XPRIZEと全日空が各種エキスパートのアバター(分身)を遠隔危険地へ送り込む技術で$10Mの懸賞を企画

イノベーション懸賞財団XPRIZEが今日(米国時間3/12)、日本の航空会社All Nippon Airways(全日本空輸, 全日空, ANA)と提携して、賞金総額1000万ドルの懸賞を行う、と発表した。

XPRIZEのファウンダーで財団の理事長であるPeter Diamandisによると、ANAが懸賞のテーマとして関心を持っているのは、“旅の再発明”というコンセプトだ。つまり、状況によっては、物理的に旅行をしなくても/できなくても旅を体験できるテクノロジーに、賞金が提供される。

すなわちそれは、わざわざ飛行機に乗らなくても、ゴーグルとイヤホンと触覚スーツを身につけた状態で地球上のどこかにいる人型ロボットに接続すれば、そのロボットの器官を介してそこの人びとや環境と対話できる、というシステムだ。

DiamandisがFukushimaを例に挙げながら言うのは、このような遠隔仮想体験技術はとくに災害時に役に立つ、ということだ。つまりそれは、救助や医療などのエキスパートがいても、遠すぎたり危険すぎたりして現地に行けないケースだ。“一刻を争うような場合は、エキスパートの感知能力や技能そのものを送信したい。その本物のエキスパートは地球上のどこにいてもよい、という状態になったら、すばらしい未来が訪れるだろう”。

そんなロボットと接続してそれらをコントロールできるためには、良質なインターネット接続が必要だ。しかしDiamondisによると、5Gのインフラストラクチャがグローバルに展開したら、それは問題ではなくなる。

応募の締め切りは今年の10月31日で、賞金800万ドルの優勝作品が決まるのは2021年10月だ。それまでに、賞金額100万ドルの中間賞が二度ある。募集は全世界からで、国籍等を問わない。また同財団が定めた懸賞のガイドラインに対しても、フィードバックを受け付ける。

ANAはこの懸賞のスポンサーだが、発明の知財の権利は受賞者に帰属する。全日空にとっての利益は、この新しい技術への“最前列席”を得ることだ。

“今回のように、企業自身が自ら進んでディスラプト(創造的破壊)を求めることは、非常に珍しい”、とDiamandisは述べる。“それは、もっとも進歩的で成熟した思考形式のひとつだ”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

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TechCrunch Japan

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