YahooのAlibabaという金鉱を再評価する

昔を振り返ってみよう。2005年、Yahooは中国Eコマース会社、Alibabaの40%を10億ドルで買った。その行動が、後にこのアメリカ企業を救うことになる。

Yahooは、未だに新しいCEO、Marissa Mayerのリーダーシップの下、新鮮なダイナミズムを見せ、モバイルへの参入を果たしてテクノロジー市場での評判を取り戻したが、同社中核事業の財務業績は低調だ。売上は下落し利益も同様だ。自慢のモバイルの成長も、広告ビジネスに結びつけることができず、検索の収益もパッとしない。

ではここ数年の劇的な株価上昇は何故なのか? それは10年近く前のAlibaba買収にさかのぼる。

Yahooは、所有するAlibabaの40%のうち40%を、2012年に760億ドルという巨額で売却した。現在同社が所有するAlibaba株は24%と控え目だが、下にリンクを貼った企業レポートには23%と書かれている。

Yahooはこの残された株をできる限り手離したくない。それは、Alibabaの今の成長率を考えれば、Yahooが同社株を持っていればいるほど儲かるという単純な事実による。

YahooがAlibaba株にしがみついていたいと何故わかるのか? 最近の契約によって、AlibabaがIPOした際にYahooが売らなければならない既存持ち株比率が下げられた。Yahooは以前の契約終了時点で、持ち株の一部をAlibabaに売り戻すことになっていた。

今日の発表は、Yahoo!のAlibaba持ち株の段階的かつ包括的な価値実現計画の第1ステップである。本契約の下、Yahoo!は第2フェーズで、AlibabaのIPO時に持ち株の約半数をIPO価格で現金化することができる。そして、IPO後Yahoo!は、慣例的売却禁止期間経過後、残る株式を売却する権利を有する。

しかし2013年10月、Yahooは部分的な猶予を得た。当時私がこう書いている

本日Yahooは、第3四半期の業績報告と共に、Alibabaとの新たな契約に合意し、中国Eコマース会社が上場した際に売却しなければならない株数が減少したと発表した。Yahooが売る必要のある株数は、計2.08億株となった。

この数字は、以前の売却必要数2.615億株の20.4%減に当たる。YahooはAlibabaの一般株5.236億株を保有している。

つまり、YahooはAlibaba株をより多く、より長く持ち続けることができるようになった。
このパズルの最後のピースは、Alibabaが信用枠を改訂し、IPOを遅延したことだ。現在の憶測では、同社の上場は今年ではなく来年になりそうだ。

これは、Alibabaが成長を続けると仮定した場合、以前の予想よりも高い評価額で上場することを意味している。これが、将来の利益を見越して今Yahooの価値を高くしている理由だ。

AlibabaがIPOした時の価値はいくらになるのか? 私が見てきた数字は最高2000億ドル、控え目なところで1300億ドルだ。今になって考えれば、実際の上場時には、以前AlibabaのIPO評価額を1200億ドルとしていた数字は低すぎると見るのが妥当だろう。よってこれは、YahooがMicrosoftと並んで、成功した企業ベンチャーキャピタリストの仲間入りをすることを意味している。

暗算すれば、2000億ドルの24%は480億ドルだ。その半分が税金に消えるとしても、Yahooは同社時価総額の半分以上の現金を持つことになる。

Alibabaが長く待てば待つほど、そして同社がその活力を維持し続ける限り、Yahooにとって状況は良くなっていく。これは、メディアがYahooの株価上昇を、単にJack Maの威光によるものではなく、社内業績の成果であると報道しているのを見た時、注意しておくべき点だろう。

トップ画像提供:Flickr

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


投稿者:

TechCrunch Japan

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