうした人たちはスタートアップ業界を遠巻きにみている面があるのではないかという気がするのだ。

「TechCrunch」が象徴するのはテックとビジネスで、その2つが交わる場所で起こっているイノベーションのことだと思っている。だから、TechCrunchがハッカソンを開催することで、日本のスタートアップ界と、エンジニアコミュニティの距離を少しでも縮められればと思っているのだ。

日本のスタートアップ業界で、優秀なエンジニアが不足しているという声をいつも耳にしている。優秀なエンジニアと、スタートアップ業界の起業家が出会うキッカケを提供したい。そんな思いから、今年のTechCrunch Tokyoハッカソンの参加者は、全員イベント本編にもハッカソンチケットだけで参加していただけるようにした。また入賞した上位5チームには、昨年同様にイベント本編のセッションでライトニングトークをやっていただければと思う。

hackathon

2. テックとビジネスのバランスが取れたイベントを開催したい

ハッカソンにも様々な種類がある。例えばエンジニアが「ハック」と言うとき、それはエンジニアが抱える問題を解決する純技術指向だったり、何かの実験だったり、技術を使った自己表現であるようなことがある。それはそれで良いのだが、もっと視線を社会へ向けた上でハックするような文化があって良いのではないかと思うのだ。TechCrunchのハッカソンでは、技術力よりも、アイデアの潜在市場やポテンシャルを評価したいと考えている。

3. 「作れる人たちだけ」の場を提供したい

TechCrunchが行うハッカソンはビジネスアイデアコンテストではない。だから優れたアイデアを出すだけではなく、最低限の実装を行っていただきたいと考えている。そのため、今年からは参加資格はエンジニアとデザイナーだけに限定している。ハッカソンでは、手を動かせないならやるべきことは何もない。

4. 大企業とスタートアップの人材交流により、オープンイノベーションを促進したい

大企業が持つ技術やサービス、APIなどをご提供いただいて自由に触れるようにすることで、オープンイノベーションを促進したいという思いもある。人と情報の流通こそ命だ。週末ガッツリと同じ時間を共有することで、人的交流が生まれ、そのことで新しいコラボレーションが生まれるきっかけになるのではないか、ということを考えている。

5. 日常業務から離れて、実験的な試みができる場を提供したい

すでにスタートアップ企業で働いているエンジニアや起業家は、目の前のプロダクト作りで忙しいだろう。ちょっと思いついたアイデアを実装してみるような時間的余裕はないと思う。こうした人たちに、週末で一気に何かを作ってみる、そんなサイドプロジェクトの出発地点としてのキッカケを提供できればと考えている。

と、なんだかちょっぴり偉そうな感じで書いてしまったけど、2日間のハッカソンというのは楽しいもの。ぜひたくさんのクリエイター、起業家に参加していただければと思う。今年はチームビルディングの時間を設けないので、友だち同士や、スタートアップ企業のエンジニアチームでのチーム参加など大歓迎だ。

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(photo / Alexandre Dulaunoy)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。