Airbnbは新型コロナで売上大幅減を予想する中、従業員1900人の解雇を発表

旅行者と宿泊先をマッチングする企業として知られるAirbnbは2020年5月5日午後、従業員の4分の1を解雇すると発表した。TechCrunchが確認したメモの中で、同社は売上の減少とコスト削減の必要性を挙げた。

AirbnbのCEOで共同創業者のBrian Chesky(ブライアン・チェスキー)氏が書いたメモには、同社の全従業員7500人の25.3%にあたる1900人が解雇される、とある。解雇は交通やAirbnb Studiosといった多くの内部プロダクトグループ、今後のための取り組みそして今後「縮小」するであろうHotelsとLuxに影響する。

TechCrunchとの電話の中でAirbnbは国ごとの解雇者数を明らかにはしなかったが、従業員解雇は「企業向け部門に多い」とメモには書かれている。同社は取り組みを縮小しつつ基幹のオペレーションにフォーカスし、実験的で費用のかかる試みを減らすようだ。

チェスキー氏の手紙によると、Airbnbは2020年の売上高が2019年の半分以下になると予想している。同社の2019年の売上高はおおよそ48億ドル(約5100億円)だった。

Airbnbはこれより前に、旅行業界に影響を及ぼしている新型コロナウイルス(COVID-19)のためにレイオフはあり得ると認めていた。同社は2つの10億ドル(約1070億円)の債券発行を含め、ここ数週間で資金を確保した。世界の身動きが取れなくなり、旅行者は足を止め、グローバルで旅行支出が激減する中、資金調達でいくらかの流動性を保てる。

この冬眠期間を生き延びられるようマーケットプレイスの需要と供給を健全に維持するために、Airbnbはユーザーがペナルティなしで予約をキャンセルできるようにし、ホスト側には経済援助を提供した。おそらく調達した資金の一部はこうした取り組みにあてられ、また同社が2021年まで健全運営できるだけの資金となる。

同社は以前、2021年のIPOを約束していた。2020年までに十分強固な経済基盤を持っていたため、多くの人が資金潤沢で時折黒字となっていたAirbnbは従来のIPOの代わりに直接上場を選ぶだろうと予想していた。それは今となっては昔のことだが、同社はメモの中で事業はすぐに「完全復活する」と予想している、と明記した。

そして疑問となるのが、その復活がいつになるのかということだ。同社は長い間、バリュエーションが大きく、資金豊富な典型的なシリコンバレーのユニコーンとされてきた。そして収益をあげ、好きなように上場できるだろうともいわれた。ここにはパンデミックなどは盛り込まれていなかった。

解雇される従業員は14週間分の給与を受け取り、さらに勤続1年につき1週間分の給与が加算される。同社はまた、保有期間12カ月未満の株式を持つ従業員がベスティングオプションを実行できるよう1年の縛りをなくす。加えて、米国ではCOBRAを通じた12カ月間の健康保険を、米国外では年内のヘルスケアを提供する。

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(翻訳:Mizoguchi

デジタル金融サービスのインフラを構築する香港のOrienteが約53億円を調達

香港に拠点を置くOriente(オリエンテ)は、デジタルクレジットなどのオンライン金融サービスのテックインフラを開発するスタートアップだ。今回のシリーズBラウンドで5000万ドル(約53億3000万円)を調達した。香港最大の不動産開発会社の1つであるHenderson Land(ヘンダーソンランド)の共同会長であるPeter Lee(ピーター・リー)氏がラウンドをリードし、ウェブサイト開発プラットフォームのWix.comなどの投資家が参加した。

Orienteは、2017年にSkypeの共同創業者であるGeoff Prentice(ジェフ・プレンティス)氏と、Hubert Tai(ヒューバート・タイ)氏、Lawrence Chu(ローレンス・チュー)が立ち上げた。既存の金融機関がサービスを提供していない市場に注力している。新しく得た資金はOrienteの既存市場であるフィリピンとインドネシアでの成長と、ベトナムを含む新規市場への拡大に使う。

調達した資金は、Orienteのテクノロジーの開発継続にも向けられる。同社のテクノロジーはビッグデータ分析によって小売業者がセールスコンバージョンを向上し、リスクを低減するのに役立つ。Orienteは、2018年11月のラウンドで調達した1億500万ドル(約111億9000万円)を含め、これまで1億6000万ドル(約170億5000万円)を超える金額を株式と負債で調達した。

Grab、Google、Facebook、Amazon、Uber、Apple、Samsungなど多くの大手テック企業が検討しているデジタル決済といったオンライン金融サービスにはテクノロジーのインフラが必要であり、さまざまな市場で規制対応を支援してくれるパートナーも必要だ。

Orienteは決済プロバイダーとは競合しない。プレンティス氏はTechCrunchに「オフライン、オンラインを問わず、小売業者のデジタルクレジットソリューションの迅速な立ち上げを可能にするテクノロジーを開発し、『サービスとしてのクレジット(Credit as a Service)』を創造する」と語った。

同氏はまた、Orienteが「エンドツーエンドのデジタル金融サービスインフラの開発に注力している唯一の企業だ」と述べた。同社にはコンシューマー、オンラインおよびオフラインの小売業者、法人クライアント向けのサービスがある。

同社は現在消費者向けに、フィリピンではCashalo、インドネシアではFinmasという2つのアプリを提供しており、合計で500万のユーザーと1000を超える小売業者を抱えるという。サービスには、中小企業向けの現金ローン、オンラインクレジット、運転資金提供が含まれている。

Orienteによると、2019年に取扱高は前年比で700%増加し、サービスを提供する新規ユーザーは400万人を超え、販売パートナーの販売量は20%以上増加した。

Orienteは今後数カ月にわたり「Pay Later」のデジタルクレジット機能を拡張し、資金調達を必要とする中小企業向けに新しい成長資本ソリューションを立ち上げる予定だ。同社はまた、大企業向けのエンタープライズソリューションを拡張するために、いくつかのパートナーシップを結んでいる。

Orienteはベトナムで、CashaloやFinmasと同様のコンシューマープラットフォームのベータテストを行っている。オンラインクレジットやファイナンスだけでなく、現地の企業と提携して他のサービスも提供する。

同社はまた、新型コロナウイルスパンデミックの間に企業にサービスを提供する方法を検討し始めた。多くの小売業者が売上高の減少、ユーザーの逸失、キャッシュフローの問題に直面しているからだ。

「過去数週間にわたり、当社は企業戦略に優先順位をつけて、各市場における最大の機会に焦点を当ててきた。また現在および将来の市場の状況とより焦点を絞った戦略に基づき、オペレーションとファイナンスの効率を最適化するため、組織を再構築するさまざまな措置を講じている」とプレンティス氏は説明した。

「当社の目的は、予想される流動性の危機を緩和することだけでなく、不況下で当社のビジネスが市場で勝利をおさめ抜きん出る能力を証明し、将来にわたって株主価値を高めることだ」。

画像クレジット:Oriente

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(翻訳:Mizoguchi

ソースコードをオートコンプリートするAIプラットフォームCodotaが13億円を調達

スマートフォンとその小さなキーボードのおかげで、今や私たちが文章を書く際には、オートコンプリートがほぼ常識になっている。言いたいことをキーボードが提案してくれるので、作業が少しだけ楽になって、文章を書いて(少なくとも親指が太い私の場合)言葉を修正することで食われる貴重な時間を節約してくれる。だが、人工知能とセマンティック(意味論)分析がこうした形で利用されているのは、電子メールやメッセージを書くときだけではない。本日、コンピューター・プログラムのコーディングの世界にこのコンセプトを採り入れたプラットフォームを開発したスタートアップが、事業拡大のための投資を獲得したと発表した。

Codota(コドタ)は、作業の時間短縮(「生産性が25パーセントまで向上」と同社は主張)と文法と「スペル」の修正を目的に、記述中のコードを行ごとにオートコンプリートしてくれるAIツールを開発したイスラエルのスタートアップだが、e.venturesから1200万ドル(約13億万円)のシリーズA投資を獲得した。このラウンドには、前回の投資会社Khosla VenturesのほかTPY CapitalとHetz Venturesが新規に加わった。同社はこれまでに合計で1600万ドル(約17億万円)を調達したが、企業評価は公表していない。

この資金調達は2018年末(発表は3月になってから)で、Codotaが自社よりも大きな競合相手であるカナダのTabNine買収した直後に確定した。買収の目的は対応するプログラミング言語を増やすためだ。現在のところPython、JavaScript、Java、C、HTMなどを含むすべての主要言語に対応していると同社は話している。またVSCode、Eclipse、IntelliJといった主要な統合開発環境にも横断的に対応しているという。

この資金は、現在の範囲からさらにリーチを広げ、より多くの顧客を獲得するために使われる。今日、Codotaのツールをすでに利用している顧客はそうそうたる顔ぶれだ。Google、AmazonをはじめNetflix、Alibaba、Airbnb、Atlassianなどなど数多くの企業の開発者が顧客リストには含まれている。2019年は顧客ベースが1000パーセント以上に拡大し、月に100万人の開発者が利用しているという。

今回の資金調達のニュースは、Codotaのセマンティック技術とTabNineのテキスト技術を融合させたJavaScript用オートコンプリートの新バージョンをCodotaがローンチした時期と一致していた。

上に示した顧客リストの筆頭であるGoogleとAmazonは特に驚くべき存在だが、Codotaは狙いが定まっていて、現在の行動は正しいようだと彼らも明言している。この2つの企業は、それ自身が巨大AI企業であり、どちらも開発者向けに非常に強力なツールセットを提供している。特にGoogleは、Gmailのために同社が開発したツール群によってオートコンプリートの代名詞ともなっている。

2015年創立のCodotaが注目を集める理由は、共同創設者でCTOのEran Yahav(エラン・ヤハブ)氏によると、他の言語では進歩している意味論の専門家にとってすら、コーディングはそれまで難物だったからだという。

「数年前まで、それは実現不可能なものでした」と彼は話す。さらに、コーディングのオートコンプリートを可能にしたのは、次の4つの技術的な流れが合致したためだという。アルゴリズムに供給できる高品質なオープンソースのソースコードが入手可能になったこと。セマンティック分析が、洞察の抽出を大規模にできるまでに発達したこと。機械学習が発達して機械学習のコストが本質的に下がったこと。すべてをクラウドで処理できる計算資源が、誰でも、どこにいても利用できるようになったことだ。オープンソースが非常に活況となり、その他のすべてのものが一緒に付いてきた。他にも同じ研究をしている企業はあるが、Codotaはこの理想的な嵐をつかんだのだ。

「成功の度合いに違いはあれ、他社でもやっています」ともう1人の共同創設者でCEOのDror Weiss(ドロール・ワイス)氏はいう。「私は推測していますし、実際に知ってもいますが、他の企業も同じことをしています」。その他の企業とはKiteUbisoft、Mozillaなど数多い。

Codotaが構築してきたものの中でも、今、特にタイムリーな一面により正確なコーディング支援を開発者にもたらすと同時に、特定の環境や職場でのベストプラクティスは何かを「学習」する能力がある(個人向けコースと企業向けコースの両方があるが、この機能が提供されるのは企業コースだ)。あらゆる状況で便利に機能するが、とりわけ今の、開発者が家で1人で作業する場面では、あたかも同じ場所で仕事をしているかのように、即座に手助けをしてくれる。

非常に多くのAIが自律システムの考え方に傾いているが、ワイス氏は短期的にもましてや長期的にも、それは目標としていないと強調する。

「開発者に置き換わるものを作れるとは思いませんし、作りたいとも思いません。私たちの目標は、ありふれた繰り返しの側面を取り出して、そこを肩代わりすることです」と彼は言う。その点でいえば、バックオフィス機能におけるロボティック・プロセス・オートメーションと変わらない。「文法やベストプラクティスを覚えることには、それほど高い価値はありません。Smart Composeを使えば、(カスタマーサービスの)例文の提案はしてくれるでしょうが、あなたの心を読んで、あなたの言いたいことを察してまではくれません。なので、あなた自身に置き換わったり、あなたの意図を汲んで応答するといった方向に進む可能性はとても低いのです。そんなことは、私たちは長期目標にすらしていません」。

2019年にe.venturesは、アーリーステージの投資のための4億ドル(約430億円)のファンドを発表した。今回の投資はそこからのもののようだ。このラウンドにともない、e.venturesのジェネラルパートナーTom Gieselman(トム・ギーゼルマン)氏がCodotaの役員に加わった。

「私は開発者用ツールの市場を20年間見てきましたが、Codotaはコミュニティー、製品、テクノロジーの面において独占的なプレイヤーの地位を確立したと信じています」と彼は声明の中で述べている。「ソフトウエア開発を変革して、コーディングを楽にして、企業内のチームを構成する個人開発者の効率を高めるというドロールとエランの使命を支援できることを、私は誇りに思います」。

画像クレジット:Cavan Images / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

カスタマーエクスペリエンス管理のMedalliaが音声テキスト変換のVociを買収

現在の市場ではM&Aのペースはすっかり落ちているが、タイミングと金額が合えば、M&Aのための資金はまだある。米国時間4月22日、Medalliaが音声のテキスト変換スタートアップのVoci Technologiesを5900万ドル(約63億3000万円)の現金で買収すると発表した。Medalliaは、オンラインのレビューやソーシャルメディアなどのソースを調査し、企業の良い面と悪い面、改善すべき箇所を提案する、カスタマーエクスペリエンスのプラットフォームだ。

MedalliaはVociのAIテクノロジーを統合して、音声のやりとり、例えばコールセンターにかかってきた通話などを、同社のプラットフォームで分析するデータとして利用する計画だ。ソーシャルメディアやメッセージングが多く活用され、そして今は人々がオンラインへと大幅にシフトしているが、そのような状況でも音声は依然として企業と顧客とのやりとりの大きな部分を担っている。そのため、Medalliaにとって音声への取り組みは重要だ。

Medalliaの社長兼CEOのLeslie Stretch(レスリー・ストレッチ)氏は声明で「Vociでライブと録音の通話を100%文字に起こせば、迅速に分析して顧客満足度を判断でき、Medallia Experience Cloud(同社のSaaSプラットフォーム)にとって有力な材料になる。同時に、Vociで毎回の通話が終わった瞬間に分析し、コールセンター運営のあらゆる側面を確実に最適化できる。バーチャルやリモートでコンタクトセンターを運営しようとする際には特に重要だ」と述べた。

現在、市場には音声をテキストに変換する製品は多数あるが、Vociの特徴は感情、性別、意見、声による生体認証など、内容以外の多くの詳細を認識できるということだ。データを詳しく分析する際に、個人を識別する情報を取り除いてプライバシーを確実に保護することもできる。

Vociはカーネギーメロン大学からスピンアウトしてスタートし、Grotech Ventures、Harbert Growth Parnters、そして同大学などの投資家から合計で約1800万ドル(約19億3000万円)を調達した。3人の創業者はいずれも同大学で博士号を取得している。最終評価額はシリーズBの調達中だった2018年3月の2800万ドル(約30億円)で、今回の買収額は最終評価額の2倍をやや上回る。

Vociはこれまで急成長してきたようだ。同社はおよそ20億分間の音声を処理し、1月にはその勢いを示す数字として、直前の四半期にコンタクトセンターの業務が増加したことに伴い契約が63%増えたと発表していた。

コンタクトセンターだけでなく、金融、ヘルスケア、保険などの分野でもアウトソーシングを請け負っているとのことだが、取引先の社名は明らかにされていない。このところ新型コロナウイルスの影響で移動が制限され、人が実際に接触する機会が減っているため、リモートでサービスを提供する製品を手がける企業や組織はどこもそうだが、Vociでも需要が高まっている。

VociのCEOのMike Coney(マイク・コニー)氏は声明で「エクスペリエンス管理のリーディングカンパニーであるMedalliaの戦力となれることを当社全体で喜んでいる。Vociのパワフルな音声テキスト変換機能がMedallia Experience Cloudに組み込まれるのはすばらしいことだ。コンタクトセンターのあらゆる事柄がビデオやアンケートなどの重要なフィードバックと統合されれば、業界を大きく変える」と述べた。

Vociがここ数カ月で資金を調達しようとしていたのか、あるいはMedalliaから積極的にアプローチしたのかは明らかになっていない。しかし一般論としていうと、M&Aはテック業界で重要性を増している。現在、スタートアップの資金調達は難しくなってきた。有望な企業とテクノロジーが完全に倒れてしまうことを避けるためのひとつの方法として、最後の神頼み的なM&Aが増えるかどうかは大きな問題だ。

Sequoiaなどから資金を調達した後、2019年7月に上場したMedalliaは、市場の多くの企業と同様にここ数週間で株価が下落している。現在の時価総額はおよそ28億ドル(約3003億円)で、公開前の最終評価額と比べて4億ドル(約429億円)の成長に止まっている。

Medalliaによれば、買収は2020年5月に完了する予定だ。

画像クレジット:dotshock / Shutterstock

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(翻訳:Kaori Koyama)

サプライヤーが早く代金をもらえるようにするフィンテックPreviseが12億円相当を調達

企業間の支払いスピードと早めるフィンテック企業の、Previseが、1100万ドルの資金調達を発表した。そのラウンドはReefknot InvestmentsとMastercardがリードし、これまでの投資家Bessemer Venture PartnersとHambro Perks、およびAugmentum Fintechが参加した。

2016年に創業したPreviseは、今では1日に約10万通の請求書を処理し、目標としては今後5年以内に500万社のサプライヤーの決済を扱いたいとのこと。

Previseの資金調達総額は2180万ドルあまりになり、それを同社のInstantPayプロダクトの全世界的な普及のために用いたいという。Previseは、Mastercardのアクセラレーター事業であるStart Pathに参加している。Reefknot Investmentsは、Temasek HoldingsとKuehne+Nagelが昨年、ロジスティクスとサプライチェーンのスタートアップに投資するために創った投資会社だ。

Previseの創業者でCEOのPaul Christensen(ポール・クリステンセン)氏によると、企業のバイヤーはInstantPayを利用してサプライヤーにすぐに支払いができる。その際、機械学習を使って決済の履歴データを調べ、至近に支払ってもいい請求書を予測する。そしてまた、リスクが大きいので手作業でチェックすべき請求書も見つける。

これまでは、大企業のバイヤーがサプライヤーに支払う済度は最大で2カ月ぐらいあった。そしてそれが、中小企業であるサプライヤーのキャッシュフローを苦しめた。クリステンセン氏によるとそれは、ひとつにはサプライヤーと大企業との一方的な契約に由来し、一方ではデータの入力、チェック、請求書の承認といった管理業務の煩雑と時間的長さに由来している。InstantPayは、そのタイムフレームを最短1日に縮小できる。

同氏によると、今のように疫病が蔓延していると、中小企業にとって決済が早いことはなお一層重要である。

クリステンセン氏は「パンデミックは世界中で、企業の大小を問わず、運転資金に大きな重圧をもたらしており、深刻なキャッシュ不足が生じている。Previseのプラットホームは運転資金のこのような逼迫を解き、大企業のサプライチェーンに供給している何千もの中小のサプライヤーが、取引の初日に支払いを受けられる。数週間も数カ月も待つことはない」と説明する。

同氏は続けて「サプライチェーンが壊れていることは深刻だが、同じく需要側も深刻だ。需要は跳ね上がり、サプライヤーはその巨大な受注に応じなければならない」と語る。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

大学の学資ローン免除を支援するSaviが6.4億円調達

学資ローン危機はますます深刻化を増している。新型コロナウイルス(COVID-19)の大流行により米国中の大学が閉鎖され、経済の急速な落ち込みは就職への道を薄暗くしてしまった。今の学生や卒業生は、上手な資金繰りを教えてくれるツールを必要としている。

悪いことに、米国の学資ローンは非常に複雑にできている。ローンの条件、返済方法、公的な利息免除のオプションが、文字通り数百種類ある。学生にとって、このルールに従いつつ、負担を最も小さくできる最良の方法はなんだろう?

ワシントンD.C.に本社を置くSavi(サビー)は、学資ローンを借りている人たちを、いちばん有利なオプションが選べる「Savvy(抜け目ない)」な人間にすることを目指しているが、このほど、その緊急の課題に取り組むためのさらなる資金を手に入れた。同社は今日、フィンテック界で最も影響力のある投資企業のひとつNyca Partners(ニカ・パートナーズ)主導のシリーズA投資600万ドル(約6億4000万円)を調達したことを発表した。

金融系スタートアップでは、利用者と自社の収益モデルとの間にインセンティブのずれが生じることがよくある。家計の健全化のためのアプリは、人々がまったく必要としていない新しいクレジットカードやローンを売り歩いた紹介料で密かに儲けていたりする。

Saviの面白いところは、常に利用者第一の姿勢を保つように最初から作られている点だ。同社は公益法人であり、米国の若者の成果の改善に共に尽力してきた2人の理想的な人物によって創設された。

ジョージタウン大学ローセンターを卒業したAaron Smith(アーロン・スミス)氏は、若者に焦点を絞ったシンクタンクであり人権擁護団体のYoung Invincibles(ヤング・インビンシブルズ)を創設し、そこで4年間働いていた。この団体はそもそも、オバマ政権初期に行われた保健医療制度の見直し論議の際に、若者の問題に注目してもらおうと設立されたものだ。一方、Saviのもう1人の創設者Tobin Ostern(トービン・オスターン)氏は、Students for Barack Obama(バラク・オバマを支援する学生の会)のリーダーとして、オバマ氏の最初の大統領選挙戦で若者に投票を呼び掛ける活動を行った後、超党派政策機関アメリカ進歩センターに加わった。

Saviの共同創設者トービン・バン・オスターン氏とアーロン・スミス氏(写真提供:Savi)

2人は、学資ローンを抱える若者の支援を目指すという進歩的な使命を果たそうと、Saviの共同創設を決意した。学資ローンの世界は「非常に複雑で、当然のこととして政策面の継続的な改善が欠かせないと思う一方で、学資ローンを抱える学生たちのための解決策が今すぐ必要なのです」とスミス氏は話す。「それが、ある意味でSaviの推進力にもなっています。テクノロジーを使って、そうした解決策を生み出すのです」

Saviは、利用者の学資ローンのデータを取り込み、数値を計算して、利用者の目標を考慮しつつ、返済や免除のための最良のオプションを導き出そうとしている。

学生相手の融資は1兆ドル(約107兆円)を超える市場だが、Saviは、その進歩的なルーツに立脚し、ソーシャルワーカー、教師、公務員といった利用者にプラットフォームを提供することに特別に力を入れている。同社の提携先の中でも最も大きな組織として、300万人の会員を擁するアメリカ最大の教師組合NEAがある。Saviは会員特典として提供されている。

企業や団体は、その従業員や会員に、自分の経済状況をよく理解してもらおうとSaviの学生ローン評価ツールを使わせている。このツールは無料で利用できるが、例えばば書類手続きの自動化機能などを使って学資ローンを積極的に管理したい場合は、サブスクリプション契約が必要となる。ただし利用者は、サブスクリプション料金を支払う前に、資金繰りの節約方法をSaviで計算できる。もしSaviが役に立たないとわかったときに、料金を支払わずに済むようにする配慮だ。同社によると、平均的な学資ローン利用者は、月に140ドル節約できるという。サブスクリプション料金は月額5ドル(約536円)だ。

雇用条件によっては、Saviはローンの免除に関して特別な専門性を発揮する。これは、多くの学資ローンが公益法人に勤める人に与えている権利だ。こうした権利には、繁雑で難解な適用規則がつきまとうものだが、Saviはそれぞれのローンの規則に準拠しつつ、利用者が免除の道を探れるように取り計らってくれる。現在、同社は150件を超える免除と返済オプションに取り組んでいるという。

組織向けの評価ツールに加えて、Saviは新型コロナウイルス関連の新しいツールをローンチした。医療従事者またはパンデミックで職を失った人たちが、自分の学資ローンの状況を知り、新しい援助プログラムが探せるようにするものだ。「私たちの利用者のうち、新型コロナ危機対応の仕事に就いている人たちの割合が驚くほど多かったのです」とオスターン氏は話していた。

学資ローン管理関連のスタートアップは、ベンチャー投資の間では人気が高い。昨日、私の同僚Alex Wilhelm(アレックス・ウィルヘルム)も、学資ローン・プラットフォームのFrank(フランク)が暫定戦略的ラウンド500万ドル(約5億3600万円)を調達し、エドテックの最大手Chegg(チェグ)が
役員の座に着いたという記事を書いていた。私も2019年末に、Summer(サマー)が1000万ドル(約10億7000万円)を調達したことを伝えた。SummerはSaviと同様、学資ローン利用者の負担を最小限にすることを目指す公益法人だ。

Nycaに加えSaviは、AlleyCorp、Temerity Capital、9Yards Capital、そしてMichelle Kang(マイケル・カン)氏、Catherine Reynolds(キャサリン・レイノルズ)氏、Sheila Lirio Marcelo(シェイラ・リリオ・マルセロ)氏からも資金を得ている。

新型コロナウイルス 関連アップデート

画像クレジット:Topp_Yimgrimm  / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

Palo Alto Networksが分散化対応でSD-WANのCloudGenixを買収

ファイヤーウォールなどネットワークのセキュリティを提供しているPalo Alto Networksが3月31日に、CloudGenixを4億2000万ドルで買収する合意に達した、と発表した。

CloudGenixはソフトウェア定義のワイド・エリア・ネットワーク(SD-WAN)を提供していて、それにより企業は、すべての分散ロケーションに対して会社のセキュリティプロトコルへのコンプライアンスを強制するポリシーを設定でき、セキュリティを確保できる。これは、支社がとても多かったり、ワークホースが全体的に分散している企業にとってとくに重宝する。しかも、今や何百万の人びとが突然在宅勤務に直面しているから、重要なのはとくに後者だ。

Palo Alto Networksの会長でCEOのNikesh Arora氏によると、この買収はPalo Altoのいわゆるセキュア・アクセス・サービス・エッジ(secure access service edge, SASE)に貢献する。氏は、声明で次のように述べている: 「エンタープライズの分散化が進むに伴い、顧客はすぐに簡単に使えるアジャイルなソリューションを求めるようになる。そしてそのことは、セキュリティとネットワーキングの両方について言える。今回の買収が完了すれば、両プラットホームの結合により顧客には完全なSASEが提供され、それは質的に最上級で、デプロイが容易な、クラウドで管理されるサービス(SaaS)として提供される」。

CloudGenixは2013年にKumar Ramachandran氏とMani Ramasamy氏、そしてVenkataraman Anand氏が創業した。買収の一環として三名全員がPalo Alto社へ移籍する。現在の顧客は250社で、その業界は多様だ。PitchBookのデータによると、同社はこれまでに1億ドル近くを調達している。

このところPalo Alto Networksは、次々と買収を重ねている。2019年の2月以来では、今回が6つめの買収になり、それらの総額は16億ドルを超えている。

この買収は、本年の第四四半期に完了すると予想されている。それまでに、例によって規制当局の承認を得なければならない。

関連記事: Palo Alto Networks to acquire container security startup Twistlock for $410M…Palo Alto Networksがコンテナのセキュリティを提供するTwistlockを4億1000万ドルで買収(未訳)

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

カードレス決済サービスPaidyが伊藤忠から52億円を調達

フィンテックスタートアップのPaidyを利用すると、クレジットカードがなくてもオンラインで買い物ができる。同社は4月9日、伊藤忠商事より約52億円の資金を拡張シリーズCラウンドで調達したことを発表した。今回の資金調達で伊藤忠の出資比率は25%になる。

同社によると、これで同社の調達総額は株式と融資を合わせて約300億円になる。日本の最大の商社のひとつである伊藤忠からの最新の投資は、株式投資だ。伊藤忠はPaidyのシリーズBとCにも参加し、同社への総投資額は約100億円になる。同社によると、シリーズDでなく拡張ラウンドにしたのは同じタイプの優先株を発行できるからだ。

Paidyの前回の資金調達の発表は2019年の11月で、投資家の中にはPayPal Venturesがいた。そして今回の資金は、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックの最中にPaidyのバランスシートを強化するために使われる。また、今年後半にローンチする後払い購入サービスの開発にも充てられる予定だ。

Paidyの決済サービスを使うと、ユーザーはオンラインで買い物をして各月にその合計をまとめて払う。同社は独自の技術でユーザーの信用力を評価し、買い物によって生じる小売店への債務の引受人となり、彼らへの支払いを保証する。日本の消費者はオンラインの決済にクレジットカードを使いたがらないので多いので、Paidyのサービスを使えばベンダーはコンバージョンレートと平均注文額とリピート購入を増やすことができる。

同社によると、このパンデミックの間にサービスの利用は増加した。多くの人が生活必需品をオンラインで買うようになり、ホテルや高額チケットなどへの出費の減少を十分に補っているからだ。なお、東京都を含む7つの都府県に対しては、緊急事態宣言が発令された。

伊藤忠の情報・金融カンパニー執行副社長加藤修一氏が、声明で次のように述べている。「同社が弊社の小売金融戦略において重要な役割を果たし続けることを固く信じている。それは、同社の独特な信用審査により新しいタイプの信用が創造され、それが広範囲な顧客の心を掴んでいるからである。Paidyはまた、詐欺との避けられない戦いの中で迅速なソリューションを実装し、そのサービスを次のレベルへ進化させうることを実証した」。

画像クレジット: Yukinori Hasumi/Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

GitHubがJavaScriptのパッケージマネージャー「npm」を買収

Microsoft(マイクロソフト)が保有するデベロッパーリポジトリーGitHubは、米国時間3月16日に独自の契約によりJavaScriptのパッケージベンダーnpmを買収した。買収額は公表されていない。

GitHubのCEOであるNat Friedman(ナット・フリードマン)氏は、この買収を発表するブログ記事で、npmはJavaScriptのコミュニティにおける大きな存在だとしている。同社はNode.js上のパッケージマネージャーであるnpm Registryやnpm CLIなどのツールを開発し提供している。Node Package Managerの頭字語がnpmになる。

「npmはJavaScriptの世界で重要な。npmのチームによるこれまで10年間の仕事と、何十万人ものオープンソースの開発者とメンテナーの貢献により、npmは130万あまりのパッケージのホームになり、それらは1カ月に750億ダウンロードされている」とフリードマン氏はいう。

オーナーが変わることによる開発者の不安を打ち消すかのようにフリードマン氏は、ユーザーはその違いに気づかないだろうと語っている。「npmの公開レジストリを毎日使っている数百万の開発者にとってnpmはいつでも使えてmいつでも無料であり続ける」と氏は記している。

彼はまた、このツールを支えているインフラをアップデートしてユーザー体験を改善し、npmのコミュニティとの関係を維持すると約束している。フリードマン氏によると、npmの技術をGitHubのプラットフォームに一体化する。すなわち「将来的にGitHubとnpmを統合して、オープンソースソフトウェアのサプライチェーンのセキュリティを改善し、GitHubのプルリクエストから、セキュリティの改良などnpmのパッケージのバージョンの変化をトレースできるようにしたい」とのことだ。

npmの創業者でCEOのIsaac Schlueter(アイザック・シュリューター)氏は同社のブログで、買収は良い方向への変化だとしている。「npmのユーザー体験が改善される素晴らしい機会だ。それによりJSデベロッパーの毎日が大小様々な面で有意義に改良されるだろう。そして私たちのツールが信頼性を増し、より便利になり、お互いに依存し合っているJavaScriptの広大なエコシステムの誰とでも結びつけるようになる」という。

もちろんそれは、無料バージョンだけの話ではない。有料顧客のコアグループもあり、フリードマン氏によると、GitHubはその人たちのサポートも継続する。

彼によると、レジストリがさらにGitHubへと統合される2020年後半には、有料顧客は自分たちのプライベートなnpmパッケージをGitHubのパッケージに変換できるようになる。

PitchBookのデータによると、2014年に創業されたnpmはこれまで、4800万ドル(約51億円)の投資前評価額により1900万ドル(約21億2000万円)近くを調達している。「スタートアップとして6年間苦労したが夢は大きかった。次の章に入った今は、その夢を実現できるチャンスだ」とシュリューター氏は書いている。

関連記事: Microsoft has acquired GitHub for $7.5B in stock…Microsoftが75億ドルでGitHubを買収(未訳)

画像クレジット: Bloomberg / Getty Images

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マーケターのための顧客データ統一プラットホーム「mParticle」が約48.6億円を調達

SpotifyやPaypal、Starbucksといった企業での顧客データ管理を支援しているmParticleが、シリーズDで4500万ドル(約48億6000万円)を調達した。同社の総調達額は、これで1億2000万ドル(約129億5500万円)になる。

共同創業者でCEOのMichael Katz(マイケル・カッツ)氏によると、時代の変化が同社にとって追い風になっている。すなわち、より厳しくなったプライバシーに関する規制やクッキーを使った顧客追跡技術の陳腐化と廃棄などのために、モダンなデータインフラを使った、どんな規制に抵触せずにパーソナライズされた体験を顧客に提供できるmParticleのようなプラットホームが、ますます企業に必要になっているのだ。

彼によるとその結果、mParticleは2017年にシリーズCで3500万ドル(約37億8000万円)を調達して以来、売上が5倍に増えた。

カッツ氏は「我々が解決する問題は普遍的で、企業の大小を問わない。データのフラグメンテーションやクォリティ、プライバシーをめぐる諸状況の頻繁な変化、テクノロジーそのものの絶えざる変化、これらはどの企業も直面している問題だ」と言う。

まさにそんな問題があるからこそ、mParticleが創業した2013年ごろから顧客データプラットホーム(customer-data-platforms、CDP)と呼ばれるサービスが次々と登場し、さまざまなソースからのデータを一元化して、マーケターが顧客の状況を一望できるためのツールを提供するようになった。今ではAdobeSalesforceのような大手企業も、彼らの大きなマーケティングクラウドの一環として内製のCDPsを提供している。

競合について問われたカッツ氏は「マーケットが望んでいるのは、一社支配ではない業界だ。たった1つのスイートだけあって、そこに2000年代の初期に作られたようなツールがすべて詰め込まれているなんて状態を誰も望まない」と言う。

彼によると、むしろ同社の顧客が望むのは目的やタイプごとに各分野の最高のソリューションがあって、それらをシームレスに組み合わせて利用できることだ。

さてシリーズDに話を戻すと、ラウンドをリードしたのはArrowroot Capitalで、同社のマネージングパートナーであるMatthew Safaii(マシュー・サファイ)氏がmParticleの取締役会に加わった。既存の投資家各社もラウンドに参加している。

カッツ氏の展望では、資金は主に3つの領域、新製品開発と同社のグローバルなデータインフラストラクチャのスケール拡大、そして新たなパートナーの獲得に充てられる。同社はすでにLiveRampとのパートナーシップを発表しており、これによってmParticleの顧客は、自分のファーストパーティのデータとLiveRampからのサードパーティのデータを結合できる。

「LiveRampとのパートナーシップでサービスの表面積を広げ、顧客企業が高度にパーソナライズされており、しかもプライバシーのコンプライアンスが高いUXを自らの顧客に提供できるようにしたい」とカッツ氏は言う。

関連記事: Amperity acquires Custora to improve its customer data platform…顧客データ活用プラットホームのAmperityが同業のCustoraを買収(未訳)

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ゲームの人工音声をより「人間らしく」するSonanticが約2.8億円を調達

ゲームやそのほかのエンターテインメントの人工音声を「人間らしく」するイギリスのスタートアップであるSonanticが、230万ユーロ(約2億7680万円)の資金を調達した。

EQT Venturesがこのラウンドをリードし、前からの投資家であるEntrepreneur First(EF)とAME Cloud Ventures、そしてHorizons VenturesのBart Swanson(
バート・スワンソン)氏が参加した。なお、Twitchの共同創業者Kevin Lee(
ケビン・リー)氏も、初期の投資家の1人だ。

2018年にCEOのZeena Qureshi(ジーナ・クレシ)氏とCTOのJohn Flynn(
ジョン・フリン)氏は、ロンドンで行われたEFのインキュベーター事業に参加して同社を創業した。以前はSpeak Aiという社名だったSonanticは、世界のゲームとエンターテインメントの音声技術に革新をもたらしたいと考えている。同社は開発した人工音声技術を、ゲームスタジオがオンデマンドで使える「表情豊かでリアルな演技音声」と呼んでいる。すでにAAA(トリプルエー)のゲームスタジオ10社あまりとの研究開発パートナーシップを進めている。

Sonanticが解決する問題について尋ねると、クレシ氏は次のように答えている。「ゲームに会話を入れる工程は時間がかかり、高価で労働集約的な作業だ。この工程はキャスティング、スタジオの予約、契約、スケジューリング、編集、監督などなど、大量の調整作業を要する。音声つきのビデオゲームは、頻繁に変わるゲームデザインに付き合わされて1本のゲームが完成するまでに10年かかることもある。そのたびにゲームデベロッパーは、同じような繰り返し作業を強いられる。しかも途中で予算オーバーになったり、ゲームのリリースが遅れたりすることもある」

こういった問題を解決するためにSonanticは、クレシ氏が「オンデマンドで動的な演技音声」と呼ぶ技術を提供する。この技術は、キャラクターに求められる性別や個性、アクセントの特徴、声色、感情などに基づいて正しいタイプの声を作り出す。同社の人間の声に近いテキスト音声変換システムはAPIで提供され、ユーザーはGUIのツールで合成声優を編集し、変化させ、まるで人間の俳優に行うように監督(演技指導)する。

そのためにSonanticは、俳優たちといっしょに彼らの声を合成し、その際の演技指導も行う。「さらにその声のデジタルバージョンを提供することで、彼らの受動的収入源になり、俳優たちの助けにもなる」とSonanticのCEOは説明する。

経費を下げ、すぐに利用可能な音声モデルを用意していることで、Sonaticはゲームスタジオが短期間で繰り返しの作業が安価でできるようにしている。同社のSaaSとAPIによりいろんな音声演技を作って試すことも簡単で、ストーリーの細かい変更や編集、そして監督も楽にできるようになる。

一方でSonanticは怒り、悲しみ、喜びなどさまざまな感情のこもった音声を作り出す同社の技術をいずれ一般公開したいと考えている。同社によるとそれは、本当に有能な本物の俳優や声優にしかできない技能だそうだ。

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暗号通貨のセキュリティを提供する台湾のCoolBitXがSBI HoldingsなどからシリーズBを調達

ブロックチェーンのセキュリティを提供している台湾のCoolBitXが、1675万ドル(約18億5000万円)のシリーズBを発表した。このラウンドをリードしたのは、シリーズAのときと同じ日本の金融グループSBI Holdingsだ。

参加した投資家は、韓国の暗号通貨取引所Bitsonic、日本の金融サービスMonex Groupそして台湾のNational Development Fund(国家発展基金)だ。

2014年に創業したCoolBitXには、2つのプロダクトがある。まずCoolWallet Sは、暗号通貨のためのBluetooth対応ハードウェアウォレットだ。もうひとつのプロダクトSygnaは、金融活動作業部会(Financial Action Task Force、FATF)が2019年策定したルールに対する、仮想資産サービスプロバイダーたち(virtual asset service providers、VASPs)のコンプライアンスを助けるソリューションだ。

「トラベルルール」と呼ばれるそのルールは、仮想資産サービスプロバイダーがトランザクションの間に顧客から個人同定情報(personally identifiable information,、PII)を得ることを義務付けて、マネーロンダリングやテロリストの資金獲得などを防ぐ。FATFのメンバー国のVASPsはすべて、6月までにコンプライアンスを要する。

今回の資金でCoolBitXは、Sygnaのプレゼンスをアジア太平洋地域の外にも広げたいと考えている。同社によると、すでに12社の暗号通貨取引所が了解メモに署名しており、Sygnaの利用とテストを行っている。12社の中にはSBI VC Trade、Coincheck、Bitbank、DMM Bitcoin、BITpoint、MaiCoin、BitoPro、Aceなどが含まれている。

CoolBitXの創業者でCEOのMichael Ou(マイケル・ウー)氏は本誌宛てのメールで、Sygnaを展開することによってShyftやCiphertraceのような同業他社と差別化できるという。しかし彼らもまた、トラベルルールのコンプライアンスソリューションを提供しており、それが今や、広くテストされユーザーによって立証されていることを示している。

ウー氏はまた 「Sygnaを使うことで、VASPsは日常業務を邪魔されずに迅速にコンプライアンスをチェックできる。シームレスなユーザー体験とデータ通信におけるセキュリティを重視しているため、Sygnaは暗号通貨の世界でメインストリームとして採用されるだろう。それを狙っている」と語っている。

プレスリリースの声明において、SBI Holdingsの代表取締役社長兼CEOの北尾吉孝氏は次のように述べている。「CoolBitXが暗号通貨の一般的な採用に向けてまた大きく前進したことは、同社初期の投資家としてとても喜ばしい。今回の2度目の投資にも参加できたことを喜んでいる。デジタル資産は本質的にボーダーレスなので、地理的な境界に制約されないソリューションが必要であり、したがってCoolBitXの安全で実装しやすいシステムを世界中に普及させていく同社の旅路に同行できることを、弊社SBI Holdingsは誇りに思っている」

画像クレジット: CoolBitX

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GUIでオーディオシステムを開発するAudio WeaverのDSP Conceptsが16億円相当を調達

DSP ConceptsのソフトウェアであるAudio Weaverは今やTesla、Porsche、GoPro、Braun Audioなど、さまざまな企業が利用している。同社はこのほど、シリーズBで1450万ドル(約16億円)を調達したことを発表した。

CEOのChin Beckmann(チン・ベックマン)氏とCTOのPaul Beckmann(ポール・ベックマン)氏夫妻によると、同社の目標は、企業がオーディオ処理ソフトウェアを開発するために使用する標準的なフレームワークを作ることだ。

チン氏によると「シリーズBの投資家にはこの業界を本気で支援し支持して欲しかったため、その選別には気を使った」とのこと。

そこでこのラウンドはTaiwania Capitalがリードしたが、投資家にはDSP Conceptsに対する戦略的投資家が多く含まれる。シリーズAをリードしたのはみなDSP Conceptsの大型ユーザーの系列であるBMW i Ventures、Innovation Growth VenturesのSony Innovation Growth Fund、MediaTek Ventures、Porsche VenturesそしてARM IoT Fundなどだ。

ポール氏によると、Audio Weaverは、もともとベックマン夫妻がやっていたコンサルティング事業の「秘密兵器」として始まった。オーディオのエンジニアリングプロジェクトの進捗を、一気に超高速化することができる。コンサルティングをしている途中で顧客は必ず「そいつの使い方を今教えてくれないか?」と言われ、夫妻はこのAudio Weaverプラットホームにフォーカスしたスタートアップを立ち上げた。

Audio Weaver - AWE Designer

ポール氏によるとそのソフトウェアは「グラフィカルなブロック図エディター」だ。GUIを使って、オーディオ処理のためのさまざまなソフトウェアモジュールを組み合わせたり、カスタマイズしていく。

「オーディオはそのほかの業界に比べるとまだ石器時代にある。たとえばタッチ画面から使うプロダクトを作るとすると、オーディオはグラフィクスをスクラッチから書く世界、ほかの業界ではとっくにQtのようなGUIフレームワークが使われている」と彼はいう。

またポール氏によると、今でもオーディオエンジニアは手書きでコードを書くという大変な作業を大量に行っているが、Audio WeaverのGUIを使えばパズルのいろんなピースを簡単にまとめることができるし、これまで作って改良し蓄積してきた何百ものモジュールを今の仕事に利用できるようになる。

DSP ConceptsのエンジニアたちはAudio Weaverのプラットホームを使って、GoProで撮った映像から風の音を減らすアルゴリズムの何百ものアイデアを、すべて実際に試せる。そして、最良のアルゴリズムをGoProに渡せばよい。すると同社のチームがそのアルゴリズムを自分たちのソフトウェアに使って、部分的に変えたりもできる。

ベックマン夫妻によると、同社はチップのメーカーとも密接に協力して、彼らのチップセットを使っているデバイスでオーディオのソフトウェアが正しく動くように努めている。

さらに同社のTalkToというモジュールは、Alexaのような音声アシスタントの聴力を超高感度にする。ロックコンサートのような大音量の環境でも、ノイズをすべてキャンセルしてコマンドを聞き取ることができる。下のビデオは、TalkToのデモだ。

DSP Conceptsは、これまでの累計で2500万ドル(約27億9000万円)あまりを調達している。

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誤報でSlackの株価が一時急騰

米国時間2月10日午後のTwitterはSlackの話でもちきりだった。一体何が起きたのか。忙しい読者のために、かいつまんでご紹介しよう。

Slackとその株価をめぐる騒動は、Business Insiderの記事に端を発している。

Slackが最大の顧客を獲得した。IBMは35万人の社員全員を、このチャットアプリへ移行させた

Slack vs Teamsというバトルが注目を集めているため、Slackが新たに大きな契約を勝ち取ったことはニュースになる。Slackの株価は上がり、今見ると少し愚かな見出しがメディアに溢れていていた。

例えばこんな見出しがあった。

Slackは結局生き延びるかもしれない。IBMが35万人の社員専用アプリに指定

Slackの株価は終日急上昇した。前日と比べて15.4%上がり、そして突然、天気の良い本日2月11日の午後、Slackの株の売買は突如停止して、新材料待ちとなった。

関連記事: SaaS kicks off 2020 with an extra billion in VC funding as round count halves…SaaSの2020年はラウンドの件数が減り投資額は大幅アップ(未訳)

混乱が生じ、みんな何が起きたのかを知ろうとした。GoogleがSlackを買収したのか? Slackが小さなスタートアップを買ったのか? IBMはSlackの顧客ではなかったのか? それは誰もわからない。

株取引の停止は、確かに重大な事件だ。各メディアはいっせいにSlackに注目した。突出した話題がないかぎり、上場企業はニュースにならない。決算報告が取引終了後に出てくるのは、そのためだ。

その後SlackはSECの提出文書を公表した。そこには、IBMは以前からの顧客だとある。つまりIBMは、今日新たな顧客になったのではない。またSlackの発表のどこにも、35万人の社員という言葉はない。

そして同社は自らの言葉で、市場の熱狂を鎮めようとした。

IBMは数年前からSlackにとって最大の顧客であり、同社におけるSlackの利用者も年々増えている。Slackは2020年1月31日に終わる会計年度と、その第4四半期の財務見通しを修正しない。

これで、一件見落着だ。

取引は再開したが、しかし今日起きたことは結局、何の意味もなかった。

Slackがやっと、時間外取引で浮上してきたときには、その日の稼ぎの約半分を返上した。Slack株は現在、時間外で24.56ドル(約2699円)だ。2月11日は約23ドル(約2527円)で始まり、27ドル(約2967円)台の半ばまで上がった。

そして今は、落ち着いている。

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HPEがクラウドネイティブのセキュリティを追究するScytaleを買収

HPEが、クラウドネイティブのセキュリティサービスScytaleを買収した。そのサービスは、オープンソースのセキュリティプロトコルSecure Production Identity Framework for Everyone(SPIFFE)をベースにしている。両社は買収の価額を公表していない。

Scytaleは、複数のアプリケーションにまたがってアイデンティティ、すなわち認証とアクセスを管理する。最近では人間が介入しなくても勝手に複数のアプリケーション間で行われるトランザクションが多くなっているので、このようなサービスはますます重要だ。特に重要なのが、情報が他のアプリケーションと共有されてもいいと、当のアプリケーションが認知・許可していることだ。

これはHPEにとっても、今後広げたい分野だ。HPEのフェローでクラウドレスコンピューティングのゼネラルマネージャーであるDave Husak(デイブ・フサック)氏が、買収を発表するブログ記事に「HPEが次の章に進み、弊社独自のエッジツークラウドのPaaSをお届けしていくためには、セキュリティが一貫して重要な役割を担い続ける。ハイブリッドでマルチクラウドな環境で操業している企業ならどこでも、データとアプリケーションのアイデンティティをリアルタイムで動的に識別し認証する、完全に安全でゼロトラストなシステムが必要だ」と書いている。

彼は、HPEがSPIFFEとSPIRE(SPIFFE Runtime Environment)プロジェクトの支持者であり続けることも、書き忘れていない。どちらも、Cloud Native Computing Foundationの傘下にあるシステムだ。

Scytaleの共同創業者Sunil James(サニル・ジェームス)氏も別のブログ記事で「この買収はScytaleのルーツがオープンソースであることをHPEが尊敬していることが鍵だ」と語る。同氏によると「ScytaleのDNAはセキュリティと分散システムとオープンソースだ。HPEにおいてもScytaleはSPIFFEのサポートを継続する。弊社の絶えず成長している、発言力の強いコミュニティが、われわれをリードするだろう。今後も、この透明でベンダーニュートラルなプロジェクトのメンテナンスにしっかりと取り組んでいきたい。そのことは、動的でオープンで安全なエッジツークラウドのプラットホームを提供していくHPEにとっても、同じく重要だ」とのこと。

PitchBookのデータによると、Scytaleは2017年に創業し、これまでに800万ドル(約8億7000万円)を調達している。その中では、昨年3月のBessemerがリードしたシリーズAの500万ドルが大きい。なお、この買収は米国時間2月3日に完了した。

関連記事:Scytale grabs $5M Series A for application-to-application identity management(複数のアプリケーションにまたがってIDを管理できるScytale、未訳)

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レガシー企業のITをクラウドネイティブ&サーバーレス化するTriggerMesh

オープンソースのKubernetesを利用するエンタープライズサービスのTriggerMeshは、企業がクラウドや従来型のデータセンターで動かしているアプリケーションの「サーバーレス化」を支援する。同社はこのほど300万ドル(約3億2800万円)のシード資金を調達した。

このラウンドをリードしたのは、Index VenturesとCrane Venture Partnersだ。TriggerMeshによると「この投資は同社の開発チームを増員して、同社が自称する業界初の『サーバーレス時代のためのクラウドネイティブな統合化プラットホーム』を提供していくために使いたい」という。

同社の2人の創業者である、CEOのSebastien Goasguen(セバスチャン・ゴアスグエン)氏とCMOのMark Hinkle(マーク・ヒンクル)氏は、どちらもオープンソースの世界では名を知られた人物だ。二人の出身地は、ジュネーブとノースカロライナである。TriggerMeshのプラットホームにより企業は、複数のクラウドやデータセンターにまたがるエンタープライズ級のアプリケーションを構築できる。同社によると、サーバーレスというアーキテクチャがもっと普及するには、そこが克服すべき難関だ。

TriggerMeshのプラットホームとサーバーレスのクラウドバスは、「アプリケーションのフローオーケストレーション」(イベントフローのオーケストレーション)を行い、さまざまなデータセンターアプリケーションやクラウドのイベントソースからのイベントを消費して、サーバーレスのファンクションをトリガーする。

それを同社は「クラウドネイティブのアプリケーションはクラウドで大量のサーバーレスの提供物を使うから、TriggerMeshは宣言的なAPIと各種のツールを提供して、モダンなアプリケーションを構成するイベントフローとファンクションを定義できるようにする」と説明する。

特にTriggerMeshがセールスポイントとして強調するのは、レガシーなエンタープライズなどにおけるオンプレミスソフトウェアとの統合化だ。同社のソフトウェアによりSaaSやサーバーレスのクラウド提供物、そしてオンプレミスのアプリケーションへの接続が容易になり、低コストかつ迅速にスケーラブルなクラウドネイティブアプリケーションを提供できる。

Crane Venture Partnersの共同創業者でパートナーのScott Sage(スコット・セージ)氏が声明で「今は膨大な数の非接続アプリケーションがあり、それらはクラウドコンピューティングや増加する一方のネットワーク接続を十分に利用できない。多くの企業にクラウドとオンプレミスのアプリケーションの何らかの組み合わせがあり、さまざまなベンダーからのアプリケーションが増えるに伴い、統合化のニーズが今や限界まで高まっている。TriggerMeshのソリューションはこのニーズに理想的にフィットしており、そのために魅力的な投資対象にもなっている」と語る。

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Uberがインドのフードデリバリー事業を現地ライバルのZomatoに売却

Uberは1月21日、インドにおける同社のフードデリバリーサービス、Uber Eatsを地元のライバルZomato(ゾマト)に売却したと発表した。これによりアメリカのライドシェア大手は、2021年の黒字化するために、損失を計上する事業を放棄する。

この2つの赤字企業によれば、契約ではUberがZomatoの9.99%を保有し、EatsのユーザーはZomatoのユーザーになるという。情報筋によると、Uber Eatsのインド事業の評価額は1億600万ドル(約117億円)から2億ドル(約220億円)の間と見なされたようだ。

TechCrunchは2019年12月に、両社の契約はもうすぐまとまると報じた。両社の話し合いを11月に最初に報じたのは、インドの新聞『Times of India』だ。

ForresterのアナリストSatish Meena(サティッシュ・ミーナ)氏によると、ZomatはUberからの買い物があるにもかかわらず、依然として地元のライバルSwiggyに1日のオーダー数で負けている。Prosus Venturesが投資しているSwiggyは、2018年後半に10億ドル(約1100億円)を調達した

UberのCEOであるDara Khosrowshahi(ダラ・コスローシャヒ)氏は声明で「Uber Eatsのインドのチームはこれまでの2年あまりで立派な業績を上げた。彼らの創意と献身を、私は最高の誇りに思う」と述べている。

情報筋によると、Uber Eatsがインドに進出したのは2017年で、インドの事業を売却するという話は2018年後半に始まっている。

続けてコスローシャヒ氏は「今後も、インドはUberにとって特に重要な市場であり、当地のライドシェアサービスへの投資を引き続き行っていく。この分野において、Uberはすでにカテゴリーリーダーである。Zomatoの資本効率の高い成長能力に強い感銘を受けており、彼らの継続的な成長を願っている」と話す。

しかし、業界の推計によると、Uberはインドのライドシェア分野のトップではない。そのタイトルはOlaのもので、インドの乗客数ではUberの2倍あり、カバーする都市の数もUberの約30に対してOlaは110だ。

情報筋によると、Uber Eatsの従業員は希望すればUberに残ることができる。

この発表の最中に、Zomatoの新たな資金調達ラウンドが行われている。創業11年になるこのインド企業は2019月12月に、Ant Financialから1億5000万ドル(約165億円)を調達し、数週間後にはさらに4億ドル(約440億円)の追加投資を求めるという。

Uber Eats Indiaの切り離しは、Uberを助けるだろう。同社は2019年に東南アジアを去ったが、今回もそれと同様にグローバルな損失が縮小する。2019年に数百名をレイオフした同社は、11月に10億ドル(約1100億円)あまりの四半期損失を報告している。Uberによると、2021年には黒字化するそうだ。

Uberは、2019年8月から12月までのUber Eatsのインド事業による損失を1億750万ドル(約118億円)と予想していた。Zomatoも同じく、損失を減らす努力をしている。2018年に同社は各月に4000万ドル(約44億円)あまりの損失を計上したが、Zomatoに投資しているInfo Edgeによると、2019年11月の決算報告ではそれが2000万ドル(約22億円)に抑えられた。

*アップデート: この記事の初期のバージョンでは、Uber Eatsのインド事業の評価額を3億から3億5000万ドルとしていた。現状は、ほぼその半分である。

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ユーザーフィードバックを一元化し強力な顧客コミュニティを構築するSaaS、Harvestr

Harvestrは、プロダクトマネージャーがさまざまなところから寄せられるのユーザーフィードバックを一元化するSaaSだ。プロダクトマネージャーは、未解決の問題や機能のリクエストに優先順をつけることができ、問題が解決したり機能が実装されたら、このプラットホームから顧客に報告することも可能だ。

同社はこのほど、Bpifranceがリードするラウンドで65万ドル(約7200万円)を調達した。さまざまなエンジェルたち、360Learningの共同創業者Nicolas Hernandez(ニコラス・エルナンデス)氏とGuillaume Alary(ギヨーム・アラリー)氏、Station FのディレクターRoxanne Varza(ロクサーヌ・バルザ)氏などが参加。後者はAtomico Angel Programmeから参加した。

Harvestrは、ZendeskやIntercom、Salesforce、Freshdesk、Slack、Zapierなどとダイレクトに統合する。たとえばユーザーがZendeskでチケットを開いたり、別のユーザーがサポートチームとIntercomのチャットウィジェットで会話をしたら、それらすべてがHarvestrに集まる。

すべてを1つのシステムにまとめたら、Harvestrは緊急のものや、影響の大きいものからタスクの優先順をつけてくれる。

新機能を作ったり、公開するときには、それをリクエストしたユーザーにコンタクトすることもできる。

これによりHarvestrは、プロダクトのヘビーユーザーが集まった強力なコミュニティを築く。このコミュニティ構築には、さまざまな利点がある。

まず、ユーザーへの連絡を絶やすことなく、彼らに見返りを与えることができる。これにより、顧客満足度はさらに上がり、解約なども減る。熱心に利用してくれている顧客は、プロダクトを広めてくれるアンバサダーになってくれるだろう。

Harvestrの使用料は5名で月額49ドル(約5400円)、20名では99ドル(約1万1000円)だ。現在、360LearningやHomeExchange、Dailymotionなどで働いている人たちがHarvestrを利用している。

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Alphabetの時価総額1兆ドルとSaaS株の記録的高値で見えるこれからのスタートアップ

先の株式市場における記事の続編として、今週は注目すべきことが2つ起きた。1つはアメリカのテクノロジー企業として三番目に大きいAlphabet(アルファベット)が、時価総額1兆ドル(約110兆円)を超えたこと。そして2つめは、2019年の夏に下がったSaaS企業の株価が記録的な高値に達したことだ。

この2つのマイルストーンの間に深い関係はないが、どちらも現在のテクノロジー企業に対する公開株式市場の無節制を表している。そしてその熱気は、非公開市場のスタートアップや、彼らを支援するベンチャーキャピタルにも伝染している。

でもそれは、いくつかの理由でテクノロジースタートアップにとって良いニュースだ。大手テクノロジー企業の懐はこれまでになく暖かく、小さな企業をいくらでも買収できる。SaaSの高値は小さなスタートアップの資金調達と、彼らの先輩たちがエグジットする追い風になる。

大手テクノロジー企業とその小さな兄弟たちが現在、享受している圧倒的な好評価は、ユニコーンが登場する絶好の条件でもある。市場でこの高値が続くかぎり、TechCrunchもこのポイントをずっと追ってみたい。テクノロジー企業の株価はもはや、いかなる月並みの表現を超えたものだ。

関連記事: How many unicorns will exit before the market turns?…この好況の間にいくつのユニコーンがエグジットするか?(未訳、有料記事)

AlphabetとMicrosoftとAppleの3社を合わせると、その時価総額は3.68兆ドル(約410兆円)になるが、株価よりも安定的な数字である売上額を使うと、SaaSの株価は3社の売上の12.3倍だ。しかし、非上場のベンチャー支援の企業は必ずしも、公開株式市場の投資家たちの財布の口のゆるさにあずかることはできない。

テクノロジーの顧客企業はどうか?

現在の公開市場におけるテクノロジー企業の時価総額の膨張は、テクノロジーを生産し提供する側ではなく、最近ますます増えている「テクノロジー利用企業(tech-enabled-startups)」の助けになるだろうか? 2019年に上場した企業の一部は、彼らの非上場時の最後の評価額またはそれ以上になった時価総額を支持する気のない投資家たちから、すぐに見捨てられた。SmileDirectClubは、そんな例のひとつだ

テクノロジー企業を評価する基準は往々にして曖昧だが、粗利率と継続性は重要だろう。粗利率が大きくて、安定的に継続している企業は価値も大きい。市場のこのような見方が、最近のSaaSの株価を当然のように押し上げている。

2020年最初のベンチャー支援のIPOとして期待されるCasperOne Medicalにとっては、テクノロジー利用企業(tech-enabled-startups、テクノロジーをベースとする企業)というイメージを維持する方が、株式市場でも有利だろう。テクノロジー企業は今、時価総額がとても大きいため、非上場と上場を隔てる川を渡るときは、テクノロジーの匂いをほんの少しでもさせていた方が株価にとって有利だ。

関連記事: One Medical’s IPO will test the value of tech-enabled startups…One MedicalのIPOでテクノロジー利用企業の評価が分かる(未訳、有料記事)

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Googleによるノーコード開発のAppSheet買収で、プログラマー不在でもアプリ開発が容易に

Googleが米国時間1月14日、創業8年のノーコードでモバイルアプリケーションを開発できるプラットホームAppSheetの買収を発表した。PitchBookのデータによると、同社は6000万ドル(約66億円)の評価額で1700万ドル(約19億円)を調達している。両社とも、買収額は公表していない。

Googleは、AppSheetの買収で、企業がコードを1行も書かない簡単なモバイルアプリ開発環境を提供できるようになる。それはデータをスプレッドシートやデータベース、フォームなどから抽出し、それらのフィールドや列の名前をアプリ構築のベースにする。

統合されるGoogle CloudにはすでにGoogle SheetsやGoogle Formsがあるが、AppSheetはAWS DynamoDBやSalesforce、Office 365、Boxといった他のツールでも使うことができる。Googleによると、買収完了後もこれらのプラットホームへのサポートは続ける。

Google Cloudの副社長Amit Zavery(アミット・ザベリー)氏が、ブログで書いているように、この買収によりデベロッパーや開発チームがない企業でもモバイルアプリを作れるようになる。「この買収でエンタープライズは大量の一般社員に力をつけ、プロのプログラマーがいなくてもアプリケーションを容易に開発したり、拡張できるようになる」とザベリー氏は言う。

Googleに買収されたスタートアップの創業者がよく言うように、AppSheetの共同創業者でCEOのPraveen Seshadri(プラヴィーン・セシャドリ)氏も、単独の企業ではできなかった市場拡大がGoogleの下でできるようになる、と発言している。

セシャドリ氏は「G SuiteやAndroidなど、Googleのすばらしい財産を利用できることで得られる可能性はとても大きい。それによりAppSheetの機能性とスケール、パフォーマンスを向上できるだろう。今後はAppSheetの長所とGoogleの専門的能力を組み合わせて、金融サービスやリテール、メディア、エンターテインメントなどの業種も顧客にしていきたい」と記している。

Googleとしては、ノーコードを同社の開発哲学の延長として、ワークフローオートメーションや、アプリケーションインテグレーション、API管理などと並ぶ重要なサービスに位置づけていくようだ。

AppSheetのようなノーコードツールが、高度な開発環境に置き換わるわけではないが、これまでモバイルアプリの開発能力がない企業に、ちゃんとした力を提供していくことは確実だ。

画像クレジット: Akio Kon/Bloomberg via Getty Images/Getty Images

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