UUUMが誰でも気軽に参加できるオーディションプラットフォーム「NOCHISTA」を公開

UUUM執行役員の市川義典氏

「今や個人がメディアになる時代と言ってもいいくらい、多くのファンを抱え影響力を持つ個人が増えてきた」——そう話すのは動画クリエイターやインフルエンサーのマネジメント事業を手がけるUUUMで執行役員を務める市川義典氏だ。

HIKAKINやはじめしゃちょーなど、国内でも屈指のYouTubeチャンネル登録者数を誇るクリエイターが所属することで知られる同社。現在は5800以上のYoutubeチャンネルに対するマネジメントやサポートを中心に、インフルエンサーマーケティング事業やイベント事業などを展開する。

そんなUUUMから、従来とは少し違ったオーディションプラットフォームが公開された。サービス名は「NOCHISTA (のちスタ)」。その名の通り“のちのスター”を望む個人が集まり、コンテンツを投稿し合うプラットフォームだ。

同サービスはパーティーおよびBloom&Co.とタッグを組み「のちスタ」の名称で昨年立ち上げたもの。今回サービス名をNOCHISTAに変更するとともに、機能面やデザインをアップデートする形で8月30日に新たにリリースしている。

誰でも気軽に参加できるオーディションプラットフォーム

NOCHISTAは動画や写真を投稿するSNSにオーディションの要素が組み合わさったサービスだ。インフルエンサーを本気で目指している人はもちろん、自分の特技や日常を誰かに向けて発信したい人が無料で参加し、動画や写真を投稿してコミュニケーションを楽しめる。

コミュニティを活性化する仕掛けとして、イベントやゲーム要素も導入。たとえば「流行りのオレンジメイクに関する動画を投稿してください」など様々なお題によって一定の制限を加え、初めてのユーザーでも投稿しやすくなるような設計をしている。他のユーザーからスターをもらうことで自分のレベルがどんどん上がる仕組みになっているので、楽しみながら自分の成長を実感できる点も特徴だ。

そして同サービスは“オーディションプラットフォーム”を謳っているように、オーディションと紐づいている点が既存のSNSとの最大の違いだろう。NOCHISTAではUUUM所属クリエイターへの登竜門となるオーディションイベントや、メディアとのタイアップイベント、UUUM人気クリエイター主催イベントなどを開催。受賞者には何かしらの形で世に出ていくチャンスが提供される。

開催予定のイベント。受賞者はUUUMのサポートを受けてインフルエンサーとして活動できる

「従来のオーディションは一般の人にとって敷居が高いというイメージがあった。個人が気軽に情報発信して影響力を持つような時代だからこそ、オーディションをプラットフォーム化することでより多くの人が参加できる仕組みを作りたいと思ったのがきっかけだ。TwitterやInstagramのように気軽に投稿してもらって、結果的に『実はそれがオーディションだった』くらいの感覚で使ってもらえるサービスにしたい」(市川氏)

昨年は約3600名がオーディションに参加し、そこから約20名がファイナリストに選出。協賛した企業などから何かしらの賞を受賞したクリエイターが10名ほどいて、それぞれ形は異なれど新たなチャンスを手にした。

UUUMと専属の契約を結んだ女性クリエイターも1人いて、現在彼女のYoutubeチャンネルの登録者は15万人を超えている。市川氏によると以前から他のSNSで活躍していたわけではないそうで、何気なくはじめたNOCHISTAをきっかけに多くのファンがつくようになったという。

もともと2年前にオーディションを実施した際の参加者が1000人。昨年が3600人なので1年で参加者が3倍以上になったことになる。市川氏も「3600人はなかなかいい数字。雑誌のオーディションともそこまで変わらない規模だと認識をしていて、今後も参加者は増えると思っている」と話す。

インフルエンサーに憧れる個人を応援するサービスへ

なぜインフルエンサーに興味を持つ人が急に増えてきているのか。背景にあるのはスマホの普及と、それに伴って普段接触するメディアが以前とは変わってきていることだ。

僕が子どもの頃は、家にいて暇な時間はテレビを見るか漫画を読むかで迷っていたけど、今は手元にあるスマホやパソコンから面白いコンテンツにいくらでもアクセスできる。当然接触するメディアやそこで活躍している人も違う。

「アンケートで好きなタレントを聞くとインフルエンサーの名前が上がってくることも増えてきた。なりたい職業も同様で、自分が子供の時はスポーツ選手や医者が人気だったけれど、そこにインフルエンサーがランクインしたりするような時代。若い人たちが憧れる対象も変わってきている」(市川氏)

特にここ2年ほどで一気に業界を取り巻く環境が変わってきたというのが市川氏の見解だ。それは単に世間でインフルエンサーの認知度が上がったことだけではない。市川氏によると広告主がクリエイターを見る目にも変化が起き、約2年前からナショナルクライアントが広告を出稿してくれるようになったという。UUUMが昨年マザーズに上場したことも、業界内外で大きなインパクトを与えた。

このような背景もあり、今後も次々と新たなインフルエンサーやクリエイターが生まれていきそうだ。NOCHISTAではそんな存在に憧れる個人がチャンスを掴むきっかけとなる場所を目指していくという。

「(旧版の「のちスタ」では)結果的に10万人以上のファンを抱えるクリエイターを輩出することができたので、こういう人をもっと増やしたい。本気でインフルエンサーになりたい人だけでなく、結果的になれたらいいなと思っている人でも気軽に参加でき、広く夢を叶えたい人を支えるプラットフォームを目指していく」(市川氏)

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TechCrunch Japan

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