TikTokの中国版Douyinが検索ユーザー数は5億5000万人、検索最大手Baiduに対抗

ショートビデオの進歩は、情報がどのように作成され、広まり、オンラインで消費されるかということを変化させている。洒落た15秒の動画は、エンターテインメントのためだけのものではない。中国のショートビデオアプリDouyin(抖音)とKuaishou(快手)では、人々は毎日のニュースを得たり、料理を習ったり、英語の練習をしたり、仕事を探したり、急速に拡大しているプラットフォームのコンテンツライブラリから実質的にあらゆる種類の情報を探すことができる。

人々は機械が推奨する動画を見ることに慣れてきているが、多くのユーザーはまだアクティブな検索をしたいという欲求とニーズを持っている。Douyinはそれを理解し、2018年半ばに検索機能を導入した。それから2年以上が経ち、この機能は月間アクティブユーザー数(MAU)5億5000万人に達した。同アプリが最後に報告したのは2020年9月のデイリーユーザー数が6億人という数字だったので、月間ユーザー数はそれを上回っているはずだ。それを見ると、Douyinの検索機能にはまだ成長の余地がある。

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TikTok(ティックトック)の中国版であるDouyinの台頭は、若いプロダクトマネージャーKelly Zhang(ケリー・チャン)氏の功績によるところが大きい。同氏は、今週初めてDouyinの検索ユーザー数を彼女のマイクロブログアカウントで公開した。検索は、中国では長らくBaidu(百度)が独占していた領域だ。2020年12月の時点で、Baiduのフラッグシップアプリの月間アクティブユーザー数は5億4400万人だったため、Baiduと同じくらい多くの人がDouyinで検索していると言って差し支えないだろう。

チャン氏の発言は、オンライン動画分野を制覇し、最終的には人々の情報の受け取り方にまで踏み込もうとするDouyinの野心を物語っている。「前にも言いましたが、私はDouyinが人類文明の動画百科事典になることを願っています。従って動画検索は本に例えれば索引であり、答えを見つけ、新しい知識を得るための入り口なのです」。

同氏はさらに、アプリが検索機能への投資を拡大し続けているため、Douyinの検索エンジンでは新年(中国は旧正月を迎えたばかり)に研究開発、製品、オペレーションのための人材を募集していくと付け加えた。

データ分析会社のJiguangが2020年12月に発表したレポートによると、ショートビデオプラットフォームは、すでに中国のユーザーがオンラインで検索する際に2番目に人気のある方法でBaiduなどの一般的な検索エンジンに次ぐものであり、SNSやeコマースを上回っている。検索におけるBaiduの優位性は、中国のテック大手がサイトやデータへの無料アクセスをお互いにブロックし合うことで築かれた壁に四方から阻まれ、ますます制限されている。ユーザー体験は損なわれるが、この現状はDouyinやAlibaba(アリババ)によるTaobao(淘宝、タオバオ)マーケットプレイスのようなアプリ上の垂直検索エンジンにとっては好都合で、結果的に広告スポンサーからの収益につながる。

ByteDance(バイトダンス)はDouyin、TikTok、ニュースアグリゲーターのToutiao(今日頭条)などのサービスで、機械学習アルゴリズムを使ってコンテンツを推薦することに取り組んできた。このモデルは非常に効率的で収益性が高いことが証明され、BaiduからTencent(テンセント)に至るまでの先人たちが、同様のアルゴリズムを利用したコンテンツフィードを導入するようになった。より長い歴史を持つ検索分野へのByteDanceの進出は、興味をそそる一方で、自然な流れでもある。同社は、デジタルメディア帝国のパズルを完成させ、人々に情報を見つけるための別の選択肢を提供しているにすぎない。ユーザーは機械からのレコメンドを受けたり、必要に応じてコンテンツクリエイターをフォローすることができる。または、頭に浮かんだ検索キーワードがあれば、古き良きやり方で入力もできるというわけだ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Douyin中国検索

画像クレジット:Douyin creators

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(文:Rita Liao、翻訳:Aya Nakazato)

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TechCrunch Japan

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