YC出身のBlueCrewは、福利厚生もある時給従業員としてオンデマンド市場の仕事と労働力をつなぐ

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新興するオンデマンド経済の先行きは、労働者をどのように区分するかで決まることになるかもしれない。この経済における雇用形態が長期的な時給従業員(W2)と独立契約者(1099)の二択であることが適切かどうかいう議論もある。

訳注:W2、1099はそれぞれの雇用形態の税金申告書の名称

例えば、Uberが独立契約者との契約形態を用いているのは、ドライバーは自身が保有する自動車を利用し、自ら働く時間を設定する上、会社側がドライバーに多くの研修を提供する必要もないからだ。しかし、カリフォルニア労働委員会は1人のドライバーを従業員であると認める判決を下した。それに続き、ShypInstacartのような企業も多くの研修を必要とする何人かの契約ワーカーを長期の雇用形態に変更した。

YC出身の新しい企業BlueCrewは他にも解決法があると考えている。彼らは、倉庫作業、集配、荷詰め、データ入力といった仕事に対し、短期的な人材派遣を行う仲介企業だ。最も重要な違いは、BlueCrewで働く人たちはW2に該当する時給従業員であるということだ。

「BlueCrewでは、私たちが比較的単純な仕事と定義する作業に人手が必要な企業の手助けをしています」とBlueCrewの共同ファウンダーであるMichele Casertanoは話した。「私たちのビジネスモデルが他と違う最大の特徴は、W2の時給従業員として人材を採用していることです。私たちはこれにより、カスタマーにも従業員も保証できると考えています」。

もう1人の共同ファウンダーであるCooper Newbyは「契約モデルは、短期的にみれば安く済みますが、長期的にはそうではありません。スタートアップの多くは、1099の労働契約の責任についてあまり馴染みがありません。もし、区分の誤りなどの問題があれば、税金や福利厚生の分を支払う必要があり、その負担は大きいのです」と話した。

「何百人」のワーカーを持ち、同社は一つの企業の20人分の仕事を40分以内で埋めることができ、98%の従業員が仕事に現れるという。同社は、家具の配送ビジネスやイーストベイにあるトルティーヤの製造工場といった5社以上のクライアントと取引があると言う。

BlueCrewは、企業が1099の契約形態でワーカーと契約する場合に通常担うことになる源泉徴収、FICA税金、ワーカーの労働者災害補償といった複雑な手続きを肩代わりする。BlueCrewの従業員は定期的な仕事、そして行う仕事別の制服や研修を受けることができ、仕事では1時間12ドルから20ドルの報酬を得る。規定時間を超えて働く場合は、1時間ごとに報酬が50%上乗せされる。

BlueCrewの法人クライアントは、労働法や規則に準拠し、事前に審査して選ばれた人材を確保することができる。全てのワーカーは自分の経歴、写真、評価、過去の職務経験の一覧のプロフィールを持つ。

BlueCrewは彼らの時給から「高い割合ではない」分を得ているとCasertanoは話し、具体的な割合については言及しなかった。仕事をする人は、Craigslist、Facebook広告、復員軍人援護局や紹介といった複数の方法で募集している。彼らは、シードラウンドで資金調達を行ったが、金額や出資元については開示しなかった。

Casertanoは、ヨーロッパ、中東、アフリカにおけるサプライチェーンの管理を行っていた経験を持つ。「短期ワーカーと仕事をつないで運営するもっと良い方法があるとずっと考えていました」と彼は話した。多くのワーカーは何時間かけて仕事に向かうも、働くことを拒まれることもあったと話す。

GreylockのSimon RothmanのようにベンチャーキャピタリストからもW2と1099の分類以外の3つ目の法的に認められた働き方があるべきだという主張が聞かれている。

「3つ目の正式な働き方があれば良いと思います」とCasertanoは話した。「ワーカーには労働者災害補償が必要です。物が落ちて怪我をすると、人生が狂ってしまうこともあります。労働者には保険が必要で、労働者災害補償はそのためにあります。柔軟性も重要ですが、何らかの形で労働保険も同時に提供できるようにすべきでしょう」と続けた。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

投稿者:

TechCrunch Japan

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