Ustreamの元CEOが高効率電動モーターのスタートアップLinear Labsを創業

電動モーターを開発しているLinear Labsが、Science Inc.とKindred Venturesが率いるシードラウンドで450万ドル(約5億円)を調達した。同社のモーターは、自動車やスクーター、ロボット、風力タービン、そして空調機など、さまざまな用途に使われている。

投資家のChrisおよびCrystal Sacca、Saltwater VenturesのRyan Graves、Dynamic SignalのCEO Russ Fradin、Masergyの常勤会長で元CEOのChris MacFarland、Ustreamの協同ファウンダーGyula Feherらも、このラウンドに参加した。

創業4年になる同社の創業者であるBrad Hunstable氏とFred Hunstable氏によると、彼らはこれまでよりも軽くて柔軟性のある電動モーターを発明した。彼らは世界各地の低開発国の小さなコミュニティで、きれいな水を汲み上げたり、水力発電に使うデバイスを設計しているときそのモーターを着想し、Hunstable Electric Turbine(HET)と名付けた。

Linear Labsは現在50の特許を出願しており、内21件には特許が下りて、29件はまだ審査中だ。

二人の創業者には、起業家と電気工学の経歴がある。Brad Hunstable氏は、ライブのビデオストリーミングサービスUstreamの元CEOで創業者だが、それは2016年に1億5000万ドルでIBMに売った。Fred Hunstable氏には電気工学と原子力技術の経歴があり、EbascoとWalker Engineeringで、電気のインフラストラクチャや、環境およびエンタープライズのプロジェクト、また高度な安全性評価事業の、設計とアップグレードを担当した。

同社によると、HETは状況の変化や多様な状況に適応できる複数のローターを使っている。永久磁石を使ったモーターに比べてトルク密度は2倍、電力密度は3倍ある。出力は同じサイズのモーターに比べて2倍、レンジは10%以上大きい。

HETの設計は電気自動車のようなモビリティ用途に向いている。ギアボックス不要で高いトルクを産出するからだ。そのため、電気自動車の生産コストも低くなる、と同社は主張する。

「電動モーターが長年追い続けてきた夢は、ギアボックスなしで高いトルクを生むことだ。HETはそれを、小型軽量でかつ、従来のモーターよりも効率的なパッケージで実現している」とLinear LabsのCTOであるFred Hunstable氏が声明の中で言っている。

これにより、航続距離の長い電気自動車や、より強力な電気スクーターが実現するだろう。

テキサス大学の再生エネルギーと自動車技術に関する研究所(Renewable Energy and Vehicular Technology、REVT)を創設したBabak Fahimi氏によると、「この電気モーターはエネルギーの節約と信頼性の向上、および自動車の製造コストの削減に大きく寄与する」という。

同社はこのシード資金を、自分たちの発明を顧客に広めるマーケティング活動に使いたい、と考えている。同社はまた、人材も求めているし、最近確保した新しい人びとを同社のリーダーシップチームに加えたい、としている。具体的には、John Curry氏を社長に、Jon Hurry氏をバイスプレジデントにしたい。Curry氏はこれまで、KLA-TencorやNanoPhotonicsにいた人だ。Hurry氏は、TeslaとFaraday Futureで高い地位にあった。

画像クレジット: Linear Labs

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。