Webアプリケーションのヴィジュアルな構築からプログラミングに入門するEveが$2.3Mを調達

テク業界の誰もが、プログラミングを取っ付き易いものにしようと努力しているようだが、これまで登場したそれらの取り組みの多くは、既存の言語にあるコンセプトの組み換えだったり、プログラマが日常的に使用している論理の要約だったりして、実際にソフトウェアを作ることのできるスキルには、縁遠いものが多かった。

EveのファウンダChris Grangerは、そんな状況を変えたいと願っている。MicrosoftのVisual Studioのチームでプロダクトマネージャだった彼は、2012年に新しいIDEを作る資金をKickstarterに求め、しかもそこで30万ドルあまりを集めたという、稀有な人物だ(プログラミング環境製品でクラウドファンディングして数十万ドルを集めたのはたぶん彼一人だろう)。彼はこれまで、プログラミングが簡単にできると称するツールをいろいろ見てきたが、しかし、彼自身の前の作品ですら、“既存のプログラマの生産性を高めるけど、記号だらけのテキストファイルを何年も見つめたことのない人たちに、プログラミングの門戸を開くものではなかった”。

EveでGrangerは、目標のバーの高さを上げた。彼が構想しているのはExcelみたいなWebアプリケーションで、インタフェイスをお絵かきしたり、データの入ったボックスをドラッグしてロジックを指定する、という方法で誰もがソフトウェアを作れるツールだ。そのアプリケーションは、友だちなどにリンクを与えるだけで共有できる。そのツールの楽屋裏では、いろんなAPIを提供するサービスに接続しているから、Eveで作ったアプリケーションはFacebookやTwitter、Google Mapsなどなどと自然に統合できる。それは、プロのプログラマがWebアプリケーションを作るために使っているIDEとおんなじだ。Grangerは曰く、2015年の早い時期にデビューできると思うけど、“ふつうの人がKickstarterのような複雑なサイトを作れる”ツールになる、という。

Eveは、初心者だけでなく、プロのプログラマでも十分に使える。足りないものがあったら、JavaScriptで必要なファンクションを書けばよい(EveもJavaScriptで書かれている)。そのファンクションはほかの人たちと共有できるし、いろんなグリッドを並べてアプリケーションを作る。ファンクションやアプリケーションを共有し、ディスカッションもできるような、GitHub的なソーシャルなプラットホームを、作る予定だ。

Eveのマネタイズはどうするのか。Grangerのプランでは、開発プラットホーム本体はオープンソースにしてユーザのサーバの上でも使えるようにするが、コラボレーションやバージョニング(バージョン管理)、ホスティング、コンピュテーション(計算処理のための計算機利用)などは有料化する。

すでの数社の大物投資家がEveを支えている。最近の230万ドルのシード資金は、Andreessen HorowitzのパートナーChris DixonとY Combinatorの社長Sam Altman、Google検索の個人化を担当したSep Kamvarらが提供した。Eveには、Grangerのほかに協同ファウンダがあと二人いる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


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TechCrunch Japan

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