TikTok広告価格上昇の中、Instagramがライバル機能「リール」広告をグローバルに展開

Instagram Reels(インスタグラム リール)に広告がやってくる。Instagramは米国時間6月17日、TikTokのライバルでもあるショート動画プラットフォーム「リール」での広告を、世界中の企業や広告主に向けてローンチすると発表した。広告の長さはリールと同じ最大30秒で、フォーマットはInstagram Stories(ストーリーズ)で見られる広告と同様に縦型のフォーマットとなる。また、リールと同じようにこれらの新しい広告はループし、ユーザーはリールの他の動画と同様に、リール広告をいいね、コメント、保存、共有することができる。

同社は、2021年初めにインド、ブラジル、ドイツ、オーストラリアなどの一部の市場でリール広告の試験導入を行い、最近ではカナダ、フランス、英国、米国にもテストを拡大した。BMW、ネスレ(ネスプレッソ)、ルイ・ヴィトン、Netflix(ネットフリックス)、Uber(ウーバー)などのブランドが、この新しいフォーマットをいち早く採用していた。

Instagramによるとこれらの広告は、ユーザーがリールコンテンツを閲覧するほとんどの場所(リールタブ、ストーリーズで公開されているリール、発見タブで表示されるリール、Instagramフィードのリールなど)に表示され、ユーザーが投稿した個々のリールの間にも表示されるとのこと。ただし、リール広告が表示されるためには、ユーザーはまず、没入感のある全画面スクリーンのリールビューアーに入っている必要がある。

画像クレジット:Instagram

同社はユーザーがリール広告をどのくらいの頻度で目にするかについては言及しておらず、視聴者がInstagramをどのように利用するかによって、目にする広告の数は異なるとしている。しかし、Instagramは広告自体に対するユーザーのセンチメントや、リールの全体的な商業性をモニタリングしているという。

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Instagramの他の広告商品と同様に、リール広告はオークションベースのモデルでローンチされる。しかしこれまでのところInstagramは、テストに基づく広告パフォーマンス指標の共有を拒否している。また、広告主がリール広告を始めるのに役立つクリエイターツールやテンプレートも提供していない。その代わりに、リール広告がInstagramの競合他社を含む他の縦型動画広告と似ていることから、同社は広告主がすでにクリエイティブアセットを持っているか、その作り方を知っていると考えているようだ。

縦型動画はすでに消費者をECショッピングサイトに誘導する可能性を示しているが、Instagramはまだリール広告を利用してユーザーを内蔵EC機能であるInstagramショップに誘導していない。同社はアプリのさまざまな部分を結びつけようとしているので、それは自然な次のステップと思われまる。

しかしおそらくその前に、Instagramはリールをより魅力的な目的地にする必要があるだろう。これは、Snap(スナップ)やYouTubeなどのTikTok(ティックトック)のライバル企業が、クリエイターコンテンツに直接資金を提供することで実現していることだ。一方Instagramは、TikTokのスターたちに直接オファーを出していた

リール広告の開始は、TikTokの広告価格上昇のニュースに続くものだ。Bloombergが2021年6月に報じたところによると、TikTokは第3四半期の時点で、米国でホームページのテイクオーバー広告に140万ドル(約1億5000万円)以上を要求しており、第4四半期には180万ドル(約2億円)、さらに休日には200万ドル(約2億2000万円)以上に跳ね上がるという。同社はまだ広告チームを構築中であり、広告主らはまだ動画予算の大部分を同アプリに割り当てていないが、それはユーザー数の増加に追随する傾向がある。そして今やTikTokは、米国で1億人以上の月間アクティブユーザー(MAU)を擁している。

現在、InstagramとTikTokのアプリは、グローバルベースで10億人以上の月間アクティブユーザーを抱えているが、リールはより大きなInstagramプラットフォームの一部に過ぎない。ちなみにストーリーズ機能は約5億人のユーザーに利用されており、アプリのさまざまな領域にトラフィックを誘導するInstagramの能力を示している。Instagramは、6月17日の時点でリール機能のユーザー数を公表することは控えた。

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カテゴリー:ネットサービス
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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

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TechCrunch Japan

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