Z Fellowsが暗号資産関連の起業家を募集中、その熱量を重視し1週間のプログラムで約113万円提供

資本力は起業するための助けとなるかもしれないが、そもそも大きなことを考えるために必要な活性化エネルギーがなければどうだろう?Cory Levy(コーリー・レヴィ)氏は、後者の方が重要だと考えている。

創業者と投資家を円滑に結びつけるためのサービスを提供するFirst Text(ファースト・テキスト)を起業したレヴィ氏は2020年、そんな自分の考えを試すためにZ Fellows(Zフェローズ)を起ち上げた。このアクセラレーターでは、1週間のサバティカルプログラムを用意し、志の高い創業者には、上限10億ドル(約1130億円)の任意の株式として1万ドル(約113万円)の小切手が提供される。

「これまで最高のプログラムは、Y Combinator(Yコンビネータ)でもThiel Fellowship(ティール・フェローシップ)でもそうですが、学校を中退したり、離職してアイデアに取り組んだりと、高いコミットメントと人生の大きな決断を必要とするものでした」と、レヴィ氏は説明する。「そんなことをせずに、2、3日、あるいは1週間ほど費やすのならばどうでしょう。生活に大きな支障はあるでしょうか。気に入ればすばらしいし、気に入らなくても害や不都合はないでしょう」と、同氏はいう。

4つのコホートとともに、Z Fellowは、計算されたリスクと活性化エネルギーを、(予想通り)暗号資産の世界にもたらすというビジョンの拡大を発表した。

現在、応募を受け付けているこの新しい暗号資産に特化したアクセラレーターは、依然として従来のベンチャーキャピタルのチェックが付くものの、規制に対応する方法から、分散型の世界でテクノロジーを活用するための最善の方法まで、この分野における多くのノウハウについて、それぞれに合わせたプログラムが用意される。さらに10億ドル規模の暗号資産企業に関わっている創業者や投資家が、メンターシップや講演、毎日のスタンドアップに参加するという。

これは、さまざまな分野に焦点を当てた垂直型アクセラレーターの第1弾となる可能性がある。また、レヴィ氏はこれが、何十億ドル(数千億円)もの資金が投入され(そしてさらに何十億ドルもの資金が計画から調達される)暗号資産にとっては、その場しのぎ的なものであると考えている。同氏は、暗号資産インフラストラクチャ、NFT(非代替性トークン)、DAO(分散型自律組織)、DeFi(分散型金融)プロトコル、ゲームなどに取り組むスタートアップを探している。

Z Fellowsは、Y Combinatorほどの賛同者を必要としないため、品質保証が問題となる可能性はある。とはいえ結局のところ、起業の夢に手を出そうと思うなら、1週間のPTO、1万ドルの小切手、低リスクのチャンスに惹かれない人はいないだろう。現在、Z Fellowsの約3分の1は、女性、有色人種、移民など、過小評価されやすいグループ出身の起業家で占められている。

今のところ、創業者のレヴィ氏は、厳しい審査をするよりも、アイデアを試すように人々を促すことに重点を置いている。同氏は今でもすべての参加者を自分で面接する。資本が豊富な今日の環境において、Z Fellowsを際立たせているものは、期限を定めたフェローシップとメンターシップの特質であると、レヴィ氏は考えている。

「彼らは資金を必要としていないかもしれませんが、メンターシップや賢人たちのネットワークは、常に価値あるもの1つだと思います」と、レヴィ氏はいう。「それは、Web 2.0においてもWeb 3.0においても、当てはまることです」。

画像クレジット:Jorg Greuel / Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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