お金のないバイオテク・スタートアップのために試験を低費用で代行するTranscripticが広い建物に引っ越した

 

Transcripticはクラウドを利用するバイオテクのラボで、まだ実験段階の薬の試験をロボットなどにより自動化する。このラボは、シリコンバレーの多くのバイオテク企業にとって、重要なプラットホームになっている。

このプラットホームはとくに、Y Combinatorのようなインキュベータ(孵化器)から巣立ったバイオテク企業が重宝している。まだほとんどお金のない連中でも、低料金で、しかも早く、試験結果が得られるからだ。Transcripticは一社あたり2万ドルのクレジットを、Notable LabsやAtomWiseなどYC出身のスタートアップに提供して、シリコンバレーの中に新薬発見産業を育てようとしている。

新薬が市場に出るまでには平均して12年の時間と数十億ドルの費用がかかる、と言われている。Transcripticによると、同社のサービスは科学者たちがリモートで大量のデータを自動化機器(〜ロボット)で生成処理することを可能にし、わずか数日で、かつ低費用で、試験結果を作り出す。新薬の市場化のためにはほかにもいろいろやるべきことがあるが、このラボのおかげで、人の命を救える新薬をよりはやく、より低コストで市場に出すことができる。

こういう、ロボットを利用する試験施設はEmerald Cloud Laboratoryなどほかにもあるが、Transcripticの場合は、高価で従来的な自動化装置を購入するのではなく、ロボットも、それらを動かすコードも、自作だ。このやり方が低コスト化に貢献し、またスケールアップも迅速にできる。

Transcripticは最近、サンフランシスコに近いMenlo Parkの22000平方フィートの施設に引っ越した。これで今後の成長が可能になるし、サービスの内容も多様化できる。本誌TechCrunchは、ファウンダのMax Hodakと一緒に、新しいスペースを見学した。

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履歴書では人物が分からない…HigherMeは時給制の店員などの適材を見つけるオンラインサービス

その仕事にぴったりの人を雇いたいと思っているとき、履歴書はあまり役に立たない。

どんな仕事でもそうだと思うが、今Y Combinatorという孵化器の中で温められているHigherMeの協同ファウンダRob Hunterによると、時給制の店員などがとくにそうだと言える。履歴書に書かれている職歴よりも、どこに住んでて、どの時間働けて、人柄はどうか、という点が何より重要だ。

それは、Hunter自身が経験から学んだことだ。彼はアイスクリーム店Marble Slab Creameryのフランチャイズを数店抱えていたが、思い出すのは最初のころの店員Kendraのことだ。その履歴書は、どの高校生でもそうだが、あまりぱっとしなかった。サッカー部にいるとか、ベビーシッターのバイトをしたとかは、彼女のアイスクリームを盛るスキルについて何も語ってくれない。履歴書は誤字だらけだったが、それもアイスクリームを売ることとは無関係だ。

Hunterは言う、“履歴書を見ただけだったら、彼女を雇わなかっただろう”。でも実際に会ってみると彼女は、“意外にもとても頭の良い聡明な若者だった”。しかも店のすぐ近くに家があったので、彼が必要とするシフトに十分対応できた。

Hunterの思い出によると、Kendraを雇ったことは店の経営にとって満塁ホームランだった。彼女は大学に入るまで数年間店にいて、“私にたくさん儲けさせてくれた”。そこで彼の協同ファウンダJef ChedevilleとEvan Lodgeと共に、雇用者が世界中のKendraを見つけることのできるサービス、HigherMeを立ち上げた。

このサービスにアクセスした求職者は、雇用者がいちばん関心を持っている情報を提供する。それが過去の職歴のこともあるが、しかしHigherMeは住所や働ける時間帯も尋ねるし、また雇用者が聞きたいと思っている質問も尋ねる。求職者はビデオを添付してもよい。そのほうが、文章よりも自分の人柄がよく伝わるかもしれない。

雇用者は履歴書の山をかき分ける代わりに、求職者が現れるたびにメールをもらう。そこには求職者の情報のほかに、100点満点による適性評価もある。また雇用者には、すべての求職者を一望するためのダッシュボードが与えられる。そこで、彼らと対話しながら面接をスケジュールできる。

今年の初めにローンチしたばかりだから、Hunterによるとまずお店や企業に訴求する。それから、求職者が地理的なターゲット広告から来るようにする。そういう、地理分けしたターゲット広告はいろんな地域を対象にできるから、求人店があちこちに複数あってもよい。

求職者はサービスを無料で利用できる。求人側は、一地域一か月50ドルから数百ドルまで。スタートアップが時給制の労働者を雇うために利用してもよいが、そういう、物理店のない求人の場合は、もっとよく考えた課金にしないといけない、とHunterは言っている。

今のYCには、HigherMe以外にも、雇用関連のスタートアップがいる。たとえば今日(米国時間3/20)は、技術系の人材を対象とするSmartHiresも記事にした

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a16zが出資しているuBiomeが歯のバクテリア収集のためIndiegogoでクラウドファンディング

自分の胃腸の中のバクテリアのフロラやファウナに関心を持ったことある?

歯は、どう?

Y Combinatorのバイオ系育成企業uBiomeは、かつてAndreessen Horowitz(a16z)から資金を調達したが、今度は歯のバイオームに着目して二度目の資金募集を開始した。

バイオーム(biome, 生物群系)とは、体の中の何兆というバクテリア全体の生態系のことだ。人間の体の細胞の数は10兆ぐらいだが、微生物の細胞はその10倍ある。100兆のそれらすべてが、人体のバイオームを構成している。

通常それらは無害だが、体重や健康状態や消化やそのほかの疾病に、予測困難な影響を与えることもある。

uBiomeは人間のバイオームの配列を決定するためのサンプリングを、2年前にクラウドファンディングにより開始した。彼らは35万ドルを集め、資金提供者は2500名にのぼった。この研究でuBiomeは、UCSF(カリフォルニア大学サンフランシスコ校)の歯科医学の教授で、生物情報科学の博士号を持つJeremy Horstとパートナーする。

Indiegogoの資金募集キャンペーンでは、サンプルを採取するためのキットを79ドルで支援者に買ってもらう。同社はサンプルを処理し、配列を求め、その微生物学的成分を理解する。そして発見された微生物と、それらが次の研究に与える影響について、報告書を共有する。

uBiomeの長期的なビジョンは、市民科学者や市民研究者たちの大きなコミュニティを育てることだ。

uBiomeの協同ファウンダJessica Richmanによると、同社の顧客の多くがこれまで何度も試験に協力し、プロバイオティクス(善玉菌)サプリメントの効果や、彼らのバイオームの構成などの研究に貢献してくれた。

“大きなデータ集合からインサイトを得て、それらを今後、治療や診断のためのツールにしていかなければならない”、と彼女は言う。そのデータ収集はもちろん、理解と合意の上で行われなければならない。

たとえとしては、23andMeが遺伝子に対して行うことを、uBiomeは個人のマイクロバイオーム(体内微生物叢)に対して行う。それは消費者製品だが、今後のもっと大きな研究コラボレーションの基盤になる。マイクロバイオームにはどんな個人差があり、それが健康にどんな影響を及ぼすのか…それはまだ、ほとんど未知の研究分野だ。

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デトロイトで人助けの寄付をクラウドソーシングするプラットホームDetroit Water Project、他都市への展開も構想

助けはどこからでもやってくる。そしてデトロイトの市民は助けを必要としている。2014年にデトロイト市は、合衆国の歴史上最大規模の自治体破産の最中(さなか)にいた。市は財政立て直し策の一環として、水道料金滞納世帯に対して断水を敢行した。2014年だけでも33000名の市民が水を断たれた。市は今でも未払水道料金の徴収努力を続けているが、しかしThe Detroit Newsの最近の報道によると、水道局は矛先を一般市民から企業へと移そうとしている。

そこで、水は基本的人権の一部だと主張する団体Detroit Water Projectが、未払の水道料金請求書をどっさり溜め込んでいる人びとにチャリティの寄付を結びつけることによって、彼らの命を救おうとしている。つまり世帯主がいわば、水道料金をクラウドソーシングするわけだ。未払料金は、ときには数千ドルに及ぶこともあるが、寄付者はその全額を払ってもよいし、一部を払ってもよい。同団体は今ではボルチモアにも進出して、Baltimore Water Projectを立ち上げている。

今ではNPOやNGOも育成支援しているアクセラレータY Combinatorの、2015年冬のクラスでローンチした協同ファウンダのTiffani Bellによると、彼女はデトロイトで始まった大規模な抗議運動に刺激されてこのプラットホームを開発した。当時は、直接的な援助が何もなかった。Detroit Water Projectがその穴をうめ、寄付につきまといがちな不確実性を取り除いた。水道料金の請求書は、すべて本物であることをチェックする。完全にNPOなので、お金は全額市の水道局へ行く。人助けボランティアであり、寄付の鞘(さや)を取る営利事業ではない。

これまでDetroit Water Projectはデトロイトの900あまりの世帯のために17万ドルを集めた。

Bellによると、このような団体をほかの都市にも育てることによって、水が合衆国国民の基本的人権に属することを正式に立法化したい。公共財である水を、真に公共財として保護する法律は、まだ存在しない。暖房に水が使われる場合のみ、生活保護的使用が認められる(スチームヒーターなど)。

生活保護のような低所得者支援制度はデトロイト市にもある。全国的な慈善団体United Wayに依存している制度だが、有資格の市民は未払公共料金の一部をその制度から払ってもらえる。有資格世帯は今2000近くあるが、市当局によるとこの制度の資金にはまだ余裕があるので、もっと多くの市民に知らしめたい、という。

NPOスタートアップDetroit Water Projectは、人助けにもイノベーションがありえることを、示している。ファウンダたちは、このプラットホームを築くことによって、寄付とその利用に往々にしてつきまとう面倒な手続きや、本来は要らないはずの手数料などをバイパスした。助けは、特定の決まったところからではなく、彼らが信ずるように、どこからでも*来るべきものだからだ。 〔*: 不特定任意の寄付者。〕

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Y Combinatorがこれまで育てたのは842社、2015冬季では女性ファウンダが22%

Y Combinator(YC)は、DropboxやReddit、Airbnb、Stripeなどなどを育てた、今や業界のリーダー格のアクセラレータだが、今朝同社は、同社の現状を表す一連の数字を発表した。いちばん印象的なのは、同社の育成企業が近年、とても多様化していることだ。

まず、同社がこれまでに資金を提供した企業の累計総数は842社で、投資総額は30億ドルあまり、時価総額の合計は300億ドルあまりとなる。現時点で10億ドルを超える企業は4社、1億ドル超は32社となる(買収された企業も含む)。本誌TechCrunchのライターJosh Constineが書いていたように、YC自身の現在の理論上の時価は10億ドルあまりとなる。

YCは集団投資事業を年2回、冬と夏に行っているが、現在の2015年冬はこれまでで最大で、114の企業を対象にしている。それらの企業は以前に比べると大幅に多様化していて: 2015冬では21.9%の企業はファウンダが女性、黒人が7.9%、ヒスパニックが5.2%となっている[原注: 最初の数字では女性23%、黒人8%、5.3%がヒスパニックだったが、今日までの数日間で対象企業の構成がやや変わったために改訂された]。

2015冬ではファウンダの年齢層の幅も広がり、最年少は20歳、最年長は66歳だ。平均年齢は30.27、メジアンは29である。もっとも生きの良いスタートアップのファウンダは10代の学生、という説は、過去の神話になってしまった。2015冬の詳しい数字は、ここで見られる。

テク業界は、業界全体としては多様性(diversity, ダイバーシティ, 性的・人種的多様性)、多様化がまだ遅れているが、YCは一歩も二歩も進んでいるようだ。

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天然ガスを人工微生物に食べさせて工業用化学物質を作り出すIndustrial Microbes

East Bayに生まれY Combinatorに育てられたIndustrial Microbesは、バイオ燃料で長年の経験を持つ三人の合成生物学者が創始したスタートアップだ。

三人はバイオ燃料のスタートアップLS9で出会った。同社はクリーンテクノロジのブームに乗って8000万ドルあまりを調達し、人工的に作ったバクテリアから燃料を作ろうとしていた。しかしベンチャー企業としてのLS9は、その後鳴かず飛ばずで、結局昨年、6150万ドルで買収された

でもLS9で出会った三人、Derek GreenfieldElizabeth ClarkeNoah Helmanは、それぞれ、スタンフォードとUC BerkeleyとUCSFでPhDを取っており、自分たちの新しい企業を作って出直そうとしている。Industrial Microbesの目標は、天然ガスを工業用化学物質に変える微生物を設計することだ。

重要な違いは、バクテリアが糖ではなく天然ガスを消費すること。LS9のようなバイオ燃料企業は、糖のコストが大きいため、他と競合できるエネルギー価格を実現することが難しい。燃料以外の化学物質の市場は170億ドルの規模だが、やはり原料が糖ではなかなか難しい。

Greenfieldは曰く、“糖は原材料と見なされることが多いが、しかし良い原材料ではない。天然ガスは糖の1/4の価格だ。石油よりも安く、埋蔵量も多い。しかもそれは、合衆国で産出される。エネルギー効率は高いし、パイプラインのインフラもすでにある”。

Greenfieldらは、1970年代に発見された、泥炭湿原などで天然ガスを消費している微生物の遺伝子素材を利用しようとしている。元の微生物を育てるのは困難だが、それらのバクテリアから採取した酵素と遺伝子を一般的な微生物に注入してやり、天然ガスを食べて工業用化学物質を作り出す能力を持たせることはできる。

同社の最初の目標化合物はリンゴ酸だ。それはあらゆる生物が作り出すジカルボン酸の一種で、りんごの酸っぱさの元だ。リンゴ酸は、食品添加物として広く利用されている。これを十分な低コストで作れば、生分解性のプラスチックを作れる。そして最終的に彼らは、糖ではなく天然ガスから、安価な液体燃料を作るつもりだ。

DNA解読の費用はムーアの法則よりも高速に下がりつつあるので、Greenfieldらが行うさまざまな実験も、10年前に比べると、とても安くできるようになっている。費用の低下傾向に伴って今では、生物情報科学や合成生物学の分野のスタートアップが数多く生まれている。Y Combinatorの同窓生としては、Counsyl20nなどがいる。

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良質なAPIドキュメンテーションと共にAPI利用者のためのデベロッパハブも提供するReadMe

Y Combinatorで孵化したReadMeは、デベロッパ向けにAPIを提供している企業が、APIの良質なドキュメンテーションを容易に作れるようにしてくれる。

今はほとんどのサービスがAPIを公開しているから、それらを利用すれば自分が作るアプリケーションやサービスに高度な機能を簡単に実装できる。でも、APIをデベロッパにぜひ使っていただきたい、と願っている企業から見ると、そこにはデベロッパたちのマインドシェアを奪い合う激しい競争がある。

デベロッパには、自分のところのマップを使ってもらいたいし、自分のところのレストランレビューデータベースを使ってほしい、というとき、どうしたらいいか? APIの機能と特長を、デベロッパの心に強く焼き付けるしかない。誰もが、自分が最高の好印象を持ったAPIを、使おうとするだろう。

でもStripeの速い成長が示しているように、機能が比較的安定している場合でも、その技術の利用や展開が果たして容易か、ということは、また別の問題だ。Stripeのドキュメンテーションには、その決済・支払APIの使い方がとても分かりやすく書かれている(良質なAPIドキュメンテーションのお手本、と言われている)。これだけやさしく書かれていれば、有料会員制を試してみたいと思っている個人のブロガーでも、あるいはもっとスケールして売上を増加させたいと願っているスタートアップでも、容易にその望み…決済支払機能…を実装できるだろう。

ReadMeはProduct Huntでとても好評だった。ローンチがやや遅れたにもかかわらず、大きな関心が集まった。同社は早くから利益を上げるようになり、また、オープンソースの人たちも注目した。オープンソースのチームは、このサービスを無料で使える。

ローンチしたばかりのクローズドソースのプロジェクトはReadMeの上にデベロッパハブを作って、そこからドキュメンテーションを提供できる。サービスの基盤にあるAPIキーの生成機能も便利だが、デベロッパにいちばん人気があるのは月額60ドルのサービスだ。ユーザはそこでカスタムドメインとHTML/CSSによるレイアウトを利用でき、またAPIエクスプローラーがドキュメンテーションの中からAPIの機能を試行/試用させてくれる。まさに、デベロッパハブ的な機能だ。

ReadMeの協同ファウンダGabriel Dillonによると、今では50万人のデベロッパが、さまざまなオープンソースプロジェクトや、Yammer、Getaround、IndiegogoなどのAPIのドキュメンテーションに、ReadMe上でアクセスしている。

スタートアップのデザインやエンジニアリングを指導しているGregory Kobergerによると、デベロッパが自分の目的に応じて最適のAPIを検索〜発見できるようになれば、ReadMeの魅力はさらに向上する。その点に関しては、最終的には、ユーザの閲覧履歴やGitHubのプロフィールなどからReadMe自身が判断して、お役に立ちそうなAPIをリコメンデーションしてくれるようになるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa


Yコンビネーター出身のSIRUMは、未使用医薬品を低所得患者に再配布する


推定50億ドル相当の処方薬が毎年焼却され、下水に流され、あるいはゴミに捨てられている。約20億ドル分の薬が長期療養施設の棚で有効期限が切れるのを待っている。シカゴ大学の研究者の調べによる。

これはとんでもない無駄だ。処方薬はこの国の医療システムにおける最大の費用負担の一つであり、米国の4世帯に一つがその処方薬を買えないでいることを考えればなおさらだ。

SIRUM(Supporting Initiatives to Redistribute Unused Medicine:未使用医薬品再配布支援イニシャティブ)は、Y Combinator出身の非営利組織で、スタンフォード大学ハースセンターで運営されている。特許出願中のソフトウェアプラットフォームは、薬局および医療施設のための一種のオンデマンド在庫システムとして働き、使われることのない医薬品を、処方薬を買うお金のない患者に再配布する。

法は州ごとに異なるが、現在42州およびグアムに「善きサマリア人」プログラムとして、未使用の有効期限内医薬品を、有効な処方箋を持つ低所得患者に寄贈する何らかのしくみがある。州運営による医薬品寄贈機関や、Dispose My Medsのように地域ごとに未使用医薬品を寄付できる場所を探す第三者プログラムもある。

SIRUMは、医薬品寄贈機関、薬局、養護施設および医療機関と協力することによって、ピアツーピア再配布プラットフォームとして運営される。それぞれの組織は、余剰品や必要な薬品をプラットフォームにアップロードして、その時必要としている患者のマッチングを探すことができる。

SIRUMの共同設立者、Kiah Williams、George Wang、Adam Kircherの3人は、彼らのサービスが2011年に再配布した未開封有効期限内の薬品は、およそ300万ドルに相当し、2万人の低所得患者に配られたと推定している。

Y CombinatorRobert Wood Johnson FoundationDraper Richards Kaplan FoundationおよびGoogle.orgから資金協力を得ているSIRUMは、現在カリフォルニア、オレゴン、コロラドの3州で運営している。将来は全50州に展開する計画だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Vanhawksが160万ドルを調達。いよいよスマート自転車「Valour」の出荷を開始

Y Combinatorの2015年ウィンタークラスのメンバーであり、スマート自転車を手がけるVanhawksがReal Ventures、オリンピックのトライアスロンで金メダルを獲得したSimon Whitfield、Relentless PursuitのパートナーであるBrenda Irwinや、その他のエンジェル投資家より160万ドルの資金を調達した。昨年のKickstarterキャンペーンで82万ドルを獲得したスマート自転車のValourを、出資者に対して間もなく送り出すための費用としても利用する。コンセプトから実現にいたるまでに必要となった各種費用にも充て、さらには自転車業界向けのソフトウェアプロダクトの第一人者となるための成長プランの実現のためにも活用していくそうだ。

Vanhawksの共同ファウンダーであるAli Zahidはインタビューで、実際にプロダクトを出荷するにあたって、Kickstarterでの調達額以上が必要となったのも致し方ないことであると述べている。すなわち、ZahidらにとってVanhawksが最初のスタートアップ体験であり、実際のプロダクト製作にどういった種類のお金が必要になるかを知るための経験を持っていなかったのだ。Kickstarterでの出資者に対し、本来は昨年末のうちに出荷を開始したいとしていたが、間に合わせることができなかった。しかしZahidによれば現在は各種作業も順調に動いていて、この春から25台ないし50台くらいずつ出荷できる見込みなのだそうだ。そのペースで進めば夏ごろにはバックログも解消し、そして2、3週間の納期で新たなオーダーを受けることもできる予定なのだとのこと。そしてVanhawksは、自転車製作以外の分野でも成長を目指していくこととなる。

さらにZahidの言葉を引いておこう。「自転車を作って売るだけというビジネスを目指しているのではないのです」とのこと。「自転車業界におけるソフトウェア部門の担い手となることを目指しています。世界のさまざまな分野でソフトウェアが用いられるようになっていますが、自転車業界でもソフトウェアの重要性は増ししていくはずなのです」。

Zahidは、数年のうちに自転車業界における標準ソフトウェアのようなものの担い手(Vanhawksもここを目指している)が登場してくると踏んでいるわけだ。ヨーロッパはもちろん世界中の多くの地域で、自転車は重要な移動手段として普及している。北アメリカでもますます自転車の利用頻度が上がってくるはずだと見ている。1990年から2011年の間をみても、都市生活者による自転車人気は高まっている。すなわちVanhawksのターゲットとるする市場は、大いなる成長市場であると考えられるのだ。

Vanhawksの成長戦略の中で、Valourは「自転車用ソフトウェア」のショーケースとしての役割も持っていることになる。たとえばナビゲーションシステムであるとか、後方からの接近を検知する仕組み、あるいは道路コンディションを通知する機能なども搭載している。もちろん移動距離や高低差などを記録しておくこともできる。Wazeのように、クラウドソーシングを活用した情報共有機能を提供することもできる。また、盗難対策用トラッキングシステムも搭載しており、オーナーが自分の自転車のために投じた金銭、時間、労力を保護する仕組みも備わっている。

自転車というのは、全身の集中力を投入してこそ安全に走ることができるという面もある。自転車に乗りながら、自分でさまざまなデータを入力するようなことはできないと考えた方がいい。しかし自転車をさらに魅力的な乗り物にしていくにあたって、自動的にデータを収集するような仕組みは大いに役立つはずだ。

Valourには、自転車そのものとしての魅力もある。ただし、多くのテック系スタートアップと同様に、ソフトウェアこそがVanhawksの提供するサービスの中核を担うものとなっていくのだろう。

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(翻訳:Maeda, H


モバイルアプリ(などの)販促のための招待/紹介システムをインテリジェントにするYesGraph

【抄訳】

デベロッパが消費者向けのアプリケーションを立ち上げるときは、ソーシャルメディアの招待の仕組みを利用して、友だちから友だちへの“おすすめ”の連鎖に期待することが多い。でもそれは、アドレス帳の中からそのアプリに関心を持ちそうな人を探すだけだから、かなり原始的なやり方だ。

Y Combinatorから孵化したYesGraphは、そういう招待と紹介のシステムを、もっとインテリジェントにしたい、と考えている。彼らのツールをデベロッパが使うと、関心をもってくれそうな人、招待を受けてくれそうな人をリストの上の方に抽出できる。

同社は100万ドルのシード資金を、Bloomberg Betaが仕切るラウンドにより、獲得している。

YesGraphは2012年の夏に、Dropboxで販促を担当していたIvan Kiriginが創った。しかし同社は最初のうち、企業の新社員募集システム(リクルーティングシステム)に注力していた。それは、企業の今の社員が知っている人たちを活用して、有能な人をチームに誘う、というシステムだった。

しかし、そのプロダクトをローンチしてから数か月後に、いくつかの問題が生じた。たとえばLinkedInはAPIの仕様を変更して、パートナーにしかアクセスできないようになった。これにより、LinkedInの会員たちにコミュニケーションして成長を図ろうとするYesGraphのようなスタートアップは、水を差された形になる。またKiriginによると、初期のそのサービスは競争の激しいテク企業には受けたが、そのほかの業界は反応が鈍かった。

しかしこういう、既存のサービス(LinkedIn、FullContactなど)とユーザのデータを利用する、招待と紹介依頼のための人探しのシステムは、もっといろんな用途があるはずだ、とKiriginは思ったし、またいろんな会社の話を聞いてみると、需要もあることが分かった。


[YesGraphがないと: 人間ではない/昔のボスだ/範囲外だ/9歳だ/Aaronは’A’で始まってるだけ/Katy Perryが嫌い/昔のメール/重複]

 
 
たとえば、ファミリー向けのソーシャルアプリなら、ユーザと同姓の人たちのメールアドレスを探すかもしれない。企業ユーザ向けのコラボレーションツールなら、メールアドレスがユーザと同じドメイン内の同僚を見つけるだろう。

このように、招待システムの要件は企業や製品によってまちまちだが、どれにも共通する目的は、なるべく招待に応じて、友だちへの紹介もやってくれそうな人を、リストの上位に集めることだ。上の図のように、アルファベットの最初の文字である’A’で始まってるから、ソートされて”Aaron”さんがリストの上位にくるなんて、ナンセンスだ。

YesGraphがやることは、コンピュータのない時代から多くの企業が営業販促でやってきたこと、”lead scoring”(見込み客に見込み度の点をつける)という作業だ。いちばん見込みのある人==点の高い人が、リストの上位にくる。


[YesGraphがあると: とても親しい人/同じ町に住む/類似の物を買った/年齢層がぴったり/リプライしたばかりの人/今の仕事仲間/Katy Perryが好き/メールのやりとりが多い]

【後略】

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa


化学物質を生産する微生物を遺伝子工学で作り出す20nがY Combinatorから孵化

最近バイオテクづいているY Combinatorからまた一つ。20nは、UCバークリーの教授と一人のポスドクの着想から生まれたスタートアップだ。

Saurabh SrivastavaとJ. Christopher Andersonが数年がかりで開発したソフトウェアは、遺伝子工学により特定の化学物質を作り出す微生物を設計する。彼らはUCバークリーのDARPAが支援しているラボで、アセトアミノフェン(医薬商品名タイレノール(Tylenol))を生産するバクテリアを作った。

単に遺伝子工学で化学物質を作り出すだけでなく、彼らのスタートアップはソフトウェアプラットホームでもあることが、独特だ。特定の化学物質をを生産するバクテリアを作る方法をライセンスしている会社はいくつかあるが、そういう微生物の作り方を見つける過程が時間的にとても長くてかったるい。

それに対し20nはデータマイニングを活用することによって、これまでより100倍も多い種類の化学物質をを得ることができる。右図はそんな可能性を図解している。

企業は、得たい物質の分子構造を指定し、20nはそれができる微生物を設計する。ただし得たい物質は、有機化合物にかぎる。

スペシャリティケミカルズ(specialty chemicals, 化学物質のオーダーメイド)は1兆ドル産業だ、と言われる。これらの微生物のライセンス料は、安くても数十万ドルはする。20nはすでに、いくつかのライセンス契約を商談中だ。

“もっともありふれた化学物質でさえ、その市場規模は数十億ドルにもなる”、とSrivastavaは語る。

社名の20nは、ユニバーサルジェネティックコードが指定している標準アミノ酸(蛋白質を構成するアミノ酸)が20種類であることに由来している。蛋白質は通常、300から500のアミノ酸の配列で、20nは同社が対象するそのその組み合わせの集合の元の数だ。

Srivastavaはコンピュータ科学でPh.Dを取り、AndersonはUCバークリーの終身教授で、合成生物学を17年研究している。

二人の専門分野の違いから、ときどき、笑えるコミュニケーションエラーが生ずる。たとえばAPIはプログラマにとって”application program interface”という意味だが、生物化学では”advanced pharmaceutical intermediate”になる。

“生物学者とコンピュータ科学者が共に理解できる言葉を、発明しないといけないね”、とAndersonは言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


YC支援のBooktropeは編集チームをマーケットプレイスで募る新しい出版プラットフォーム

なんらかの物書きであれば、本の出版に関するホラーストーリーを聞いたことがあるだろう。次から次とあらゆる版元から突き返された原稿。版元のロッカーに何年も埋まっていた原稿。出版はされたものの版元の支援がゼロだった本、等々。

一方で著者自身によるセルフ・パブリッシングにもリスクが一杯だ。優秀な編集者やデザイナーを自費で雇うとなれば大金がかかる。その費用を惜しめばみっともない表紙に誤植や辻褄の合わぬ文章だらけの見るからに「自費出版」の本になってしまう。

これに対して現在Y Combinatorで現在開講中のインキュベーター・クラスに所属しているスタートアップ、Booktropeは異なるアプローチを提案している。Booktrope自身が版元だが、著者は伝統的版元が出版を受け入れる際の高いハードルに妨げられるずにプロの出版チームの支援を受けられる。

最高マーケティング責任者のKatherine Searsによれば、彼女自身も共同ファウンダーも出版業界の出身ではないという。 「私たちの強みは先入観なしに問題に取り組むことができたことだ。しかし私たちは全員、熱烈な読書家だ」とSearsは語った。

小さな版元から本を出したことがあり、優秀な出版のプロにも知り合いがいる私としては、部外者が出版ビジネスを始めたと聞いて、いささか懸念を覚えた。しかしSearsやCEOのKen Shear(ちなみにTwitchTVの共同ファウンダーEmmett Shearの父)、CTO Andy Robertsに取材するうちに、彼らは出版業界出身ではなくても、出版に関して知識豊富であり、ビジネスモデルも綿密に検討していることが分かった。

著者はBooktropeに自分自身と出版を希望している本に関する情報を送る。Booktropeはすべての申し込みをそのまま受け入れるわけではない。アルゴリズムと人間の判断を組み合わせた選定プロセスが用意されている。

ただしBooktropeが重視するのは内容の質もよりも著者とBooktropeプラットフォームとの適合性だ。世の中には内容はお粗末、レビューでも手ひどく批判されているにもかかわらずどこからかファンが湧いて出てベストセラーになった本がたくさんある。

「読者公衆は別に文学的価値判断を必要としていないと思う」とSearsは言う。Booktropeのアプローチは編集者や発行者は控えめなフィルターの役割を果たし、本の価値はできるかぎり読者自身に判断させるというものだ。

いずれにせよ、申し込みがBooktropeに受け入れられた場合、著者は完成した原稿を送付する。Booktropeは運営するオンライン・マーケップレイスでそのプロジェクトに関心を持つ編集者、デザイナーを募る。チームが集まれば、Booktropeが提供するオンライン・ツールで編集、制作が行われる。著者はチームに報酬を直接には支払う必要はなく、著者印税の一部を提供することを約束すればよい。著者はポケットマネーを負担せずにすみ、チームには本の売上に貢献しようとするインセンティブが与えられるわけだ。

BooktropeはScribdなどと同様、印刷版とデジタル版の両方をAmazon、現実の書店、定期購入のブッククラブなどさまざまな流通経路で販売する。現在Booktropeを利用する著者は以前にセルフ・パブリッシングを試したことがあり、その結果に満足できなかった人たちが多いという。一方、編集者、デザイナーは出版業界で働くフリーのプロが多い。

Booktropeは利益の30%を手数料として徴収し、残りの70%を著者と編集製作チームで分け合う。その比率はチーム内の合意によって決定する(Shearが強調したところによると、ここでいう利益とは本の売上から直接の制作費用を差し引いた額であり、Booktrope自身のいわゆる「一般管理費」は含まれていないという)。

SearsとShearによると、Booktropeをスタートさせたのは3年近く前になるが、実際に運営を開始したのはもっと最近でRobertsが参加してオンライン・システムが構築されてからだという。Booktropeはすでに400冊弱を出版し、合計250万部を販売した。

画像: Brenda Clarke/Flickr UNDER A CC BY 2.0 LICENSE

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


企業による銀行利用の現代化をめざすSeedがまずAPIを公開

【抄訳】

Seedは、企業にとって銀行は透明性を欠き、費用が高く、時代遅れだ、と考えている。Y Combinatorの2015年冬季クラスの‘生徒’だったSeedは、CEOのBrian Merrittによると、銀行をAPIの時代にふさわしい形に洗いなおし、無用な手数料をなくし、銀行を使いながら事業を創業し管理していくことをできるかぎり簡単にしたい、と願っている。

Merrittと協同ファウンダのRyan Hildebrandは、消費者向け銀行サービススタートアップSimpleの出身だ。Simpleは、2014年に1億ドルで買収された

同社はしばらくステルスで操業していたが今日(米国時間2/17)バンキングAPI(銀行利用API)のベータを公開してスタートアップの表舞台に登場した。ただし利用できるのは当面合衆国のみで、デベロッパは自分のアプリ/アプリケーションやツールなどにSeedの銀行利用サービスを組み込める。

バンキングAPIってなんだろう? それはSeed自身が、自分が顧客に提供する各種サービス(Webアプリケーションとモバイルアプリ)の機能を実装するために使っているAPIの集合だ。言い換えるとそれは、Seed自身のデジタルの構造体そのもの(の公開)だ。

Seedは自分自身のクライアントアプリケーションを3か月〜6か月後に立ち上げる予定だ。サービス本体の立ち上げよりもAPIの公開が先、というのは珍しい。

本誌TechCrunchのオフィスにMerrittをお招きして同社のローンチと、その存在理由についてうかがった。

Seed自身は銀行ではなく、むしろ「銀行へのインタフェイス」だ。インタフェイスだから、銀行がやってるサービスは何でもSeedから…より便利に…利用できる。たとえばSeedが提供する預金保険は、FDICの標準の25万ドルに対して最大5000万ドルまでだ。

同社は今日の発表声明で、“国内送金手数料は無料、手形交換手数料は無料、小切手送金手数料は無料、国際決済手数料は小額”、を約束している。Seedの収入源としては、多くの企業向けスタートアップと同様に、年〜月会費を予定している。

【後略】

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製品の設計から広告の効果まで何でも最適化するSigOptはデータサイエンスの最新分野

Y Combinatorから孵化したSigOptのヴィジョンはでっかい。協同ファウンダでCEOのScott Clarkによると、彼の目標は、“調整可能なパラメータのあるものなら何でも最適化する”ことだ。

名前の中に最適化(optimize)のある企業やサービスは多いから、こんな話を聞いても感動しない人がほとんどだと思うが、でもClarkによると、同社はA/Bテストをやって何かを最適化するサービスではない。なるべく簡単に言うと、ひとつのもののいろんなバラエティをテストするだけではなく、同社はデータを調べて“次は何を試してみるべきか”をユーザに推奨する。だから、ユーザはそれを、ずっと継続的に改良していける。

Clarkはこんな例を挙げる: 会社で広告のいろんなバージョンをテストするとき、ひとつひとつをすべてテストして、最後にもっとも効果の高かったのを選ぶのが通例だが、SigOptでは、ユーザが指定したクリエイティブの要素、たとえば製品写真の色、アングル、位置、等々に基づいてSigOptがいろんなバージョンを作ってテストし、売上やクリック数の多いものを自動的に決める。

上のようなメディア作品だけでなく、SigOptでは製品の物理的な特性も最適化できる。たとえば同社の初期の顧客の中には、SigOptを利用してシェイビングクリーム(髭剃りクリーム)の最適配合成分を決めた企業がいる。つまりSigOptでは、テストするものは何でもよい。調整できる変量さえあれば単純にデータを利用して、その値や組み合わせをテストするだけだから、きわめて汎用的なシステムだ。

Clarkはコーネル大学で応用数学の博士号を取り、その後Yelpのターゲット広告部門の技術者として仕事をした経験から、SigOptのアイデアがひらめいた。彼がYelp時代に仲間と共作したシステムはMetric Optimization Engine(MOE)と呼ばれるオープンソースの最適化ツールで、それはYelpだけでなく、Netflixでも使われている。当時Netflixのアルゴリズムエンジニアリング部長だったXavier Amatrainが、機械学習に関する彼のトークの中で(24:58あたり)MOEに言及している。

MOEはオープンソースだが、ClarkらSigOptの協同ファウンダたちはそれをベースにプロダクトとサービスを構築した。彼はSigOptの目標について、ClouderaがHadoopに対してやったように、SigOptはMOEを商用化したいのだ、と言う。

“Netflixのデータサイエンスチームは世界最高だけど、それと同じレベルの最適化技術をうちはすべての人に提供していきたい”、と彼はそのヴィジョンを語る。

Clarkが見せてくれたデモを十分理解するためには、多少の技術的知識と、また物理的なテストの場合は手作業が多くなるが、でも印象としてはかなり単純明快で、ユーザはテストのためのコードをほんの数行書くだけだ。

まあ今のSigOptはぼくの脳力をやや超えているけど、Clarkによると、今後もっと単純化して、しかも、同社ならではの“秘密の味付け”をいろいろやっていきたい、という。

個人的にちょっと気になることがあったので、Clarkに聞いてみた。SigOptでいろんなパラメータをテストして、人間(個人)の健康を最適化することは、できるだろうか? Clarkの答は、完全に個人レベルでは無理でも、大量のユーザの健康情報がデータとして集まれば、それに基づいてリコメンデーションをしていくことは可能だ、ということだ。

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企業がデータサイエンティストたちを有効活用できるためのツールを提供するYhatがY Combinatorで営業展開を学ぶ

【抄訳】

YhatのファウンダGreg LampとAustin Ogilvieは、中小企業にローンを提供して成功しているOnDeckでデータサイエンティストチームの一員として仕事をしているとき、ある問題に気づいた。

データサイエンスのチームがクールなアイデアを提案しても、エンジニアたちは、適切なツールがないのでそれらをさっさとアプリケーションへ実装することができない。そこで二人は、二つのチームがもっと効率的に仕事ができるためのツールを作ろう、と決心した。そのツールが、その後Yhatの創業に結びつく(Yhatは“ワイハット”と発音する)。

Lampはこう説明する: “データサイエンティストのチームが仕事や意思決定のための新しいクリエイティブな方法を編み出しても、エンジニアリングがそれについて行けない。Austinとぼくは両者の板挟みになって動きがとれず、OnDeckの業務に対してデータサイエンティストたちがやった分析結果などはどれも、棚の上で埃をかぶっていた”。

データサイエンティストたちの仕事から価値を取り出すための、もっと良い方法があるはずだ、と彼らは考えた。

彼らの最初のプロダクトScienceOpsは、データサイエンティストたちがRやPythonなどのツールを使ってプロジェクトを作っていくときの、チーム内のコミュニケーションをより有効にするためのソリューションだ。でも、それは彼らの最終目的ではない。

データサイエンティストたちのアイデアが早期に会社の業務に生かされるためには、エンジニアたちや、職場のラインの人たちが、容易にアプリケーションを実装できなければならない。

片手間で始めたYhatがその後利用者が多くなり、忙しくなったので、二人は2013年の6月にOnDeckを辞めてYhatに専心することにした。同時にYhatのオフィスも、彼らのブルックリンのアパートから、今のマンハッタンのシェアオフィスに移った。

その2003年には100万ドルのシード資金も獲得し、本格的な成長が始まった。そして今ではY Combinator の2015年冬季クラスに参加している。彼らのようなすでに内容的にかなり成熟しているスタートアップにとってYCは、営業や見込み客発掘について本格的に学べる点にメリットがある、という。

【中略】

2014年には第二のプロダクトScienceBoxをローンチした。それはデータサイエンティストたちが共同でデータサイエンスのプロジェクトを作り、共有していくためのツールだ。

Yhatの顧客たちは何をやってるかというと、たとえばレーシングチームのNASCARは、データの有効利用によってピット内の意思決定をより良質にするための方法を探求している。

“NASCARのチームにとってビッグデータの利用は初めてだったけど、もっと前からやっているべきだった、と彼らは思っている。彼らは自分たちの現状が後れていることを認めていて、はやく今のデータサイエンスの最先端に行きたい、と願っている”、とLampは説明する。

Condé Nastも、Yhatの顧客だ。今や出版社もデータドリブンで仕事を進めており、50名近くのデータサイエンティストが社内の各所に分散している。彼らもまた、Yhatのプロダクトを重宝している。

ScienceBoxは、データサイエンスを学ぶ大学のコースでもよく利用されている。クラスで必要になるいろんなツールが、その中に揃っているからだ。ScienceBoxの前には、いろんなツールを教授〜講師が個人的に拾い集めて、講義環境をセットアップしなければならなかった。

Yhatは今すでに、かなりの顧客ベースを構築しているが、でも大半の企業にデータサイエンティストが一人か二人(ときには〇人)しかいない現状では、まだまだ本格的な事業拡大は難しい。Lampらもそのことを自覚してはいるが、今のところ社員7名の同社は、毎日大量の仕事に追われている。

Lampによると、今データサイエンスは大学の学士課程の専攻科目として人気急上昇中で、またデータサイエンス〜統計学の研究者たちも企業に高給で引き抜かれる例が増えている。データサイエンスの黄金時代の夜明け前、とも言える今は、Yhatにとっても、起業の良いタイミングだったと言える。

ところで、Yhatという企業名の意味や由来を知りたいと思った読者は多いだろう。ぼくも実はそうだった。それは、統計学のある測度を表すドイツ語で、データサイエンティストたちの仲間内のジョークでもある。〔回帰式において従属変数Yの予測値を表す。〕

Lampによると、同社がターゲットとするオーディエンスたちは、このジョークがすぐに分かる。でも、ほかの人たちには毎回説明しなければならない、という。

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Microsoft、シリコンバレーに求愛―YCのスタートアップ各社に50万ドル分のAzureを提供

今週、Y CombinatorとMicrosoftは提携プログラムを発表した 。これによると、MicrosoftはY Combinatorの現在のクラスにAzureクラウド・コンピューティングを無料で提供し、インキュベーションを助けるという。

このプログラムにより、参加スタートアップにはそれぞれ50万ドル分のAzure利用クレジットと3年間のOffice 365への無料アクセス権が与えられる。50万ドル分のクラウド・コンピューティング能力の提供はMicrosoftにとっては何でもないだろうが、Y Combinatorに参加している若いスタートアップにとっては莫大なものだ。厳しい審査を通ってクラスへの参加を認められた際にY Combinatorから投資されるキャッシュの何倍にもなる。これはたいへん興味深い試みだ。

Microsoftは世界各地でアクセラレータ・プログラム を実施している。たとえばイスラエルではMicrosoft Venturesが主体となっている。このチームは以前Bing Fundと呼ばれ、その立ち消えになっていた育成事業の後継だと思われる。Microsoft Venturesの以前のボス 、Rahul Soodは私の問い合わせに対してTwitterで「 MicrosoftはBing Fundを中止した」と確認した。

(アップデート:Microsoftの広報担当者とチャットした。それによると、Bing Fundは活動を中止した後、事実、Microsoft Venturesに吸収された。同事業は数件の投資を行ったが、現在は積極的に活動していない。Microsoftは現在スタートアップに対する直接投資は行っていない、とのことだ。)

なおYCのスタートアップにクラウド・コンピューティングを提供するのはAzureだけではない。Amazonは10万ドル分のAWSを提供、Digital Oceanは1万ドル、Herokuは5万ドルをそれぞれ提供している。しかし今回のMicrosoftが提供するクラウド・コンピューティングの価値は他のプロバイダーの提供分を合計したものの2倍にあたる。

このプログラムの一環としてMicrosoftはY Combinatorのファウンダーたちを対象として1日がかかりで解説とプレゼンテーションを行う。これにはMicrosoftのチーフ・エバンジェリスト、Steve GuggenheimerとAzureの責任者、Scott Guthrieが加わる。

私は対象となるY Combinatorのファウンダーの何人かと話をしたが、一人は「すごくびっくりした。実にすばらしい」と語り、「これまでAzureを使うことを考えていなかったが、こうなればもちろん使う。Azureだけを使うことになるかもしれない」と付け加えた。

このプログラムは将来有望なスタートアップのFounderたちの「ハーツ・アンド・マインズ」をMicrosoftがつかむために大いに役立つだろう。Azureを50万ドル分使えるということは、近い将来、それだけの資金を節約できるということだ。小さなスタートアップにとって非常に大きな意味を持つのは明らかだ。

現在シリコンバレーではAmazonのAWSはクラウド・コンピューティングのデファクト標準だ。しかしY CombinatorのクラスへのAzureの無料提供が今後も繰り返されるなら、この勢力図を少しではあれ、変えるかもしれない。Y Combinatorのクラスのファウンダーたちのうち、どのくらいがAWSでなくAzureを選ぶか注目したい。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


グループが自分たち専用のコミュニケーションアプリを作れるプラットホームGroupAhead

【抄訳】

グループの連絡方法としてはFacebookや共有カレンダーアプリ、Meetup.comなどを使えるが、しかし既製の汎用アプリでは、メンバーの結束を高め、今後のイベントや活動を伝え合う方法としては物足りない。そこでY Combinatorが支援するGroupAheadは、汎用アプリではなく汎用のプラットホームとして、各グループにそのグループ専用のモバイルアプリを作らせてくれる。

GroupAheadは2013年に元Google(YouTube)にいたBrian GlickとJulian Frumarが創った。Glickは最近Google+のコミュニティプラットホームにも関わったので、グループ内のコミュニケーションについてさらに詳しくなった。

Glickは次にように説明する: “いろいろ探したけど、とても緊密で団結が堅く、メンバー一人々々が個人として参加している親密なグループの、まとまりを支えるようなソリューションは皆無だった。でも今では誰もがスマートフォンやタブレットを持っているから、それらを基盤とすれば、ネットワーク上でもグループの緊密な結びつきを支えることができるはずだ”。

グループがGroupAheadを使うと、そのグループだけ用のアプリを作れて、汎用アプリのようにいちいち送信相手を指定しなくても、グループ内の連絡ができる。またメンバーリストのメンテナンスや、イベント予定表の管理、グループ内のディスカッション、連絡事項の共有といった、グループ維持のための基本的なタスクもできる。

開発チームはいろんなグループから聞き取り調査をして、このプラットホームに必要な要件をまとめ、GroupAheadの制作にとりかかった。2014年の半ばにパイロットテストを行い、今ではiTunes App StoreとGoogle Play上に16のグループのアプリがある。それらの中には、フリーメーソンや、ランニングの団体SF FrontRunnersなどもある。

〔ここにスライドが表示されない場合は、原文を見てください。〕

このサービスを使うためには、グループがまず、自分のグループを表すロゴや写真をアップロードする。またメンバーリストなどのデータは、既存の.CSVファイルをインポートしてもよい。カレンダーは、既存のGoogle Calendarなどとシンクすることもできる。グループの管理者にはWeb上のダッシュボードが提供されるので、その上でデータの更新…新メンバーの登録など…ができる。このプラットホームの利用は今は有料(月額49ドルから)だが、そこらの小さなママさんグループなどのための、フリーミアムとしての提供も検討している。そうなると、Meetup.comの強敵になりそうだ。

【後略】

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バイオスタートアップが行う実験を代行して研究開発の迅速化/低コスト化を支えるTranscriptic

これからY Combinator(YC)で育っていく新進のバイオテックスタートアップたちは、ある先輩企業とその育ての親であるYCとのパートナーシップに助けられることになる。

その、3年前に創業した企業Transcripticは、自動化実験を代行するサービスで、今およそ60の企業や研究機関を顧客として抱えている。同社はこれまで約600万ドルの資金を調達して、ハードウェアとソフトウェアのスペシャリストや実際の実験担当員など、社員を18名にまで増やしてきた。

同社の実験室(ラボ)は、一つが貨物船用のコンテナぐらいの大きさで、同社はそれを“ワークセル(work cell)”と呼んでいる。TranscripticのファウンダMax Hodakによると、同社のセルの中で、今バイオテック界隈で必要とされている実験工程の90%ぐらいはこなせる。ユーザはWeb上のシンプルなインタフェイスから、自分のセルで行うワークフローを組み立てる。するとロボットアームやそのほかのプログラマブルツールが実際の実験行為を行う。

Y Combinatorとのご縁に由来するいろんなアドバンテージのほかに、同社はYCを卒業したそのほかのバイオスタートアップたちからのフィードバックにも助けられている。またこれら卒業生たちは、今回のパートナーシップの一環として、Transcriptのワークセルを利用するための料金として2万ドルのクレジットをYCから提供される。つまりYCは、Amazon Web ServiceなどがWebやアプリケーションベースのスタートアップに対してやっているインフラ/プラットホームサービスを、バイオスタートアップに対してやろうとしているのだ。新進スタートアップにとって、ラボと、そこでの実験工程への大きな投資を節約できることの効果は、きわめて大きい。

Transcripticのラボでできる実験は、合衆国厚生省(U.S.Department of Health and Human Services)の疾病管理予防センター(Centers for Disease Control and Prevention, CDC)の規則で、その生物学的安全性(バイオセーフティ)レベル1とレベル2の実験しかできない。また、臨床試験以外の目的で製薬実験工程を自動化することも許されない。

しかしこれらの制約を除けば、同社のワークセルでほとんどあらゆる種類の実験が可能で、しかもそれをWebから管理〜コントロールできる。そのためのアプリケーションは今2本あるが、年内にもう一本新しいのが加わる。Hodakによると、UC Davis(カリフォルニア大学デイヴィス校)が2014年の国際遺伝子工学マシンコンテストに優勝したときの実験は、Transcripticのワークセルで行われた。

同社のワークセルで使われている実験用の器具機械は、そのおよそ半数ぐらいを内製しているので、競合製品/類似製品に比べて低コストだ。たとえば、ロボットアームや冷蔵保管庫は同社の内製である。

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リモートアクセスのLogMeInがMeldiumを買収してシングルサインオンに注力

企業や個人にリモート接続を提供するLogMeInが今日発表した興味深い買収は、今後の同社のサービスを一層充実させるとともに、企業や消費者のクラウドへの大移動という最近の動向を同社の新たな収益源にしようとするものだ。同社が買収したMeldiumはY-Combinatorの卒業生で、シングルサインオンなどのアイデンティティ管理サービスが専門だ。

公開企業であるLogMeInによると、同社は1500万ドルをMeldiumを抱えるBBA社に支払う。この価格には、キャッシュと今後の成功報酬の両方が含まれる。

Meldiumは、その名が示しているように、複数のアプリケーションへのサインオン過程を”meld”(溶融)して一体化する。今では、人気のクラウドサービスDropboxやGoogle Apps、Hubspot、WordPress、Zendesk、Salesforce、Asana、Trello、Evernote、JIRA、Rackspaceなどなど、およそ1500のアプリケーションをサポートしている。技術系でない人でも便利に使えることが、とくに好評だ。同社が昨年ローンチしたとき本誌のライターColleen Taylorが次のように書いている

“Meldiumが天才的なのは、共有アプリケーションへのサインインが容易になるだけでなく、それらのアプリケーションへのアクセスをアドミンが無効にする管理作業も、容易にできることだ。要するに一言で言えば、すべての機能がとても簡単に使える、ということ。技術知識がなくてITのエキスパートでない人でも、グループのMeldiumアカウントを管理できるほど、分かりやすくてフールプルーフなツールだ。 “

今回の買収の対象は、技術と人材の両方だ。MeldiumのファウンダAnton Vaynshtok、Bradley Buda、Boris Jabesをはじめ、チームの全員がLogMeInのサンフランシスコのオフィスに加わる。

LogMeInの本社はボストンにあり、今ではおよそ10万社の中小企業を顧客に抱える。最近の同社は、これらの企業がクラウド上のデータを管理するサービスも導入している。

たとえばjoin.meはリモートミーティングツール、AppGuruはクラウドアプリケーションを見つけて管理する、LogMeIn Centralはリモートデバイス管理、 Cubby Enterpriseは企業向けのファイル同期/共有サービス、LogMeIn Proは広く利用されているリモートアクセスプロダクトだ。でも、無料のサービスLogMeInを廃止して非難されたこともある。

LogMeInでMeldiumのサービスがどういう位置づけになるのか、それはまだ分からないが、後者は基本的にフリーミアムだ。社員数5人未満でアプリケーションも10以下という零細スタートアップは無料だが、そのほかは20ユーザ/20アプリケーションの月額29ドルから最高の199ドルまで、数段階の有料制だ。

LogMeInの現在の時価総額は、10億ドルを超えている

LogMeInのCEO Michael Simonはこう語る: “アプリケーションのクラウド化とBYOA(bring-your-own-app)*という二大トレンドによって、ITの人たちは、アイデンティティの管理や社員のアクセス、データのセキュリティなどについて、これまでとは違う視点を持つことを強制されている。たとえばセキュリティとアイデンティティ管理に関しては、シングルサインオン(SSO)の有効性が今急速に認められつつある。そして私の知るかぎり、もっともエレガントで分かりやすくて使いやすいSSOのソリューションを市場に提供したのがMeldiumだ”。〔*: BYOA, 個人でDropboxを使ってる人が勤め先でも自分のアカウントでDropboxを…仕事目的で…使う、といったこと。〕

“MeldiumとSSO、それプラス、クラウドアプリケーション管理のAppGuruがうちにあることによって、弊社は今日のITが抱える難題に十分対応できるようになり、また今成長著しいアイデンティティ管理市場における競争でも、優位に立てるようになった”、とSimonは言っている。

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Yコンビネーター、女性起業家に対するセクハラ防止を強く訴える

来週のデモデーに先立ち、Y Combinatorはファウンダーに対するセクシャルハラスメントを一切許さない同社の「ゼロ容認」ポリシーを、投資家に再通告した

「絶対に許さない」とY CombinatorのJessica Livingstonは書いた。「必ず見つけ出す。Y Combinatorはそことは今後一切仕事をしない」

この投稿は、女性ファウンダーが自分のスタートアップの投資家を探す際しばしば経験する、性的な誘惑や差別にまつわる話題の高まりを受けたものだ。Wiredは、偏見を受けた経験のある女性ファウンダーのストーリーを「これがIT業界の醜悪な性差別問題の実態だ」と題した記事にして、読者の再認識を促した。続いてForbesも、積極的に乗り出したい女性は武装する必要がある、と語る女性ファウンダーの匿名記事を掲載した。

匿名SNSのSecretでこの問題を論じる人々もいる。どの男性ベンチャーキャピタリストが女性ファウンダーに不適切な性的誘惑を行い「だましてデートに連れ出した」かを具体的に尋ねる投稿さえある。Secretのこの投稿は、名誉毀損や中傷であるという多くの非難を受け、複数のコメンターがここはそうした行為を犯したベンチャーキャピタリストの名前を公表する適切な場ではないと指摘した。

Secretは、シリコンバレーにおける尺八や最新解雇情報に関する匿名噂話の保管場所であり、そのような侮辱的、不適切行為に関する重要な報告の場にすべきではない。しかし、ファウンダーたちがここに報告しているという事実は、女性起業家が評判を犠牲にすることなく訴えられる場所が他にないことの証しだ。

彼女たちには人事部門もなく、告発に対する反発への恐怖から、ビジネスパートナーや他の投資家に相談することさえ極めて困難だ。特に、投資家と駆け出し起業家との相対的権力の違いを考えればなおさらだ。

新しい企業の女性ファウンダーは、金を持った(かつ大半が男性の)門番たちの深くて暗い海に直接飛び込み、この種の差別行為を容認し続ける同じ投資会社からの資金に頼らざるを得ないかもしれない。

Forbes誌の匿名記事とSecretへの投稿以来、この問題について、女性が公の場に出て名前を明らかにするまで、修正は困難だと言う意見も一部に出ている。しかし、責任は不適切な行動をする投資家や、傍観者の同僚に帰すべきであり、彼らが態度を改め、何かを発言するべきだ。被害者がプライバシーを求めることを非難すべきではない。Re/codeのファウンダー、Kara Swisherは、先月私が参加したインターン・イベントで端的に語った。彼女は殆どが男性のパネリストと聴衆に対して、問題は「女性が乗り出すとか何かをすべきだとかいうことだけではない」と念を押した。投資家、特に男性投資家もこの問題の議論に参加する必要がある。

最近のメディアの注目以前、投資家のファウンダーに対するセクシャルハラスメントは、タブー視されていた。Y Combinatorのプレジデント、Sam AltmanValleywagの取材に対して、同社は過去にもこの問題に対して行動を起こしたことがあり、不適切行為の疑いのある投資家はデモデーに呼ばず、紹介もしないと語った。しかし、ついにこの問題を公に語ることによって、Y Combinatorは他のアクセラレーターや投資会社が、同様の「ゼロ容認」ポリシーを採用する道筋を作った。

「われわれが知る殆どの投資家は完全に真っ当でプロフェッショナルだが、不適切事象はたとえ1件でも多すぎる」とLivingstonは書いている。

あとは、その真っ当でプロフェッショナルな投資家たちが、何らかの変化を起こすことを期待するだけだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook