UI解析でWebサイト改善、USERDIVEがDraper Nexusらから4億円調達

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WebサイトのUI/UX解析ツール「USERDIVE」を提供するUNCOVER TRUTHは今日、Draper Nexus Venturesをリードインベスターとして、日本ベンチャーキャピタルサイバーエージェントアコード・ベンチャーズみずほキャピタルニッセイ・キャピタルを引受先とする総額4億円の第三者割当増資を実施したことを発表した。UNCOVER TRUTHは2013年4月の設立。もともと市場調査会社のクロス・マーケティングの子会社としてスタートしていたが、今回シリーズA資金調達で連結対象から外れたかたち。UNCOVER TRUTHの石川敬三CEOはTechCrunch Japanの取材に対し、デロイトや博報堂、電通、NRIなどのコンサル・広告代理店の大手がこぞってデジタルマーケティングの領域へ進出してきているなど「ここに来て日本でもマーケットがすごく動き始めている」と、資金調達の背景を説明する。

USERDIVEはGoogle アナリティクスやAdobe Analyticsなど「Web解析市場」を主戦場としている。これら巨人のツールとの違いは、ページの改善点が分かることだという。石川CEOは「Google アナリティクスでも、どのページが悪いのかは分かります。でも、ECサイトでページ内のカートのどこをどう改善すれば良くなるかは分かりません」と説明する。USERDIVEではユーザーのマウスの動きやタップした場所、スクロールした速さや止まった位置などを元にサイト内でのユーザー行動を可視化するツールを提供している。具体的には実際のユーザー行動を可視化する動画分析、マウスの動きを可視化するマウスヒートマップ、スクロール到達率を可視化するスクロールヒートマップ、ユーザー離脱の原因解析に役立つフォーム分析などがある。

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このヒートマップのデータをECサイトが持つ利用者属性や購買データと突き合わせることで、ページ改善のヒントが得られるという。例えば購入者と非購入者というフィルターでヒートマップを見比べるような使い方。「購入者だけに絞ってみてみると、その多くが商品スペックを見ていたと分かります。ところが商品スペックが現れるページ全体の75%に至る前に来訪者の半分が離脱していたりする。つまり商品スペックをページ全体の75%より上に持ってくるべきだと分かります」。これはUNCOVER TRUTH自身の例というが、導入企業事例を見るか見ないかで法人向けプロダクトの問い合わせ率は全然違ってくる、という気付きもあるそうだ。

多くの場合こうした解析ツールは「さあどうぞ」と世に出してもユーザー側が使いこなせず、具体的改善に繋がりにくい。結局のところツールを使いこなしてPDCAサイクルを回せる担当者がいるかどうかがカギだ。大手代理店はナショナルクライアントに対して、単に解析ツールのライセンス販売を行うだけでなく、アナリスト人員を組織化してビジネスとしている。これに対してUNCOVER TRUTHの石川CEOは「ツールのみで販売していく世界を作っていかないと、グローバル展開も含めてスピードがでない。機械学習を入れてオートメーション化していく」と今後の狙いを語る。ちょうどアドテク興隆によって広告表示がデータドリブンな自動化の世界になってきているのと同様に、UNCOVER TRUTHではWebサイト解析と改善でも自動化を進めていくという。

Web解析市場でGoogle アナリティクス プレミアムやAdobe Analyticsの国内利用企業数をUNCOVER TRUTHでは700社から1000社と推計している。その市場規模はネット広告1兆円の10%、年間1000億円のポテンシャルと見込む。これまで2013年の創業から3年間で、富士フイルムやベネッセコーポレーション、ニフティなど約300社にサービスを提供。ちなみに、UNCOVER TRUTHではネイティブアプリ向けの「USERDIVE for Apps」も提供しているが、ビジネスの主体はウェブ。モバイルでもWebView(アプリ埋め込みのブラウザ)を使ったサービスが断然多いのだそうだ。

投稿者:

TechCrunch Japan

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