Wright Electric、電動旅客機ビジネスに参入宣言

燃料は航空会社最大のコストだ。コスト削減の近道?燃料を一切使わないこと。それがWright Electricの売り口上だ。Wright Electricは商用旅客機のスタートアップで、300マイル(480km)以内をバッテリーで飛ぶ飛行機を作っている。こうした単距離フライトは、260億ドルの航空市場の30%を占めている。

今日(米国時間3/21)Wright Electicは、Y Combinatorのデモデーで初めて世界に向けてプレビューを披露した。シリコンバレーでもっとも栄誉あるスタートアップ・アクセラレータが投資家の前で新しい会社を紹介するイベントだ。Wright Electricは、乗客150人を乗せる飛行機を作って737市場を破壊すると宣言した。設計した飛行機は英国の格安航空会社、EasyJetと提携して空に送り出す。デモでは自社製の電動飛行機も駐車場で披露した。

「これは私が見てきた中で最高レベルのハードウェア技術チームだ」とY Combinatorのアクセラレータ・プログラム責任者、Michael Seibelは言う。Wright Electricは、かつてNASAが電動飛行機の可能性を探るために資金提供したチームを雇った。おかげでライバルの何年か先を行くことができた、と共同ファウンダーのJeff Englerは言った。

Y Combinatorのデモデーで発表するWright Electricの共同ファウンダー、Jeff Engler。

この飛行機が実際に動く方式はバッテリー技術の進歩に依存している。今後10年でバッテリーが急速に進歩すれば、完全電動方式にするが、そうならなければChevy Voltに似たハイブリッドシステムを採用する。昨年ボーイングとエアバスは、737スタイルの航空機を合計967機、1機平均9000万ドルで売った。この市場のごくわずかな部分を置き換えるだけでも巨大なチャンスだ。

現時点では、世界を横断する長距離フライトにはまだ燃料が必要だ。しかしWright Electricのテクノロジーを使えば、ニューヨークからワシントンDCなどの単距離をもっと安く、充電に使う電気の出どころによってはもっと環境にやさしく飛べるようになる可能性がある。

Wright Electricは生まれてからわずか1年なので、実際に飛ばすまでの道のりは長い。上の画像はモックアップだ。しかし世界中の航空会社がコスト削減とライバルとの差別化に必死になっている今、もし離陸できれば空高く飛んでいける可能性はある。

Ryan Lawlerが執筆を一部担当した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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