VMwareの経営者たちがAmazonを攻撃, でもその吠え声はうつろに響く

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VMwareは最近のAmazon Web Servicesのエンタプライズ市場進出に対して、過剰に戦々恐々しているようだ。

CRNの報道によると、VMwareのCEO Pat Gelsingerは、今週行われたあるパートナー企業のイベントで、顧客がワークロードをAmazonに移すたびに、そのパートナーはVMwareを失うだけでなく、自分のビジネスを永遠に失うのだ、と述べた:

Gelsingerはこう言った: “われわれは企業のワークロードを自分の手の中に持っていたい。それらが、あのような安っぽい日用品的なパブリッククラウドに移ってしまえば、われわれは完全に負けだ。われわれは自分たちのフランチャイズをプライベートクラウドからパブリッククラウドへ拡張し、顧客に両方の利点を提供していきたい。わが社にしか提供できない、そのようなユニークなサービスにより、企業のワークロードを今および永遠に、手中にしていたい”。

VMwareの社長でCOOのCarl Eschenbachは、ずばりこう言う:

今日この席にお集まりのみなさまは、企業世界におけるVMwareブランドの高い評価をご存じです。ですから、私たちが一致団結すれば、本を売っている会社を打ち負かせられないことは、ありえないでしょう。

これらの言葉には、破れかぶれのようなトーンがある。これらの言葉は、聴衆に、VMwareのプロダクトへの信頼を植え付けるよりもむしろ、不安をかき立てるだろう。しかもそれは、必要のない言葉であり、それに、あまりにもベタだ。

Gelsingerは、AWSのハードウェアは安物の日用品だ、とけなす。Eschenbachは、Amazonは本を売ってる会社だ、と軽蔑する。どちらも正しくない。

今ではAWSだけでなく、GoogleもRackspaceもFacebookも、日用品的なハードウェアを使っている*。安いし、ソフトウェアを動かしやすいからだ。ソフトウェアを作るのはデベロッパだ。そしてデベロッパが作っているのは、労働者たちが自分のGalaxyスマートフォンやiPadから使うアプリケーションだ。今では、ハードウェアをオープンソース化しようとする動きすらあり、OpenComputeような団体が関心を集めている。だからハードウェアは今後ますます安くなり、そしてイノベーションを加速する。今や、ハードウェアのハッカソンが行われる時代だ。〔*: 日用品的なハードウェア, Sun SPARKのような高価なサーバ専用機でなく、一般市販のx86機のこと。〕

消費者向けアプリケーションには日用品的ハードウェアが最適、という説がこれからは一般化するだろう。アプリケーション/アプリは、職場にも家庭にも、どこにでも転がっている。職場と家庭の境界も、曖昧になる。安いハードウェアが市場を支配するのも、当然だ。

Eschenbachの発言は、良く言っても陰険だ。今のAmazonは、本も売っているデータ企業だ。本のほかに、コンピューティングパワーとストレージとハイパフォーマンスコンピューティングのためのサービスも売っている。Hadoopのジョブやデータウェアハウスの能力も売っている。

私が話をしたVMwareの社員は、パートナーイベントではあのようなレトリックがふつうにある、と言った。でも、VMwareがなぜ、AWSの悪口を言うのか? 最近のVMwareは、おかしくなってしまったのか?

要するに、問題はコストだと思う。VMwareは、ライセンス料が高い。エンドユーザのコストを下げられるための、マルチテナントインフラがない。AWSは薄利多売型だから、たくさん安く売ることによって稼ぐ。

また、エンドユーザ側の選択の幅も問題だ。VMwareには、AWSが提供しているような各種サービスの深さがない。だから、その高料金を正当化できる根拠も実はない。

GelsingerらVMwareの経営陣がAWSをいくらけなしても、彼らの真の脅威は新世代のクラウドインフラストラクチャからやってくる。それは、ときにクラウド、ときにデータセンターでもあるようなインフラだ。OpenStackとCloudstackにはそのエネルギーと、新しいクラウドの活気がある。それが、エンドユーザ企業の新しい仕事のやり方にアピールする。ForresterのアナリストJames Statenが、いみじくも書いている:

平均的な企業のvSphere環境は、その企業のI&OチームがvCloud Directorを採用している場合でも、セルフサービスではない。それは、完全に構成された環境への迅速なアクセスを提供しない。それはChefのスクリプトを扱えないし、費用的にも、Visaカードで5ドルといった大衆的な大量トランザクションには向いていない。VMwareと企業のvSphereアドミニストレータが、新しいエンタプライズソフトウェアをつかまえるためには、彼らは考え方を変えて、ラジカルで企業文化的には困難なシフト、すなわちインフラストラクチャ管理からサービスのデリバリへのシフトを達成する必要がある。クラウドを悪者視するのではなく、クラウドから学ぶのだ。

パブリッククラウドの敵視は、vSphereアドミニストレータの立場を強くするだけであり、最前線のデベロッパにアピールしたいのなら、そのような敵視は間違いだ。vSphereをそのまま(プライベート)クラウドに乗せて、コスト構造に透明性がないまま、ワークロードのデプロイやヘルプデスクからのリクエストへの対応に二日もかかっているようでは、毎日々々、パブリッククラウドに負けることになる。

VMwareは今、ソフトウェア定義データセンターに注力して他社との差別化を図ろうとしている。VMwareの経営陣は、その取り組みをプレゼンすべきであり、AWSとそのエンタプライズ進出に対する不安をさらけ出すのは得策とは言えない。

しかしもっと重要なのは、VMwareが新しいクラウドに合わせる努力だ。空しい閧(とき)の声は、VMwareの深い弱点を表しているだけであり、AWSなどの新勢力は、その弱みに乗じ続けるのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))