Zoomが約1兆6000億円で2000社以上の顧客持つクラウドコールセンターFive9を買収

Zoom(ズーム)は過去1年間の目覚ましい株価上昇を利用して、初の大型買収を行った。2年前のIPO時には約90億ドル(約9850億円)と評価されていた人気のビデオ会議会社は、米国時間7月18日夜、クラウドコールセンターサービスを提供するFive9(ファイブ9)を約147億ドル(約1兆6000億円)で買収することで合意したと発表した(全株式による取引)。

設立20年のFive9は、2022年前半に完了する予定のこの取引の後、Zoomの事業部門となると両社は述べている。

この買収案は、提供するサービスを拡大するためのZoomの最新の試みだ。この1年間でこのビデオ会議ソフトウェアは、複数のオフィスコラボレーション製品、クラウド電話システム、オールインワンのホームコミュニケーションアプライアンスを追加した。

関連記事:すべてがセットアップ済みのZoom専用27インチディスプレイが約6.4万円で登場

Citrix(シトリックス)やUnder Armour(アンダーアーマー)など、世界中に2000社以上の顧客を持ち、年間70億分以上の通話を処理しているFive9の買収により、Zoomは「240億ドル(約2兆6200億円)」とも言われるコンタクトセンター市場に参入することができるという。

Zoomの創業者兼CEOであるEric S. Yuan(エリック・ヤン)氏は、声明の中でこう述べた。「当社は常にプラットフォームを強化する方法を模索しており、Five9の追加は、当社のお客様にさらなる喜びと価値を提供するために、自然にフィットするものです」。

今回の合併により、両社はそれぞれの顧客基盤において「大規模な」クロスセリングの機会を得られると考えている。

Five9のCEOであるRowan Trollope(ローワン・トロロープ)氏は「企業はコンタクトセンターに多大なリソースを費やしていますが、それでも顧客にシームレスな体験を提供することに苦労しています」と述べている。

「企業がこの問題を解決し、より有意義で効率的な方法で顧客と接することを容易にするのが、Five9のミッションです。Zoomとの提携により、Five9のビジネス顧客は、Zoom Phoneを中心としたベストオブブリードのソリューションにアクセスできるようになり、より多くのメリットを実現し、ビジネスに真の成果をもたらすことができるようになります。これは、Zoomの『使いやすさ』の哲学と幅広いコミュニケーションポートフォリオと相まって、お客様が好みのチャネルを介してエンゲージすることを真に可能にします」とも。

両社は米国時間7月19日に共同でZoomコールを行い、今回の買収についての詳細を発表する予定だ。

関連記事
Zoomが会議でのリアルタイム翻訳を実現するためにドイツのスタートアップを買収
Zoomの会議を自動で文字起こしできるOtter.aiの新しいアシスタント機能
Zoomが同社プラットフォームでの事業立ち上げを支援する108億円のZoom Apps投資ファンド開設

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Zoom買収コールセンターFive9

画像クレジット:hapabapa / Getty Images

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。