すべてのiPhoneで有効な脱獄ツールが新たに登場

有名なiPhoneハッキングチームは、すべてのiPhoneのロックを解除できる新しい「脱獄=ジェイルブレイク」ツールをリリースした。最新のiOS 13.5が動作している現行モデルも対象だ。

画像クレジット:Terry Wieckert/Getty Images

アップル(Apple)は、iPhoneに対して「ウォールド・ガーデン」と呼ばれるアプローチを採用し、承認されたアプリとカスタマイズのみを許可してきた。ハッカーは、彼らが「牢獄」とみなしている、そうした状況からの脱出に挑戦し続けてきた。それが「脱獄」と呼ばれるゆえんだ。ハッカーは、それ以前には発見されていなかったiOSの脆弱性を見つけ出すことで、これを可能にする。それによって、アップルがソフトウェア内部へのアクセスを制限するために設けた多くの関門の一部をすり抜けるのだ。アップルとして、こうした制限を設けているのは、セキュリティを維持するため。しかし脱獄者に言わせれば、そうした制限を突破するのは、それ以外の方法では十分にiPhoneをカスタマイズすることができないから。それは、Androidのユーザーにとっては、以前から可能になっているレベルのカスタマイズだという。

今回「unc0ver」チームによってリリースされた脱獄ツールは、iOS 11以降を実行するすべてのiPhoneをサポートする。アップルが今週リリースしたばかりのiOS 13.5をもカバーしている。

ハッカーが今回の脱獄ツールを開発するために利用した脆弱性の詳細は不明だが、それがいつまでも、そのままになっているとは考えられない。脱獄者が侵入方法を見つければ、アップルでも迅速に対処して、その欠陥にパッチを当て、脱獄できないようにするはずだ。

セキュリティ専門家は、通常、脱獄はしないようにとiPhoneユーザーに警告している。「ウォールド・ガーデン」から抜け出すと、露出される部分が大幅に増えるため、新たな脆弱性が発生したり、発見されたりしやすくなるからだ。

脱獄ツールの登場は、通常なら屈強なはずのアップルのセキュリティのイメージに陰りが見えていることを示すものかもしれない。先週、悪用手段のブローカー、Zerodiumは、iPhoneに関する脆弱性は買い取らないと宣言した。数が多すぎるからだという。またMotherboardが今週レポートしたところによれば、ハッカーは、iOSの次期バージョン、iOS 14のリリース予定の数ヶ月も前なのに、すでにプレリリースバージョンを入手済だという。

関連記事:iPhoneを狙う強力なスパイウェアが登場

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

Foxconnの利益が新型コロナによる工場閉鎖で90%近く落ち込む

決算報告のシーズンがひと段落して、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが企業経営にもたらした深刻な影響がよりはっきりわかるようになってきた。台湾の製造業大手であるFoxconnも、前四半期が散々な結果になった企業の1つだ。主に中国における工場の閉鎖で、利益は前年同期比で90%も落ち込んだ。

Foxconnは3月の時点で既に、投資家たちに凶報を予告していた。そのとき同社は、年度の業績に関する明確なガイダンスを提供できず、それをウイルスという前例のない不確定要素のせいにした。当時、会長のLiu Young-Way(劉揚偉)氏は「アウトブレイクの防止、仕事と生産の再開が弊社のプライオリティの最上位にある」と語っている。

それから2カ月になるが、不確定性は残っている。劉氏は今週行われた発表で「1年の展望に関しては未知の部分が多い。現状では2020年後半に関する展望を提示できない」と述べている。しかし劉氏は、次の四半期における売上の減少は、今期よりはるかに小さいだろうとも語っている。

関連記事: 新型コロナの不確かな未来を前にiPhoneの売上が減少

このやや明るい見通しは、主に中国の工場の多くが2020年1月後半の閉鎖の後、通常の生産を再開していることによる。Foxconnの生産能力の約3/4は中国にある。ただし、多くの企業でスマートフォンの売上が低迷すると予想されるため、Foxconnのサービスへの需要も減少により、理想の数字にはならないだろう。

Foxconnの大型クライアントの1つであるApple(アップル)は、消費者の需要とサプライチェーンの不足により、同社の次期フラグシップモデルのリリースを遅らせるといわれている。

新型コロナウイルス 関連アップデート

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

人気のスター発掘番組「アメリカン・アイドル」がリモート出演にiPhoneを活用

新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックによって、多くの伝統的業界が数年前に思いもよらなかったほど、創造的で柔軟になることを強いられている。ほとんどの国民が在宅し、ソーシャルディスタンスを守る中、テレビ局はコンテンツを確保するために消費者向けテクノロジーに目を向けている。

制作会社とタッグを組むテック企業の代表格がApple(アップル)で、iPhoneベースの機器をプロデューサーや番組ホストの手に届けている。例えば、Parks and Recreation(パークス・アンド・レクリエーション)再会スペシャルや、Conan O’Brien(コナン・オブライエン)とジミー・ファロン(Jimmy Fallon)のレイトナイト・ショウ、そしてプライムタイムのタレント発掘長寿番組であるAmerican Idol(アメリカン・アイドル)などだ。

ABCが制作する同番組のプロデューサーは、参加者と審査員の自宅にホームスタジオ機器を送り、シーズン終盤の放映分を撮影している。システムはカメラ3台の構成で、iPhone 11 Pro 3台、三脚とリングライトからなる。制作チームは、自宅から安全な距離をおいてカメラ設定の補助と編集が可能だ。

ピンチの時いかにスマートフォンが役立つかを見せつける絶好の機会を得て、当然大喜びのアップルは以下のようなコメントを出している。

「家で過ごす人たちが大好きな番組を待ち焦がれていることを私たちは知っています。アメリカン・アイドルのチームとともに制作に関われることは大きな喜びです。iPhoneが手のひらサイズで放送品質のビデオを可能にする独自のソリューションを提供することで、制作スタッフや出演するタレントは自宅で安全にいることができます」。

数多くのテレビ、映画の制作会社が、コンテンツ作成でのスマートフォン利用を模索している。ほとんどの場面で、近いうちにスタジオ機器に取って代わることはありそうにないが、進行中のパンデミックは、スタジオでのスマートフォン利用が主流になる大転換のきっかけにになるかもしれない。

新型コロナウイルス 関連アップデート

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

救急車を呼ぶとiPhoneが病歴やアレルギー情報を伝えてくれるようになる

911[日本なら119番]に電話したとき、対応した通信指令員が知っておくべき病歴をあなたはわかっているだろうか? 薬剤アレルギーや、現在服用している薬などだ。

iPhoneとApple Watchは、この情報を自動的に指令員に送れるようになる(本人が選択した場合)。

ユーザーがこの機能を有効にした状態で911を呼ぶと、Appleは指令センターの位置を確認して、 “Enhanced Emergency Data”(拡張緊急データ)に対応しているかどうかを調べる。これはAppleが数年前に開発したサービスで、救急センターに発信者の場所を伝えるしくみだ。対応していれば、ユーザーのメディカルID情報(ヘルスケアアプリで設定する)が救急サービスに通知される。

このしくみはApple Watchの転倒検出機能とも連動していて、ユーザーが転倒して動けないことを検出すると自動的に911を呼び出す。

新機能は今日(米国時間5/6)午前に公開されたiOS 13.5ベータに導入され、Appleは「数週間以内」に一般公開されると言っている。

これはきわめて理にかなった機能であり、まず間違いなく命を救うだろう。人は911に電話したときに冷静でいることはめったになく、ほとんどの人は意識を失いかけているときに、「ところで私は[薬剤の名前]にアレルギーがあります」と言おうなどとは考えない。しかしそれは、指令員が知るべきことなのだ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

「ネコちゃん、でておいで!」はステイホーム中のかわいい暇つぶしアプリ

このステイホーム期間中、ずっと子どもと過ごしてきたみなさんは、そろそろ彼、彼女たちを楽しませる方法が底をついてきたころだろう。塗り絵帳は全部塗ってしまったし、フリーズダンスはフリーズしっぱなしだし、シールも全部貼ってしまったし。

そこで朗報だ! あなたのiPhoneがネコになってくれる(おめでとー!)。

あなたは、この新しいネコのお友だちに隠れる場所を提供する。そして家族の他のメンバー、つまり3月から数えて17週間、信じられないほどのエネルギーを溜めまくっているチビちゃんたちは、そのネコを探す。そのとき「ねこちゃん、でておいで」と声を掛けると、ネコはどこかでニャーと鳴いて応える。

これが、ずばり「Here Kitty!」(日本語版は「ねこちゃん、でておいで!」)と名付けられたこのゲームの遊び方だ。Impending(インペンディング)最新作となる。Impendingの他の製品を知っている人もいるだろう。例えば、パーティーやディズニーランドで順番待ちをしている間に遊べる大人気ゲーム「Heads Up!」や、ミニマリストのための予定表「Clear」などが同社のアプリだ。彼らが作る製品は常に細部まで丁寧に作られていて、このHere Kitty!も例外ではない。

適当な場所が見つかったら、iPhoneを伏せてそこに置き、ネコを「隠す」。するとiPhoneは、呼びかけに応えてニャーと鳴き始める(シャーというときもある。なにせネコなので)。ネコを見つけた? そうしたらiPhoneを表向きにする。画面にはどれだけ時間がかかったかが表示され、その人が勝ちとなる。これは隠れんぼと、宝探しと、マルコポーロ(プールでやる目隠し鬼)のプールなし版を混ぜ合わせてガジェット化したようなものだ。

ネコの鳴き声をもっと静かにして難しくしたり、小さなお子さんのために声を大きくして簡単にすることも、難易度スライダーで調整できる。

Impendingでは、オリジナルのネコの他に、毎週土曜日に「新しいお友だち」を追加していくという。

私は「Here Kitty!」の初期ビルドで、数週間遊ばせてもらった。その結果……まぁ、とにかくかわいい。Impendingは対象年齢を4歳以上としているが、もっと小さい子どもに遊ばせることもできる。私の息子はもうすぐ2歳という年齢だが、完全に(ほとんどという意味)理解していた。自分でネコを呼ぶことはできないが、鳴き声を頼りに探し出すことはすぐに覚えた。そしてネコを発見したときには必ず狂ったように大喜びをする(痛い経験から学んだプロのアドバイス:iPhoneはケースに入れておくこと)。

ImpedingのCEOであるPhill Ryu(フィル・リュー)氏は、このアプリはそもそも数年前にApple Watchを使う遊びのアイデアとしてプロトタイプが作られたものだと話している。現在、みんなが家から出られない状態に際して、少し簡単にしてわずか数週間で配信にこぎ着けたそうだ。

「ネコちゃん、でておいで!」は、現在、iOS版を公開中(Androidユーザーはごめんなさい)。無料で遊べる。

[原文へ]
(翻訳:金井哲夫)

新型コロナの不確かな未来を前にiPhoneの売上が減少

すでに聞いた話だったらご容赦願いたい。Appleのデバイス売上は打撃を受けているが、サービスは好調だ。長年同社のハードウェア製品ラインを支えているiPhoneは、Q2の売上が289.6億ドルと前年同期の311億ドルを下回った。iPadとMacも落ち込んだ

同社はCOVID-19(新型コロナウイルス)の高まる脅威による週末需要の落ち込みをすでに警告していた。今年2月Appleは、パンデミックが世界のサプライチェーンと中国の需要の両方に影響を与えるだろうと指摘した。「中国の全直営店舗と多くの提携店が閉鎖している。開いている店舗も営業時間を短縮しており、来店数は非常に少ない」と当時Appleが語っていた。

関連記事:アップルのQ2売上は新型コロナの影響で対前年比横ばい

中国の生活面は平常に戻ったが、ウイルスは世界のほとんどの部分に大打撃を与えている。Appleの拠点である米国は、新型コロナ感染者数で世界最多を続けている。

CEO Tim Cook(ティム・クック)氏が、第3四半期のガイダンスを発表しなかったが、プレスリリースでは力強い言葉を使ったのも当然だろう。「新型コロナによる前例のない世界的影響にも関わらず、サービス部門は史上最高、ウェアラブルは四半期最高の売上を達成して、Appleが今四半期に成長できたことを誇りに思う」

ウェアラブルは実際伸びている。この部門にはHomePodなどのホーム・アクセサリー製品も入っており、前期の51億ドルから63億ドルに増えた。強力なApple WatchとAirPods製品群のおかげで成功は続きそうだ。サービス部門も115億ドルから133億ドルへと順調に伸びている。自宅で過ごす時間が増えている今、Apple MusicやApple TV+などのサービスにユーザーが目を向けることが期待できるのでこの分野は安定している。

関連記事:次期iPhoneの発売は新型コロナの影響で1カ月遅れか

スマートフォンの未来は依然として険しい。最近同社はiPhone SEを発売して、1000ドルを超える値札にたじろいでいた消費者にアピールした。もちろんAppleだけではない。ここ数年スマートフォン業界全体が打撃を受けており、それは新型コロナがやってくるずっと前からだ。

Appleも他社も、5Gの到来による需要増に期待していたが、パンデミックのおかげですべてが宙に浮いている状態だ。5G iPhoneの発売もサプライチェーン問題によって一月遅れになる可能性がある。

画像クレジット:Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

次期iPhoneの発売は新型コロナの影響で1カ月遅れか

2020年4月発売された低価格iPhoneはなかなかの評判だ。しかし、次のメインモデルを見るのは先のことになるかもしれない。新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックは世界経済にさまざまな波及効果を及ぼしており、もちろんサプライチェーンも例外ではない。

米国時間4月27日午前、ウォール・ストリート・ジャーナルは、iPhone 12をはじめとする新製品は予期せぬ問題の影響を受けている可能性があると報じた。Apple(アップル)は新製品の「生産強化を進めている」が、アジアにおける製造と「世界的な消費者需要の低下」が問題だと同紙は伝えている。

これまでにも延期を示唆する同様の報道がいくつもあり、フラグシップ機の発売は例年の9~10月から12月にずれ込むだろうとする記事もあった。今回の報道では、新iPhoneの発売は11月頃になる可能性が強いとされており、これはiPhone Xの時とほぼ同時期だ。当然ながらアップルは、本件についてコメントしていない。同社は発売している製品の供給問題についてもめったにコメントすることはなく、数カ月先の製品となればなおさらだ。

関連記事:Review: Apple’s cheap and cheerful iPhone SE

アジアはパンデミックの影響を最初に受けた地域であり、ビジネスが平常通りに戻ったように見える部分もあるが、現在も問題は続いている。それに加えてアップルは(どの会社も)、パンデミックと自宅待機命令による消費者の欲求、要求の変化にも取り組まなくてはならない。この状態は多くの地域で夏まで続くとみられている。

さまざまな事情が組み合わせさってスマートフォン需要を鈍らせ、メーカーを苦境に立たせている。新型コロナ以前、アップルは同社初の5G端末への期待による需要の高まりを予測していたに違いない。しかし今となっては、予想外を予想しておくのが最良の選択になりそうだ。

新型コロナウイルス 関連アップデート

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

iPhoneの「メール」アプリに重大な脆弱性、ハッカーがプライベートデータを盗んでいる

Apple(アップル)は近く、新たに見つかったiPhoneの脆弱性をパッチするが、セキュリティの研究者たちによると、ハッカーはすでに被害者のデバイスからデータを盗んでいる。

その脆弱性のニュースは米国時間4月22日に、セキュリティ企業のZecOpsが報じた。同社のCEOであるZuk Avraham(ズク・アヴラハム)氏によると、バグを見つけたのは昨年で、日常的な調査をやってるときだった。彼によると、すでに2018年には少なくとも6社が被害に遭っているという。

アヴラハム氏によると、バグがあるのはiPhoneのデフォルトのメールアプリ「メール」の中だ。犯人は被害者のデバイスに特殊な工作をしたメールを送ってデバイスのメモリーを侵略し、リモートで悪質なコードを動かしてデバイスのデータを盗む。さらにまずいことに、iOS 13の最新バージョンの上ではそのバグは、ユーザーとの対話をまったく必要としない。

そのバグはiOS 6から存在し、最初にリリースされたのは2012年。同氏はその後のツイートで、同じく内蔵の「メール」アプリのあるmacOSには、同様の脆弱性がないと述べている。

iPhoneの脆弱性は見つけるのが極めて難しいので高値がつく。バイヤーが100万ドルで買ったバグもある。でも、そういう高度で価値のあるバグは、リソースに十分恵まれたセキュリティ関係者、特に政府が見つけることが多い。政府関係者は脆弱性を利用した犯行を、犯罪者やテロリストの捜査に使うことが多い。しかし一部の政府が、特定の民族や活動家やジャーナリストなどをターゲットにすることもある。

同氏のブログ記事によると、今回の被害者の中には米国のFortune 500社や、ヨーロッパのジャーナリストもいる。彼はハッカーの名前を挙げないが犯人の中には国家もいると語っている。

TechCrunchの問い合わせに対してアップルのスポークスパーソンは何も言わなかった。記事を最初に報じたMotherboardは、そのバグはソフトウェアのベータバージョンでは直っており、次のアップデートで一般ユーザーに提供されるそうだ。

それまでは、高いリスクを抱えるユーザーは「メール」アプリを無効にしておくべきだ。

関連記事:iPhoneハッキングは中国政府によるウイグルのムスリム攻撃の疑い

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

最高のシングルカメラシステムを搭載した新iPhone SEを4万4800円から発売

アップルは米国時間4月15日に新しいiPhone SEを発表した。ディスプレイのサイズは4.7インチで、物理的なホームボタン、Touch ID、シングルのリアカメラ、A13 Bionicチップを搭載している。価格は399ドル(日本では税別4万4800円)からとなっている。新たなiPhoneユーザーや、初めてスマホを購入する人を主なターゲットとする製品だ。しかし何よりも、現行モデルとして最も小型のiPhoneを求める人にアピールすることは間違いないだろう。

画像クレジット:Apple

iPhone SEの予約注文は、4月17日の午前5時(米国太平洋夏時間)に開始され、出荷は4月24日からとなる。

本体カラーは、ブラック、ホワイト、(PRODUCT)REDの3種類から選べる。リアカメラもフロントカメラもシングル仕様。これがアップルの新しいエントリーレベルのiPhoneとなる。

その他の仕様は、全体的にかなり魅力的だ。何より、iPhone 11や同Proと同じA13チップを搭載している。アップルによれば、SEのプロセッサパフォーマンスは、価格に合わせて引き下げられているようなことはなく、iPhone 11と同等だという。

ディスプレイは、アップルの言うRetina HDユニットであり、通常のLCDパネルだ。iPhone 11やXRのようなLiquid Retinaディスプレイではない。本稿執筆時点では、コントラスト比などの細かいスペックは確認できていないが(実際には1400:1)、True Toneディスプレイとなっている。

サイズを別にすれば、新しいiPhone SEの最大の特徴は、Touch IDを備えた物理的なホームボタンを持っていることだろう。最近のiPhoneは、みなFace IDシステムを採用していただけに新鮮だ。これがサイズの制約からくるものなのか、つまりフロント用にTrueDepathカメラを組み込むスペースの問題なのかどうかは、現時点でははっきりしない。しかしおそらくは、価格を抑えるための手段の1つと考えられる。

Touch IDは信頼性が高く、そちらの方を好むユーザーもいる。私はFace IDの大ファンだが、みながマスクを着けるようになったご時世を考えると、Touch IDのメリットが再び注目を集めているとも言える。実際問題として、顔の半分をマスクで覆った状態では、Face IDを正しく動作させるのは難しい。これは以前からアジア地域では問題だった。アレルギーのシーズンや、体調の悪いときには、マスクを着けるのが習慣になっていたからだ。

iPhone SEもデュアルSIMをサポートしている。無線通信サービスの選択肢が豊富な地域のユーザーや、そこに旅行する人にとっては、嬉しい機能だろう。

大きく進化したカメラ機能

アップルは、いくつかの根拠を示して、iPhone SEが「最高のシングルカメラシステム」であると主張している。思い出してみれば、iPhone XRのリアカメラは、同じ解像度で、やはりポートレートモードをサポートしていた。しかし、新しいiPhone SEは、ISP(Image Signal Processor)およびNeural Engine(ニューラルエンジン)として機能する、最新のA13 Bionicチップを搭載している。これは、セグメンテーションマスクやセマンティックレンダリングなど、特に機械学習分野での著しい進歩を取り込んだもの。その結果、最近のiPhoneモデルの中でも、特に効果的なポートレートモードを実現している。

アップルは、XRでは3種類の照明効果(「自然光」、「スタジオ照明」、「輪郭強調照明」)のみをサポートしていた。いずれも、背景を取り除く必要がないもの。それ以外の照明効果(「ステージ照明」、「ステージ照明(モノ)」、「ハイキー照明(モノ)」)は、レンダリングと分離のパイプラインのために、さらなる処理能力を必要とする。iPhone SEでは、それらも可能となった。またiPhone SEは、iPhone 11に採用された「次世代のスマートHDR」も装備する。これもまた、新しいチップの搭載によって可能となったこと。

新しい画像パイプラインによって、他にも多くのメリットが得られる。たとえば、4Kビデオ撮影では、30fpsまで「拡張ダイナミックレンジ」が使える。また、「映画レベルのビデオ手ぶれ補正」は、4Kで60fpsまで可能だ。一方、静止画撮影でも「次世代のスマートHDR」が使える。さらに、6種類の照明効果すべてが、前面カメラでも利用可能となっている。

こうしてみると、これはiPhone 11 Proの画像処理パイプラインを、シングルカメラシステムで実現したようなものと言えるだろう。しかし、そこには大きな違いもある。ナイトモードがないのだ。ナイトモードは、iPhoneの長い歴史の中でも、最も説得力のあるカメラ機能の1つだ。この点では、新しいSEを選ぶのは、カメラ機能よりも、価格とサイズを優先することになる。

ラインナップの位置関係

新しいiPhone SEの追加によって、現行のiPhone製品は、ほぼ7種類になったと言っていいだろう。iPhone XR、XS(XS Maxを含む)、それからiPhone 11とiPhone 8 Plus、さらにiPhone 11 Pro、iPhone 11 Pro Max、そして新しいiPhone SEだ。すでにApple Storeで扱っていない製品もあるが、私が信頼しているアナリストによると、そうした製品を製造している工場も、まだ残っている可能性があるという。今回のSEの登場で、アップルはiPhone 8の販売を収束させることになるだろう。そしてiPhone 8 Plusは、在庫がなくなるまで特定の地域で販売を続けて打ち止めとする。iPhone SEの、64GBモデルで399ドル(日本では税別4万4800円)という価格設定は、非常に魅力的だ。そこにわずか50ドル(同5000円)を加えた499ドル(同4万9800円)で128GBのストレージが手に入る。また256GBモデルでも549ドル(同6万800円)だ。

今回のiPhone SEをiPhone XRと比較すると、後者のメリットは画面サイズが大きいということくらいだ。しかし、それだけで2万円という価格差は大きいように感じられるだろう。

全体として分かるのは、アップルが、iPhoneの品揃えの中で価格帯の空白をなくそうと懸命に努力しているということ。そうすることで、人々をiPhoneのエコシステムに引き込みやすくしようとしている。いったんiPhoneユーザーとなった人は、さまざまなサービスによるロックイン効果と、高い顧客満足度のために、なかなかそこから抜け出ようとはしないのだ。

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

iPad Proのようなデザインの新iPhoneをアップルが準備中との報道

AppleはiPhone 11 Proに代わる新型のiPhone、そしてiPhone 11の新モデル、小型のHomePodと位置追跡タグを2020年秋発表する準備を進めているようだ。Bloombergが報じている。最上位スマホiPhone 11 Proの後継モデルは少なくともiPad Proに近いデザインとなりそうだ。現在の丸いエッジではなく、スクリーンとサイドはフラットで、Appleが3月に発表した最新iPad Proで導入した3D LIDARセンサーシステムも搭載する。

新iPhoneは「フラットなステンレススティールのエッジ」でiPhone 5のようなデザインとなり、大きいバージョンのスクリーンはiPhone 11 Pro Maxの6.5インチよりもわずかに大きくなる見込みだという。また、ディスプレイ最上部にあるフロントカメラ配置している「ノッチ」を小さくするかもしれない、ともしている。

一方、リアカメラに搭載さたLIDARトラッキングシステムではプロセッサーのスピードやパフォーマンスの改善が図られており、AR性能が大幅に向上しそうだ。Bloombergによると、プロセッサーの改善はAI性能のアップも意図しているとのことだ。

秋のローンチと発売を計画されている段階だが、現在の新型コロナウイルスパンデミックによる混乱で、一部は「通常より数週間後ろ倒しで」提供されることになるかもしれない、とのことだ。

その他の製品に関するアップデートは、新しいHomePodは現行モデルより50%小型で、2020年後半の発売が見込まれている。価格的には安価になり、新HomePodリリース時にはSiriの性能も向上し、Apple以外のストリーミングサービスもサポートするとBloombergの記事にはある。その他にはApple Tagがある。これはAppleが先日、意図せずその存在を明らかにしたもので、TileのようなBluetooth位置追跡アクセサリーだ。これも2020年発売されるかもしれないという。

さらに記事ではMacBook Pro、Apple TV、低価格のiPadとiMacのアップデートも準備中と言及している。Appleのハードウェアアップデートのサイクルを考えれば、驚くべきことではない。それらのリリースについて予定はなく、新型コロナウイルス(COVID-19)がこうした計画にどのように影響を及ぼすか、はわかっていない。

画像クレジット:Qi Heng / VCG / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

アップルがClearview AIのiPhoneアプリをルール違反でブロック

論争の渦中にある顔認識技術のスタートアップClearview AIが作ったiPhoneアプリをApple(アップル)がブロックし、そのアプリの利用を実質的に禁じた。

AppleはTechCrunchに、そのスタートアップがAppleのディベロッパーエンタープライズプログラムの規約に違反していたことを確認した。

そのアプリは同社(Clearview AI)が、法執行機関の職員だけに提供していると主張しているものだが、iPhoneのユーザーなら誰でも、iPhoneのカメラや画像から写真をアップロードして、同社の30億の写真を収めたデータベースを検索できる。しかしBuzzFeed Newsの記事によると、同社が法執行機関のユーザーだけに提供していると主張するそのアプリのユーザーには、、Macy’sやWalmart、Wells Fargoなど、多くの民間企業が含まれている。

Clearview AIは1月に、The New York Timesの記事で一般に知られるようになって以来、メディアと法廷の嵐に巻き込まれた。同社はソーシャルメディアのサイトから写真をかき集めていたので、大手テクノロジー企業の怒りを買った。そしてハッカーの注目されるようになり、米国時間2月26日に同社は、データ侵害により顧客リストを盗まれたと認めた。

Amazon S3の公開ページにそのiPhoneアプリがある(画像提供:TechCrunch)

TechCrunchは、Clearview AIのiPhoneアプリがAmazon S3の公開ストレージ上にあることを米国時間2月27日に発見した。ただしそのページには「一般人と共有してはならない」という警告があった。

さらにそのページには「このページはiPhoneで開いて」インストールし、同社のエンタープライズ証明を許可した上でアプリの実行を許されると書いてある。

しかしAppleのポリシーでは、アプリのユーザーがClearview AIという組織すなわちエンタープライズの外にいる場合、それは許されない。

Clearview AIはiPhone上でエンタープライズ証明を使っている(画像提供:TechCrunch)

Appleが発行するエンタープライズ証明は、企業が社内でのみ使うiPhoneやiPadアプリをAppleが認可した証明になる。たとえばアプリをアプリストアで公開する前に、社内でテスト的に使う場合によく使われる証明だ。Appleはエンタープライズ証明の使用について厳しい規則を定めており、一般ユーザーがそれを使うことはできない。今回のように一般ユーザーにも使わせれば、それは乱用であり誤用だ。

2019年、TechCrunchはその独占記事で、FacebookGoogleの両社が、消費者向けアプリに彼らのエンタープライズ証明を使って、Appleのアプリストアをバイパスしていることを報じた。Appleはこれらテクノロジー大手のエンタープライズ証明を取り消して、違反アプリを無効にした。そしてケータリングやランチメニューアプリなど、その証明に依存しているそのほかのアプリも無効にされた。

Clearview AIのアプリは、リリース前やテストバージョンでよく使われるように、「ベータ」のラベルが付いていた。しかしそんなラベルは、アプリをClearview AIの顧客が使っていないことの証拠にはならない。

Clearview AIのCEO Hoan Ton-That(ホアン・トンタート)氏はTechCrunchに対して「現在、利用規約のコンプライアンスに関してAppleと折衝中だ」と語った。

そのアプリは、ネットワークトラフィックツールと逆アセンブラでざっと分析してみると、米国時間2月27日にGizmodoが見つけたClearview AIのAndroidアプリの動作と同じようだ。

Androidアプリと同じく、使用するにはClearview AIが認めたユーザー名とパスワードが必要だ。

関連記事: 米移民局や検察局などが採用中の顔認識技術が一般企業にも売られていた

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

AppleがiPhoneの性能を勝手に抑えたことにフランスが罰金を科す

フランスの競争・消費・詐欺防止総局であるDGCCRFは米国時間2月7日朝、iOSのアップデートに際して古い機種の性能を抑えたとして、Appleに対する2740万ドル(約30億円)の罰金を科すことを発表した。さらにAppleは、同社のWebサイトに声明を1カ月間掲載しなければならない。

2年前にAppleはiOSのアップデート(10.2.1と11.2)をリリースしたが、その際、古い機種に新しい機能を導入した。バッテリーが古くなるとピーク時の電力消費に対応できなくなることを恐れて、iOSはピーク時の性能を抑えたものだった。その結果、iPhoneがピーク時に突然シャットダウンすることもあった。

この機能は技術的には妥当だったが、Appleは一部のデバイスで性能を抑えることをユーザーに知らせなかった。その後、Appleは謝罪して「Battery Health」と呼ばれる新しいソフトウェア機能を導入した。それはユーザーが持つiPhoneのバッテリー最大容量を調べて、そのiPhoneがピーク時の性能を発揮できるかを教えてくれるものだ。

そして、古い機種の性能を抑える機能は問題になった。たとえば、ゲームをしているとiPhoneが遅くなることに気づいたユーザーがたくさん現れた。しかし彼らは、バッテリーを交換すればそれが直ることを知らなかったのだ。所有しているiPhoneが十分使えるのに、新しい機種を買ったユーザーもいた。

フランスのDGCCRFは、iPhoneのユーザーがiOSの前のバージョンにダウングレードできないことにも着目した。つまりユーザーは、その方法で性能抑止機能を逃れることができない。フランス当局は、「消費者に伝えなかったことは不作為によって誤解に導く事業慣行である」と記している。

Appleは罰金の支払いを受け入れ、Webサイト上の声明で自社の不正行為を認めた。

関連記事: Apple addresses why people are saying their iPhones with older batteries are running ‘slower’…Appleは古い電池のiPhoneが遅くなると人びとが言う理由を説明(未訳)

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

AppleがiPhoneの常時接続化に向けて通信衛星の技術を開発中か

Bloombergの報道によると、Apple(アップル)は、数名の航空宇宙技術者を雇用してチームを作り、衛星やアンテナの設計者らとともに人工衛星技術の開発を行なっている。それは、廃棄される可能性もある初期的段階の秘密プロジェクトだが、チームの目的はデータを直接iPhoneなどのユーザーに送受する通信衛星の技術開発であり、Appleのデバイスをサードパーティのネットワークを必要とせずにインターネットに接続することを目的にしている。

さらにBloombergによると、必ずしもAppleは人工衛星そのものを内製しようとしているのではない。むしろ、開発しているのは送信機や地上局が軌道上の通信装置へのデータ送信に用いる機器装置類のようだ。それによりAppleからのデータがAppleのデバイスへ直接送られるようになったり、デバイス同士の接続が携帯電話キャリアのデータネットワークを使わずに実現する。また、位置サービスもより正確になり、地図や案内情報が改善されるという。

Appleは航空宇宙および人工衛星の業界から技術者と役員を雇用した、と言われる。その中にはかつてSkybox ImagingにいたMichael Trela(マイケル・トレラ)氏とJohn Fenwic(ジョン・フェンウィック)氏も含まれ、両人がチームを引っ張る。2人は以前Googleの人工衛星と宇宙船部門を率いたことがある。新たな被雇用者の中には、Aerospace Corporation(エアロスペース・コーポレーション)の役員Ashley Moore Williams(アシュリー・ムーア・ウィリアムズ)氏や、ワイヤレスネットワーキングとCDN(コンテンツデリバリーネットワーク)の業界における重要人物たちがいる。

データネットワークを宇宙からデバイスへ直接提供するという考え方は、一見すると馬鹿げているようにも思える。データ通信衛星の多くは、情報をエンドポイントのデバイスにリレーする地上局との通信を要する。でもそれは、初耳のコンセプトではない。例えば、今年、2019年に本誌が取り上げたUbiquitilink(今のLynk)は、電話機と直接通信する新しい種類の低地球軌道通信衛星コンステレーションを作ろうとしている。

Lynkの初期目標は、衛星通信ネットワークによる直接接続の方がiPhoneの通常、利用するキャリアサービスよりも優れている、と主張している。同社はユーザーが利用している地上局ベースのネットワークよりも、圧倒的に速い接続が可能なグローバルローミングを提供したいと考えている。しかもそれは、ローカルなインフラに依存しない。また、予備機としても機能するので、メインのネットワークが落ちたときでも、テキストメッセージのやりとりや通話といったデータ集約的な使い方でなければ十分に使用できる。

Appleが現在行っていることには未知の要素が多すぎるが、それがiPhoneに事故や災害に強い常時接続の能力を持たせるものなら非常に興味深い。どんなときでもiMessageや音声通話やナビが使えて、何もない平常時にはキャリアのデータプランでストリーミングなどを楽しむ、というモバイルライフが想像される。

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Apple CardのiPhone無利息分割購入プログラム12月中なら6%還元

Apple(アップル)は米国時間12月10日に、Apple Cardの保有者が新しいiPhoneを無利息で24カ月分割で購入できるプランを開始した。同社は10月の決算会見でこのプランを発表していたが、すべてのApple Card保有者に向けてスタートした。

さらに同社は、12月中に購入した人に追加特典を用意しており、アップル製品購入に対するキャッシュバックは通常3%だが、2019年12月31日までは6%になる。6%のキャッシュバックは、アップル直営店、オンラインストア、Apple Storeアプリのいずれから購入しても対象になる。

これまでにもアップルは、iPhone アップグレード・プログラムを通じてiPhoneを無利息で分割購入できる仕組みを提供してきた。しかし、このプログラムではローン会社のCitizens Oneの24カ月分割払いを利用する必要があり、返済遅延などの場合には何らかの手数料が生じる可能性があった。

今回の新しいiPhone分割購入プログラムは、アップル自身が提供するため、3%または6%(購入時期による)のキャッシュバックを含め、外部ローン会社が関与しないことによる特典があり、iPhoneのアプリ、Apple Wallet(Apple Pay)で直接支払うこともできる。

同社によると、毎月の支払いはカード保有者の最低返済額に自動的に上乗せされるので、支払いは月に1回だけでいい。キャッシュバックはユーザーのApple Cashの残高に加算され、その後のApple Pay経由の支払いに当てることもできる。

このiPhone分割購入プログラムは、将来さらに大きなサブスクリプション商品へと成長するための土台を築くものだ。いずれアップルは、iPhoneの購入と他のサブスクリプションを組み合わせたバンドル商品を提供するかもしれない。それによりユーザーはiPhoneと一緒に、iCloud、Apple Music、Apple TV+、Apple News+、Apple Arcadeなどのサービスをまとめて購入することができる。

現在、提供しているiPhone分割購入プログラムも、24カ月間ぶんのAppleCareをまとめて購入できるバンドル商品になっている。アップルは、その他のサブスクリプションサービスをバンドル化する試みも小規模ながら進めており、最近では学生向けにApple MusicとApple TV+の両方をApple Musicの料金(月額5ドル)だけで利用できる商品を発表している。

新しい分割購入プログラムは、現行のアップグレードプログラムに置き換わるものではない。現行のプログラムはApple Cardの保有者以外のために今後も継続される。しかしApple Cardの保有者は、次にiPhoneをアップグレードする時に、アップル自身が提供することで実現するさまざまな特典を利用するに違いない。

分割購入プログラムはこの秋に事前発表されていたが、同社CEOのTim Cook(ティム・クック)氏はプログラムを紹介した時にも明確な提供時期を明らかにせず、今年中には始まるとしか言わなかった。しかし、最近になってプログラムの詳細がApple Walletアプリに追加されたことで、サービス開始間近であることが示唆されていた。

分割購入プログラムの詳細はこちら。[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

iPhoneの新ペアレンタルコントロールは通話やメッセージの相手と時間帯を制限可能に

米国時間12月10日に公開された iOSのアップデートによって、親は子供のiPhone中毒を緩和する新たなツールを手に入れた。iOS 13.3のリリースで、親は初めて子供が1日の特定の時間帯に電話をしたりメッセージをやり取りできる相手を制限できるようになった。対象となるのは通話、メッセージ、およびFaceTime。さらに、子供の利用が許されているスクリーンタイムと休止時間とで別々の制限を与えることができる。

設定アプリのスクリーンタイム項目に加わった「通信/通話の制限」セクションでは、連絡先に基づいて制限を設けることができる。許可されているスクリーンタイム中、ユーザーは誰からでも、あるいは連絡先に載っている人だけから受信するように設定できる。休止時間中は、誰からでも、あるいは指定した人からのみ受信するかを選択できる。

スクリーンタイムのペアレンタルコントロールで設定すれば、親は子供がいつ誰と連絡できるかを決められる。休止時間中については、子供がメッセージや通話できる相手を個別に指定可能だ。例えば、ママやパパとだけのように。

これにより親は、休止時間をスケジューリングすることで子供が深夜や投稿時間中に友達とメッセージ交換するのを事実上防ぐことができる。もちろん休止時間は「夜間」以外に設けられるので、アプリを使えたり、電話をかけられる時間を自由に設定できる。

新機能では、子供のiCloud連絡先をリモートで管理可能なので、子供に大切な電話番号を伝えるのに便利だ。ただしその場合、親が連絡先の全権限を持つので、親しか編集できなくなる。

新しい「通話/通信の制限」は昨年iOS 12で導入されたアップルのスクリーンタイムという大きな構想の一環だ。このシステムによってiPhoneユーザーは、画面から離れる時間帯を決めたり、アプリに制限時間を設定したり、利用時間やアクティビティレポートを見ることなどが可能になった。

多くの親たちはすでにこうした管理機能を使って、子供たちの利用方法を厳しく制限しするために、ゲームなどのブロックしたいアプリを個別に設定したり、「休止時間」をスケジューリングしたりしている。さらに、親は子供の端末を一切使えなくする時間を設定することもできる。

消費者のテクノロジーとの秩序を乱す関係に対応する方法を考え直しているIT企業は同社だけではない。Google(グーグル)も独自の「デジタル・ウェルビーイング」と呼ばれる機能をAndroidに導入している。FacebookとInstagramも、ソフトウェアのアルゴリズムを一部変更して「有意義な時間」などの新しい指標に取り組んでいる

アップルのスクリーンタイムは小さな子供たちには有効に働くだろうが、ティーンエージャーたちはたちまちに抜け穴を見つけてみんなで共有しているようなので、これからも親は頭を痛めることになるだろう。果たしてティーンが新しいペアレンタルコントロールシステムでiMessageを送る裏技を見つけられるかどうか、それは時間が経ってみないとわからない。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

将来のiPhoneで充電ポート廃止の報告

早めのクリスマスプレゼントだ。Apple(アップル)のアナリストことMing-Chi Kuo(ミンチー・クオ)氏が、最新のApple(アップル)関連報告を発表した。いつものように報告は興味深いが、今回は2021年のiPhoneの見通しを伝えている。

どうやら2021年は、アップルがついにLightningケーブルを廃止する年になるかもしれない。もちろんそれはいいニュースだ。アップルはすでに、iPad Proにおいてはるかに広く普及し、また優れたUSB-Cに乗り換えている。

しかしここで興味深いのは、USB-CがLightningポートを置き換えるのではないということだ。9to5Macによると、クオ氏の報告では2021年のiPhoneが「完全なワイヤレス体験を提供する」ことを示唆している(iPadのように、プレミアムモデルから採用が始まり、徐々に他のモデルにも採用されることだろう)。

Meizu(メイズー)は今年に同じようなことを、高価かつギミックの複雑なZeroで試している。この端末は外部ポート、スピーカー、ボタンを完全に排除し、スマートフォンの幅広いトレンドを先取りした。しかし大多数のユーザーにとって、ワイヤレス充電は有線での充電を完全に置き換える前に、ある程度の速度向上が必要となるだろう。

2020年モデルのiPhoneの興味深い情報としては、5.4インチ、6.1インチ(2機種)、6.7インチの複数のiPhoneが登場するとされている。報道によるとこれらはすべて5G通信に対応し、主な差別化要因はカメラとサイズだという。さらに、有機ELディスプレイモデルは、かつてのiPhone4風のフォームファクタを採用するという。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

ロサンゼルスがジュースジャッキングをするマルウェアを警告したが事例はゼロ

ロサンゼルスの州検察官が「公共のUSB充電ポイントは危険なマルウェアがあることもあるので旅行者は利用を避けるように」と警告している。この忠告を読むと、そこらにあるUSBポートはどれも「ユーザーのデータを盗むために誰かが自分のスマートフォンをつなぐのを待っている」と思うかもしれない。それはジュースジャッキング(Juice Jacking)と呼ばれる攻撃で、警告の声明文によると犯人は充電ステーションやそこに挿入したまま残したケーブルにマルウェアをロードして、何も知らないユーザーのスマートフォンやそのほかの電子機器に感染させる。マルウェアはデバイスをロックしたり、データをエクスポートしたり、パスワードを直接犯人の手に渡したりするのだそうだ。

しかしロサンゼルス郡の主任検察官事務所によると、検察の記録にはジュースジャッキングは1件もないが、イーストコーストには知られている事案があるという。それはどこか、と聞いたら、そのスポークスパーソンは知らなかった。そもそもなぜこんな警報を出したのかと問うと「それは今行っている詐欺教育キャンペーンの一環だ」と応えた。

ますます疑問が深まる。でもなぜ?セキュリティ研究家のKevin Beaumont(ケビン・ボーモント)氏のツイートによると「そんなものがマルウェアの伝播に利用されたという証拠を見たことは一度もない」という。実際、見たと言う人はほとんどいないだろう。私にメッセージをくれた何人かのセキュリティ研究者は「そういう攻撃の概念実証を見たことはあるが、実際に犯行に使われた例は知らない」と言っている。

ジュースジャッキングという脅威は実在するが、もっと容易なやり方がいろいろあるのだから、こんなものすごく複雑で不完全な方法を使って誰かを攻撃するなんてありえないのではないか。また、今ではこのような攻撃を防ぐ機能のあるスマートフォンが多いから、ジュースジャッキング攻撃を仕掛けるなら非常に高度な罠が必要だろう。

でも、スマートフォンをつないだら秘密を盗まれるという話そのものに無理はない。それが可能であるというデモも、これまでにたくさんあった。ZDNetのジュースジャッキング特集記事には、FBIが全国に送った警報の例が載っている。それは、セキュリティ研究家のSamy Kamkar(サミー・カムカー)氏が作ったArduinoベースのインプラントはUSB充電器に似ていて、空気の流れを感知して押されたキーを読み取るというもの。また、この夏あるセキュリティ研究家が作ったiPhoneの充電器のケーブルのクローンは、近くにいるハッカーが脆弱性のあるコンピューターにコマンドを実行させることができた。

ロサンゼルス当局は、充電ステーションを使わずコンセントを使うこと、そして自分のケーブルを持ち歩くことを勧めている。健全なアドバイスだが、でもそれは、あなたのデバイスとデータを安全に保つためにすべき多くのことのひとつにすぎない。

関連記事:Wi-Fiモジュールを埋め込んだiPhoneの充電ケーブルでPCをハッキングできることを証明

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

iOS 13.2.2でバックグラウンドアプリが突然終わるバグを修正

あなたのiPhoneは最近、バックグラウンドで動いているアプリのシャットダウンがちょっと早すぎると感じるだろうか。もしそうなら、アップデートすべきだ。

アップルは米国時間11月7日にiOS 13.2.2をリリースし、バックグラウンドアプリが突然終わるという問題にパッチを当てている。そのほか2〜3件の迷惑現象へのパッチもある。重要な新しい機能は何もないが、マルチタスクが正常に動くためのアップデートなのだろう。

そのほかのフィックスは以下のとおり。

  • 通話終了後にiPhoneで一時的に電話ができなくなる
  • S/MIMEで暗号化した一部のメールが読めなくなる
  • SafariでKerberos(ケルベロス)のシングルサインオンを使ったときの問題
  • Lightningポート対応のYubikeyを2段階認証に使ったときの充電の問題

このパッチの登場は、iOS 13.2のリリースからわずか数日後だ。それは大量の絵文字を導入し、またiPhone 11とiPhone 11 ProでDeep Fusionによる画像処理ができるようになった。まだiOS 13.2にアップグレードしていない人には、今がいいタイミングだ。ただしiOS 13.3がすでにデベロッパベータだから、間もなく出るのだろう。

いつもどおり、13.2.2へのアップデートは「設定」→「一般」→「ソフトウェアアップデート」から実行できる。

画像クレジット: TechCrunch

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

iPhone 11 ProとiPhone 11で夜のディズニーランドを撮りまくり

まずこれだけは、はっきりさせておこう。iPhone11シリーズのナイトモードは素晴らしい。これは使える。他の暗いところに強いカメラと比べても非常によくできている。露出と演色性はクラスでトップ。以上だ。

これだけで納得できるなら、もうこの先を読む必要はない。もし、iPhone 11についてもっと詳しく知りたいなら、そしてこの記事に載せた大量の写真を見て、遠い遠い銀河の果てまでの旅で、iPhone 11がどのように活躍したかを知りたいなら、この先も読み続けていただきたい。

それで、だいたいわかっただろうか。そう、新しいiPhoneを携えて、またディズニーランドに行ってきたのだ。このテーマパークでの、私の他のレビューを読んだことがある人なら、そこはさまざまな能力を試すことができる、現実世界の理想的な試験場のようなものだということを理解してくれているだろう。そこには、iPhoneとともに休暇を過ごしている人が大勢いる。

ディズニーランドの中は暑く、ネットワークは大混雑だ。iPhoneは、チケットとして、食料を注文するためのツールとして、それからもちろんカメラや地図としても大活躍する。友人や家族と連絡を取るためのツールとしても不可欠だ。そこは、要するに要求の厳しい環境なのだ。このような、いわば有機的なテストは、オフィスに閉じこもって、バッテリが尽きるまでベンチマークテストを走らせるよりも、ずっと現実的なものになると感じている。

私はだいたい1台、または2台の新機種を、前任機と比較しながらテストするようにしている。私は、AndroidとiPhoneを並べて比較して議論することに、それほど興味はない。なぜなら、それは不毛なことのような気がするからだ。どうしても、プラットフォームに縛られているので、AndroidもiOSも関係なく機種を選ぼうという人は、どんどん少なくなっていくばかりだ。普通の人は、以前と同じ系列のモデルを、サービスあるいは価格によって選んでいる。こんなことを言うと、AndroidやiOSの信奉者を苛立たせることもわかっている。しかしほとんどの人は、こういった類の製品を宗教的な基準で選ぶほどのこだわりを持っているわけではないだろう。

モデル間の類似性(詳しくは追って述べる)を考慮して、テストでは主にiPhone 11 Proを使用し、必要に応じてiPhone 11も加えた。また、比較の基準としてはiPhone XSを使用した。さらに、異なるプラットフォーム間の比較をしたくなかったにもかかわらず、今年のテストには、GoogleのPixel 3も持ち出すことにした。Pixel 3の「夜景(Night Sight)」モードが、非常に優れていると話題になっていたからだ。

比較することに意味がある場合にのみ、iPhone XSを使うことにした。それ以外の場合は、できるだけiPhone 11 Proを使って、なるべく負荷を掛けてみることにした。いずれにせよ、実際にディズニーランドに出かける前には、新しいデバイスのセットアップから始めなければならない。

セットアップ

iPhoneをセットアップするためのプロセスのほとんどは、長年にわたって何も変わることがなかった。しかしApple(アップル)は、ここで改めて述べておく価値のある新しい機能、Direct Transferを追加した。セットアップ中に使えるこのオプションは、感覚的には、ローカルなMac上に作成したバックアップから復元することと、iCloud上のバックアップから復元することの中間に位置するように思えるもの。

Direct Transfer(iPhoneから転送)は、2つのデバイスをピアツーピアで直接接続して、1つのデバイスからもう1つのデバイスに、直接情報を転送できるよう設計されている。具体的には、AWDL(Apple Wireless Direct Link)を利用する。AWDLは、AirDropやAirPlayでも利用されている技術だ。転送は、Apple Watchのセットアップの際に表示されるものと同様の、パーティクルによる雲のようなアニメーションを使って起動する。転送が開始されると、転送するデータ量にもよるが、新旧、両方のiPhoneは、最長で2〜3時間は使えなくなる。

転送中のデータは暗号化されている。直接転送される情報には、メッセージの履歴、iPhone本体に保存されているフル解像度の写真、インストールされているアプリに付随するデータといったものがある。アプリ本体は転送されない。Appleのアプリ署名の手続きによって、各アプリはデバイスに対してロックされているからだ。そのため、アプリはApp Storeから再ダウンロードする必要がある。もっとも、Direct Transferが完了すると自動的にダウンロードされるので、手動で操作する必要はない。これにより、アプリの適切なバージョンを確実にゲットできるというメリットもある。

また転送が完了すると、iPhoneのデータはiCloudと同期され、最新の状態になる。ユーザーが他のデバイスも使っていて、データの転送中に、そのデバイスでiCloudのデータを変更したような場合は、転送が完了後に、その分をアップデートする必要があるのだ。

Appleによれば、Direct Transferは、以下のような種類の人に適している。

  • iCloudにバックアップしていない人
  • しばらくバックアップしていない人
  • たとえば中国のように、インターネット速度がどこでも速いわけではない国の人
  • 「より完全に」復元するために最初に長く待つのを気にしない人

簡単に言えば、2つの選択肢があるということになる。1つは、すぐにiPhoneの基本機能だけで「準備完了」として使い始めるもの。この場合、iCloudのバックアップからの復元に頼ることになる。そしてもう1つは、少し長く待って、最初から個人のデータにアクセスできるようにするもの。この場合、後でiCloudから写真やメッセージの履歴をダウンロードする必要はなくなる。

またDirect Transferは、Face IDやTouch IDの設定、Apple Payに関する情報は転送しない。またユーザー名とパスワードを除き、メールのデータそのものも転送しない。

iPhoneの乗り換えが完了すると、デバイス上のメッセージのコンテンツが、iCloud上のメッセージのコンテンツと照合され、同期が維持されるようになる。iCloudに保存されている写真についても同様だ。

ちょっと付け加えると、Direct Transferの使用中には、いくつか面白い経験をした。最初のiPhoneへの転送は、完了するまでに約2.5時間かった。その時点でも、さらにメッセージのアーカイブについては、バックグラウンドでダウンロードを続ける必要があるというアラートが表示された。Appleによると、これは、このプロセスの合理化に起因するものではないかということだ。

また、同時に複数のDirect Transferを走らせた場合、2つのデバイスを隣り合わせに置いておくと、余計に時間がかかることにも気付いた。これは、電波の干渉が原因である可能性が非常に高いと思われる。実はAppleは、それに対する解決策を用意している。Direct Transferは、有線接続でも動作するのだ。そのためには、カメラ接続キットを用意して、2つのデバイスをUSBで接続する。Appleによれば、理想的には転送速度は変わらないはずだが、当然ながら有線接続なら電波の干渉の問題を完全に回避できる。Apple自身も、実店舗内でDirect Transferを使って新しいiPhoneにデータを復元する際には有線接続を使うことになるはずだ。

私が経験した範囲でも、Direct Transferでの転送にまったく問題がなかったわけではない。例えば、すべてのキーチェーンのデータをまるごと転送できなかったようで、いくつかのパスワードは自分で入力しなければならなかった。しかし、まっさらなデバイスに対して「かなり完全」と思われる転送方法が用意されているのは歓迎すべきことだ。

デザインとディスプレイ

私は、iPhoneをずっと裸のまま使ってきた。つまり、ケースに入れたことはない。ケースはうっとうしい。かさばるからだ。それに、滑りやすくなるか、逆にネバネバしたりすることも多い。それに私は、ハイテク用の服を着ることが多い。スマホを入れる場所は決まっていて、手品のように素早く出し入れができる。留め具を引くと、すぽっと手の中に落ちてくるような感じだ。ケースに入れると、こういう芸当はできなくなる。

Appleは、3台すべてのiPhoneをクリアケースに入れて貸し出してくれた。レビュー中にキズを付けたりしないよう、今回はケースに入れたまま使ったが、私個人のiPhoneはケースに入っていないことを誓ってもいい。

iPhone 11 Proは、つや消し仕上げによって、デバイス単体でもグリップ性が向上している。これは、喜んでで報告しておこう。iPhone 11とiPhone XSの場合、背面がスベスベしているので、ポケットから出し入れするために持ち換えようとする際など、指先に多少の湿り気が必要となる。

ディズニーランドの中を歩き回っていると、夏なら汗をかくし、プラザのフライドチキンやターキーレッグの油も手に付く。子供がいろいろこぼしたりすることもある。そのような、ある種の切迫した状況では、ケースの必要性もまったく理解できる。しかし日常的な使い方としては、私はケースが好きではないのだ。

私は、iPhone 11/Proの統一感のあるデザインが気に入っている。前者は背面全体がツヤありで、カメラモジュールの出っ張りの部分がツヤ消しガラスになっているのに対し、後者は、それが逆になっている。そこには、配色の手法の違いはあっても、デザイン言語の共通性が感じられる。

このカメラ部分の出っ張りが、機能的でカッコいいと思うか、本能的に嫌悪感を抱くか、人によって分かれるところだろう。カメラの数が増えたこと自体は、この際好き嫌いの判断材料にはなっていないようだ。iPhone 11 Proと同Pro Maxは、人気ゲーム「スプリンターセル」に出てくるスコープのような雰囲気を醸し出している。iPhoneが装備するカメラの数がどんどん増えていく、といったジョークを見たことがある人も多いと思うが、もはやそれはジョークではなくなったわけだ。

Appleは、ここに現在考えられる最高のものを実装したように感じられる。iPhone 11 Proの本体は、それだけで前の世代のものよりも厚くなっているが、それでもこのカメラ部分の出っ張りをなくすことができるほど厚くなったわけではない。どうせなら、そうすればいいのにと思うかもしれないが、それでは厚くなりすぎる。

Appleは、ほとんどのレビュアーにミッドナイトグリーンのiPhone 11 Proと同Max、およびグリーンのiPhone 11を貸し出した。正直に言えば、私はこのミントグリーンのようなiPhone 11のグリーンが好きだ。淡く明るい色が好みなのだ。もっと言うと、私はラベンダー色のiPhone 11 Proが欲しかった。しかし残念ながら、Appleの路線にはそういうものはない。

私が受けた説明によると、ミッドナイトグリーンを選んだ背景には、Appleの彩色担当者が、この色が来年あたりブレークすると考えていることがあるという。ファッション業界の人は、ある程度同意するだろう。ミント、シーフォーム、ネオンといったグリーンのバリエーションは、今年の初めごろには流行っていたが、すでにセージ、クロコダイル、モスといった他のグリーンの系列に取って代わられた。Appleのミッドナイトグリーンは、暗く、控えめな色で、Appleは、Proの雰囲気を演出するのに理想的な色だとしている。

ただし、このグリーンはAppleのサイトにあるどの写真とも違って見える。

私の目にはこのミッドナイトグリーンは、直接ライトの光を受けているとき以外、屋内では暗いグレーに見える。屋外では、ステンレス製の縁取りが施された「80年代のモールグリーン」のような色合いが感じられる。その感じは好きだ。背面部分の面積が広いので、屋外ではむしろフォレストグリーンのように見えることもある。全体的に見れば、これはとても落ち着いたよく整えられた色だ。他の選択肢、スペースグレー、シルバー、ゴールドといった、無彩色や自然な感じの色の中にあっても違和感がない。

この中ではシルバーが、私の個人的なチョイスとなる可能性が高い。つや消しの白のように見える背面が、すごく気に入ったからだ。このところ、ずっとグレーや黒を選んできたが、今回は違った選択になりそうだ。

Appleの新しいSuper Retinaディスプレイのコントラスト比は2百万:1で、最大輝度はHDRコンテンツに対しては1200ニト、それ以外では800ニトとなっている。これはディズニーランドの太陽の下で何を意味するだろうか?それほど大きな差は感じられないが、日当たりの良い場所でも画面は以前よりもじゃっかん見やすくなり、細かい部分まで確認できるようになった。Appleが言う、iPhone 11 Proの新しいXDRディスプレイの「改善」部分は、ルクス、つまり輝度に関するものであり、色彩についてではない。というわけで、色の再現範囲は以前と同じだ。ただし、HDR画像については、iPhone 11 Proに比べてiPhone XSでは、わずかながら平坦なものに感じられることに気付いた。iPhone 11の画面は、XSに比べるとそこそこ優れているが、iPhone 11 Proの深い黒と広大なコントラスト範囲には及ばない。これが、Proにアップグレードしたくなる2つの大きな理由のうちの1つだ。

Apple独自の3D Touchは、iPhone 11ではついに絶滅した。この背後には、3D TouchをiPadで実現するのが難しいという事情がある。コストが高くなり現実的ではないからだ。そこで、3D Touchはあきらめて、代わりに触覚タッチ(Haptic Touch)を採用した。これなら、iPhoneだけでなく、Appleの他のラインアップでも採用できる。

感触タッチも悪くない。ただ、3D Touchに慣れたユーザーにとっては、最初はちょっと違和感があるかもしれない。例えば「ピーク」や「クイックアクション」の操作は可能だが、「ポップ」はできなくなった。というのも、いったん画面を押してから、それ以上の圧力がかかったことを検出できないからだ。これまで、おそらく3D Touchによって操作してきた、カメラやフラッシュライト、ホーム画面でのアプリのショートカットなど、ほとんどの操作は触覚タッチでも問題なく可能だ。

私自身は、3D Touchを強く支持していた。パワーユーザー向けに、操作中のコンテキストのレイヤー、つまりタッチをホバーするというレイヤーを追加することに可能性を見出していたからだ。残念ながらAppleの社内にも、そして社外にも、この機能の存在に気付いてもらえないのではないかとか、便利に活用してもらえないのではないかと疑う人たちがいた。そのため、この機能が十分成功するために必要な投資を受けることができなかったのだ。彼らが正しくて、私が間違っているという可能性も否定できないことは認める。いずれにせよ、これについてはうまく事が運ばなかったということ。

パフォーマンスとバッテリー

AppleのA13 Bionic(バイオニック)は、A12 Bionicよりも、さらに20%高速で、消費電力は40%少ないという効率的なコアを特徴としている。その効果の1つとしては、バッテリー寿命が飛躍的に向上したことが挙げられる。全体的なクロック速度では20%高速となり、ベンチマークでも、だいたい同じくらいの性能向上が見て取れる。パフォーマンスコア単体では電力消費量は30%減少した。GPUに至っては40%も少ない電力で動作する。Neural Engineも例外ではなく、消費電力は15%削減されている。なお、以上の数字は、すべてiPhone XSと比較したものだ。

私はここで、コアの消費電力に焦点を当ててみたが、その点はそれほど魅力的なこととは思えないかもしれない。しかし新しいiPhoneは、どれもこの点で非常に優れている。Appleは、だいたいいつでも、ハードウェア性能に見合った消費電力となるよう、実は巧妙な仕事をしているのだ。そして、前世代のソフトウェアをそのまま持ってくると、かなりの余裕が生じてしまうことになる。これについてはいつもと同じだ。

こうしたシリコンチップの特徴が、一般の人の生活に及ぼす効果の中で最大のものはもちろんバッテリー寿命の延長だ。

iPhone 11 Proのバッテリーの容量は、iPhone XSのものより大きい。また化学的特性も異なり、より高電圧を発生する。それが、上で述べた省電力性能と組み合わされ、さらにディスプレイや、その他の部品の省電力化も加わって、バッテリー寿命はかなり延びている。

私が、ディズニーランドで数日間にわたってバッテリーテストを実施した結果は、Appleの言うiPhone XSからの改善の割合と、ほとんどドンピシャで一致するものだった。Appleは、iPhone 11 Proは、iPhone XSより4時間長持ちすると主張している。昨年のテストでは、iPhone XSはほぼ9.5時間持続した。今年のiPhone 11 Proは、ほぼぴったり12時間だった。いずれもかなり厳しい条件でのものだ。

暑く、ネットワークは混雑する中、私は自分で操作できる限り、カメラと本体の、ありったけの機能をテストした。ディズニーランドでは、Wi-Fiをサポートしている領域もあるが、カバレッジは完全ではない。そのため、大部分はLTEに頼って使うことになる。テストによる負荷としては、写真とビデオの、デバイス上での処理も含まれる。ビデオは毎日約40分ほど撮影した。ディズニー製のパークアプリも使ったが、これにはイライラさせられどおしだった。それについて書けと言われれば、いくらでも苦言を書くことができる。

食べ物を注文し、並んでいる間にツイッターを閲覧し、子供たちにビデオを観せておいて、妻と私はワインを必要量、たぶん6杯くらい飲みながら、ひっきりなしに家族と同僚にメッセージを送り続けた。iPhone 11 Proのバッテリーは、かなり激しい使い方にもかかわらず、iPhone Xに比べて、ずっと長持ちした。昨年のテストでは、iPhone XSは、ほんのわずか自前のiPhone Xの持続時間を上回っただけだった。

人為的に空にしたテスト用のデバイスを用意するのではなく、私が普段使っているデバイスのクローンを作成し、それをテストに使ったのは、ほとんどの人は、そうやって新しいiPhoneを使い始めると信じているからだ。デバイスの中身を完全に消去したり、新たに購入したiPhoneを、まっさらな状態から使い始めるのは、デバイスのテスターや、コンマリの信奉者のような、ちょっと変わった人だけだろう。

バッテリー性能の改善については、これで十分に理解していただけたことと思う。これまでに何度もやってきたことだが、このようなテーマパークでのテストでは、人工的なウェブブラウジングのルーティーンを走らせるベンチテストや日常生活での使い方よりも、ずっと大きな負荷がスマホにかかる。もしかすると、あなたはどこかのロボット農場の労働者で、私は気に触ることを書いてしまったかもしれない。もしそうなら謝りたい。

iPad Pro用のものと同じ18W電源アダプターが、iPhone 11 Proの箱にも入ってる。ようやくだ。私が持っているケーブルの大多数は、少なくとも片側のコネクタがUSB-Cなので、これは助かる。というのも、同じケーブルで、Anker製のマルチポートのGaN充電器や、他のUSB-Cポート付きのアダプターも使えるからだ。Apple純正のUSB-C Lightningケーブルは、以前のものより若干太くなっている。もちろん充電用としてだけでなく、データ転送にも使用可能だ。ワット数が大きな充電器は、それだけ速い充電を意味する。Appleは、この新しい18Wの充電器なら、30分の充電で最大50%の充電が可能だとしている。実際に試してみても、だいたいそれくらいだった。

充電は確かに速い。DCA(ディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー)のWine Country Trattoriaにある、階上のちょっと秘密めかしたバーで、ミートボールを食べながら一杯ひっかけている間に、満充電にできるのは頼もしい。カウンターの後ろにはコンセントがあり、頼めば使わせてくれる。

残念ながら「Pro」が付かないiPhone 11に付属しているのは、いまだ5Wのアダプター。これはお粗末だ。iPhoneシリーズは、18Wのアダプターで統一すべきだと思う。

それから改善されたと言われるFace IDの認識角度だが、私が見る限り、たぶん良くなったとしても本当にほんのわずかなもの。言われるほどではない。せいぜい2、3度といったところだろうか。他のレビュアーが、どう評価するのかを見てみたい。もしかすると私の顔が悪いだけかもしれないし。

カメラと写真

写真の仕組みを、比較的わかりやすく図示することができたのは、もう大昔の話になってしまった。カメラのレンズを通過した光は、フィルムや、化学薬品が塗布された紙のような媒体に届く。そして現像プロセスが発動して印画処理が行われ、写真が完成する。といったところだ。

iPhone 8が登場したとき、私は、それが拡張された写真のニューウェーブの第1波だと騒ぎ立てたものだ。その流れは、このiPhone 11でも継続している。これまでも使われていたISP(Image Signal Processor)は、色補正や、センサーが出力した生の信号から視覚的な画像を組み立てる際の計算タスクを担っている。iPhone 11では、ISPに加えて、Neural Engine(ニューロエンジン)を、処理の流れの中に追加した。機械学習による専門的な機能を実現し、様々なモードで多くの処理をこなしている。

これが、iPhone 11のカメラを拡張した最大の立役者だ。同世代のスマホに対して、かなり印象的な優位をもたらした。それは新しいレンズでも、新しいセンサーでもなく、機械学習のタスクを実行するために特別に設計されたプロセッサーなのだ。

iPhone 11 Proは、3つのイメージセンサー、3つのレンズ、分散されたモーションセンサー、ISP、機械学習に最適化されたチップ、CPU、これらすべてを統合したものなのだ。それらが連携して1枚の画像を写し出す。これは機械学習カメラとでも呼ぶべきものだ。しかし、iPhone上で動作するソフトウェアから見れば、背面カメラは1つだ。実際、それは単なるカメラではない。いくつものデバイスと、ソフトウェアの集合体であり、それらが画像を生成するという、たった1つの目標に向かって協調して動作する。

画像処理についてのこのような考え方は、ナイトモードからHDRなど、さまざまな機能の基本となっている。そして、私がこれまで手にしたスマホの中で、最高のカメラを実現することになった。

ともあれ、新しいレンズの話から始めよう。

超広角

iPhone 11とiPhone 11 Proのいずれにも、Appleが13mmと呼んでいる新たな「超広角」レンズが搭載された。これは、実質的にフルフレームの一眼レフカメラでは、ほぼ13mmのレンズに相当する画角を実現するもの。かなりの広角だ。エッジ補正を加えても、被写体に近付いて大きく写す際には、当然ながら、期待通りの、かなりダイナミックな画像が得られる。遠く離れて写す場合には、これまでになかったほどの広い視野のパノラマ画像が得られる。室内では、ちょっと引こうとすると背中が壁についてしまうような狭い部屋でも、グループや家族の写真の撮影に大きな威力を発揮する

広角撮影のテストでは、特に明るい条件で、その効果が非常によく現れた。クローズアップした素晴らしい家族写真、背景の景色や力強さを強調した広角のポートレートの撮影が可能となる。これは、これまでのiPhoneには望むべくもなかった撮影の可能性を拡げるものだ。

全般的にポートレートモードでは、エッジ検出が微妙に進化している。細い髪の毛、サングラス、複雑な背景のパターンなど、一般的なポートレートモードの弱点とされているものにも、高い効果を発揮する。上の写真のような変わった柵は、従来のiPhoneではお手上げだったが、iPhone 11はほぼ完全に捉えている。

ここで感心したのは、1xまたは2xで撮影する際のファインダーの表示だ。画面には、実際に撮影する範囲よりも広い画角のライビューがブレンドして表示される。これは、単に広めに表示しておいて、トリミングのマーカーを重ねただけのものではない。そこには、センサーから送られてくる実際の映像が表示される。実際に写る写真の範囲を確認しながら、そのフレームの外にも何か写しておきたいものがないか、同時に確認できるのだ。これは、カメラのファインダーのエンジニアによる離れ業といったところだろう。

私は人物を広角でクローズアップで撮影するのが好きだが、誰でもそうだというわけではないだろう。ほとんどの人は広角を、大人数のグループや、風景を撮影するのに使うはずだ。それでも私は、人物を近くで撮るのは楽しく、親密な瞬間を捉えられることに気付いた。近付いて取ることで、より個人的な雰囲気が出せるのだ。

1つ注意すべきは、iPhone 11、iPhone 11 Proのいずれにも、超広角レンズには光学式手ぶれ補正機能がないとうこと。このため、暗い場所や夜間に使うのをためらってしまうこともある。

超広角カメラはナイトモードでは使えない。このカメラのセンサーには、100%フォーカスピクセルもなく光学式手ブレ補正機能がないからだ。そのため、超広角で夜間に撮影する場合には、静止した状態でしっかりと保持していなけれならない。そうしなければ、ぶれた写真になってしまう。

この超広角レンズは本当に素晴らしい。これが追加されたのはとても喜ばしいことだ。iPhone 11を手に入れた人は、みんなこれで撮りまくるだろう。標準的なレンズに何か1つを付け加えるとしたら、やはりこの超広角が選ばれるべきだった。というのも風景写真よりも、大人数のグループ写真を撮る機会の方がずっと多いと思われるからだ。

超広角レンズは、ビデオ撮影にも優れた効果を発揮する。ビデオの特性として、どうしてもトリミングが入るので、標準的な広角レンズでは常に少し狭苦しい感じがするのだ。ビデオの場合、センサーの狭い範囲しか使わないので、切り取られた感じが避けられない。たとえば、メリー・ポピンズと同じ回転木馬に乗ってビデオを撮ると、iPhone XSでは、彼女とバートをいっしょにフレーム内に収めることができなかった。しかし、iPhone 11 Proではできた。マッターホルンに乗りながら取れば、その体験をより広く撮影することができ、「前の人の頭」しか映っていなかったということはなくなる。それはカーズでも同じだ。座席の前の風防を通した前方しか映らないか、その外側の景色も映るかという違いになる。今挙げたのは、かなり特殊な例かもしれないが、家族が集ったときに、小さな庭、室内、あるいは他の狭い場所で、どのような状況が展開されるか、容易に想像できるだろう。

超広角レンズについては、もうひとこと付け加えておこう。iPhoneの握り方を見直す必要があるということ。レンズの画角は非常に広いので、指先などがフレーム内に入り、自分の指が写真に写ってしまうことがよくあるのだ。iPhoneの下の方に指を掛けるという持ち方に慣れるまで2、3日かかったが、それまでは、そういうことが何度も起こった。iPhone 11 Pro Maxならば、このような心配は無用かもしれない。

HDRとポートレートの改善

先に述べたような画像データ処理の改革によって、もともと着実なものだったHDR撮影の写真は、ポートレートモードでさらに進化している。Neural Engineが、iPhoneのカメラから出力されるHDR画像に作用して、トーンマップを調整し、さまざまな物理センサーからのデータを活用して画像を融合させ、写真を作成する。1枚の写真の中でも、1つのカメラからのピクセルを使ってハイライト部分のディテールを描写し、別のカメラからのピクセルを使ってエッジを強調する。私は2016年以降、HDRで撮影した写真をかなり広範囲に見直してみたが、Neural Engineの追加によって、洗練されたものになることが分かった。

この秋にDeep Fusion(ディープ・フュージョン)が追加リリースされれば、さらに大きな飛躍を遂げるはずだが、それについてはまだテストできていない。

今のところは、Neural Engineによるセマンティックレンダリング機能の効果を確かめることはできる。このプロセスでは、まずiPhoneがポートレートの被写体に対して顔検出を実行し、顔と肌の部分だけを、それ以外の部分から分離する。そして、顔と肌に関しては、他の部分とは異なる経路のHDR処理を適用するのだ。残りの部分にも、それなりのHDR処理が施された後、2つの画像が融合される。

このような操作は、画像処理の世界では珍しいことではない。それなりの技量を持ったプロの写真家は、人物の顔の部分に対して、画像の残りの部分とは異なる調整を施すのが普通だ。顔をマスクして、平坦な感じにならないようにしたり、逆にコントラストが強くなりすぎないように、あるいは肌の色調が不自然にならないようにする。

そうした従来からの処理との違いは、もちろんセマンティックレンダリングでは、すべて自動で、すべてのポートレート撮影に対して、あっという間に処理が完了することだ。

その結果、iPhone 11やiPhone 11 Proでは、これまでより優れた見栄えのポートレート写真が得られる。顔の部分は、iPhone XSでたまに見られたような、不自然に平坦な感じのものにはならない。XSのHDR処理では、シャドウ部分をそのまま含めて、画像のコントラストを正規化していたために、どうしてもそうなってしまうことがあった。

上の2枚は、同じ時間に、同じ条件で撮影したもの。iPhone 11 Proは、背景の明るさを確実に検出し、特に顔や額の部分に適切な補正がかかっている。結果としては、文句なく、より良いコントラストと優れた色調が得られている。これは、この写真だけに限らない。多くのポートレートを、これら2台のカメラで撮影してみたが、常にiPhone11 Proの方が優れていた。特に、被写体の後ろから光が当たっている場合には、差が大きかった。ポートレート撮影ではよくある条件だろう。

また今度の2枚の違いは、さらに微妙だが、カラーバランスを見比べていただきたい。iPhone 11 Proの方が肌の色合いが暖かく、オリーブ色がかっている。そして、これについては私を信用してもらう必要があるが、より実物に近い。

それから、「ハイキー照明(モノ)」は、それなりに機能するが、まだ完全ではない。

ナイトモード

さて、重要なものを取り上げよう。iPhone 11は、ついにナイトモードを装備した。これは、特に手動で有効にする必要はないので「モード」とは呼びたくない。そうすることが有益だと判断された場合に自動的にオンになる。

技術的に言えば、ナイトモードはカメラシステムの機能であり、かなりHDRに似たもの。光量が既定のしきい値を下回ったことを検知すると、以下のようなことを実行する。

  1. 光量、加速度計やその他の信号から算出したカメラの安定度に基づいて、キャプチャするフレームの数を動的に決定する。
  2. 次にISPが、ブラケット撮影されたショットを取得する。露光時間には長いものと短いものがある。
  3. Neural Engineは、どちらかというとナイトモードとは独立したものだが、iPhone 11では、すべてのHDR撮影のセマンティックレンダリングにも使用されるため、やはり連動する
  4. ISPは、前景と背景の露出に基づき、Neural Engineから提供されたマスキング情報を利用して、撮影された複数のショットを融合する。

その結果、ちょっと暗めから、かなり暗い範囲のシーンを明るいものにすることができる。すぐに捨てたくなるような写真も、取っておく価値のあるものにまで補正することができる。私が経験した範囲では、この効果を十分に確かめらるほど暗いシーンを見つけることが、そもそも難しかった。しかし、iPhone XSと比べて、広角カメラでISOにして33%改善され、望遠カメラでは42%も改善されるのは、それだけでもかなりありがたいたことだ。

しかし、適切なシーンでは、ディテールとシャドウのポップが画面に表示され、シャッターを押す前から、そのシーンが劇的に明るくなっていることがはっきりとわかる。ナイトモードは1x、および2xの撮影モードでのみ動作する。これは、それらのモードで使用されるカメラのみが、100%フォーカスピクセルを備えているからだ(訳注:100%フォーカスピクセルを備えているのは、Appleの「仕様」によれば広角カメラのみ)。iPhone 11でナイトモードの効果を実現するための検出とマッピングを実行するためには、100%フォーカスピクセルが必要なのだ。

私は、この一風変わったリトマステストを、これまでのすべてのiPhoneの新モデルで試してきた。それは、くまのプーさんのような、暗いところを走る乗り物から撮影し、本当にシャープで使い物になる写真が撮れるかどうかをテストするというもの。これは、なかなか厳しいテストだ。たいていブラックライトが点灯していて、その中を車が動き、被写体も動いているからだ。これまでは、ただのいちども満足できる写真が撮れたことはなかった。しかし、iPhone 11 Proではうまくいった。完璧ではないが、いろいろな点を考慮すると、すごいとしか言いようがない。

ナイトモードに関して気付いたことを以下に挙げておく。

  • 夜に撮った写真は、しっかり夜の雰囲気を残している。これはAppleが、すべてのシャドウ部を処理して、画像の隅々まで明るくし、彩度をただ広げ、コントラストをなだらかにする、といった方針を採用しなかったことの直接的な結果だ。
  • 写真は、ナイトモードなしで撮影したものと、同じ遺伝子構造を持っているかのように感じられる。より鮮明で、被写体が明るくなっているだけだ。
  • セマンティックマッピングが、他の被写体検出機能と組み合わされて作用するので、ピントはクリアで明るいが、全体のゲイン調整のように、すべてが一様に調整されてしまうわけではない
  • iPhone 11も、他社のほとんどの「ナイトモード」と同様、移動している被写体の撮影には問題がある。誰も動いていなかったり、ごくわずかしか動いていない場合に、ベストな効果が得られる。これは、1〜3秒という露出時間によっても異なる。
  • 三脚などの固定器具を使った場合、ナイトモードは自動的に露出時間を最大10秒まで延長する。その場合、ライトペインティングや、後幕シンクロのような効果など、素晴らしい夜間撮影の効果が可能となる。

その結果得られるのは、自然な感じに明るい写真だ。すばらしいレベルのディテールを維持し、元の被写体の物質が持つ自然な色を再現しているように感じられる。

Night Sight(ナイトサイト)モードを備えたPixel 3が登場したとき、私はゲインベースのナイトモードでは、それなりの結果しか出せないことを指摘した。そしてAppleも、純粋に明るさだけを増強するものを出してくるかもしれないが、これまでは常に他のやり方を選んできたので、これについても今までの製品と同じようなアプローチを取るのではないかと書いた。この考えはまったく支持されなかったが、結局はそうなった。

Galaxy 10+にも優れたナイトモードがあるが、Pixel 3がこの分野のパイオニアであり、夜間の撮影を評価するとなると、真っ先に思い浮かぶモデルだ。Googleの選択は、「すべてを明るく」という基本方針を固く貫くもの。それが良いと思う人にとっては、それで良いだろう。しかし、それは抑制を効かせたアプローチからは程遠いものだ。

上に示した例は、Pixel 3と比較したiPhone 11 Proのナイトモードの撮影結果だ。ご覧のように、どちらも画像を明るくするという点では着実に機能しているが、Pixel 3の画像は冷たく、平坦で、どこも均一に明るくなっている。色はまったく忠実ではない。

付け加えると、Googleがどうやって1つのカメラの1つのセンサーから、こうした画像を引き出しているかは別として、ディテールはかなり犠牲になっている。上の写真では、岩と塔の部分の違いが明らかだろう。暗いままの画像よりははるかにマシというものだが、iPhone 11 Proの方が抜きん出ていることは間違いない。

もちろん、もうすぐPixel 4が登場するだろう。Googleがどのような改善を盛り込んでくるのか、待ちきれない気持ちだ。私たちの世代は、スマホのカメラで暗いところの写真を撮るという点に関して、本当に黄金時代を生きている。

ところで、iPhone 11、および同Proのフラッシュは、iPhone XSより36%明るくなっている。動いているものが、ナイトモードでうまく撮れなくても、明るいフラッシュが、それを補ってくれるはず。

その他もろもろ

自動トリミング

iPhone 11はデフォルトで、1x、2xのビデオ撮影では、被写体を自動的にトリミングする。たとえば子供を追いかけていて、子供の頭がフレームから外れたりすると、少し処理時間はかかるが、追加のレビュー画面に自動ボタンが表示される。それをタップすると、自動的にビデオのフレーミングが調整される。現状では、これが使えるのは、iPhoneのロック画面から直接QuickTake機能を利用してビデオ撮影を始めた場合のみ。この機能はオフにすることも可能だ。

そうしたいのであれば、カメラの設定メニューで、写真の自動トリミング機能をオンに切り替えることもできる。これはデフォルトではオフになっている。これもビデオの場合とかなり似た効果を発揮する。画像を解析して、被写体を画面の中心に移動して配置するための画像データがあるかどうかを調べるのだ。

スローフィ(スローモーションセルフィー)

確かに、これは楽しい。うん、これは使える。特に髪の長い人は気に入るだろう。

U1チップ

Appleは、iPhone 11にU1チップを搭載した。このテストはできないが、死ぬほど興味深い。たぶんここしばらくは、これについて話をするちょっと控えておいたほうがいいだろう。Appleが、このU1チップの最初の応用例としてiPhoneに搭載するのは、指向性のある?AirDrop機能かもしれない。これは間違いなく、将来を見越して搭載されたもので、たぶんメッシュ状に位置を認識できる機能なのだ。それが何らかの理由で遅れ、AirDropチームが余力で開発していたものがいきなり最初のリリースに昇格してしまったのではないか。興味深いことに、Appleは単なる例として、U1チップの機能を使って車のエンジンを始動したりすることもできるはずだとしている。もちろん、該当するメーカーの協力が得られればの話だ。

もし読者が、ここ数年の私が書いたものを何か読んでくれていれば、以下のような話を何度も聞いたような気がするかもしれない。それは、iPhoneやApple Watchは、必然的にこのような機能を備えるはずだということ。問題は、それをどうやって、正確、かつ安全に実現するかということだ。U1は、マイクロレベルの位置情報を取り扱うもの。広い範囲ではなく、ネットワークベースでもなく、GPSベースの位置情報でもない。正確な位置と方向に関するものだ。これは、さまざまな興味深い可能性を開くはずだ。

ナイトモードなし

ナイトモードあり

「Pro」の意味するもの

あとは、iPhone 11 Proという名前について考えてみよう。私は、カメラ店で働いていたときに、「プロ」という言葉の魔力を学んだ。ある種の人にとっては媚薬のようなものなのに、またある種の人にとっては、拒絶を意味する言葉だった。そして、さらに別の人にとってはそれはただ必要なものだった。

これがプロモデル? ああ、私はプロじゃないんで。おおプロの方ですか!

むろん、販売ツールとして使った。しかし、ときには、お客が必要以上に買い過ぎたり、逆に必要なものを買わない、ということを防ぐためにも、プロという言葉を使う必要があった。

フィルムで撮影していた時代には、プロ、アマを問わず、カメラマンとして撮影がもっとも難しいものの1つは屋内のスポーツだった。動きは速く比較的薄暗い空間で、被写体はコートサイドから離れたところにある。これを、安い機材でうまくやる方法はなかった。ISOを6万4000に上げて撮ってから、カメラのコンピューターでノイズを除去するなどということはできなかったのだ。高価なレンズを入手し、そのレンズに見合うような高価なカメラ本体を入手し、例えば一脚のような高価なサポートを手にする必要があった。また、撮影者はずっと神経を研ぎ澄ませていなければならなかった。実際、これがもっとも難しい部分だった。

このようなシナリオでの撮影は、アマチュアにとって非常にハードルの高いものだった。しかし本当のプロは、良いモノにお金をかければ利益が10倍にもなることを知っていた。なぜなら、保護者の安い全自動カメラでは、決して真似できないような写真を提供できたからだ。

しかし、カメラ店に入ってくる大多数の人は、ホッケーやレスリングをしていなかった。ほとんどの人は家族の写真を撮り、それも屋外の写真が多く、たまに夕日を撮ったりする程度だった。

これで、Proという用語の本当の意味がわかるだろう。Proはエッジケースを表す言葉だ。

それは、約80%の人をカバーするのではなく、機材からさらに何かを引き出したいと考え、それを必要としている20%の人のことなのだ。

こうしたことを考えると、iPhone 11はかなりよく売れると思われる。そのはずだ。素晴らしいモデルだからだ。新しい最高のレンズを搭載し、超広角カメラで、家族の写真も風景写真も、素晴らしく撮影できる。また、ソフトウェア機能を比べれば、iPhone 11 Proにほとんど引けを取らない。ただし、ディスプレイは最高のものではないし、望遠カメラもない。最高のビデオと写真撮影のオプション、より優れたダークモード、より明るいディスプレイなど、エッジケースに対処したい人のために、iPhone 11 Proがあるのだ。それ以外の人にとってふさわしいのは、会計年度2020年のiPhoneのベストセラーとなるはずのiPhone 11のほうだろう。

当然ナイトモード

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

アップルの9月10日のiPhoneイベントでは何が発表される?

確かなことは実は1つだけ。Apple(アップル)は米国時間9月10日の午前10時に、同社のキャンパスで大きなイベントを開催する予定だということ。

また、ほぼ確実なのは、新しいカメラを備えたiPhone11が発表されること。そして、それにはおそらく3種類のモデルがあると考えられている。

ここから先は、話がだんだん込み入ってくる。

Appleが、フラグシップモデルと並んで廉価版のiPhone Rの販売を今後も続けるかどうかについては、疑問視する声がある。これまでの噂によると、今年のモデルが、iPhoneシリーズにとって、一種のパラダイムシフトになるかもしれない。つまり、「iPhone 11R」というモデルを持ってくる代わりに、廉価版は基本モデルとしての「iPhone 11」になり、その上に「Pro」と名の付く2つのより高価なモデルを投入するのではないか。そしてそれらは、画面サイズの違いによって、「iPhone 11 Pro」と「iPhone 11 Pro Max」といったものになるのではないかというのだ。

このようなシフトは、より広範囲なスマートフォンの市場を見据えれば、それなりに理にかなったものと考えられる。価格設定は、スマートフォンの普及の速さが大幅に落ちている理由の1つだ。iPhoneやGalaxyのSシリーズといった高級なデバイスは、当たり前のように1000ドル(約10万円)を超えている。もしAppleが価格帯の構成を変えられるなら、ユーザーの買い替えサイクルを、より短いものにできるかもしれない。

基本モデルのiPhone 11とProモデルを区別するキーポイントは、カメラだろう。基本モデルは、XSと同様の2カメラ構成を維持し、Proは正方形の枠の中に3つのカメラを配置した構成になると考えられている。追加される3番めのレンズは、広角レンズとなるだろう。すでに多くのAndroid機に採用されているのと同様の方式だ。

本体に内蔵されたAIとソフトウェアによる画像合成処理により、撮影時の失敗を補正したり、より高解像度の撮影を可能にしたり、暗い場所での画質を改善することができると言われている。さらにProモデルでは、ビデオ撮影のソフトウェアも大幅に進化し、カラーバランスの補正やエフェクトの追加を、ユーザーがiPhone上でできるようになるとされる。フロントカメラについては、以前よりも広角のものが採用されるという。それによって、顔認識によるアンロックが可能な角度が拡がるはずだ。現状のFace IDでは、例えばiPhoneをテーブルの上に置いたままでは認識しにくい、といった不満が寄せられていることへの対策となる。

デバイスの構成は、基本的に大きく変わることはなさそうだ。例えば、iPhone Xの登場以来変わっていない上部のノッチも含めて、ほぼそのままだろう。イベントの招待状のデザインが、本体の色の追加を暗示しているのではないかと見ている人もいる。そうだとしても、それはiPhone Rかどうかはわからないが、エントリーモデルに限定されるのではないか。すでにiPad ProはUSB-Cを採用しているが、iPhoneにはLightningポートが、良かれ悪しかれ残ると予想されている。

米国時間2018年9月12日水曜日、米カリフォルニア州クパチーノにあるスティーブ・ジョブズ・シアターでのイベントで講演するAppleの最高執行責任者であるジェフ・ウィリアムズ(Jeff Williams)氏。Appleは今年もここで新製品を集中的に発表し、ほぼ1年続いたマイナーアップデートから抜け出して、大手IT企業として強力な態勢でホリデーシーズンを含む四半期に備える。 写真撮影:David Paul Morris/Getty ImagesによるBloomberg

新しいApple Watchの登場を期待させる噂もいくつかある。とすれば、第4世代となるデバイスには、新たに(おそらくかなり高価な)チタン製のバージョンも用意されると伝えられる。Apple Watchには、安定して動作する睡眠追跡機能も、ようやく追加されるはずだ。

また今回のイベントでは、新しいキーボードのスイッチメカニズムを初めて採用するMacBookの新モデルが登場する可能性もある。これにより、数世代にわたって続いたMacBookシリーズのキーボードに対する苦情も、収まるのではないかと期待される。

もちろん、macOS Catalina、iPadOS、iOS 13の一般公開の日時など、ソフトウェア製品についても、正式な発表が期待できる。さらにApple TV+やApple Arcadeなど、待望のコンテンツ分野についても、正式な公開日時が発表される可能性は、かなり高い。

いずれにせよ、少なくとも、これらのうちのいくつかが、もしかしたらすべてが、米国時間9月10日の火曜日には発表される。TechCrunchでは、いつものように全力で、新鮮な情報をお伝えする予定だ。

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)