グリー田中氏が10年を振り返る——社会からの批判、「未熟」の一言につきる

福岡で4月9日〜10日に開催中の招待制イベント「B Dash Camp 2015 Spring in Fukuoka」。午後には「グリー10年の軌跡とこれから」と題したセッションが開かれた。登壇したのはグリー代表取締役会長兼社長の田中良和氏。B Dash Ventures代表取締役社長の渡辺洋行氏がモデレーターを務める中、グリーのこれまで——特に苦労を中心に——を語った。

人が誰も入ってこなかった

2人で起業してから従業員約1800人まで成長したグリー。渡辺氏はまず、一番大変だった時期について尋ねる。

「この10年悩んでいるが、グリーはすごくうまくいっているのか、そうではないのか分からなくなる」(田中氏)と答える田中氏だが、まず最初に大変だったのは人材採用だったそうだ。

「1番目の社員は山岸さん(創業期メンバーであり、現・取締役副会長の山岸広太郎氏)の友達。エンジニアだと聞いていたが『経理しかできない』と言われた。でも人がいなかったので採用した。2、3番目は学生で、4番目は営業に来たサイボウズの社員。手当たり次第採用しないと誰も入ってこなかった」(田中氏)。

上場時の社員は約100人だが、田中氏の友達の友達、社員の友達の友達といった人材が7割程度を占めていた。「(友達が多いのは)自慢ではなくて、ただ誰も入ってこなかった」(田中氏)

田中氏は、そんな状況でも事業を続けられた理由について、楽天での経験を挙げる。「創業期に遊びに行ったとき、楽天は雑居ビルの一室。三木谷さんはハーバードを出ているのにカローラに乗っていて『こういう人に関わっちゃいけない』と思った。だがその後会社は大きくなり、『会社ってそうやって作るモノだ』と思った。だから(グリーの創業期も)乗り越えられた」

PCからフィーチャーフォンへのシフト

苦労話はまだ続く。いざ人材が入っても、その人材に支払うお金がないのだ。「僕も(年収)400万円くらいで働いていた。辛いのは誘って入社してくれる人。前職から大幅に給料を下げてもらうしかないのが現実。心苦しいと思っていた」(田中氏)

そんなときは、自身でキャッシングしてお金を捻出していたそう。給料遅延こそなかったそうだが、「このあと破産するか、うまくいくか、どっちかしかないと思っていた」(田中氏)のだそう。

苦境はまだまだ続く。上場が見え始めた頃(2005〜2006年頃、KDDIからの調達前)に、PCでのビジネスの限界点が見えたという。そのタイミングでフィーチャーフォンで定額制がスタート。思いきってモバイルにシフトをしたのだという。

渡辺氏はその際に出た社内の不満をどう調整していったのかと田中氏に尋ねる。「社長として問われるのは、その話(モバイルシフト)をして納得しない、辞めちゃったとしてもしょうがない。『それしかないんだ』と自分でどれだけ確信できるかだ」(田中氏)

社会からの批判、「未熟」の一言につきる

そんな苦労も超えて、ゲームプラットフォームとして成功の道を歩き始めたグリー。だが2010年頃からは、競合とのケンカ(渡辺氏の表現。当時グリーとDeNAはプラットフォーム同士でのいざこざがいろいろあった。当時の状況を知りたければこんな記事もある)に始まり、コンプガチャの問題が起こる。

田中氏は当時の心境について、「何が起きているのか咀嚼するのに時間がかかった。メディアの報道を見て、何を問われているのかと」と振り返る。

「僕らはいいサービス、使ってもらうサービスを作っているという、ある意味純粋な気持ちだった。『誰も使わない』と言われていた釣りゲームを作った結果、国内累計1500万人に使われるようになり、そして社会問題になった」(田中氏)

「だが今思うと『未熟』の一言に尽きる。0から数千万人が使うようなサービスをやったことがなかったので、言い訳にならないが、その重要性や社会への責任、説明の仕方が分かってなかった。ビジネスマンとして世の中を変えるのであればその資格がない。未熟だった」(田中氏)

渡辺氏はこれを受けて、暗にgumiの業績下方修正を発端にした騒動に触れ、「社会的認知がされて、未公開から公開企業になって、社長の行動を考えないと(いけない)」と語る。

田中氏もこれに同意し、「ほとんどの人が悪意を持っているのではなく、どうしていいのか分からないということだと思う。でもそれは『分からない』では済ませられない。だらかが分かりやすく何度も説明する必要があると思う」とした。

グリーで一生頑張る

社会とも向き合い、海外にも進出(そして一度撤退して最適化)したグリー。PCからフィーチャーフォンへのシフトに次ぐスマートフォンのウェブからネイティブアプリへの、2回目の「シフト」を進めている。

その状況については「人員的なシフトは完了して、『消滅都市』はランキングも売上も上がり続けている。手応え、勝ちパターンはやっと見えてきた。重要なのは続けること。ボラティリティはあるが、強い精神力で作り続けていくべき」(田中氏)

さらに、渡辺氏から「また新しいことで起業しないのか」と尋ねられると、「人生で二度とやりたくないランキング一位が『起業』(笑)」としたあと、「僕もみんなもスティーブ・ジョブズにあこがれている。でもジョブズもゲイツも30年やって今に至る。それであれば30年やらないといけない」とコメント。「グリーで一生頑張る」とした。

月額9800円で提携フィットネスに通い放題、グリー子会社が新サービス「Lespas」

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月額9800円でいつでも、どこでも、提携フィットネスのスタジオレッスンが受けられる「Lespas」(レスパス)がスタートした。登録費・入会金は不要。ヨガやダンス、ゴルフ、ボクシング、ボルダリング、ピラティスなど20種類以上のジャンルの中から、好きなレッスンに参加できる。期間限定で初月無料のキャンペーンを行っている。

自宅や勤務先、外出先の近くにあるフィットネスのレッスンを受けられるのが特徴。例えば、仕事が忙しくてフィットネスに通えなくなった人でも、夜遅くにやっているレッスンを選んだり、外出がちで直帰が多い人は、アポイント先近くのスタジオでさまざまなレッスンを試せそう。仕事やプライベートを優先してスポーツクラブに通えず、会費だけを無駄に払い続ける「幽霊会員」でも続くかもしれない。

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現在は都内5区(港区、中央区、千代田区、新宿区、渋谷区)を中心とした、東京23区内で予約可能。ただし、同一事業者のレッスンを受けられるのは月3回まで。同一事業者とは、例えばA社がBスタジオ六本木店とCスタジオ赤坂店を運営している場合、Bスタジオ六本木店とCスタジオ赤坂店のレッスンは、のべ3回までとなる。

提携フィットネスとしては、稼働状況に合わせてレスパスにレッスン枠を提供することで、新規顧客にアプローチできるのがメリット。加盟料は無料で、レスパス経由で利用された回数に応じてグリーに手数料を支払う成功報酬型モデルとなっている。

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米国では「次のUber」と評される優良サービス

フィットネスに通い放題のサービスとしては、2013年に創業した米国の「ClassPass」が有名。創業地のニューヨーク以外に、ロサンゼルス、サンフランシスコ、シカゴ、ボストンなどで展開していて、予約件数は昨年12月の約30万件から、今年2月には約60万件と倍増。2月の売上高は500万ドルを突破し、「次のUber」とも評される優良サービスだ。

グリーは今年1月に100%子会社「株式会社レッスンパス」を設立し、日本に競合がないClassPassライクなサービスの開発に着手していた。予約システムでは、ホテルの当日予約に特化したアプリ「Tonight」の仕組みを応用。Tonightではホテルが空室状況を入力するが、レスパスではスタジオ側でレッスンの空き状況を入力する。

日本ではグリーに先駆け、月額9900円で都内20箇所のスタジオレッスンに参加し放題の「CLASSFIT」が3月にスタートしている。

「日本でうまく行ったことは、ぜんぶ外れた」、ネット企業海外進出の成功と挫折

12月3日〜4日に京都にて開催中の招待制イベント「Infinity Ventures Summit 2014 Fall Kyoto(IVS)」。1つ目のセッションは「グローバルで活躍するプロフェッショナルの条件」がテーマ。インフィニティ・ベンチャーズ共同代表パートナーの小林雅氏がモデレーターを務める中、indeed,Inc. CEO&Presidentの出木場久征氏、グリー取締役 執行役員常務 事業統括本部長 青柳直樹氏、PARTY Creative Director/Founder 川村真司氏がそれぞれの海外進出の状況について語った。

日本でうまく行ったことはことごとく外れた

グリー取締役 執行役員常務 事業統括本部長 青柳直樹氏

小林氏がまず3人に尋ねたのは海外進出での苦労話。青柳氏は「まず、日本でうまくいったから米国でもワークすると思ったことは、ことごとく外れた」と振り返る。ソーシャルゲームが好調だったグリー。だが同社が日本で手がけてきたゲームやそのマーケティングノウハウといった成功の体験やパターンというのがほとんど通用しなかったという。同社が米国進出した2011年といえばグリーが強かったブラウザゲームからスマートフォンにプラットフォームが変わる過渡期。さらにはビザの取得や人材採用などのさまざまな課題があり、ビジネスの違いを学ぶまで1、2年かかったそうだ。

indeed,Inc. CEO&Presidentの出木場久征氏

出木場氏はリクルートの出身で現在は同社が買収したindeedのCEOを務めている。当初indeedのファウンダー2人に出会ったのが「まるで恋だった」と、振り返る。そこで、本来(買収元である)リクルートという会社を紹介するというよりも、自身がどんなことをやってきたか、またどんなことをやりたいか。さらにファウンダーらが何をやりたいのかを話したのだそうだ。

そういった会話からはじめた結果、(ロックアップの外れる)買収後2年でファウンダーも従業員もやめることなく共に働いている状況なのだという。「『お前はどんなマジックを使ったんだ』なんて周囲に聞かれる」(出木場氏)

事業面だけでなく、そんな人材面での成功もあった一方で苦労したのは英語。出木場氏は、本人曰く「『オマエコレタベルカ』というレベル」の英語だったのだそうだ。そこで英語のレベルを上げるための勉強をするのではなく、現状の英語でどう経営できるかを考えるようになったそうだ。「『お前とはこの数字でこれをやって』と任せた(コミットメントを求めた)」(出木場氏)。

出木場氏は米国は日本以上にレポートラインを重視するとも語ったが、青柳氏もこれに同意し、さらに「部下とのワンオンワンでの会話や、『握り』が重要」と語る。ただ一方で青柳氏は、日本的なマネジメントにもチャレンジしたそうだ。買収先の会社では、約200人の社員全員との個別面談をしたこともあるという。「半年かかった。最初は非効率だとも言われたが、それによって徐々に見方が増えて、『いろいろ教えてやるよ』という人が出てきた」(青柳氏)。そして何より、成果が出ることで会社の状況が変わったそうだ。「成果が出ると(社員は)ついてくる。逆に出ないということ聞いてくれない。成果が出てからの2年は比較的楽だった」(青柳)

PARTY Creative Director/Founder 川村真司氏

川村氏のPARTYはニューヨークと日本に少数精鋭のチームを置いているが、「みんなで決めていく」ということを重視しているそうだ。特にニューヨークの拠点は設立して1年未満。マネージングパートナーといった立場でなくとも、ある程度の判断に参加してもらい「オーナーシップを作り、DNAを育てているところ」(川村氏)だそうだ。ただ川村氏本人はデザイナーであり、マネジメントに向いていないのでビジネスディレクターが必要だという意識があるとした。

リーガル、HR、バックオフィスの重要性

ここで小林氏が「仁義やリーガルといった点で何か問題があったのか」と尋ねる。

出木場氏と青柳氏は、パテントトロール(特許やライセンスを持ち、権利を侵害する企業から賠償金やライセンス料を得ようとする企業の蔑称)について触れた。出木場氏曰く「ハイパーリンクをクリックすればウェブサイトが遷移する」というレベルのパテントを持った会社を法律事務所が買収し、訴訟を起こすというようなケースが有るという。

実際に両氏も裁判を経験し、ほぼ勝ってきたという状況だそうだが、この経験を踏まえて、「うまく行ったのはHR(人材)とリーガル、バックオフィスを雇えるようになってから。それらのバイスプレジデントが揃って、やっと組織と数字に集中できるようになった」(青柳氏)そうだ。indeedについても、「7月にHRのヘッドを雇えた。CxOを採用するには、CEOが口説かないといけない。そうなるとカタコトのCEOだとめちゃくちゃ不安になるじゃないですか。それがやっとちゃんと出来るようになってきた」(出木場氏)と語る。

ピカピカ人材を獲得するコツは?

ここで会場とのQ&Aとなったが、その一部を紹介する。会場からの質問は「ピカピカの人材を採用するコツは」というもの。これに関して青柳氏は、進出した地域にコミットしていると伝えることだという。

社員数人でサンフランシスコに拠点を立ち上げたグリー。青柳氏は採用の際に「今サンフランシスコに住んでいる。成功するまで帰らないし、失敗したらクビだろう」と語って、自身が現地で「ハシゴをはずさない」ということをアピールしたそうだ。また後任となった現地のマネージャーについても出会ってから1年半かけて関係を構築したこと、周囲から「グリーに行くことがいいオポチュニティになる」と思ってもらうようにするということも重要と語った。出木場氏もローカルへのコミット、またミッションの共有なども重要だと語る。

川村氏も創業者が現地にコミットしていることは大事だとしながら、PARTYはクリエイティブエージェンシーという特殊性もあって「面白いものを作れているかどうかしか評価されない」と語った。クリエイティブ系の人材は自らが作ったものを見てPARTYに来るので、何よりもアウトプットが大事だとした。

青柳氏の折り返し地点は「2年前のサンクスギビング」

最後に小林氏は3人に世界に出る人たちへのメッセージを求めた。川村氏は「とりあえず出てから考えよう」と語る。目的があって、ノウハウも持っているからなんでやらないのかとなる。失敗したら失敗したで日本があるのだから、何よりまず飛び込んでみるべきだという。

青柳氏は、ちょうど2年前に米国で事業をいくつかやめて、社員にも辞めてもらうことになった時期を振り返る。その時期はサンクスギビングということもあり、街で先週まで社員だった人間が家族と歩いていた時に表現できない気持ちになったという。「そこが折り返し地点。そこから絶対成功してやろうとなった。最初は『まず行ってみる』ということで良かったが、買収では300億円くらい使って、社員を雇っている。そんな責任をもって今がある」。そう青柳氏は語った。

そして新ためて世界に出る意味について「マーケットは凄く大きい。こんな僕でも出来ましたというのがメッセージだ。日本の調達環境は良い、バブルとも言われるがこれをどう使うか。ここで出たアドバンテージ、キャピタルを是非グローバルに使ってもらいたい。いちボランティアとしてアドバイス、サポートしたい」(青柳氏)

出木場氏は「心意気というのは世界共通言語。『これがしたいんだ!』というのは分かり合える。『日本の良い物を世界に出す』という考え方もあるが、やっぱりネットビジネスやってるなら世界で勝負することはこの先10年考えると避けて通れない。だからやるなら早くやった方がいい」と語った。


LINEがCA、グリーとゲーム合弁会社2社を設立、脳トレアプリ「BrainWars」に出資

gumiと提携してゲームの海外展開を強化中のLINEだが、その動きがさらに加速しそうだ。サイバーエージェントと10月31日、グリーと11月4日に、それぞれLINE向けゲームを開発する合弁会社を設立する。LINE GAMEは「LINE POP」や「ディズニーツムツム」をはじめとするカジュアルゲームでヒットを連発。最近ではgumiが得意とするミッドコアゲーム(カジュアルゲームよりもやりこみ要素があるゲーム)に注力する同社だが、新会社ではRPGやシミュレーションゲームといったタイトルを国内外に投入していく。

LINEがゲーム分野でジョイントベンチャーを設立するのは初めて。その相手となるサイバーエージェントについてLINE上級執行役員の舛田淳は、「ゲーム事業の連結子会社を9社も抱えていて開発力がある」と評価。新会社の社名は協議中だが、代表取締役社長には、サイバーエージェント取締役副社長の日高裕介が就任する。サイバーエージェントはゲーム事業だけで約1700人を抱え、現在は42タイトルを提供している。

グリーとの合弁会社の社名は「Epic Voyage」。資本金は1000万円で、代表取締役にはグリー取締役執行役員の荒木英士が就任する。新会社では、日本や北米、韓国に開発拠点を構えるグリーのノウハウを活かし、コアゲームを投入していきたいという。

世界のポテンシャルを感じるスタートアップに出資

9月に設立した100億円規模の投資ファンド「LINE GAME Global Gateway」を通じて、リアルタイム対戦型脳トレ「BrainWars」を提供するトランスリミットに出資した。同ファンドの第1号案件となる。LINEはゲーム開発を資金面で支援する。トランスリミットはLINEのユーザー基盤を生かした新たなゲームの開発に着手する。

BrainWarsは米国やアジア圏で利用者を集め、150カ国で300万ダウンロードを突破。海外ユーザー比率は95%に上り、米App Storeのゲームカテゴリでは1位を獲得している。「世界のポテンシャルをもっとも感じさせてくれるスタートアップ」(舛田)。トランスリミットはLINEの投資ファンドに加えて、ユナイテッド、East Ventures、Skyland Ventures、Genuine Startupsを引受先として、総額3億円の資金調達を実施した。


グリー田中氏、ゲーム”だけ”の会社から抜け出るために「次の10年を考える」

東京・渋谷で9月3〜4日にかけて開催されたイベント「Startup Asia Tokyo 2014」。9月4日には、グリー代表取締役社長の田中良和氏が登壇。「グリーの挑戦と未来について」というタイトルで、Tech in AsiaレポーターのDavid Corbin氏とのセッションに臨んだ。

–Corbin氏(以下省略):田中氏はCEOを務めているが、元々エンジニアリングが好きだったと知っている。どういう風にして好きになったのか。

田中氏(以下省略):最近は「社長」の仕事ばかりだが、もともと15年くらい前にインターネット業界に入って、最初はプログラミングもできなかったが、そこで覚えたのが最初。

自分で企画しても作れないとアイデアを具現化できないと思っていたので、本当の意味でもの作りができるようになったと思う。

–今ならどのような(開発環境や)言語を学びたいか。

ネイティブアプリだ(笑)

–最初に入った楽天はベンチャー企業。なぜそこを退職したのか。

起業したいと思ったことは今でもないと思っている。起業って大変なのになぜやるんだろうか、(聞かれたら)おすすめしないのにと思っていた。ただ、楽天で働きながら(SNS)GREEを趣味で作っていたら、個人では作れない規模になったのがきっかけ。

でもはじめはコミュニティサイトでは儲からないだろう、製作会社でもやりつつボランティアで運営しようと考えてたので、真剣に考えて起業したわけでない。

–後悔はしていないのか。

結果的には(笑)。やっぱりいろいろ大変なこともあったので、人に勧められるような簡単なことではない。

–パズドラ(ガンホーのパズル&ドラゴンズ)が出たあとで、GREEのゲームシェアは下がっていると思う。どのように回復させていくのか。

3年前くらいから振り返ると、いろんな事業の変化に直面していたと思う。3年前はフィーチャーフォンのゲームビジネスが中心だったが、ハードウェアとしてなくなっていく(スマートフォンに置き換わる)ところに直面した。ネット業界で産業ごと消滅することはあまりないが、我々はそこに直面した。なので、まずは本命のブラウザゲームをガラケーからスマホに移さないといけなかった。それを対応させながらネイティブゲームをやり、海外戦略もやり、ということを同時にチャレンジすることになった。

そこでまずスマホ(ブラウザゲーム)、2番目にグローバル、3つめに国内ネイティブゲームという優先順位をつけ直した。米国進出までは順調に来たので、今はネイティブに注力している。

–どのような条件でゲーム業界をサヨナラしたいのか。

そんなことは考えていない(笑)ゲームとインターネットが交差した世界はいいと思っている。ゲーム産業は日本で作って世界に向けて売っていくときに競争力がある産業分野。収益として重要だ。

また、日本で始めてすぐにグローバルに進出できる。でも我々はゲームだけの会社ではない、最近はいろいろと始めている。

–「スマートシッター」「介護のほんね」「Tonight」「SmartNews(への投資)」など新しい事業にチャレンジしている。新しい事業にはつながりはあるか。なぜこういった新事業をはじめたのか。

事業を考える上で、まずはマーケットが大きくなり続けるかの仮説を大切にしている。楽天で言うとECは右肩に上がっていくに違いないと考えているということだ。

例えばコミュニケーションやコミュニティビジネスは10年後に大きくなっているに違いない。モバイルビジネス、ゲームビジネスもそう。マーケット自体が成長するビジネスをやる。ただし、さっきの楽天の例で言うと、ECといってもオークションなのか、モールなのか、直販なのかというところに関しては、提供しながらアジャストしていく。

モバイルやコミュニケーション、ゲームという事業はそういう仮説でやってきた。でもそれはある程度やっているのでほかの事業に挑戦していく。

これから来るトレンドは何かと考えている。好調なのはUberとかAirbnbなど、広い意味でのEコマース。それが次の10年のサービスだと思う。

–チャイルドケアもトレンドになるということか。

ビジネスの手法の話だ。例えばUberも、すべての人がスマホを持つ今だからできるようになったサービスだ。同じようにスマートシッターもスマホが普及しているからこそ、資格があれば誰でもベビーシッターになれるというのはいけると思う。

–スマートシッターについて、サービス開始後の様子、ユーザー数はどうなっているのか。

サービス規模は伸びているが、スマートシッターで言うと、ベビーシッタービジネスだけを考えなくていいと思っている。例えばブラウザゲームのビジネスは、ただ1つの「釣りゲーム」が出発。これが将来(売上高)何十億、何百億円というプラットフォームになるとは思ってなかった。

スマートシッターもうまくいけば、家にいるお母さん向けのビジネスができるのではないか、別の働き方もできるのではないかということになる。Amazonも最初は本しか売ってなかった。切り口を作ればもっとビジネスはできる。

–その他どんな分野に挑戦するつもりか。

スマホが普及しないと成立しなかったサービスだ。例えばTonightは、5回くらいクリック(タップ)するだけでホテルの予約ができてしまう。こういったものあればスマホ特化でブレークスルーする。また、UberやAirbnbのようにシェアリングエコノミー的な概念のモノ。

–(投資先の)スマートニュースはいつから米国バージョンを公開するのか。

僕は戦略を細かく分からないし、言えない(笑)。ただあれはまさにスマホ時代のニュースをどうするのかというもの。昔から見ていたがすごいと思う。グリーに向いているビジネスは自分たちでやるが、「いいな」と思うサービスには投資させていただく。

–スマートニュースは36億円を調達した。日本では「○億円調達」というニュースはあるが、バリュエーションは発表されない。スマートニュースのバリュエーションはいくらだったのか。

またこれもコメントしづらい(笑)。ただ我々としてはバリューはフェアだと思って投資しているので成功して欲しい。

–海外展開で成功に必要なのは何か。

これまで3、4年ほど苦労している。ネイティブゲームは海外でも売上がかなりあり、海外比率の高いネットベンチャーになってきていると思う。

一番重要なのはやはり、「それ(プロダクトやその場所で事業をすること)自体が強みになっている」というものでないといけない。サンフランシスコでやったほうがいいことをわざわざ日本でやっても、それ自体が強みにならないといけない。

そういう意味ではゲームは数少ない日本でやって不利にならないビジネス。グローバルで成功しているゲームスタジオには北欧や英国のものもある。大企業大資本だけが生きるわけではない。

–新しい国(市場)に入るにはどんな準備が必要か。

まずはGoogleやFacebookみたいなサービス。圧倒的製品力で突き抜けるかどうか。でもそれは実現が難しい。

それでなければ、ローカルのマネジメントに完全に任せて成功するサービス。現地に日本人だけ派遣しても成功しないし、(現地の)優秀な人はついてこない。

逆に言うと、日本にある外資系の会社で、日本語を話せない外国人がやっていても成功しているものもある。そういう意味では製品力で突き抜ければ問題ない。

–今海外に出るなら何をすべきか。

海外のゲームビジネスが伸びつつあるが、日本ではネイティブゲームがまだ成功せずにチャレンジする中で、海外でスタジオを作ってさらにネイティブゲームを当てるのは、知らない場所で知らないモノをやると難しいことをやっている。

やはりどちらか押さえる。成功していることを違う場所をやるか、日本で違うことをやるか、どちらかにするべきだと思っている。そうはいってもネイティブは強くなっているので、まずはそこに特化していく。

–SNSからゲームの会社になり、また新しい事業も展開するが、社員は自分の会社についてどう思っているのか。

青臭いが、コーポレートスローガンには「インターネットで何かを変えていく」というものがある。なのでゲームのみをやる会社じゃないということは多くの人は分かっていると思う。

ただゲームは(売上の)大きな分野であり、引き続き大きな柱になるという前提だ。だがあくまで1つの柱にしながら新しいことをやる時代になってきた。

–安倍政権がテクノロジー企業を応援しようとしているが、その動きをどう思うか。

本当にありがたいことだと思う。これから日本自体の経済を成長させる意気込みを感じる。インターネット業界が新しい産業となり、日本経済の大きな柱にならないといけない。

–政府を巻き込むためにどういうことをやっているのか。

ロビイングというほどではないが、世界というより日本で大きな役割を果たすのであれば自分たちのやっていること、やりたいことをいろんなチャネルで発信しないといけない。事業を成功するだけでなく、どう世の中に価値を還元すると考えているか伝えることも大事。

–若い起業家へのアドバイスを聞かせて欲しい。

言うと自分で自分の首を絞めることになるが(笑い)。高い目標を持ち続けて頑張って欲しい。会社をやっているといろんな大変なことがある。どうやったら高い目標を持ち続けられるか考えて欲しい。


ゆりかごから墓場、ラブホまで–グリーの新規事業と「100億円投資」の使い道

先日2014年6月期の通期決算を発表したグリー。ゲーム事業に関しては、300人の人員を1000人まで拡大してネイティブアプリの開発に注力すると発表したが、これと同時に今期は新規事業に注力する旨が発表されている。

実はグリーでは今春以降数多くの新サービスを開始している。5月には、子会社のグリーリユースがコメ兵と提携してブランド品のリユースサービス「uttoku by GREE」を開始。6月には子会社のTonightがホテルの当日予約アプリ「Tonight 」、7月には子会社のグリーユナイテッドライフがオンラインリフォームサービス「いえプラス」、さらに8月には子会社のプラチナファクトリーが介護施設の検索サイト「介護のほんね」、子会社のスマートシッターが訪問型保育のマッチングサービス「スマートシッター」を開始した。またTonightは、8月にラブホテルの当日予約アプリ「Tonight for Two」もリリースしている。育児から介護、まさにゆりかごから墓場まで、新しい領域での事業をスタートさせている。

グリー取締役 執行役員の荒木英士氏

かつてソーシャルゲームプラットフォームとして競合とされていたディー・エヌ・エー(DeNA)も、コミュニケーションやヘルスケアといった領域の新事業を提供しているほか、スタートアップへの投資を実施。M&Aにも意欲的な姿勢を見せている(DeNAで投資事業を手がける原田明典氏のインタビューはこちら)。グリーはどういった視点を持っているのか。グリー取締役 執行役員の荒木英士氏に聞いた。

–新規事業の方針について教えて下さい。

荒木氏(以下敬称略):グリーはこの数年間ゲームを中心に事業をやってきました。ですが、「インターネットの会社」「プロダクトの会社」というところははブレていなかったと思っています。常に新しいモノを模索してきました。

特にこの半年は新規事業に注力してきたのですが、それにはいくつかの理由があります。まずグリー自体も組織も大きくなり、人材層も厚くなってきました。また一方ではゲームでもフィーチャーフォンからスマートフォンへの移行という波が来ています。もちろんゲームも手がけますが、1つの分野に集中するだけで成功するという時代でもなくなってきました。新しい取り組みを増やすことで、収益面での多様化をしていくことが必要になってきました。

一方では人材育成の意味もあります。子会社を立ち上げて新事業を手がけることで、事業経験者を増やしていこうとしています。

実は去年の末の役員合宿でそんな話をしていたのですが、まずは取締役全員が新事業のアイデアを考えてプレゼンして、ということをしました。その中から選ばれたいくつかのサービスが2月頃から動き出しました。また4〜5月には全社公募を実施して、150件ほどの企画が集まりました。その中で選抜したアイデアを役員にプレゼンをして立ち上げるということをしています。

–新規事業はこれまでの事業からは非連続的過ぎるというか、唐突な印象を受けます。

荒木:先日DeNAさんが決算で発表した(新規事業の方針)話と重なるところもあるのですが、年始に役員で話したのは、「自分たちのコアコンピタンスは『世の中をインターネット化すること』である」ということです。例えばゲームにしても、これまでのコンソールゲームをインターネット化して再定義し、それがうまくいきました。今度は別の領域で、ものごとをインターネット化していこうと考えています。

ホテル予約というサービスはすでにインターネット化されていますが、まだモバイル化はされきっておらず、また同時に市場も何兆円とあるわけです。ブランド品の買取もリフォームも、既存の市場が大きい一方でインターネット化、モバイル化されていませんでした。

新事業は外から見るとランダムな事業領域に見えますが、市場規模が潜在的、もしくは顕在的に大きいもの。またインターネット化、モバイル化されていないものです。

–既存事業とのシナジーについて教えて下さい。

荒木:もちろん既存事業を生かせるものはいくつかあります。ゲームのユーザーベースもありますし、モバイルにおける開発力やユーザーエクスペリエンスに強いと思っています。

「インターネットの会社」ではない既存の事業者は、サービスをアプリ化することだって大変です。我々はそれを2カ月程度で実現できますし、継続的なサービスの改善も実現できます。またプラットフォーム事業もやっているので、デベロッパーとのネットワークもあります。すでに社内で走っているプロジェクトは5〜6個あります(取材後に発表されたスマートシッターなどを含む)。

–新事業は基本的に別会社を立ち上げて展開するのですか。

荒木:新事業にはいくつかフェーズがあります。まずは社内の1チームとしてサービスを作るフェーズ、そしてある程度サービスがうまく回りそうであれば人を追加するといったインキュベーションのフェーズがあります。そして反応がよければ子会社化します。ただそれとは別に、許認可事業であるために法人格を必要とする場合もあります。もちろん大きくする前に撤退という場合もあり、その場合サービス開始から3カ月を目安にしています。

ホテル予約アプリ「Tonight」

–Tonightは好調ですか。

グリー広告・投資事業統括本部の井上裕史氏:有料広告などは展開していませんが、想定した以上の反応があります。数字は公開していませんが、すでにそれなりの数の予約が入っています。立ち上がりとしては順調です。

今までの予約サービスだと、毎日アプリやサイトを見るといった行動はありませんでした。ですがTonightでは毎日訪れるユーザーも多くいます。カタログ感覚で使っているユーザーが多いようです。このサービスは2月に提供を決めて、3カ月程度で開発しました。旅行業界のプレーヤーであれば、このスピードでは内製できません。やはり開発力は我々の強みだと思いました。

荒木:当日予約は通常の予約と異なり、特殊なワークフローになります。そのため様々なニーズがあるのですが、我々には日々アップデートしていける体制があります。

–リリース直後から、競合サービスの「Hotel Tonight」とUIが非常に似ているという話がありました。

荒木:個人的にHotel Tonightのファンで、実際よく利用していたんですよ。

大事なのは、ユーザーのニーズやシチュエーションです。「似せないこと」を目的化しても、逆に考えなしに「完コピ」しても仕方がないと思います。(Tonightは)当日すぐに予約できるということ、そしてきれいな写真を見せることがコンセプトです。結果論として似ていますが、今更どこかがECサイトを始めても「Amazonに似ている」とは言わないでしょう。

--サービスの提供直後にHotel Quicklyへの出資とサービス連携を発表しました(Hotel Quicklyは東南アジアを中心にホテルの直前予約サービスを提供している。アプリは30万ダウンロード。登録会員は15万人以上)。

荒木:実際にはTonightの開発中に出会って、彼らが「パートナーと投資家を探している」という話を聞きました。それで、「お互いに強みを持ち合える」となってとんとん拍子に話が進みました。

具体的な業務提携は今後になりますが、彼らはリリースしてから1年半くらいで、12カ国、数千ホテルと提携しています。ビジネスモデルは同じで、僕らがつまずくところで先につまずいているわけです。彼らに学ぶことで、Tonightで試行錯誤しなければいけないことをショートカットできると思っています。今後は開発の共通化も考えています。一方で彼らはこの事業での提携だけではなく、グリーの経営や海外進出、大規模開発といった「スケールするノウハウ」を求めています。

新規事業では、小さいチームでの「スピード感」を意識して動いていますが、世の中のスタートアップと同じ土俵で戦っても仕方がありません。グリーならではの強みを使わないといけません。グローバルなM&Aや提携ベースの国際展開なども意識しています。

–御社は1年で100億円の投資を実行するとしていますが(7月にイベントに登壇したグリー取締役 執行役員 常務の青柳直樹氏が語っている)、投資と新規事業はどのように進めていくのですか。

荒木:ストラテジックインベストメント(戦略投資)として100億円の予算はあります。

投資の目的はまず、HotelQuicklyのようにシナジーがある会社に出資して資本業務提携することです。また、自分たちでやりたいけれどもアサインできるリソースが足りなかったり、先行している事業者がいる場合は出資をします。場合によっては買収もあり得ます。出資について青柳が話して以来、問い合わせも多く頂いています。

グリーは新規事業と投資が完全に一体化していますし、だからこそ意味があると思っています。例えばゲーム会社を買収するにしても、実際に会って話して「こう改善すれば伸びる」というのが経験則で分かることもあります。ストラテジックな投資だからこそのシナジーだと思います。

–投資や買収で興味を持っている領域について教えて下さい。

荒木:大枠のコンセプトとしては、冒頭に語った「産業のインターネット化」。また領域というよりは切り口ですが、「モバイルコマース化されていおらず、されるべきもの」です。市場は顕在化されているがモバイル化されていない領域は常に見ています。

あとはバズワードになっていますが、広義での「シェアリングエコノミー」です。Uberもクラウドソーシングも含めて、働き方を変えたり、オンデマンドでサービスを提供したりするようになりました。さらに位置情報も含めて「モバイルだからできる」というものです。

新事業と投資、3年後に売上高数百億円の事業に

ここまでの話は同社の決算説明会以前に取材した際の内容なのだが、8月13日に開催された2014年6月期の決算説明会で、荒木氏と青柳氏に追加で話を聞いた。

荒木氏には、上記の取材後に発表されたToight for Twoについて聞いたのだけれども、これはもともとTonightの企画時から「ビジネスホテルとラブホテルの2軸でサービスの提供を検討していく」と決めていたそうだ。ラブホテルの当日予約も「ニーズとしてはむちゃくちゃある」(荒木氏)そうだが、一方で競合がまったくいない状況だったとのこと。

また青柳氏には、スマートニュースへの出資について聞いた。グリーでは今後、米国拠点で培ったノウハウをもとに、ニュースアプリ「SmartNews」の海外展開やユーザー獲得について支援することも検討中だそうだ。「グリーを米国に行くためのプラットフォーム、ゲートとして見てもらえるとありがたい」(青柳氏)

グリーでは今後1年間で100億円規模のベンチャー投資を検討しているということだったが、青柳氏は「案件次第だが、事業上の連携が描ける部分にを中心に、テーマを決めてやっていきたい」と説明した。また例として、Toightを挙げ、「グリーでホテル予約をやっているが、トラベル・レジャー関連で接続できるサービスがあればやっていきたい(投資する)。他社なら1つのサービスに(資金やリソースの都合)集中するかも知れないが、我々は自分たちでサービスを立ち上げながら補完できる」(青柳氏)と語った。

新事業(およびM&Aする事業)は、3年後に売上高「3ケタ億円」、つまり数百億円規模の成長を目指すとしている。また、200億円前後とも言われるスマートニュースのバリュエーションに関しては、「数字は公開していない」として回答を避けたが、「世の中に流れている数字より(金額は)抑えられている。またすでにアクティブなユーザーがいて、これから始められる広告事業については先行するグノシーがいる。比較的ビジネスモデルは見えているため評価しやすかった。仮に純投資であっても投資できた」(青柳氏)と語った。


グリー通期決算はヒット作不足で減収減益–今期はネイティブシフトし、新規事業も強化

グリーは8月13日、2014年6月期通期決算を発表した。売上高は1255億9800万円(前期比17.5%減)、営業利益は350億700万円(同28.0%減)、経常利益は360億5600万円(同32.3%減)、純利益は173億4700万円(同23.0%減)となった。

2014年度には早期退職による人員整理を実施してコスト削減や構造改革を進めた同社。フィーチャーフォン向けゲームの売上が減衰する一方で、スマートフォン向けの新規ヒットタイトルが思うように出ず、2期連続での減収減益となった。

2015年6月期には、これまで子会社を含めて300人体制だったネイティブゲームの開発体制を強化。現在非正規雇用を含めて1300人いるウェブゲームの開発者を教育し、年度内にネイティブアプリ1000人、ウェブ300人の開発体制を作るという。

ネイティブゲームの開発を300人から1000人に

グリー取締役執行役員の荒木英士氏は、同日開催の決算説明会において、これまでのネイティブゲーム不調の理由について、「打率向上(開発力強化、開発プロセスの改善)×打席数増加(開発人数やライン数の増加)が重要だが、ネイティブゲーム(をやる)と言い始めた頃には打率を上げる取り組みが十分でなかった」と説明。これを反省する形で1年かけて150人規模のネイティブゲーム専門チームを立ち上げ、今回発表した開発人員大幅強化に踏み切った。代表取締役社長の田中良和氏も「開発体制の強化を続けてきて、その結果がやっと出てきた。『これは行ける』と思っており踏み込んでいく」と語る。同社は2014年第4四半期の売上高266億円をボトムに売上の回復も期待する。

パブリッシング事業についても強化する。国内外のグリーの開発拠点や有力パブリッシャーとの連携により、クロスボーダー、クロスプラットフォームなゲームタイトルの配信を進める。

新規事業や投資も続々

今後は新規事業も強化していく。今春以降、ブランド品買取の「uttoku」、ホテルの直前予約サービス「Tonight」をはじめとして、複数の新サービスを提供。さらにはスマートニュースへの出資などを実施している(グリー取締役 執行役員常務の青柳直樹氏は、7月に福岡市で開催されたイベント「B Dash Camp」にて、1年で100億円の投資を実行すると発言している)。

田中氏は「スマートフォン」「シェアリングエコノミー」「既存のサービス、マーケットを変えていくようなもの」という3つのキーワードで注力分野について説明。青柳氏も、「投資も含めて一気呵成に新しいサービスを提供していく」と語った。なお新規事業については、TechCrunch Japanでは荒木氏へのインタビューを実施している。その詳細は近日中に紹介する予定だ。蛇足だが、決算説明会の資料でTonightは紹介されていたのだが、ラブホテル専用の直前予約サービス「Tonight for Two」は紹介されていなかった。それ以降に発表されたサービスは紹介されていたにも関わらず、だ。

説明会の質疑応答では、記者から「グリーはプラットフォーマーからネイティブゲームのソフトメーカーになるのか」という質問が飛んだ。GREEプラットフォームを中心とするウェブゲームの売上はまだ大きい(2014年度で1252億コイン中759億コイン)ものの減少傾向にあるし、同社はネイティブゲームの開発者を300人から1000人に増やすとしている。これに対して青柳氏は、「ウェブとネイティブで明確にポジショニングや戦略を変えている。引き続きウェブはプラットフォーム。ネイティブについてはデベロッパーであり、パブリッシャーとしてプラットフォーマーと協力していく」と回答した。

説明会で触れられなかった役員人事

ところで気になったのは、同日発表された役員人事だ。9月に開催予定の株主総会で、田中氏は代表取締役社長から代表取締役会長兼社長に、取締役執行役員副社長の山岸広太郎氏は取締役副会長になるという。

この点について説明会では何も語られなかった(かつ質疑の時間が限られていた)ので同社広報に尋ねたところ「ブランディングや業界内でのプレゼンス向上のために対外活動を強化するため会長職を設置する。また、田中の業務を補佐するために、共同創業者である山岸が副会長に就任する」との回答を得た。


スマートニュースがグリー、Atomico、ミクシィなどから約36億円の資金調達

ニュースリーダーアプリ「SmartNews」を手がけるスマートニュースは8月8日、グリー、外資系ベンチャーキャピタルのAtomicoをリードインベスターとした総額約36億円の資金調達を実施したことを明らかにした。出資比率などは非公開。引受先はグリーとAtomicoのほか、ミクシィ、グロービス・キャピタル・パートナーズ、エンジェル投資家のWilliam Lohse氏(米Ziff-Davis Publishing元President)、川田尚吾氏(ディー・エヌ・エー共同創業者)、その他となっている。

ニュースリーダーアプリと言えば、「Gunosy」を提供するグノシーが、直近(3月、6月)にKDDIなどから合計24億円の資金調達を実施したことを明らかにしており、テレビCMを含めた大々的なマーケティングを展開。テレビCMによると、現在450万ダウンロードを突破しているという。またグライダーアソシエイツの「Antenna」もテレビCMや交通広告を展開している。それ以外にも、LINEの「LINE NEWS」やユーザベースの「NewsPicks」、JX通信社の「Vingow」などさまざまなサービスが提供されており、その覇権争いも激化している。

スマートニュースも7月末に400万ダウンロードという実績を発表しており、8月からはテレビCMを展開している。広告代理店関係者から6月に「資金調達すればすぐにもテレビCMを作成することになるだろう」といった話を聞いていたし、7月には複数の関係者から「すでに一部の資金が着金して、テレビCMの制作に入った」という噂も聞くことがあった。スマートニュースはバリュエーション(評価額)を公開していないが、200億円超のバリュエーションで資金調達を進めていたとの噂もある。

AtomicoはSkype創業者であるニクラス・ゼンストロームが手がけるベンチャーキャピタル。日本拠点では、元Skype日本代表の岩田真一氏が投資や投資先のビジネスマッチングなどを手がけている。ソフトバンクとガンホー・オンライン・エンターテイメントによるフィンランドのゲーム開発会社Supercellの買収のアレンジなども手がけている。この出資をきっかけに世界進出を進める。またグリーとはゲーム等の事業で、ミクシィとはネイティブ広告ネットワーク分野での業務提携を行うとしている。かつては国産SNSの競合とも言われたグリーとミクシィが1社に出資するのは、芸者東京エンターテインメント以来となるはずだ。

なお、スマートニュース創業メンバーであり、取締役を務めていた鈴木健氏が6月18日付けで共同代表に就任している。TechCrunchではこのあと鈴木氏らスマートニュースのメンバーに取材をする予定だ。


Yahoo! JapanとGREEが共同でスマホ向けソーシャルゲームの新会社を設立


ヤフーとグリーが新たにスマートフォン向けソーシャルゲームを開発する新会社「ジクシーズ(仮称)」を共同出資により設立することを発表した。この2社は昨年11月に包括提携を締結し、相互にスマートフォンユーザーの成長を支援しあってきた。ヤフーのポータルサイトからGREEへの誘導をしてトラフィックを増やす変わりに、GREEはヤフーの機能を利用するなど、お互いの長所を活かし合っている。

新会社ではヤフーの集客力とグリーのソーシャルゲームのノウハウを活かしてゲームを開発することはもちろんだが、エンターテイメント領域において新しい価値を創造したいという。

実は今回発表された新会社については、包括提携を締結した際に言及していて、ゲームだけではなく映像コンテンツやキャラクタービジネスなども含めたエンターテイメント分野でも施策がありそうだ。

新会社の資本金は2億円で出資比率はグリーが51パーセント、ヤフーが49パーセントとなっており、代表取締役社長にはGREEの井坂友之氏が就任している。

また、新会社設立予定日は3月15日なので、それに合わせて新しいゲームの発表などもあるのかもしれない。

グリーといえば、最近は業績の伸びが横ばいで業績予想も上場後としては初の下方修正をしているし、通期営業減益となる見通しだ。これには有力タイトルの投入が遅れていることや、海外ゲームが想定以上に伸びていなかったことが原因のようだ。この決算発表ではグリーのコーポレート本部長の秋山仁氏は語っている。

この新しい取組みがグリーにとって良い方向へと作用するのか注目していきたい。