Twitterはユーザーの関心グラフ情報で稼ぐ―MoPubを通じてサードパーティにターゲット広告配信へ

Financial Timesが得た情報によると、Twitter上のすべての活動は最近買収したMoPubを通じて、サードパーティーのサイトに効果的なターゲティング広告を表示するための材料として使われることになるらしい。ユーザーがTwitterにログインすると、自分が何をツイートしたか、誰をフォローしているによって関連するMoPubネットワークからの広告が表示される。しかしTwitterは自サイトへの表示だけでなく、このユーザー情報に基づいた広告の配信から収益を上げようとしているのだという。

TwitterのInterest Graph〔関心グラフ〕のデータがTwitterのビジネスのカギとなるわけだ。Twitterの株式上場が迫っている現在、サイトに広告を氾濫させずに大規模に収入を得る方法があれば株価にも好影響を与えるだろう。

Financial Timesの記事(有料)によると、TwitterはMoPubの買収手続きを完了中であり、このプラットフォームを利用してTwitterの関心グラフに基づくデータをサードパーティーのウェブサイトやモバイル・アプリに販売することを計画しているという。このデータにはユーザーのフォロー相手、ツイート内容が含まれる。これが重要な収益源として従来のプロモート・ツイートに加わることになると事情に通じた情報源が述べたという。

この記事ではまだ詳細は不明だが、Twitterが新たに買収したMoPubを利用してサードパーティーから収益を上げようとしていることは確かなようだ。

まず第一にTwitterはMoPubをオフサイト、オフアプリでの広告ターゲティング・プラットフォームとして利用することができる。たとえば私が「ハワイに行ってみたい」とか「デジタル一眼が欲しい」とかツイートしたら、あるいは@HawaiianAir(ハワイ航空)や@DCamMag(デジタルカメラワールド誌)をフォローしているとしよう。私がMoPubネットワークから広告を配信してもらっているウェブサイトを訪問するとハワイやデジタル一眼関係の広告が表示されるわけだ。Twitterは私のツイート中のキーワードやフォロー相手のデータを利用して効果的にターゲティングした広告をMoPubを通じてサードパーティーのサイトやアプリに販売することができる。

左の写真はMoPubのケーススタディーの例だが、ユーザーが「私は掃除が好き」とツイートしたところ、SongzaアプリにMr. Clean〔P&G社のマスコット・キャラクター〕の広告が表示された。

一部のユーザーはTwitterがユーザーのデータを利用してサードパーティーから収益を得るということに不安を感じるかもしれない。しかしTwitter上のほとんどのデータはもともと公開情報であり、多くのサードパーティーがすでに広告に利用している。またユーザーも他の多くのサイトにターゲット広告に使われる情報を自発的に提供している。ある意味でTwitter-MoPubの方が無害だといえる。【中略】

MoPubを買収したことでTwitterはサードパーティーへの広告配信という有利な事業で広告ネットワークにマージンを支払う必要がなくなった。株式上場を控えて賢明な判断であり、巨額の売上が見込めるので株価の維持に役立つだろう。最近TwitterはiTunes Radioのプロダクト・マネージャー、Gareth Paulをスカウトするなど、サードパーティーとの提携に特に力を入れている。

そこで次にはFacebookがモバイル広告配信事業を急速に立ち上げるために広告ネットワークの買収に踏み切るかどうかが注目される。

TwitterのMoPub買収額は3億5000万ドル相当のキャッシュと株式だったとされる。買収手続きは2013年第4四半期に完了するようだ。MoPubを利用した実際の事業開始はその後になる。Twitterに多額の売上をもたらしながらTwitterのストリームに広告は増えないという結果になることを期待したい。

[画像:Gluekit]

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


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TechCrunch Japan

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