Y CombinatorパートナーがTechCrunch Tokyoに登壇、シリコンバレーの今を語る

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シリコンバレーの著名シードアクセレレーター「Y Combinator」(以降YC)から、パートナーのQasar Younis(キャサー・ユニス)氏がTechCrunch Tokyo 2016の2日目(11月18日)の朝、キーノートセッションに登壇することが決定したのでお知らせしたい。ユニス氏はCOOなので、YC共同創業者でカリスマのPaul Graham(ポール・グレアム)氏を引き継いで、現在YCを率いるSam Altman(サム・アルトマン)の右腕の人物だ。

ワイシーとかワイコンと略されることもあるY Combinatorといえば、AirbnbやDropbox、Stripe、Coinbaseといったスタートアップの初期出資者として知られている。多くの成功したスタートアップ企業を輩出していて、「スタートアップ養成学校」とか「スタートアップ工場」と言われるようなこともある。特にアルトマン氏が舵取りを引き継いだあたりからは、積極的にアメリカ以外のスタートアップや外国人起業家への投資を増やすなどポートフォリオは大きくなりつつある。

2015年にYC代表のアルトマン氏が公表した数字によれば、これまでYCが投資した企業は940社以上、合計時価総額は650億ドル(約6兆7000億円)となっていて、このうち1000億円の時価総額を超えるスタートアップ企業は8社にのぼるという。

ユニス氏は2015年8月に拡大する組織とポートフォリオに対応するためYCで初めて設置されたCOOに就任した人物だ。もともとは起業家として2011年にYCの冬バッチに参加している。2010年にユニス氏らが創業したWebやアプリ越しに顧客と店主を結ぶメッセージサービスの「TalkBin」は、わずか5カ月でGoogleに買収されている(買収額は明かされていない)。ユニス氏はGoogleではSMBや大手小売向けツールなどのプロダクト・チームを3年ほど率いていたという。

ずっと一貫してプロダクトを作る側だったユニス氏は、今では投資サイドに移って多くの起業家に助言をし、スタートアップ企業がスケールするのを支援する側にまわっている。エグジット経験ありの、ある意味典型的な起業家出身のシリコンバレーのVCだ。

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Scrum Venturesジェネラル・パートナーの宮田拓弥氏

もともとユニス氏は自動車業界の出身で、GMやBoschでエンジニア、プロダクトマネージャーを経験している。2016年5月にGMがサンフランシスコ拠点の自動運転スタートアップ、Cruise Automationを買収しているが、YC出資のCruiseのディールはユニス氏が立役者だったというから、自動車業界とテックを繋ぐ人物としても注目だ。

TechCrunch Tokyoに登壇するユニス氏のセッションだが、独立系VCのScrum Venturesを米国で立ち上げて活動している日本人起業家・投資家の宮田拓弥氏に話を引き出していただく予定だ。宮田氏も日米それぞれでソフトウェア、モバイル関連のスタートアップを複数起業して、ミクシィやGoogleへの売却経験もある元起業家VCだ。Scrum Ventures投資先である通勤用シェアリング「バス」の「Chariot」は2016年9月にFord Motorsによる買収が発表されたりと、宮田氏もスマートモビリティー系に注目して投資をしている投資家だ。

両VCにはシリコンバレーのスタートアップ事情やテックビジネスのトレンド、特に最近重要性を増してきている大手企業とスタートアップの提携や出資、買収といったことについて語っていただければと考えている。

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。