Twitterが分散型ソーシャルネットワーク研究グループ「bluesky」のリーダーに暗号資産開発者を起用

Twitter(ツイッター)が野心的に発足させた分散型ソーシャルメディアに取り組む研究グループ「bluesky(ブルースカイ)」は、米国時間8月16日、重要な一歩を踏み出した。このプロトコル開発の今後の方向性を指揮する正式なプロジェクトリーダーを、Twitterが任命したのだ。

このプロジェクトの舵取りは、暗号資産開発者のJay Graber(ジェイ・グラバー)氏が、Twitterから任されることになった。Twitterはblueskyが、最終的にTwitterを含む多くのソーシャルネットワークが採用することになる分散型ソーシャルメディアプロトコルを策定することを期待している。blueskyは独立した組織として運営されるが、現在まで主にTwitterの従業員が資金提供と管理を行ってきた。

グラバー氏は、すでにblueskyチームの中で仕事をしているものの、正式な役職に就いていたわけではなく、Twitterから報酬を受けて、分散型ソーシャルエコシステムの技術的なレビューを、開発者たちの研究グループのために作成していた。以前は匿名性の高さに注力した暗号資産「Zcash(ジーキャッシュ)」の開発チームに所属していた他「Facebook Events(フェイスブック・イベント)」に競合することを狙った「Happening(ハプニング)」と呼ばれる独自の分散型ソーシャルネットワークを構築したこともある。しかし、グラバー氏は、分散化の利点に興味を持つユーザーを独力で増やすことができないという問題に行き当たり、結局、この取り組みから手を引いてしまった。この分野における新興ネットワークの多くにとって、これはほとんど克服不可能な問題になっている。

うれしいお知らせがあります。ソーシャルメディアを分散化するために@Twitterが始めたイニシアチブ、@blueskyを私が率いることになりました。最新情報はツイッターとhttp://blueskyweb.orgでフォローしてください。

ジェイ・グラバー

グラバー氏は、TechCrunchによる1月のインタビューで、莫大なユーザーベースを擁するTwitterが分散型ソーシャルスペースに参入することには、大きなチャンスを感じていると語っていた。Twitter自身も最終的にはこのプロトコルに移行すると述べている。

「Twitterが分散型プロトコルに移行することによる本当の凄さは、理想的な方法で機能するプロトコルを設計することができれば、Twitterが非常に多くのユーザーを連れてくるため、最初にニッチな場所を見つけてそこから自力で起ち上げていく努力が必要ないということです」と、グラバー氏は語っていた。

TechCrunchでは1月に、TwitterがDonald Trump(ドナルド・トランプ)元大統領を永久追放したことを受けて、さらに注目を集めていたこの取り組みについて紹介した。トランプ氏の追放後、TwitterのJack Dorsey(ジャック・ドーシー)CEOは、将来に向けたソーシャルメディアのモデレーションに関する問題に対処する継続的な取り組みの1つとして、このblueskyを強調した。ソーシャルメディアのプロトコルが分散化されれば、1つの企業や組織がネット上における会話の領域を支配的に統制することがなく、個々のネットワークが自らを律することができる。

「1つのソースに寄らず、より良いモデレーションを可能にするにはどうしたらよいか、ということはソーシャルメディアに関わる全員の大きな関心事になっていると思います」と、グラバー氏はTechCrunchに語った。

blueskyの組織はまだ初期段階にある。グラバー氏の次の仕事は、プロトコル開発者やウェブ開発者を含む最初に雇用する人材でチームを強化することだ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:TwitterSNS暗号資産分散型ソーシャルネットワークbluesky

画像クレジット:Amal KS/Hindustan Times / Getty Images

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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