記憶力向上ウェアラブル開発のHummが2.9億万円を調達

脳に電気刺激を加えると、記憶力と認知機能が向上することを示した新しい研究がある。2019年にボストン大学の研究者が実施した研究で臨床試験を行い、70代と20代の参加者らがそれぞれ軽度の電気神経刺激を受けた後に記憶力を測る特定の課題に取り組んだ。結果は4月に科学雑誌Nature Neuroscienceに掲載され、Science Dailyが報じた

Berkeley Skylabアクセラレータープログラムを卒業したHumm(フーム)は、自社製品の商業化に向け260万ドル(約2億9000万円)を調達した。同社は脳への電気刺激の影響に関する長年の研究に基づき商業化に取り組んでいる。

同社はカリフォルニア大学バークレー校で独自の研究を実施した。今年初めの発表では、Hummのウェアラブルパッチを貼った40人の参加者のうち、記憶テストの成績がプラセボ(本物と見分けのつかない薬や器具)を用いた対照群よりも約20%向上したという。この研究では、対照群の自然学習効果の約120倍の改善であったと同社は述べた。

簡単に言えば、電気刺激が脳波を増強し、神経科学者がワーキングメモリーと呼ぶものを強化する。ワーキングメモリーは、人間が一時的に保持できる情報量を司る機能だ。パッチが小さな電気信号を流すと、ニューロンが同じ周波数で共鳴する。より多くのニューロンを同調して発火させると、脳がより多くの情報を処理できる。

Hummの他にも、さまざまな応用分野で神経刺激ウェアラブルを開発するスタートアップが何社かある。Halo Neuroscienceは、運動能力を向上させるウェアラブルを開発。KernelFlow Neuroscienceは、うつ病を治療する技術を研究している。BrainCoも、神経刺激による学習改善を研究している。Neuros Medicalはこの技術を慢性的な痛みに適用している。

Hummによれば、シードファイナンスで得た資金は、8月に発売した同社初の製品の生産拡大に活用する。「ソフトウェアと生物学の融合が続けば、新しいテクノロジーのパラダイムが現れる。科学者、臨床医、エンジニアの創造性を解き放てば、人間の主要な機能を含めた生物学の体系を読み取り、編集し、書き込むことができる」とラウンドをリードしたBlueyard CapitalのパートナーであるCiarán O’Leary(シアラン・オリーリー)氏は語った。「Hummのテクノロジーは人間の記憶力を改善し、何百万人もの人々の健康を増進する可能性を秘めている」。

同社の最高経営責任者兼共同創業者であるIain McIntyre(イアン・マッキンタイア)氏によると、同社の製品の最初のターゲットは、新しいスキルや言語を習得しようとしているミドルクラスの中年層だ。

「パッチはバンドエイドと同じくらい簡単に貼れる。かさばったり、厄介なことは何もない。15分間の臨床試験で、パッチを着用して最初の3分間でワーキングメモリー容量がプラセボと比べて20%改善され、その後効果が1時間以上続くことが示された。「数百人の先行ユーザーを対象にした今年のテストでは、言語習得のスピードを高めたり、読んだ内容をより多く覚えたりするなど、多くの人がその効果を楽しんだ」。

パッチは1つ5ドル(約550円)。同社は、高めのコーヒーと同じくらいの費用で、生産性を刺激する良い結果が得られると売り込む。ユーザーはパッチを額に貼って、約30分間そのままにしておく。マッキンタイア氏が推奨するパッチの使用回数は1日2回までだ。

パッチの先行申し込みは現在受け付けていない(空軍が1万個のパッチを試用するよう命じたと報じられている)が、同社は試用を検討している人向けに待機リストを用意した。来年の第3四半期までにはパッチが市販される予定だ。

画像クレジット:Getty Images / antoniokhr / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

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TechCrunch Japan

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