World Viewの新型気球、成層圏で27時間滞空に成功――地表観測、有人飛行などに活用へ

World Viewは成層圏を飛行するStratollite気球を開発しているスタートアップだ。同社は先週末の実験で成層圏上層に気球を27時間滞空させるという新記録を樹立した。成層圏で1昼夜以上にわたって気球を制御下においての飛行に成功したのはこれが最初だ。

これはWorld Viewにとって大きな一歩だ。同社はStratollites気球を一週間以上、最終的には数ヶ月にわたって成層圏に滞空させたい考えだ(TechCrunchでは今年2月、アリゾナのWorld View本社を取材した)。同社は気球に高精細度のカメラなどのセンサーを搭載し、地表の状況を詳細にモニターするなどのミッションを考えている。成層圏気球は特定の軌道に制約されず、また衛星打ち上げにはともなう莫大な費用負担がない。

ただしStratollitesと呼ばれる成層圏気球が機能するためには大きな環境変化に耐える必要がある。特に成層圏上層では昼夜の温度差などの変化はきわめて厳しいものがある。先週の実験の成功でWorld Viewの気球は成層圏の環境変化に耐える可能性があることを示すことができた。また成層圏気球として始めて高度制御にも成功した。

World Viewのビジネスモデルにとって今回の成功は大きな意義がある。同社では最終的に気球による成層圏の有人飛行を計画している。これは気球に吊り下げられたVoyagerカプセルにより宇宙との縁となる大気圏最上層を飛行するというものだ。下のビデオでWorld View取材時のもようをご覧いただきたい。

〔日本版〕World Viewでは高度をコントロールすることで互いに異なる方向に吹くジェット気流を利用して一定の場所の上空に留まるテクノロジーを開発している。また成層圏有人飛行が実現した場合、1人7万5000ドルで観光飛行も計画しているという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+