Uberが「ギグワーカーは個人事業主」というカリフォルニアの住民立法を世界展開へ

先にカリフォルニア州で、ギグワーカーを個人事業主と分類し続けることを可能にする住民立法案の投票が行われ、その日のうちに承認される見通しとなった。これを受けてUber(ウーバー)は同様の動きを引き続き展開する。ビジネスモデルを守る住民立法というUberの野心は舞台を世界へと移す。

UberのCEOであるDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏は米国時間11月5日のアナリストとの決算会見で、同社が「Prop 22のような法律を声高に追求する」と述べた。同氏はその後、「これを実現するために米国中、そして世界中の行政と協業する」ことが社にとって優先すべきことだと付け加えた。

「声高に追求する」の内容はやや不透明だ。Prop 22はUberやLyft(リフト)、そしてDoorDash(ドアダッシュ)やPostmates(ポストメイツ)のようなオンデマンドデリバリー企業が支持した。住民立法案を通し、ギグワーカーを従業員として分類するよう企業に強制するカリフォルニア州議会を通過した州法に置き換える動きはかなり費用のかかるものだった。Yes on 22(Prop 22に賛成)キャンペーンに注入された資金は2億500万ドル(約210億円)で、1999年以来、カリフォルニア州で行われた住民投票で最も費用をかけたものとなった。

以下、コスロシャヒ氏の考えだ。

最後に、 Proposition 22について。カリフォルニア州でかなりの差をつけて賛成多数となったことを喜んでいます。

この重要な問いについての答えがいま、米国で最も人口が多い州で得られました。カリフォルニアの投票者はドライバーの多くが求めていることに耳を傾けています。ドライバーは新たな福利厚生、保護、そしてこれまで同様のフレキシビリティを求めています。これを前に進めることで、カリフォルニアのドライバーや配達員は最低収入、ヘルスケア加入、事故保障、セーフティ保障の増強が保証されます。これは正しいアプローチだと我々は強く確信しています。物事を改善するために、雇用システムを除外するのではなくギグワーカーの福利厚生を手厚くすべきです。

だからこそ今後、Prop 22のような新しい法律をより一層声高に求めていきます。Prop 22は、ドライバーがかなり重視しているフレキシビリティを維持しつつ、すべてのギグワーカーが求めている保護を追加し、バランスが取れているものだと確信しています。我々が提案した新たな実用的アプローチはドライバーの82%、投票者の76%に支持されました。これを実現するために米国中、そして世界中の行政と協業するのが当社の優先事項となります。

さしあたって、コスロシャヒ氏は同社がProp 22を遵守することに注力すると述べた。Prop 22では企業に、最低賃金の少なくとも120%の収入、業務中の1マイルあたり30セント(約31円)の経費支払い、医療保険、業務中の事故に対する労災保険、差別やセクハラからの保護、自動車事故および賠償責任保険などの保証を求めている。収入の保障と経費の支払いにはドライバーの業務時間が反映され、ライドや配達の合間の時間は考慮されない。

「当社はドライバーに関係するProp 22の実行にかなり集中して取り組みます」とコスロシャヒ氏は述べた。そして、これは運賃の引き上げにつながるかもしれないが、過去の経験からしてライド利用には大きな影響は及ぼさないとの考えを示した。

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カテゴリー:シェアリングエコノミー
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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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