VMwareが約2900億円でPivotalの買収を完了

VMware(ヴイエムウェア)は、重要な持ち駒を増やして今年を終える。米国時間12月30日に同社は、8月に発表した27億ドル(約2900億円)のPivotal(ピヴォタル)の買収を完了したことを発表した。この買収によりVMwareは、仮想マシンの専門プロバイダーからインフラストラクチャをその所在を問わず管理できるクラウドネィティブのベンダーへの転身を加速させるだろう。同じ目的でVMwareは最近、HeptioBitnamiの買収も完了している。

同社は買収した各社の技術が、モダンアプリケーションの開発・実行・管理を支援するKubernetesベースの環境である「VMware Tanzu」(ヴイエムウェア・タンズ)の重要な部分になることを期待している。

買収の完了を告げるブログ記事で、VMwareの執行副社長でModern Application Platforms Business Unit(モダン・アプリケーション・プラットフォーム・ビジネス・ユニット)のゼネラルマネージャーであるRay O’Farrell(レイ・オ・ファレル)氏は「VMware Tanzuは、すでにその真価を広く認められている弊社のインフラストラクチャプロダクトをベースとし、それをさらに、PivotalやHeptio、Bitnamiおよびそのほかの多くのVMwareチームがこの新たなプロダクトとサービスのポートフォリオに貢献する技術で拡張する」と語る。

Heptioの買収に伴ってVMwareに移り、今やVMwareのR&D担当副社長を務めるCraig McLuckie(クレイグ・マクルーキー)氏は、まだその買収が完了していない11月のKubeConでTechCrunchの取材に対し、プロフェッショナル向けのサービスではPivotalがいると大いに助かると述べた。

そのときの彼は「今後Pivotalと連携すれば、彼らは技術を提供するだけでなく、顧客企業のアプリケーションの革新をサポートする深い専門的知識や技能を持ち込むだろう」と説明していた。

買収の完了までPivotalはニューヨーク証券取引所に上場していたが、同社は本日をもってVMwareの完全子会社になる。しかし重要なのは、両社のこの取り引きが何もないところで突然生じたのではないことだ。それどころかVMwareとPivotalはともに、Dellが2015年に6700万ドルでEMCを買収したときの企業グループに含まれていた。両社はEMCでもDellでも、それぞれ単独で操業していた。Dellに売却されたときはPivotalが最重要と見なされ、十分に自立できる企業と思われていた。

関連記事: Pivotal CEO talks IPO and balancing life in Dell family of companies(PivotalのCEOがIPOについて語る、未訳)

PivotalとVMwareには、ほかにも強力な結びつきがある。Pivotalは最初、EMCとVMware とGEの3社が共同で創立し、GEが株の10%を持ったこともある。それは、これら3社がインフラとアプリケーションの革新を推進するためだった。

同社は17億ドルという巨額な資金を調達し、その後2018年に上場した。17億ドルが1日でやってきたわけではないが、人々を興奮させた2016年のあの日には、まさに1日で6億5000万ドルが投資された。そのラウンドをリードしたFord(フォード)は、1億8000万ドルを投じた。

現時点で未来は明るいように見えるが世間は上場企業に対して厳しく、6月の壊滅的な決算報告の後には1日で株価が42%下がった。私はTechCrunchに次のように書いたことがある。

株価は5月30日の21.44ドルという高値から8月14日の8.30ドルへと急落した。同社の時価総額は同じ期間に、58億2800万ドルから22億5700万ドルに縮小した。まさにこのときVMwareは、この悩める企業を買収することを考えていた、と認めた。

この状況でVMwareは、1株あたり15ドルを提案した。それは8月の安値に比べると相当なプレミアムだ。そして本日からPivotalはVMwareの一部になる。

関連記事:How Pivotal got bailed out by fellow Dell family member, VMware(同じDellのグループ会社だったVMwareにPivotalが救済された方法、未訳)

画像クレジット: Pivotal

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。