Zoomがビデオサービスへの参入を支援する新SDKと開発者向けリソースポータルを発表

プラットフォームが成熟してきたことを示す明確なサインとして、企業が自社ツールのために使用しているサービスを他のデベロッパーに公開することが挙げられる。Zoom(ズーム)は2020年Zoom Appsを発表し、これらのアプリを配布・販売するためのMarketplaceを導入するなど、これまでもそうした取り組みを行ってきた。Zoomは米国時間3月22日、デベロッパーがZoomのビデオサービスを他のアプリに組み込むための新しいSDK(ソフトウェア開発キット)を発表した。

関連記事:Zoomがイベントプラットフォーム「OnZoom」とアプリを統合する「Zapps」を発表

ZoomのNatalie Mullin(ナタリー・マリン)氏は、新しいSDKを発表したブログ記事の中でこう書いている。「当社のVideo SDKによりデベロッパーは、Zoomの業界最先端のHDビデオ、オーディオ、およびインタラクティブ機能を活用して、ビデオベースのアプリケーションや、ネイティブUIを備えたデスクトップ体験を構築することができます」。

自分のアプリにビデオを入れたい場合、自分でコーディングしてみることも可能だが、代わりにZoomのこの分野での専門知識を活用し、SDKを使ってアプリケーションにビデオを追加することで、時間と労力を大幅に節約できる。

アプリデベロッパーが、ビデオを含めることでユーザー体験を向上させることができるようなソーシャルアプリ、ゲームアプリ、リテールアプリなどにビデオを埋め込むことを同社では想定している。例えばショップのオーナーが、オンラインショッピングをしている顧客にさまざまな服をライブビデオで見せ、好みをリアルタイムで話し合うことができるなどだ。

ZoomのCTOであるBrendan Ittelson(ブレンダン・イッテルソン)氏は、このSDKは、同社が近年開発してきた開発者向けツールをデベロッパーが活用できるようにするための、より広範なサービスの一部だと述べている。その一環として、同社はデベロッパー向けの一元的なポータルをあわせて発表した。

「当社は、デベロッパーが開発作業のためにZoomプラットフォームで利用できるすべてのツールとリソースについて知ることができる単一のポイントを持ちたいと考えています。そのため、すべての開発者向けリソースのための中心的なハブとしてdeveloper.zoom.usを立ち上げます」とイッテルソン氏は筆者に語った。

また、アプリの中でZoom機能がどのように利用されているのか、より多くのデータをデベロッパーに提供したいという考えから、利用状況の統計をとった新しい分析ダッシュボードを提供するという。

「当社はツールを追加し、実際にデベロッパーに分析用ダッシュボードを提供しています。そのため、Zoomエコシステム向けにアプリを開発している方々は、プラットフォーム全体でのアプリの使用状況に関する情報を確認することができます」とイッテルソン氏はいう。

イッテルソン氏は、これらのツールを新しいビデオSDKや既存のツール群と組み合わせることで、デベロッパーは自分のアプリにZoomの機能を組み込んだり、自分のアプリをZoomに埋め込んだりするためのさまざまな選択肢を得られると考えている。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Zoom

画像クレジット:Kena Betancur / Getty Images

原文へ

(文:Ron Miller、翻訳:Aya Nakazato)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。