無料の動画プログラミング講座「paizaラーニング 学校フリーパス」導入校が838校に達し、累計ユーザー数が8万人突破

無料の動画プログラミング講座「paizaラーニング 学校フリーパス」導入校が838校に達し、累計ユーザー数が8万人突破

ITエンジニア向けの転職・就職・学習プラットフォーム「paiza」(パイザ)を提供するpaizaは3月8日、2019年8月から学校向けに無料提供している動画プログラミング学習サービス「paizaラーニング 学校フリーパス」の導入校が838校に、累計ユーザー数が8万820人に達したことを発表した。

paizaでは、初学者向けの動画プログラミング学習サービス「paizaラーニング」を月額1078円(税込)で提供しているが、「paizaラーニング 学校フリーパス」は、その全内容を、小・中・高・大学・専門学校を対象に無料提供するというもの。

小学校、中学校、高校では、プログラミング教育が必修化され、2024年からは国立大学の入試科目に「情報」が加わるなど、IT人材の育成が期待されているものの、学校の現場では、予算がない、プログラミング教育ができる教員の不足や知識差がある、環境構築や教材の準備が難しいといった課題を抱えている。そんな中で「paizaラーニング 学校フリーパス」の需要が高まり、直近1年では累積利用校が約450校増加したという。

「paizaラーニング 学校フリーパス」の無償提供を可能にする仕組み

「paizaラーニング 学校フリーパス」の無償提供を可能にする仕組み

paizaラーニング 学校フリーパスには、無料であること以外に、こうした課題を解決する特徴がある。ウェブブラウザーが使えるPCがあればよく、環境構築が不要であること、コンテンツが豊富で指導レベルの標準化が可能であること、生徒は自分に合った教材を選択できるので、教員が個別に教材を準備する必要がないことなどだ。

「言語仕様」「ウェブアプリ開発」「ロジック力」「周辺知識」の4分野で、160レッスン、1278本の学習動画、2000題の学習課題を利用でき、動画コンテンツと演習課題は毎月追加される。また、動画にはプロの声優を起用したり、学習の進捗をRPG形式で表示するなど、楽しく学べる工夫がされている。自宅での学習も行いやすく、あらかじめ自宅で学んでから学校の授業に望める「反転学習」が可能になっている。反転学習とは、映像教材などを用いて自宅で先に学んでから学校に集まり、課題を解いたり、学習内容に関するディスカッションしたりすることを指す。

ゲーム形式でプログラミングを学べる特別コンテンツも一部用意しており、学生に人気という

ゲーム形式でプログラミングを学べる特別コンテンツも一部用意しており、学生に人気という

paizaラーニング 学校フリーパスが支持されるもう1つの理由に、就職支援がある。paizaラーニングは就職プラットフォームでもあり、学んだ後に「paiza新卒」に登録すれば、スキルに合った仕事とのマッチングが行える。

小中学校の先生の悩みを解決するプログラミング教材、Scratch用拡張ボード「AkaDako」

小中学校の先生の悩みを解決するプログラミング教材、Scratch用拡張ボード「AkaDako」

学校教育向けハードウェア教材の開発と提供を行うティーファブワークスは2月28日、小学校でのプログラミング授業における担当教員の様々な悩みを解決することを目的に開発した、Scratch用拡張ボード「AkaDako」(アカダコ)の販売を開始した。本体価格は999円(税込)。

2020年から小学校のプログラミング教育が始まったが、担当する教師たちには数多くの悩みを抱えている。たとえば、教材の習得が大変、授業前の教材の準備(インストール、ユーザー登録、設定など)が大変、授業中のトラブル(Bluetoothのペアリング、ダウンロードなど)の対応が大変などだ。40人学教では、先生1人がそれらに対処しなければならない。また、教材は高価なためすべての生徒に配布することはできず、授業が終わると回収することになり、せっかく生徒に興味が芽生えても、授業以外で学ぶことができない。教科書にはAIやIoTなども紹介されているが、先生の準備やスキルが追いつかない、または授業時間が短いなどの理由で教えられないといった残念な問題もある。さらに、購入した教材が使用できる単元は「電気の時間」のみと限られるため、使われずに仕舞われている時間が長い。

ティーファブワークスは、これまでmicro:bitを中心としたプログラミング教育で学校と協力してきた経験を活かし、こうした現場の悩みを解決できるプログラミング教材「AkaDako」を開発した。これには、次の6つの特徴がある。小中学校の先生の悩みを解決するプログラミング教材、Scratch用拡張ボード「AkaDako」

  • 事前準備を限りなくゼロへ:先生も生徒も経験があるScratchを採用。アプリのダウンロード、組み立て、電源が不要(USB給電)
  • 授業中のトラブルを限りなくゼロへ:Bluetoothのペアリング不要(USB接続)、Scratchで「緑の旗」をクリックするだけで設定完了
  • 低コスト:本体価格は999円(税込)なので、各生徒に配布できる。安価なGroveシールド(拡張部品)にも対応
  • 多くの授業で利用可能:「電気の利用」以外の理科の実験、図工、技術家庭の教材としても利用できる
  • AIと簡単に連携できるXcratch(Scratch互換環境)、Scratch3に対応し、画像認識や音声認識などのAIを使ったフィジカルコンピューティングを簡単に学べる

ティーファブワークスでは、4月から「AkaDako」の学校、教育委員会向けに無料レンタルを開始する。また、そのコア技術をOEM提供する準備も整えているとのことだ。問い合わせは、同社の「お問い合わせ」フォームから行える。

「AkaDako」の仕様

  • 対応端末:Windows、Chromebook、Mac、Raspberry Pi
  • 対応ウェブブラウザー:Chrome(モバイル版除く)、Edge(chromium版)
  • 入出力USB micro-B、アナログ1系統5V(Grove端子兼用)、デジタル1系統5V(Grove端子兼用)、5V、GND
  • Grove端子:アナログ2系統、デジタル2系統、I2C 2系統
  • サイズ:縦65✕横50✕高さ12mm
  • 重さ:10g

教師、生徒、保護者が同じページで課題の進捗や成績を確認できるSchoolyticsのダッシュボード

筆者が学校に通っていた頃、つまり今から1万4千年ほど前のことだが、宿題の進捗状況を記録することは、それ自体が宿題のように感じられたものだ。その一方で親たちは、学期末ごとの通知表が来るまで、子どもの全体的な進歩については、ほとんど知ることがなかった。もし、ある生徒(あるいは多くの生徒)の学力が低下するようなことがあれば、ただでさえ多忙な教師が生徒の成績表を探って、その落ち込みを確認しなければならなかった。これは現在もほとんど変わっていない。

Schoolytics(スクーリティックス)は、そんな状況を変えようとしているスタートアップ企業だ。生徒、保護者、教師、管理者のための「オールインワンの情報ハブ」として宣伝されているSchoolyticsの分析ダッシュボード(School + Analytics = Schoolytics、というわけだ)は、生徒が日々どのように過ごしているかを全員で確認できるようにし、注目すべき変化にフラグを立て、傾向の概要を提供する。

Schoolyticのダッシュボードには次の4つのタイプがあり、それぞれが前段の仕様よりも広い範囲をカバーするようになっている。

  • 生徒用ダッシュボードでは、個々の生徒が自分の成績、今後の課題、やらなかった課題、期限内に提出した回数などの指標を把握することができる
  • 保護者用ダッシュボードでは、親や保護者が自宅にいる子どもたちの指標を確認することができる
  • 教師用ダッシュボードでは、個々の生徒の評価指標を見たり、クラス全体の課題完了率などを確認することができる。また、生徒が急に課題をやらなくなった時にフラグを立てたり、優等生名簿(課題完了率に基づく)や進捗報告書などを自動的に作成したりすることができる
  • 管理者用ダッシュボードでは、学校別、学年別の評価指標を表示したり、個々のクラスのレポートを閲覧することができる

Schoolyticsは、Aaron Wertman(アーロン・ウェルトマン)氏とCourtney Monk(コートニー・モンク)氏によって設立された。2人は教科書レンタル / オンライン家庭教師 / 教育のメガ企業であるChegg(チェグ)でデータサイエンスを担当していた。モンク氏は、Teach For America(ティーチ・フォー・アメリカ)で半年以上働いた経験があり、地元の学区で教育委員会のメンバーを務めている。ウェルトマン氏は、ベイエリアにあるKIPPの学校でボランティア活動をしていた際、学校が依存しているツールの多くは、貧相で、データも生のままであることに気づいた。同氏は2020年の初めに、そのすべてを近代化する方法を考え始めた。そして、その年の終わりに、2人は自分たちがしてきた取り組みを形にして、Schoolyticsを起ち上げた。

Schoolyticsは、多くの教師がすでに使用している学習管理システムからほとんどのデータを取得している。Google Classroom(グーグル・クラスルーム)だ。新型コロナウイルス感染拡大の際には、多くの教師が急いで教室や課題をバーチャル化しなければならなかったため、Classroomの使用率は大幅に上昇した。しかし、Google Classroomでは、生徒が提出した基本的なデータを収集するためには役立つものの、それをどのようにグラフ化したり分析したりするかは、教師が考えることだ。Schoolyticsは、そのデータをフロントエンドとして提供し、手作業で行っていた重労働やスプレッドシートとの格闘を、教師のやるべき仕事から省くことができる。

クラス全体の傾向を示すSchoolyticsの教師用ダッシュボード 画像クレジット:Schoolytics

同社はまた、教師が生徒とコミュニケーションをとったり、クラス全体にメッセージを流すことができる専用の安全な場所を提供するために、内蔵型のメッセージングシステムの開発も進めている。

Schoolyticsを使用するための費用は、地域が負担するのが理想的だが、教師が個人的にこのツールを試用してみたいと思うのであれば、現在2つのプランが提供されている。1つは、最大10のGoogle Classroomを持つ教師を対象とした無料オプション、もう1つは最大100のClassroomを必要とする教師を対象とした月額10ドル(約1160円)からの有料オプションだ。

同社は先日、Haystack(ヘイスタック)、Audacious Ventures(オーデイシャス・ベンチャーズ)、Accelerated Ventures(アクセラレイテッド・ベンチャーズ)の支援を受け、シードラウンドで280万ドル(約3億2000万円)の資金を調達したと発表した。現在、チームは約10名で構成されており、幼稚園から大学まで、500校以上の学校と取引している。

ダッシュボードを実際に見てみたいと思う人のために、Schoolyticsにはデモ用のダッシュボードが用意されており、前述の異なる役割に応じたダッシュボードが、どのようなものなのかをチェックすることができる。

それぞれの子どもの詳細が表示されるSchoolyticsの保護者用ダッシュボード(画像クレジット:Schoolytics)

画像クレジット:Schoolytics

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

プログラミング教育のライフイズテックと大阪府が高校向け大阪版情報教育モデルの構築に向け連携協定を締結

プログラミング教育のライフイズテックと大阪府が高校向け大阪版情報教育モデルの構築に向け連携、教員研修とモデル校で先行導入

中学生・高校生向けIT・プログラミング教育サービス「Life is Tech !」(ライフイズテック)を展開するライフイズテックと大阪府教育委員会は1月19日、高校における情報教育モデル構築に関して連携協定を締結したことを発表した。これにより、2022年度から高校の必修科目となる「情報Ⅰ」に対応したプログラミングおよびデータサイエンスの教員向け研修、学習プログラムの整備を実施する。

連携協力事項

  • 府立高等学校等の情報科教員の指導力向上及び授業実践方法の研究に関すること
  • 府立高等学校等における情報教育の実施及び教材の利用に関すること
  • 先行実施するモデル校に対し、今後の情報教育の在り方の検討及び情報教育がもたらす生徒への教育効果の実証などを目的とした調査に関すること
  • 府立高等学校などにおける実践事例の他自治体などへの広報および普及に関すること
  • 前号に掲げるもののほか、甲および乙が必要と認めること

具体的な取り組みとしては、次の3つ。

  • 教え手の育成:教育委員会、情報部会、校長会と連携しながら、オンライン完結プログラミング教材「Life Is Tech Lesson」(ライフイズテック レッスン)を使った教員の研修を実施。教員自らが教わる体験を通じて、情報科教員の指導力を強化する
  • 学習プログラムの提供:希望するモデル校に「Life Is Tech Lesson」を提供。ライフイズテックが伴走しながら生徒のプログラミングとデータサイエンスに関する知識とスキルの習得を目指す
  • 効果測定:プログラミング教育は、基礎学習・非認知能力・自尊感情を向上させるとの仮説に基づき、モデル校での生徒の意識の変化を検証する。このデータを基に授業内容の振り返りや改善を行い、大阪府のプログラミング教育のアップデートの継続を目指す

2020年に「府立学校スマートスクール推進事業」を掲げた大阪府は、GIGAスクール構想による「1人1台端末」の配備率や、情報科担当教員の専任率が全国でトップクラスだという。この連携協定を通じてより高いレベルで情報教育を進めるため、教員の資質を向上させ、モデル校での「Life is Tech Lesson」の利用を通じた学習プログラムの整備を行うとしている。

ライフイズテックは、2010年に「中高生ひとり一人の可能性を一人でも多く、最大限伸ばす」をミッションに設立したEdTech領域のスタートアップ。同社が運営するLife is Tech !は、のべ5万2000人以上が参加するITキャンプ・スクールという。

またオンラインで学べるディズニー・プログラミング学習教材を開発し、2018年に日本で「テクノロジア魔法学校」を販売、2019年には米国で「Codeillusion」(コードイリュージョン)を販売し、Life is Tech USA, Inc.を立ち上げた。2019年には、新学習指導要領に対応した学校向けオンラインプログラミング教材としてLife Is Tech Lessonを提供開始。同教材は、2021年9月末時点で全国の300以上の自治体、約1650校の公立・私立学校、約32万人が利用しているという。

ジャーナリングが可能な書く瞑想アプリmuuteによる学校共同プロジェクトがスタート、第1弾は9校の中高生約200人が参加

AIジャーナリングアプリ「muute」(Android版iOS版)を開発・運営するミッドナイトブレックファストは1月11日、生徒の自己理解力の促進やメンタルヘルス向上を目的とする学校共同プロジェクト「mutte for school β」の開始を発表した。第1弾として北海道、東京、静岡、大阪、高知から9校の中学校・高校より約200人が参加する。

ジャーナリングとは、欧米で人気のメンタル・セルフケアやマインドフルネスの手法のひとつ。頭に浮かんだことをありのままに書き出していくもので「書く瞑想」とも呼ばれる。自分の思考や感情、日々の行いを振り返り文字として書き出すことで心身の健康と自己肯定感の向上に効果があるという。muuteは、このジャーナリングを行えるうえ、書き出された内容や関連する感情や思考をAIが分析しフィードバックしてくれるアプリ。今まで気づけなかった自己の感情の揺れ動きや思考パターン、価値観などを発見できるとしている。

コロナ禍での生活により多くのストレスがかかるようになり、メンタルの不調を訴える人が増加しているという。若年層においても中程度のうつ症状を持つ子どもの割合が、高校生では30%、中学生は24%に上ることが明らかになっている(国立成育医療研究センター「『コロナ×こどもアンケート』第4回調査報告」)。

また学校現場では、自己の生き方や興味・関心のある分野を明らかにする「自己理解力」、必要な情報を収集し適切に整理・分析を行う「批判的思考力」、主体的に課題設定を行い解決に取り組む「主体的行動力」など非認知能力を高める取り組みが必要とされている。非認知能力とは、意欲・協調性・創造性・コミュニケーション能力といった、測定できない個人の特性による能力のこと全般を指し、OECDでは社会情緒的スキルと呼んでいる。

具体的には、学習指導要領の改訂により、高校において2022年度から「総合的な探究の時間」という新科目が実施される。人権問題や気候変動といった多様な社会課題を考えながら、個人的な興味と関心を基に「自己の在り方生き方」を考え自ら課題を発見し解決することを目的とするものだ。しかし具体的な指導方法の前例が少ないため、多くの学校で授業内容を模索する段階が続いている。

ミッドナイトブレックファストは、若者のメンタルヘルスの影響や学校教育現場の実態から、生徒の自己理解力の促進やメンタルヘルスのセルフケア手法において何か施策を提供できないかと検討する中で、教育機関との共同プロジェクトとしてmutte for school βを開始することとなった。同時に、自己理解やメンタルヘルスに関する状態変化などの効果検証と、実際の学校教育におけるmuuteアプリの活用および導入方法を検討する取り組みとしても行われる。

プロジェクト参加校は、札幌新陽高等学校(北海道)、ドルトン東京学園中等部・高等部(東京)、三田国際学園中学・高等学校(東京)、日本大学三島高等学校・中学校(静岡)、追手門学院中学校・高等学校(大阪)、大阪夕陽丘学園高等学校(大阪)、常翔学園中学校・高等学校(大阪)、四條畷学園高等学校(大阪)、土佐塾中学・高等学校(高知)の9校で、参加者は中学1年生から高校3年生までの約200人。実施期間は2021年1月11日~1月31日。

高専生による自主的な超小型人工衛星開発を目指す「第1回全国高専宇宙コンテスト」開催

高専生による自主的な超小型人工衛星開発を目指す「第1回全国高専宇宙コンテスト」を開催

国立高等専門学校機構は1月10日、高専生が人工衛星を使った宇宙ミッションのアイデアを競う「第1回全国高専宇宙コンテスト」を開催した(新居浜工業高等専門学校が主管校。一般参加は不可)。高専の「ものづくり教育」の一環として、学生が主体的に開発に参画する仕組み作りを目指すものだ。優れたアイデアは、今後打ち上げが予定されている高専開発による超小型衛星「KOSEN衛星」のミッションテーマとして検討されることになる。

KOSEN-1

高専では、「KOSEN-1」という超小型衛星を2021年11月にイプシロン5号機で打ち上げている。これは、高知高専、群馬高専、徳山高専、岐阜高専、香川高専、米子高専、明石高専、新居浜高専、鹿児島高専、苫小牧高専の10高専が共同開発した木星電波観測技術実証衛星。JAXA革新的衛星技術実証2号機に搭載される実証テーマに採択され、高専生が中心となり2年半かけて開発した。現在は、米子高専、群馬高専、高知高専、徳山高専、新居浜高専、岐阜高専の6校が、今年打ち上げ予定の「KOSEN-2」の開発を進めている。こちらは、JAXA革新的技術実証3号機に搭載される実証テーマに選定されたものだ。

KOSEN-Xシミュレーター

このコンテストでは、参加者に「KOSEN-1」と同等のコンピューター、センサー、カメラを備えた「KOSEN-Xシミュレーター」が渡され、考案したアイデアの実証実験が行えるようになっている。自由に使えるミッション用のスペースも確保されているため、実際に軌道を巡る衛星を想定した実験が行える。審査には、JAXAの研究者は技術者も加わり、アイデアと検証実験の双方から勝者が選出されている。

ランサムウェア攻撃で米国5000校のウェブサイトがオフラインに、コロナ集団感染の通知に障害も

米国各地の学校区にウェブサイトのデザイン、ホスティング、コンテンツ管理のソリューションを提供しているソフトウェアハウスのFinalsiteが、ランサムウェア攻撃を受けた。

先週初め、Finalsiteがホストしているウェブサイトを利用している学区は、サイトにアクセスできなくなったり、エラーが表示されることに気づいた。当初、Finalsiteはこの問題を複数のサービスにおける「パフォーマンス上の問題」としていたが、コネチカット州グラストンベリーを拠点とする同社は、今回の障害がランサムウェアによるものであることを認めた。

「1月4日(火)、当社のチームは、我々の環境の一部のシステム上にランサムウェアが存在することを確認しました」と同社は声明で述べている。「当社は直ちにシステムの安全を確保し、活動を抑制するための措置を講じました。また、第三者のフォレンジック専門家の協力を得て、迅速に調査を開始し、特定のシステムを積極的にオフラインにしました」とも。

Finalsiteの広報担当者であるMorgan Delack(モーガン・デラック)氏がTechCrunchに語ったところによると、同社の全世界の顧客総数8000のうち、カンザスシティ、イリノイ州、ミズーリ州の学区を含む約5000校の顧客が今回のインシデントの影響を受けているとのこと。ウェブサイトの停止に加えて、あるRedditユーザーによると、このインシデントにより、新型コロナ集団感染の発生による休校に関するメール通知を送信できない学校もあったという。

Finalsiteは最新の状況報告の中で「エンドユーザーに表示されるウェブサイトの大部分はオンラインに戻っている」と述べているが、「一部のサイトでは、適切なスタイル、管理者のログイン機能、カレンダーイベント、関係者ディレクトリがまだ欠けている可能性がある」と指摘している。Finalsiteの顧客の1つであるペンシルバニア州のHoly Ghost Preparatory Schoolは、1月7日に、ウェブサイトは復旧したものの、クラス登録フォームと電子メールシステムは依然として利用できないと発表した。

Finalsiteの広報担当者によると、同社は問題に気づいた時点で顧客サイトをオフラインにし、クリーンな環境でシステムを一から再構築したという。「そのため、復旧に時間がかかっています。「マルウェアの問題が原因でサイトがダウンしたのではなく、お客様のデータを保護するために停止したのです」と同担当者は述べている。

攻撃者がどのようにしてFinalsiteのシステムにアクセスしたのかは依然として不明で、攻撃に使用されたランサムウェアの種類もまだわかっていない。同社はTechCrunchに対し、フォレンジック専門家と協力して徹底した調査を続けていると述べている。

同社は、今のところランサムウェアの攻撃によってデータが盗まれたという「証拠はない」としているが、広報担当者は、調査中であることを理由に、Finalsiteがデータの流出を検知するログなどの手段を持っているかどうかについては言及を避けた。

教育機関やそのプロバイダーはパンデミックの発生以降、多くの学校区がオンラインでの遠隔授業に移行したことから、狙われやすい攻撃対象となっている。例として、2021年9月には、ワシントンD.C.のハワード大学がランサムウェア攻撃を受け、授業の中止を余儀なくされた。

画像クレジット:Olivier Douliery / Getty Images

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(文:Carly Page、翻訳:Aya Nakazato)

メルボルンのEdtechスタートアップViviが約22億円調達、100万教室達成に向け海外展開を加速

オーストラリアのEdtechスタートアップVivi(ヴィヴィ)は、教育インベスターのQuad Partners(クアッド・パートナーズ)から2000万ドル(約22億円)を調達した。この資金は、プラットフォームの改善、運営インフラのアップグレード、米国、ヨーロッパ、アジアでの営業・マーケティングチームの増員などに充てられる予定だ。

Viviは2020年、ニューヨークのRiverside Acceleration Capital(リバーサイド・アクセラレーション・キャピトル)とオーストラリアの投資家シンジケートから430万ドル(約4億8800万円)を調達しており、今回の資金調達により5年間で総額2430万ドル(約27億5700万円)を達成することになる。

今回の新たな投資により、同スタートアップは、1対1コンピューティングを利用する教育者の割合が最も高い米国を中心に、世界各地への海外展開を加速させることができる。

1対1コンピューティングとは、学校や大学などの教育機関において、在籍するすべての生徒が電子機器を使用してインターネットやデジタル教材、デジタル教科書にアクセスできるようにすることを指す。

Viviを利用することで、講師は動画や問題集などの教材を生徒に見せ、生徒は自分の端末でその内容に注釈をつけることができる。その他にも、デジタルサイネージ、緊急放送、形成的評価、学生の健康状態のチェックなど、さまざまな機能を備えている。

ワイヤレスプレゼンテーションとスクリーンミラーリング技術を世界中の4万以上の教室に提供しており、今後5年間で100万の学習スペースに到達することを計画しているViviにとって米国は豊かな市場だ。

「Viviは、非常にユニークな方法で海外に需要を生み出し、そのほとんどが口コミによるものです。Viviは、ポイントソリューションから包括的な学生参加型プラットフォームへと進化し、信じられないほど定着することが証明されています」と、Viviの創業者で執行会長のLior Rauchberger(ライオ・ラウフベルガー)博士は言った。

「私たちの次の大きな目標は、できるだけ早く100万教室に導入することであり、Quadとの提携はそれを確実に加速させるでしょう」。

特に米国は、14000近い学区、130000以上の幼稚園から高校まで、そして5000以上の大学からなる市場を提供しており、Viviにとって引き続き魅力的な市場だ。

さらに、新型コロナウイルスの大流行の結果として、米国では教育に投入される連邦政府の資金が空前のものとなり、ノートパソコンやタブレット、携帯電話を持つ生徒の数が増加している。これは、ハイブリッド学習が全米で存在感を高めていることに起因している。

「現在、私たちは特に米国において、大きな追い風を活用するために迅速に動いています。学校におけるテクノロジーイネーブルメントへの注目が急速に高まり、1対1の生徒用デバイスの比率が過去最高となり、スクリーンミラーリングの指導上および管理上の利点に対する認識が高まっている中、Viviをより多くの生徒、教育者、管理者の手にすばやく届けることができることに興奮しています」と、Viviの最高経営責任者であるNatalie Mactier(ナタリー・マクティエ)氏は同社の拡大計画について述べている。

Viviは、生徒が自分の画面をクラスや小グループで即座に共有し、すぐにフィードバックできるシンプルで直感的な授業参画として、2016年に発売された。しかし、スタートアップの登場は2013年にさかのぼり、オーストラリアの起業家であるラウフベルガー博士が、クライアントのためにワイヤレスプレゼンテーションソリューションを探したことがきっかけだった。

あらゆるデバイスに対応するコストパフォーマンスの高い製品が見つからず、イノベーションに着手し、3年後、ラウフベルガー博士とスタートアップの専門家Simon Holland(サイモン・ホランド)氏、Papercloud Ventures(ペーパークラウド・ヴェンチャーズ)の技術指導者Tomas Spacek(トーマス・スペースク)氏とのパートナーシップでViviは誕生した。

現在、Viviはオーストラリア、ヨーロッパ、中東、東南アジア、アメリカ大陸の12カ国で展開されている。

2020年から2025年にかけて世界のEdtech市場は1123億ドル(約12兆7500億円)増加し、そのうち46%は北米で生まれると予想されているため、ViviはAirtame(エアタイム)、Eupheus(エフェウス)、Coorpacademy(クーパカデミー)、Droplr(ドロップラー)といった競合と国際展開で競い合っている。

画像クレジット:Miles Wilson / Vivi

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(文:Annie Njanja、翻訳:Yuta Kaminishi)

銃撃や爆破予告、暴力行為を警告するTikTok上の噂で米国各地で学校閉鎖・警戒

TikTok(ティックトック)をはじめとするソーシャルプラットフォーム上で、米国時間12月17日に米国各地の学校が暴力の脅威に直面していることを示唆する、不吉で具体性のない噂が拡散した。多くの学校がこの動きに対応して学校を閉鎖したが、多くの地域の警察機関と少なくとも1つの連邦法執行機関が、この脅威には裏づけがないと発表している。

米国土安全保障省(DHS)は、学校に対する脅威の可能性について報告を受けたことを認識しているが、「具体的で確かな脅威」は見つからなかったと述べている。しかし、同省は「地域社会が警戒を怠らないように」と呼びかけている。

TikTokは16日にこの噂を初めて取り上げ、同社は法執行機関と連絡を取り合っているが「そのような脅迫がTikTokを介して発生したり拡散した証拠は見つかっていない」と述べた。脅迫自体はTikTokに見当たらないのは事実だが、12月17日に暴力行為が行われる可能性があるという恐怖心を煽る投稿が多く見られ、それらの噂が全国的に急速に広まったと思われる。

関連するTikTokのハッシュタグには「I luv you guys pls stay safe on Dec 17(みんな愛してる、どうか12月17日には安全でいてね)」と書かれていた。コメント欄には、この動画の制作者が「(状況を知らず)混乱している人へ、12月17日に米国各地の学校で銃撃や爆破の脅迫があって、私の学校は2回も脅迫されました」と説明している。フォロワーからは、自分の学校で最近起こった爆破予告の話が続々と寄せられた。

TikTokは17日の朝にこの状況を再確認し、FBIやDHSと連携しても、噂の発端となるような信頼性の高い脅迫を突きとめることはできなかったと述べた。

米国各地の学区や警察は、この噂を受けて注意を促す一方で、具体的な脅威が表面化していないことを強調した。フロリダ州リー郡の保安官は、自らもTikTokの動画で、米国の多くの学校が頻繁に受けている爆破予告のような「偽の脅し」をやめるよう呼びかけた。

イリノイ州グレンビュー市の警察は16日、このようにツイートした。「この脅威がイリノイ州の学校に関連しているという信憑性のある情報はありません。グレンビュー警察は、毎日、すべての学校の敷地をパトロールしており、今後もそれを続けていきます。みなさまには、引き続き警戒していただき、不審な行動を報告していただくようお願いいたします」

噂の真偽は定かではないが、カリフォルニア州テキサス州ミネソタ州コネチカット州など、多くの州で17日に学校が閉鎖された。開校した学区では、用心のためにリュックサックを家に置いておくように指示したところもあった。

全米の地方自治体および連邦政府の法執行機関は、引き続き事態を監視している。

画像クレジット:AaronP/Bauer-Griffin/GC Images / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Aya Nakazato)

Google支援、みんなのコードが小中学校教員・生徒・保護者対象に「プログラミング教育実態調査」実施し報告書を公開

Google支援、みんなのコードが日本全国の小中学校教員・児童・保護者対象に「プログラミング教育実態調査」実施し報告書を公開

特定非営利活動法人みんなのコードは12月2日、Google支援の下、全国の学校教育における「プログラミング教育実態調査」を実施し、報告書を公開した。この調査では小学校児童の7割以上が、「プログラミングは楽しかった」と回答している。その一方で、教える側の問題も明らかになった。

報告書
小学校教員の意識調査の単純集計結果
中学校教員の意識調査の単純集計結果
子どもと保護者の意識調査の単純集計結果

これは、全国の小学校教員1037人、中学校教員1362人、小学校・中学校・高校の児童生徒とその保護者3000組を対象に行った定量調査と定性調査。中学校技術分野教員向けアンケート調査は、全日本中学校技術・家庭科研究会との共同で行われた。同時に、今後の日本の取り組みの参考にすべく、イングランド、オーストラリア、韓国、ケニアでのプログラミング教育の取り組みについても文献調査を行った。

たとえば、こんな結果が出た。プログラミングのプロではなく、学校の先生が教えることで、児童・生徒にプログラミングへの苦手意識が芽生えるのではないかと心配する声があるものの、同調査では、小学生の73.8%が「プログラミングは楽しかった」と回答した。また、プログラミングを経験した児童生徒は、未経験の者と比較して、「将来プログラミングに関する仕事に就くか?」との質問に、小学生では2倍、高校生では3倍、前向きな回答をしていることもわかった。

Google支援、みんなのコードが日本全国の小中学校教員・児童・保護者対象に「プログラミング教育実態調査」実施し報告書を公開

左端が小学生、中央が中学生、右端が高校生

  1. Google支援、みんなのコードが日本全国の小中学校教員・児童・保護者対象に「プログラミング教育実態調査」実施し報告書を公開

  2. Google支援、みんなのコードが日本全国の小中学校教員・児童・保護者対象に「プログラミング教育実態調査」実施し報告書を公開

  3. Google支援、みんなのコードが日本全国の小中学校教員・児童・保護者対象に「プログラミング教育実態調査」実施し報告書を公開

子どもたちには、おおむね良好な結果となったが、その一方で教える側の問題も見えてきた。小学校では、7時間以上の研修を受けた教師による授業は、1時間未満の研修や、研修を受けていない教師によるものに対して、児童の関心度に大きな差が出た。ところが、校務や部活動などに大幅に時間をとられ、授業の準備時間がなかなかとれない(小学校教員、中学校技術分野教員で8割以上)という。

Google支援、みんなのコードが小中学校教員・児童・保護者対象に「プログラミング教育実態調査」実施し報告書を公開

Google支援、みんなのコードが日本全国の小中学校教員・児童・保護者対象に「プログラミング教育実態調査」実施し報告書を公開

小学校教員

Google支援、みんなのコードが日本全国の小中学校教員・児童・保護者対象に「プログラミング教育実態調査」実施し報告書を公開

中学校教員

おもな調査結果を要約すると、以下のようになる。

小学校

  • GIGAスクール構想(全国の児童生徒1人に1台のコンピューターと高速回線を整備する文科省の取り組み)の対応でプログラミング教育が後手になる
  • 研修時間が長いほど手応えを感じる
  • プログラミング教育の実施状況は半数弱、今後実施予定が3割
  • 児童のITやプログラミングへの関心が高まったと教員の7割が回答
  • 専門知識や指導事例が不足している

中学校

  • 授業の準備時間を十分に確保できない教員が9割弱
  • 積極的な教員ほど生徒の反応がよい
  • D情報の技術の実施状況は、2と3は4時間以上、1は3時間以下
  • D2に対する課題意識が強い
  • 生徒の考え方の変化や進路選択のきっかけになった

子どもと保護者

  • 保護者のITリテラシーが大きく影響
  • 保護者のITの関心度が学校外のプログラミング教育の機会に影響

LINEアプリからスクールランチを予約注文、福岡拠点の給食スタートアップPECOFREEが総額6100万円の資金調達

LINEアプリからスクールランチを予約注文できるサービス「PECOFREE」(ペコフリー)を開発・運営するPECOFREEは11月15日、資金調達を行なったことを発表した。引受先はSun Asterisk、RKB毎日放送、テノ.ホールディングス。また9月に実施したNCBベンチャーキャピタルからの資金調達と合わせて、総調達額は6100万円となった。調達した資金は、システム開発、サービス認知拡大のためのマーケティング、人材採用の拡充に充てる。

PECOFREEは、学校で食べる食事をスマートフォンで予約注文(モバイルオーダー)できるサービス。学校単位での導入が可能。栄養士が監修した献立の弁当を毎日3種類用意しており、生徒が食べたいものを前日までにLINE上のLINEミニアプリで選択・予約注文すると、学校内に配置された受け取り・返却ボックスに当日配送を行う。

価格は1食(弁当)あたり税込450円(価格変更可能)で、支払いは保護者がチャージしたポイントから行なわれる。アプリからの注文は、学校が配布するログインコードをLINEアプリに入力するだけで誰でも開始できる。氏名や連絡先などの個人情報、さらに支払時のカード情報はシステムに保存されないため、保護者としても安心して利用できるとしている。

2021年2月設立のPECOFREEは、福岡を拠点とする給食領域のスタートアップ。「お腹を空かせた(ペコペコ)学生へ自由(フリー)な食事を!」をスローガンに、全国の高等学校を対象とした高校生のための給食(お弁当)モバイルオーダーサービスとして、2021年4月より同サービスを開始した。

リリース後、高校以外にも幼稚園・小中学校、専門学校、大学、塾などから問い合わせがあるという。現在は小学校学童施設、専門学校などを含めて県内外を含め約70校以上の導入が決定しており、学校寮の朝食・夕食の提供や自治体、市の給食への導入検討も進めているそうだ。

ミクシィが渋谷区立中学校の「パソコン部」支援で講師派遣やコンテンツ提供、スクリプト言語LuaやPythonに取り組む

ミクシィが渋谷区立中学校の「パソコン部」支援で講師派遣やコンテンツ提供、スクリプト言語LuaやPythonにじっくり取り組む

ミクシィは10月18日、渋谷区立中学校の部活動を地域の企業や団体で支える取り組みシブヤ「部活動改革」プロジェクトに参画すると発表。2021年11月から試験的に開始される初年度では、渋谷区立中学校全生徒が既存部活動に加えて参加できる合同の部活動「パソコン部」の立ち上げに協力し、講師やコンテンツの提供を行う。

渋谷区立中学校では、少子化によって、たとえば2021年度にサッカー部がある学校が8校中4校であったり、学校によって希望する部活動がなかったり、運動部では部員が少なくてチームが組めないなどの問題が生じている。そこで渋谷区は、2021年度「シブヤ『部活動改革』プロジェクト」を立ち上げ、地域の企業や団体の協力によるサッカー部、ダンス部、将棋部など9つの部活動を11月より開始することにした。

ミクシィは、渋谷区立中学校において授業や放課後学習の形でプログラミング教育を2019年度より支援しており、合同部活動としての「パソコン部」においては、まずは2021年11月と2022年2月の2回、それぞれ3日間のプログラミング教室を開催する。11月は、スクリプト言語Luaを使ってゲームのプログラミングを学び、実際にアクションゲームを作ってプレイできるところまでを行う。2022年2月は、プログラミング学習ソフトを使ってPythonを学ぶ。

プログラミング学習ソフトの画面イメージ(Lua)

プログラミング学習ソフトの画面イメージ(Lua)

プログラミング学習ソフトの画面イメージ(Python)

プログラミング学習ソフトの画面イメージ(Python)

ミクシィでは、プログラミング学習の他にも同社のリソースを用いた支援を検討しており、「ESG活動における次世代育成や地域への貢献活動の新しい取り組みとして、渋谷区の部活動改革に協力してまいります」と話している。

【コラム】ハイテクとハイタッチのハイブリッドがパンデミック後の教育新時代を築く

パンデミック渦の教育におけるテクノロジーの役割について、これまで多くの議論が繰り広げられてきた。それもそのはずである。デジタルソリューションは、不確実な状況下や休校のような事態にも、学校コミュニティが学習を継続することを可能にしたからだ。

しかしEdTechの台頭は大きな課題と向かい合わせの状態でもある。2020年3月にパンデミックで学校が閉鎖されて以来、教育機関は生徒がコンピューティングデバイスやインターネットにアクセスできるようにするための投資を行ってきた。

テクノロジーに不慣れな教師たちが即席の仮想教室でリモート授業を行う方法を学び、テクノロジーに精通するようになった。しかし、デジタル学習がここまで進展したにもかかわらず、教室での対面式授業という社会的側面が中断された結果、2020年から2021年の学校年度を終えた生徒の読解力と数学の成績は平均で4〜5カ月遅れていることがMcKinsey & Companyの最近の調査で明らかになった。

教師がソフトウェアを使って、指導を差別化したり個人に合わせて行ったりすることができるようになり、デジタル学習の可能性は見えてきた。しかしここで終わらせてはいけないのである。この1年半の間に「テクノロジー」は「バーチャル」とほぼ同義語になり、多くの子どもたちはデバイスの向こう側で孤独を感じ、仲間や教師とのつながりを求めていたのである。

私たちは今、これまでに学んだことを活かして教育の新時代の到来を告げるべきなのである。それは、テクノロジーを有意義に活用しながらも、人とのつながりを中心とした教育であり、魅力的なソフトウェアとすばらしい教師のどちらか1つを選ばなくて良い教育である。この秋新学期が始まるが、これからは最高のテクノロジーと最高の教室体験を融合させていくことが重要なのである。

HMHは先に、毎年恒例のEducator Confidence Reportの結果を発表した。今回の結果はパンデミック後の教室の特徴を示す重要な洞察を描き出している。

全米各地の第一線で働く1200人以上の教育者が回答したこの調査。楽観的な見方は減少しているものの(自分の職業の状況について、やや肯定的または肯定的な見方をしていると回答した教育者はわずか38%)、学習テクノロジーの習得と恩恵に対する自信は上昇しているようだ。

私たちは今、デジタルに関して見通しの段階から証明する段階へと移行しているのである。

激動の1年ではあったものの、テクノロジーに対する教師の現状への見解は、デジタルソリューションをより目的を持って利用するための道を開く明るい材料となった。

教育関係者のEdTech活用に対する自信は、7年前にこの調査を開始して以来過去最高となっており、66%の教員が自分の能力に非常に大きな自信を持っていると答えている。多くの教育関係者がその理由として、2020年3月に「窮地に追い込まれた」経験があったからこそだと答えている。現在ではほぼ満場一致で95%の教師がEdTechの効果を実感しており、77%がパンデミック後もより効果的に教育するためにテクノロジーを活用したいと考えている。

重要なのは、教師がどのようなメリットを感じているかということだ。81%の教師が、生徒のエンゲージメントの向上、差別化された個別指導、教育コンテンツへの柔軟なアクセスの3つの利点のうち少なくとも1つを報告しており、これらはいずれも生徒を中心としたものである。

テクノロジーがより大きな役割を果たし、より効果的になっているにもかかわらず、教育者たちはデバイスやインターネットへのアクセス不足など、アクセスや効果を妨げる重大な障壁が依然として存在すると報告している。57%の教育者が、生徒がテクノロジーに積極的に関与していないことが大きな障壁になっていると指摘しており、また半数以上の教育者が、デジタルリソースを授業に組み込む計画を立てる時間がないことが最重要課題であると答えている。

生徒の心の健康が教育関係者の最大の関心

教育と学習の中心にあるのは、教師と生徒の間に築かれ育まれる強い結びつきであり、それが学業や社会性の成長の基盤となり学習意欲を高めるということは、誰もが認識していることだ。私たちはこのつながりを断ち切り生徒を孤立させるようなテクノロジーによって、この重要な関係を曖昧にさせてはならず、今回の調査データはそれをしっかりと証言している。

教育関係者の58%がパンデミック後に生徒の社会性と情動のニーズが高まることを懸念しており、そのニーズには2021年も引き続き高い関心が寄せられている(これは教師自身の給与や生徒が遅れをとることへの懸念を上回る数字である)。そして82%の教育関係者が、工夫凝らし、完全に統合された社会性と情動の学習(SEL)プログラムが効果を表すだろうと考えている。

「パンデミック後の教育モデル」への移行を開始するためには、テクノロジーの力と従来通りの教室での学習を融合させた、ハイテクとハイタッチ、つまり人間らしい触れ合いが互いに補強し合う、両世界の長所を活かしたアプローチが有効になるだろう。

教育者たちのユニークな経験から見えてくる、未来の教室の姿

テクノロジーだけでは教育の新時代を切り開くことはできない。コミュニティ志向かつ人間のつながりを重視したマインドで、デジタルソリューションを活用していくことが重要だ。

HMHでは、孤立ではなくエンゲージメントを促すEdTech・エコシステムを目指している。単なる「ガラス画面の下の1ページ」ではなく、教師が指導を差別化できるような実用的なデータや洞察を提供するソリューションを提供し、教育者の負担を増やすのではなく、むしろその能力を拡張して、生徒の社会性と情動のニーズに集中する時間を与えるイノベーションを目指している。

教育関係者らが、こういった目標を達成するためのテクノロジーの潜在性を信じているということは、はっきりとわかった。82%の教育関係者が生徒1人ひとりに合わせた学習が将来の学習と教育を変えると考えており、75%の教育関係者が、指導と評価を1つのプラットフォームで行える技術ソリューションが、この変革に不可欠であると考えている。

この1年でEdTechの可能性は飛躍的に高まっているが、教室の未来は単にハイテクだけではなく、ハイタッチでもあるのだ。

教育関係者にパンデミック後に最も楽しみにしていることを尋ねたところ、その答えは明らかで「学生コミュニティと一緒にいられること」だった。80%が学生と直接交流できることを、74%が学生のエンゲージメントが高まることを、63%が学生間のコラボレーション機会があることを心待ちにしている。

対面式学習とデジタル学習をめぐる熱い議論は、デジタルかアナログかという極端な対立を生み出す短絡的なものになりがちだ。しかしこれが対極にあるものという考えをやめ、相互に補完し合うものだという考えを受け入れることができたら、私たちは最大の成功を手に入れることができるだろう。

2020年私たちは多くのものを失ったが、同時に重要なものも手に入れた。そしてこの勢いを継続することは可能である。私たちは社会として、目の前の健康リスクを評価し、職場や地域、そしてもちろん学校も含め、ますますハイブリッドな世界を進んでいく必要がある。

私たちが本格的に校舎に戻るとき、テクノロジーとイノベーションを駆使しながらも、その中心にある教師と生徒のコミュニティによって永遠に定義される、新しい学習の時代の到来を告げる準備ができていると私は信じている。

編集部注:本稿の執筆者Jack Lynch(ジャック・リンチ)氏は、Edtechのベテラン。学習テクノロジー企業HMHのCEO。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Jack Lynch、翻訳:Dragonfly)

米国通学システムスタートアップZūmが1万台のEVをプラットフォームに追加

通学する子どもたち向けに最適な移動サービスを提供するスタートアップのZūm(ズーム)は、1億3000万ドル(約146億円)のシリーズD調達を行ったことを発表した。これによって同社の総資金額は2億ドル(約224億円)を超えた。同社は、この資金を使って、1万台の電気バスやバン、車両を新たにプラットフォームに追加し、2025年までに電気自動車(EV)率を100%にすることを最終目標としている。現在、同社は1000台の車両を保有しており、それらは主に内燃機関で動いている。

オフピーク時には大量のバッテリーが使われない状態になることを想定した Zūmは、同社の車両をグリッドにエネルギーを還元する巨大な仮想発電所に変身させるために、エネルギー管理・分配ソフトウェアを提供するAutoGrid(オートグリッド)と提携した。

Softbank Vision Fund 2が主導し、Sequoia、BMW i Ventures、AngelPadなどの既存の投資家が参加した今回のシリーズD資金調達が行われたのは、Zūmがサンフランシスコ統一学校区(SFUSD)の輸送サービスを近代化するための1億5000万ドル(約168億円)の契約を獲得してから数カ月後のことだ。また、Zūmは、この資本を新しい市場や地域へのさらなる拡大のために使用したいと考えているという。

通学用の交通システムは、米国最大の大量輸送機関だと言われているにもかかわらず、前世紀からあまり変化していない。米国では毎日2600万人以上の子どもたちがバスに乗っているが、そのバスはいまだに時代遅れの黄色いバスで、ディーゼル燃料を吐き出しながら、効率が悪く位置追跡もされないルートを走行しているようだ。Zūmは、乗り換え時間を短縮したり特別なニーズを持つ生徒に対応したりできるように、バス、バン、車両を学区内に配置し、高度な車両管理プログラムを使って移動を最適化できるシステムを、2021年以降に導入することを目指している。

CEOで共同創業者のRitu Narayan(リトゥ・ナラヤン)氏は声明の中で「当社は、子どものために親が直接乗り物を予約する会社としてスタートしましたが、この成功を基にシステム全体にサービスを拡大できる可能性があると考えました」という。「本日私たちは、通学システムを悩ませてきた構造的な問題を解決するために、大きな一歩を踏み出しました。学校、保護者、子ども、ドライバーのすべてがより良いものを手に入れるべきだと考え、システム全体を刷新していきます」。

通学システムは学校区内における最大のコストの1つだ。Zūmは、遠回りのルートや硬直したスケジュールなどの非効率性を是正することで、SFUSDのような学区では、平均して年間300万ドル(約3億4000万円)の経費削減に成功しているという。すでにカリフォルニア、シアトル、シカゴ、ダラスの4000校と提携しており、今後数年間でアリゾナ、フロリダ、バージニア、オレゴン、ニューヨークなど12の州にサービスを拡大する予定で、次のターゲットとしてワシントンD.C.も視野に入れている。

Softbank Investment Advisersの投資ディレクターであるAndrew Straub(アンドリュー・ストラウブ)氏は「Zūmは、データとテクノロジーを駆使することで、子どもたちの安全性を高めながら、より良いサービス、効率性、持続可能性を提供し、通学システム刷新できていると確信しています」と述べている。「私たちは、過去1年間に、学校のネットワーク全体にZūmのサービスを導入した学区で、大幅なコスト削減などの即効性があったことに感心しているのです」。

画像クレジット:Zūm

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:sako)

経済産業省が中学高校のデジタル関連部活の活性化に向け支援を検討開始、パソコン・プログラミング・ロボット・AIなど

経済産業省が中学・高校のデジタル関連部活の活性化に向け支援を検討開始、パソコン部・プログラミング部・ロボット部・AI部など経済産業省は9月29日、デジタル技術に精通した人材を育てるため、中学校と高校のパソコン部、プログラミング部、ロボット部、AI部などのデジタル関連の部活動を活性化・高度化させ、生徒のデジタルスキルの向上をはかる目的で、産業界を中心としたデジタル関連部活の支援のあり方を検討すると発表した。

経済産業省は、10月に「デジタル関連部活支援の在り方に関する検討会」を設置し、教育界、産業界の有識者、デジタル庁、総務省、文部科学省、文化庁などが参加して論議を進め、2021年度内に提言を取りまとめる予定としている。

中学高校では、デジタル技術に高い関心と能力を有する生徒たちが集まっているものの、顧問の教師にプログラミングはじめ専門知識や経験がないことが多く、そのために活動は限定的となり、十分な指導ができないのが現状とされている。一方、産業界には、CSR(社会的責任)の意識の高まりや、将来の日本の競争力を見据える立場から、中学高校のデジタル関連部活を支援したいという意欲がある。2020年に経済産業省が発表した「中学・高等学校等の IT 関連部活への支援に関する調査研究」報告書によれば、調査対象となった企業の約半数が、そうした支援を行いたいと答えた。また、「教育委員会や学校と産業界をつなぐ仕組みを作ってほしい」という声も産業界から出ているとのことだ。

10月5日に第1回検討会が開かれ、12月、3月にもそれぞれ開催される予定。第1回の傍聴予約はこちらから委員の名簿はこちらで公開されている。

経済産業省が中学・高校のデジタル関連部活の活性化に向け支援を検討開始、パソコン部・プログラミング部・ロボット部・AI部など

経済産業省が中学・高校のデジタル関連部活の活性化に向け支援を検討開始、パソコン部・プログラミング部・ロボット部・AI部など

産業界に対するアンケート結果(「中学・高等学校等の IT 関連部活への支援に関する調査研究」報告書)

米連邦通信委員会が子どもたちの「宿題格差」解消へ基金から1320億円を全米の学校に給付

FCC(米連邦通信委員会)は、Emergency Connectivity Fund(ECF、緊急接続基金)から最初の小切手を発送した。この基金は、コンピュータやインターネットサービスの費用を負担し、学校における「宿題格差」を解消する取り組みだ。最初の12億ドル(約1320億円)の小切手は、すべての州とワシントンDC、グアム、プエルトリコの数千の学区に分配され、さらに多くの給付が予定されている。

ECFが解決しようとしている問題は、勉強や宿題、そして今では授業もすべてオンラインで行われるこの時代に、それらに参加するためのデバイスや適切なインターネット接続がない多くの生徒らのことだ。この状況が、すでにある不平等を悪化させている。彼らは、他のリソースにアクセスできず、彼らには非がないのに遅れをとってしまうことが多いからだ。

ECFはこうした状況に対処するために用意され、2021年初めにパンデミック対策法案の一環として資金が積み立てられた。同基金は総額70億ドル(約7700億円)のプログラムだ。学校や図書館が「これだけのタブレット端末やワイヤレスホットスポット、ブロードバンド接続の費用が必要だ」と正式に申請すると、一定期間にわたり資金が分配される。要求が妥当であり、書類が整っていれば、費用を負担してくれるようだ。

関連記事:米FCCがネット接続支援に1.08兆円の緊急支出開始、パンデミックによる悪影響が最も深刻な人々を支援

「イリノイ州セッサーのセッサー図書館のような地方の小さな図書館から、ボルチモア市の公立学校のような大規模な学区まで、この第1弾の資金援助により、300万台以上の接続機器が遠隔学習のために提供されます。デジタル格差の最も残酷な部分の1つを解消する大きな一歩となるでしょう」と、FCC議長代理のJessica Rosenworcel(ジェシカ・ローゼンウォーセル)氏はニュースリリースで述べた。

均等に分配されるのではなく、受け取った申請書に応じて分配される。金額が最も大きいのはニューヨーク州で2億4300万ドル(約267億3000万円、うち211億2000万円はニューヨーク市)、次いでテキサス州が9700万ドル(約106億7000万円)、カリフォルニア州が7100万ドル(約78億1000万円)となっている。ワイオミング州とサウスダコタ州はそれぞれ10万ドル(約1100万円)以下だった。基金からの2回目の支給に対し書類を提出した地区があった可能性がある。

そのため、米国時間9月28日に、2021年の7月から2022年の6月までに使用される機器やサービスを対象とする新しい申請期間が設けられた。FCCは第1回目の申請をまだ処理していると述べているため、もしあなたの地区の申請に対し回答がなくても、心配する必要はない。まだ申請していない地区は、さっそく申請してみてはいかがだろうか。

地区別・金額別に分類された受領者の全リストは、このリンク先のスプレッドシートで確認できる。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nariko Mizoguchi

学習支援プラットフォームMonoxerの「小テスト機能」がアップデート、記憶定着から確認テスト実施までのフローを一元化

  1. 学習プラットフォームMonoxerの「小テスト機能」がアップデート、記憶定着から確認テストの実施までのフローが一元化

モノグサは9月22日、記憶定着のための学習プラットフォーム「Monoxer」(Android版iOS版)の「小テスト機能」をアップデートしたと発表した。Monoxer上で作成したBook(問題集)をそのまま小テストとして使えるため、記憶定着からテストにおける確認まで、Monoxer上で完全に一元化できる。

これまでのMonoxerでは、先生が児童・生徒に憶えてもらいたい項目をBook(問題集)として作成し、その確認のための小テストは別途作成をする必要があった。今回のアップデートにより、学校や塾の先生方にとってより手間がない形で、記憶定着から確認テストの実施までのフローをサポート可能となった。

2021年4月に正式リリースした小テスト機能は、児童・生徒が学んだ内容をMonoxer上で小テストにし、AIが自動採点するという機能。多くの学校・塾では、先生が紙のテストをプリントアウトおよびコピーし、生徒に解かせた後に採点して、点数を集計している。膨大な時間が割かれていることから、同社は、このプロセスをMonoxerを活用し小テスト機能としてデジタル化した。

Monoxerでは、手書き入力や音声認識など機能を利用することで先生は様々な形式のテストを作成し、採点をすべてAIに任せられるという。作成する小テストは、配点・制限時間・難易度の設定が可能。択一問題から英単語や漢字を入力する問題まで、これまで紙でできていたテストから、デジタルならではのもの作ることも作成できる。

また、Monoxerにおける学習履歴・記憶度と小テストの結果を比べることで、一夜漬けなのか、日々の学習の成果なのかわかるため、長期の目標に対しても正しく進捗を把握できるという。学習履歴とテスト結果を紐付けることで、生徒や保護者に対して、結果だけでなく、プロセスも共有可能となっており、先生、保護者、児童・生徒の三者間でより強固な関係性を構築できるとしている。学習プラットフォームMonoxerの「小テスト機能」がアップデート、記憶定着から確認テストの実施までのフローが一元化

Monoxerは、児童・生徒におぼえてほしい内容を先生が登録するだけで、その内容を定着させるために必要な問題が自動で作成されるという、記憶定着のための学習プラットフォーム。生徒は作成された問題をスマホ・タブレットのアプリで学習可能な上、個別の習熟度・忘却度に応じて、リアルタイムで問題の出題頻度や難易度が調整される。このため、児童・生徒それぞれのレベルにあった学習が実現できるとしている。

また、遠隔でも生徒の学習状況・定着度がわかるため、通学・通塾が困難な状況でも、きめ細やかな指導を行うことが可能という。

 

学習管理アプリ「Studyplus」が月額980円で電子参考書200冊以上が使い放題になる「Studyplusブック読み放題」発表

学習管理アプリ「Studyplus」が月額980円で電子参考書200冊以上が読み放題になる「Studyplusブック読み放題」開始スタディプラスは9月15日、勉強記録・学習管理サービス「Studyplus」(Android版iOS版)において、学習参考書など電子教材が使えるデジタル教材プラットフォーム「Studyplusブック」を発表した。同プラットフォームでは、月額980円(税込)で参考書200冊以上を利用できる「Studyplusブック読み放題」、紙版を購入すると電子版を提供する「Studyplusブックコード」の2サービスを提供する。提供開始時期は、2022年1月(一部サービスは2021年11月より先行リリース予定)。

「Studyplusブック」プラットフォーム

Studyplusブックでは、Studyplusの本棚に並ぶ書影から、そのまま電子教材ビューアを開くことが可能。ビューアは目次機能、ページめくり、見開き表示、拡大縮小など標準的な機能を搭載。ビューアの利用を終了すると、ビューアを開いていた時間をそのまま勉強時間として記録できる。

また通常のビューア以外に、一問一答形式の教材に対応する「暗記チェック機能」も提供予定(一部の教材のみ対応予定)。問題に対する回答が確認できるほか、問題ごとに正誤記録を残せるため、「間違えた問題だけをやり直す」「正答率から自分の理解度をチェックする」といった使い方も可能。音声再生機能、しおり機能も採用している。

対応環境(2021年9月時点)としては、iOS 13.0以上、Android 7.0以上としているが、ウェブブラウザー対応も予定しているという。学習管理アプリ「Studyplus」が月額980円で電子参考書200冊以上が読み放題になる「Studyplusブック読み放題」開始

またStudyplusブックは、個人はじめ学校や塾などでの法人利用にも対応し、教育機関向け学習管理プラットフォーム「Studyplus for School」と合わせて利用可能。これにより、学校や塾をはじめとする教室で「Studyplusブック」のスタディログに基づいた指導を実現できるとしている。

なお、スタディプラスが2019年9月から提供している電子参考書サービス「ポルト」は、Studyplusブックに統合する。単独サービスとしてのポルトは段階的にサービスを終了する予定(スケジュールはサービス内で告知予定)。

月額980円で参考書200冊以上が使い放題の「Studyplusブック読み放題」

Studyplusブック読み放題は、月額980円(税込)で電子版の学習参考書200冊以上が使い放題になるサービス。前身である「ポルト」から引き続いて18の出版社が参画する予定。

提携出版社(2021年9月時点)は、アルク、旺文社、学研プラス、KADOKAWA、河合出版、かんき出版、京都書房、研究社、講談社、新興出版社啓林館、水王舎、スタディカンパニー、世界思想社教学社、Z会ソリューションズ、第一学習社、東京書籍、ブックマン社、山川出版社。学習管理アプリ「Studyplus」が月額980円で電子参考書200冊以上が読み放題になる「Studyplusブック読み放題」開始

対象の紙版参考書を購入すると、電子版も利用可能となる「Studyplusブックコード」

Studyplusブックコードは、出版社と共同で電子版教材の普及に取り組むサービスで、対象の紙版参考書を購入すると、Studyplus上で利用できる電子版(Studyplusブック教材)を提供する。Studyplusブックコードを導入することで、これにより、デジタル参考書と紙版とを用途によって使い分けられるようになる。学習管理アプリ「Studyplus」が月額980円で電子参考書200冊以上が読み放題になる「Studyplusブック読み放題」開始

これまでの発行コード数は30万コード以上で、全国約550の学校がブックコードを利用しているそうだ(前身であるポルトコードからの実績。2021年9月時点)。Studyplusブックコード提携出版社(2021年9月時点)は、京都書房、Z会ソリューションズ、第一学習社、山川出版社。2022年度にさらに提携出版社を拡大予定。学習管理アプリ「Studyplus」が月額980円で電子参考書200冊以上が読み放題になる「Studyplusブック読み放題」開始

新学期早々、学校の備品を盗むTikTok動画が米国で大人気

新学期が始まった。しかしなぜか、新学期はTikTokを使う子どもたちにとって、ネジ止めされていないものなら何でも盗んでいいシーズンなのだ。

TikTokの最新トレンドは社会的大混乱を招いており、「悪質ないたずら」で、ささやかな窃盗行為が相次いでいる。盗まれるのは手洗い所の石けん入れや、新型コロナウイルスの検査キット、手の消毒剤で、教室にあるハイテク製品など高価なものも盗まれている。

以下の動画は、Lil Bの「Ski Ski BasedGod」を編集したバージョンで、Mashableによると、米国時間9月13日にはTikTok上で約10万本の動画に登場し、#deviouslickというタグで1億7500万回以上の再生回数があった。

9月15日にはTikTok自身が動き出し、バイラルないたずらの検索結果を制限し、そのタグがついた動画を削除し「先生にはもっと優しくしよう」と呼びかけた。

TikTokの広報担当者は次のように語る。「コミュニティが安全性を維持し、責任ある創作を期待したい。犯罪的な行為をそそのかしたり、可能にするコンテンツは許可しない。このコンテンツは削除し、ハッシュタグと検索結果を弊社のコミュニティガイドラインへリダイレクトして、このような行為を阻止しています」。

どれが流されて、どれが正当なものなのかを知ることは困難だが、このトレンドは全米の教師や親がストレスを感じるほど大きなものだ。ラスベガスのある中学校では、生徒が制限速度の標識、火災報知器、石けん入れ、教室のプロジェクターなどを盗んだと学校管理者は報告している。また、オレゴン州のポートランドでは、少なくとも1つの高校で、建物全体の石けん入れがなくなった。

このトレンドは相当大きくて、国中の教師や親を困らせるに十分だった。ラスベガスの中学校では、速度制限の標識や火災報知器、石鹸入れ、教室のプロジェクターなどを盗んでいると学校管理者が報告している。オレゴン州ポートランドでは、少なくとも1つの高校で、全校の石鹸入れが消えた。パンデミックでみんなが苦しんでいる中での新学期として、良い光景とはいえない。

関連記事:TikTokが「牛乳ケースチャレンジ」の動画を禁止、危険性からユーザーを守るため

画像クレジット:CHANTAL VALERY/AFP via Getty Images/Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

オーストラリアのTechnologyOneが英国の高等教育プラットフォームScientiaを約18.2億円で買収

オーストラリアのSaaS企業であるTechnologyOne(テクノロジー・ワン)は、英国の高等教育ソフトウェアプロバイダーであるScientia(サイエンティア)を現金1200万ポンド(約18億2000万円)で買収することに合意した。

TechnologyOneは、オーストラリアの高等教育機関の75%が同社のソフトウェアを使用していると主張しており、一方、Scientiaは英国で50%の市場シェアを主張している。

この買収には、600万ポンド(約9億13000万円)の初期払いとそれ以降の支払いが含まれている。

TechnologyOneの創業者であり、会長のAdrian Di Marco(アドリアン・ディ・マルコ)氏は「今回の買収は、当社にとって初めての国際的な買収であり、高等教育分野と英国市場への貢献に対する当社の深いコミットメントを示すものです。ScientiaのユニークなIPと市場をリードする能力は、とにかく使いやすい企業向けソフトウェアを提供するという当社のビジョンを支えています」と述べている。

スウィンバーン工科大学の学籍担当事務官兼学生管理・図書館サービス部長のMichelle Gillespie(ミッシェル・ギレスピー)氏は「学生が最も気にかけているのは、自分たちの時間割です。時間割を学生生活全体に完全に統合できることは非常に重要であり、スウィンバーン工科大学のようにTechnologyOneの学生管理システムを使用している大学にとってはとてもワクワクする一歩となります」とコメントしている。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Mike Butcher、翻訳:Akihito Mizukoshi)