ラスベガス銃乱射事件を受け、SNSと検索サイトにはクリックベイトが氾濫

米国史上最悪となった銃乱射事件を受け、多くの人々が情報を求めてソーシャルメディアに目を向けたが、主要ウェブサイトに載せられたトップ記事のほとんどが全くのでたらめだった。

インターネットの下水道を流れるコメントの選別をアルゴリズムに任せ、数百万の人々に配信するやりかたに、もはや勝ち目はない。これは、Facebookを始めとするソーシャルメディアが責任を放棄し続けていることを示す新たな兆候だ。

Googleやソーシャルメディアサイトは、良質のニュースソースがヒットする確率を高めようと努力しているが、ラスベガス銃乱射事件に続くデマの拡散は、彼らの仕事がどれほど多く残っているかを示すものとなった。

事件の後Facebookの「安否確認」ページには、ある極右ブロガー犯人は「極左の愚か者」であると糾弾する投稿が載せられた。その後同ページのトップ記事は、ニュース集約サービス MyTVTodayのクリックベイトビデオに取って代わられ、その後ようやくローカルおよび全国報道機関の記事に落ち着いた。

[今日FacebookはThe Gateway Punditをフィードのトップに載せた。Google Newsは4chanスレッドを拡散した。シリコンバレーよ、われわれは問題を抱えている]

憶測や真っ赤なウソを看板ページで拡散しているのはFacebookだけではない。投稿サイトの4chanに流れた、Geary Danlyという人物を射撃犯と誤認した噂記事は、Googleのトップ記事ウィジェットに登場した(BuzzfeedBloomberg による)。

Googleは、BloombergとNew York Timesで以下の声明を発表した(本誌もコメントを求めている):

「遺憾ながら、今日午前本サイトで、少数の検索クエリの結果ページに、ウェブサイト4chanの不正確な記事が一時的に表示された。数時間後、4chanの記事はアルゴリズムによって有効な記事に置き換えられた。これはいかなるクエリについても起きてはならないことであり、将来同じことが起きないよう今後もアルゴリズムの改善に努める」

TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアが記事の選別に使用しているアルゴリズムは、配布される情報への注目度が高まる中、アルゴリズム自体が見出しを飾る結果となっている。

Buzzfeedに載りTwitterで拡散されたでっち上げ記事ひとつだけをとっても、同社自慢のニュースストリームに意図的に火を放つならず者に対して何らかの手を打つ必要があると @Jack(Dorsey CEO)に確信させるのに十分だ。

そもそも、どうして4chanのような情報源が速報ニュースの有効な配信元とされているのか、というのは真っ当な疑問だ。実際すでに声をあげている記者もいる。

[適切な情報をリアルタイムで表示することの難しさは認識しているが、どうやって4chanが情報源のひとつになったのかは理解できない。]

Google、Twitter、Facebookの各社は、現在議会が捜査しているロシアハッキングスキャンダルを受け、すでに詳しい調査の対象となっている。そして、多くの命を奪い人々を傷つけて国を震撼させたこの事件の扱いを誤ったことは、ソフトウェアに依存する彼らのやり方 ―― およびそれが与えるリアル世界への影響 ―― がいかに大きな問題かを如実に示すものだ。

[NBCの記事は辛うじて2番目に見えている。これは腐りきったニュース選択であり、責任のあるアルゴリズムは退陣すべきだ]

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

携帯電波のないところでもテキスト送信できるGoTenna、750万ドルを調達。アウトドア用品のREIで独占販売

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携帯電波のないところでもつながっていたい人たちのためのデバイス、GoTennaが、うってつけのパートナーを見つけた ― アウトドア用品の小売業者、REIだ。

GoTennaの共同ファウンダー・CEO、Daniela Perdomoは、REIが同スタートアップの独占開始パートナーになることが正式に決まったと私に話した。今後3ヵ月間、goTennaを買える場所は、公式ウェブサイト以外では全米のREI小売店舗(上のニューヨーク店の写真に見られる通り、REIの店舗では目立った場所に置かれている)とREIのウェブサイトだけだ。

GoTennaは、Bluetooth技術を用いた軽量(42 g)のデバイスで、スマートフォンとペアリングした後、長距離に到達する電波を使って他のgoTennaデバイスと接続する。こうして、携帯電波のないところでもテキストメッセージを送り、位置情報(事前にダウンロードした地図を使用)を共有することができる。

アウトドア専用ではないものの、恐らく最も明白な利用場面なので、REIは最適のパートナーと言えるだろう。プレスリリースの中でREIのカテゴリー商品マネージャー、Egan Whitneyは、goTennaを「屋外アドベンチャーの最中でもテキストでつながっていたいグループや友人たちのための革新的ソリューション」と説明している。

また同社は、750万ドルのシリーズAラウンドを、Walden Venture Capitalのリードで完了したことも発表した。他に、MentorTech Ventures、BBG Ventures、Boomberg Beta、Wareness.io、Cellular Oneのファウンダー、Kenneth Horowitz、およびHoward Finkelsteinが出資している。(BBGは、”built by girls” の略で、親会社のVerizonはTechCrunchの親会社でもある)。

Perdomoは、この資金で13名(実際には13+インターン数名)からなるgoTennaチームを拡大できると言った。例えば、彼女自身が「ほぼ一人だけでマーケティング業務を担当してきた」ため、この部分を拡大すると言っていた。並行して、goTennaは製品開発にも投資を続け、中でもソフトウェアとファームウェアのアップデートを通じて既存のハードウェアを改善することに力を入れる。

Perdomoは、昨秋に最初の製品を出荷して以来の消費者からの反響についても語った。当時彼女は、goTennaデバイスを「何万台も」売ったと私に話した。

「これは毎日使うタイプの製品ではない」と彼女は付け加え、むしろ「それが唯一の選択肢」である時に確実に使えることが重要だと言った。例えば、友達グループで森林へ行った時に、つながっていたい場合等だ。Perdomoは、利用者が新しい使い方を発見していることも話した:「スキーのために購入した人たちが、『そうだ。海外旅行でも使える』と気付いたり、ハイキングのために買った後、非常に時に備えて持っていることもある」。

現在goTennaの価格は2台セットで199ドル。今後についてPerdomoは、これはまだ最初のgoTennaデバイスであり、いずれは「われわれが開発している、回復力の高いボトムアップな通信基盤のニーズを満たす、様々なテクノロジー ― ファームウェア、ネットワーキングプロトコル、ソフトウェア、ハードウェア ― の基礎」として役立つものになると語った。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

「Dear」はLINEとTwitterの“いいとこどり”を実現したコミュニケーションアプリ

アプリアイコン毎日一緒にいるような友人のことを「いつものメンバー」を略して「いつめん」なんて呼ぶ若者言葉もあるようだが、そんな「いつめん専用」をうたうコミュニケーションアプリがREVENTIVEの「Dear(ディアー)」だ。利用は無料。iOSおよびAndroid向けにアプリをリリースしている。

Dearではクラスやサークル、部活など、特定の属性の友人に限定した「グループ」をいくつでも作成できる(テーマカラーは6種類から選択可能)。作成したグループのタイムラインは、左右にスワイプすることで切り替え可能。グループはその名称とIDを設定して作成し、IDを元にユーザーを検索して、招待していく。すでにあるグループを検索して参加申請をすることも可能だ。

各グループでは画面左右にあるボタンを使って、即時性の高いコミュニケーションを目的とした「チャット」と、独り言や状況報告をタイムラインに投稿する「つぶやき」のそれぞれを利用できる。なお、UI/UXの設計はデザイン特化のスタートアップであるオハコが担当した。

チャットとつぶやき、1つのアプリで2つのインターフェースを持つ理由が正直分からなかったのだが、REVENTIVE代表取締役の水田大輔氏いわく、中高生は「LINEでチャット」「鍵付きのTwitterアカウントでLINEと同じメンバー向けにツイート」という使い分けをしていることが多いとヒアリングして分かったのだという。Twitterのアカウントは、趣味や雑談などテーマによって複数運用することも少なくない。このを使い方を1つのアプリで実現しようとしたのがDearだ。

「仲良しな友人であっても、どんな内容も同じ場所に投稿するわけでない。Dearでは、そんな中高生のLINEとTwitterの使い方を1つのアプリにまとめている。さまざまなテーマ、グループを横断したコミュニケーションを作っていく」(水田氏)

REVENTIVEは2011年に京都で設立されたスタートアップ。当初はクローズドSNSの「Close」を提供していた。2013年にミクシイ、ディー・エヌ・エー(DeNA)などから6000万円の資金を調達。2015年にもDeNAほか金融機関3社から5000万円の調達を調達。現在は拠点を東京に移し、このDearの開発に注力している。

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1つのグループに対してTwitter的なタイムライン投稿(左)とLINE的なチャット投稿(右)が可能な「Dear」

CAVが出資するOneteam、メールやSlackより“使える”コミュニケーションツールを今夏より提供

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テック企業ではSlackやChatworkをはじめとした社内向けコミュニケーションツールの話題が盛んだが、これらのツールの利便性を非テック企業にも提供しようとしているのがOneteamだ。同社は5月15日、サイバーエージェント・ベンチャーズを引受先とした6000万円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。

同社が開発するのは、非ITテック企業向けのコミュニケーションプラットフォーム「Oneteam」。チャット機能に加えて、企業や組織の一人一人が自己紹介ページを持って自分の趣味や志望動機、職歴情報を登録できるほか、電話番号や社員番号などの連絡先を調べることができる。スマートフォンアプリとウェブでの提供を予定している。コンセプトは「手のひらにチームを持ち歩く」とのことで、代表取締役の佐々木陽氏いわく、機能的には「GithubとSlackを組み合わせたようなツール」だという。

サービスは現在開発中で、2015年夏に正式リリースの予定。ただしプロフィールや連絡先共有など一部の機能については、6月上旬から「Profile Book」の名称でベータ版として提供していく。すでにベトナム、フィリピン、インドネシア、タイの人材会社や旅行代理店など複数企業(それも100〜300人規模とそれなりに大きな組織も含まれているそう)が導入を予定しているとのことだ。同社では初年度100社1万アカウントの導入を目指すとしている。

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「Slackのようにフローの情報は常に座席にいるエンジニア企業には向いているが、外出する営業マンや経営者は最適情報にたどり着くまでがストレスになる。一方で電子メールはやりとりを重ねるうちにタイトルと本文の不一致、過剰なCCによる当事者意識の低下なども起こる。イシューベースでチャットコミュニケーションが出来る状態でないといけないと考えた」—佐々木氏はサービス開発の経緯をこう語る。

日常的に使う仕組み、プッシュとUIへのこだわり

メールや他のコミュニケーションツールより“使える”サービスとのことだが、この手の非テック企業向けツールで気になるのは「どうやってそのツールを日常的に使うようになるか」という点だ。僕は導入企業数なんかより、DAUのような日々の利用度合いのほうが気になる。

Oneteamでは、スマートフォンのプッシュ通知(さらに未読の場合の再通知も)で未読を解消するほか、誰でも分かりやすいユーザーインターフェースを心がけているのだそう。「UIでは『見慣れないもの』を排除することが必要だと思っている。また、今後は利用のシーンや事例をコンテンツとして拡充していくことが重要だと思っている。ベータ版を提供することで、実際の利用シーンと効果を検証したいと考えている」(佐々木氏)

アイドル×コミュニケーションは、マネタイズの次なるフロンティアとなるか

「人と人のつながりを大事にするミクシィなので、アイドルやアーティストとも1対1でつながりを持てるサービスを作った」——ミクシィがそう説明するのは、3月17日に正式サービスを開始した「きみだけLIVE」だ。

きみだけLIVEは、アイドルやお笑い芸人、アーティストと1対1のライブコミュニケーションができるサービスで、事前の抽選に当選したファンは、Skypeを使って10分間のライブや会話を楽しめる。ミクシィはプレスリリースで「ファンはその時間アーティストを独占することができます」とうたっているが、ファンにとってはたまらないものだろう。

ちなみに1アーティストごとのライブは休憩時間も含めて合計2時間程度で、当選するファンは5人ほど。なかなか貴重な体験になるようだ。また抽選に応募すればもれなくアーティストからメッセージが届くほか、限定グッズの引換券などを入手できるという。

きみだけLIVEには「ハート」と呼ぶ仮想通貨があり、新規登録時に20個、またサービスへのログインで1日1個付与されるほか、1個100円で購入できる。そのハート5個でライブへの応募が可能。複数応募にも対応する。ちなみにライブへの応募数に応じて、アーティスト別のファンランキングも表示されるのだそうだ。

さらに「推しメーター」と呼ぶメーターを備える。これは1日1回押すことで10%ずつパラメーターが増加。ライブの当選確率が上がるのだそう。メーターは最大300%まで増加。ライブに5口で応募した場合、5口+15口(応募口数×推しメーター値)で20口の応募となる)。

仮想通貨による課金、抽選というガチャ的要素、ランキングによるファンの可視化、メーターによる継続アクセス——ソーシャルゲームのノウハウをつぎ込んだなんともすごいサービスだ。ちなみにこのきみだけLIVE、ノハナやDeploy Gateを生んだミクシィの新規事業プロジェクト「イノベーションセンター」発のサービスで、2014年11月から試験的にサービスを提供していた。

フォッグのCHEERZは課金も含めて「想定以上」

とはいえ、こういったアイドルコミュニケーションという領域では、ミクシィは後発組だ。ディー・エヌ・エーは2013年12月に「SHOWROOM」を立ち上げたし、ユナイテッド子会社のフォッグは2014年12月に写真をベースにした「CHEERZ」を立ち上げている。メッセージベースのサービスだがサイバーエージェントの「755」なんかもある。ニコニコ生放送やTwitCasting(ツイキャス)なんかでも、サービスの公式・非公式を問わずアイドルやアーティストがユーザーと直接コミュニケーションをとっている。

フォッグにCHEERZの話を聞いたのだけれども、サービスは非常に好調だそう。CHEERZは、250人以上の若手アイドルが自らの写真をコメントとともにアップロード。ユーザーはその写真に対して、Facebookの「いいね!」同様の「CHEER」を送ることができる。このCHEERはログインや時間経過で回復するほか、ポイントを購入して回復することができる。ソーシャルゲームによくある体力とかスタミナという項目と同じような仕組みだ。

アイドルにとってもファンにとってもきわめてシンプルなサービスだったこともあり、積極的な写真投稿、そしてそれに対するファンからのCHEERがものすごい勢いで付いているそう。ユーザーから送られたCHEERの数は、サービス開始から3日で100万件を達成。サイト上で公開している数字は5100万件以上になっている(ちなみに記事を書いている間にも数万件のCHEERが増えていてびっくりした)。

ダウンロード数は数万件と聞いているし、実際Google Playでは5000〜1万件のレンジとなっている。ダウンロード数だけ見れば決して大きくないが、DAUは非常に高いのだそうだ。また課金についても「想定以上の数字」(フォッグ)をたたき出しているとのこと。売上に関しては、ストアの手数料を引いたところから、フォッグとアイドルの所属する事務所がレベニューシェアするのだそう。

フォッグではCHEERZの海外進出も進めており、1月には日本のガールズポップカルチャーを英語で配信する「Tokyo Girls’ Update」の運営元であるオールブルーと協業を開始。アプリも英語、中国語に対応した。さらにCHEERZに登録するアイドルの写真集「CHEERZ BOOK Vol.1」も発売している。あと、CHEERZについてはそのサービスのモデルを特許出願をしているとのことだった。

サイバーエージェントの755は年内1000万ダウンロードを目指す

メッセージベースでアイドルや著名人とコミュニケーションを取れるサイバーエージェントの755は、3月に入って400万ダウンロード突破を発表。2014年末から年始にかけてはAKB48やE-girlsといった著名アイドルを起用したテレビCMを実施していたが、今度は乃木坂46によるテレビCMを放映する。

プロモーション施策にに加えて通知機能やアルバム機能なども好調らしく、関係者からは「年内1000万ダウンロードも見えている」という声が聞こえてくる。マネタイズはこれからのようだが、今夏以降はテスト的に広告配信なども検討しているようだ。


nanapiの新サービスemosiは、テキストを使わずにコミュニケーションを実現する

ハウツーサイトの「nanapi」やコミュニケーションサービスの「Answer」、英語メディア「IGNITION」などを手掛けるnanapiが、実はひっそりと新サービスを公開している。その名称は「emosi(エモシ)」。App Storeにて無料でダウンロードできる。

emosiは、画像や動画、音声を投稿するコミュニケーションサービスだ。そう聞くとInstagramだってVineだってあるじゃないかと思うかもしれないけれど、このサービスがユニークなのは、テキストが投稿できないところにある。以前のバージョンでは画像にタイトル程度のテキストをつけることができたが、最新版ではそれすらできないようにしている。

アプリを立ち上げ、画面下部中央にある投稿ボタンをタップすると、「動画」「音声」「静止画」「アルバム」のアイコンが表示される。いずれかをタップして撮影、録画・録音(アルバムの場合は写真などを選択して)し、色みを変えるフィルターをかけて投稿できる。

投稿一覧画面。テキストがつくのは前バージョンまで

投稿一覧画面では、画像や動画はモザイクがかかった状態(音声の場合はアイコン)で表示されており、それぞれをタップしてはじめてその詳細が分かるようになっている。投稿を閲覧したユーザーは、一般的なコミュニケーションサービスでいうところの「コメント」のかわりに、画像や動画を投稿(リアクション)できる。リアクションで投稿された画像や音声には、Facebookの「いいね!」にあたる「Nice」というボタンが用意されている。投稿は匿名でも、ニックネームでも本名でも可能。デフォルトのアカウント名は「emosi」になっているが、そのまま利用することも、アカウント名を変更したり、自己紹介ページに自分の画像や音声、動画を登録することもできる。

nanapi代表取締役の古川健介氏に聞いたところ、サービス自体は2014年中にローンチしていたのだそうだ。だがプロモーションなどはしてこなかったこともあって投稿の数もまだまだこれからという状況。なので、コミュニケーションが成り立たずに画像1つあるだけ、という投稿も少なくない。だが中には、曇天のビーチの写真をアップしたユーザーに対して、他のユーザーが晴れたビーチの写真や青空の写真を投稿するとか、お弁当の写真をアップしたユーザーに対して、他のユーザーが別のお弁当や、カレー、焼肉、といったように次々に食事の写真を投稿する、「つらい」という音声に対して他のユーザーが爽やかな景色の写真を投稿する、といった不思議なコミュニーケーションが生まれている。

動画、または音声に特化して、特定のテーマに沿った投稿をしていくようなサービスも出てきているが、コミュニケーションをテーマにしながらもテキストがまったく使えないサービスなんて見たことがなかったので、その発想にはちょっとびっくりした。nanapiはなぜemosiを提供したのか。

古川氏はその理由についてこう語る。「チームラボの猪子さん(代表取締役の猪子寿之氏)が以前、『言語を介さないと怒りの感情はは長続きしない』と話していた。例えば格闘家が試合前に罵り合うのは、そうでもしないとそのあと殴れないからではないか。それはつまり、言語がない状態であればポジティブなやりとりしかできないということではないか」(古川氏)

そこで試験的にemosiをリリースしたところ、あるユーザーが落ち込んでいるような写真を投稿すると、それに対してまるで慰めるかのように、きれいな空の写真を投稿してくれるという画像だけのやりとりが起こったということもあり、サービスの作りこみを進めたそうだ。そういう経緯もあって、App Storeでのemosiの紹介には「ネガティブな感情をポジティブに変えてくれる、新感覚コミュニケーションアプリ」という説明がある。通報機能もあるので、公序良俗に反するような画像などは削除されるようだ。

nanapiがemosiに先行して手掛けるAnswerは、「即レス」をうたうテキストベースのコミュニーケーションサービス。2013年12月5日のサービス開始から約1年で総コメント数1億件(2014年12月22日時点)を突破している。emosiは当初、テキストではなくリッチメディアに対応した「次世代版Answer」という位置づけで考えていたそうだが、「さすがにサービスが尖りすぎていたので、別のサービスとしてリリースした」(古川氏)という。

また人をポジティブにすることをモットーとするこのサービス、ちょっと変わった機能が付いているそうだ。投稿をした人(Aとする)にリアクションした人(Bとする)がいたとして、そのBがまた新たに投稿し、それにリアクションした人(Cとする)がいたとする。そしてそんなCがまた新たに投稿をし、Aがリアクションするというような、A→B→C→Aという「リアクションの輪」ができたときに、その旨が通知されるのだそうだ。「お金を稼ぐのも大事だが、少しでも世界平和とか、世界を変えられるようなアプリを作ろうと思っていた時期があってサービスを企画した。人に親切にして、それがつながっていけば」(古川氏)


明日はTwitterの満7歳の誕生日―次の7年に必要なのはオープンなコミュニケーションのプラットフォームという初志を貫くこと

今日(米国時間3/21)、Twitterは満7歳の誕生日を迎えたのを祝って、その歴史を要領よくまとめたビデオを発表した。紹介されているエピソードの多くはわれわれもよく覚えているものだ。この点についてはまた後で触れる。また今やTwitterの影響力が世界中で絶大であることも周知の事実だ。

しかし重要な質問はこうだ。「Twitterは将来どうなるのか?」

来る7年も影響力を維持するためには、Twitterはオープンなコミュニケーションのプラットフォームとなるという当初の使命を貫徹する必要がある。そのため、Twitterはあまりに多くの機能付け加えて、われわれの本音をリアルタイムでストリームするというサービスの核心をぼやけさせるようなことをしてはならないと思う。とはいえ、Twitterが収益を上げねばならないのは当然だ。従業員をただ働きさせるわけにはいかないし、サーバの運用にも大金がかかる。

Twitter上に流れた大事件のニュースについて繰り返すのは止めておくが、Twitterがメインストリーム・メディアの世界で独自の重要な位置を占めるようになったことだけは確認しておきたい。ESPNのニュース記事を読んでいれば、「スター選手がTwitterでこう言った」という引用に出会わない日はない。メディアにおけるTwitterの位置については、このことを見るだけで学者や評論家の千万言の分析にまさる。Twitterはもっとも重要でもっとも信頼性が高いリアルタイム情報源となっているのだ。さらにその重要性は日に日に高まっている。

何千万ものツイートの中には不用意な内容のために職を失ったり炎上して悪名を高めてしまうといった事件も起きる。それでもツイートには他のソーシャル・サービスにはない独特の親近感がある。何百万もの人々とあなたのとの間にはただツイート・ボタンがあるだけなのだ。

こういったツイートを読むと、TwitterはXeni(BoingBoingの共同ファウンダー、著名ブロガー)の苦闘や些事、その個人史のすべてを刻々と伝えることに役だっていることを感じずにはいられない。XeniのTwitterのフォロワーは彼女の感情や思考に直接に接触している感じになる。これはMyspace、Friendster、いやFacebookでさえ提供できない独特の力だ。それは生であり純粋であり今だ。そしてTwitterはそういう存在でありつづける必要がある。

Twitterが独自の音楽アプリを立ち上げる準備をしている噂がしばらく前から流れている。そのためTwitterがつまらないメディア企業に変貌してしまうのではないかという議論が蒸し返されている。

もちろんそんな懸念にはあまり根拠がない。この音楽アプリは(Twitterは噂についてノーコメントだが)、ツイートから出来る限り有用な情報を抽出してそのユーザーの好みを推測して音楽を推薦するスタンドアロンのアプリにすぎないと思われる。Twittertが最近買収した「6秒ビデオ」のVineについても同様のアプローチをしている。Twitterはビデオ分野にも進出したかったので既存のサービスを買収し、スタンドアロンのまま提供している。なるほどVineのビデオがTwitterのストリームに表示されるのは事実だが、ビデオを本当に楽しみたいのならVineアプリを使ったほうがよい。さまざまな分野のサービスをTwitter本体に取り込まず、独自アプリとして維持することによてTwitterのプラットフォームを保護しているわけだ。このやり方は成功しているし、今後とも続けるべきだろう。

Twitterはビジネスとしても早急に収益化に成功し、来年にも上場を果たしたいらしい。企業として当然の望みだからそれは止められないが、 われわれとしては「今何している?」という情報を140文字でストレートに共有できるプラットフォームではなくなるようなことはしないでもらいたい。その核心的機能が曇らされるようなことになれば心配だ。

TechCrunchのファウンダー、Michael Arringtonが2006年に最初にTwitter(当時はTwttrと表記されていた)を紹介)した文章にはこうある。

Odeoは今日(米国時間7/15)Twttrという新しいサービスを発表した。 これは一種のグループ送信SMSアプリケーションだ。それぞれのユーザーは自分自身の友だちネットワークを管理できる。ネットワークの誰かが “40404″にメッセージを送ると、友達全員がそれを読むことができる。

7年経ってもこの説明は核心を突いている。その定義に当てはまるサービスのままでいて欲しい。

こちらはTwitterの7歳の誕生日を祝うビデオだ。

[写真:Flickr]

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+