Uberの第2四半期は配車、配達事業の売上高は成長するも赤字幅は拡大

Uber(ウーバー)は米国時間8月4日、取引開始直後に第2四半期決算を発表した。前日には米国内でのライバルであるLyft(リフト)も同期決算を明らかにしていた

Lyftが調整後EBITDAで黒字をなんとか達成した一方で、Uberはそうではなかったのは注目に値する。しかしUberはDidiやAurora Innovationなど他社への投資のおかげで第2四半期に11億4000万ドル(約1250億円)の純利益を生み出した。

上から順に、Uberのグロスブッキング(取扱高)は計219億ドル(約2兆4015億円)で、前年同期に比べて114%増えた。売上高におけるグロスプラットフォーム支出は39億3000万ドル(約4310億円)となり、前年同期の19億1000万ドル(約2090億円)から105%増となった。

第2四半期の業績は、Uberが税引前で黒字化を達成するという目標に向けて順調に歩むに足るもので、決算発表によると、同社は第4四半期までに調整後EBITDAで黒字を繰り返す。

Yahoo Financeが集めたデータによると、アナリストはUberの売上高を37億4000万ドル(約4100億円)、1株あたり利益はマイナス0.51ドル(約55円)と予想していた。売上高はアナリスト予想を上回ったものの、調整後EBITDA損失額は予想よりも大きくなった。アナリストは、調整後EBITDAで3億2450万ドル(約355億円)の赤字を予想していたが、実際には5億900万ドル(約560億円)の赤字だった。

Uberの株価は時間外取引で8%超下落した。その後は持ち直したが、それでも6%超落ち込んでいる。

Uberの各事業の取扱高に目を向けると、配車部門は第2四半期にこれまでで最大の伸びとなる前年同期比184%増の88億4000万ドル(約9690億円)だった。取扱高全体のかなりの部分を占める配達部門は同85%増の129億1000万ドル(約1兆4155億円)だった。

消費者支出額で大きな差があったにもかかわらず、配達部門の取扱高における売上高の割合は配車部門のものよりも少なくなり、売上高は配達部門が19億6000万ドル(約2150億円)、配車部門が16億2000万ドル(約1780億円)だった。

Uberの中で最も売上高が少ないFreightは前年同期比64%成長し、3億4800万ドル(約380億円)だった。小規模ではあるが、同社はFreight部門をを拡大し、2022年末までに調整後EBITDAベースで収支が合うようにするための手段として戦略的買収や提携を行ってきた。

Uber Freightは7月にプライベートエクイティグループTPG Capitalから22億5000万ドル(約2470億円)でTransplaceを買収した。この取引にはUber株での7億5000万ドル(約820億円)が含まれ、残りは現金で支払われた。

Uberの主要事業である配車事業と配達事業はいずれも黒字ではなく、Uberを調整後の赤字から救うことはできなかった。しかし、同社の配車事業は調整後EBITDAで2020年同期を下回ったものの1億7900万ドル(約200億円)の黒字を達成した。その一方で、配達事業は調整後EBITDAで1億6100万ドル(約180億円)の損失と、またも赤字となった。

Uberの配車事業の調整後EBITDAは、同社の未割り当て費用に比べればわずかなものだ。調整後EBITDAは5億900万ドル(約560億円)の赤字で、赤字幅は前年同期から39%縮小した。それでも収支が合うようになるまでの道のりは長い。

しかしUberの第2四半期には、他からの収入という点で特筆すべきものがあった。同社の11億9000万ドル(約1300億円)という営業損失は、19億3000万ドル(約2115億円)もの営業外収入でかなり改善した。営業外収入の大半は、Didiへの投資での14億ドル(約1535億円)の含み益、Aurora Investmentsへの投資での4億7100万ドル(約520億円)の含み益など、計19億1000万ドル(約2090億円)が「債券と持株」からのものだっった。

Didiは第2四半期に上場した。

地域別業績に目を向けると、Uberの事業が最も早く立ち直ったのはAPAC(アジア・太平洋)地域で、同地域の売上高は前年同期の2億1700万ドル(約240億円)から227%増加し、7億900万ドル(約780億円)に達した。次いでEMEA(欧州・中東・アフリカ)地域の成長幅が大きく、売上高は前年同期の3億5800万ドル(約390億円)から159%増の9億2900万ドル(約1020億円)となった。米国とカナダの売上高は前年同期の11億3000万ドル(約1240億円)から76%増の19億8000万ドル(約2170億円)で、南米はより控えめな44%成長だった。

関連記事
Lyftが調整後EBITDAで初の黒字を達成、事業がコロナ打撃からリバウンド

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:Uber決算発表配送

画像クレジット:JOSH EDELSON/AFP / Getty Images

原文へ

(文:Alex Wilhelm、Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。