2014年のスタートアップ投資額、6年ぶりに1000億円超え―JVRが調査報告

リーマン・ショックの2008年以降下降線をたどっていた未公開ベンチャー企業の資金調達状況が2014年には大きく改善して、資金調達額は前年比1.58倍の1154億円となった。6年ぶりの1000億円超えとなる。2006年から継続して調査を続けているJVR(ジャパンベンチャーリサーチ)がまとめた数字だ。

1社あたりの調達額7250万円は前年比185%

1社あたりの資金調達額も中央値が7250万円と前年の4000万円から1.8倍と増えている。資金調達を行った企業の数は減少しているものの、1件あたりの金額が増えている。TechCrunch Japanでも日々お伝えしている調達額が増えていることは感じているが、この調査でも資金調達額の大型化が浮き彫りとなっている形だ。ただし、TechCrunchが主にIT関連のニュースをお伝えしているのに対して、JVRの調査にはヘルスケア、バイオ、医療、環境、エネルギー分野も含まれる。業種別の傾向としては、IT関連の企業数が増加傾向にあり、2014年は49%となっている。また、インターネットを利用したビジネスモデルを持つ企業の調達件数は2006年以来、ほぼ一貫して増加傾向にあり、2014年にその割合は80.5%となっている。

シード・アーリーからシリーズA、Bへ重心が移動

また資金調達を行った企業の設立年数を見てみると、設立1年未満の社数割合が減少する一方で、1年以上の割合が増加。1年以上5年未満が35%を占めるようになっている。調達額の大型化と合わせて、この傾向の背景には、2011年、12年に生まれたシード、アーリー対象のアクセラレーターの卒業組がシリーズAやBといった調達に成功する例が増えていることがある。以下のグラフは、それを顕著に示している。レポートでは「米国での一般的な調達額として、シリーズAで2億円、シリーズBで5億円、そしてシリーズCで10億円と言われているが、日本も同様の規模に近づいてきている」としている。

10億円以上の調達は7社→16社→25社と増加

資金調達の大型化により、10億円以上資金を調達した企業は前年比1.56 倍の25社だった。2012年に7社、2013年は16社だった。以下に資金調達ランキングの上位50社の一覧を画像で掲載する(クリックで拡大)。

以下の表は投資総額によるVCのランキングだ。投資金額のVCのランキングで上位31社中CVCが6社、外資VC7社と、CVCと外資VCが健闘しているのも目を引く。

優先株も実はすでに半数以上の63%で利用

かつて日本では優先株の利用はほとんどないと言われてきたが、ここ3、4年で一気に増えているようだ。JVRのレポートによれば、会社設立から上場までの資金調達で優先株を利用した企業数は2001年以降で1年当たり2、3社程度だった。これが今回VC9社の情報開示を受けて調査した結果、対象調査企業となった2014年に資金調達を行った127社のうち優先株の利用は59社で46.5%。この比率は、株式の種類が不明の企業を除外した場合には63%となる(調査に協力したVCは、ジャフコ、産業革新機構、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、グロービス・キャピタル、東京大学エッジキャピタル、DBJキャピタル、サンブリッジグローバルベンチャーズ、グローバル・ブレイン)。ある独立系VCのキャピタリストによれば、今や投資案件は「ほぼ全て優先株」といい、エンジェル投資やレイターをのぞけば、優先株の利用はもはやVC業界でデファクトではないかと話している。背景には、もともと投資家が引き受けるリスクが創業者に比べて大きかった面が優先株によって緩和されて、より大胆にリスクを取って投資しやすくなることがあるという。特に残余財産の分配権が重要で、事業立ち上げに失敗した場合に投資を回収しやすくなるなどのメリットがある。

このほか、今回のJVRのレポートで目を引くのは海外比率だ。創業メンバーから日本のスタートアップとみなされるものの法人登記を海外で行っている「海外企業」の割合が8%となり、大阪(近畿)の6%を抜いてしまっている。より大きなマーケットを目指す海外志向が1つの傾向として数値に出ている形と言えそうだ。


アドテクのFringe81がアイスタイルやドコモから4.2億円調達-元楽天の尾原氏も参画

左からFringe81代表取締役の田中弦氏、執行役員の尾原和啓氏、取締役の松島稔氏

Fringe81は2月20日、アイスタイルキャピタル、NTTドコモ・ベンチャーズ、グリー、電通デジタル・ホールディングス、TBSイノベーション・パートナーズ合同会社を割当先とした総額4億2千万円の第三者割当増資を実施すると明らかにした。

同社は今回の資金調達をもとに、人材の採用や育成、研究開発を進めるという。引き受け先にはコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)や事業会社も含まれるが、今後は事業・業務上の関係をより深化させるとしている。

Fringe81は「RSS広告社」として2005年にスタート。日本初となるRSS広告の配信を手がけてきた。2010年に社名をFringe81に変更して、RSS広告に加えて、第三者配信サーバの「digitalice」など、アドテク領域で複数の自社プロダクトを展開してきた。代表取締役社長の田中弦氏によると、金額は非公開ながら売上高は2期連続で1.7倍(毎期)のペースで増加している状況だという。

好調な業績のようにも聞こえるが、田中氏は「今までは広告主サイドの商品を作ってきたが、今後はサプライサイドのためのビジネスもやっていかないといけない」と説明。4月末をめどにリッチメディアに関する2つのプロダクトを提供する予定だという。「ニュースであっても、コミュニティであっても、メディアはもっと出てくる。そしてその人たちが一番困るのはマネタイズだ。そこをしっかりサポートする会社だとうたっていく」(田中氏)

元楽天の尾原和啓氏が執行役員に

2月5日には、「ITビジネスの原理」の著者である尾原和啓氏が同社の執行役員に就任している。尾原氏はマッキンゼー・アンド・カンパニーをはじめ、リクルートやGoogle、楽天などこれまで11社でコンサルティングから事業の企画や投資、買収などを手がけてきた人物。かつては田中氏が起業する以前、上司としてともに仕事をした経験があるそうだ。

「思いとしては、いいものが価値を認められて、世界が広がり、報酬がもらえるという世界を作りたい。日本と米国ではまだ広告単価に2〜3倍の差があるのでメディアであれば、いい記事を書いても、(米国ほど)収入が得られない。だが今アドテクは円熟期に入ってきている。不幸なことに日本ではゲームの市場が大きくなりすぎて、米国にあるようなブランド広告が(オンラインに)入らなかったが、それを日本的に丁寧に育てていき、日米の単価差を埋めていく」(尾原氏)


小さな上場より赤字を掘ってでも大きく成長する–ネット印刷のラクスルが40億円の資金調達

先日メタップスが43億円という大型の資金調達を実施したのに驚いたが、またもや大型の資金調達があった。日本経済新聞でも報じているとおり、オンライン印刷サービス「ラクスル」を手がけるラクスルは2月17日、第三者割当増資により総額40億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

引き受け先は既存株主であるオプト、グローバル・ブレイン、WiL、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、ANRI、電通デジタル・ホールディングス、GMO Venture Partnersのほか、新たにリンクアンドモチベーション、グリーベンチャーズ、Global Catalyst Partnersが加わった。

業績は2013年12月から1年で10倍に

ラクスルは2009年9月の創業。当初はオンライン印刷の価格比較サービスからスタートし、その後オンライン印刷の一括見積もり事業を開始。現在では印刷会社をネットワーク化し、その非稼働時間を活用して安価な印刷を展開するオンライン印刷事業を展開している。

2014年2月には約14億5000万円の資金調達を実施し、テレビCMも放映したラクスル。会員数は現在約10万人、売上高は非公開ながら、「会員数とともに1年で5倍に成長している。2013年12月からの1年間で見れば約10倍に上る」(ラクスル代表取締役の松本恭攝氏)とのこと。

また今回の資金調達で印刷会社の買収でもするのかとも思ったがそういう訳ではないようだ。松本氏は「事業が立ち上がり、『投資をすれば拡大する』ということが見えてきた。ならば小さく上場するのではなく、もっと赤字を掘ってでもより大きく成長しようと考えた」と語る。

事業と組織の両輪で成長、マネジメントの目線を上げる

今回、リンクアンドモチベーションとグリーベンチャーズ、Global Catalyst Partnersが新たに株主となっている。松本氏は組織作りや海外進出といった面でのシナジーを求めたいと語る。

「事業と組織は両輪。両方が回って初めて会社がうまく回る。例えば(一度エグジットして)2社目の勝負をしている起業家は、組織がどんなことで転ぶか分かっている。だが私は転ぶようなことをことごとくやってきている。だからこそ今のうちに組織をしっかりと作りたい。またグリーは青柳さん(グリー取締役執行役員常務の青柳直樹氏)と話したことがきっかけだが、海外でのチャレンジ経験が豊富」(松本氏)。さらに米国のベンチャーキャピタルであるGlobal Catalyst Partnersについては、「日本のスタートアップとは違うマネジメント、非連続な成長を作るために目線を上げてくれる存在だ」(松本氏)と語った。

「チラシ印刷」にとどまらない中小企業の集客支援

同社のテレビCMを見たことがある読者の中には、大企業向けのチラシ・名刺印刷というイメージを持った人もいるかも知れないが、中心になっているのは、塾やフィットネスクラブ、接骨院に美容室など、商圏の限られている中小企業のチラシ印刷なのだそう(なお、名刺の取り扱いは全体の2割程度)。ちなみにサイトへの集客は「テレビCMは期待した効果が出ている」(松本氏)ということだが、何よりも口コミの効果が大きいのだそうだ。

今回の調達では、そんな中小企業向けのオフラインでの集客支援を実現するプラットフォームを構築していくのだという。「チラシを刷るというのは、つまりは集客の予算を預かっているということ。ネットでの集客、マーケティングは効率化が進んで新しいイノベーションが起きる一方、紙の市場ではほぼイノベーションが見られず、予算をかけられない中小企業がほとんど。そこにイノベーションを起こしたい」(松本氏)

すでにラクスルでは、チラシの印刷だけでなく、チラシのデザインや印刷したチラシのポスティングといった印刷の“前後”のニーズをカバーしつつあるのだが、こういった取り組みをより強化していく。最近ではウェブサイト上で簡単にチラシのデザインができるエディタも実装したし、今後はチラシのライティング講習なども試験的に手がけるという。

これまでは印刷会社の非稼働時間を使うことで「安価な印刷」をうたってきたラクスルが、どうして中小企業のオフラインでの集客支援というキーワードを掲げるのか? 松本氏はユーザーのニーズ、そして単なる価格競争からの脱却について語る。「ユーザーのニーズはほとんどがチラシの印刷であり、それはつまり集客に困っているということ。そして集客予算を預かっているのであれば、印刷は安い方がいい。だがそれだけ考えると、価値は結局値段に収束してしまう。安さを徹底的に追求して価値を作るということもあるが、安くても効果が出なければ意味がない。チラシという紙のメディアの価値を上げることを考えたとき、ほかにプレーヤーはいないと考えた」(松本氏)

印刷会社のサポートや海外展開も視野に

このほか、調達した資金をもとに、印刷会社のサポートを強化するという。例えば小さい印刷会社では、紙の仕入れなども(ボリュームディスカウントできずに)高価な場合がある。こういった材料の仕入れや機材のレンタルなども取り組む予定。すでに印刷機器メーカーのリョービMHI元代表取締役社長の堂本秀樹氏の参画も決まっている。

ラクスルではさらに、海外展開も視野に入れる。「海外は日本ほど価格競争が厳しくないし、『ネットの会社』として(印刷事業に)取り組んでいるところが少ない。APIの公開こそしていても、どっぷり印刷業につかっていて、それでいてネットの開発もできる、というところは少ない。そのあたりはラクスルが独自の価値を作れる」(松本氏)

同社では現在フルタイムの社員約30人(パートタイムのカスタマーサポートなどを含めると、日本とベトナムで合計約100人)を年内に2倍まで拡大する見込み。さらに、早期の会員数100万人を目指すとしている。


Amazonで9年間AWSを担当した技術者がアプリケーションの展開サービスDistelliを創業、初の資金調達へ

アプリケーションの、サーバ上への展開をやってくれるDistelliが今日(米国時間1/20)、シリーズAで280万ドルを調達したことを発表した。

Andreessen Horowitzがこのラウンドを仕切り、パートナーでIronPortのファウンダでもあるScott WeissがDistelliの取締役会に加わる。これまで自己資本のみで、シードを外部に依存していない同社にとっては、これが初めての資金調達だ。

DistelliのサービスはSaaSとしてクラウドから提供され、どこにあるサーバに対しても、そこへの展開を代行してくれる。サーバは、AWSやRackspace、Google Compute Engineなどのクラウドや、データセンターなど、どこにあってもよい。CEOでファウンダのRahul Singhはジョーク混じりに、Costcoで買ってデスクの下に置いたサーバでもいいよ、と言っている。ユーザの部屋の机の下にあるなんてことは、Distelliにはわからないし無関係だ。

このサービスは、指定されたサーバに小さなエージェントを送り込んで、展開の仕事をさせる。そのエージェントが動き出すと、Distelliがユーザに提供するダッシュボードからサーバのアクティビティをモニタできる。

SinghはAmazonの四人目の技術者社員で、9年間Amazon Web Servicesで大きなプロジェクトの展開を担当したから、いろんな問題解決の経験も豊富だ。彼曰く、コードを書きアプリケーションを構築するためのツールには良いものがあるが、展開に関してはまだまだだ。というわけで彼はDistelliを創業した。

彼は、Herokuは良い選択だが、良いのはあくまでもHerokuのサーバを使う場合のみだ、と言う。そうでないときは、ChefやPuppetのようなツールを使わなければならないし、展開スクリプトを書くのに貴重な時間を取られてしまう。開発過程が、その段階で超鈍足になってしまう。彼は、展開を代行するサードパーティサービスがぜひ必要だ、と考えた。

アプリケーションの展開とローンチをDistelliのエージェントがやってくれるから、開発チームは本来の仕事、良いコードを書くことに専念できる。サーバがクラッシュしたときのリスタートもエージェントがやるから、その点も楽だ。人間が従来手作業でやっていたことを、これからはソフトウェアがやってくれるのだ。

同社は2013年の3月にローンチし、社員はSinghを含めて6名と少ない。今、有料のユーザは15名/社である。それでも毎日が猛烈に忙しいから、去年の秋に完了した資金調達を今ごろやっと発表しているのだ。

Singhによると、今年は顧客獲得に注力したいので、安いのからお高いのまで段階的な料金プランにしたい、という。これまでは、サーバ1台あたりなんぼ、というシンプルな課金だったが、今後は、デベロッパ個人向けの無料プラン、中小企業向け、大企業向けという形にしたいそうだ。

そして同社の長期的な目標は、DevOpsたちのための総合的な、ワンストップのインフラ管理ダッシュボードを提供すること。それは、ハードがどこにあっても対応できる形にしたい。いわば今同社は、その中の‘アプリケーションの展開’の部分を、まず提供しているわけだ。

Singh曰く、“1年あまりやってきて痛感するのは、展開を負担に感じているデベロッパがとても多いことだ。彼らの得意なのはあくまでも、アプリケーションを設計してそのコードを書くことだから、展開は彼らにとって面倒な雑務にすぎない。その雑務を、楽に簡単にできるようにしたのが、うちのサービスだ”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


グラフデータベースNeo4jのNeo TechnologyがシリーズCで$20Mを獲得、売上は各年倍々ゲームの急成長

グラフデータベースNeo4jを作っているNeo Technologyが、投資家たちからもその着実な成長を認められ、このほどシリーズCで2000万ドルを調達した。

このラウンドはCreandumがリードし、Dawn Capitalとこれまでの投資家Fidelity Growth Partners Europe、Sunstone Capital、およびConor Venture Partnersも参加した。

同社のこの前の資金調達は2012年11月の1100万ドル、今回を合わせて総調達額は4410万ドルになった。

複数のデータ間の複雑な関係は、グラフでしか表せないこともある。たとえばよく知られているFacebookのソーシャルグラフは、ユーザとその複数の友だちとのあいだの、さまざまな結びつきを表す。Amazonなどのeコマースのサイトでは、たとえば、[この人はAを買ったがBも好きかもしれない]といった、複数の実体間の関係をグラフで表現する。

実際にWalmartはNeo Technologiesの顧客だし、本誌TechCrunchの姉妹企業Crunchbaseは、Neo4jのグラフデータベースを使って企業間の複雑な関係を表現している。

同社の協同ファウンダでCEOのEmil Eifremによると、Neo4jの主なユースケースは二つある。ひとつは、Walmartのような企業がそのアプリケーションの基盤の一つとしてグラフデータベースを使って、買い手との関係を表す場合だ。

もうひとつのユースケースはMaster Data Management日本語Wikipedia〕のインフラとしてグラフデータベースを利用するもの。大企業などでは、多様なデータソースから拾ってきたさまざまなデータを関係付けてひとつのレコード(単位的データ構造…たとえば一つの顧客データ)を作らなければならない。それはきわめて不定形なデータ構造になるため、やはりグラフを使うのがいちばん便利だ。

“これはたいへん困難で骨の折れる問題だ”、とEifremは語る。“そういうデータ構造は、作るのも操作するのも極めて難しい。しかもデータは頻繁に変化している”。そういう厄介なデータ問題の、最適のソリューションがグラフモデルだ、と彼は主張する。

Eifremによると、同社は2007年にオープンソースのプロダクトとしてスウェーデンに誕生し、最初の2年はプロダクトの構築とコミュニティの育成に注力していた。今ではそのコミュニティが同社の生命線であり、そして2011年ごろから一般の顧客も増えてきて本格的な商用化が必要になってきた。

そこで同社は本社をカリフォルニアに移し、技術者だけをスウェーデンに残した。Eifrem自身はそのとき、居住する国を変え、また自分の会社を純粋なオープンソース企業から、オープンソースをベースとする商用企業に変える、という二重の変化を経験した。

彼は90年代の半ばに学生として合衆国にいたので、友だちも少なくない。だから本社の移転は、想像したほど難しくはなかった。商用企業への移行に関しては、それは最初から彼のビジョンにあったことなので、とくに問題はなかった。

“うちはオープンソースだけど、いずれは大きな会社になる、と考えていた。オープンソース企業が力を持つためには、ある程度大きな企業でないとだめだ、と思っていた”、とEifremは語る。

データベース市場全体の中でグラフデータベースが占めるパイはとても小さいが、今急速に成長しており、彼の会社も伸びている、だから投資家たちを惹きつけるのだろう、とEifremは言う。

同社の社員は今7〜80名、今回の資金で年内に120名への増員を考えている。2011年に本社を移転してから売上は各年前年比2倍〜3倍増加している。それを、投資家たちが見逃すはずがない。

彼も言う、“毎年倍々ゲームを繰り返していれば、会社も当然でかくなる。投資家たちも当然目をつけるよね”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Augmedixが1600万ドルを調達、Google Glassをかけた医者を見る日は近いか?


Google GlassはGoogleが思い描いたような評判を得ることができないでいるが、今日(米国時間1/12)Augmedixが1600万ドル獲得した資金調達ラウンドを見る限り、消えるにはほど遠いようだ。Augmedixは2012年に設立されたスタートアップで、医療専門家にGlassを活用した電子カルテソリューションを提供することを目指している。同社の初期シード投資家であるEmergence CapitalとDCM Venturesが共同でリードしたシリーズAラウンドは、Glassがまだ消費者の確信を得られていない中、市場のどこかでは開発の継続に大きな投資が行われているをとを示すものだ。

AugmedixがGoogle Glassのために調達した資金は計2300万ドルに上る。2014年にはシードラウンドで730万ドルを集めている。同社はすでに米国の10州でビジネス展開しており、従業員はサンフランシスコ本社の80名を含め100名を越える。新たな資金は、今後同社がヘッドマウント式患者情報システムをさらに広めていくために必要な雇用に役立てられるだろう。

デベロッパーはGlassプラットフォームを見捨てたと言う向きもあるが、それが一様な現象でないことは間違いない。Augmedixは今回の資金調達の発表に際して、同社のプラットフォーム戦略に関する変更に一切言及していない。同じくGlassに重点を置き医療機関に展開するスタートアップ、Pristineも9月に第1回ラウンドで540万ドルを調達している。デベロッパーのGlassへの関心がどうあろうと、医療のような特定分野ではその潜在力は高く評価されているようだ。

もちろんGoogleも、今でも最も野心的と言えるこのハードウェアプロジェクトに引き続き力を入れている。昨年末にはIntelバージョの噂が浮上し、またGoogleのAstro TellerはGlassへの変わらぬ自信をTechCrunchに語っていたが、消費者市場は成功する場ではないかもしれないことは彼も認めている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Hadoopの利用を使いやすいSaaSで提供するAltiscaleが$30Mを調達

【抄訳】

Hadoopといえば、企業のデータセンターの複雑なオンプレミスのセットアップを連想しがちだが、Altiscaleはそういう複雑な部分をすべてクラウド上で面倒見て、かんじんのHadoopの利用インタフェイスだけをSaaSとして提供する。同社は、その使命の継続のために今日(米国時間12/9)、シリーズBで3000万ドルの資金を調達した。

このラウンドを仕切ったのはNorthgate、これに前からの投資家Sequoia CapitalとGeneral Catalyst Partnersが参加した。これでAltiscaleの資金調達総額は4200万ドルになる。

Hadoopは、ビッグデータを処理するためのオープンソースのプロジェクトだ。

【中略】

AltiscaleがHadoopのベンダとして特異なのは、最初から、企業が抱えるHadoopのワークロードをクラウドで処理するという、根っからのクラウド企業としてスタートしたことだ。ファウンダでCEOのRaymie Stataは曰く、Hadoopは簡単に使えるものではないし、仕上げの粗い部分もある。彼が前にいたYahoo!では、社内に大きな組織を作ってHadoopに取り組んでいたが、ふつうの会社にはそんな贅沢はできない。

それが、彼がAltiscaleを作った主な理由だ。サービスがクラウドにあれば、大から小までもっといろんな企業がHadoopを利用できるし、またビッグデータの処理についても相談に乗ってあげられる。処理の根幹だけでなく、ちょっとしたヘルプの相談もある。企業はそういう問題を自分で抱え込んで悩むのではなく、解決をAltiscaleに求めればよい。

そして彼によれば、Altiscale自身はHadoopのエキスパートだから、企業が解決に数日を要していたような問題も、数時間で解決してあげられる。それでなくとも企業のIT部門は、いろんな問題を常時、山のように抱えているのだから。

Hadoopのサードパーティベンダは数が多く競争も激しい。それらの中でHortworksは最近、IPOにこぎつけた。この前の3月にはClouderaが、シリーズFの資金調達に際して40億ドルを超える評価額を達成した。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


ペアプロの有無まで紹介するITエンジニア特化の人材サービス「Forkwell Jobs」運営のgroovesが2.2億円調達

TechCrunchで2年半前に紹介したエンジニア向けのソーシャルサービス「Forkwell」を手がけるgrooves(当時はforkwell事業のために新会社garbsを設立していたが、合併)が総額2億2000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。既存株主の日本ベンチャーキャピタルと三井住友海上キャピタルからの第三者割当増資に加え、一部は日本政策金融公庫の資本性ローンでの調達となっている。

最近では10億円前後をエクイティで調達するスタートアップも多いが、grooves代表取締役の池見幸浩氏は、「株式を希薄化しても問題ないという起業家もいるが、僕はデット(融資などの他人資本)で資金を獲得できるならそれがいいと思っている」と語っている。実際今回の調達は日本政策金融公庫の本店(3000万円超、3億円以内の案件を担当)が担当しているとのことで、億単位でデットファイナンスを実施していると見て間違いなさそうだ。

さて前述のforkwellは登録ユーザー1万人で、109万人いると言われている日本のエンジニアの1%も取れていないのでまだまだこれからというところだが、これと連携するエンジニア採用支援サービスの「Forkwell Jobs」、中小規模の人材エージェントをクラウド化(同社は「クラウド化」と呼んでいるが、「ネットワーク化」のほうが分かりやすいかもしれない)して、最適な人材の採用を効率化する中途採用支援サービスの「クラウドエージェント」が好調だそうだ。今回の調達では、各種サービス開発に向けた人材確保などを進める。

前者のForkwell Jobsは、例えばペアプログラミングをするしないといった「コード品質への取り組み」や「使用するバージョン管理ツール」「使用するプロジェクト管理ツール」などなど、その会社の開発環境をこと細かに紹介するエンジニア特化の採用支援サービス。採用する側にもエンジニアとしての高いレベルが求められることもあって、「人材募集案件の4割はお断りしている状況」(池見氏)なのだそうだ。後者は特にエンジニアに特化しているわけではないが、複数のエージェントから最適な人材を一括で探すことができるため、ユーザーのニーズは高い。金額に関しては非公開ということだったのだけれども、すでにかなりの売上を達成して事業の黒字化を達成しているそうだ。


インフィニティ・ベンチャーズが3号ファンド設立、中国出資ではリクルートと連携

インフィニティ・ベンチャーズLLP(IVP)は11月6日、3つめのファンドとなる「Infnity e.ventures Asia III,L.P.」を設立したことを明らかにした。

ファーストクローズの金額は約3200万ドル(1ドル110円換算で約35億円)。ファンドに出資するのはリクルートホールディングス、大和証券グループ本社、サミーネットワークス、ORSO、ミクシィ、ユナイテッドなどの法人のほか、個人経営者など。IVPは2009年に1号ファンドを立ち上げているが、これにはKDDIやミクシィが出資していた。IVP共同代表パートナーの小林雅氏によると、「当時に比べて、規模の大きい事業会社において新規事業開拓のニーズが増えている」とのことで、事業会社による出資が多くなっている。

また10月に上場したばかりのリクルートホールディングスもファンドに出資するが、今後はリクルートグループで海外に特化投資に特化したコーポレートベンチャーキャピタルである「合同会社RGIP」などとも連携して中国での投資を進める。今後IVPでは海外の大口投資家なども含めて、2015年前半に1億ドル規模までファンドを拡大するとしている。

IVPはこれまで、1号ファンドからの累計調達額は約1億2800ドル(1ドル110円換算で約141億円)で、これまで国内外合わせて40社以上に投資をしている。投資金額に対して投資先のバリュエーション(評価額)は3倍だそう。小林氏にもう少し詳しい話を聞いたところ、これまでのイグジット事例として最も大きいのは1号ファンドで出資したグルーポン・ジャパン。

2012年末にクロージングした2号ファンドでは、企業名は非公開とのことだがすでに一部の株式を売却しているほか、中国で決済事業を手がけるYeahkaやアプリ解析のApp Annieをはじめとしてバリュエーションが100万ドル超の企業が4社ほどある状況。「現時点で大きなイグジイットは無いが、含み益は見えている」(小林氏)。3号ファンドでもこれまで同様に日本と中華圏での投資に注力する。


エンタプライズOpenStackのリーダーの座をねらうMirantisが$100Mの巨額を獲得

Mirantisは数年前に、当時まだ無名だったOpenStackに乗り、その後は、各年ごとに高くなるその人気の波に乗ってきた。そして今日(米国時間10/20)同社はシリーズBで1億ドルの資金を調達し、エンタプライズOpenStackのリーダーの地位を目指す旅を、これからも続けて行くことになった。それは、同社の今後の前進のための、十分な額と言えるだろう。

1億ドルはどんな企業にとっても大きいが、同社はしかもオープンソースの企業であり、それまでの二回のラウンドで計2000万ドルしか調達していない。今回のラウンドを仕切ったのはInsight Venture Partners、これにAugust Capitalおよび既存の投資家Intel Capital、WestSummit Capital、Ericsson、SAPが参加した。Insight Venture Partnersの専務Alex Crissesが、Mirantisの取締役会に加わる。

OpenStackは、IaaSを展開するためのオープンソースのプラットホームだ。4年前にRackspaceとNASAの合同プロジェクトとして始まり、IaaSのプロプライエタリな商用プロバイダAmazon Web ServicesやMicrosoft Azure、Google Cloudなどに対するチェック役のオープンソースプロジェクトとしてスタートした。その後順調に成長して、コミュニティとリッチなエコシステムと活気あるサプライヤーネットワークが形成された。後者にはエンタプライズソフトウェアにおける超大手たちも加わっている。

Mirantis自身は言わないが、同社はEnterprise LinuxにおけるRed Hatと同じようなリーダー的な位置を、OpenStackの世界でねらっているようだ。言い換えるとそれは、OpenStackの企業向けの顔だ。しかしエンタプライズOpenStackはHP、IBM、Cisco、それに、そう、Red Hatなどが大きなパイの分け前をねらっている市場だから、それらに伍していくためには大きな資金が必要だ。たとえば2週間前にRed Hatは、クライアント/サーバから、OpenStackをベースとするクラウドコンピューティングに軸足を移す、と発表した

しかしCEOのAdrian Ionelは競争にひるんでいない。むしろ彼は、OpenStackの世界における自社の優位性を固く信じているように見える。彼によると、OpenStackのルーツを継承して真のオープンソースを提供しているのはMirantisだけである、と。しかも彼によると同社は、OpenStackの実装と運用に関してHPやRed HatやCiscoのチームを指導している立場である。“彼らが好打者だとは思わないが、体がでかいことは確かだね”、と彼は皮肉っぽく言っている。

Ionelは、Mirantisが唯一の本物のOpenStackベンダだ、と自負している。同社よりもさらに本物があるとすれば、オープンソースのソースコード本体、それだけだ、と彼は言う。そして彼によると、多くの顧客は特定のベンダの特定のアーキテクチャに閉じ込められることよりも、ピュアな実装を望んでいる。大手ベンダを選べば、必ずプロプライエタリなものがくっついてくる、と彼は警告する。

Ionelによると、同社は大きな展開で実際にテストされた唯一のOpenStack実装系であり、136社の顧客の中にはWells FargoやOrange、DirectTV、Ericssonなどの有名企業もいる。EficssonはMirantisに投資もしている。彼によると、今回の大きな資金が得られたのは、投資家たちも同社の今後の長寿を信じているからだ。“うちもいずれ、VMwareぐらいのサイズの会社になるだろうね”、と彼は言っている。昨年の月商は100万ドルだったが、今では週の売上が100万だ。つまり、文字通りの急成長である。投資家たちが飛びつくのも、当然かもしれない。2016年にはIPOを検討したい、とも言っている。

そもそもMirantisは、やったことのすべてをオープンソースとしてOpenStackプロジェクトへ還元しているし、またOpenStack本体のアップデート等に100名あまりの技術者を提供している。今社員数が600名で、420名が技術者だから、その中の100名提供は、すごい。

そしてもちろん、今回得た1億ドルは人員増にも使われる。Ionelは、もし資金が得られなかったとしても、エンタプライズOpenStackのリーダーを目指す道を進むことは変わらない、と言っている。お金は、あるにこしたことはないが。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


お部屋”探され”サイト運営のietty、YJキャピタルとインキュベイトファンドから約2億円の資金調達

不動産ポータルサイト「ietty」を運営するiettyが、YJキャピタルとインキュベイトキャンプから総額約2億円の資金調達を実施した。また今回の調達にあわせて、YJキャピタル代表取締役の小澤隆生氏とインキュベイトファンド代表パートナーの和田圭祐氏が社外取締役に就任している。同社はインキュベイトファンドのインキュベーションプログラムでの最優秀賞獲得を契機にサービスをスタートした。2013年10月にはアイ・マーキュリーキャピタルから約5000万円の資金調達を行っている。

iettyは“お部屋探されサイト”をうたう不動産ポータルサイトだ。賃貸物件を探すユーザーがFacebookアカウントでログインし、引っ越しの希望条件を入力すると、その条件に合わせてiettyのパートナーである不動産業者がユーザーに物件を提案してくれるというもの。ユーザーはサイト上のチャットでやりとりしながら物件を探して、内覧の予約や業者への来店の調整ができる。

これまでの不動産ポータルサイトではユーザーが自ら物件を探す必要があったが、iettyでは不動産業者が提案をしてくれる。まさに「お部屋探し」でなく「お部屋探され」なのだ。またietty代表取締役社長の小川泰平氏いわく、業者が自ら物件を紹介してくれるということで、釣り物件——すなわち好条件なためにユーザーの集客に使われるが、実際には存在しない、もしくは契約が埋まっているような物件——が存在しない。今すぐ内覧できる物件だけを紹介してもらえるというメリットがある。現在会員登録は月次1000人ペースで増加。1人が4〜5人ほどの業者から物件の紹介を受けており、20〜30%が実際に来店するという。

また最近では、5月にリリースした法人向けサービス「ietty Biz」が好調だそうだ。このietty Bizは、法人の福利厚生サービスとして提供しているもので、サービスを導入する法人の従業員であれば、ietty経由で部屋を契約した際に仲介手数料の半額保証(0.5ヶ月分以下)をしてくれるというもの。

法人には費用が一切発生しないことに加えて、iettyがサービスを展開する東京都内には、「オフィスから2駅以内に住む場合に家賃を補助する」といったルールを持つ、比較的若いIT企業が多いことから非常にウケがいいそうだ。福利厚生サービスの一環として法人に提案するため、導入時には総務担当者などを通じて一度に数百人〜数千人の従業員に情報が共有されることもあってか成約率も高い。現在このサービスは約40社が導入している。手数料半額保証ということで1件あたりの売上は落ちるが、広告出稿などもせずに良質な見込み客が獲得できているということか。

こういった状況もあって、iettyでは2015年はじめにも黒字化が見えている。「レバレッジの効く事業でもないので泥臭いことをやってきたが、既存事業についてはこのまま突っ走っていけばいい様な状況が見えてきた」(小川氏)。そして更なる飛躍に向けて、今回の資金調達をふまえて新機能の開発を進めるという。その詳細については取材では明らかにされなかったが、2015年初にもサイトリニューアルし、新機能もお披露目される予定だ。加えて、政令指定都市を中心に、サービスエリアを拡大するとしている。

なおiettyは2013年11月に開催した「TechCrunch Tokyo 2013」内で行われたスタートアップ向けのプレゼンコンテスト「スタートアップバトル」にも登壇してくれた。TechCrunch Tokyoは2014年も開催予定なので、同社のような元気なスタートアップとの出会いに興味がある方は是非とも遊びに来て欲しい。


位置情報ベースのモバイル広告を展開するAdNearが1900万ドルを調達–国内からはグローバル・ブレインが出資

グローバル・ブレインは10月15日、同社が運営するグローバル・ブレイン5号投資事業有限責任組合を通じて、シンガポールおよびインド・バンガロールに拠点を置くAdNear Pte. Ltd.への出資を実施したと発表した。Adnearはスマートフォンの位置情報をベースとしたモバイル広告配信プラットフォームを提供している。

グローバル・ブレインの投資額は非開示。今回のラウンドでAdNearは、オーストラリア最大の通信事業者であるTelstraのほか、既存株主のSequoia Capital、Canaan Partnersからも資金を調達。その総額は1900万ドルとなっている。日本ではあまり知られていないAdNearだが、同社は2012年にインドでスタート。同年にはSequoia Capital とCanaan Partnersから630万ドルの資金を調達している。

同社が手がけるのは、スマートフォンの位置情報をベースとしたモバイル広告配信プラットフォーム。スマートフォンの位置情報をもとにユーザーの職業や年収、趣味・趣向などを推定し、特定の属性に限定して広告を配信したり、ジオフェンスを用いた広告配信(地図上に仮想的な境界線を設定して、そのエリア内に入ったユーザーに対して広告を配信する)をしたりしている。

Adnearの発表によると、同社では現在5億3000万人のユーザープロファイルを保有しているそうだ。特定の時間毎に位置情報を取得することでユーザーの属性を推定するのが特徴で、すごく大ざっぱに言えば、例えば朝は住宅地にいて、平日昼間は大学のエリアにいる、週末には住宅地や都心部にいるようなユーザーであれば「週末は都心部で遊ぶこともある大学生」だと判断するというような仕組みだそうで、20日もあればかなり精度の高いプロファイルがつくられるのだそうだ。

事業を展開するのはアジア太平洋地域。これまでにP&GやAudi、Unilever、BMW、Vodafoneなどのグローバル企業や、トヨタ自動車、ソニーなどの日本企業がクライアントになっているという。グローバル・ブレインでは今後、AdNearの日本進出支援も進めるとしている。


スペースマーケット、CAVとみずほキャピタルから約1億円の資金を調達

TechCrunchでもローンチ時からご紹介しているスペースマーケット。最近ではInfinity Venture Pertnersが主催するIVS(Infinity Ventures Summit)のLaunchpadで準優勝、B Dash Venturesが主催するB Dash Campのピッチアリーナで優勝、サイバーエージェント・ベンチャーズ主催のRising Expo 2014でも優勝。さらには僕も運営を少しだけお手伝いしているSkyland VenturesとトーマツベンチャーサポートのイベントであるStartup Pressでも、ジャーナリストの田原総一郎氏が最優秀プレゼンとして選出するなど、国内で開催されるスタートアップのプレゼンコンテストを席巻している。

そんなスペースマーケットが、10月14日サイバーエージェント・ベンチャーズとみずほキャピタルを割当先とした総額約1億円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。今回の資金調達をもとに経営基盤の強化を図るとともに、サービスの本格展開に向けて採用を強化していくという。

スペースマーケットでは現在800のスペースを取り扱っているそうだ。最近では東京・新宿のスタジオアルタ、東京都の猿島(同社いわく「初の“島”物件」とのこと)、帆船なども利用できるようになっている。現在もインターン、社員含めて積極的な営業で利用スペースの拡大を進めている。

またシナジーのある事業者と提携を進めているという。一例だが、会社のミーティングのためにスペースを借りたのであれば弁当やケータリングが必要になるが、これをスペースとあわせて予約できるようなサービスを目指すのだそうだ。スペースマーケットではすでに複数社と提携に向けて話をしているとのことで、年内にもサービスが始まる予定だ。


Dockerアプリケーションの運用管理を助ける視覚化ツールStackEngineが$1Mを調達

今日(米国時間10/1)100万ドルのシード資金を獲得してステルスを脱したテキサス州オースチンのStackEngineのプロダクトは、企業のITスタッフなど、dev(開発)よりもむしろops(運用, operation)側の人たちにDockerのコンテナを管理する方法を提供し、Dockerのインスタンスをコントロールする能力の一部をオペレーション側に与える。

同社のファウンダBob QuillinとEric Andersonは、CopperEggやHyper9、VMwareなどでオペレーションサイドにいた人たちだが、そんな彼らにも、急速に人気を拡大しているDockerは気になる存在だった。先月Dockerは4000万ドルの資金を獲得して、デベロッパたちの関心がなお一層高まっていた。

簡単に言うとDockerは、アプリケーションのためのLinuxコンテナを作る方法を提供するオープンソースのプロジェクトだ。アプリケーションが単一のサーバ上の一枚岩的なアプリケーションではなく、複数のサーバに分散するようになると、そういう現代的なアプリケーションをより効率的に展開しアップデートするための方法が必要になる。Dockerはまさにそれを、デベロッパに与える。

デベロッパが望むとおりの構造と機能を持つDockerは、デベロッパたちのあいだで、たちまち人気者になった。しかしStackEngineの協同ファウンダQuillinが指摘するように、その人気には、Dockerのコンテナを管理するオペレーションスタッフのための管理ツールの、開発が伴っていなかった。そんなギャップを機会としてとらえたのが、StackEngineだ。

“デベロッパたちがDockerを抱えて前進するための重要な活動はいろいろ行われていたが、現代的な管理をサポートするツールやソリューションがなかった”、とQuillinは説明する。

アドミンのためのツールとしてはPuppetやChef、そのほかのオープンソースのソリューションなどをつぎはぎして間に合わせる方法はあった。しかしDockerに関しては、何百何千ものDockerのインスタンスから成る大規模なアプリケーションの運用を管理できるほどの、高度な商用のソリューションがなかった。StackEngineは、それをねらった。

彼らは、オペレーションサイドがDockerの管理をすぐに理解できて、コンテナがVMwareの仮想マシン群や複数の(ベンダや場所の異なる)クラウドに分散している場合でも、もっとも効率の良い分散状態を実現して、それらの日常管理を自動化できるツールを作ろう、と思い立った。

StackEngineを使うと、スクリプトを書いてコンテナの始動、停止、移動などができるし、コンテナのホストや個々のコンテナに関する情報を視覚化できる。特定の情報だけをフィルタして見るのも、ワンクリックでできる。名前を指定して個々のホストやコンテナを検索できる。コンテナを複数のクラウドや仮想マシンのどこへでも配置して、動かすことができる。

プロダクトは現状でまだアルファだが、来月には公開ベータ、そして年内には一般公開にこぎつけるつもりだ。過去数か月、自己資金だけでやってきたが、Silverton PartnersやLiveOak Venture Partnersから100万ドルを調達できた今は、開発のピッチを早められそうだ。

かねてからDockerの周辺では、さまざまなツールの開発が行われているが、同社のように、すでに実働しているコンテナアプリケーションの、運用レベルの管理に特化したツールは珍しい。もちろん今では他社も同様のことをやっていると思われるが、こうやっていろんな企業が寄ってたかって、いろんなツールをすぐに作っていけるのも、オープンソースの大きな魅力とメリットの一つだ。DockerとStackEngineの例が、まさにそうであるように。

写真クレジット: (c) Can Stock Photo

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


マーク・アンドリーセン、スタートアップのバーンレートが過大と18回連続ツイートで警告

シリコンバレー最有力のベンチャーキャピタル、Andreessen Horowitzの共同ファウンダー、マーク・アンドリーセンは得意の連続ツイートでスタートアップのバーンレート〔ベンチャーキャピタルから投資された資金をスタートアップが支出する速さ〕が過大だと強く警告した。先週、ベンチャーキャピタリストのBill Gurleyがした発言に同意して、アンドリーセンは「自分も憂慮している」と述べた。

ツイートでアンドリーセンは「スタートアップはぴかぴかのオフィスや大量の採用などに金を使いすぎている。これらは成功の見掛けを与えるだけで、砂上の楼閣だ」と厳しく批判した。アンドリーセンは(名前こそ挙げなかったものの)こうしたスタートアップはやがて「泡と消える」と断言した。

アンドリーセンは連続18ツイートを「憂慮している」と締めくくった。

〔日本版:アンドリーセンのオリジナル・ツイートは原文参照。現在もTwitter上で活発な議論が続いている。アンドリーセンが高いバーンレートを批判する理由は数多いが、その一つは安易な人員採用の弊害だ。「すべての問題を新たな採用で解決する安易な態度を生む、採用するのは簡単だがレイオフするのは難しい、社員が増えれば内部コミュニケーションが煩雑になり意思決定が遅くなる」などの点を挙げている。〕

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


DockerがシリーズCで$40Mを調達、実際に使うのは来年再来年という絶好調の余裕

今ホットなDockerは、どれぐらいホットなのか? あまりにもホットなので、VCたちは同社が今使う予定のない資金までも、あげちゃうのだ。今日(米国時間9/16)同社が発表した4000万ドルの資金調達も、CEOのBen Golubによると、その金に手を付けるのは早くて来年の終わりごろだそうだ。

というか、細身で経営効率の高い同社は、今年の初めに獲得した1500万ドルがまだ十分に残っているのだが、でも、くれるというものは断らない主義なのだ。Golubによると、今回の投資によって市場は、同社の安定性と今後の長寿を理解したはずだ、という。

“これを使うのは来年遅くか、または再来年の初めだ。でも手元にこれだけあれば、今年中に思い切ってスケールできるし、市場には、あせって会社を売るつもりはない、という信号を伝えることができる”、と彼は説明する。資金の使い方にも、長期的な視点で臨む、ということだ。

彼曰く、“本物の起業家なら誰でも、最後まで自分でやるつもりで会社を作る。うちは、コミュニティからも投資家からも社員からもしっかりした支持と支援があるから、完全に自力で会社を育てることができる。投資家たちも早めの出口を望んでいない。彼らも、会社の中身をしっかり作っていくことに関心がある”。

同社が資金の賢い使い方をできる理由の一つは、経営がリーン(lean, 痩身, 無駄がなく引き締まっている)であることだ。営業やマーケティングはパートナーたちがやってくれるし、しかも彼らのやることを完全に信頼できる。開発の主力もコミュニティにあり、今やコントリビュータの数が600名に達している。さらに同社のアプリケーションストアにはDockerをラップするアプリケーションが35000本あり、それらの豊富なツールがコアプロダクトを一層充実させている。

こういうコミュニティ依存のやり方ではコントロールが行き届かないことをGolubも認めるが、それでも短所よりは長所の方がずっと大きい。結果について議論するのは、まだ早すぎる。“ある意味でうちは、パートナー営業とコミュニティ開発というモデルの正しい形とその成功事例を作り、そのやり方のリーダーにならなければならない。オープンソースの世界では何もかも自分でコントロールすることはありえないが、でもコミュニティの多様性と圧倒的なパワーが持つメリットは、完全なコントロールができないという小さなデメリットを大きく上回っている”、と彼は説明する。

Docker本体に関しては同社が全コードの80%を作り、筆頭メンテナの役を担っているが、コミュニティがそれに高い付加価値をつけ、また同社の中核的なデベロッパに対して現用チェックを提供している。多用な利用現場からのチェックだから、同社のデベロッパたちがひとりよがりになることが、防がれているのだ。

Golumによると、会社の方向性に対してコミュニティから異議が出たときは、間違っているのはだいたい会社の方だ、という。彼によると、コミュニティは企業内ではやれないようなエッジケース(未実証最先端ケース)にも取り組める。同社の技術者は最小限の数しか確保していないから、社内ではできないほどの大きなスケールでのテストも、コミュニティならできる。

今回のシリーズCのラウンドはSequoia Capitalがリードし、これにBenchmark Capital、Greylock Partners、Insight Ventures、Trinity Ventures、Yahoo!のファウンダJerry Yangらが参加した。Dockerの累積調達額は6500万ドルに達する。Dockerの前身であるdotCloudは、8月にcloudControlに売った

Dockerが作っているのは、現代的なアプリケーションのためのデリバリコンテナだ。Golubが指摘したように、5年前までは、一枚岩的で一台のサーバの上で動くアプリケーションが長年支配していた。しかし今では、それが完全に変わっている。アプリケーションは複数の部位で構成され、それらが多くのサーバに分散し、サーバの所在も頻繁に変化する。Dockerのコンテナは、そういうアプリケーションの各部位を“ドックに収容する”という意味であり、デベロッパたちがそのような分散アプリケーションを作って展開するのに適したツールだ。

Golubによると、それはデベロッパがデベロッパのために作ったプロダクトであり、そのモデルがこれまでのところ効果を発揮している。ユーザとデベロッパがそれぞれ別集団でないこのやり方は、Dockerの現状を見ても、確かに有効なようだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


これまでになかったのが不思議―150万ドルを調達したEnvoyはiPadの来客入館管理アプリ

会社を訪問するとロビーの受付で来客簿に記入して担当者を呼んでもらう。このプロセスにイノベーションが必要だとは誰も思いつかなかった―Envoyの登場までは。

Googleで4年、Twitterで3年、インフラのエンジニアとして働いた後でLarry Gadeaは昨年11月にEnvoyを創業した。これはiPadベースの来客入館管理システムだ。Twitterを辞めた後、Gadeaは他のテクノロジー企業に勤める友人を頻繁に訪問するうちにこのアイディアを得たのだという。

Airbnbに行くと古臭いクリップボードに名前を書くようになっていたが、GoogleとAppleには自前の入館管理システムがあった。「GoogleとAppleはさすがだな」とGadeaは感心した。「しかし待てよ。どうしてAirbnbには専用システムがないのだ? それにAppleとGoogleがわざわざ人手を割いて本業とは関係ないシステムを開発したということは、入館管理というのはよほど重要な業務なのだろう」とGadeaは気づいたという。

そこでGadeaは4人の仲間(Teng Siong Ong,、Ben Angel,、Kamal MahyuddinWells Riley)を集めて来客管理システムの開発にとりかかった。最初のアプリは昨年App Storeに登録され、19.99ドルの売り切り方式で販売された。今回EnvoyはビジネスモデルをSaaSに改め、一建物当たり99ドルのベーシック・コース、249ドルのプレミミアム・コース、 499ドルのエンタープライズ・コースが用意された。本日からサービスが一般公開され、受付が開始されている。

べーシック・コースは、NDA(秘密保持契約)への署名、入館証の印刷、来客の顔写真入りでSMSとメールによる面会相手への通知、などの機能が用意されており、来客人数無制限だ。

もちろん、タブレットにはSign In for iPadやReception for iPadなどの来訪者管理アプリが存在する。しかしGadeaは「そういうアプリもあるが、入館管理専門に真剣に取り組んでいるのはわれわれだけだ」と自信を見せる。

現在、来客管理アプリではHID GlobalのEasyLobbyが有力だが、Envoyはロビー受付のハードウェアにiPadを用い、洗練されたUIを提供することで対抗していく考えだ。

GadeaはEnvoyをCRMとビッグデータ収集の分野にも拡張していく野心を抱いている。これにはシード資金を投資したのがMarc Benioffであることも影響しているかもしれない。EnvoyはBenioffに加えてAdam D’AngeloJeremy StoppelmanRazmig HovaghimianYishan WongHarj TaggarAlexis OhanianGarry TanBlake Krikorianemil Shah、 Tobi Lutke、Yun-Fang JuanBobby GoodlatteKent LiuTammy NamJavier Olivan、Ali Rosenthalから総額150万ドルのシード資金を調達している。

Gadeaは「受付担当者がいない、あるいは人数10人以下の会社は当面ターゲットにならない。また病院やクリニックの受付はHIPAA(医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)に準拠する必要があるため、今後の課題となる」と述べた。

Envoyには現在250社の有料顧客があり、黒字化間近だという。顧客には200人の社員を擁する産業用大容量送風ファンのメーカー、Big Ass Fansも含まれている。サービスのローンチ当初はこのBig Ass Fansが最大のユーザーだったという。現在、Envoyのユーザー企業のうち30%はハイテク関連以外だ。「われわれのユーザーには石油精製、教会、金融機関、学校、工場、倉庫、なんでもありだ」Gadeaは自慢する。

「入館管理のようなサイドプロジェクトにリソースを割いて内製するよりもEnvoyのようなこの分野専門に真剣に取り組んでいる会社のシステムを利用するほうが得策と考えた」とBoxのシステムエンジニアのJohn Allenはいう。BoxもEnvoyのファンだ。.

テクノロジー系企業では他にLyft、Pixar、Jawbone、Yelp、PalantirがEnvoyを利用している。そしてとうとうAirbnbもユーザーに加わった。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


縁の下の力持ちでいい–DeNA原田氏が描くベンチャー投資戦略

ソーシャルゲームのプラットフォーマーとして君臨していたディー・エヌ・エー(DeNA)。2013年3月期までは好調な売上を達成した同社だが、直近の決算発表ではゲーム事業の売上減が続いている。だがそれを甘んじて受け入れる同社ではない。急ピッチでゲームの次の柱となる事業を模索している。8月6日の決算でも、新事業や投資についての説明があった。

同社では遺伝子検査の「MYCODE」や電子コミックの「マンガボックス」、動画ストリーミングの「SHOWROOM」といった事業を展開。また一方では、事業シナジーを狙ったベンチャー投資にも積極的な姿勢を見せている。2014年1月には社内に戦略投資推進室を設置。その動きをさらに加速させている。

DeNAのコーポレートサイトで開示しているのはゲーム動画共有プラットフォームを手がける米Kamcordやカップル向けアプリ「Between」を開発する韓国VCNCだけだが、クラウドソーシングサービス「Any+Times」のエニタイムズ、中高生向けIT教育のライフイズテック、駐車場の持ち主と一時利用者のマッチングサービス「あきっぱ」を手がけるギャラクシーエージェンシー、鮮魚流通サービス「八面六臂」の八面六臂、バイラルメディア「CuRAZY」のLAUGH TECHなどさまざまなスタートアップに出資しているのが分かる。

同社の投資事業について、元ミクシィ取締役であり現在DeNA戦略投資推進室 室長を務める原田明典氏に聞いた。

–改めてDeNAの投資スタンスを教えて下さい。

原田氏(以下敬省略):戦略投資なので、事業シナジーがベースになります。ですがDeNAもある意味ではまだまだベンチャー。次のコアとなる新事業を作り続けています。

そのため、戦略投資といってもゲーム事業とのシナジーだけを考えてやるわけではありません。ヘルスケアやマンガなどの領域でも投資をやっていきます。基本的には「ネットかつコンシューマー向けのモノ全部」です。マイナー投資をやる場合もあれば、マジョリティーを取る場合もあります。ケースバイケースです。

立ち上げをサポートするような投資もやりますし、ユーザー規模がある程度大きくなって、DeNAでサポートできることが見えてきたものにも投資します。VCNCやKamcordのように、すでに比較的ユーザーも多くなっているサービスのビジネスをどう成長させるかということも支援しています。

DeNAでは自社でもさまざまな分野の新事業を手がけています。そこ(新事業の方針)に乗っ取ったサービスであればM&Aもあり得ると思っています。ただし、M&Aに関しては、戦略投資推進室を設置した1月からの実績は今のところありません。

–投資する事業領域についてはどうお考えですか。

原田:内部的にはいろいろと(目標を)持っているのですが、詳細は社外に公表していません。大きくはプラットフォームやコミュニケーション、リアル産業変革という領域になります。

こう言ってしまうと「何でもアリ」というように聞こえてしまうかも知れませんが、モバイルやスマートフォンの登場によってチェンジするもの、FacebookやTwitterなどソーシャルメディアの普及後だからこそ成立するバリューに投資したいと考えています。

例えばPinterestやInstagramといった画像SNSはまだ日本ではそこまで普及していません。ここで海外で流行しているのと同様のサービスを持ってきてもはやりません。スマートフォンがはやっていないときにメッセージングサービスを持ってきても成功は難しい。環境の変化を見て、今から旬になるものを考えています。それで今の旬が何かというのは今は話せないのですが。

–ポートフォリオは一部しか公開していません。これまでの投資件数や投資額について教えて下さい。

原田:契約、入金前の段階の会社も含めて国内外で20〜30社というところです。ほぼ毎週ペースで投資の意思決定を実施しています。投資先が公開せず、DeNAの業績への影響が軽微なものについては、ステルスで(発表せずに)投資しています。前述の通り規模感はいろいろあるので、小さい金額であれば数カ月のデューデリジェンスをして……というのではなく、素早く関係構築するようにしています。投資額はアーリーステージで1000万円程度からです。大きい案件になると当然交渉もありますので、今後に期待頂ければと思います。

ベンチャー投資で重要なのは起業家のマインドです。我々は事業とチームの相性がよければ投資したいと思いますが、一方で投資を受ける側がファイナンスについてどう考えているかというとさまざまなケースがあります。投資についても今日明日で考え方が変わることがあります。なので先方の状況に合わせていかに対応できるか、柔軟さを維持できるようにしています。M&Aも同じです。ジャンルによってはスタートアップとしてやるより、(M&Aして)マスプロモーションやマーケティングで勝負する方がいいこともあります。

最近はスタートアップがマスに出て勝負するまでのリードタイムが短くなっている傾向にありますし、そういうところでバトンタッチ先を探している場合もあります。DeNAには社内のリソースもありますし、グロースステージの支援をするのは得意です。

–投資先がVCではなくDeNAに資金を求める理由をどうお考えですか。

原田:海外のプレーヤーは分かりやすいですね。彼らは日本やアジアに参入したいというニーズがあります。先日もKamcordは国内でゲームデベロッパー向けに勉強会を開催しましたが、資料1つとっても(自分たちだけで)日本向けに作るのは難しい。またBetweenのVCNCも国内のマーケットを分からないところがありました。例えばデザイン1つとっても、韓国は「かわいい系」でシリコンバレーは「クール系」が主流。日本はその中間といった国ごとのトーンがあります。そこでUIやデザインのトーンをチューニングするお手伝いなどもしています。

自社の新事業であるマンガボックスやMYCODEは、初期投資も大きく、スタートアップとは違う戦い方をしています。同様にこれまでプロダクトで勝負してきて、(マーケティングなどで)ぐっとスケールするときにお声がけ頂けると我々も支援しやすいと思っています。

一方で「これから起業する」という方もいます。そういう場合、インキュベイトファンドや川田さん(DeNA創業者の川田尚吾氏でエンジェル投資家)などのインキュベーターを紹介して、共同で投資することが多いです。例えばですが、創業期のオフィスを選ぶ場合であっても、「渋谷駅から南東50mくらい、築30年の物件の坪単価」といった具体的な情報を彼らは理解してています。

キャリアなんかもグロースステージの支援をすると言っていますが、私もキャリアに居た経験から(筆者注:原田氏はNTTの出身だ)すると、ネットベンチャーに対してキャリアができることは限られてきています。2005年頃にはもう公式サイトからのリンク、i-modeの規制緩和といったことしかできなくなっていました。あとはいかに料金を下げるかでしょうか。キャリアが手伝えることは世界的に減ってきています。なので、こういう(DeNAのような)クラスのネット企業が支援すれば、かつてのキャリアのように貢献できることがあるのではないでしょうか。

また、どれだけ「縁の下(の力持ち)」になるかがポイントになると思っています。DeNAが投資することがマイナスにならないように考えて、あまり前に出ないようにしています。例ですが、(ジャニーズ事務所の創業者である)ジャニー喜多川さんなどはメディアには出ず、徹底してタレントを輝かせていますよね。私も表に出てパフォーマンスをするのは違うと思っていますし、得意ではありません。

タレントプロダクションの話をしたので続けますが、実はプロダクションに学ぶことはいろいろあります。例えば楽曲提供1つとっても「このチームだからこのプロダクトだった」ということをよく考えていますよね。Snapchatだってスタンフォードの学生がやっていなければここまではやらなかったのではないでしょうか。私が「週末起業で作りました」といって提供していたら、「サラリーマンのチャットなんて使いたくない」となっていたかも知れません。どういうタレントがどういう事業をやるかを考えるのは重要ですよね。

–DeNAではどういう起業家やチームを求めているのでしょうか。

原田:人と事業との組み合わせで投資をします。日本にない事業、フロンティアタイプの事業であれば、右脳的なセンスというか直感的なセンスが必要で、エグゼキューション(実行、実現)力はその次です。

一方でそこそこ市場が見えていて、フォロワー戦略でも勝てる、実行力勝負をするという場合、エグゼキューション力が大事になります。そうなるとリードしている人と事業の相性、事業のフェーズというところを見ます。

例えばGunosyの木村さん(木村新司氏)やFablicの堀井さん(堀井翔太氏)、笠原さん(ミクシィ創業者の笠原健治氏)などもそうですし、DeNAの投資先で言うとVCNCのジェウク(パク・ジェウク氏)は学習力と実行力があります。プロダクトファーストではありますが、カカオトークなど競合サービスからもよく学習しています。このあとはマーケティング勝負です。スタートアップにはプロダクト勝負でいけるフェーズと、(競合が追いついてきて)プロダクト勝負ではなくマーケティング勝負になるフェーズがあります。ここで彼らがギアチェンジできれば、チームとして面白くなるでしょう。

–投資している地域について教えて下さい。

原田:(日本のほかは)ベイエリアが中心になります。USでの投資には、リサーチの目的もあります。単純にグロースしている会社をM&Aすると1、2ビリオンドルになるので、“ヘビー級の勝負”をするのはこれからですね。

米国を担当するのは、元カカクコムの安田(安田幹広氏)です。実は守安(DeNA代表取締役社長の守安功氏)と安田と私の元COOトリオで投資事業をやっています(筆者注:守安氏はDeNA、安田氏はカカクコム、原田氏はミクシィでそれぞれCOOを務めていた時期があった)。投資対象としては、自分たちで作れない、かなわないというようなサービスを見ています。安田はコマースが得意ですし、ソーシャルであれば僕、ゲームだと守安というように分担しています。

–投資は別として、原田さんが一番興味を持っているテーマを教えて下さい。

原田:シェア、シェアリングエコノミーです。地球の資源は有限で、それをなるべく共有化するものが一番興味あります。

コミュニケーションサービスをやっている中でシェアという概念に出会いました。ITよりもっとリアルな——既存の産業の中で——共有によって変わっていくものごとに興味を持っています。

最近ではIoTというテーマもよく挙がりますが、私は(世の中と)少し考えが違っていて、「いかにモノを最小化にとどめるか」ということこそがIoTなのだと思っています。専用機を増やすのではなくて、「これだけ最低限あればいいよね」というものを提供するということです。

IoTのバックボーンにIoL(Internet of Legacy)という考えがあると思っています。レガシー産業の専用機なんかもう必要ないのではないでしょうか。例えば駐車場で(発券したり、車をロックするような)専用機は必要ありません。投資先のあきっぱのようなサービスがあればいいでしょう。リクルートやSquareが手がけるレジサービスもPOSや専用機を必要としません。彼らはハードウェアをミニマイズしています。


スマートニュースがグリー、Atomico、ミクシィなどから約36億円の資金調達

ニュースリーダーアプリ「SmartNews」を手がけるスマートニュースは8月8日、グリー、外資系ベンチャーキャピタルのAtomicoをリードインベスターとした総額約36億円の資金調達を実施したことを明らかにした。出資比率などは非公開。引受先はグリーとAtomicoのほか、ミクシィ、グロービス・キャピタル・パートナーズ、エンジェル投資家のWilliam Lohse氏(米Ziff-Davis Publishing元President)、川田尚吾氏(ディー・エヌ・エー共同創業者)、その他となっている。

ニュースリーダーアプリと言えば、「Gunosy」を提供するグノシーが、直近(3月、6月)にKDDIなどから合計24億円の資金調達を実施したことを明らかにしており、テレビCMを含めた大々的なマーケティングを展開。テレビCMによると、現在450万ダウンロードを突破しているという。またグライダーアソシエイツの「Antenna」もテレビCMや交通広告を展開している。それ以外にも、LINEの「LINE NEWS」やユーザベースの「NewsPicks」、JX通信社の「Vingow」などさまざまなサービスが提供されており、その覇権争いも激化している。

スマートニュースも7月末に400万ダウンロードという実績を発表しており、8月からはテレビCMを展開している。広告代理店関係者から6月に「資金調達すればすぐにもテレビCMを作成することになるだろう」といった話を聞いていたし、7月には複数の関係者から「すでに一部の資金が着金して、テレビCMの制作に入った」という噂も聞くことがあった。スマートニュースはバリュエーション(評価額)を公開していないが、200億円超のバリュエーションで資金調達を進めていたとの噂もある。

AtomicoはSkype創業者であるニクラス・ゼンストロームが手がけるベンチャーキャピタル。日本拠点では、元Skype日本代表の岩田真一氏が投資や投資先のビジネスマッチングなどを手がけている。ソフトバンクとガンホー・オンライン・エンターテイメントによるフィンランドのゲーム開発会社Supercellの買収のアレンジなども手がけている。この出資をきっかけに世界進出を進める。またグリーとはゲーム等の事業で、ミクシィとはネイティブ広告ネットワーク分野での業務提携を行うとしている。かつては国産SNSの競合とも言われたグリーとミクシィが1社に出資するのは、芸者東京エンターテインメント以来となるはずだ。

なお、スマートニュース創業メンバーであり、取締役を務めていた鈴木健氏が6月18日付けで共同代表に就任している。TechCrunchではこのあと鈴木氏らスマートニュースのメンバーに取材をする予定だ。


クラウドワークスがリクルートを割当先とした第三者割当増資–理由は資金ニーズより事業シナジー

クラウドソーシングサービス「クラウドワークス」を運営するクラウドワークスは8月8日、リクルートホールディングスの投資子会社である合同会社RSPファンド5号を割当先とする第三者割当増資を実施した。金額は非公開だが、数千万円程度と見られる。

同社はこれまでサイバーエージェント、電通といった事業会社のほか、ベンチャーキャピタルなどから約14億円を調達している。今回の調達は資金ニーズありきの資金調達というよりは、事業シナジーを狙ったもののようだ。

クラウドワークスは2014年7月までに会員登録数19万8000人。累計約3万6000社が発注。登録された仕事の予算総額は142億5000万円を突破。月間契約額も増加しているという。

クラウドワークス代表取締役社長の吉田浩一郎氏によると、今回の増資を契機にリクルートグループ全体でのクラウドワークスの利用を促していくという。あわせて、クラウドソーシングを活用したリクルートグループの新規事業も検討する予定だ。

ところでリクルートグループと言えば、2013年にオーストラリアのクラウドソーシングサービス「Freelancer.com」のM&Aに関する話題があった。今回の資金調達をきっかけにクラウドワークスがリクルートへのバイアウトを狙っているか吉田氏に尋ねたところ、「原則はIPOを目指す。ただし、リクルートとのシナジーを考えると、資本提携の比率を増やすといった選択肢は考えられる。だが100%のM&Aについては現段階ではあり得ない」ということだった。