Windows 8.1の詳細明らかに―スタートボタンは復活するが、メニューはなし

Windows 8.1はプレビュー版が6月26日からダウンロード可能になる。このアップデートではデスクトップ・モードでスタートボタンが復活した。モダンUI(Metro)が嫌いなユーザーは直接デスクトップ・モードで起動できるようになった。スタートボタンの復活は相当前から噂されていたが、Windowsプログラム管理担当コーポレート副社長のAntoine Leblondが、今朝(米国時間5/30)、 公式ブログの記事でこのことを正式発表した。

スタートボタンを廃止したことでMicrosoftに向けられた轟々たる非難を考えればスタートボタンが復活したのは意外ではない。Microsoftはタッチスクリーンが今頃はメインストリームになっていると考えてスタートボタンを廃止したのだろう。Leblondはタッチスクリーンを備えていないデバイスが「依然としてかなり多い」ことを認めた。これは控え目に過ぎる表現であることは言うまでもない。現在ほとんどのWindowsPCはタッチスクリーンではない。

そこでスタートボタンの復活に加えて、Microsoftはマウスとキーボードを利用するユーザーのためにいくつかの新機能を提供することにした。これらの機能はデフォールトで有効になっているが、必要がないと思うユーザーは無効にすることができる。

Leblondのブログ記事には記載がなかったが、われわれが取材したところ、Microsoftの担当者はいくつかの点を確認した。まずフルスクリーンのスタートメニューを経由せず、直接デスクトップを起動することができる。逆にモダンUIを直接起動することもできる。この場合はアプリのリストビューがデフォールトとなる。

スタートボタンは復活、ただしメニューはなし

多くのユーザーが知りたがっていたのは、スタートボタンが実際どういう機能を持っているかだった。この点ではおそらく失望の声が出るだろう。というのはスタートボタンをクリックすると通常のスタート画面が表示されるだけだからだ。Windows7以前のようなポップアップ・メニューは表示されない。

ユーザーはスタート画面をカスタマイズして(これもWindows 8.1の新しい機能だが)、通常のタイル・ビューの代わりにアプリ・リストビューを表示させるようにできる。このリストビューから全てのアプリをワンクリックで起動できる。

マウスを画面左下隅に動かすと現れるスタートチップも、現在のモダンUIのスタート画面のデザインから通常のWindowsロゴに変更された。

スナップ・ビューとマルチスクリーン・サポートの改良

Microsoftがユーザーに譲歩した点は他にもある。ひとつは複数のMetro/Windowsストア・アプリの動作方法だ。現在は2種類のアプリしか同時に作動させることができない。一方のアプリがメインとなって画面の5分の4を占め、もう一方は5分の1の面積に小さく表示される。これがWindows8.1では2つのアプリの表示割合を自由に変えられるようになった。またひとつのスクリーンで同時に表示できるアプリの数も2から3に増えた。

またマルチスクリーンの使い勝手も改善される。現在はマルチスクリーンを装備したシステムでも、 Windowsストア・アプリを実行できるのはたった一つのスクリーンに限られているが、この制限も緩められるようだ。

検索チャームにBingとSkyDriveの検索結果が含まれる

もう一つMicrosoftが改善したのが検索だ。LeblondによるとWindows 8.1の検索チャームではBing、アプリ、ローカル・ファイル、SkyDriveのファイルの横断検索結果が表示される。ウェブの検索結果に例えばWikipediaのリンクが含まれていた場合、Windowsに記事を読み上げさせることができるという。また検索結果画面から音楽を直接再生できる。検索分野ではこれ以外にも未発表の新機能があるらしい。

IE11

Windows 8.1ではInternet Explorerが11にアップデートされる。Leblondによればタッチ機能が改良されページ読み込みも高速化されているとい。また開いているタブを複数のWindows 8.1デバイス間で同期できるようになった。

その他新機能:SkyDriveへの保存、スマート・ロック画面、カスタマイズの多様化

Windows 8.1には現在まだ秘密されているサプライズを含めてさまざまな新機能が提供される。中でも別途アプリをインストール必要なしにSkyDriveにファイルを保存できる機能はセールスポイントだろう。

この他にも数多くのマイナーな改良が加えられている。たとえばロックスクリーンからログインせずに直接Skypeの着信に応答することができるようになった。またスタート画面の背景画像をユーザーが自由に選べるようになった。

方向は正しい

全体として今回のWindows 8.1アップデートでMicrosoftは正しい方向に一歩進んだといえるだろう。いろいろな面で使いやすさが向上している。また当初のあからさまなデザイン上の欠点が修正されているのも好ましい。

Leblondは「Microsoftはユーザーの声に耳を傾ける」としながらも、タッチスクリーンを第一とする方針に変更はないと強調した。だが現実にはWindows8.1のユーザーの多くはMicrosoftのこのビジョンを共有するには至っていないと思う。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


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TechCrunch Japan

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