Tileの紛失物追跡サービスがFitbitのInspire 2で利用可能に

どこに置いたかわからなくなった鍵やバッグ、財布などを探し出すのを手伝うBluetoothで駆動する人気のトラッカーを製造している紛失物ファインダーのTile(タイル)はFitbit(フィットビット)と提携し、初めてウェアラブルデバイスに追跡サービスをもたらす。米国時間3月22日からすべてのFitbit Inspire 2ユーザーはTileのBluetoothファインディングテクノロジーを追加料金なしに利用できる。

この提携の結果、Inspire 2の既存ユーザーはFitbitアプリを通じてデバイスのソフトウェアのアップデートが促され、これにより新しいTile機能が利用できるようになる。アップデートすると、ユーザーは紛失物発見機能にアクセスするためにTileのモバイルアプリをダウンロードするよう誘導される。TileのアプリからInspire 2ユーザーは、たとえばデバイスを家の中で紛失したときなどBluetoothの範囲内で置き忘れたFitbitの場所を特定できる。Bluetooth範囲外であれば、ユーザーは、すべてのTileユーザーのスマートフォンにインストールされたTileアプリを活用しているTileの広範な追跡ネットワークを利用できる。同アプリを利用している誰かが紛失物の近くにいるとき、その場所はネットワークを通じて紛失物の持ち主に共有される。

現在、195カ国で1日あたり600万ものアイテムの紛失場所を特定している、とTileは話す。

TileのサービスはFitbitユーザーや他の顧客に無料で提供されるが、Tileはデバイスの販売とアプリ内サブスク、提携の組み合わせで売り上げを確保している。Tile PremiumサブスクはInspire 2ユーザーにもオプションのアップグレードとして月2.99ドル(約325円)もしくは年間29.99ドル(約3260円)で提供される。元々Tileトラッカー所有者向けのこのサービスには、Tileデバイスの無料バッテリー交換、30日間のロケーション履歴へのアクセス、アイテム返品、大事なものを携帯せずに家を出る時に注意を促すスマートアラートが含まれる。

「Tileのテクノロジーで当社のアクセスしやすく、使いやすい運動・睡眠トラッカーInspire 2にこれまで以上に便利で使えるツールが加わります」とGoogleでFitbitデバイスのプロダクトマネジメントを担当するディレクターLarry Yang(ラリー・ヤン)氏は話した。Googleは2021年初めにFitbit買収を完了させた。同氏は「Tileと提携することをうれしく思います。当社のユーザーは置き忘れたデバイスを見つけ出せないことを心配することなく健康的な習慣の構築に専念できます。将来さらに多くのFitbitデバイスにTileの紛失物発見テクノロジーを持ってくる可能性があります」と付け加えた。

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画像クレジット:Tile

TileのFitbitとの提携は、Tileテクノロジーをオーディオ、旅行、スマートホーム、PCといった部門で活用している20社超との提携の1つだ。テクニカル的にFitbitが最初の「ウェアラブル」パートナーである一方で、TileはSkullcandy、Bose、Sennheiserといったヘッドフォンメーカーを含む家電分野の企業と協業してきた。

Apple、そしてSamsungとの新たな競争に直面し、産業パートナーを通じてリーチを拡大するTileの能力は将来さらに重要性を増すかもしれない。AppleはTileと競合するAirTagsを開発している。Appleは2020年YouTubeビデオで誤ってAirTagsを公開した。AirTagsは紛失物の場所をより正確に特定するためにBluetoothと新しい超広帯域テクノロジーを活用する。一方、Tileと競合するSamsungの最新プロダクトGalaxy SmartTagも超広帯域テクノロジーを採用し、2021年後半に発売される予定だ。

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こうした競争、特にAppleの製品はTileにとってトラブルとなりかねない。TileはAppleを対象とする米国の独禁法調査に関与している。Tileは議会の公聴会で、過去に同社の事業がAppleによっていかにマイナスの影響を受けたかを証言し、Appleが今後発売するトラッカーと自社のものの競争条件を同じにする手段としてAppleの「Find My」アプリへのサードパーティのアクセスを要求した。Tileはまた、米国内のさまざまな州でアプリストアを規制する法案を求めている団体Coalition for App Fairnessにも加わった。

Appleの競争相手Googleとの(Fitbitを介しての)提携は、TileにとってAirTagsが発売される前にウェアラブルマーケットの主要分野で自社の立場を強化する別の方法とみることができそうだ。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:TileFitbitトラッカー

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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