Web上の情報を活用したAI与信管理サービス「アラームボックス」が1億円を調達

インターネット上の情報を活用したAI与信管理サービス「アラームボックス」を提供するアラームボックスは4月20日、ナントCVC(ベンチャーラボインベストメントと南都銀行が共同で設立)、GMOペイメントゲートウェイ、西武しんきんキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、池田泉州キャピタルを引受先とする第三者割当増資により、総額1億円を調達したことを明らかにした。

南都銀行とは事業提携契約も締結し、関西圏の地域企業へアラームボックスの提供を進めていくという。アラームボックスは2016年6月の創業。2017年2月にみずほキャピタル、KLab Venture Partners、デジタルハリウッドらから、同年8月にも日本ベンチャーキャピタルらから資金調達を実施している。

アラームボックスはSNSや口コミサイト、ブログやニュースメディアなどオンライン上にあるデータを活用した与信管理サービスだ。取引先を登録しておけば、リスクや状況の変化を自動で収集・通知する。たとえばネガティブな口コミ、評価ランクの急降下、行政処分といった出来事を自分に変わって収集し、知らせてくれるというわけだ。

2017年2月のリリースから約1年が経ち、現在約700社が導入。半数以上は東京以外の地域の企業であり、3分の2以上が年商10億円未満の中小企業だという。

「新規の取引をする際に与信調査をすることはあっても、取引先のモニタリング(継続調査)までは手が回っていない中小企業も多い。そのような課題に対して、待っているだけでいろいろな情報が集まってくるサービスとして始めた。この1年間で想定していたニーズがあると確認できたので、事業を加速させるべく資金調達を実施した」(アラームボックス代表取締役の武田浩和氏)

リリース時は機械学習やAIを実装できていなかったため、信用リスクを判断するための独自アルゴリズムをベースに、知見のあるプロが人力で判定をしていた。現在はWeb上でクローリングした情報の5割ほどは機械学習で処理できるようになっていて、残りの5割をプロが審査している状況だ。「今後は9割をAIでカバーできるようにしたい」(武田氏)という。この1年で精度も向上し、継続率は98%だそうだ。

料金は登録者数が1社までの無料プランをはじめ、登録者数ごとに複数のプランを提供している。

2018年1月にはセールスフォースが提供する「AppExchange」でアラームボックスの提供を開始。Salesforce上の取引先データと連携することで、取引先のアラーム情報をリアルタイムで確認できるようになった。

武田氏の話では今回調達した資金をもとに組織体制の強化やプロダクトの改良を進めつつ、今後も外部サービスや各地の銀行との連携を積極的に進める方針。

たとえばクラウド会計ソフトやクラウド請求書など企業の与信情報を持つサービスとAPI連携することで、より使い勝手のいいサービスを目指すという。また地方の中小企業から問い合わせが多いこともあり、地方銀行との事業連携を推進。積極的に中小企業へのアプローチしていく。

 

投稿者:

TechCrunch Japan

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