G Suite内で生き残っていたGoogle+がCurrentsに全面切り替え、アプリやリンクもCurrentsに強制アップデート

一般向けのGoogle+は2019年4月にサービスを終了したが、昨年Google(グーグル)がベータ版としてG Suiteに加えたCurrentsは簡単にいえばG Suite向けGoogle+だった。Google+がフル機能のソーシャルネットワークを目指していたのに対し、CurrentsはMicrosoft(マイクロソフト)のYammer(ヤマー)やFacebookのWorkplaceと似ており、企業内の連絡や議論などのビジネス向けに特化している。

ややこしいことに同社は、Currentsのリリース後もG SuiteでGoogle+の運営を続けていた。しかしこのほど、GoogleはG Suiteの管理者にメールを送り、G Suite向けGoogle+が7月6日に受付を停止することを告げた。つまりそれ以降はCurrentsからGoogle+に戻すことはできなくなる。

いわばGoogle+を完全に葬り去ったわけだ。Google+のモバイルアプリは有無を言わせず自動的に Currentsアプリにアップデートされる。既存のGoogle+リンクはCurrentsにリダイレクトされる。

今後、Google+は記憶の片隅や実名を使うことに固執するG SuiteユーザーのCircleのみに生きることになるのだろう。 クリックしても意味がなかった+1ボタン(未訳記事)や興味あるページを集めてくれるはずだったSparks、1年経っても何をしているのか理解されなかったiRpples、 果たされなかった素晴らしいゲームの約束などの思い出だけが残るに違いない。

Currentsは完全にビジネス志向だ。今のところ採用している会社は多くないようだが、マイクロソフトのYammerやTeamsを使っているなら十分に選択肢となるはずだ。一方グーグルは懲りずに別のソーシャルネットワークを発表する準備に入っているのだろう。

2011年以来のGoogle+の歩みをたどりたい場合は「Google+を振り返る」の記事を参照してほしい。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Facebookが読みたい最新、既読投稿をタブで開ける新フォーマットをテスト中

Facebookは、ニュースフィードを現在と異なるアルゴリズムで簡単に表示できるタブに基づいた新しいフォーマットをテスト中だ。

Facebookはモバイル・アプリでこのタブ利用のプロトタイプをテストしている。これには現在使われている関連性の高さによってランキングする標準のニュースフィードの他に、新しい情報を優先する「最新情報(Most Recent)」、「既読の投稿(Already Seen)」といったタブが簡単に選べるようになる。これらのフィード自体は現在でも提供されているが、「最新情報」はサイドバーのメニュー(「ニュースフィード」の右側の「…」を開く)に埋め込まれており、「既読の投稿」はデスクトップからURL(facebook.com/seen)でアクセスするしかなかった。

タブ方式はまだ一般公開されていないが、 このバージョンが正式に公開されればユーザーのニーズに応じて多様な情報にダイナミックかつ容易にアクセスできるようになる。これはFacebookに活気を取り戻すのに役立つだろう。

「最新情報」はその名が示すとおりリアルタイム性が高く、今何が起きているかを知るのにつごうがよい。また「既読の投稿」タブは興味を感じた投稿だがニュースフィードの中に見失ってしまったときに便利だ。投稿を読んでしばらくしてからリンク先を読みたいとかコメントを付けたいなどと思うのはよくあることだ。インターフェイスがタブ化されれば、この操作がワンクリックでできるようになる。実装されれば、ニュースフィードとして最大のデザイン変更になるだろう。2013年にFacebookは写真、音楽、「友達のみ」など複数のアルゴリズムでフィードを提供するオプションを発表したものの、結局実現しなかった。

タブ版ニュースフィードのプロトタイプは Android版アプリのコード中で発見された。TechCrunchに情報を提供してくれたのは、最近も重要なリバース・エンジニアリングを成功させている専門家、Jane Manchun Wong(ジェーン・マンチュン・ウォン)氏だ。ウォン氏はこのコードから上のスクリーンショットのようにタブ版Facebookの画面を生成することに成功した。

左側スクリーンショットでは投稿上部に「関連(Rlevance)」、「最新(Recent)」、「既読(Seen)」というタブが表示される。右のスクリーンショットはニュースフィードの設定画面で、さらに詳細な設定が可能だ。

マーク・ザッカーバーグは「複数フィード」を発表したが、後に公開を中止

Facebookの広報担当者は、TechCrunchの取材に対して「このプロトタイプを外部で実験する可能性はあるが、今のところ部内のみ公開」だと認めた。ユーザーが「最新情報」や「既読の投稿」にアクセスする手段としてタブ化するのが最適な方法なのかどうか判断するにはまだ少し時間がかかるもようだ。

目的の情報へのアクセスが容易になれば、ユーザーはそれだけ長くFacebookに滞在してくれるはずだ。標準のニュースフィードが退屈な投稿ばかり選んでくる、友達がこの瞬間に何をしているのか知りたい、以前見ておもしろかった写真ををもう一度みたい、などということはよくある。こういうときに投稿のトップにタブが表示されていればワンタッチでアルゴリズムを切り替えることができる。一方、ユーザーの滞在時間が増えればFacebookの広告価値がアップし売上増に貢献する。利益の増加ペースが落ちていると最近ウォールストリートに文句を言われているFacebookとしてはこれが重要な点だ。

部外者の多くにとってFacebookの投稿選択アルゴリズムは巨大なブラックボックスだ。セレブだからというだけで「いいね!」が多数ついた投稿やセンセーショナルというだけで(多分誤った内容の)ビデオばかりが選択されるアルゴリズムでは、Facebookのユーザーに不満を感じさせることになる。すでに成熟したソーシャルメディアなのだから、Facebookはコンテンツに対するユーザーのコントロールをもっと拡大すべきだろう。

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滑川海彦@Facebook

Twitterがリプライ方法の制限をテスト、「@メンションやめてね」は不要に

Twitterはサービス全体のオーバーホールに長期的に取り組んでいる。ユーザーがこのプラットフォーム上で快適に会話を続けていくためにぜひとも必要な作業だろう。特にフォローをしやすくしながらユーザー間の関係の険悪化を防ぐ仕組みが重要だ。

今年の第1四半期にはユーザーがソーシャルな会話をより良くコントロールできるようにするために4つの新たなオプションを提供していく計画が発表された。従来は公開ツイートには誰もが@メンションでリプライできたが、リプライをコントロールする新たなオプションでは「フォローしていてメンションしている相手だけがリプライできる」「メンションしている相手だけがリプライできる」「リプライが一切できない」という分類が付与できるようになるという。例の「don’t @me.」(@メンションしないでね)というお断りは不要になるわけだ。

このオプションは米国時間1月8日朝に、米国ラスベガスで開催中のCES(コンシューマ・エレクトロニクス・ショー)で発表された。Twitterは特別のプレスイベントを開催し、同社のプロダクト担当バイスプレジデントであるKayvon Beykpour(ケイヴォン・ベイパー)氏は以下のように説明した。

「(新たなオプション設置の)主要な目的はコントロールの改善だ。我々はツイート主が会話に対して有効なコントロールを与えられるようにしたいと考えている。現実の世界でも(新しいオプションに)対応するさまざまな会話の仕組みがある。もちろん現実の会話なら直接顔を合わせていれば相手を黙らせることはできないが、それはまた別の話だ」。

新しい仕組みはTwitterの会話プラットフォームの責任者であるSuzanne Xie(スザンヌ・シェ)氏がさらに詳しく説明した。新機能は同社が2019年にスタートさせたユーザーがリプライを非表示にできる機能に基づいているのだという。

「私たちは、ツイート主にもっとコントロールを与えたらどうなるだろう、と考えた。ツイートするときに(従来とは異なる)、ツイート主が会話をコントロールできる空間があったらいいのではないか?そこでコレをテストするためのプロジェクトが始まった」とシェ氏は述べた。

現在のTwitterはひとたび公開でツイートすれば誰であろうと直接リプライを返すことができる。それが嫌なら特定の相手だけに宛てたDM(ダイレクトメッセージ)にするしかない。「そこで(その中間に)さまざまな濃淡の空間があってもいいと考えた」とXie氏は説明した。

今朝のプレスイベントでTwitterは、トピックの拡張についても触れた。サポートを拡大するだけでなく、ユーザーが会話の方向をよりよくコントロールできるようにしていくという。

NBA isocamでは、今年もユーザーがどの選手のファンか投票したりできる。また同様に動画ストリーミングとしてstancamが導入され、各種のエンタテインメントイベントで利用できるようになるという。

マーケティング面ではTwitterはアナリティクス機能を強化し、Twitterの利用者調査を世界的に拡大する一方、サードパーティのマーケテイング部門がプロダクトやサービスのアンケート調査に利用できるLaunchという同種のプラットフォームを立ち上げる。

TechCrunchではこの後さらにTwitterに取材して詳しい情報が得らればフォロー記事をアップする予定だ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Twitterが「返信を非表示」をグローバル公開、ブロックも選択可能に

Twitterの「返信(リプライ)を非表示」はリツイートという仕組みが導入されて以來の抜本的な変更だ。これまで米国、日本、カナダのユーザーを対象にテストを続けてきた「返信を非表示」が、いよいよ米国時間11月21日から世界のユーザーに公開される。

Twitterの発表によれば、この機能は若干変更が加えられているがテスト版とほぼ同様で、今日中に世界のユーザーがこの機能を利用できるようになるという。

「返信を非表示」はツイートに対する返信のうちどれを見てどれを見ないかを選択できる機能で、会話の主導権をオリジナルの投稿者側に傾けるものだ。 この機能はTwitterユーザーの間に大きな賛否の議論を引き起こしている。選択しても返信が削除されるわけではないし、もう一度クリックすれば表示される。ともあれこれで無関係な話題、侮辱的、その他不快な表現、さらには意図的な荒らしの返信がタイムラインを占領するのを防げる。

Twitterでは「ヘイトスピーチを含むなどの不適切な返信は表示されないことがあると知れれば、そういった返信を抑制して会話を適切なものにする効果があるはずだ」と考えている。

ただしその裏側では「返信を非表示」は批判者、反対者を黙らせるために使われる可能性がある。この場合、捏造と思われるツイートに対してファクトチェックを要求する返信であっても表示されない。

この機能は7月からカナダでテストが始まり、9月には米国と日本が加えられた。ウェブとモバイルの双方で利用可能だ。

テスト開始以後、Twitterではほとんどの投稿者が非難、無関係、その他不快と感じられるようなツイートについてブロックやミュートといったより強い手段ではなく「返信を非表示」を選択してことがわかった。カナダでは調査対象のユーザーの27%が返信を非表示にされた経験があり、将来ソーシャルネットワークで相手とどのようにやり取りすべきか考え直すと答えている。これはある程度期待を抱かせる結果だ。

ただしグローバル展開にあたってオリジナルの機能には変更が加えられている。Twitterによれば一部のユーザーは「非表示」を選択した後、さらに強い対策を取りたいと希望していた。そこで新機能には返信者をブロックできる機能が追加された。またTechchCrunchではユーザーから「自分のアイコンが見えてしまうので嫌がらせその他の報復行為の対象にならないか不安を感じている」という声を聞いた。今回のアップデートではこの点についての変更はなかったが、Twitterではこの問題には留意しており、解決法を探っているという。

もうひとつTwitter上で頻繁に論じられている問題は、「返信を非表示」にした場合に表示されるポップアップが大きすぎてむしろ注意を引きつける結果になっているいるのではないかという点だ。以下のツイートは「非表示の返信があることを示すこういう巨大なポップアップを表示するのはナンセンス」という批判だ。

Twitterによればこういうポップアップが表示されるのは「非表示の返信」が存在するツイートを最初に見たときだけだという。その後非表示の返信があることを示すアイコンはもっと小さくなり、ツイートの直下ではなく別のページに移される。

そうではあってもこれほど大きなポップアップは非表示の効果を大幅に削ぐものではないだろうか?クリックすればツイートを見ることができるのだから、探す場所を教えているようなものだともいえる。トロルの側からいえば、誰かかこの機能を使っていると知ればますますいきり立ってトロル行為をエスカレートしかねない。

今回のグローバル公開に伴い、Twitterでは「返信を非表示」を利用するためのAPIを公開し、サードパーティのデベロッパーがアプリケーションにこれを組み込めるようにするという。

Twitterでは今後、返信ができるユーザーを制限するなどのオプションを加えることを検討しており、ユーザーが会話をより良くコントロールできるようにしてプラットフォームの健全化を図っていくという。

Lightwellの買収.によってTwitterに加わったプロダクトマネジメントの責任者であるSuzanne Xie(スザンヌ・シャ)氏は「すべてのユーザーが安心して快適にTwitterを利用できるようにしなければならない。そのためにはTwitterにおける会話の仕組みそのものを変えていく必要がある」と述べている。

Twitterが「返信を非表示」の導入に踏み切ったのは興味ある現象だ。Twitterはもともと皮肉、非難、罵倒、激怒など、強い言葉が頻繁に使われる場所として知られていたが、プラットフォームの運営者はついにユーザーに礼節を要求する方向に動いた。今後もさまざまな実験が導入され、効果があるものは残り、効果がないと分かれば廃止されことが繰り返されるだろう。

Twitterでは通常のサービスと平行して新しいアイデアを試すためにベータ版(twttr)を運営している。もしTwitterが新機能によりソーシャル・ネットワークとしての性格を変えることができたらプロダクト・マネージメントとして驚くべき成功といっていい。

Twitterの「返信を非表示」はiOS、Androidのアプリ(Twitter Liteを含む)、ウェブのtwitter.comで本日から全ユーザーが利用できる。

【Japan編集部追記】日本サイトでの「返信を非表示」オプションの使い方の説明(11月22日朝現在はベータ版)

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

FacebookがConnect 6カンファレンスでOculus利用のVRレイヤーを予告

Facebookは仮想現実アプリのデベロッパー向けに6回目のOculus Connectカンファレンスを開催した。キーノートでは新しいハイエンド製品のプロトタイプが発表されると同時に、Facebook本体にOculusを利用した新しいVRレイヤーが準備されていることが明かされた。

OculusのMegan Fitzgerald(メーガン・フィッツジェラルド)氏はカンファレンスで「今年中に『Oculus on the Facebook』という新しいプラットフォームがスタートする。これはOculusのVR能力を生かしたまったく新しいFacebookの利用体験となる」と述べた。

近くFacebookへのログインで同時にOculusへもログインできるわけだ。つまりVRヘッドセットを通じてFacebookにアクセスし、Facebookへの投稿も含めたソーシャルネットワーク体験が可能になる。ユーザーはOculusを利用している友達だけでなく、他のVRヘッドセットを使っている友達ともVR体験を共有し、Oculus内からイベントを作成し友達を招待することもできるという。

Facebookサイズの巨大なVRコミュニティが作られるらしい。 つまりFacebookの機能が全面的にOculusエコシステム内からアクセス可能になる! OculusはとことんFacebook化されるのだろう。チャット、イベントその他さまざまな機能がOculusから利用できるようになるに違いない。

Destinationsと呼ばれる新機能ではゲーム体験をFacebookを通じて公開・共有できる。ブロードキャスト機能ではゲームタイトルそのものにリンクしており、簡単にアクセスが可能となる。つまりチャット内でボタンを押してゲームにアクセスし、ヘッドセットを使って友達とVRゲームができる。Oculusの普及にあたっていちばん重要なのはフリクションと呼ばれる目的を達成するまでの手間を最小限にすることだが、クリック1回でゲームが開始されるのもこの点を狙っているのだろう。

Facebookログインで同時にOculusデバイスにもログインする機能はいまのところオプションだが、FacebookではOculusからしか利用できない新機能を追加することに力を入れている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Twitterが利用約款を改正 、フィッシングや詐欺の詳細が通報できるように

米国時間9月23日、Twitterは利用約款を改正して詐欺的行為の禁止を含めたことを発表した。まだ禁止されていなかったのかと驚くが、明文での禁止はまだだったようだ。

詐欺的行為はこれまでもスパム報告ツールを通じて処理されていた。これは昨年、偽アカウントなどツイートの詳細を通報できるよう改正されている。通報のオプションにはなりすましなどの偽アカウントに加えて、悪意あるサイトへのリンクやハッシュタグなどが含まれる。しかしTwitter上に蔓延している詐欺的行為を直接禁じる条項は含まれていなかった。

約款の改正はTwitterが詐欺行為を取り締まるために力を入れていることを示すものだ。新約款は詐害的方法により経済的利益や個人的財務情報を得ようとする行為にTwitterを利用することを明文で禁じた。ユーザーはこのような目的のためにアカウントを作成し、ツイートし、ダイレクトメッセージを利用してはならない。

Twitterではユーザーのオンライン行動の変化に対応して随時利用ルールをアップデートしてきた。今日、われわれは経済的詐害行為を禁止するよう利用約款を拡大した。

Twitterではどのような行為が詐欺として分類されるのか詳しく述べている。これには偽の情報によって信頼を得ようとすること、容易に高額の収入を約束するビジネスや不正な割引の宣伝、フィッシング行為などが含まれる。詳細はヘルプセンターのこのページを参照

今回の約款改正は、Twitterが暗号通貨詐欺を野放しにしているという強い批判を受けたことによるものだろう。ユーザーに容易に大金が得られると約束する詐欺の多くは偽アカウントによるなりすまし、ツイートへのリプライ機能などを悪用している。今年、Twitterでは偽のPayPalサイトへの誘導を試みるフィッシングが発覚しており、監視を強めるべきだという批判が出ていた。

ユーザーが不正なツイートを発見した場合、新約款でも報告の必要があるのは従来と同様だ。投稿上部右側のドロップダウンメニューを開き「ツイートを報告」をクリックすると「このツイートの問題の詳細をお知らせください」というメニューが開くので適切な項目を選択する。

Twitterは通常の経済的クレームの処理には介入しないことを再確認している。通販における返金や返品、商品の瑕疵に関する苦情などなどは新約款の適用範囲外だ。

Twitterでは他の不正利用同様、詐欺行為やフィッシングを含むツイートが繰り返された場合、アカウントの無期限凍結を招く恐れがあることを指摘している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Twitterが日米で「リプライ非表示」をスタート

Twitterの「リプライ非表示」は激しい賛否の議論を呼んでいるが、カナダでの初期テストに続いて、米国時間9月19日、米国と日本でこの機能が一般公開された。Twitterによればこれは「ユーザーが会話をよりよく管理できるようにする」ことを目標とする根本的な改革の一環だという。新機能では自分のツイートに向けられたリプライを「無関係、攻撃的もしくは意味不明」と考えた場合、非表示にできる。

ただし非表示にされたリプライはTwitterから削除されるわけではなく、 クリックひとつで再表示可能だ。

例えば、会話に加わったユーザーのリプライが不適切、無礼、いじめに類すると考え、そのリプライを非表示にすればタイムラインを見ているメンバーの大半の目に触れなくなる。ただし削除されているわけではないので「非表示のリプライを表示する」をクリックすれば見ることができる。

ModeratedRepliesAuthor

そもそも他のソーシャルネットワークでは返信者にTwitterほどの勝手を許さないことが多い。FacebookやInstagramでは、ユーザーは自分の投稿に対する返信は自由に削除できる。しかしこれまでTwitterは「誰もが自由に発言できる広場」を理想としてきた。

残念ながらこうしたTwitterのオープンな性格は無礼な攻撃やネットいじめを生んできた。これまでTwitterのユーザーの対処手段は対象となるアカウントをブロックミュート、あるいは報告することだった。しかしブロックとミュートは自分のTwitter体験そのものに影響してしまう。ユーザーはブロック、ミュートしたユーザーからの投稿すべてを目にすることができなくなる。ツイートが不適切だと報告した場合、実効を得るまでの手続きが複雑で時間もかかる。スレッドが暴走し始めたような場合にとっさに対処するには不向きだろう。

こうした問題に対処しようとするのが「リプライ非表示」だ。しかしこの機能能力にはデメリットもあリ得る。ユーザーが非表示にしたリプライにはなんら問題はないかもしれないし、それどころかユーザーが拡散しようとしている情報が間違っていると指摘しているかもしれない。

Twitterではこの新機能が 「会話を建設的にするために役立つ」ものと期待しているようだ。同社の会話のヘルス担当プログラム・マネージャーであるMichelle Yasmeen Haq(ミッシェル・ヤズミーン・ハック)氏は今年に入ってそう説明している。

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7月にカナダで初期テストが開始された後、Twitterは「(この機能の)利用者はたいていの場合、無関係、攻撃的もしくは意味のわからない返信を非表示にしている。、キーワードのミュート機能と同じように、会話の管理に役立つと考えている」と述べ、ユーザーからのフィードバックはおおむね肯定的だったと結論している。

Twiitterによれば、リプライを非表示にされたユーザーの約27%は将来ソーシャルネットワークで相手とどのようにやり取りすべきか考え直すと回答しているという。27%というのは過半数ではないが、利用率に影響する可能性がある数字だ。ただしこの調査がどの程度実態に即したものか不明だ。Twitterではこの調査のサンプル数などの詳細を明かすことは避けた。

新システムではリプライを非表示にしようとすると「アカウントをブロックする」というオプションも示される。これは「非表示」が「ブロック」とは異なる機能だということを明示するためだろう。

今回カバー地域が大幅に拡大されたものの、Twitterでは「リプライ非表示」はあくまでテスト中の機能だとしている。同社はフィードバックなどをベースにシステムをさらに検討するという。この機能は世界の他の地域では公開されていない。

新機能は、モバイル、デスクトップとも米国と日本ではすでに公開されている

画像:TechCrunch

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滑川海彦@Facebook

Facebookが近い将来「いいね!」カウントを廃止する可能性

Facebookは近くニュースフィードから「いいね!」数のカウンターを削除するかもしれない。これは投稿者が「いいね!」数に影響されて他のユーザーとの競争や自己検閲などに陥ることを防ぐのが狙いだ。

Instagramはすでに日本、カナダ、ブラジルなど7カ国でこれをテスト中だ。「いいね!」の総数ではなく、投稿者と友達関係にあるユーザーが「いいね!」したことだけを表示する。期待したほど「いいね!」が集まらないときに誤った競争心から意見を変えたり投稿を削除したりするようなバイアスからメンバーを守ろうとする試みだ。

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「いいね!」非表示のFacebookニュースフィードのプロトタイプ(Jane Manchun Wong)

リバースエンジニアリングの達人、Jane Manchun Wong(ジェーン・マンチン・ワン)氏はFacebookが「いいね!」カウンターを削除したAndroidアプリをテストしていることを発見した。TechCrunchが取材したところ、Facebookは「いいね!」カウントの表示廃止を検討していることを認めた。ただし「いいね!」数非表示のUIはまだ一般に公開されていないという。FacebookはInstagramにおける「いいね!」数非表示のテストの背景や結果などについて明かすことを拒んだ。またテストから本番実施に移る可能性やその時期についてもコメントを避けた。テストに対する反応が不評で広告収入にダメージを与えるようであれば「いいね!」数の非表示は取りやめになる可能性は残っている。

しかしInstagramにおける「いいね!」表示廃止はポジティブな結果を生じているかもしれない。Instagramがテストを計画していることに我々が気づいたのはこの4月にワン氏が発見したときだった。その後カナダで実地テストが開始され、7月までにブラジル、オーストラリア、ニュージーランド、イタリー、アイルランド、日本が続いた。

これらの地域では投稿者本人は「いいね!」数を見ることができるが、他のメンバーには表示されない。 Facebookは本体で「いいね!」数非表示を実験する前に、まず傘下のInstagramで投稿や広告、ユーザーの精神衛生などに対する影響をテストすることにしたのだろう。

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Instagramはすでに「いいね!」数非表示をテスト中。Facebookも近々続く可能性がある

最近Facebookは結婚や転職など人生の節目になるような大きなイベントの告知に使われ、日々の投稿はInstagramやSnapchat へという傾向が強まっている。Facebookで共有されるのがユーザーにとってビッグイベントである場合、期待したほど「いいね!」がクリックされないとユーザーは自己嫌悪に陥いるなどの悪影響が懸念されることになる。これは結果的にFacebookの広告収入に対しても悪影響となる。ユーザーが「「誰も『いいね!』してくれない。私の人生は無価値だ」と落ち込んでFacebookを使うのを止めてしまうようなシナリオは避けたいだろう。

ちなみに私は2017年に「『いいね!』数カウントを非表示にしたほうがプレッシャーを軽減し、結果的に投稿を増やすはずだ」と書いている

10月2日から4日にかけて開催されるTechCrunch Disrupt SF 2019(チケット申し込み)で私(Constine)はSnapchat CEOのEvan Spiegel(エヴァン・シュピーゲル)氏にインタビュー する予定だ。ソーシャルメディアの成長戦略一般に加えてSNSのメンタルな影響についても詳しく尋ねるつもりなので興味のある読者はぜひチェックしていただきたい。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ソーシャルネットワークがもはやソーシャルでなくなった年

プライベートコミュニティに目を向けよう

「ソーシャル・ネットワーク」 という用語は、何を意味しているのだろうか。これら2つの単語をペアにすると、技術カテゴリの1つになるし、1つの用語として捉えると、製品のグループを表すものになる。

しかし、ソーシャルネットワークは今でもソーシャルなのだろうか?Facebookアプリを開いたときにテクノロジー疲労を感じるのは、あなた1人ではない。それほど親しいわけでもない友人たちが、コメントスレッドで政治的問題について争っているところを見るのは、もはや楽しいものではない。

おそらくあなたは、複数のプラットフォーム上に、何十、何百、あるいは何千もの友人やフォロワーを持っていることだろう。しかし、それらの混雑した場所が、これほど空虚に感じることはなかった。

決して森の中に移住して、動物たちと語らって暮らせと言いたいわけではない。それに、Facebook、Twitter、そしてLinkedInが一晩で崩壊することはない。ソーシャルグラフ、デジタル履歴書、そしてイベントの管理など、それらはそれぞれ固有の価値を持っている。

しかし一斉伝達の要素を、ソーシャルな関係性と結びつけようとするコンセプトは死んだ。

興味を中心としたコミュニティから、厄介な隣人たちへ

あなたがもう十分に長い期間ウェブ上で活動しているならば、インターネットフォーラムの思い出が好きかも知れない。おそらく、ビデオゲームやハリーポッター、もしくはお絵かきが好きだっただろう。

分断されていることが大切だった。複数のフォーラムに顔を出して活発に活動することが可能で、そこでは他のフォーラムでのことを話す必要はなかったのだ。時間が経つにつれて、同じ名前がお気に入りのフォーラムに何度も登場するのを見ることになる。あなたはお決まりのジョークをひねり出し、皆と一緒に何かを発見し、笑い、泣き、そして感じていた。

私は10代の頃、複数のフォーラムで活動していた。私は1年に何千ものメッセージを投稿し、新しい知己を得ていたことを覚えている。まるでそれは友好的なグループと一緒に遊んでいるような気分にさせてくれた。それは皆が同じ情熱を分け合っていたからだ。

それは単なる、偽のインターネット関係ではなかったのだ。私はインターネット上の友人たちとかなりの回数「実世界でも」会ってきた。私はある日、スレッドのリストをブラウズしているときに、ある人が死んだことを知った。このフォーラムはその人にとって、とても大きな意味を持っていたので、多くの人たちが短いメッセージを投稿した。

ほとんどの場合、私は話している人の身元を知らなかった。私たちはみんなニックネーム(ハンドルネーム)を使っていて、ちょっとした情報をプロフィールに入れていた ―― 「ドイツ、シュトゥットガルト在住」とか「鉄道検札員」とか。

そしてFacebookがやってきた。最初はやはり、興味を中心としたコミュニティに過ぎなかった ―― 同じ大学に通っているということは、結局同じ興味を持っているということだから….。それから、彼らは大学を越えて拡大するために、それを皆に開放した。

友達のリストを眺めたときに、彼らがあなたのFacebook友達である理由は、同じ趣味を共有しているからではなく、ただある程度知っているからというだけの理由なのだ。

Facebookは、悪名高い「知り合いかも」機能を使って、倦むことなくより多くの友達を追加するように仕向けてくる。誰かを知ることと、話し合うべき何かを共有することは別問題だ。

ということが現在の状況だ。厄介な隣人たちがセクハラジョークをFacebookのフィードの上にシェアしている。

ソーシャルネットワークが大きくなるにつれて、コンテンツはゴミになった

Facebookのソーシャルグラフは、デザインとして破綻している。人間に、名前と顔を添えることで、友達申請は感情的なバイアスを伴うものになった。もしこれまで相手に5年間会っていなかったとしても、高校時代の親友の申請にNOと言えるだろうか。

これまでは友達のことを忘れても大丈夫だった。これまでは様々な人たちのことを忘れても大丈夫だった。しかし、ソーシャルネットワークを使って連絡を取り合うことが可能であるという事実が、そうした「忘れること」を社会的に受け入れがたいものにしている。

上手くやるには巨大すぎる

ソーシャルネットワークの重要な柱の1つは、一斉配信機能だ。メッセージを書いたり、写真を共有したり、ストーリーを書いたりして、友達やフォロワーに一斉配信することができる。

しかしこの一斉配信はスケーラブルではない。

ほとんどのソーシャルネットワークは現在上場企業である ―― 彼らは常に成長を追求している。成長は収益の増加を意味し、収益はユーザーがより多くの広告を見なければならないことを意味する。

より多くの広告を押し付けるための最善の方法は、あなたがより多くの時間をサービスの上で使うようにすることだ。複数のYouTubeビデオを見ると、より多くの動画前広告が表示されるようになる。そして、ソーシャルネットワークにもっと時間を費やさせるためには2つの方法がある。何度も戻って来るようにすること、そして訪れるたびに長時間留まるようにすることだ。

そして2018年は、小細工と邪悪なパターンデザインの年だった。あなたがサイトをより頻繁に訪れるように、企業たちはFOMO(fear of missing out:何か見逃すことの恐怖)を刺激する通知を、不完全でバランスを欠いた情報と共に送りつけてくる。

これは、ただアプリを開かせるだけではない。ソーシャルネットワークは現在、サービスの他の部分にもあなたを誘導したいと考えている。「この明るいオレンジ色のバナーをクリックしてIGTVを起動しませんか?この光沢のあるボタンを見てくださいよ!見て!さあ見て!」。

そして、あらゆるゲーミフィケーション、アルゴリズム駆動型の推薦、その他のスキナー箱的メカニズムがある。フィードを更新したときに感じるささやかなアドレナリンのピークは、たとえそれが週に一度しか発生しなかったとしても、何度も何度も戻ってこさせることになる。

Netflixが1シーズン分の番組をコンプリートした子供たちに、デジタルバッジを渡そうとしていたことを忘れてはならない。会社はその後、それが行き過ぎであったことに気付いた。それでも、米国の成人は1日あたり6時間近くをデジタルメディアの消費に使っている。そしてその半分以上が携帯電話を使ったものだ。

ソーシャルネットワークが毎回何か新しいものを提供する必要があることを考えると、彼らはユーザーたちになるべく多くの人をフォローし、可能な限り多くのYouTubeチャンネルのサブスクリプションをして欲しいと願っている。こうして、毎回ソーシャルネットワークを訪れるたびに、何かしら新しいものに出会うことになるのだ。

アルゴリズムは好みに応じてコンテンツを推奨し…そしてどうなると思う?最もデタラメで、偏向したコンテンツが最後にはその情報の山の上に積まれるのだ。

私はフェイクニュースや、今やユーチューバーたちがあなたの注意を引くためにタイトルを全部大文字で書いている、といった事実について語るつもりはない。そうしたことは他の記事で取り上げる。しかしYouTubeは、Logan Paulが、興味を引きつけアルゴリズムの裏をかくために、日本で自殺した人間を撮影したことにいまさら驚いてはいけない。

言い換えれば、ソーシャルネットワークが大きくなるにつれて、コンテンツはゴミになったのだ。

プライベートコミュニティ

集中化の後には必ず非集中化が続くものだ。ソーシャルネットワークの行き止まりに達した私たちは、自分たちのデジタルハウスを建てるときが来た。

遠くに離れた家族と連絡を取り合う場合には、グループメッセージが大切だ。しかしそれとは別に、あなたは自身の興味に基づいたグループを作成して、あなたが情熱を注ぐことに興味を持つ人たちと語り合うことができる。

大きくなりすぎていないソーシャルネットワークには、まだ方向転換をするチャンスがある。親しい関係を大切にするものにして、親しい人たちと語り合うための便利な機能を追加しよう。

言うべき興味深い事があるなら、自分自身の言葉でそれを語って欲しい。Mediumにサインアップする代わりに、ブログを作ろう。とはいえMediumは、読者があなたの言葉を読みたいときに、サインアップすることを強制することはないが。

もし休暇を完璧なInstagramのストーリー作りに費やしているのなら、そのことは冷めた目で眺めてみるべきだ。そこからキャリアを築いてInstagramの有名人になりたいのか、それとも写真や動画を自分のコミュニティに直接送ることを考えるべきなのか。そのことを考えないのなら、あなたはただ腐ったシステムに参加しているだけのことだ。

政治や生活全般についてコメントしたいならば、それはFacebook上の友達に対してではなく、あなたの身の回りにいる人と話し合うことを考えてみるべきだ。

携帯電話をポケットに戻して会話を始めよう。ひょっとしたらアプリアイコンの上に表示される赤いドットのことは忘れて、何時間も話し合うことになるかもしれない。

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(翻訳:sako)

「問題はFacebookそのものだ」 9カ国の議員が非難

9カ国の議会の代表者による大委員会の公聴会は、Facebookのマーク・ザッカーバーグが欠席のまま今日開催された。Facebookの創業者は“フェイクニュース”と呼ばれる民主主義への悪影響を含め、悪意のある汚い、不適当なソーシャルメディアプラットフォームの使用についての質問に答えるよう、これまでに何回も議会に召喚されたが、にべなく断ってきた。

英国のDCMS委員会はFacebookにデータ誤使用スキャンダルと選挙干渉の責任をとらせようと非難を主導してきたーそうした動きに世界各国の議員が加わった。しかし、それでもザッカーバーグは欠席した。

計9カ国の議員が、ザッカーバーグの代理人でポリシー担当副社長Richard Allanに質問をぶつけるために集まったーその質問には以下のようなものが含まれる。南米で政治に関する偽情報を広めるのにWhatsAppが使われているのをやめさせるためにFacebookは何をしているのか。スリランカでかなり炎上した反ムスリムヘイトスピーチのコンテンツの削除を、同国がプラットフォームへのアクセスを封鎖するまでなぜ拒否したのか。ベルギーにおける非ユーザーをFacebookはどうやって追跡しているのか。また、そうした行為を欧州の厳しい新ルールGDPRのもとでどう正当化するのか。プライバシーと信用のスキャンダルを抱えているFacebookが言うことを現時点で人々がなぜ信用しなければならないのか。

選ばれた議員たちは、英国、アルゼンチン、ベルギー、ブラジル、カナダ、フランス、アイルランド、ラトビア、シンガポールの国民4億5000万人のために自由闊達に考えを述べた。彼らの口から最も多く繰り返された質問は、なぜザッカーバーグがここにいないのか、だ。

Allanは不在のボスの代理であることで居心地悪そうにみえた。そしてソーシャルメディアの反社会的、反民主的影響を統制する“正しい規制”を議員とともに模索したいと語った時など、あらゆるハンドジェスチャーを使っていた。

カナダの議員Bob Zimmerはその場を代表して、Allanが防衛の拠りどころとしていることに切り込んだ:「またしても我々はFacebookの謝罪を聞いているー‘ほら、我々を信用してください、みなさんは我々を規制しているでしょう、我々は実のところグローバルのスキームにさほど影響を与えていません’。この部屋にいる我々は4億人超の人々に関係する規制を扱っている。そこの席にCEOが座っていないというのは、この部屋にいる我々全員への攻撃であり、我々の市民への攻撃でもある」。

「[BlackBerry共同創業者の]Jim Balsilleは、我々の委員会で私が質問した時、監視資本主義に対処するためにカナダで法律を変えなければ、我々のデモクラシーは危機を迎えるのではないか、と述べた」。さらにZimmeは続けた。「彼は何の疑いもなく言った。あなたはどう思うか」ーこの発言に対し、Allanは時間を稼ぐために、「サービス利用規約が必要だ」と言い、そしてFacebookが多くの“ツール”で処理しようとしている“多くの問題を抱えるベクター”について語った。

今回の喚問は、かなり不満に満ちた曖昧な言葉で多くの時間が費やされた。というのもAllanが委員会の質問をそらし、牙を抜き、緊張をやわらげようとしたからだーAllanはNew York Timesが最近報道した“delay, deny, deflect(遅い、否定する、歪める)”戦略を何回も繰り返し、そうした態度は何回も議員に非難された。

Allanはそうではないと主張したー問題を“認めている”と主張した。しかし彼の横の空席はぶざまだった。

終わり間際には、カナダのCharlie Angusが、Allanは問題の根本的な原因から議員の目をそらそうとしていると非難し、Facebookの大風呂敷を吹き飛ばしたーAngusはその根本的原因はFacebookそのものだと鋭く定義した。

「我々がFacebookに関して抱えている問題は、責任のなさだーだから私は、我々が規制について語るとき、おそらくベストな規制は独占禁止だと言っておく」とAngusは述べた。「なぜならFacebookが嫌いな人はーWhatsAppが利用できる。しかし、WhatsAppは南米で問題を抱えている。アフリカでもだ。そして私たちは今日ここにいないマーク・ザッカーバーグに戻らざるをえないからだ」。

「私の娘たちはFacebookをやめることができる。しかし彼女たちはInstagramへと走る。しかし今やInstagramはFacebookがコントロールしている。おそらく最もシンプルな規制の形式は、Facebookを分解することだ」。

「だから我々が規制について議論するとき、あなたの友人のザッカーバーグ氏に独占禁止についてディスカッションできるか、と尋ねる気はあるだろうか」。

Allanは「我々が解決しようとしている問題にもよる」とだけ答えた。

「問題はFacebookだ」とAngusは言い返した。「我々は現在起こっていることについて語っているが、問題は社会的な議論やコミュニケーションのあらゆる形式にかかる前例のない経済コントロールだ。それがFacebookだ。これこそが我々が取り組む必要のある問題だ」。

委員会の委員長Damian Collinsはまた、Allanの質問の言葉を言い換えて混乱させようとする試みを、「私が思うに、我々はインターネットとFacebookが必ずしも同じ意味ではないと識別している」と言葉を挟むことで容赦なくやっつけたーAllanは議員が“インターネットをオフにしろ”と言っているとした(しかしAngusは実際にはこう主張した:信頼できる民主主義的な対応をFacebookから得る方法)。

会場はそれに賛同した。

公聴会の冒頭、Collinsは「そうする立場にない」と言いながら、2015年からFacebookを訴えていたスタートアップの創業者から週末にドラマチックに差し押さえた文書について、少なくとも今は公開するつもりはないと明らかにした。

しかしながらいくつかの点で、公聴会中にDCMS委員会のメンバーはこれらの文書から得た新たな詳細を“チラ見せ”した。たとえば、Facebookはデベロッパーがプラットフォーム上で広告がとれるように今までにAPIに手を加えたことがあるか、といった質問だ。

Allanはない、と答えたーそして、委員会が読んだかもしれない電子メールは、Facebookのデスクトップベースのビジネスモデルをいかにモバイルファースト時代に合わせて発展させるかについての“普通の”内部ディスカッションに伴うものだったと思わせようと試みているようにみえた。

Collinsもまた、差し押さえた文書から引っ張ってきたとわかる新たな情報ー特に2014年10月以降、Facebookエンジニアから送られた内部電子メールからだーの一部について、かなり公共の関心を引くだろうと表現した。

「Facebookのエンジニアが2014年10月に、ロシアのIPアドレスのエンティティが、フレンズAPIを通じて1日に30億のデータポイントを寄せるためにPinterestのAPIキーを使っている、と会社に報告した」と、彼は明らかにした。そしてAllanに、“当時これが外部に報告されたかどうか”を尋ねた。

Facebookの副社長は、“敵意のある訴訟当事者”経由の情報源であることを理由に、差し押さえた文書に含まれる情報は“部分的だ”とした。

Collinsは「訴訟当事者を攻撃するためだけにこの機会を活用してほしくない」と言い返した。「私はあなたに質問に答えてほしい…エンジニアから会社に報告されたとき、Facebookはどのような内部プロセスをとったのか。Facebookは外部の機関にこのことを知らせたのか。なぜなら、もしロシアのIPアドレスがプラットフォームからの膨大な量のデータを寄せていたとしたら、レポートするか、もしくはそのままにするかであり、多くの場合それは身内内にとどめ、そのことについては語らない、となる」。

Allanは「電子メールの中に含まれたあなたが見た情報は、せいぜい一部分であり、最悪の場合ミスリーディングしている」と答えた。

「信じるかどうかはさておき、ロシアによる活動があったという特定の問題については、継続中の我々の調査に基づいてあらためて回答したい」。

我々はPinterestに、PinterestのAPIキー乱用をFacebookが今までに知らせてきたかどうか問い合わせている。この記事を執筆している時点で、Pinterestからコメントはない。

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(翻訳:Mizoguchi)

‘フェイクニュース’に関する7カ国議会喚問、ザッカーバーグの代わりに副社長出席へ

Facebookに、オンラインフェイクニュース危機とデータ誤使用スキャンダルについて問いただすため、世界7カ国の議会の代表者22人で構成されるという前例のない国際大委員会は、来週ロンドンで開かれる。

しかしFacebookの創業者マーク・ザッカーバーグは何も答えない。同社はこれまで何回もザッカーバーグが議会で質問に答えることを拒んできた。

その代わり、EMEAポリシーに明るい、ロンドンを拠点とするポリシー担当副社長リチャード・アランが、部屋いっぱいのいらついた議員に対面することになる。

アランは来週、英国議会のデジタル・文化・メディア・スポーツ委員会(DCMS)と、アルゼンチン、ブラジル、カナダ、アイルランド、ラトビア、シンガポールの議会から選ばれた議員の前で証言する。

実は8カ国の議会が参加する予定だったが、7カ国になったーオーストラリアがロンドンに来れないためだ。

DCMS委員会の広報はFacebookがザッカーバーグ出席の要求を拒否したことを認め、TechCrunchに対し次のように述べた:「委員会はザッカーバーグ氏にビデオでの証言の機会も打診したが、こちらも拒否された。Facebookはポリシーソリューション担当の副社長リチャード・アランの出席を提案し、委員会はこれを受け入れた」。

「委員会はまだ、プライバシー、安全性、セキュリティ、シェアリングにかかる重要な質問に答えるのはマーク・ザッカーバーグが適切だと考えている」と広報は付け加えた。「最近のニューヨークタイムズ紙の調査で、このほどあったデータ流出がFacebook内でどのように対処されたのか、上級のリーダーシップチームがいつデータ流出とロシアの誤情報の拡散を把握したのかといったさらなる疑念が生じている」。

DCMS委員会は、Facebookに一連の大きなデータスキャンダルに関する説明責任を果たさせようと先頭に立ってきて、ここに同様の懸念を抱える世界中の議会が加わった。その懸念の一つは、今年DCMS委員会を忙しくしている、オンライン誤情報の民主主義への影響だ。

DCMS委員会は、Cambridge Analyticaの件が今年4月にグローバル規模の大スキャンダルになって以来、特に忙しい。しかしながら今年、Facebookの悪いニュースはそこでとどまらなかった。


アランの喚問は11月27日午前11時半(GMT)、英国議会で行われる(その様子は英国の議会テレビウェブサイトでライブ配信される予定だ)。

その後記者会見が予定されていて、DCMSによると、7議会の代表が‘インターネットにかかる法律の国際原則’に署名する見込みだ。

この原則は“参加する議会の将来の行動についての宣誓”となるーソーシャルメディア規制に関する国際的な動きと総意を形成する意思を表している。

今夏まとめられたDCMSのフェイクニュース危機に関する予備レポートでは、政府に対し緊急の対応を求めているーここには、民主主義を守るためにソーシャルメディアに課税するという案も含まれている。

しかしながら英国の大臣は行動に移すことはせず、‘様子を見る’という生ぬるい反応しか示していない。国際的な行動を先導するといのが、DCMSのもう一つのアクションプランとなっている。

来週の記者会見で、大委員会のメンバーはアランの喚問後に質問を受け付け、そこではFacebookのごまかし、誤った方向性、質問のはぐらかしについての非難が予想される(Facebookの回避的な態度パターンはすでにDCMSのメンバーに非難されている)。

先週のニューヨーク・タイムズ紙の報道ではまた、フェイクニュース危機に直面した2016年以降のFacebookの戦略を、‘遅い、否定する、ゆがめる’と特徴づけている。

大委員会はまた、他の参考人からも話を聞く。その参考人には、Cambridge Analyticaスキャンダル後に実施された幅広いエコシステム調査について最近レポートを行なったDCMSの前メンバーで、英国の情報コミッショナーであるElizabeth Denhamも含まれる。

Facebookはプラットフォームがどのように使われるのかについて“大きな責任”を負う必要がある、と彼女は述べていて、Facebookがプライバシーを犠牲にするビジネスモデルを徹底的に見直さない限り、ユーザーの信頼を永久に失うことになる、とも警告している。

そのほか、来週の証言者は次の通りだ:副情報委員Steve Wood;セントクリストファー・ネイビスの前首相Denzil L Douglas(Cambridge Analytica/SCL選挙が同国で行なったことに関して);PersonalData.IO共同創業者Paul-Olivier Dehaye。

Dehayeは以前にも委員会で証言しているーFacebookへのデータ主体のアクセス要求をした経験の詳細を語った。Dehayeは、Facebookが持つ自身に関するデータの入手を試みたが失敗に終わっている。

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(翻訳:Mizoguchi)

あなたの州で「投票撮り」(votie)は合法? このマップで調べよう

明日は2018年中間選挙。興味深い政治展望の変化に加えて、この日は何百万というvotie[投票撮り]、つまり記入済み投票用紙の写真がソーシャルメディアに投稿されることが約束されている。それは同時に、合法か違法かという国レベルの混乱を招く事象でもある。それはあなたがどの州に住んでいるかによって変わる。でも心配はいらない、この地図を見るか、下に載せた便利なカラーコード化リストを見れば安心だ。

さて、読者の中には誰に投票したかを公開して自分の政治見解を表明することがなぜ違法になるのか不思議に思う人もいるだろう。問題は政治的発言をすることにあるのではない。当然その権利は守られている。問題は、選挙手続き上その行為が明示的に禁止されているとき、実際の投票を公開することだ。

投票の秘密は力を与えるためであり、制限するためではない。自分の投票内容を誰にも知られることがなく、なんらかの形で投票の証拠を公表することが法で禁止されていれば、誰に投票するかを強制されたり脅迫されたりする心肺はない。この可能性に加えて、投票所という人に見られたくない場所に撮影装置を持ち込む、というもっと一般的な脅威もある。

民主的プロセスの完全性と〈他人の〉投票の秘密を侵害する可能性は、この特別な場所と時間には個人の言論の自由に優先するという判断が、一部の州では決定されているが、そこには少なからぬ議論や異義がある。憲法修正第1条の例外として、これはかなり範囲の狭いものの一つだ。

ダウンロード用の大型マップはこちら

ともあれ、18の州がこの行為を禁止しているが、その範囲と厳格さはまちまちだ。低レベルの軽犯罪であったりもっと重大な罪であったり、投票所への電子機器持ち込みが全面禁止されていることもある。州によっては訴訟することも、何もしないこともあるが、私はシンプルに “ILLEGAL”[違法]と分類した。この選挙投票の日になんらかの形で法に抵触するのだから。

21の州は、この行為を禁止する法律がないか、明示的に許しているのでLEGAL[合法]とした。ただし、写真は自分と自分自身の投票用紙であり、他人のものであってはならない。

残る11州は、いずれのカテゴリーにもすっきり収まらない。たとえば、一部の州では書き込み済みのMAIL-IN BALLOTS[郵送投票用紙]の写真は自由にシェアできるが、投票場所やその周辺の写真を撮ることは許されていない。〈私〉には理解出来ないが、法律家や立法者から見るとvotieで法を犯す方法があるらしい。UNCLEAR[不明]な州にいる人は、何もしないのが安全だが、どうしてもやらなければならないなら、Law & Crimeにあるこのリストの最後を確認されたい。

それでは本題のリストはこちら:

  • Alabama: ILLEGAL
  • Alaska: ILLEGAL
  • Arizona: MAIL-IN BALLOTS OK
  • Arkansas: UNCLEAR
  • California: ILLEGAL (but not for long)
  • Colorado: ILLEGAL
  • Connecticut: LEGAL
  • Delaware: ILLEGAL
  • District of Columbia: LEGAL
  • Florida: ILLEGAL
  • Georgia: ILLEGAL
  • Hawaii: LEGAL
  • Idaho: LEGAL
  • Illinois: ILLEGAL
  • Indiana: LEGAL
  • Iowa: MAIL-IN BALLOTS OK
  • Kansas: LEGAL
  • Kentucky: LEGAL
  • Louisiana: LEGAL
  • Maine: LEGAL
  • Maryland: MAIL-IN BALLOTS OK
  • Massachusetts: UNCLEAR
  • Michigan: ILLEGAL
  • Minnesota: LEGAL
  • Mississippi: ILLEGAL
  • Missouri: UNCLEAR
  • Montana: LEGAL
  • Nebraska: LEGAL
  • Nevada: ILLEGAL
  • New Hampshire: LEGAL
  • New Jersey: ILLEGAL
  • New Mexico: ILLEGAL
  • New York: ILLEGAL
  • North Carolina: ILLEGAL
  • North Dakota: LEGAL
  • Ohio: UNCLEAR
  • Oklahoma: UNCLEAR
  • Oregon: LEGAL
  • Pennsylvania: DEPENDS ON COUNTY
  • Rhode Island: LEGAL
  • South Carolina: ILLEGAL
  • South Dakota: ILLEGAL
  • Tennessee: ILLEGAL
  • Texas: MAIL-IN BALLOTS OK
  • Utah: LEGAL
  • Vermont: LEGAL
  • Virginia: LEGAL
  • Washington: LEGAL
  • West Virginia: MAIL-IN BALLOTS OK
  • Wisconsin: ILLEGAL
  • Wyoming: LEGAL

もし自分の州が違法または合法かどうか疑問の場合は、自分の責任でvotieをシェアされたい。

投票妨害や投票マシンの不具合その他の問題をスマートフォンで記録することは、規則の例外になる場合がある。最善の判断を下し、他人のプライバシーに配慮されたい。

私は法律家ではなく、これは法的な助言ではない! 本稿は単なる情報提供であり、2018年11月5日現在私の知る限りの知識による。誤りがあった場合は? [原文の]コメント欄で教えてくれれば調査する。すでにいくつか修正した箇所もある。

ちなみに私は “votie” が起きるのを止めようとしているのではない。きっと起きるだろう!

more 2018 US Midterm Election coverage

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookは新しい機械学習技術で870万件の児童搾取ポストを削除したと主張

Facebookが今日(米国時間10/24)、前四半期には新しい技術により、児童搾取の規則に違反している870万件のコンテンツを削除した、と発表した。同社が昨年来開発してきた新しいAIおよび機械学習の技術は、それらのポストの99%を、誰かがそれを報告する前に削除した、とFacebookの安全性担当のトップAntigone Davisがブログ記事で述べている。

その新しい技術は、児童のヌードなどの搾取的コンテンツをそれらがアップロードされた時点で見つけ、そして必要ならば、写真と説明文書をNational Center for Missing and Exploited Children(失踪および搾取された児童のための全国センター)に報告する。Facebookはすでに、写真マッチング技術を使って、新たにアップロードされた写真を児童搾取やリベンジポルノの既知の画像と比較していたが、新しいツールは、それまで特定されていなかったコンテンツ(既知でないコンテンツ)がFacebookのプラットホームから広まることを防げる。

その技術は完全ではなく、多くの親たちが、自分たちの子どもの無害な写真が削除された、と不平を言っている。Davisはブログ記事の中でそのことを認め、“虐待‘かもしれない’ものでも排除する方針なので、子どもがお風呂に入っているような一見無害で性的でないコンテンツも対象にしている”、と書いている。そしてこの“幅広いアプローチ”のために、前四半期には大量のコンテンツが削除された、という。

しかしFacebookのコンテンツ調整が完全には程遠くて、多くの人たちが、それは悉皆的でも正確でもないと思っている。家族のスナップ写真だけでなくFacebookは、ベトナム戦争の悲惨さの象徴となった1972年のPhan Thi Kim Phucの、“Napalm Girl”(ナパームの少女)と呼ばれている写真まで削除した。最重症のやけど第三度熱傷を負った少女は、村を南ベトナムのナパーム弾で焼かれ、裸で走って逃げていた。FacebookのCOO Sheryl Sandbergは、後日、その写真を削除したことを謝罪した

昨年、同社のコンテンツ調整ポリシーは、イギリスの国の機関である児童虐待防止協会から批判された。その団体は、Facebookは独立の調整機関の下に置かれるべきであり、ポリシーへの違反には罰金が課せられるべきだ、と主張した。Facebook Liveのローンチもときには同社とその調整者たち(人間とソフトウェアによるモデレーター)にとって逆風となり、性的暴行や自殺、殺人などのビデオが批判された。生後11か月の赤ちゃんが父親に殺されるビデオすら、放送されてしまった。

しかしソーシャルメディアのコンテンツの調整は、AIによる自動化が人間労働者の福利に貢献しうることの顕著な好例である。先月、FacebookのコンテンツモデレーターだったSelena Scolaは、何千もの暴力的な画像を調べさせられたために心的外傷後ストレス障害(post-traumatic stress disorder, PTSD)に陥ったとして同社を告訴した。モデレーターの多くは契約社員だが、その多くが、彼らの仕事の精神的重荷について語り、Facebookは十分な教育訓練とサポートや金銭的補償を提供しない、と言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Facebook、「広告アーカイブレポート」で政治広告費ランキングを公表

明白な理由により、Facebookは中間選挙を前に政治広告の透明性を高めようとしている。去る5月、同ソーシャルネットワークは米国内の政治広告を検索できるデータベース、Ad Archiveを導入した。このほど新たに政治広告費用を週例報告するAd Archive Report機能を追加した。

レポートはキャンペーン別のトップ広告利用者を利用額および広告掲載数と共に公開している。最初のレポートは、FacebookとInstagramで5月から10月20日の期間に掲載された広告が対象で、総額2.56億ドルが160万件の広告に消費された。

この数字にはFacebook自身による選挙の公正化および投票推進運動に関連する広告も含まれている。それ以外ではあらゆる手を尽くして戦っているテキサス州のベト・オルーク下院議員がリードしているのは驚きではないだろう。”Beto for Texas” キャンペーンはこの期間約6000件の広告に530万ドルを使った。

ドナルド・トランプの “The Trump Make America Graeat Again Committee”[トランプがアメリカを再び偉大にする委員会]が190万ドルで2位。ちなみに “Donald J. Trump for President, Inc.” [ドナルド・トランプを大統領に株式会社] は160万ドルで8位だった。これは170万ドルを使ったトム・ステイヤーの”Need to Impeach”[弾劾せよ]のすぐ下だ。こうしたキャンペーンが2020年に向けて膨れ上がっていくことは間違いない。

アーカイブには、7年前まで遡って広告が収納されている。また同サイトでは、データをアクセスするためのリサーチャー向けのAPIも提供している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

フェイスブックを超える大きなデジタルドリーム「オープンブック」

大手ソーシャル系技術企業は、自身の強力なプラットフォームが持つ特性と、的確な舵取りと価値の創出に失敗したこと(自ら設定したと主張する規定にすら準拠できていないことが明らかになっている)の結果の両方によって生じたと反社会的な魔物と格闘を続けているが、それでも、よりよい方法があると夢見ている人たちがいる。人の怒りを食べて成長する広告技術の巨人、フェイスブックやツイッターを超えるソーシャルネットワークだ。

もちろん、「よりよい」ソーシャルネットワークを作る試みは数多くあったが、そのほとんどは沈没している。成功や利用度には差があるものの、今でも使われているものもある(スナップチャット、エロー、マストドンの3つは元気だ)。だが当然ながら、ザッカーバーグの王座を強奪できる者はいない。

その原因は、そもそもフェイスブックがイスンタグラムとワッツアップを買収したことにある。フェイスブックはまた同様に、自分たちよりも小さな成功の芽を持つライバル企業を買収して潰している(tbh)。そうやって、ネットワークのパワーと、そこから流れ出るリソースを独占することで、フェイスブックはソーシャルの宇宙に君臨している。それでも、もっと良いものを想像する人々の気持ちは止められない。友だちが作れて、社会に大きな影響を与えることができる、倫理的に優れ、使いやすいプラットフォームだ。

そんな、二面性のある社会的使命を持った最新の夢想家を紹介しよう。オープンブック(Openbook)だ。

彼らの理想(今はそれだけなのだが、自己資金で立ち上げた小さなグループと、宣言と、プロトタイプと、間もなく終了するキックスターター・キャンペーンと、そしてそう、希望に満ちた大志がある)は、ソーシャルネットワークを再考して、複雑で不気味なものではなく、より親しみやすく、カスタマイズができるオープンソースのプラットフォームを作ることだ。

営利目的のプラットフォームとしてプライバシーを守るという彼らのビジョンは、常に利用者を監視する広告やトラッカーは使わず、公正な料金設定(そしてプラットフォーム上で通用するデジタル通貨)によるビジネスモデルに立脚している。

彼らの中核にある考え方は、とくに新しいものではない。しかし、巨大プラットフォームによる大量にして目に余るデータの不正利用にさらされていると、その考え方が理にかなっていると思えるようになる。そのため、おそらくここではタイミングがもっとも重要なエレメントになる。フェイスブックは、度重なる舵取りの失敗、知覚評価の低下、さらに退陣する幹部役員のなかの少なくとも一人が、人を操作することに長け倫理に無関心であることから営業哲学が攻撃されるなど、これまでにない厳しい調査にさらされ、利用者数の伸び悩み知覚価値の低下を招いている。

より良い方向を目指すオープンブックのビジョンは、Joel Hernández(ジョエル・ヘルナンデス)が描いたものだ。彼は2年間ほど夢想を続けている。他のプロジェクトの傍らでアイデアのブレインストーミングを行い、周囲の似た考えを持つ仲間と協力して、彼は新しいソーシャルネットワークの宣言をまとめた。その第一の誓いは、正直な関与だ。

「それから、データスキャンダルが起きて、繰り返されるようになりました。彼らはチャンスを与えてくれたのです。既存のソーシャルネットワークは、天から与えられたものでも、不変のものでもありません。変えたり、改良したり、置き換えることができるのです」と彼はTechCrunchに話してくれた。

Hernándezによるとそれは、ちょっと皮肉なことに、昼食時に近くに座っていた人たちの会話を聞いたことから始まった。彼らは、ソーシャルネットワークの悪い点を並べ立てていたのだ。「気持ち悪い広告、ひっきりなしに現れるメッセージや通知、ニュースフィードに何度も表示される同じコンテンツ」……これに推されて、彼は宣言文を書いた紙を掴み取り、新しいプラットフォームを実際に作ろうと(というか、作るための金策をしようと)決意した。

現在、この記事を執筆している時点では、オープンブックのキックスターター・キャンペーンのクラウドファンディングは残り数日となったが、集まっているのは(控えめな)目標額の11万5000ドル(約1270万円)の3分の1程度だ。支援者は1000人をわずかに超える程度しかいない。この資金集めは、ちょっと厳しいように見える。

オープンブックのチームには、暗号文の神と呼ばれ、メール暗号化ソフトPGPの生みの親として知られるPhil Zimmermann(フィル・ジマーマン)も加わっている。開始当初はアドバイザーとして参加していたが、今は「最高暗号化責任者」と呼ばれている。そのときが来れば、プラットフォームのために彼がそれを開発することになるからだ。

Hernándezは、オランダの電気通信会社KPNが内部的に使うためのセキュリティーとプライバシー保護用のツールをZimmermannと一緒に開発していたことがある。そこで彼はZimmermannをコーヒーに誘い出して、彼のアイデアに対する感想を聞いたのだ。

「私がオープンブックという名前のウェブサイトを開いた途端、これまで見たことがないくらいに彼の顔が輝いたのです」とHernándezは話す。「じつは、彼はフェイスブックを使おうと考えていました。家族と遠く離れて暮らしていたので、フェイスブックが家族とつながるための唯一の手段だったのです。しかし、フェイスブックを使うということは、自分のプライバシーをすべて捧げるということでもあるため、彼が人生をかけてきた戦いで負けを認めることになります。だから、彼はフェイスブックを使いませんでした。そして、実際の代替手段の可能性に賭けることにしたのです」

キックスターターの彼らのキャンペーンページに掲載された動画では、Zimmermannが、営利目的のソーシャルプラットフォームの現状について彼が感じている悪い点を解説している。「1世紀前は、コカコーラにコカインが含まれていて、私たちはそれを子どもに飲ませていました」とZimmermannは動画の中で訴えている。「1世紀前の私たちの行動はクレイジーです。これから数年先には、今のソーシャルネットワークを振り返って、私たちが自分自身に何をしていたのか、そしてソーシャルネットワークで互いに傷つけ合っていたこと気づくときが来るでしょう」

「今あるソーシャルネットワークの収益モデルに代わるものが、私たちには必要です」と彼は続ける。「深層機械学習のニューラルネットを使って私たちの行動を監視し、私たちをより深く深く関わらせようとするやり方を見ると、彼らがすでに、ユーザーの関わりをさらに深めるものは、激しい憤り以外にないと、知っているかのようです。そこが問題なのです」

「こうした憤りが、私たちの文化の政治的な対立を深め、民主主義制度を攻撃する風潮を生み出します。それは選挙の土台を崩し、人々の怒りを増長して分裂を拡大させます。さらに、収益モデル、つまり私たちの個人情報を利用する商売で、我々のプライバシーが破壊されます。だから、これに代わるものが必要なのです」

Hernándezはこの4月、TechCrunchの情報提供メールに投稿してくれた。ケンブリッジ・アナリティカとフェイスブックのスキャンダルが明るみに出た直後だ。彼はこう書いていた。「私たちは、プライバシーとセキュリティーを第一に考えたオープンソースのソーシャルネットワークを作っています」と。

もちろん、それまでにも似たような宣伝文句は、ほうぼうから聞かされていた。それでも、フェイスブックは数十億という数の利用者を集め続けていた。巨大なデータと倫理のスキャンダルにかき回された今も、利用者が大挙してフェイスブックから離れることは考えにくい。本当にパワフルな「ソーシャルネットワーク」ロックイン効果だ。

規制は、フェイスブックにとって大きな脅威になるだろうが、規制を増やせば、その独占的な地位を固定化することになるだけだと反対する人もいる。

オープンブックの挑戦的なアイデアは、ザッカーバーグを引き剥がすための製品改革を敢行することにある。Hernándezが呼ぶところの「自分で自分を支えられる機能を構築すること」だ。

「私たちは、プライバシーの問題だけで、今のソーシャルネットワークから多くのユーザーを引きつけることは不可能だと、率直に認めています」と彼は言う。「だから私たちは、もっとカスタマイズができて、楽しくて、全体的なソーシャル体験ができるものを作ろうとしているのです。私たちは既存のソーシャルネットワークの道を辿ろうとは思っていません」

この夢のためであったとしても、データの可搬性は重要な材料だ。独占的なネットワークから人々を乗り換えさせるには、すべての持ち物とすべての友だちをそこに残してくるよう言わなければならない。つまり、「できる限りスムーズに移行ができるようにする」ことが、もうひとつのプロジェクトの焦点となる。

Hernándezは、データ移行のためのツールを開発していると話している。既存のソーシャルネットワークのアーカイブを解析し、「そこに自分が持っているものを開示し、何をオープンブックに移行するかが選べる」ようにできるというものだ。

こうした努力は、欧州での新しい規制が助力になっている。個人情報の可搬性を強化するよう管理者に求める規制だ。「それがこのプロジェクトを可能にしたとは言わないけど……、以前の他の試みにはなかった特別なチャンスに恵まれました」とHernándezはEUのGDPR(一般データ保護規制)について話していた。

「それがネットワーク・ユーザーの大量移動に大きな役割を果たすかどうか、私たちには確かなことは言えませんが、無視するにはあまりにも惜しいチャンスです」

製品の前面に展開されるアイデアは豊富にあると、彼は話している。長いリストを広げるように教えてくれたものには、まず手始めに「チャットのための話題ルーレット、インターネットの課題も新しいコンテンツとして捉え、ウィジェット、プロフィールアバター、ARチャットルームなど」がある。

「馬鹿らしく思えるものもあるでしょうが、これはソーシャルネットワークに何ができるかを見極めるときに、現状を打破することが狙いなのです」と彼は付け加えた。

これまでの、フェイスブックに変わる「倫理的」なネットワーク構築の取り組みが報われなかったのはなぜかと聞くと、みなが製品よりも技術に焦点を置いていたからだと彼は答えた。

「今でもそれ(失敗の原因)が支配的です」と彼は示唆する。「舞台裏では、非常に革新的なソーシャルネットワークの方式を提供する製品が現れますが、彼らは、すでにソーシャルネットワークが実現している基本的な仕事をするための、まったく新しい技術の開発にすべての力を注ぎます。数年後に判明するのは、既存のソーシャルネットワークの機能にはまだまだ遠く及ばない彼らの姿です。彼らの中核的な支持者たちは、似たような展望を示す別の取り組みに乗り換えています。そしてこれを、いつまでも繰り返す」

彼はまた、破壊的な力を持つ取り組みが消えてしまうのは、既存のプラットフォームの問題点を解決することだけに集中しすぎて、他に何も生み出せなかった結果だと推測している。

言い換えれば、人々はそれ自身が大変に面白いサービスを作るのではなく、ただ「フェイスブックではないもの」を作ろうとしていたわけだ(しかし最近では、スナップが、フェイスブックのお膝元で独自の場所を切り開くという改革を成し遂げたことを、みなさんもご存知だろう。それを見たフェイスブックがスナップの製品を真似て、スナップの創造的な市場機会を潰しにかかったにも関わらずだ)。

「これは、ソーシャルネットワークの取り組みだけでなく、プライバシーを大切にした製品にも言えます」とHernándezは主張する。「そうしたアプローチが抱える問題は、解決した問題、または解決すると宣言した問題が、多くの場合、世間にとって主流の問題ではないということです。たとえば、プライバシーがそうです」

「その問題を意識している人にとっては、そうした製品はオーケーでしょう。しかし、結局のところ、それは市場のほんの数パーセントに過ぎません。この問題に対してそれらの製品が提供する解決策は、往々にして、人々にその問題を啓蒙することに止まります。それでは時間がかかりすぎます。とくに、プライバシーやセキュリティーの問題を理解させるのは、そう簡単ではありません。それを理解するためには、技術を使いこなすよりも、ずっと高度な知性が必要になります。それに、陰謀説論者の領域に入って実例を挙げなければ、説明が困難です」

そうして生まれたオープンブックの方針は、新しいソーシャルネトワークの機能や機会を人々に楽しんでもらうことで、そしてちょっとしたおまけとして、プライバシーが侵害されず、連鎖的に人の怒りの感情に火をつけるアルゴリズムも使わないことで、世の中を揺さぶろうというものとなった。

デジタル通貨に依存するビジネスモデルも、また別の課題だ。人々に受け入れてもらえれるかは、わからない。有料であることが、すなわち障害となる。

まずは、プラットフォームのデジタル通貨コンポーネントは、ユーザー同士の不用品の売り買いに使われると、Hernándezは言っている。その先には、開発者のコミュニティーが持続可能な収入を得られるようにしたいという展望が広がっている。すでに確立されている通貨のメカニズムのおかげで、ユーザーが料金を支払ってコンテツにアクセスしたり、(TIPSを使って)応援したりできる。

つまり、オープンブックの開発者たちが、ソーシャルネットワーク効果を使い、プラットフォームから発生する直接的な支払いの形で利益が得られるという考えだ(ユーチューブのクリエイターなど、広告料金にだけ依存する形とは違う)。ただしそれは、ユーザーがクリティカルマスに達した場合だ。当然、実に厳しい賭けとなる。

「既存のソリューションよりも経費が低く、素晴らしいコンテンツ制作ツール、素晴らしい管理機能と概要表示があり、コンテンツの表示方法が細かく設定でき、収入も安定して、予測が立てやすい。たとえば、毎月ではなく、5カ月に一度といった固定的な支払い方法を選んだ人には報償があるとか」と、現在のクリエイターのためのプラットフォームと差別化を図るためのアイデアを、Hernándezは並べ立てた。

「そんなプラットフォームが完成して、人々がその目的のためにTIPSを使うようになると(デジタルトークンの怪しい使い方ではなく)、能力が拡大を始めます」と彼は言う(彼はまた、計画の一部としてデジタル通貨利用に関するその他の可能性についてMedium誌に重要な記事を書いている)。

この初期のプロトタイプの、まだ実際に資金が得られていない段階では、彼らはこの分野での確実な技術的決断を下していない。誤って反倫理的な技術を埋め込んでしまうのも怖い。

「デジタル通貨に関しては、私たちはその環境への影響と、ブロックチェーンのスケーラビリティーに大きな不安を抱えています」と彼は言う。それは、オープンブックの宣言に明記されたグリーンな目標と矛盾することになり、収益の30パーセントを「還元」プロジェクトとして、環境や持続可能性への取り組み、また教育にも役立てるという計画を、絵空事にしてしまう。

「私たちは分散化した通貨を求めていますが、じっくり調査するまでは早急に決めるつもりはありません。今はIOTAの白書を研究しているところです」と彼は言う。

彼らまた、プラットフォームの分散化も目指している。少なく部分的には分散化させたい考えだ。しかしそれは、製品の優先順位を決める戦略的決断においては、第一の焦点ではない。なので、彼らは(他の)暗号通貨コミュニティーからファンを引き抜こうとは考えていない。もっとも、ターゲットを絞ったユーザーベースのほうがずっと主流なので、それは大きな問題にはならない。

「最初は、中央集権的に構築します。そうすることで、舞台裏を支える新技術を考え出す代わりに、ユーザー・エクスペリエンスと機能性の高い製品の開発に集中できます」と彼は言う。「将来は、特別な角度から、別のもののための分散化を目指します。アプリケーションに関することで言えば、回復機能とデータ所有権です」

「私たちが注目しているプロジェクトで、私たちのビジョンに共通するものがあると感じているものに、Tim Berners LeeのMIT Solidプロジェクトがあります。アプリケーションと、そこで使われるデータを切り離すというものです」と彼は話す。

それが夢なのだ。この夢は素晴らしくて正しいように思える。課題は、独占的なプラットフォームの権力によって競争の機会が失われ、別のデジタルな現実の可能性を信じられる人がいなくなったこの荒廃した市場で、十分な資金と幅広い支援を獲得することだ。これを「信念の価値」と呼ぶ。

4月上旬、Hernándezはオープンブックのオンライン・プライバシーに関する説明と、技術コミュニティーから意見を聞くための簡単なウェブサイトへのリンクを公開した。反応は、予想どおり悲観的なものだった。「返事の90パーセントは批判と、気持ちが折れるような言葉で占められていました。夢を見ていろとか、絶対に実現しないとか、他にやることはないのか、とかね」と彼は話す。

(米議会の公聴会で、独占していると思うかと尋ねられたザッカーバーグは、「自分ではそんなつもりはない!」とはぐらかした)

それでも、Hernándezは諦めていない。プロトタイプを作り、キックスターターで資金を募っている。ここまで辿り着いた。そしてもっともっと作ろうと思っている。しかし、より良い、より公正なソーシャルネットワークが実現可能だと信じる人を必要な数だけ集めることは、何よりも厳しい挑戦だ。

しかしまだ、Hernándezは夢を止めようとはしない。プロトタイプを作り、キックスターターで資金を集めている。ここまで辿り着いた。もっともっと作りたいと彼は考えている。しかし、より良い、より公正なソーシャルネットワークの実現が可能だと信じる人たちを十分な数だけ集めることは、これまでになく大変な挑戦となる。

「私たちはオープンブックを実現させると約束しています」と彼は言う。「私たちの予備の計画では、補助金やインパクト投資なども考えています。しかし、最初のバージョンでキックスターターを成功させることが一番です。キックスターターで集まった資金には、イノベーションのための絶対的な自由があります。紐付きではありませんから」

オープンブックのクラウドファンディングの詳しい説明は、ここで見られる

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(翻訳:金井哲夫)

医師向けのInstagram――Figure 1が1000万ドル調達

Figure 1は血を見るのが苦手な人向けではないが、どうやら投資家の心は上手くつかんだようだ。同プラットフォームは100万人以上の医療関係者が登録するソーシャルネットワークのようなもので、ユーザーは珍しい症状や新しい治療法、さらには治療事例を投稿できるようになっている。この度、運営元のFigure 1, Inc.はシリーズBで1000万ドルを調達した。

医師向けのInstagram」とも呼ばれるFigure 1が行った今回の資金調達では、Kensington Capital Partnersがリードインベスターを務めた。さらに、Samsung NEXTや保険コングロマリットのJohn Hancock(アメリカ以外ではManulifeとして知られている)、スタートアップ向けに貸出を行うWTI、カナダの投資会社Hedgewood、そして既存投資家のUnion Square Ventures、Rho Canada Ventures、Verison One Venturesらがこの度のラウンドに参加した。

先週、Figure 1のファウンダーでCEOのGregory Leveyと話す機会があり、最近のオペレーションについて聞いてきたので、以下にその様子をお伝えしたい。なお、トロントを拠点に4年前に設立され、今では50人の社員を抱えるFigure 1は、これまでに合計で2000万ドルを調達している。

TC:Figure 1に登録できるのは医療関係者だけというイメージが広がっていますが、そうではないんですよね?

GL:はい、誰でも登録できます。実際にサービスに興味を持ってくれているのは、ジャーナリストとVCばかりだと冗談を言っているくらいですから。でも写真やコメントを投稿できるのは医療関係者だけです。それ以外のユーザーは、投稿内容を見ることはできますが、何かを投稿することはできません。医療関係者だという認証を受けたユーザーは、その他にもさまざまな機能を利用できます。

TC:”医療関係者”というのは、医師と看護師のことを指していますよね。学生はどうですか?

GL:プレメディカル(医学部進学課程)の生徒は対象に含まれませんが、看護学生は例外的に医療関係者とみなしています。さらに、アメリカ中の医学生の約70%がFigures 1に登録しています。

TC:つまりユーザーのほとんどがアメリカ国内にいるということですか?

GL:全体の約3分の2がアメリカに住む人たちで、その次にエンゲージメント率が高いのが南米のユーザーです。彼らのニーズに応えるため、(ブラジル人を大量に雇った結果)オフィスの一部がポルトガル語圏のようになっています(笑)。アプリもスペイン語版・ポルトガル語版の両方が準備されています。あとは、イギリスやオーストラリアのユーザーが多く、新興国の人たちもFigure 1を気に入ってくれているようです。ただ、新興国では回線スピードの問題がありますし、一般に販売されている携帯電話の記憶容量が少ないため(Figure 1のアプリを)インストールしておくのもなかなか難しいようです。

TC:具体的な登録ユーザー数やアクティブユーザー数についてはいかがでしょう?

GL:今は次なるマイルストーンに向けて努力を重ねている段階ですが、以前データを公開した時点では登録者数が200万人強、MAU(月間アクティブユーザー数)は数十万人でした。ちなみにアメリカの医師の総数は80万人です。

TC:エンゲージメントに関してはどうですか? 他のソーシャルネットワークのように、一部のユーザーが積極的に情報を発信していて、他の人たちはただ単にそれを覗き見ているという状況でしょうか?

GL:他のソーシャルネットワークとそこまで大差ないと思いますが、もしかしたらFigure 1の方がユーザー同士の議論が活発に行われているかもしれません。最近では、事例をテキストベースで投稿できる機能をローンチし、写真撮影の許可がとれない人たちでも文字で何が起きたかを共有できるようになりました。精神医療を専門とする人たちもこの機能を使って事例を投稿していて、プラットフォーム上の情報量が一気に増えました。

サービスが成長するにつれて、ユーザー行動についても色んなことを学びました。当初私は、ユーザー全員が事例を投稿するべきだと思っていましたが、最近ではFigure 1のサービスはTwitterよりもYouTubeに近いと気づき始めたんです。これはどういうことかというと、私はYouTubeに動画を投稿したことは一度もありませんが、いつも視聴者として動画を楽しんでいます。同様にFigure 1のユーザーも、投稿されている情報に価値を感じている一方で、全員が自分の治療事例を共有したいと思っているわけではありません。でもそれでいいんです。

TC:専門分野によってコンテンツに偏りがでないよう何か対策をとっていますか? それとも、そこはユーザーにまかせていますか?

GL:最初は専門分野をひとつに絞ろうという話をしていたんですが、結局かなり門戸を広げ、臨床検査技師から精神科医までさまざまな専門の人をユーザーとして迎え、そこからは自然と増えていきましたね。意識的にある専門分野に特化していこうとは考えていません。

TC:最近はマネタイズに向けた実験を開始し、スポンサードコンテンツの掲載を始めましたよね。企業の支援の下、ある医師が他の医師にプラットフォーム上で治療法などについて教えるプログラムもあるようですが、そちらの調子はいかがですか?

GL:上手くいってますよ。まだ始まったばかりですが、かなり多くの企業から問い合わせをもらっていて、私たちでは手に負えないほどです。もちろんそれは良いことなんですけどね。また、コンテンツの質にはかなりこだわっているので、今のところユーザーの反応も上々です。むしろユーザーが投稿したコンテンツよりも、スポンサードコンテンツのエンゲージメント率の方が高いくらいです。

TC:今後はFigure 1主導のコンテンツの数を増やしていく予定ですか?

GL:私たちはメディア企業になりたいわけではないので、そうしないように気をつけています。Figure 1の中心はあくまでユーザーです。

TC:調達資金の使い道について教えてください。

GL:まずはユーザーベースの拡大です。現状マネタイズも上手くいっているので、収益面も(さらに)強化していきたいですね。サービス内容の拡充や新しい収益源の獲得も検討しています。4年前の設立時、Figure 1は新しくてワクワクするようなサービスでしたが、今後もそうあり続けたいと思っています。例えば治療事例にはとても価値があるので、このコンテンツを活用するために先日機械学習の専門家をチームに迎えました。これまで私は(一般的に企業が設定している)マーケティング予算について全く理解していませんでしたが、スポンサードコンテンツも収益面で大きな可能性を秘めているとわかりました。さらに、スタッフ向けの特別機能を開発することに興味をもっている医療機関とも話を進めています。

TC:他分野への進出も考えていますか?

GL:笑い話ですが、「競馬業界でも同じサービスをやるべきだよ!」と言う友人がいて、私は「いやー、それはどうかな」と返していました。一方で、歯科業界には独自のニーズがありそうなので、そちらへの進出については現在検討中です。あとは私自身が犬好きということもあり、獣医学にも興味を持っています。Figure 1にもたくさんの獣医が登録してくれていますが、彼らは自身は事例を投稿することができません。でも彼らの中には、(人間の事例に対して)「これは猫科の動物にも見られる症状ですね」といったコメントをする人がいて、他のユーザーから「ここから出て行け」といった具合で追い払われてしまっています。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

タイでFacebook上の王室中傷を理由に禁錮35年の判決――不敬罪の逮捕者は計100人超

Facebook上に王室を中傷するコンテンツを投稿していたタイに住む男性に対し、禁錮35年の判決が言い渡された。

言論の自由の擁護を目的とする非営利団体iLawの情報によれば、Wichaiと呼ばれるこの男性がFacebook上に投稿した写真や動画、コメント計10件が、王家に対する批判を禁じているタイの厳格な不敬罪に触れたとのこと。

33歳のWichaiは、口論が原因で仲違いした友人に扮した”虚偽の”アカウントを使用して、王室を中傷していたとも言われている。当初彼は容疑を否認していたが、判決を待ちながら1年以上を拘置所で過ごした後に、一転して起訴内容を認めたとiLawは語っている。

なお、軍事裁判所で本日(現地時間6/9)行われた公判には、ジャーナリストは参加できなかった。もともとは1件あたり懲役7年(合計70年)とされていた刑期は、結局35年に短縮された。とは言っても、国連が「国際人権法にそぐわない」と主張するタイの不敬罪に関連した事件の量刑としてはもっとも重い。

本件とは別に、Chaliewと呼ばれる男性も2014年にラジオ番組の音声をファイル共有サイトにアップロードしたことを理由に、禁錮2年半の判決を受けたとiLawには記されている。当該音声も王室を中傷するものだと判断されたのだ。

3年前のクーデターを機に軍事政府が政権を握って以降、タイは不敬罪やその他の検閲策の適用に関して批判を浴びてきた。人権擁護団体のFIDHは、クーデター以後に不敬罪で逮捕された市民の数が、先月100人を超えたと報じている。

Wichai以外にも、Facebook上のコメント”いいね”、さらには単にメッセージを受け取ったことを理由に有罪判決を受けた人が存在し、タイ政府は海外に住む反現行政府派の評論家とのインターネット上でのやりとりさえ禁じている。また、同政府は物議を醸した単一のインターネットゲートウェイの導入を推し進めており、ネット検閲に対する不安が市民の間に広がっている。

政府がインターネットゲートウェイの導入を急いでいるのは、現行のシステムを使ってネット上のコンテンツを管理するためには、検閲に消極的な海外発のプラットフォームの協力を仰がなければならないという背景があるからだ。最近では、政府が直接ソーシャルネットワーク各社に圧力をかけ、違法コンテンツの撲滅に努めている。一方Facebookは、裁判所の命令に応じて一部のポストをブロックしはじめており、今年に入ってからは、FacebookとYouTubeの両サービスで違法だと思われる数百件のリンクが削除された。

しかし、多くのリンクが削除されないままだったことに不満を感じた軍事政府は、Facebookへのアクセスを禁じるという脅しをかけていた。結局、その後政府は引き下がり、現在でもFacebookには問題なくアクセスできる。

このような動きを見ていると、インターネット上の自由を守ろうとしている各団体が、タイの状況を不安視しているのにも納得がいく。アメリカのFreedom Houseは、2016年のレポート内で下記のコメントと共に、タイのインターネットやメディアは「自由ではない(not free)」と評していた。

「引き続き軍事政権が法律を利用して検閲・監視の力を伸ばす中、タイのインターネット上の自由度は2016年中に下落しました」

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

1200万人の科学者が集うソーシャルネットワーク―、ResearchGateが5260万ドルを調達

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プロフェッショナルの世界では、LinkedInがソーシャルネットワーク最大手の座に君臨し続けているが、それぞれの業界に絞ってLinkedInに対抗しようするサービスも増えてきた。ベルリン発のスタートアップResearchGateは、科学者たちがつながり合い、研究に関する議論を交わせるようなソーシャルネットワークサービスを提供している。同社はシリーズDで5260万ドルを調達したと本日発表し、これでResearchGateの累計調達額は1億ドルを超えた。

最新のラウンドには、戦略投資家から金融機関までそうそうたる顔ぶれが揃い、Wellcome TrustやGoldman Sachs Investment Partners、Four Rivers Group、Ashton Kutcher、LVMH、Xavier Niel、Bill Gates、Benchmark、Founders Fundなどが参加していた。なお、この中には(Bill GatesやBenchmarkFounders Fundなど)以前のラウンドに参加していた投資家もいる。

ResearchGateは、既に調達資金を使ってProjectsなどの新機能を開発し、プラットフォームの機能拡大に努めている。

「既に調達資金を使って」というのは重要なフレーズだ。というのも、ResearchGateの共同ファウンダーでCEOのIjad Madischによれば、実はシリーズDは2015年の11月の時点でクローズしていたのだ(さらに、科学者が進行中の研究をアップロードしたり更新したりできる先述のProjectsという機能は、2016年3月にローンチされていた)。それにも関わらず、同社はこれまで資金調達には触れず、この度2015年の決算をまとめなければいけない段階(ドイツでは全ての企業が対象となっている)になって初めて詳細が明らかになった。

ユーザー数という観点で見れば、ResearchGateの1200万人という数字は、LinkedInのユーザー数4億6700万人には遠くおよばない(なお、ResearchGateのサービスは全て無料で、同社は求人などの広告から収益を挙げている。そして広告主はResearchGateを利用することで、自分たちがリーチしたいと考えているターゲットに直接広告を表示することができる)。

しかしユーザー数で劣っている部分は、エンゲージメントの高さや素晴らしいターゲット層、さらには科学論文に対する新たなアプローチ、情報共有といったサービスの質でカバーされている。ResearchGateのユーザーである科学者には、一般的に「科学」というカテゴリーに含まれるさまざまな分野をカバーした、営利・非営利両団体の学者や学生、研究者や博士が含まれており、月々にアップロードされる論文の数は250万本におよぶ。

Madischは同社が急速に成長を続けていると話しており、実際に250万本という研究論文の数はResearchGate設立から4年間の間にアップロードされた論文の数と同じだ。そういう意味で、同社は科学者向けのソーシャルサービスでありながら、データのレポジトリとしても利用されている。

(そう考えると、科学者にとってResearchGateは、LinkedInのようなサービスに比べると大変便利なものだ。というのも、LinkedInのコンテンツは、彼らの仕事の核となるデータよりも、仕事探しであったり、考えやイメージを形作るところに重きが置かれている)

次に重要なのがコンテンツの性質だ。科学者がアイディアを共有したり、議論を交わしたり、他の科学者の研究内容にアクセスしたりできるようなサービスは、もちろんResearchGate以外にも存在する。具体的には、オンライン・オフラインの学術誌や、Google Scholarなどが彼らの競合にあたるだろう。しかし、これまでの科学の世界では、成功した研究を公開することが重視されてきた一方で、ResearchGateは失敗した研究の内容も共有できるプラットフォームであり、そこが他のサービスとは違うのだとMadischは説明する。

「ResearchGateのファウンダーは全員科学者で、私たちは今日の学術誌の問題点を理解しています。数ある問題の中でも1番大きなものが、一般に知れ渡っている成功例ではなく、公になっていない失敗例が共有されていないことなんです。ResearchGateはまさにその問題を解決しようとしています」と彼は話す。それを可能にする機能のひとつがProjectsだ。ユーザーは現在取り組んでいる実験内容をアップロードし、その進捗を公開することができるため、結果がどうなるかは誰にもわからない。

なぜこれまで誰も失敗に終わった研究を公開してこなかったのだろうか?「それは難しい質問ですね。少なくとも言えるのは、科学者としてどの研究を発表して、どれを発表しないかというのを決めなければならず、これまでは失敗したものよりも、成功したものに価値があると考えられてきました」と彼は語る。「しかし個人的には、その考えはおかしいと思っています。失敗経験は、成功経験と同じくらい大切で、これこそ私たちが変えようとしている考え方なんです」。

ResearchGateは、これからも科学者の考え方を変えることに注力していく傍ら、将来的には他のどのような分野に進出していきたいかということについても考えはじめている。そしてターゲット候補には、教育や法律以外にも、テクノロジーなどの分野が含まれている。その一方で彼らが進出を検討している分野は決して目新しいものではなく、ある分野「専門」のソーシャルネットワークというもの自体も以前から存在しており、釣りからコーディングまで、共通のトピックについて語り合ったり、データを収集・共有したりしている強固なコミュニティは見渡せばいくらでもある。

しかし、それだけ他のサービスが存在するということはチャンスがある証拠でもあり、投資家はそこに注目しているのだ。

「ResearchGateは革新的かつ広範に利用されているプラットフォームで、世界中の研究者たちをつなぎ合わせています。研究のアイディアや結果を共有できるスペースを提供することで、彼らは科学者が研究を発展させ、社会のためになる応用方法を開発する手助けをしているんです」とWellcome Trustの投資部門のシニアメンバーであるGeoffrey Loveは声明の中で語った。

「科学の世界におけるイノベーションの発生過程は、個々人による実験からネットワークを活用したコラボレーションへと急速に変わってきています。1200万人ものユーザーを武器に、ResearchGateはこの変化を促進する主要なプレイヤーへと成長しました」とGoldman Sachs Investment Partners Venture Capital & Growth Equityの共同代表であるIan Friedmanは声明の中で語った。「研究方法と同じくらい重要な事項に変化をもたらそうとしているチームとパートナーを組むというのは、めったにない機会ですし、科学の進歩のスピードを加速させるというミッションをResearchGateが実現していく手助けができることを、大変光栄に思っています」。

「ResearchGateのように、ネットワーク効果がビジネスモデルの核にあるような企業が成功するためには、いかに提供するサービスがユーザーのためになるかということを常に念頭に置かなければいけません」とBenchmarkジェネラルパートナー兼ResearchGate取締役のMatt Cohlerは声明の中で語った。「そして同時に、彼らは収益もあげなければいけません。ResearchGateは自分たちのミッションに忠実に、科学が進歩する場としてのネットワークの成長に寄与する、持続可能なビジネスモデルをつくり上げてきました」。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

次世代を担う動画プラットフォームの5原則

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【編集部注】本記事はMichael SegalEthan Kurzweilによって共同執筆された。Michael Segalは、Bessemer Venture Partnersのシニア・アソシエイトとして、コンシューマービデオやSaaS、EC業界のアーリーステージにある企業への投資を行っている。さらに彼はこれまで、Skylight FrameやCurio Roadなどのコンシューマー製品を扱うスタートアップを共同設立してきた。もう一人の執筆者であるEthan Kurzweilは、Bessemer Venture Partnersのパートナーを務め、動画やコンシューマーテクノロジー、ディベロッパー向けプラットフォームへの投資を行っている。

動画がインターネットを支配しようとしている。現在インターネットトラフィックの約75%が動画に費やされており、アメリカ人は毎日1時間以上(2011年と比べると3倍以上)オンライン動画を視聴している。

YouTubeやNetflixといった大手プラットフォームがトラフィックの大部分を占めているが、そのほかにもたくさんの新しいプレイヤーが、オンライン動画の世界でチャンスを掴もうと競いあっている。Snapchat、Instagram、Facebookはこれまで写真中心のプラットフォームだったが、現在熱心に動画コンテンツを増やそうとしているほか、TwitchMusical.lyといった新しいタイプの動画プラットフォームが急激な成長を見せている。

私たちは投資家として、常に将来のチャンスに繋がるようなトレンドを探し求めている。動画コンテンツの需要が増加する中で、BessemerもTwitch、SmulePeriscopeといった素晴らしい企業に投資してきた。動画業界が成長し続ける限り、私たちも投資を続けていくつもりだ。そして次のチャンスがどこに転がっているか理解する上で、ある問いが浮かんでくる。斬新な動画プラットフォームに共通している原則とは一体何なのだろうか?

最近私たちは、この問い(その他の問いも併せて)の答えをみつけるに、オンライン動画界のリーダーが一堂に会する、Spotlight: Videoというイベントを開催した。そして彼らの見解や、新進気鋭の動画スタートアップとの会話を通じて、私たちはこの業界で成功する上で大切な5つの原則を割り出した。

このようなリストはどう頑張っても包括的にはなりえないし、どのルールにも例外はある一方で、動画というメディアの未来に関する議論に、私たちが貢献できることを嬉しく思っている。

もしもビジネスモデルがユーザー生成コンテンツ(UGC)に依存しているなら、動画作成は数分ではなく数秒で完了できるようにする

各スタートアップは、それぞれの方法で人を引き付け、何百万人もの消費者が動画を作って共有するようなプラットフォームを立ち上げようとしている。しかしそのほとんどは、たったひとつの理由で目標に到達できないでいる。その理由とは、人目を引くようなコンテンツを短時間で作るのは、とてつもなく難しいということだ。

たとえクリエイティブな表現ができるように膨大な数の機能が備わっていたとしても、平均的なユーザーが面白い動画を30秒以内(理想的にはもっと短時間)に作れないとすれば、そのプラットフォームは全く利用されない可能性が高い。何万種類におよぶアプリが消費者の注意をひこうと競い合う中、”タイムトゥーバリュー”(例:素晴らしいモノを生み出すのに必要な時間)を減らすことが何より重要なのだ。

例えばSnapchatであれば、簡単に録画・編集ができ、フィルターやメッセージを追加すれば、数秒と数タップで複雑なコンテンツをつくりだすことができる。以下の、DJ Khaledが海で迷ったときの動画がその好例だ。


Source: DJ Khaled/Snapchat

動画制作者は人目を気にしている

良いプラットフォームは、社会的な圧力を最小化して、動画制作のハードルを下げている。動画制作とはストレスのかかる困難なプロセスなのだ。そして誰もつまらない動画や恥ずかしい動画を作ろうとは思っていない。

TwitchやMusical.lyは上手く動画制作のハードルを下げている。ユーザーが尻込みしてしまうような黒い動画キャンバスの代わりに、彼らはユーザーに「好きなゲームで遊んでいる様子を録画してみよう」もしくは「好きな曲を口パクで歌ってみよう」といったシンプルなお題を与え、楽しくて共有しやすいコンテンツを簡単に作れるような環境を提供しているのだ。成功している動画プラットフォームは全て、人の目が気にならないような対策を立てている。

さらに、フィルターやステッカー、マスクといった楽しい機能を盛り込むことで、面白いコンテンツが簡単に作れるようになっている。他にも、撮影後に仕上げる必要のない”瞬間的”なコンテンツをやりとりするプラットフォームも存在する。

via GIPHY / Giphy Credit: Jimmy Fallon fallontonight.tumblr.com

全てのプラットフォームがUGCで成り立っているわけではない

もしもあなたのビジネスモデルが、パワークリエイター(動画制作に真剣に取り組んでいるユーザー)から成り立っているなら、彼らのためのプラットフォームを構築しなければいけない。前述の2原則はUGCプラットフォーム向けのもので、UGCモデルが成功するには、膨大な数のユーザーがコンテンツを制作し共有していることが前提となる。しかし全てのプラットフォームがこのモデルを採用しているわけではない。中には、少数のパワークリエイターが時間と労力をかけて作り上げたコンテンツを、残りのユーザーが視聴して楽しむという形式のプラットフォームも存在する。

パワークリエイターを中心に据えたプラットフォームを構築するための第一歩が、その目的を認識するということだ。もしもこのようなプラットフォームがUGCに手を出そうとしても、普通の消費者がプラットフォームを使いこなせず失敗に終わる可能性がある。

その次に、プラットフォームの立ち上げ時から、パワークリエイター集めに注力することも重要だ。そのためには、パワークリエイターが大規模なファン層を築き、管理し、ファンと交流できるような環境を与え、実際に彼らがそうするように促していかなければならない。著名なクリエイターは自分の好きなプラットフォームを選ぶことができる上、彼らはどのプラットフォームに力を入れるかということをよく考えている。そのため、新しいプラットフォームはこれまでにない方法で既存のファン層を取り込み、クリエイターがファンと直接交流できるような機会を与え、さらには新しいファンを獲得できるような環境を提供しなければならない。このような要素がなければ、大物クリエイターはわざわざリスクをとって、新しいプラットフォームを試そうとは思わないだろうし、彼らのコンテンツ無しではそのプラットフォームが成功をおさめることもないだろう。

その好例がVineだった。まず6秒間の動画を面白くするのはとても難しい。しかし、中には1600万人以上のフォロワーを持つKing Bachのようにそれをやってのけてしまう人も存在し、Vineはとても上手く、彼のようなパワークリエイターをプラットフォーム上に呼び込むことが出来た。

Video credit: King Bach, “The Blind Hitman” with Christian DelGrosso , Logan Paul and George Janko

水漏れしているバケツに水を足さない

新しいユーザーの獲得を目指す前に、ユーザーを留めておけるようなプラットフォームを構築しなければならない。上手く出来たバイラルな仕組みを利用して、一時的にはトラフィックが爆発的に増加するが、その数週間・数ヶ月後には、トラフィックが元通りまたは以前よりも減少するといった動きを見せるプラットフォームを、私たちは投資家としてこれまでにいくつも見てきた。このパターンの問題はシンプルで、彼らはそもそも長期的に見てユーザーを留める力のあるようなプラットフォームを築けておらず、単に成長エンジン(もしくは彼らを成長モードに突入させるようなサプライズの販促手段)のスイッチを入れているだけなのだ。

ユーザーが離れていくこと自体が本質的に悪いわけではない。主要プラットフォームの中には、たくさんの人が試して二度と戻ってこなかったものも存在する。しかし、主要プラットフォームが違うのは、彼らの定着率はすぐに落ち着つくということだ。少なくともユーザーの20%が長期間におよんで毎週もしくは毎月彼らのサービスを利用している一方、”水漏れバケツ”型のプラットフォームは、最初の数ヶ月で定着率が5%以下に落ち込むことが多い。

長期的な定着率への取り組みは、難しいばかりか時間もかかり、永遠に終わることがない。しかし、設立初日から定着率の向上に取り組んでいないプラットフォームは、突然消えてなくなってしまうこともある。彼らは素晴らしい成長率を残し、多額の資金調達さえ成し遂げてしまうかもしれないが、長い期間生きていくことはできないのだ。

Musical.lyが良い例で、同社はリップシンク(口パク)動画のための素晴らしいプラットフォームを作り上げた。もしもMusical.lyがそこで歩みを止めていたとすれば、同社の成功は一瞬だけのものだっただろう。その代わりに彼らは最初から定着率を気にかけ、毎日ユーザーが戻ってくるようにさまざまな機能をリリースすることで、一発屋候補から長く続くプラットフォームへと進化を遂げた。

Tag your squad @officialjoshprice

A video posted by musical.ly (@musical.ly) on Jul 14, 2016 at 5:31pm PDT

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Video credit: @officialjoshprice on Musical.ly

動画プラットフォームの多くはもともとクリエイター向けのツールだった

長生きするプラットフォームは、短い期間で制作の場からコンテンツを提供する場やソーシャルネットワークへと変化していく。動画プラットフォームには、新しいタイプの動画を制作するための単なるツールとしてスタートするケースがよくある。成功するプラットフォームは、単なるツールではユーザーを定着させるには不十分だと理解し、すぐにこの段階を超えてコンテンツ発見システム、もしくはソーシャルグラフ(ときには両方とも)という新たな機能を担うようになる。

友人やインフルエンサーをフォローしたり、動画を作る気がしないときでも他の人が作った面白いコンテンツを視聴したりできるような仕組みは、ユーザーが動画プラットフォームを毎日、もしくはほぼ毎日利用するようになる上で欠かせない要素だ。

実際にコンテンツを効率的にみつける仕組みや、ソーシャルグラフの要素を新しいプラットフォームに盛り込むのは大変なプロセスだが、それを実現した企業は、インターネット上で最も価値あるプラットフォームの仲間入りを果たせる可能性が高い。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

ソーシャルネットワークの「利用者層別」調査:Pinterest、Twitterを捕える。情報格差は縮小

実に面白い統計データを見つけた。Pew Researchは、2012年12月時点でアメリカ人のどの層が、様々なソーシャルネットワークにはまっているかを調べた興味深いデータを公開した。そこにはビジネス的にもカルチャー的にも大きな意味が潜んでいる。

Pinterestは実質的にTwitterを捕えた。米国の成人インターネット利用者中、利用率はそれぞれ15%と16%だった。Pinterestは2009年の開業以来爆発的成長を続けており、特に白人、女性、富裕層にユーザーが多い。Pinterestの方が女性では5倍(25% vs 5%)、大学卒の白人ではほぼ2倍利用率が高い。Pinterestは、流行に敏感な都会人が最先端のウェディングドレスやアパートの装飾を探す必携ツールとなっている。しかし、Twitterの方がずっと注目度は高い。大統領選挙運動や中東の活動家は、国の政権再編のためにスタイルカタログを活用しない。

ソーシャルメディア利用における少数民族とのギャップはなくなった。調査対象のグループ(白人、ラテンアメリカ人、アフリカ系アメリカ人)は、全成人の68%程度をカバーしている。アフリカ系アメリカ人(26%)は白人(14%)の約2倍、Twitterを使っている。このアフリカ系アメリカ人による不均衡なTwitter利用は、カルチャー評論家や学者たちを魅了した。ある調査は、アフリカ系アメリカ人の有名人報道への登場は、Twitterの利用に強く影響を与えているとしている。The Onionの元編集長、Baratunde Thurstoは、「黒人コミュニティーには、口頭での悪口の言い合いに長い伝統があり、Twitterはそのコールアンドレスポンス文化と極めて相性が良い。短かくて経済的なので自分の貢献の質をすぐに検証できる」と語った。

皮肉なことに、ソーシャルメディアを使わないことがエリート的かもしれない。大学卒は、中退・短大卒等よりもソーシャルネットワークを使う割合がわずかに少ない(65% vs 69%)。この相違は統計的に有意ではないが、少なくとも1つの調査結果が、高学歴ユーザーの間では、道徳的、政治的、あるいは文化的理由でFacebookをやめるトレンドがあることを検証している。「Facebook拒絶者の多くは、主流との違いを楽しみ、それを差別化、優越感、エリートソーシャル層の証の一つと考えている」とニューヨーク大学のLaura Portwood-Stacer教授は言っている。

流行人は主流すぎると感じ、プライバシーポリシーに問題があると感じる人たちもいる。要するに、ソーシャルメディアを使わないことは、受けた教育の〈多さ〉の結果であり利用環境の不足のためではない。

各ソーシャルネットワークの総計。 オンライン成人の67%がFacebookを使っていると答え、15%がPinterest、13%がInstagram、6%がTumbler、16%がTwitterを使っていると答えた(2012年8月には、20%がLinkedInを使っていると答えた)。本調査結果を要約した表を下に貼った。

statgraph

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(翻訳:Nob Takahashi)