WhatsAppが送信7日後にメッセージが消える新機能をグローバルで導入

Facebook(フェイスブック)はこのほど、WhatsApp(ワッツアップ)の1日あたりのメッセージ送信が1000億件というマイルストーンを達成したと発表した。だが、そうしたチャットが永遠に残って欲しいとは誰も思っていない。そこでユーザー20億人を擁するWhatsAppは、ユーザーがアプリ内の自分たちの言葉やメッセージをこれまで以上にコントロールできる新機能を提供する。米国時間11月5日から、写真やビデオを含め、メッセージが送信7日後に消えるように設定することができる。

消えるメッセージの機能は11月5日から世界中のAndroidとiOSで展開される、とWhatsAppは説明した。さしあたって7日という期間で始めるが、すでに期間の長短を検討しているという。

「ユーザーがこの機能をいかに活用するか、好んで使うか、今後手を加えた方がいいかどうか、フィードバックに注目します」と広報担当は述べた。「当面は7日間という設定です。国境を越えたやりとりに必要な利便性と、永遠に残って欲しくないという気持ちの間で7日間というのはバランスがとれていると思われるからです」。

明確にしておくと、メッセージは既読、未読に関わらず7日間の制限がある(メッセージが消える機能は、Telegramなど他のアプリと同様、メッセージが送信されたときにタイマーが動き出しカウントダウンが始まる)。

「現在は、送信して7日後にメッセージが消えるという安心感をメッセージの送り主に与えるようにデザインされています。メッセージは常に見られるというものではなく、消える運命にあります。なので既読、未読にかかわらずメッセージは消えます」と広報担当は話した。

ユーザーはこの機能をダイレクトメッセージで利用できる。しかしグループメッセージでこの機能を利用するには、管理者が選択する必要がある。

ただし、この機能については目の鋭いWhatsAppウォッチャーが数日前に同社のFAQで発見しており、本日は「正式な」発表だった。また、この機能のテストは2020年3月から始まっていた。

コンテンツが消えるという機能を、WhatsAppが提供するのはこれが初めてではない。

2017年に同社は、StatusというSnapchat(スナップチャット)のStories機能の暗号化されたコピーバージョンの立ち上げ構想に着手した。Statusでは、ユーザーは自身についてのアップデートをテキストそして(あるいは)GIFを使って設定でき、それを連絡先に登録している人たちが「プロフィール」として24時間見られるようにするというものだ。このStatusはチャットとは別にアプリ内のタブに表示される。

Status機能がこのところどれくらい人気があるのか明らかではなく、筆者はWhatsAppに問い合わせている。聞いたところによると、若い世代の人がFacebook(フェイスブック)あるいはSnapchat上のステータスアップデート作業を簡素化したものとしてStatus機能をかなり使っていて、年配のユーザーはそれほど利用していないようだ。

WhatsAppは、期間限定でしか存在しないという機能を幅広くチャットで使えるようにするのにこんなにも時間がかかった理由の1つは、部分的にアプリの暗号要素のためだと述べた。

「(エンド・ツー・エンドの暗号が)この機能を埋め込むのに時間がかかった理由の1つです。WhatsAppユーザーが当然だと認識し、また好むエンド・ツー・エンドの機能を保持したかったからです」と広報担当は説明した。

しかし、とにかく時間がかかった。

一時性は、メッセージにおいて近年最も斬新で人気のある機能だ。最初に登場してから10年近く経つ。暴走性があるためにこの機能の定義を巡っては議論が展開されたが、Snapchatは口コミでかなり人気となった。そのため、この機能のクローンが、何よりもプライバシーにフォーカスしているSignal(シグナル)やTelegram(テレグラム)、よりカジュアルな消費者をターゲットとしているWhatsAppのようなものに至るまで、多くのアプリに登場した。

もしかするとフェイスブックは、傘下の他のアプリでの展開も視野に入れているかもしれない。2020年初め、同社はInstagram(インスタグラム)で消えるメッセージをテストした。いまは正式に提供されている。Messenger(メッセンジャー)においては、消えるテキストの直近のテストは2015年から始まっていたが、送り主がメッセージ残存時間をコントロールできる「secret(シークレット)」メッセージ機能が2016年から展開されている(未訳記事)。しかしこれはメインのメッセージエクスペリエンスに盛り込まれた機能とまったく同じではない。

新たな消えるメッセージ機能は、ユーザーにより多くのコントロールを提供するという一般的な目的の助けを借りて他の注目すべき機能が追加される中で導入される。

今週はじめ、WhatsAppはアプリ内でストレージ機能を提供すると発表した。これは、ユーザーが送られてきた写真や他のメディアをどのように、そしてどこに収納するかをコントロールする簡単な方法だ。友達や知り合いから送られてきた無邪気なGIFや写真、ビデオでストレージが圧迫されているアクティブユーザーにとって特に重宝する機能だ。

と同時に、WhatsAppは事業者向けのサービスも強化し、課金するビジネスモデルもテストしてきた。このモデルでは広告を表示しないことを約束している。フェイスブックが何年も機能にさほど変更を加えていないことを考えると、我々が目にしているWhatsAppの機能の充実推進は目を見張るものがある。フェイスブックの場合、どのように乱用されるかをめぐって一連の論争に直面したアプリとして不利益を被ったため、変更に積極的ではなかったのだろう。

ストレージの変更で、新しく導入される消えるメッセージ機能はデフォルトで使えるようにはならないかもしれない。利用するには設定を変える必要がある。

関連記事:WhatsAppの1日のメッセージ数がおおよそ1000億通に

カテゴリー:ネットサービス
タグ:WhatsAppFacebook

原文へ

(翻訳:Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。