Twitter、IPOの好調によりユーザー当たり評価額でFacebookのデビュー時を上回る

きのうTwitter株を買った人、おめでとう。これで高級住宅地にベッドルームの1つ多い家を買えるだろう。それとも、赤ちゃんかもしれない。しかし両方ではない。ともあれ、TwitterのIPOベームは世界に狂乱をもたらしたが、ここで現在市場がどうTwitterを評価しているかを、いくつかの類似例と比べてみよう。

問題は単純だ。Twitterの今の評価額は理にかなっているか?

当初Twitterは、株式を1株当たり17ドルで売ると言っていた。売出し数7000万株に対する需要があまりに高かったため、最終的にTwitterは1株26ドルの値を付けた。市場のつけた初値は45ドルだった。Twitterはテーブルに金を残してきた[もっと調達できた]と見る向きもあるが、同社株は上場と同時に高値で取引され、驚くべき成功と共に初日を終えた。

本稿では、Twitterの初期取引価格を45.10ドルとし、この株価における時価総額は ― 完全希釈化株数を使用して ― 318億ドルとする。比較対象であるFacebookは、IPO価格が38ドルで、取引は42.05から始まり、時価総額は1150億ドルだった ― ここでも希釈化株数を使用。

  • 最初の市場評価額に基づくと、Twitterの月間アクティブユーザー1人当たりの価値は137ドルになる(ユーザー数は2.32億人)。この数字は、Twitterの評価額が下がるか、月間アクティブユーザー数が増えると減少する。前者は起きる可能性があり、後者はまず間違いなく起きる。
  • IPO時点で、Facebookの月間アクティブユーザー数は9.01億人だった。この初期取引評価額を使用すると、Facebookの月間アクティブユーザー1人当たりの価値は127ドルである。

つまりTwitterは、初期取引価格で見るとFacebookよりもわずかに高い評価を得ている。これはTwitterの投資家がおかしいのか? たぶん違うだろうが、Facebook株はデビュー後数ヵ月間大暴落に遭ったことは銘記しておくべきだ。

つまり、投資家はTwitterに対して、Facebookが上場した時よりも早く成長することを期待して値を付けているようだ。このソーシャル企業にとって失敗は非常に高くつくかもしれない。

参考までに、希釈化1株当たり売上を計算してみた。FacebookではクラスA株、クラスB株合わせて32.3億株を使用する(Google Financeなどは、一般株数24.3億ドルを使用している)。現在の市場価格は47.87ドルなので、同社の時価総額は1540億ドルになる。直近の四半期報告によると、Facebookの月間アクティブユーザー数は11.9億人だ。したがってFacebookは、希釈化評価額ベースで、月間アクティブユーザー1人当たり129.41ドルの価値を持っている。

ここで改めて自問しなければならない。市場はTwitter、Facebook、またはその両方を過大評価しているのだろうか。

私はあえて両方と予想する。Facebookは、モバイル広告の実績が取りに足らないことが明確になった時、成熟するにつれ売上成長が鈍化する可能性を率直に認めた。株価は最低18ドルまで下がった。その後Facebookは、モバイルを事業の柱へと変え、市場もこれに答え株価はIPO当時の月間アクティブユーザー数ベースに戻った。

おそらくFacebookが市場の評価を取り戻したのは、モバイル史上最高のドル箱であることを自ら証明し、同社ビジネスを取り巻いていた重要課題を取除いた時だった。

しかし、こうして比較する上で一つ留意しておく重要なことがある。Facebookの評価額には、同社がユーザーから利益を生み出す能力を持っているという暗黙の了解がある。さらには、上場時点でより成熟した企業であったためこの比較には無理な部分もあるが、市場がTwitterに対して、利用を生むようになればユーザー1人当たりの価値はTwitterの方が〈高い〉という期待を持っていることを示唆している ― Twitterが損を出している時にユーザー当たり価値を高く評価しているなら、利益を生むようになった時その数値が上昇すると考えるのは理にかなっている。利益を上げている企業は損を出している企業よりも価値が高い。

Facebookの5年後予想PEGレシオがほぼ2であることを私は心配している。Twitterがはるかに未熟なビジネスモデルしか持たないのに、Facebookよりある意味で高く評価されていることには苛立ちさえ感じる。

現在投資家たちはTwitterの売上が目覚ましい割合で成長し続けることに賭けている。私が最近報じたように

新たに修正申請されたS-1資料によると、Twitterは2013年に入って1.338億ドルの損失を出している。これは、2012年の0.707億ドルより悪い。いずれの数字も歴年1~9月が対象。・・・

別の面から見ると、Twitterの売上は急速に増加している。同社の第3四半期売上1.686億ドルは、2013年1~2四半期累計売上2.536億ドルのペースを上回っている。

要するに、今Twitterは高成長、コスト高の瞬間にある。その報償は、上場した今や単純だ。売上成長をトップギアで続け、損失を削減し始めることだ。もしTwitterが、損失と売上を両方増やす続けるなら、将来の高い利益率には疑念が投げかけられるだろう。

そして投資家は、Facebookが意のままにしている利益率を、Twitterが手に〈しない〉ことなど期待していない。

すべては単純な一点に集約される:投資家はTwitterが今後数四半期に超人的レベルの実績を上げることに賭けている。可能なのか?

トップ画像提供:Flickr

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(翻訳:Nob Takahashi)


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TechCrunch Japan

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