Yコン出身のPicnic Healthは、200万ドルの資金で、患者が自身の医療記録を保存するプラットフォームを構築する

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PicnicHealthは、昨年の夏にY Combinatorからローンチした。PicnicHealthは、慢性的な病を抱える患者が、これまでに受診したすべての医師たちによる、すべての診療記録の情報に1箇所に集め、簡単にアクセスできるオンラインプロフィールを提供している。このスタートアップは、200万ドルの資金調達を行い、サービスを拡張するため新たにチームメンバーを雇用する予定だ。

彼らには、複数のVC企業やエンジェル投資家が出資した。Social+CaptialGreat Oaks, Slow Ventures、 YCのパートナーである Paul Buchheit、 Scott Marlette、 Sam Lessin、 Joe Greenstein、 Rashmi Sinha、 Jameson Shu、 Kenny Van Zant、 Rishi Kacker、 Ramji Srinivasan、 Eric Evans とスタンフォード大学の StartX Fundだ。

シード段階での投資で個人投資家が名を連ねていることから、ITヘルスケア市場が拓かれることへの期待が高いことが窺える。 PicnicHealth同様、患者の情報を取り扱うIT企業には、TrueVaultAptibleなどがある。ただ、これらの企業は患者が主体的に使うサービスというよりも、医療従事者にいかに患者の情報を安全に届けるかということにフォーカスしている。

PicnicHealthの共同ファウンダーであるNoga Levinerによると、患者、特に慢性的な疾患を抱えている人は自身の医療記録が頻繁に必要になるそうだ。彼女は数年前にクローン病と診断されてから、このことを身を持って体験した。

「深刻な病気と診断された後、感情面、そして身体面で起きる変化に対応しなければなりませんが、それは病のほんの始まりに過ぎません」とNogaは言った。「それを乗り越えたら、患者は自身が受ける医療について考えなければなりません。つまり、自身の増え続ける医療記録を収集し、整理して、適切に使うことが求められるのです」。

One Medical のAileen Kuscera医師は、今までのプロセスは時代に合っていないと強調した。「これらは個人情報であり、HIPAA(米国における医療保険の携行性と責任に関する法律)コンプライアンスの問題がつきまといます。全てをウェブに記憶しておくことは難しいことではあります」と言った。

One Medicalではオンラインを活用している。例えば、患者には臨床結果や検査結果などをメールで通知している。しかし、ほかの組織ではまだ紙やCDに情報を保存しているところも多い。「CDデータをどのようにパソコンで再生するかも私は知りません。それではその情報にアクセスできないのです」とKusceraは私たちに話した。

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PicnicHealthは、患者にとって重荷になる作業を代行することで課題を解決する。患者は、各医療機関に自身の医療記録の取得する許可をPicnicHealthに出す。PicnicHealthはそれを元に、紙やCDなどに保存されたデータを収集し、患者個人のオンラインデータベースに情報を追加する。患者はどこからでもその情報にアクセスすることができるようになるという仕組みだ。

PicnicHealthは、今回得た資金で、エンジニアの採用とCDや紙媒体、あるいは他の取り出すのが難しいデジタルファイルから情報を得る一連のサービスの工程を増強する予定だ。また、がんや嚢胞性線維症といった特定の病に特化したアカウントの追加も検討している。

資金のいくらかは、マーケティングと既存のプラットフォームの改善にも使用される予定だ。PicnicHealthは、現在月額39ドルで利用することができる。また今後無料で使用できる機能もいくつか準備し、全ての患者が自身の医療記録へのアクセスできる環境を整えていく計画だ。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ facebook

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TechCrunch Japan

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