VRを利用した3D建築モデルのInsiteVRがシードラウンドで150万ドルを調達

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今のところ、VR分野で資金を順調に調達している企業の多くはエンターテイメント分野の企業だ。企業向けサービスにVRを利用する企業にはあまり注目が集まっていないことだろう。

VRを利用した3D建築モデルのInsiteVRが150万ドルのシード資金を調達したことを発表した。VRを活用することで施工前の建築プロジェクトの完成後のイメージを顧客に体験してもらうというサービスを展開している。本ラウンドにはY CombinatorCyberAgent Ventures、GREE VR Fund、PlanGridのTracy YoungとRalph Gootee 、Greg Castle、Rothenberg Venturesが参加している。

非エンターテイメント分野でのVRの活用法となると、VRを利用してバーチャルな建物の中を歩いているかのような体験を提供するという事例が出てくることが多い。不動産業界でこの試みをするスタートアップは多いなか、それを建築業界のワークフローやプレゼンテーションに適用するという例は少ない。

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InsiteVRが展開するサービスは、VRを使って顧客をCADファイルの中に「入り込ませる」ことで、現実により近い形で建物の完成図を体験してもらうというものだ。建築業者が建物の3DモデルをInsiteVRのサービスにアップロードすることで、Gear VR、Oculus Rift、HTC ViveなどのVRヘッドセットを通して仮想現実空間に再現された建物の完成イメージを体験することができる。「非対称VRプレゼンテーション」と呼ばれるInsiteVRのサービスでは、複数のVRユーザーが同じコンテンツを同時に体験することができ、パソコンを使ってユーザーを色々な場所へと誘導していくことが可能だ。

同社の前身は、2014 TechCrunch Disrupt NY Hackathonの優勝者であるVrbanだ。その後、創業者のAngel Sayは彼の大学時代のルームメイトであるRussel Varrialeとタッグを組むことになる。そして、二人の創業者は2015年冬に開催されたY Combinatorのアクセラレーター・プログラムに参加し、InsiteVRを創業した。1年半という時間があっという間に過ぎ去り、同社のVRソフトウェアはこれまでに4000以上のプロジェクトで利用され、2500件以上の建築モデルがInsiteVRのサービスを使って仮想現実化されている。特筆すべきInsiteVRの導入事例として、Unityのサンフランシスコ本社や、ローリーにあるMicrosoftのオフィス、フィラデルフィアの30th St.駅の改築工事などが挙げられる。

今後、「建物のバーチャル体験」という分野に参入するスタートアップは確実に増えてくるだろう。しかし、特定の業界に存在する顧客のニーズにフォーカスすることで、他社のどのプロダクトよりも顧客のニーズにフィットしたプロダクトを開発することが可能だとSayとVarrialeは話す。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Twitter /Facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

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