TikTokを運営するByteDanceが電子書籍リーダーのZhangyueに約173億円を投資

ByteDanceはショートビデオのTikTokで売上を伸ばし中国のスタートアップを国際的に知らしめたが、テック大手が成長を加速させるために多くの新しい分野に進出しているのと同じことをByteDanceもしている。エンタープライズソフトウェアオンライン学習(未訳記事)に手を出してきたが、ここにきてByteDanceが中国最大の電子書籍サービスの1つであるZhangyue(掌阅)に投資するというニュースが届いた。

米国時間11月4日にZhangyueは、ByteDanceの完全子会社がZhangyueの株式の11%を11億元(約172億7000万円)で取得する計画を明らかにした。中国で上場しているZhangyueの現在の時価総額は120億元(約1884億円)で、上半期には同社のアプリで毎月1億7000万人のユーザー(Sina Finance記事)が小説や雑誌、漫画を読んだり、オーディオブックを聴いたりしている。

直接のライバルはTencentからスピンオフしたChina Literature(未訳記事)で、こちらは同期間の月間ユーザー数が2億1700万人であると主張している(China Literatureリリース)。

ZhangyueとByteDanceのパートナーシップは、中国でのスマートフォン普及により急成長しているオンライン書籍市場をターゲットにしている。市場調査会社のiResearchによると、2019年にユーザーは1日に1時間近く電子書籍アプリを利用していたという。サブスクリプションとライセンス料を含む電子書籍分野の売上は2020年に206億元(約3234億円)になると予測されている。これは2015年の66億元(約1036億円)からの増加だ。iResearchは、中国の電子書籍ユーザーは2020年中に5億1000万人に達すると予測している。

この株式取得で、Zhangyueと中国のデジタルエンターテインメントの巨人であるByteDanceが緊密に連携することになる。契約により、ByteDanceから1人がZhangyueの取締役となり、Zhangyueの知的財産のライセンスを受けられる。

一方のZhangyueは広告の購入、収益化、さまざまなテクノロジーなどの部分でByteDanceの支援を受ける。ByteDanceは、ショートフォームモバイルビデオアプリケーションのDouyin(抖音)やTikTok、ニュースリーダーのToutiao(今日头条)のユーザーが全体で数億人いるとしており、この成功により同社はブランドや広告主から人気を集める存在になった。

この提携により両社間の取引は株式取得の翌年に4億7000万元(約73億8000万円)相当になると見込まれ、これは株式取得前の年間2億7000万元(約42億4000万円)からの増加となる。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:ByteDanceZhangyue電子書籍中国投資

画像クレジット:Zhangyue

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(翻訳:Kaori Koyama)

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TechCrunch Japan

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