インドのジオ・プラットフォームズにジェネラルアトランティックが約930億円出資

Mukesh Ambani(ムケシュ・アンバニ)氏率いるJio Platforms(ジオ・プラットフォームズ)は、General Atlanticに対し1.34%の株式を発行することに合意した。インドの大手通信事業者であるJioがこの数週間で実行した一連の取引の中で最新のものとなる。

ニューヨークに本社を置くプライベートエクイティファンドのGeneral Atlantic(ジェネラルアトランティック)は米国時間5月10日、インドで最も企業価値の高いReliance Industries(リライアンスインダストリーズ)の子会社であるインドの通信会社に8億7000万ドル(約930億円)を出資した。創業3年半の同社に大金を賭けたFacebook(フェイスブック)、Silver Lake(シルバーレイク)、Vista Equity Partners(ビスタエクイティパートナーズ)などの米国の投資家に続く。

General Atlanticの出資ではJio Platformsを650億ドル(約6兆9820億円)と評価した。Jio Platformsによるとこの評価額は、Silver LakeとVista Equity Partnersの取引における評価と同じで、Facebookの取引に対しては12.5%のプレミアムが乗っているという。

さらに10日の発表で、Jio Platformsの魅力が高まっていることが明らかになった。同社は過去1カ月で14.7%の株式を売り出し88億5000万ドル(約9500億円)を調達した。急速に成長する世界第2位のインターネット市場に張っておきたいと考える外国人投資家が買い手だ。

General Atlanticは消費者向けテクノロジー分野で著名な投資会社でありAirbnb、Alibaba、Ant Financial、Box、 ByteDance、Facebook、Slack、Snapchat、Uberなど数十の企業に投資してきた。インドでも10年以上にわたり主要な投資会社として存在してきたが、同国での消費者向けテクノロジー分野の投資は避けてきた。

General Atlanticは、バンガロールを拠点とするスタートアップであるNoBrokerを含め、インドのスタートアップ数社に小切手を切っている。NoBrokerはアパートの賃借や購入を考えている人を不動産の所有者とつなぐ。General Atlanticはまた、エドテックの巨人であるUnacademyByju、決済処理のBillDesk、インド国立証券取引所にも小切手を切った。インドでこれまで約30億ドル(約3220億円)を投資したGeneral Atlanticは先週、インド企業に2021年までにさらに15億ドル(約1610億円)の投資を検討していると語った。今回は消費者向けテクノロジーの分野で活動するプレーヤーが対象だ。

Reliance Industriesの会長であるアンバニ氏はJio Platformsの立ち上げに300億ドル(約3兆2220億円)以上を注ぎ込んだ。「Jio Platformsは、General Atlanticが40年にわたるテクノロジー投資を通じて実証したグローバルな専門知識と戦略的洞察を活用する」と同氏は語った。

「General Atlanticはインドのデジタル社会のビジョンを共有し、13億のインド人の生活を豊かにするデジタル化の変革力を強く信じている」と同氏は付け加えた。

小売店で販売されているReliance JioのプリペイドSIMカード (画像クレジット:INDRANIL MUKHERJEE / AFP via Getty Images)

Reliance Jioは2016年後半の創業で、インドの通信業界を割安のデータプランと無料の音声通話で圧倒した。Reliance Industriesの子会社であるJio Platformsは、Jio Infocommという通信ベンチャーを運営しており、設立以来3億8800万人の加入者を集め、国内最大の通信事業者になった。

Reliance Jio Platformsは音楽ストリーミングサービスJioSaavn(公開予定)、スマートフォン、ブロードバンドビジネス、オンデマンドライブテレビサービス、決済サービスなども展開している。

「わずか3年半で、Jioはデータとデジタルサービスの民主化に変革をもたらし、インドを主要なグローバルデジタル経済に押し上げた」とGeneral Atlanticのマネージングディレクター兼インド・東南アジア地域ヘッドのSandeep Naik(サンディープ・ナイク)氏は声明で述べた。

新しい資金はインド最富裕であるアンバニ氏が投資家に約束したことを実現するために使う。同氏は2019年に、Relianceの約210億ドル(約2兆2260億円)の純負債を2021年初頭までにゼロにすることを目指すと述べた。同社の中核事業である石油精製と石油化学製品は、新型コロナウイルス感染拡大の中で甚大な影響を受けた。3月31日に終了した四半期の純利益は37%減少した。

アンバニ氏は2020年4月の同社決算説明会で、フェイスブックとの契約をきっかけに、数社がJio Platformsの株式購入に関心を示したと語った。Bloomberg(ブルームバーグ)は先週、Saudi Wealth Fund(サウジウェルスファンド)がアンバニ氏とJio Platformsの株式購入について交渉中だと報じた

フェイスブックは、Jio Platformsの9.99%の株式取得を通じた資金提供だけでなく、eコマースをはじめとする多くの分野でインドの巨人と協力するとしていた。出資の数日後、インドで最も企業価値の高いRelianceが経営するeコマースベンチャーであるJioMartが、インド最人気のスマートフォンアプリであり同国で4億人を超えるアクティブユーザーを抱えるWhatsAppで「注文システム」のテストを開始した。

ムケシュ・アンバニ氏の長男である29歳のAkash Ambani(アカシュ・アンバニ)氏は声明で「Jioはすべてのインド国民、特に才能のある若者に計り知れない機会を提供するデジタルの力でインクルーシブなインドを作っていく」と述べている。

画像クレジット:Dhiraj Singh / Bloomberg / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

シンガポールの物流スタートアップNinja Vanが約300億円調達、B2B部門に注力

シンガポール拠点のロジスティックスタートアップであるNinja Van(ニンジャ・バン)が、東南アジア6カ国で増大するeコマース配達の需要に対応すべく、新たな投資ラウンドで2億7900万ドル(約300億円)を調達した。

欧州のGeoPost、Facebookの共同創業者Eduardo Saverin(エドゥアルド・サベリン)氏のB Capital Group、Monk’s Hill Ventures、Carmenta、Golden Gate Ventures Growth Fund、Intouch Holding、Grab、そして2つの政府系投資ファンドが、創業6年のスタートアップのシリーズD投資ラウンドに出資した。

Ninja Vanがこれまでに調達した資金は4億ドル(約430億円)で、バリュエーションは明らかにしていない。しかし今回のラウンドの初期トランシェの分析からするに、Ninja Vanのバリュエーションは7億5000万ドル(約800億円)ほどと推定される。

Ninja Vanによると同社はシンガポール、マレーシア、フィリピン、インドネシア、タイ、ベトナムで100万個超の荷物を配達した。ShopeeやAlibabaのLazada、インドネシアのTokopediaといった主要eコマース企業と提携している。

Ninja Vanは声明文で、新たに調達した資金をサービス全般の拡大に充てると同時に、B2B部門に食い込むために使うと述べた。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

デザインコラボプラットフォームのFigmaが約53億円調達、新型コロナ禍でも需要増

コラボワークやクラウド作業ができるデザインプラットフォームのFigma(フィグマ)は4月30日、5000万ドル(約53億円)のシリーズDのクローズを発表した。本ラウンドはAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)がリードし、パートナーのPeter Levine(ピーター・レヴィン)氏と共同創業パートナーのMarc Andreessen(マーク・アンドリーセン)氏がディールをまとめた。既存投資家のIndex、Greylock、KPCB、SequoiaそしてFounders Fundとともに、Durable CapitalのHenry Ellenbogen(ヘンリー・エレンボーゲン)氏を含む新たなエンジェル投資家も本ラウンドに参加した。

本ラウンドによりFigmaのバリュエーションは20億ドル(約2140億円)になったとForbesは報じている。Figmaの創業者でCEOのDylan Field(ディラン・フィールド)氏は、Andreessen HorowitzとFigmaの話し合いは実際には2019年2月にクローズした資金調達シリーズCの終わり頃から始まっていた、とTechCrunchに語った。

「できちゃった結婚みたいな感じがした」とフィールド氏は語り、それでも両社は互いをよく知ることにした、と説明した。両社は2019年に関係を構築し、シリーズDのクローズに至った。フィールド氏はまた、本ラウンドに参加した他の投資家には直接顔を合わせておらず、ディールの大半はZoom越しに行われたとも語った。

「シリコンバレーの将来を考えたとき、シリコンバレーの資本インフラ、そしてシリコンバレーにいなければアクセスできな人、という点で興味深い疑問がある。私は今回オンラインでのディールがいかにうまくいくかを目の当たりにした。より多くの投資家がシリコンバレーにいるかどうかを気にしなくなると思う」とフィールド氏は話した。

Figmaはステルスモードで6年近くかけて準備された後、2015年に創業された。デザインのGoogleドキュメントとなるような、コラボができてクラウドベースのデザインツールをつくる、というのが目的だった。

以来、Figmaは個人のデザイナーや中小企業、大企業の使い勝手が良くなるようなプラットフォームを築いてきた。例えば同社は2019年にプラグインを開発した。デザイナーが取り組んでいるレイヤーに新たに名前をつけたり整頓したりといったことが自動的にできるプラグイン(Rename.it)のようなものをデベロッパーが自分のツールで構築できるようにする。また自動的に見つけて後に置き換えるプレイスホルダー・テキストをユーザーが加えることもできる(Content Buddy)。

同社は、Communityという教育用プラットフォームも立ち上げた。このプラットフォームではデザイナーが自分の作品をシェアし、他のユーザーがそのデザインを「リミックス」したり、単にどんなふうに作られたのかをチェックしたりすることができる。

同社の広報担当はTechCrunchに対して、今回のディールは機会に恵まれたものであり、資金調達前でも資金は豊富だった、と述べた。新型コロナウイルスが猛威を振るう現在では、多くの企業が購入を控えたり将来が見込まれる企業の成長が緩やかになったりしており、新たな資金調達はこの不確実な時代にFigmaの取り組みを拡大させるものとなる。

Figmaはチームがクラウドでコラボするように作られているため、同社のデータは企業の購入活動を語るものになるとフィールド氏は説明した。

「販売面に目を向けると、大きな取引がどんどん進んでいる」と同氏は述べた。「Figmaは今すぐ役立つルールだ」。新型コロナウイルス蔓延の中で興味深い変化の1つは、Figmaでのコラボ作業でユーザー利用時間が飛躍的に伸びたことだ。また、企業がデザイナーチーム内だけでなく組織全体でコラボ作業を行うツールとしてFigmaを利用し始め、ホワイトボード作業、ノート取り、スライド作成、図表の作成などが増えた。

今回のラウンドにより、Figmaがこれまでに調達した資金は1億3290万ドル(約140億円)になった。同社はまだ黒字化できていないが、成長するためにアグレッシブに展開し、新規採用を行っても今回の資金調達で今後3、4年の事業費を賄える、とフィールド氏は述べた。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

ソースコードをオートコンプリートするAIプラットフォームCodotaが13億円を調達

スマートフォンとその小さなキーボードのおかげで、今や私たちが文章を書く際には、オートコンプリートがほぼ常識になっている。言いたいことをキーボードが提案してくれるので、作業が少しだけ楽になって、文章を書いて(少なくとも親指が太い私の場合)言葉を修正することで食われる貴重な時間を節約してくれる。だが、人工知能とセマンティック(意味論)分析がこうした形で利用されているのは、電子メールやメッセージを書くときだけではない。本日、コンピューター・プログラムのコーディングの世界にこのコンセプトを採り入れたプラットフォームを開発したスタートアップが、事業拡大のための投資を獲得したと発表した。

Codota(コドタ)は、作業の時間短縮(「生産性が25パーセントまで向上」と同社は主張)と文法と「スペル」の修正を目的に、記述中のコードを行ごとにオートコンプリートしてくれるAIツールを開発したイスラエルのスタートアップだが、e.venturesから1200万ドル(約13億万円)のシリーズA投資を獲得した。このラウンドには、前回の投資会社Khosla VenturesのほかTPY CapitalとHetz Venturesが新規に加わった。同社はこれまでに合計で1600万ドル(約17億万円)を調達したが、企業評価は公表していない。

この資金調達は2018年末(発表は3月になってから)で、Codotaが自社よりも大きな競合相手であるカナダのTabNine買収した直後に確定した。買収の目的は対応するプログラミング言語を増やすためだ。現在のところPython、JavaScript、Java、C、HTMなどを含むすべての主要言語に対応していると同社は話している。またVSCode、Eclipse、IntelliJといった主要な統合開発環境にも横断的に対応しているという。

この資金は、現在の範囲からさらにリーチを広げ、より多くの顧客を獲得するために使われる。今日、Codotaのツールをすでに利用している顧客はそうそうたる顔ぶれだ。Google、AmazonをはじめNetflix、Alibaba、Airbnb、Atlassianなどなど数多くの企業の開発者が顧客リストには含まれている。2019年は顧客ベースが1000パーセント以上に拡大し、月に100万人の開発者が利用しているという。

今回の資金調達のニュースは、Codotaのセマンティック技術とTabNineのテキスト技術を融合させたJavaScript用オートコンプリートの新バージョンをCodotaがローンチした時期と一致していた。

上に示した顧客リストの筆頭であるGoogleとAmazonは特に驚くべき存在だが、Codotaは狙いが定まっていて、現在の行動は正しいようだと彼らも明言している。この2つの企業は、それ自身が巨大AI企業であり、どちらも開発者向けに非常に強力なツールセットを提供している。特にGoogleは、Gmailのために同社が開発したツール群によってオートコンプリートの代名詞ともなっている。

2015年創立のCodotaが注目を集める理由は、共同創設者でCTOのEran Yahav(エラン・ヤハブ)氏によると、他の言語では進歩している意味論の専門家にとってすら、コーディングはそれまで難物だったからだという。

「数年前まで、それは実現不可能なものでした」と彼は話す。さらに、コーディングのオートコンプリートを可能にしたのは、次の4つの技術的な流れが合致したためだという。アルゴリズムに供給できる高品質なオープンソースのソースコードが入手可能になったこと。セマンティック分析が、洞察の抽出を大規模にできるまでに発達したこと。機械学習が発達して機械学習のコストが本質的に下がったこと。すべてをクラウドで処理できる計算資源が、誰でも、どこにいても利用できるようになったことだ。オープンソースが非常に活況となり、その他のすべてのものが一緒に付いてきた。他にも同じ研究をしている企業はあるが、Codotaはこの理想的な嵐をつかんだのだ。

「成功の度合いに違いはあれ、他社でもやっています」ともう1人の共同創設者でCEOのDror Weiss(ドロール・ワイス)氏はいう。「私は推測していますし、実際に知ってもいますが、他の企業も同じことをしています」。その他の企業とはKiteUbisoft、Mozillaなど数多い。

Codotaが構築してきたものの中でも、今、特にタイムリーな一面により正確なコーディング支援を開発者にもたらすと同時に、特定の環境や職場でのベストプラクティスは何かを「学習」する能力がある(個人向けコースと企業向けコースの両方があるが、この機能が提供されるのは企業コースだ)。あらゆる状況で便利に機能するが、とりわけ今の、開発者が家で1人で作業する場面では、あたかも同じ場所で仕事をしているかのように、即座に手助けをしてくれる。

非常に多くのAIが自律システムの考え方に傾いているが、ワイス氏は短期的にもましてや長期的にも、それは目標としていないと強調する。

「開発者に置き換わるものを作れるとは思いませんし、作りたいとも思いません。私たちの目標は、ありふれた繰り返しの側面を取り出して、そこを肩代わりすることです」と彼は言う。その点でいえば、バックオフィス機能におけるロボティック・プロセス・オートメーションと変わらない。「文法やベストプラクティスを覚えることには、それほど高い価値はありません。Smart Composeを使えば、(カスタマーサービスの)例文の提案はしてくれるでしょうが、あなたの心を読んで、あなたの言いたいことを察してまではくれません。なので、あなた自身に置き換わったり、あなたの意図を汲んで応答するといった方向に進む可能性はとても低いのです。そんなことは、私たちは長期目標にすらしていません」。

2019年にe.venturesは、アーリーステージの投資のための4億ドル(約430億円)のファンドを発表した。今回の投資はそこからのもののようだ。このラウンドにともない、e.venturesのジェネラルパートナーTom Gieselman(トム・ギーゼルマン)氏がCodotaの役員に加わった。

「私は開発者用ツールの市場を20年間見てきましたが、Codotaはコミュニティー、製品、テクノロジーの面において独占的なプレイヤーの地位を確立したと信じています」と彼は声明の中で述べている。「ソフトウエア開発を変革して、コーディングを楽にして、企業内のチームを構成する個人開発者の効率を高めるというドロールとエランの使命を支援できることを、私は誇りに思います」。

画像クレジット:Cavan Images / Getty Images

[原文へ]
(翻訳:金井哲夫)

Linux VMインフラのパフォーマンスを最適化するGranulateが13億円相当を調達

最近の企業は経費節減にますます熱心なため、その波に乗ってイスラエルのアーリーステージスタートアップGranulateは、インフラストラクチャの使い方を最適化する巧妙な方法を提案しようとしている。同社は米国時間4月22日にシリーズAで1200万ドル(約12億9000万円)を調達した。

このラウンドはInsight Partnersがリードし、TLV PartnersとHetz Venturesが参加した。投資に伴う合意により、Insight PartnersのマネージングディレクターのLonne Jaffe(ロン・ジャフェ)氏がGranulateの取締役会に加わる。Granulateによると、これで同社の調達総額は1560万ドル(約16億8000万円)になる。

同社は、オンプレミスでもクラウドでもインフラストラクチャのコストを20%から最大80%カットできると主張している。現在、世界の経済が大波乱に陥っているため、かなり意義のある節約率となる。

Granulateの共同創業者でCEOのAsaf Ezra(アサフ・エズラ)氏によると、同社はLinux仮想マシンについて徹底的な研究を行なった結果、その効率化技術に到達した。6カ月あまりの実験により、ボトルネックを取り除き、Linuxのカーネルが効率を大幅にアップするためにやっていることの利用の仕方を学んだ。

Linuxはリソースの公平性を目指して最適化をしていることが判明しているが、Granulateの創業者たちはその発想を逆転して、公平性ではなく反復性に着目した。多くのファンクションに公平にリソースを割り当てるのではなく、1つのファンクションに集中させる。

「実際のプロダクションシステムでは、マシンの中に大量の反復性がある。ユーザーは、1つのことをしっかりやって欲しいと考えている」と彼は語る。

またエズラ氏は、VMである必要はないと指摘する。コンテナやKubernetesのポッドで十分だという。ここで忘れてならないのは、Linuxに固有のインタラクティビティや公平性はもはや気にしないということであり、むしろ重要なのは、マシンがある特定のものに向けて最適化されていることだ。

「そのプロダクションシステムのユーティリティファンクションが何かを教えていただきたい。すると我々のエージェントが、そのユーティリティファンクションを用いるすべての意思決定を最適化する。つまり、そういう利益を得るために何一つコードを書き換える必要がない」とエズラ氏は説明する。

しかも、そのソリューションは機械学習を利用して、さまざまなユーティリティファンクションがどのように機能しているかを理解し、長期的にもっとパフォーマンスを向上するためのさらなる最適化を提供する。

InsightのJaffe(ジャフィ)氏は、そんなソリューションのポテンシャルと適時性をよく認識している。

「パフォーマンスの高いデジタル体験とインフラストラクチャの低いコストの両立が今ほど厳しく求められている時代はない。Granulateの機械学習を利用する高度に差別化されたプロダクトは、構成管理やクラウドリソースの購入などのレベルに依存していない」とJ声明で述べている。

エズラ氏も、このようなプロダクトが特に今、役に立つことを理解している。「我々は現在、ユニークな立場にいる。我々のプロダクトは現在、人を解雇せずにコストを節約することによって、沈滞期における企業の生存を助ける」と彼はいう。

同社は2018年に創業され、現在は20名の社員がいる。年内に倍増する予定だ。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

機械学習のモデルの管理を効率化するComet.mlがシードに次いで5億円相当を調達

いろんな仕事の新しいやり方、いわゆるニューノーマルを取り入れていくとき、新しいソフトウェアサービスを導入しようとする企業にとっては、あらゆることのもっと効率的な方法を探すことが何よりも重要になる。機械学習も、その例に漏れない。そこで、より効率的な機械学習プラットホームを作ろうとしているスタートアップComet.mlは今日(米国時間4/22)、450万ドルの新たな資金調達を発表した。

同社は以前、230万ドルのシード資金を調達しているが、今回の投資家もそのときと同じく、Trilogy Equity PartnersとTwo Sigma VenturesおよびFounder’s Co-opだ。

同社の共同創業者でCEOのGideon Mendels氏は次のように語る: 「われわれはセルフホストでクラウドベースの、メタ機械学習プラットホームを提供し、データサイエンスのAIチームと組んで、自分たちの実験とモデルを試行し説明し最適化しようとする彼らの作業を管理する」。

競合他社がどんどん増えている分野だが、Mendelsによると、複数のプラットホーム間を容易に移動できる能力が、同社のいちばん重要な差別化要因だ。

彼はこう説明する: 「われわれは基本的に、インフラストラクチャを特定しない。だから顧客は自分のモデルの訓練を、ラップトップでも、プライベートなクラスターでも、あるいは、あまたあるクラウドプロバイダーのどれかでも、どこでやってもよい。どこでやるかは関係ないし、それらを切り替えてもよい」。

同社のプロダクトにはコミュニティバージョンともっと高度なエンタープライズバージョンがあり、後者はBoeingやGoogle、Uberなどが顧客だ。両プロダクト合わせて、同社プラットホームのユーザーはおよそ1万だ。

Mendels氏によると、Cometはそのプラットホームの人気を利用して、顧客が一般公開しているデータをベースにモデルを構築できた。その最初のものは、モデルが訓練疲労をいつ見せ始めるかを予測した。コメットのモデルはそれがいつ起きるかを当てることができ、データサイエンティストたちに、そのような疲労が通常起きるタイミングよりも30%早く、モデルをシャットダウンするよう合図することができた。

同社は2017年にシアトルで行われたTechStars/Alexaでローンチした。コミュニティバージョンのプロダクトがデビューしたのは、2018年だ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

クラウドの自由にIaCによるガバナンスを結びつけるEnv0が創業1年半で公開ベータへ

各社におけるインフラストラクチャアズコード(Infrastructure as Code, IaC)のデリバリーに何らかの秩序をもたらしたいと願うEnv0が今日(米国時間4/21)、同社の最初のプロダクトのベータをリリースし、並行して330万ドルのシード資金の獲得を発表した。

Boldstart VenturesとGrove Venturesがこのラウンドを共同でリードし、これにSnykのGuy Podjarny氏など数名のエンジェル投資家が参加した。

同社の共同創業者でCEOのOhad Maislish氏によると、デベロッパーがコードをはやくデリバリーできる能力は祝福でもあり呪いでもある。そしてEnv0は、コードがいつ、どのようにコミットされるかを、ITがある程度コントロールできるようにする。

「企業が今抱えるチャレンジは、クラウドネイティブなやり方の中で、クラウドリソースのセルフサービスと管理との間で適切なバランスを実現することだ。そしてバランスのとり方には可視性と予測可能性と、いちばん重要なクラウドのセキュリティとコストをめぐるガバナンスが必要だ」、とMaislish氏は言う。

同社のプロダクトを使うとユーザー企業は、デベロッパーがコードをデリバリーしてよいタイミングとその費用を定義でき、何でも・いつでも・いくらかかっても主義から脱皮させる。そのためには工程の全体的なコントロールをアドミニストレータに与え、彼/彼女がテンプレートとプロジェクトを定義する。テンプレートは、どのクラウドベンダーにはどのリポジトリーとプロダクトを使うのかを定義し、そしてプロジェクトをテンプレートにアクセスしてよいユーザーに関連付ける。

画像クレジット: Env0

Boldstart Venturesの創業者でマネージングパートナーのEd Sim氏によるとEnv0には、今日の継続的デリバリーをベースとする環境でデベロッパーが必要とするガバナンスとスピードの間の良質なバランスを見つける能力がある。Ed Sim氏は声明でこう述べている: 「Env0は、基本的にセルフサービスであるクラウド環境に統一的なガバナンスをもたらすことによって、これらのニーズのすべてを満たすことのできる、初めてのSaaSソリューションだ」。

今のような経済状況の中でアーリーステージの企業を立ち上げるのは容易ではないが、でもMaislish氏が信じているのは、セルフサービス型の開発をコントロールする方法を提供できる、という同社の独特の位置づけと能力だ。デベロッパーが家で仕事をしていて、ITの視界とセキュリティの外にいる今のような時期は、それがなおさら重要だ。

同社がローンチしたのは18か月前で、これまでずっと非公開ベータだった。そして今日が、公開ベータの初日となる。今の社員数は10名だ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

クラウドのセキュリティを問題別にプレーブック化したBridgecrewが15億円相当を調達

経済状況が厳しくなると、企業は自動化によってできるかぎりコストを下げようとする。そこで、クラウドのセキュリティを自動化するツールを提供しているアーリーステージのスタートアップBridgecrewは、今日(米国時間4/17)シリーズAで1400万ドルを調達したことを発表した。

Battery Venturesがこのラウンドをリードし、参加したNFXは同社の400万ドルのシード投資家だ。ほかにも、Sorensen Ventures、DNX Ventures、Tectonic Ventures、そしてHomeward Venturesが参加した。数名の個人投資家も、この投資に加わった。これで同社の調達総額は1800万ドルになった。

BridgecrewのCEOで共同創業者のIdan Tendler氏によると、クラウドリソースのプロビジョニングはますます容易になっているけど、それと共にセキュリティは逆にますます難しくなっている。企業のクラウドの利用では、「DevOpsでセキュリティ技術が大きなボトルネックになっていて、DevSecOpsになっていない。クラウドのインフラストラクチャのセキュリティにも問題がある」。あちこちでその実態を見たTendler氏は、Bridgecrewの創業を着想した。

同社が目にしたのは、問題の多くに構成ミスが絡んでいることだ。そして既存のセキュリティソリューションはいろいろあるけど、費用が高い。またそれらのソリューションは、セキュリティの問題を自分で実際に直さなければならない技術者向けにできていない。

そこで同社は、技術者の考え方や仕事の仕方に合ったソリューションをクラウドユーザーである企業に提供したい、と考えた。Tendler氏はこう説明する: 「そのためにやったのは、問題を条文で表すことだ。技術者がやってることを、条文で書き表す。会社のクラウド環境を改善するために彼らがやるべき仕事のすべてを書き出して、プレーブックを作った」。

そんなプレーブックがあれば、個々の具体的な問題も解決しやすくなる。よくあるタイプの問題でなく、新しい問題にぶつかったら、プレーブックを新たに書く。彼によると、問題の90%はかなり一般的で、AWSのベストプラクティスに従うとか、SOC-2基準書のコンプライアンスの問題などが多い。でも技術者が、自分のニーズに基づいて条文を変えてもよい。

Tendler氏によると、同社のプロダクトがオートメーションでコストを下げたいと考えている企業に実際に役に立っているので、社員を増やしたいと考えている。「そしてもっと速く成長したい。ニーズは大きいし、COVID-19でますます多くの企業がクラウド化でコストを下げようとしている。うちは、そんな彼らの前あるバリヤーを減らすお手伝いをして、クラウドのセキュリティのボトルネックをなくしたい」、という。

同社は14か月前に創業して、今では100冊のプレーブックがある。リーンな会社を志向しているので、社員はわずか16名だが、年内に倍増したいと言っている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

大学の学資ローン免除を支援するSaviが6.4億円調達

学資ローン危機はますます深刻化を増している。新型コロナウイルス(COVID-19)の大流行により米国中の大学が閉鎖され、経済の急速な落ち込みは就職への道を薄暗くしてしまった。今の学生や卒業生は、上手な資金繰りを教えてくれるツールを必要としている。

悪いことに、米国の学資ローンは非常に複雑にできている。ローンの条件、返済方法、公的な利息免除のオプションが、文字通り数百種類ある。学生にとって、このルールに従いつつ、負担を最も小さくできる最良の方法はなんだろう?

ワシントンD.C.に本社を置くSavi(サビー)は、学資ローンを借りている人たちを、いちばん有利なオプションが選べる「Savvy(抜け目ない)」な人間にすることを目指しているが、このほど、その緊急の課題に取り組むためのさらなる資金を手に入れた。同社は今日、フィンテック界で最も影響力のある投資企業のひとつNyca Partners(ニカ・パートナーズ)主導のシリーズA投資600万ドル(約6億4000万円)を調達したことを発表した。

金融系スタートアップでは、利用者と自社の収益モデルとの間にインセンティブのずれが生じることがよくある。家計の健全化のためのアプリは、人々がまったく必要としていない新しいクレジットカードやローンを売り歩いた紹介料で密かに儲けていたりする。

Saviの面白いところは、常に利用者第一の姿勢を保つように最初から作られている点だ。同社は公益法人であり、米国の若者の成果の改善に共に尽力してきた2人の理想的な人物によって創設された。

ジョージタウン大学ローセンターを卒業したAaron Smith(アーロン・スミス)氏は、若者に焦点を絞ったシンクタンクであり人権擁護団体のYoung Invincibles(ヤング・インビンシブルズ)を創設し、そこで4年間働いていた。この団体はそもそも、オバマ政権初期に行われた保健医療制度の見直し論議の際に、若者の問題に注目してもらおうと設立されたものだ。一方、Saviのもう1人の創設者Tobin Ostern(トービン・オスターン)氏は、Students for Barack Obama(バラク・オバマを支援する学生の会)のリーダーとして、オバマ氏の最初の大統領選挙戦で若者に投票を呼び掛ける活動を行った後、超党派政策機関アメリカ進歩センターに加わった。

Saviの共同創設者トービン・バン・オスターン氏とアーロン・スミス氏(写真提供:Savi)

2人は、学資ローンを抱える若者の支援を目指すという進歩的な使命を果たそうと、Saviの共同創設を決意した。学資ローンの世界は「非常に複雑で、当然のこととして政策面の継続的な改善が欠かせないと思う一方で、学資ローンを抱える学生たちのための解決策が今すぐ必要なのです」とスミス氏は話す。「それが、ある意味でSaviの推進力にもなっています。テクノロジーを使って、そうした解決策を生み出すのです」

Saviは、利用者の学資ローンのデータを取り込み、数値を計算して、利用者の目標を考慮しつつ、返済や免除のための最良のオプションを導き出そうとしている。

学生相手の融資は1兆ドル(約107兆円)を超える市場だが、Saviは、その進歩的なルーツに立脚し、ソーシャルワーカー、教師、公務員といった利用者にプラットフォームを提供することに特別に力を入れている。同社の提携先の中でも最も大きな組織として、300万人の会員を擁するアメリカ最大の教師組合NEAがある。Saviは会員特典として提供されている。

企業や団体は、その従業員や会員に、自分の経済状況をよく理解してもらおうとSaviの学生ローン評価ツールを使わせている。このツールは無料で利用できるが、例えばば書類手続きの自動化機能などを使って学資ローンを積極的に管理したい場合は、サブスクリプション契約が必要となる。ただし利用者は、サブスクリプション料金を支払う前に、資金繰りの節約方法をSaviで計算できる。もしSaviが役に立たないとわかったときに、料金を支払わずに済むようにする配慮だ。同社によると、平均的な学資ローン利用者は、月に140ドル節約できるという。サブスクリプション料金は月額5ドル(約536円)だ。

雇用条件によっては、Saviはローンの免除に関して特別な専門性を発揮する。これは、多くの学資ローンが公益法人に勤める人に与えている権利だ。こうした権利には、繁雑で難解な適用規則がつきまとうものだが、Saviはそれぞれのローンの規則に準拠しつつ、利用者が免除の道を探れるように取り計らってくれる。現在、同社は150件を超える免除と返済オプションに取り組んでいるという。

組織向けの評価ツールに加えて、Saviは新型コロナウイルス関連の新しいツールをローンチした。医療従事者またはパンデミックで職を失った人たちが、自分の学資ローンの状況を知り、新しい援助プログラムが探せるようにするものだ。「私たちの利用者のうち、新型コロナ危機対応の仕事に就いている人たちの割合が驚くほど多かったのです」とオスターン氏は話していた。

学資ローン管理関連のスタートアップは、ベンチャー投資の間では人気が高い。昨日、私の同僚Alex Wilhelm(アレックス・ウィルヘルム)も、学資ローン・プラットフォームのFrank(フランク)が暫定戦略的ラウンド500万ドル(約5億3600万円)を調達し、エドテックの最大手Chegg(チェグ)が
役員の座に着いたという記事を書いていた。私も2019年末に、Summer(サマー)が1000万ドル(約10億7000万円)を調達したことを伝えた。SummerはSaviと同様、学資ローン利用者の負担を最小限にすることを目指す公益法人だ。

Nycaに加えSaviは、AlleyCorp、Temerity Capital、9Yards Capital、そしてMichelle Kang(マイケル・カン)氏、Catherine Reynolds(キャサリン・レイノルズ)氏、Sheila Lirio Marcelo(シェイラ・リリオ・マルセロ)氏からも資金を得ている。

新型コロナウイルス 関連アップデート

画像クレジット:Topp_Yimgrimm  / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:金井哲夫)

血漿ベースの新型コロナ治療法開発に米政府が約16億円注入

先週我々はEmergent BioSolutions(エマージェント・バイオソリューションズ)の治療学事業部門の責任者Laura Saward(ローラ・サワード)博士に、同社の血漿をベースとする新型コロナウイルス(COVID-19)治療法の開発について話を聞いている。そして今、同社は米国生物医学先端研究開発局(BARDA)から1450万ドル(約16億円)の資金を得たと発表した。BARDAは米保健福祉省(HHS)の一部門で、今回調達した資金は、可能性がある治療法の開発のスピードアップに使う。

Emergent BioSolutionsは、新型コロナに感染し、それによって引き起こされる呼吸器疾患を抱える患者の処置に使う2種類の血漿ベース治療法の開発にすでに取り組んでいる。そのうちの1つは馬から採取した血漿をベースにしたもので、大量生産できることがメリットだ。もう1つは人間の血漿を使用していて、こちらは患者の拒絶反応を引き起こす可能性を抑えられる。

どちらの場合も、患者の免疫を高めることができる「高度免疫」治療製品を開発する1つの方法として回復期患者の血漿を使うというコンセプトに基づいている。研究者や衛生当局が調べている、回復期患者の血漿の他の使用法と似ている。しかし直接注入するアプローチではなく、Emergentはウイルスと戦うための多くの異なる種の抗体を含む血漿ベースのソリューション、しかも予想通りの効果を伴うものを作り出すことで状況を打破しようとしている。

同社はすでにこれらのソリューションの開発に取り組んでおり、似たような治療法を実用化させた以前の経験をフル活用しながら開発、認証、テストを急いでいる。しかし今回、特に人間の血漿を使ったプログラムの開発を加速させるためにBARDAから1450万ドル(約16億円)を得た。計画では、新型コロナウイルスから回復した人の血液を使って開発を行う。同社はまた、すでに献血の回収とスクリーニングを始めている。

次のステップとして、Emergent BioSolutionsのソリューションは米国立アレルギー感染症研究所との臨床試験で確かめられる。同研究所が治療の有効性を判断する。

画像クレジット:zhangshuang/Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

衛星燃料補給技術のOrbitFabが米国立科学財団から資金を獲得

軌道上の衛星燃料補給技術の実用化が、これまでになく現実的なものとなってきた。この技術は軌道上ビジネスのコストと持続可能性の改善に非常に役立つものだ。 2019年のTechCrunch Battlefieldファイナリストである、スタートアップのOrbitFab(オービットファブ)は、軌道上での燃料補給を実現するために取り組んでいる企業の1つである。このたび米国立科学財団(NSF)の初期ステージ高度技術R&D推進組織であるAmerica’s Seed Fundと、その目標へ向かうための新たな契約を結んだ。

この契約が目的としているのは、2つの宇宙船を接続して燃料を送り込むエンドツーエンドのプロセスを管理するために、宇宙でのランデブーおよびドッキング機能を提供するソリューションの開発だ。OrbitFabは2019年10月に開催されたDisruptで、これを可能にするためのコネクタハードウェアを発表している。現在そのハードウェアはRapidly Attachable Fluid Transfer Interface (RAFTI、迅速着脱可能燃料移送インターフェイス)という名前で呼ばれている。RAFTIは、燃料である推進剤を供給および排出するために衛星で使用されている既存のバルブに代わるものとして設計されている。その狙いは、地上での燃料補給と宇宙での燃料補給(あるいは必要に応じて1つの衛星から別の衛星への移送)の互換性を提供できる、新しい標準を確立することだ。

OrbitFabは既に、国際宇宙ステーション(ISS)まで2度飛行することに成功し、2019年には軌道上実験室に水を供給した最初の民間企業となった。同社は栄光に満足することはない、今回の新しい契約は、2020年夏に同社の試験施設で行われる予定のRAFTIのドッキング技術実証の準備に役立つだろう。

長期的には、これはNSFと結ぶ複数年契約の第1段階(フェーズ1)に過ぎない。フェーズ1に含まれるのは、最初のデモを行うための25万ドル(約2690万円)であり、このデモは最終的には宇宙で行う燃料販売ビジネスの最初の試行につながる。OrbitFabのCMOであるJeremy Schiel(ジェレミー・シエル)氏によればそれは「2年以内」に行われるということだ。

「この試行には2つの人工衛星、すなわち私たちのタンカー(補給衛星)と顧客の衛星が必要です。低地球軌道(LEO)でドッキング、燃料交換、デカップリングを行い、私たちの能力を実証できるまでこのプロセスを何度でも繰り返します」と彼はメールで述べている。

これまで軌道上燃料補給に関する多くの技術プロジェクトとデモンストレーションが行われてきており、業界最大の企業の中にもこの課題に取り組むものがいる。しかし、OrbitFabのアプローチは、衛星の大小や企業の違いを乗り越えて活用できる共通標準を提案することで、シンプルさと実現の容易さを目指している。RAFTIを広く採用されるインターフェースにするために、OrbitFabは既に30の異なるプロジェクトや組織と協力していると述べている。

これが成功すれば、OrbitFabは将来の軌道上の商業的な運用環境を支えることができるようになるだろう。宇宙船が軌道上に達したあとは、そこを周回する燃料ステーションが宇宙船からの需要に応えることができるため、燃料は打ち上げコストにおいてほとんど気にならなくなり、燃料を個別価格ではなくバルク価格で購入することができるようになる。

原文へ

(翻訳:sako)

Kubernetesクラスターの構築に柔軟性と自由度を持たせるSpectro Cloud

Kubernetes(クバネティス)が非常に人気のあるコンテナ管理プラットフォームであることは広く知られているが、それを実際に使おうとしたら、管理を誰かにやらせるかそれとも自分でやるかを選ばなければならない。米国時間3月17日に750万ドル(約8億円)を調達してステルスを脱したSpectro Cloudは、両者の中間のような第三の選択肢を与えてくれる。

この投資はSierra Venturesがリードし、Boldstart Venturesが参加した。

Boldstartの創業者Ed Sim(エド・シム)氏によると、彼はSpectro Cloudのチームと技術が好きだそうだ。「Spectro Cloudは、大企業の多くが抱える重い苦痛を解決する。それは、Kubernetesのサポートをマネージドプラットフォーム上に展開したいが、大型ベンダーのなすがままにはなりたくないという難問だ」とシム氏は語る。

Spectroの共同創業者でCEOのTenry Fu(テンリー・フー)氏によると、エンタープライズはコントロールと使いやすさの間で妥協を求めるべきではない。「我々は、使いやすいマネージドKubernetes体験を提供する最初の企業でありたいが、しかしまた同時に彼らには、大規模なKubernetesインフラストラクチャスタックを自分たちで定義できる柔軟性、自由度を与えたい」とフー氏は説明する。

またフー氏によると、この場合のスタックはKubernetesのバージョン、ストレージ、ネットワーキング、さらにセキュリティやロギング、モニタリング、ロードバランシングなど、Kubernetes周辺のインフラ要素をすべてカバーする一種のオペレーティングシステムだ。それらに、ユーザーの自由度を与えたいという。

「エンタープライズの組織内ではさまざまなグループのニーズに奉仕するが、それはインフラストラクチャスタックの要素によっては、とても細かいレベルになることもある。しかしそれでも、ライフサイクルの管理は気にしなくてもよい」と彼は説明する。つまりSpectro Cloudがそれらをユーザーに代わって扱い、しかもコントロールはユーザーが手中にするからだ。

これによりエンタープライズのデベロッパーに展開に関する大きな柔軟性が与えられ、複数のクラウドインフラストラクチャプロバイダー間の移動も容易になる。今の企業は単一のベンダーに縛られるのを避けたいため、これは最上位の優先事項となる。

「インフラストラクチャのコントロールは連続的に行われるため、企業はいろいろなニーズに対してトレードオフを迫られることになる。極端な場合には、マネージドサービスは天国のような使いやすさを提供するが、しかしそれはクラウドユーザー側からのコントロールを犠牲にする。Kubernetesのバージョンの更新すら、ユーザーが自由にできないサービスもある」

フー氏と彼の共同創業者たちはこういった問題の経験者で、創業前までCliQrに在籍していた。この企業はハイブリッドクラウド環境におけるアプリケーションの管理を助ける、彼らが創業した企業だ。CliQrを2016年にCiscoに売却し、2019年の春にSpectro Cloudの開発を始めた。

まだ生まれたばかりの企業だが、すでにベータの顧客が16社抱えている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

インフラ構築自動化のHashiCorpが5500億円のバリュエーションで190億円を獲得

過去10年にわたるクラウドの台頭により、ソフトウェア開発者とDevOps(デブオプス)エンジニアは、最新のウェブアプリケーションの設計を一から見直しスケーラビリティ、パフォーマンス、セキュリティを確保することを余儀なくされた。手作業で行うには非常につらい仕事だ。ここでHashiCorp(ハシコープ)の出番となる。同社の一連の製品は、IT管理者からソフトウェア開発者まで、技術に関わるメンバー全員がクラウド上で極めて簡単かつ自然に操作することを可能にする。

同社の製品は長い間、技術に携わるスタッフから絶賛されていたが、一変して巨額のバリュエーションを目の当たりにすることになった。

サンフランシスコを拠点とする同社は3月16日、シリーズEで51億ドル(約5500億円)のバリュエーションをベースに、Franklin Templeton Investmentsから1億7500万ドル(約190億円)を調達したと発表した。最後にTechCrunchが同社を取り上げたのは2018年後半にグロースインベスターのIVPがリードした1億ドル(約107億円)のラウンドのときで、バリュエーションは「わずか」19億ドル(約2040億円)だった。

HashiCorpは3月16日発表のプレスリリースで、輝かしいバリュエーションの背後にある重要な理由として、4期連続で売上高と顧客数を倍にしたことを挙げた。 同社はまた小さくない要因として、GreylockでEIR(ベンチャーキャピタルなどに所属して活動する起業家)を務めた後、2016年半ばにCEOとして入社したDavid McJannet(デビッド・マクジャネット)氏が、CEOという新しい役割で成功を収めた点も挙げている。

HashiCorp CEOのデビッド・マクジャネット氏。写真はHashiCorp提供

Mitchell Hashimoto(ミッチェル・ハシモト)氏とArmon Dadgar(アーモン・ダドガー)氏が2012年に創業した同社は、マルチクラウドプロバイダー、プライベートクラウド、さらにはレガシーシステムを組み合わせた高品質のインフラ構築を支援するパイオニアだ。

最もよく知られている同社の製品はTerraformだ。これは開発者が企業のインフラ構築にあたり、繰り返し可能なルールを記述できる製品だ。作者が意図したとおりに機能しない可能性のあるさまざまなスクリプトのパッチワークとは異なる。HashiCorpの製品はその一貫したフレームワークにより、企業のコスト削減に貢献し(リソースの過剰な供給などから守る)、規模と性能のバランスもとれる。同社の他の製品にはネットワーク自動化のConsul、セキュリティのVault、アプリケーション展開のNomadなどがある。

HashiCorpは複数の競争力のある製品だけでなく、そのまとまりのある一連のツールと開発者コミュニティへの強力なパイプにより、最近の競争とは一線を画している。

Franklin Templetonはれっきとしたレイターステージの投資家で、Crunchbaseによると、2019年に公開したCloudflare、ログ管理プラットフォームのSumoLogic、サイバーセキュリティビジネスのTaniumといった企業に資金を提供している。

51億ドル(約5500億円)という巨額のバリュエーションがついたことで、同社は過去数週間にわたるSaaS企業の壊滅的な株価下落をかろうじて逃れた。新たに軍資金得たこと、成長を続ける人気の企業向け市場に焦点を合わせたことで、同社の成長の準備は整ったようにみえる。

画像クレジット:Alex Williamson / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

マーケターのための顧客データ統一プラットホーム「mParticle」が約48.6億円を調達

SpotifyやPaypal、Starbucksといった企業での顧客データ管理を支援しているmParticleが、シリーズDで4500万ドル(約48億6000万円)を調達した。同社の総調達額は、これで1億2000万ドル(約129億5500万円)になる。

共同創業者でCEOのMichael Katz(マイケル・カッツ)氏によると、時代の変化が同社にとって追い風になっている。すなわち、より厳しくなったプライバシーに関する規制やクッキーを使った顧客追跡技術の陳腐化と廃棄などのために、モダンなデータインフラを使った、どんな規制に抵触せずにパーソナライズされた体験を顧客に提供できるmParticleのようなプラットホームが、ますます企業に必要になっているのだ。

彼によるとその結果、mParticleは2017年にシリーズCで3500万ドル(約37億8000万円)を調達して以来、売上が5倍に増えた。

カッツ氏は「我々が解決する問題は普遍的で、企業の大小を問わない。データのフラグメンテーションやクォリティ、プライバシーをめぐる諸状況の頻繁な変化、テクノロジーそのものの絶えざる変化、これらはどの企業も直面している問題だ」と言う。

まさにそんな問題があるからこそ、mParticleが創業した2013年ごろから顧客データプラットホーム(customer-data-platforms、CDP)と呼ばれるサービスが次々と登場し、さまざまなソースからのデータを一元化して、マーケターが顧客の状況を一望できるためのツールを提供するようになった。今ではAdobeSalesforceのような大手企業も、彼らの大きなマーケティングクラウドの一環として内製のCDPsを提供している。

競合について問われたカッツ氏は「マーケットが望んでいるのは、一社支配ではない業界だ。たった1つのスイートだけあって、そこに2000年代の初期に作られたようなツールがすべて詰め込まれているなんて状態を誰も望まない」と言う。

彼によると、むしろ同社の顧客が望むのは目的やタイプごとに各分野の最高のソリューションがあって、それらをシームレスに組み合わせて利用できることだ。

さてシリーズDに話を戻すと、ラウンドをリードしたのはArrowroot Capitalで、同社のマネージングパートナーであるMatthew Safaii(マシュー・サファイ)氏がmParticleの取締役会に加わった。既存の投資家各社もラウンドに参加している。

カッツ氏の展望では、資金は主に3つの領域、新製品開発と同社のグローバルなデータインフラストラクチャのスケール拡大、そして新たなパートナーの獲得に充てられる。同社はすでにLiveRampとのパートナーシップを発表しており、これによってmParticleの顧客は、自分のファーストパーティのデータとLiveRampからのサードパーティのデータを結合できる。

「LiveRampとのパートナーシップでサービスの表面積を広げ、顧客企業が高度にパーソナライズされており、しかもプライバシーのコンプライアンスが高いUXを自らの顧客に提供できるようにしたい」とカッツ氏は言う。

関連記事: Amperity acquires Custora to improve its customer data platform…顧客データ活用プラットホームのAmperityが同業のCustoraを買収(未訳)

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

データの利用や管理でメインフレームとクラウドを橋渡しするModel9

イスラエルでメインフレームを扱っていたグループが起業したModel9は、メインフレームコンピューターとクラウドの間でデータを転送するサービスだ。同社は米国時間2月900万ドル(約98700万円)のシリーズA調達を発表した。

Intel Capitalがこのラウンドをリードし、StageOneやNorth First Ventures、Glenrock Israelなどの既存の投資家が参加した。同社のこれまでの調達総額は、1300万ドル(約14億2500万円)近くになる。

実は、大きな銀行や保険会社、航空会社、大型リテイラーなど世界最大級の企業は、まだメインフレームを使っている。これらの企業は、毎日の大量のトランザクション処理のために、そのがっしりとしたマシンを必要としているが、そのままでは貴重なデータを現代的なデータ分析にかけることが難しい。その難問をModel9が解決する。

Model9のCEOで共同創業者のGil Peleg(ギル・プレグ氏によると、同社の技術はメインフレームのユーザーがデータをクラウドやそのほかのオンプレミスのストレージに持ち込むことを助ける。「メインフレームのデータはプロプライエタリなストレージに閉じ込められていて、急速に進化し変化しているクラウドの世界で起きていることにまったくアクセスできない。そこで、私たちの特許を取った技術が、メインフレームが直接、クラウドや、メインフレームではない分散ストレージシステムにデータをリードライトできるようにする」と同氏は説明する。

重要なユースケースがいくつかあり、例えばそんなストレージやクラウドが使えるとテープによる高価なバックアップがいらないので、事故からのリカバリーに利用できる。また、データをクラウドに送れれば、現代的なデータ分析を適用できる。それは前には不可能だったことだ。

同社のソリューションは、AWSやGCP(Google Cloud Platform)、Microsoft Azure、IBMのクラウドサービスなどと互換性がある。またEMC、Nutanix、NetApp、などのオンプレミスのストレージソリューションも使える。それにより同社の顧客は、本格的なハイブリッドクラウドを構築できる。クラウドは、プライベートクラウドでもパブリッククラウドでもどちらでもいい。

同氏は「理想は顧客がハイブリッドクラウドのトポロジーをデプロイして、両方の世界の利点を享受できることだ。メインフレームには、信頼性とセキュリティの面で強みがあり、クラウドはスケールと毎日急激に増加するデータを管理できるし、事故時のリカバリーやデータの管理とアナリティクスなど、現代的なテクノロジーがある」と語る。

同社は2016年に設立され、ソリューションの開発に2年を要した。現在の同社はメインフレームを使っている大企業数社を顧客にしている。同氏によると、今回得られた資金は営業とマーケティングを拡充してこのソリューションの市場を広げることに当てたいという。

関連記事:IBMのメインフレーム事業は健在、新機種z15を発表

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

DevOpsポリシーエンジンのDatreeがY Combinatorに入学

DevOpsのポリシーエンジンをGitHubで作っているアーリーステージのスタートアップであるDatreeは米国時間2月6日、シリーズAラウンドで800万ドル(約8億7864億円)を調達した。同社はまた、Y Combinatorの2020年冬季に参加したことも発表した。

BlumbergとTLV Partnersがラウンドをリードし、Y Combinatorが参加した。2018年に発表した300万ドル(約3億2949億円)のシードラウンドを合わせると、同社は今や1100万ドルを調達している。

共同創業者でCEOのShimon Tolts(シモン・トルツ)氏によると、コードを調べて問題を見つけることもDevOpsのチームにとって必要なことだが、彼らはルールの定義でヘルプを求めている。そこでDatreeは一連のルールパッケージを作ってコードをそれらと照合し、コードを動かして乖離や問題点を見つけられるようにした。

トルツ氏は「Datreeは開発のベストプラクティスとコーディングのスタンダードと、セキュリティおよびコンプライアンスのポリシーを提供する。今ではユーザーがDatreeに接続するとDatreeがソースコードを参照してコードベースの全体をスキャンし、ユーザーのテクノロジースタックに基づいて開発のベストプラクティスを推奨する」と説明する。

これらのルールパッケージは同社自身の専門的能力をベースに作るほかに、コミュニティからの支援もあり、また外部エキスパートとのパートナーシップもある。同社のDockerセキュリティパッケージでは、Aqua Securityとチームを組んだ。

デベロッパーはGitHubで仕事をしているので、これらのルールはGitHubで適用される。彼らはコードをコミットする前に適切なルールパッケージをそれに対して動かし、ベストプラクティスに適合していることを確認する。

Datreeのルールパッケージ(スクリーンショット提供:Datree)

トルツ氏によると、シードラウンドの後でY Combinatorに着目したのは、ビジネスの構築にガイダンスが欲しかったからだ。彼は「Y CombinatorがDatreeの助けになることはわかっていた。DatreeのプロダクトはYC企業の95%にふさわしいからだ。もっと勉強すれば、より成熟したYC企業との6桁の契約も獲得できるようになるだろう」と語る。

DatreeはY CombinatorのCEOであるMichael Seibel(マイケル・ザイベル)氏直属で仕事をしており、2020年冬季の一員になったことによってマーケティングと営業力の強化が期待される。2017年から操業していて既存のプロダクトもあり、「社員が12名いる同社は典型的なYC企業とは言えないが、長期的には今回の参加が経営に大きく貢献する」とトルツ氏は感じている。

関連記事:Datree gets $3M seed round to build DevOps policy engine in GitHub(300万ドルのシード資金を得たDatreeがGitHubでDevOpsのポリシーエンジンをを作る、未訳)

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

大量のトランザクションをブロックチェーンで一元管理するClearが約14億円を調達

Clearは野心的なアーリーステージのスタートアップだ。同社は、通信企業間の決済など大量のトランザクションを処理するためのブロックチェーンを構築しようとしている。米国時間2月5日、シリーズAで1300万ドル(約14億円)を調達した。

このラウンドはEight Roadsがリードし、Telefónica Innovation VenturesとDeutsche TelekomのTelekom Innovation Pool、HKT、そしてSingtel Innov8が参加した。

今回のラウンドに参加した投資家が通信企業であることは偶然ではない。Clearのブロックチェーンによるトランザクションネットワークの初期のユースケースは、世界中の通信企業間の決済の移転だ。今それは、手作業のエラーになりがちなやり方で行われている。

Clearの共同創業者であるGal Hochberg(ガル・ホッホバーグ)氏によると、同社のミッションはこれまでのビジネスの各種契約をデジタルに置き換えること。これは、デジタル台帳の用語ではスマートコントラクトと呼ばれている。

同氏は「Clearが実現するのは、ビジネスパートナと信頼できる状態を作ることだ。なぜなら彼ら全員が、料金もユーザーの利用状況も同じもの、同じ情報を見るからだ。Clearを導入すれば、彼らはどんな問題でもリアルタイムで見つけられる。商用の情報でもサービスのデリバリーでも、それらの問題をClearのプラットホームの中で実際に解決できる」と語る。

複数の国境にまたがる大量のトランザクションをブロックチェーンで処理すると、そのスマートコントラクトは規約の自動的な執行者となり、月末まで待たされてエラーが見つかり解決プロセスを開始するといった非効率さがなくなる。問題の発見と解決がリアルタイムで行われるからだ。決済までの時間が短縮され、対立の解決もスピードアップする。

同氏は「ブロックチェーンを使えば、そういう対話的な操作を監査可能で、暗号化により安全、そして当事者たちが同期して全員同じ情報を見ている状態で進められる」と説明する。

繰り返すと、同社は世界中の通信企業の膨大な量のトランザクションを支えている。その国境横断性は良いテストケースだ。しかしホッホバーグ氏によると、それはスタート地点にすぎないという。まだ完全に完成した姿ではないが、何億件もの課金を伴うイベントを処理できることは実証された。

今回の資金により同社は、今年の前半にはキャリアクラスのプロダクションを完成させたい。また、これだけ資金があれば、通信以外の分野にも進出できるだろう。

関連記事:Kadena fulfills hybrid blockchain vision with launch of public chain(パブリックチェーンでハイブリッドブロックチェーンを目指すKadena。未訳)

画像クレジット: Clear

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

インドのInterviewBitがGAFA就職を可能にする高度なコンピューターサイエンスコースをオンライン提供

インド南部、バンガロールのInterviewBitは、一般の大学卒業者や若いプロフェッショナルの技術者に高度なコンピューターサイエンスコースをオンラインで提供している。同社がこのほどシリーズAのラウンドで調達した2000万ドル(約22億円)は、インドにおける教育系スタートアップへの投資としては最大の部類となる。

創業5年のスタートアップのシリーズAをリードしたのは、Sequoia IndiaとTiger GlobalおよびGlobal Founders Capitalらだ。同社はこれを機に、オンラインプログラミングコースの名前を InterviewBit AcademyからScaler Academyに変える。

InterviewBitは9カ月前に、収益モデルを所得分配方式に変えた。これにより学生は、授業料の多くの部分を就職後に払えるようになった。この方式は人間資本契約(human capital contract)と呼ばれており、何十年も前から存在するが、最近また見直されている

現在まで、同社の6カ月のコースを受講した者は2000名を超えている。これまで7回期を開講し、その1つはアメリカでの開講になり20万人を超える応募者があった。そして卒業者のうち数百名が、GoogleやAmazon、Microsoftなどのテクノロジー企業に就職した。

Scaler Academyに入学した学生にはメンターが付き、先輩技術者や現在、実際にGoogleやFacebook、Twitter、Netflixなどで仕事をしている各分野のエキスパートが教える。協力企業は600社以上ある。

同社は今もSequoia Indiaのアクセラレーター事業、Surgeに参加しており、今回の資金は入学者数の増員と新市場の開拓に充てられる。同社のカリキュラムやライブの授業のノウハウをプロダクトにする計画もある。

このラウンドはインドの新聞であるTimes of Indiaが2019年初めて報道し、その際のInterviewBitの評価額は1億ドル(約110億円)以上だ、と書いていた。

InterviewBitの共同創業者Abhimanyu Saxena(アブヒマニュ・サクセナ)氏は、「Scaler Academyは短期間で学生たちの能力を大幅に向上させた。彼らはオンラインとライブの授業を1日に4〜5時間受けている。実際に我々の仕事は、学生たちのキャリアアップに大きく貢献している。そのことが、特に喜ばしい。コースの名前をScaler Academyと変えたのも、プログラミングのより上のスキルを目指すという意味合いからだ」と語る。

最近発表された報告書、National Employability Report Engineers 2019(エンジニアの雇用状況)によると、インドの技術者の被雇用率は各年20%と横ばいで低迷している。「そのことを念頭に置いたScaler Academyの細部まで配慮が行き届いた6カ月のオンラインコースは、最新技術に触れることを中心とする今日的なカリキュラムによって、プロフェッショナルたちのコーディングスキルの強化、向上を目指している」と同社はいっている。

画像クレジット: Sattish Bate/Hindustan Times/Getty Images

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Uberがインドのフードデリバリー事業を現地ライバルのZomatoに売却

Uberは1月21日、インドにおける同社のフードデリバリーサービス、Uber Eatsを地元のライバルZomato(ゾマト)に売却したと発表した。これによりアメリカのライドシェア大手は、2021年の黒字化するために、損失を計上する事業を放棄する。

この2つの赤字企業によれば、契約ではUberがZomatoの9.99%を保有し、EatsのユーザーはZomatoのユーザーになるという。情報筋によると、Uber Eatsのインド事業の評価額は1億600万ドル(約117億円)から2億ドル(約220億円)の間と見なされたようだ。

TechCrunchは2019年12月に、両社の契約はもうすぐまとまると報じた。両社の話し合いを11月に最初に報じたのは、インドの新聞『Times of India』だ。

ForresterのアナリストSatish Meena(サティッシュ・ミーナ)氏によると、ZomatはUberからの買い物があるにもかかわらず、依然として地元のライバルSwiggyに1日のオーダー数で負けている。Prosus Venturesが投資しているSwiggyは、2018年後半に10億ドル(約1100億円)を調達した

UberのCEOであるDara Khosrowshahi(ダラ・コスローシャヒ)氏は声明で「Uber Eatsのインドのチームはこれまでの2年あまりで立派な業績を上げた。彼らの創意と献身を、私は最高の誇りに思う」と述べている。

情報筋によると、Uber Eatsがインドに進出したのは2017年で、インドの事業を売却するという話は2018年後半に始まっている。

続けてコスローシャヒ氏は「今後も、インドはUberにとって特に重要な市場であり、当地のライドシェアサービスへの投資を引き続き行っていく。この分野において、Uberはすでにカテゴリーリーダーである。Zomatoの資本効率の高い成長能力に強い感銘を受けており、彼らの継続的な成長を願っている」と話す。

しかし、業界の推計によると、Uberはインドのライドシェア分野のトップではない。そのタイトルはOlaのもので、インドの乗客数ではUberの2倍あり、カバーする都市の数もUberの約30に対してOlaは110だ。

情報筋によると、Uber Eatsの従業員は希望すればUberに残ることができる。

この発表の最中に、Zomatoの新たな資金調達ラウンドが行われている。創業11年になるこのインド企業は2019月12月に、Ant Financialから1億5000万ドル(約165億円)を調達し、数週間後にはさらに4億ドル(約440億円)の追加投資を求めるという。

Uber Eats Indiaの切り離しは、Uberを助けるだろう。同社は2019年に東南アジアを去ったが、今回もそれと同様にグローバルな損失が縮小する。2019年に数百名をレイオフした同社は、11月に10億ドル(約1100億円)あまりの四半期損失を報告している。Uberによると、2021年には黒字化するそうだ。

Uberは、2019年8月から12月までのUber Eatsのインド事業による損失を1億750万ドル(約118億円)と予想していた。Zomatoも同じく、損失を減らす努力をしている。2018年に同社は各月に4000万ドル(約44億円)あまりの損失を計上したが、Zomatoに投資しているInfo Edgeによると、2019年11月の決算報告ではそれが2000万ドル(約22億円)に抑えられた。

*アップデート: この記事の初期のバージョンでは、Uber Eatsのインド事業の評価額を3億から3億5000万ドルとしていた。現状は、ほぼその半分である。

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

サーバーレス開発モニタリングのEpsagonが17億円超を調達

イスラエルのEpsagonは(エプサゴン)、サーバーレスやコンテナなどのモダンな開発環境のモニタリングを助ける。同社はこのほど1600万ドル(約17億6200万円)のシリーズA調達を発表した。

同社にとって新しい投資家であるU.S. Venture Partners(USVP)が、このラウンドをリードした。また、これまでの投資家であるLightspeed Venture PartnersとStageOne Venturesも参加した。同社によると、これで調達総額は2000万ドル(約22億円)になる。

CEOで創業者のNitzan Shapira(ニッツァン・シャピラ)氏によると、同社は昨年プロダクトを拡張して、同社のルーツであるサーバーレス以外にも手を広げたが、同時にまた、さまざまな形のモダンな開発への深いインサイトを提供している。

シャピラ氏は「5月にEpsagonのマイクロサービスのためのプラットホームをクラウドに立ち上げたときお話したように、それにはコンテナやサーバーレスなど、マイクロサービスのアプリケーションを作るためのありとあらゆるワークロードが含まれている。さらにその後も、かなりの数の重要な発表を行なった」と語る。

最初に同社が発表したのはKubernetesのワークロードのトレーシングとメトリックスで、それにはネイティブのKubernetesのほかに、AWS EKSやGoogle GKEのようなマネージドKubernetesサービスも含まれている。シャピラ氏によると「数カ月前に、Kubernetesの統合を発表した。だからKubernetesのワークロードがあるところならワンクリックでEpsagonと統合でき、すぐにすべてのメトリックスを得られる。トレーシングのセットアップも数分でできる。これによって弊社のプロダクトには、極めて多数のユースケースが開けたことになる」とのこと。

同社はさらに、Amazonのクラウド上で使えるノーコードプログラミングツールであるAWS AppSyncのサポートも発表した。「AppSyncにトレーシングを導入したモニタリングプロバイダーはうちが唯一だが、しかしノーコードプログラミングは多くの人たちがモニタリングやトラブルシューティングで苦戦している分野なのだ」と同氏は語る。

「今回の資金でプロダクトをさらに拡張し、特にMicrosoft AzureとGoogle Cloud Platformのサポートを充実させたい。手作業で構成している一部のタスクの自動化を拡張したい」」とシャピラ氏。「プロダクトはできるかぎり最大限自動化したい。そうすればユーザーは、わずか数分ですごい体験を得られる。それらは、より高度なモニタリングや、さまざまな問題の検出とトラブルシューティングなどだ」と続けた。シャピラ氏によると、今の社員数はだいたい25名だが、年内に倍増したいそうだ。

関連記事:サーバーレスをモニタするEpsagonがAWS Lambdaオンリーを脱して多極化

[原文へ]

(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa