Y Combinatorが投資規模を拡大、育成対象スタートアップ1社につき約5760万円提供へ

スタートアップアクセラレーターのY Combinator(YC、Yコンビネータ)は米国時間1月10日朝、プログラム条件を更新し、参加企業により多くの現金総額を提供することを発表した。同グループはこれから、バッチに参加するスタートアップに50万ドル(約5760万円)を投資していく。

この資金は、2つの異なる形態で提供される。1つ目は、よく知られているY Combinatorの株式取引で、YCはスタートアップに12万5000ドル(約1440万円)を出資し、スタートアップ企業は7%のエクイティをYCへ付与する。これに加えて「最恵国待遇(MFN、Most Favored Nation)」の条項が付いた上限なしのSAFEで37万5000ドル(約4320万円)を提供する予定だ。

「上限なし」とは、37万5000ドルのSAFEが株式に転換される際の上限価格が設定されていないことを意味し「最恵国待遇」という文言は、後に株式に転換された際に、Y Combinatorが他の投資家と同様に有利な条件を得られることを保証するものだ。

Y Combinatorがスタートアップ企業により多くの資金を提供していくという発表は驚くべきことではない。むしろ、同グループがその条件を更新するのにこれほど時間がかかったことの方が大きな驚きだ。それでも、50万ドル(約5760万円)という金額は、プレシードやシードステージの投資市場が近年向かってきた方向、即ちより大きな金額をより高い価格で投資する傾向に沿ったものだといえる。

この条件変更によって、アクセラレーター自体が投資先企業のアップサイドを維持することが少なくなるわけではない。それどころか、Y Combinatorの条件が更新されたことで、Y Combinatorの門をくぐった企業への伝統的な出資の代わりにというわけではなく、それに加えてより多くの資本を提供することになり、防御的な意味合いが強くなったといえるだろう。これでYCは、初期の株式投資を歴史的に有利な価格帯で実施しながらも、より大きな小切手で優秀なアーリーステージのスタートアップを集めることができるかもしれない。

Y Combinatorは、スタートアップ市場の進化に合わせて組織としてのあり方を変えてきた。対面式の仕事を重視していたY Combinatorは、パンデミックの際にはリモートになった。その結果、TechCrunchの計算によると、他の国や市場から参加するスタートアップが増えた。また、リモートでのデモデイを行うようになった。サンフランシスコからクルマで移動して、イスの数が足りない大きな部屋に行く必要がなくなったことをTechCrunchでも感謝している。

Y Combinatorの更新された条件に、ライバルのアクセラレーターがどのように反応するのか、もし変化があるとすれば興味深いところだ。

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Aya Nakazato)

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TechCrunch Japan

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