techtecがイーサリアム財団から日本で初めて「イーサリアム 2.0」関連の研究助成金を獲得

techtecがイーサリアム財団から日本で初めて「イーサリアム 2.0」関連の研究助成金を獲得

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、過去1週間分について重要かつこれはという話題をピックアップしていく。今回は2021年2月7日~2月13日の情報から。

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーンのオンライン学習サービス「PoL」(ポル)を運営するtechtecは2月10日、Ethereum Foundation(イーサリアム財団)より資金調達を実施したと発表した。調達額は非公開。

techtecは、パブリックブロックチェーンEthereum(イーサリアム)の開発を主導するイーサリアム財団より「Eth2 Staking Community Grants」を通したグラント(研究助成金)を獲得した。Eth2 Staking Community Grantsへの選出企業として、国内唯一となる。

techtecは、資金調達によりEthereum 2.0(ETH2)のStakingプログラム開発やエンタープライズブロックチェーン領域におけるETH2への対応を進めていく。

今回の資金調達に関して代表取締役の田上智裕氏は、「EthereumはWeb3.0を実現する、最有力のブロックチェーンプラットフォームです。今回はEthereum 2.0に関する資金調達ですが、日本では我々が初の取り組みとなりました。未来の社会はEthereumによって支えられるといっても過言ではないことを踏まえると、世界に遅れを取ってしまっている現状に強い危機感を抱いています」と述べている。

また、「ブロックチェーンは社会実装フェーズではなく、もはや実用化のフェーズに入っています。我々はその中心にあるEthereumへの対応を進め、世界との差を少しでも埋められるよう取り組んでいく方針です。イーサリアム財団からも、Web3.0の実現には英語圏以外でのエコシステム拡大が欠かせないと言われているので、日本発の企業として業界を牽引できるよう引き続き励んでいきます」とコメントしている。

techtecがこれまでにパートナーシップを締結してきたAaveなどのプロジェクトも、Ethereumエコシステムに展開されているものという。

Eth2 Staking Community Grants

イーサリアム財団が主導するEth2 Staking Community Grantsは、2020年11月にスタートしたEthereumの大型アップデート「ETH2」の促進を目的とする取り組み。「Community and Education」「Staking and Validator tools」「Data analysis and visualisation」「Research」の5カテゴリーにおいて、企業やプロジェクトを対象に活動資金を提供している。

今回は4カテゴリーおよび25の対象企業やプロジェクトに対して、総額100万ドル以上(1億500万円相当)の助成金が割り当てられた(割り当ての詳細については未発表)。

Ethereumは昨今、その需要に対して処理性能が追いつかず、スケーラビリティ問題やトランザクション手数料(GAS代)の高騰といった問題を抱えているのも事実であり、主にこの問題を解決するのがETH2になる。

ETH2は、数年かけて段階的に大型アップデートを行っていく計画になっており、大きく4つのフェーズに分けられている。2020年11月にはその第1弾「フェーズ0」が開始されており、ETH2全体としては現在も開発が進められている。

予定されている大型アップデート

  • フェーズ0:ビーコンチェーンの稼働、ステーキングの開始
  • フェーズ1:シャーディングの実装、シャードチェーンのテスト稼働
  • フェーズ1.5:シャードチェーンのメイン稼働、PoSへの移行開始
  • フェーズ2:シャードチェーンのフル稼働

こうしたブロックチェーン技術の発展により、新たなウェブの世界が誕生しようとしている。それがWeb3.0という流れだ。Web3.0に明確な定義はないものの、ブロックチェーン技術の活用によってウェブの世界も非中央集権型になり、現在のウェブが抱えている特定企業に個人情報が集中するプライバシーの問題や、中央集権型であることで発生しているサイバー攻撃などの問題が解決されるという。

techtecは、日本でWeb3.0の到来を実現するためには、ETH2に開始時点から対応しておくことが絶対に欠かせないという。国内にETH2に対応できる企業が少ないことから、Eth2 Staking Community Grantsを通して資金提供を受けることは非常に重要であると考えていると、今回の資金調達実施について説明している。

ETH2のステーキングに向けた情報の整備

同社は今回、Community and Educationカテゴリーにて採択された。

調達した資金は主に「Eth2 Stakingプログラムの開発」に使用すると、techtecは説明する。また、エンタープライズブロックチェーンにおけるETH2への対応を進め、日本国内でETH2を使った開発事例を増やしていくという。

Eth2 Stakingプログラムでは、日本でもETH2のステーキングを気軽に行えるようエコシステムを整備していくことが目標であり、ETH2のステーキングにおけるリワードやリスク、バリデータ要件などを定義し、ステーキングに参加するための具体的な手順までを日本語で提供していく。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:Ethereum(製品・サービス)techtecブロックチェーン(用語)日本(国・地域)

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TechCrunch Japan

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