Y Combinatorデモデイ登壇120社を全部まるっとご紹介(Day1前編)

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「伝統的なソフトウェア分野に属さないスタートアップが、これまでよりかなり多いことに気が付くことでしょう」。Y CombinatorのWinter 2016 Demo Day (訳注:3月22日、23日の2日間)の開催に際し、会長のSam Altmanはこう話した。かつてのYCは、誰からも必要とされないソーシャルアプリや、マーケットプレイスのアプリばかりを支援していると考えられていた。しかし、現在ではシリコンバレー随一のアクセラレーターとなったYCの投資先は多岐にわたり、数多くのハードウェア、エンジニアリング、代替エネルギー分野のスタートアップに投資している。

訳注:これはシリコンバレーで随一のアクセラレーターとして知られるY Combinatorが年に2度行うデモデイを紹介する記事の翻訳記事です。Day1、Day2でそれぞれ約60社のスタートアップ企業が登壇していて、以下の4本の翻訳記事で30社ずつ紹介しています。この記事はDay1の前編です。関連記事は以下の通りです。

元インテルCEOであり、皆に愛されるビジネスメンターでもあった故Andy Grove氏と、その日の朝にブリュッセルで起きたテロ攻撃の犠牲者に捧げる黙とうと共に、Demo Dayが開幕した。

Demo Dayの会場が、ここまで満員になるとは誰もが予想をしていなかったのだろう。イスの数が足りず、世界中からやってきた億万長者たちは床に座り、次から次へと表れては自社スタッフを自慢げに紹介するスタートアップたちに目を凝らしていた。そのほとんどが、初登場だった。

Y Combinator President Sam Altman

Y Combinator代表 サム・アルトマン

今回の最大のテーマは収益性だ。過去に登場したスタートアップは、成長性を強調する一方で、収益性を軽視する傾向があった。「小さく振りかぶりすぎではないか」、「再投資を十分にしていないのではないか」と思われるのを避けるためだ。しかし経済が調整局面を迎え、事業成功のために際限のない継続投資を必要とせず、より早く持続可能状態にシフトできるスタートアップが求められるようになった。そのため今日登場したスタートアップの多くは、「すでに収益性を兼ね備えている」、もしくは「数カ月以内には収益を出せる状態になる」と主張していた。「事業拡大のために、資金に頼る必要がないマーケットだ」と話すものもいた。

それでも、即座に投資に踏み切ったアグレッシブなVCがいたことをうけて、Altmanはスタートアップへの投資は例年にもまして「よりホットだった」と語る。彼によれば、スタートアップへの投資の冷え込みを予測したYCは昨年、スタートアップに対して「調達額は抑えて、より早く収益を出せる状態にするように」と言っていたという。しかし、現状ではその理念は全スタートアップに「まだ浸透していない」が、次のDemo Dayまでにはそうしたいと彼は考える。また、自動運転技術のCruiseが10億ドルで買収されたことが、投資家の「ハードテック」に対する関心を高めているとも語った。

今日、全部で63社のスタートアップが産声をあげた。ただし、そのうち3社は事前に「オフレコで」との要望があった。(彼らがメディアに取り上げられるには、少しばかり時期尚早だということだ。いつものように、私たちはこの要望を尊重した)

皆さんにお伝えできる、全60社のスタートアップを紹介しよう。

Nurx – バースコントロールの「Uber」

避妊ピルを手に入れるのは、時には難しい。クルマなどの病院に行く手段を持ち、それについて心地よく相談できる環境が必要となる。しかしNurxを使えば、あなたは避妊ピルを選ぶだけだ。あとは医者が書いた処方箋が、自宅まで直接届くのを待てばいい。

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MagicBus – すべての人にGoogle Shuttlesを
郊外から都市部への通勤は苦痛だ。MagicBusは、「安さ」と「速さ」の両方でトップになろうとしている。MagicBusには最大14人まで乗車可能で、道中いくつかの地点で停車する。同社によれば、都市部と郊外をむすぶ交通のマーケットは1兆ドルの規模だという。同社の前月比の成長率は50%で、ユーザーの48%がサービスを毎日利用しているとMagicBusは語る。MagicBusに関するTechCrunchの記事はここで読める。

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Paystack – アフリカ企業のための、オンライン決済システム
1億8000万の人口をもつナイジェリアでは、インターネットが十分に普及しているにもかかわらず、国内で行われる決済のほとんどがオフラインだ。Paystackはナイジェリアのビジネスに対し、Webサイトとモバイルアプリ上に構築できる決済システムを提供する。このシステムはクレジットカード、デビットカード、振替、モバイルマネーに対応している。導入にかかる時間は3週間ではなく、たったの30分。支払いのプロセスも、7ステップから2ステップに減らすことができる。国内カードの決済であれば、一回につき50セントに加えて、決済代金の1.9%がPaystackに支払われる。海外カードであれば、50セントと決済代金の3.9%だ。アフリカ企業がオンライン決済を導入することを容易にし、彼らが次世代の顧客をつかんで繁栄するための後押しをするのだ。

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Tovala – 「パッケージ済み料理」の定期配達サービス付きスマートオーブン
Tovalaは、ボタンを押すだけで「完璧な仕上がり」の料理を作ってくれるスマートオーブンだ。ハイテク対応の料理をオーブンに入れると、自動で温度やタイミングを計って調理してくれる。Tovalaには「パッケージ済み料理」の定期配達プランもあり、オーブンに入れるだけで出来上がる料理を自宅まで届けてくれる。Tovalaは、すでにKickstarterで24万ドルの資金を集めている。

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Redspread – 共同開発ソフトウェア

システム障害などのダウンタイムは、企業にとって相当なコストとなる。数字で表せば、約265億ドルの収益のロスになる。結局のところ、ダウンタイムの原因はたいていヒューマンエラーによるものだ。そこで、共同開発環境を構築できるRedspreadの出番となる。Redspreadは3週間前にサービス開始した。

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Gecko Robotics – ロボットによる安全点検

アメリカ国内の発電施設では、設備の安全点検に年間150億ドルもの資金を費やしている。その危険な点検作業には7日間かかり、毎日100万ドルの機会損失を出してしまう。そこでGecko Roboticsは、壁をのぼることができ、危険な仕事を素早くかつローコストでこなすことができる独自の点検ロボットを開発した。このロボット使えば、5万ドルから10万ドル程度のコストで、通常であれば7日間かかる安全点検をたった1日で終わらせることができる。より多くのデータが集められるし、人間の命を危険にさらすこともない。Geckoは今年中にも黒字化し、類似する業界への拡大を目指す。点検中に作業員が命を落としてしまう悲劇を減らしたいという強い信念が、このスタートアップを突き動かしている。

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Kisan Network – インドの農家のためのマーケットプレイス

Kisan Networkは、インドの農家とバイヤー組織を直接つなぐオンライン上のマーケットプレイスだ。運営チームは、このマーケットは2000億ドルの規模だと話す。例えば、インドのジャガイモ農家が収穫物の詳細をアップロードすると、ポテトチップスのメーカーはその情報をもとに、農家からポテトを直接買い取るという具合だ。

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Outschool – 在宅教師のためのマーケットプレイス

何かを学習する方法には、とてもさまざまな方法がある。課外授業であればなおさらだ。Outschoolは、自宅で子供たちに解剖学や宇宙、写真などについてのクラスやフィールドトリップを提供する、「在宅教師」のためのマーケットプレイスだ。Outschoolによると、月間で1万4000ドルの授業料に相当する取引を成立させる見込みだ。(アップデート: 現時点でのOutschoolの月間セールスの数字を明らかにした。前回は曖昧な回答だった。)

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Cover – 写真を撮って、保険をかける

保険の契約はとても面倒だ。だが、Coverで保険を掛けるために必要なのは、対象物となる車、家、ペット、宝石、スピードボート、競走馬などの写真だけだ。現状では、Coverの見込み客は外部の保険会社に紹介され、Coverは紹介料として月に19万ドルを受け取っている。だがCoverは、保険販売のライセンスを取得し、直接ユーザーに保険を販売することを計画している。そうすればアメリカ国内で年間220億ドルとも言われる保険販売手数料のマーケットを取り込むことができる。Coverはモバイルでの保険販売よって、便利さを重視した新しい世代の顧客を集めることができるかもしれない。

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Rappi – コロンビアでの食料品デリバリー

RappiはラテンアメリカでInstacartとPostmatesを組み合わせたような存在になろうとしている。同社は、顧客から配達料金として一回につき70セントを受け取り、配達員には約2ドルの時給を支払う。ラテンアメリカ出身のRappi創業者によると、この料金設定はラテンアメリカ地域においては、太っ腹でかつ競争力のある値段設定だという。

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Toymail – キッズ向けの携帯電話

米国では10歳以下の子どもの95%が携帯電話を持っていない。しかし両親は、子ども達との連絡を絶やしたくないと考えている。親たちはただ、子どもが携帯で遊びすぎたり、見知らぬ人と接触したりすることを恐れているだけだ。だからこそ、1000万ドルを売り上げた「逃げる目覚まし時計」を発売したToymailは、ぬいぐるみに見立てた携帯電話を開発したのだ。子どもはこの携帯電話を使って、同じくToymailの携帯電話をもつ両親や家族、友達にボイスメッセージを送信することができる。ハードウェアの販売だけでも30億ドルのビジネスになり得るが、専用のアプリストアでゲームや物語、教育用アプリなどを販売することを計画している。すでに、アマゾンがそのディベロッパーとして名乗りをあげている。Toymailのおかげで、あなたは安心してお子さんに携帯電話を買ってあげることができるかもしれない。Toymailに関するTechCrunchの記事はここで読める。

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Chatfuel – チャットボットのプラットフォーム

フォロワーやファンと有意義な方法でつながることは、企業にとって永遠の課題だ。顧客との接点を築きたいと望む企業は、Chatfuelのネイティブインターフェイスを使って、顧客との会話を円滑にするボットを作り出すことができる。すでに13万以上のボットが同社のプラットフォーム上で作られている。TechCrunchやForbesといった出版社はChatfuelでボットを作りだし、どんなメッセージングアプリにも配置することができる。Chatfuelはこれまでに、100万以上のアクティブユーザーを獲得したとみられている。Chatfuelに関するTechCrunchの記事はここで読める。

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Varden Labs – 大学などのキャンパスを走る、自動運転シャトル
Varden Labsが開発したのは、大学や企業の本社などのキャンパス内を走る(大きなゴルフカートのような見た目の)自動運転シャトルだ。現在、6つの大学キャンパスで有料の実地試験が行われている。シャトルの運用料金は年間で5万ドルだ。3人の創業者たちは、エンジニアリングを専攻していたウォータールー大学で出会った。

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Stitch – 医師のためのSlack

メッセージング・プラットフォームは、今やほとんどの業界で使われている。Stitchは医者や看護師、ソーシャルワーカー、薬剤師などに向けた、ヘルスケア業界のメッセージング・プラットフォームだ。Stichは、医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律であるHIPPAを遵守しており、電子カルテを統合させて利用する。同社はすでに400以上の機関と契約しており、前月比の成長率は40%だ。老人ホームやリハビリ施設、薬局、外来治療施設などに特化していることが、その高い成長率の秘訣だと語る。同社は、Stitchのエンゲージ率はとても高く、ユーザーの利用時間は1日あたり8時間で、20通のメッセージが送信されていると主張している。Stitchに関するTechCrunchの記事はここで読める。

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Focal Systems – スマート・ショッピングカート

Focal Systemsは、iBeaconsより14倍正確で、20倍安いと言われる屋内測位システムを開発した。カメラ付き携帯電話と測位システムを従来のカートに取り付けることで、その位置を特定することが可能だ。装着された携帯電話は店内のナビゲーション機能をもち、買い物客が広告品の前を通ると同時に、その製品のターゲット広告を表示する。Focal Systemが行ったデモンストレーションでは、同サービスによって店舗の月間売り上げを10万ドル増やせることを示した。同社は導入店舗から2500ドルと広告収入の半分を受け取る。すでに食料品ストアのSafewayとの契約の準備が整っており、年間6600万ドルの収益を期待できるという。かつて、従来型の店舗を歩くのは息がつまる思いだった。屋内測位と観測システムを導入することによって、それはもっと簡単になり、店舗にとってはさらなる儲けをもたらすだろう。

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STILT – アメリカ国外からの学生と就労者のためのローン

教育を受け、合法的にアメリカに移住したSTILTの創業者は、あることを身をもって体験した。移民たちは、アメリカ国内でのクレジットヒストリーが足りず、ローンを組むのが困難なのだ。STILTはそのような移民への融資に特化している。これまでに43万1000ドルの融資実績があり、そのうち6万ドルは回収済みだ。これまで債務不履行となった事例はない。

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PetCube – ペット用のDropcam

ペットに夢中な人たちは、最愛のペットを家に独りおいて外出した時には、そわそわしてたまらない。ペットが独りぼっちで平気かどうか気になるのだ。PetCubeは、199ドルのペットオーナー向けホームカメラを過去15カ月で合計2万ユニット販売し、250万ドルの売り上げを記録した。このカメラはNordstrom、Best Buy、Brookstoneなどで販売され、同社の収益の半分以上は小売店から得られている。PetCubeは、年内に会員サービスを開始し、カメラとワイアレスで接続する「おやつ」のディスペンサーも販売する予定だ。PetCubeに関するTechCrunchの記事はここで読める。

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Goodybag – オフィス向けの簡単なケータリングサービス

Goodybagは、オフィスへの食事の宅配をシンプルにしてくれる。この市場は米国で300億ドルの規模をもつ。しかし、同社のビジネスは、マージン率の低いオンデマンドのデリバリーではなく、単にオーダリングをより円滑にするビジネスだ。一度のオーダーにつき、10%の手数料を徴収する。550万ドルの年間収益のランレートでは、60万ドルの利益が残る計算だ。同社はすでにオースティン市場で利益を上げており、新しい地域にも進出することで今後6カ月の内に損益分岐点に到達することも可能だ。95%の顧客維持率と、平均して350ドルの注文を受けるショッピングカートにより(これは同様のオーダーサービスの顧客単価の10倍だ)、食事のオーダリング市場で、実際に利益を上げることができることを確信した。

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StyleBee – オンデマンドの美容師
StyleBeeはヘアセットやメイクアップ、そして男性のヘアカットをオンデマンドで提供する。ユーザーは提供してほしいサービスを選び、自分がどこにいるかを伝える。そうすれば、腕の立つスタイリストが、あなたがいる場所まで来てくれる。60%のStyleBeeユーザーは、月に一回のペースでサービスを利用している。過去12カ月のランレートは、サンフランシスコ単体で100万ドルを達成し、利益率は一度のサービス提供につき約35%だ。StyleBeeに関するTechCrunchの記事はここで読める。

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Airmada – 自動化されたドローンの地上基地

自動化されたドローンの地上基地は、費用のかかる人間オペレーターの代替案として開発された。Airmadaの地上施設は、ドローンの収容、充電、そしてさまざまなミッションのためにドローンを発進させる機能を持つ。その基地の初配備はパナマ運河で実施された。たった300ドルで、港から船まで小包を輸送するサービスのためだ。


Revl – 安定化されたアクション・カメラ
GoProのビジネスは年々よくなっているとはいい難い。ごくわずかな人しか、新しいGoProを買う必要性を感じないからだ。だが、Revlはカメラを「安定化」させることによって、アクションカメラの難題に挑んだのだ。物理的な面と、デジタルな面の両方においてカメラを安定化し、これまでにない程にスムーズな映像の撮影を可能にした。Revlには自動的に映像を編集するソフトも搭載されているため、ベストな瞬間をシェアするためにパソコンの前に座り、退屈なマニュアルの映像編集ソフトと格闘する必要もない。100億ドル規模のアクションカメラ市場は、毎年22%のスピードで成長している。だが、Revlはアクションカメラを撮影や編集が下手な初心者でも利用しやすいものに変えるだろう。RevlはIndiegogoで支援を募集中で、過去4日間で7万ドルの支援を集めることに成功した。Revlに関するTechCrunchの記事はここで読める。

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Poppy – オンデマンドのベビーシッター
PoppyはSMSだけで完結する、オンデマンドのベビーシッター提供サービスだ。今月、彼らは約500のベビーシッターのアポインメントを取り付けた。口コミが同サービスの成長の原動力となっていて、その成長率は毎月約50%のペースだ。シアトルエリアでは、40人のベテランシッターを利用可能だ。

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UnnyWorld– モバイル版のLeague Of Legends
デスクトップで動く、マルチプレイヤー対戦ゲームのLeague Of Legendsは2700万人のデイリーアクティブユーザーを持ち、年間10億ドルの収益を稼ぎ出している。UnnyWorldは、似たようなゲームをモバイルでも楽しめるようにしたかった。このゲームは5分ほどの短いセッションで構成されていて、移動中のわずかな時間でもプレイ可能だ。ユーザーはキーボードの代わりに、指の動きで魔法を唱えたり、他のプレイヤーと協力して攻撃を仕掛けたりすることができる。5年間苦楽を共にした12人のチームが製作したこのゲームは、すでに540万回のダウンロード回数を記録している。現在のベータ版では、ユーザーの平均プレイ時間は1日あたり30分だ。グローバル配信は9月を予定している。人気ゲームを「コピーした」と言われれば聞こえの良いものではないが、League Of Legendsのプレイ体験をモバイルでも提供することは儲かる話になりそうだ。

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Trac – 陸上競技チームのためのシンプルなタイム計測システム
各地で行われる陸上競技の開催のために費やされる費用は、合計すると数十億ドルにもなり、そのうち20億ドルがタイムの計測のために費やされる。Tracはそこに目を付けた。プロと同じくらい正確な計測システムを低いコストで、ありとあらゆるレースに導入したいと考えたのだ。Tracは選手の靴に取り付ける特殊なチップと、ゴール地点に置く計測デバイスを提供する。

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WorldCover – 発展途上国での穀物保険
世界各地にいる5億人の農民たちは、天候の気まぐれによって収入が左右されてしまう。雨が降らなければ作物は育たず、収入を得られない。WorldCoverは、発展途上国の農民に穀物保険を提供する。衛星をつかって降雨量を計測し、そのデータを基に保険料を自動的に支払うシステムだ。

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SOUNDBOKS – 充電式でパワフルな屋外スピーカー
屋外パーティを開くためには、高価な設備と、それを設置するための時間や知識が必要だ。だが、SOUNDBOKSのスーツケースの形をしたポータブルスピーカーがあれば、それだけで大勢の人をダンスさせることができる。故障とは無縁の丈夫なスピーカーで、60時間もつバッテリーは取り替えも可能だ。直近の20日間で、SOUNDBOKSはクラウドファンディングを通じてスピーカーを販売し、60万ドル売り上げ、利益率は55%だった。製品は4月に発送される。同社はJamboxサイズの小さなスピーカーと、数千人の規模にも対応できるエレメンタル系の超大型スピーカーもリリースする予定だ。Sonosは同様の問題にワイアレスのインドア・スピーカーという形でアプローチし、数十億ドルのビジネスに成長した。オフラインで友達と集まりたいというニーズを背景に、アウトドア音楽市場は年間39%のスピードで成長している。SOUNDBOKSが前評判に応えて、あちこちで音楽を響き渡らせることができれば、実体験重視のカルチャーへのシフトに後押しされて、ビジネスを成功に導くだろう。

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MailTime – モバイルで軽快に動作するEメールクライアント
Eメールは使いにくいったらありゃしない。MailTimeは、そんなEメールにメッセージングアプリのシンプルさを取り入れることで、Eメールをもう少しましな物にしようとしている。MailTimeでは、Eメールをスレッド形式ではなく、チャットアプリのような会話形式で表示する。MailTimeはこれまでに10万のデイリーアクティブユーザーを獲得しており、中国の独立系Eメールアプリの中ではトップを走る。加えて同社は、2億人のユーザーを抱える中国1位のメッセンジャーアプリとの経営統合の準備を進めている。MailTimeに関するTechCrunchの記事はここで読める。

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Restocks – ファッションオタクのためのプッシュ通知アプリ
Restocksは、「スーパーコンシューマ」に流行ブランド(Supreme, Yeezyなど)のセール情報を通知するアプリだ。ユーザーがRestocksにお気に入りのブランドを教えておけば、RestocksがWebサイトをまわってセール情報を集めてくれる。利用料金は年間25ドルだ。

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Castle.io – 行動ベースのセキュリティ
パスワードは簡単に盗まれるが、ハッカーやボットがユーザーの行動を複製することは難しい。CastleはクライアントのWebサイトやアプリからユーザーの行動パターンを抽出し、その行動パターンとマッチしないアクセスを遮断する。例えば、Eコマースサイトではユーザーはショッピングカートに商品を追加する前に、いくつか商品を見てまわるだろう。しかし、ハッカーは即座に多数の商品をショッピングカートに追加し、チェックアウトしようとする。このようなアクセスをCastleは遮断する。Castleには現在150件の導入実績があり、現状で40万人のユーザー数は、毎週35%のペースで伸びている。プロテクトするユーザー人数が増えれば、Castleはより賢くなり、ユーザーによる理にかなった行動と、ハッカーの大雑把な行動を見分ける精度が上がる。

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Acre Designs – 安価でモダンなゼロエネルギーの家
「家」という分野でのイノベーションは、あまり生まれてこなかった。Acre Designsは、家自体がエネルギーを作り出す、容易に建設が可能な「ゼロエネルギーハウス」を作ることによって、その見方を変えようとしている。昨年、Arcre Designsは2つのプロトタイプを製造し、6つの家に設置することで、290万ドルの手付金を確保した。Acre Designsはキットを25万ドルで販売し、その利益率は12%だ。そして建築業者はその家を40万ドルで販売できる。Acre Designsに関するTechCrunchの記事はここで読める。

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訳注:これはシリコンバレーで随一のアクセラレーターとして知られるY Combinatorが年に2度行うデモデイを紹介する記事の翻訳記事です。Day1、Day2でそれぞれ約60社のスタートアップ企業が登壇していて、以下の4本の翻訳記事で30社ずつ紹介しています。この記事はDay1の前編です。関連記事は以下の通りです。

原文
(翻訳:Takuya Kimura)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。