1990年中盤以降生まれのZ世代は非ゲームアプリを月4.1時間使用、モバイルで最もパワフルな消費者に

1990年代中盤、後半以降に生まれたZ世代の消費者が、どのようにスマートフォンやモバイルアプリを利用しているのかを掘り下げた新たなレポートがApp Annieから発表された。2020年第3四半期に集められたデータによると、Z世代ユーザーは、人気の非ゲームアプリに1カ月あたり平均4.1時間費やしていて、これは上の世代よりも10%長い。Z世代ユーザーはまた、上の世代より頻繁にアプリを利用し、ユーザー1人あたりの非ゲームアプリのセッションは20%長く、1つのアプリのセッション数は1カ月に120回だ。

アプリ利用状況についてのこのデータはZ世代に照準を当てたものだが、米国、英国、ブラジル、フランス、ドイツ、インドネシア、日本、メキシコ、韓国、トルコというマーケットに絞っているため完全な分析ではない。また、Android端末からのデータのみを使用しているため全体像は描けていない。

レポートによると、Z世代は上の世代よりもゲームの利用が多いが、使用時間ほど頻繁にゲームにアクセスしてはいない。25才以上の世代は実際には、最も使用するゲームに関しては20%以上長く時間を費やし、アクセス回数は10%多い。Z世代そしてZ世代より上の世代も、非ゲームアプリよりもゲームにより多くの時間を費やしている。

データは、一部の市場におけるプリインストールされたAndroidアプリを除く、MAU別のゲーム以外のアプリトップ25に焦点を当てている。(画像クレジット:App Annie)

Z世代ユーザーが利用するゲームの中で突出しているのは、カジュアルアーケードゲームのAmong Usだ。これはチームを基本とするマルチプレイヤー機能とTwitchストリームによるものであり、世界で3番目に多くプレイされているゲームになった。共和党議員Alexandria Ocasio-Cortez(アレクサンドリア・オカシオ=コルテス)氏が10月20日夜にTwitchでゲームをした(未訳記事)とき、ピーク時には43万5000人が視聴し、これまでで最大のTwitchストリームの1つになった。

その他、Z世代に人気のゲームはCandy Crush SagaやToon Blastのようなパズルゲーム、PUBG MobileやFree Fireといったアクションゲーム、Minecraft Pocket EditionやRobloxのようなシミュレーションゲームだ。

画像クレジット:App Annie

App Annieはまた、Z世代ユーザーがiOS、Android両方の非ゲーム部門でどういうアプリを好んでいるのかも調べた。

調査が実施された10のマーケットのうち9つのマーケットのZ世代の支持を得ていたのがTikTokとSnapchatだ。Snapは米国時間10月20日に素晴らしい内容の決算を発表したが、決算内容はアナリスト予想を上回り、デイリーユーザー数は4%増の2億3800万人だった。

Discordもまた成長中で、特にフランスで人気だ。パンデミック中、モバイルとリモートのゲームが他の人との関わりにおいて中心的役割を果たすようになったためだ。

画像クレジット:App Annie

エンターテインメントアプリとしては、10マーケット中6つのマーケットでTwitchが最も人気だったが、日本では動画配信サービスniconico(ニコニコ)が人気だった。

App Annieによると、ファイナンスやショッピングアプリはまだZ世代に幅広く受け入れられていないが、有望株であることが示されている。

画像クレジット:App Annie

Z世代に人気のファイナンスアプリはほとんどないが、Z世代はVenmoやMonzo、DANAのようなノンバンク系のフィンテックアプリを活用する傾向がある。韓国ではローンや保険、クレジットを提供しているP2P決済アプリのTossが人気だった。

一方でZ世代に人気のファッションアプリは、Shein、ASOS、Shopee、 Mercariだった。

全体的に、アクティブなZ世代ユーザーは分析対象となったマーケットで大きな存在になりつつある。インドネシアやブラジルのような新興マーケットでは特にその成長は目覚ましい。

画像クレジット:App Annie

Z世代は、モバイルにおいては最もパワフルな消費者世代になりつつある。98%がスマートフォンを所有していて、推定される年間支出額は1430億ドル(約15兆円)だとApp Annieは指摘した。

「Z世代はスマホがない世界を知りません。彼らはまずモバイルを通して世界を見ています」とApp AnnieのCEO、Ted Krantz(テッド・クランツ)氏はレポートに関する声明で述べた。

関連記事:SnapchatのSnapが予想を大幅に上回る収益で第3四半期後、株価急騰

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Z世代スマートフォンアプリ

画像クレジット:Sally Anscombe / Getty Images

原文へ

(翻訳:Mizoguchi

老化速度のモニターと対策を可能にするHumanity

いまやほとんどの人が、歩いた歩数、心拍数、体重などを記録できるウェアラブルデバイス、いわゆる「デジタル・バイオマーカー」を監視するアプリに慣れ親しんでいる。近年では比較的簡単な方法で、コレステロールのレベルなどの「生物医学マーカー」の監視を可能にするというスタートアップも現れている。まだ数は少ないが、彼らはバイオマーカーと生物医学マーカーの両方を監視することで、私たちの体の状態を全方位の視野で監視できる手段を探っている。

その中間の位置に、まさにその2つの合体を目指すHumanity(ヒューマニティー)が躍り出た。2人の経験豊富な起業家によって創設された同社は、デジタルおよび生物医学のバイオマーカーを統合した一般消費者向けアプリを、来年本格的にローンチさせる予定だ。

米国時間8月20日、同社は最初のシード投資となる250万ドル(約2億6000万円)を調達したと発表した。このラウンドは、ボストンのファンドOne Way Venturesと、長年のヘルステック系エンジェル投資家として高名なEsther Dyson(エスター・ダイソン)氏をはじめとする投資家たちが主導している。

歴史あるソーシャルネットワークWAYN(ウェイン)の共同創設者でもあり、多くの企業を立ち上げてきた起業家Peter Ward(ピーター・ウォード)氏と、元Badoo(バドゥー)のMichael Geer(マイケル・ギア)氏は、AIを駆使して人の健康寿命を最大限に延ばす健康と長寿のための企業で「人類の生活をより健康に、より長生きにしたい」と考えている。

彼らの狙いは「実際の老化速度」をモニターできる能力をユーザーに与え、どの行動が有効でどれが無意味かを示し、どうすれば老化プロセスを逆転させられるかを教えることにある。

彼らは、George Church(ジョージ・チャーチ)氏やAubrey de Grey (オーブリー・デ・グレイ)氏など、遺伝学と老年学の世界的権威をも引きつけ、同社の科学諮問委員会に招き入れた。

デ・グレイ氏は、老化防止技術の研究を奨励するMethuselah Mouse Prize(メトセラマウス賞)の運営団体Methuselah Foundation(メトセラ財団)の共同創設者として有名だ。

声明の中で、デ・グレイ氏は「世界の科学者は、ますます老年学に注目するようになっています。そのお陰で、画期的な大発見が加速度的に増えています。しかしながら、我々にはまだ、それらの発見を人々に直接届ける手段がありません。それを解決しようとしているのがHumanityであり、私が勇んで彼らの使命を支援するのは、そのためです」と語る。

Humanityの筆頭投資企業であるOne Way Venturesの業務執行社員Semyon Dukach(セミョーン・ドゥカチ)氏は「我々はこのラウンドを、一般消費者向け技術と健康分野の主要ファンドやエンジェルといった数多くの素晴らしい投資家とともに主導できたこと、そしてこの類い希なチームを支援できることを誇りに思います。我々はHumanityの使命を信じ、人々にこうした製品を提供するには今以上の好機はないと確信しています」とコメントしている。

ウォード氏は「病気を避けて老化を遅らせることに関して、多くの人が無力感を覚えています。世界に新型コロナウイルスが蔓延する中で、老化と体の不調がリスクを大幅に高めることを、我々はみなはっきりと認識しました。人々の最大の関心は、日々どのような行動をとれば健康を長期にわたって維持できるのか? という当然のものです」と付け加えた。

ギア氏は「人はこれまで、健康のために行っていることが本当に役に立っているのかどうかを知るための、正確で明確なフィードバック・ループを手にしたことがありません。我々は、まさにそのスーパーパワーを提供したいのです」と説明する。

Humanityは現在、その製品のアルファ版を「数百人のユーザー」を対象にテストしているところであり、いち早く使いたい人たちが「数千人」待っているという。アプリは、2021年の早い時期に英国と米国でローンチされる。2020年には世界医展開される予定だ。
画像クレジット:Humanity

[原文へ]

(翻訳:金井哲夫)

インドと米国に続き日本でもTikTokなどの中国製アプリ禁止か

日本の一部の国会議員たちがインドや米国に倣って、TikTokなど中国の企業が開発したアプリの使用を制限しようとしている。インドはすでに中国のアプリを数十件もブロックしており、米国では政府による禁止が検討されているという話がある。

議員たちの動きを最初に報じたのは、日本の全国民的放送局NHKだ。弁護団は、米国とインドの政府職員と同じように国内ユーザーのデータが北京の手に渡るという懸念を共有し、使用制限の提議を早ければ9月にも日本政府に提出するつもりだ。

日本は海外のインターネット企業にとって難関と見なされていたが、TikTokは最初の成功例だった。同社の出来たばかりのローカライズチームは、日本の著名人ユーザーの獲得に努力した。

調査会社App Annieによれば、日本のiOSストアにおいてTikTokはエンターテインメントアプリの中で常にトップであり、本稿執筆時点で日本国内の全カテゴリーで5番目にダウンロードされたアプリだ。

日本からの批判を受けてTikTokの広報担当者はTechCrunchに対して、アプリは中国からの管理に対して距離を保っている、とおなじみの声明を繰り返している。

「TikTokに関しては間違った情報が多い。TikTokには米国人のCEOと数十年もの業界経験を持つ情報セキュリティの最高責任者(Chief Information Security Officer)がいます。彼は米軍と法執行機関での経験があり、弊社の米国チームは、業界で最上級のセキュリティインフラを鋭意開発している。親会社の5名の取締役の内4名は、世界で最も尊敬されているグローバル投資家が占めている。TikTok U.S.のユーザーデータは米国とシンガポールに保存され、従業員のアクセスは厳重にコントロールされている」。

中国のその他のテクノロジー大手も長年、日本を狙っている。BaiduのSimejiは、日本人に人気のある日本語入力アプリの1つだ。日本のメインのチャットアプリといえばLINEだが、中国とつながりのある日本企業ではWeChatが欠かせない。インドでの禁止は、急成長するインターネット市場を狙う中国の開発者にとっては不幸なことだが、しかしインドにおけるユーザー1人あたりの平均収入は欧米に比べると低いままだ。しかし日本は、はるかに儲かるマーケットだ。

関連記事:インド政府がTikTokなど中国企業の59のアプリを禁止すると発表

関連記事:インドで禁止された中国企業アプリへのアクセスを促す47アプリも禁止に

画像クレジット:TikTok JapanのTwitterより

原文へ
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アップルのApp Storeに対して開発者によるアプリのリジェクトやルールへの異議申し立てが可能に

Apple(アップル)が、近く実施されるApp Storeのルール変更を発表した。これにより、このマーケットプレイスの運用が大きく変わる可能性がある。もうすぐ開発者は、アプリのリジェクトだけでなく、その根拠となったルールにも異議を唱えられるようになる。また、ルール違反のせいでバグ修正のアップデートが保留になることはない。

重要な追加事項にも関わらず、アプリと開発者の変更点についてのブログ記事は淡々としたものだ。

まず第一に、開発者はアプリがApp Store Review Guidelinesの特定のガイドラインに違反しているかどうかの決定に抗議できるだけでなく、ガイドラインそのものに異議を唱える仕組みがある。第二に、すでにApp Storeで公開されているアプリに関しては、法律な問題に関連するものを除き、ガイドラインへの違反のためにバグ修正が遅れることはなくなる。

App Storeのルールは、今週大きく報道された。それは、収益化をめぐる論争のせいであり、メールサービスアプリのHeyが、サブスクリプションの収入をAppleと共有することをためらった(未訳記事)からだ。

これは前からよくある問題であり、Basecampの共同創業者であるDavid Heinemeier Hansson(デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン)ともあろう人が、自分のHeyについてそれを知らなかったとは思われない。しかも、アプリに関するAppleの一方的で画一的なビジネスモデルが批判されたのも、これが初めてではない。

本誌TechCrunchとのインタビューでAppleのマーケティング担当上級副社長Phil Schiller(フィリップ・シラー)氏は、ルールを変えてHeyのようなアプリが収入をAppleと分けずにApp Storeで売られるようにするつもりはない(未訳記事)と語った。

関連記事:Interview: Apple’s Schiller says position on Hey app is unchanged and no rules changes are imminent

しかし、アップルは発表で直ちにルールを変更しないが、そのうち変えるかもしれない、と言っている。開発者からのフィードバックがどのように入手され処理され評価されるのか、それはわからないが、おそらく今週の多くの開発者セッションでさらに聴取を重ね、多くの提案を受け取ってから最終的に決まるのかもしれない。

2つめの変更は、Heyがそうだったようにビジネスの問題があるせいで、セキュリティアップデートもできなかった開発者をほっとさせるだろう。開発者との交渉が行き詰まることで、ユーザーを困らせることはアップルもしたくないだろうから、両者を分離することは完全に正しい。これによって、扱いにくい開発者に対してアップルが振るう鞭(むち)が短くなり、しかもユーザーなど他の関係者のリスクは少なくなる。

App Storeのルール変更は今夏に発効するため、それまでに詳細が決まるだろう。

画像クレジット:Bryce Durbin

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

秘匿性の高いメッセージングアプリ「Signal」に顔をぼかす機能が加わる

今のような不安な時期には、Signalのようなアプリが特に貴重だ。人に知られたくない情報を安全かつ簡単に共有できる方法なら、何でも歓迎したい。そのためにSignalは、このアプリで送る写真の中の顔をぼかす機能を加えて、ほかのあまり安全でないアプリに痕跡を残さずに、特定の人のアイデンティティ(本人情報)を容易に保護できるようにした。

創業者のMoxie Marlinspike(モクシー・マーリンスパイク)氏はブログで、今世界中に広がっている警官の暴力に対する抗議活動への支持を表明したあと「路上にいるみんなを支援するためのさまざまな方法を考えている。とりあえず今年は、顔を隠す方法が必要だ」と語る。

写真の中に顔を見つけて画像をぼかすツールはほかにもあるが、Signalの来歴から考えると不可逆性、元に戻せない機能を実装したいだろう。現在同社に、技術の詳細を問い合わせているところだ。とにかく、 既存の技術を使って写真の中のすべての顔を1回のタップでぼかす機能は作れるはずだ。
画像クレジット:Signal

この機能は、Signalを使って秘密の情報を送っているすべてのユーザーに役に立つ。例えば、写真なら、その人が誰か知られたくない。写真編集アプリを使って顔をぼかすことはできるが、この簡単な方法は必ずしも安全でない。写真編集という計算集約的なプロセスをクラウドから提供しているアプリなら、元の写真をホスト側に保存するかもしれない。そうなると、その写真が今後どんな目に遭うかわからない。

人に知られたくない情報はすべて、自分のスマートフォンか、または信頼するアプリに保存したい。そしてSignalは以前から、通信の秘密を冒されたくない人々に愛用されている。

同氏によると、Signalの場合、顔の検出とぼかしはすべてユーザーのスマートフォン上で行われる。ただし顔の検出は100%正確ではないので、ツールが見つけてくれなかった顔はユーザーが手作業でぼかし処理する。

この新しい機能は、GoogleとAppleの承認が得られ次第、Signalアプリの最新バージョンに登場する。

最後に同氏は「さまざまなもので顔を隠せる機能を無料でコミュニティに提供したい」と語る。例えば、上の写真では冬に顔を覆う防寒具のようなもので、顔を隠している。今後が楽しみなアプリだ。

画像クレジット: Signal

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

注文したポルシェ911の納車までを最新アプリで追跡可能に

Porsche(ポルシェ)は、顧客の細かな要求に応えるためにデジタルサービスの充実に多くのリソースを投入している。子会社のPorsche Digital(ポルシェ・デジタル)による最新の成果として、911スポーツカーを注文した米国の顧客に、生産拠点からディーラーまでの輸送状況を追跡できるアプリが登場した。

画像クレジット:Porsche

このアプリは、My Porsche(マイ・ポルシェ)のウェブポータルと統合されていて、ドイツでの生産完了、出荷、大西洋の横断、米国への入港、ディーラーへの到着など、全部で14のイベントについて最新情報を顧客に提供する。このデジタルサービスは、Porsche Track Your Dream(ポルシェ・トラック・ユア・ドリーム)と呼ばれ、それぞれのイベントについての詳しい情報も表示する。また、納車までのカウントダウンとして、残りの距離と日数も知らせてくれる。

このポルシェの追跡機能は、今のところ顧客数が少ないニッチな製品といえる。対応しているのが911のみだからだ。ポルシェ911の2019年1年間の販売台数は、米国で9265台に留まっている。しかし同社は将来、全電動式Taycanなど、他の車についてもサポートを追加する計画だ。

アプリは、ポルシェとしてデジタル世界で勝負をかけるための広範囲な戦略の一環として開発されたもの。2020年5月初め、Porsche Cars North Americaは、Porsche Finder(ポルシェ・ファインダー)と呼ばれるオンラインプラットフォームを立ち上げ、顧客がディーラーのネットワーク全体から中古車を検索できるようにした。このプラットフォームを使えば、顧客はモデルと年式を指定して車を検索できる。また価格、装備、パッケージさらには内装や車の色で、フィルタリングすることも可能だ。

この4月にポルシェは、レトロな外観ながらBluetooth、DAB+、Apple CarPlayなどの最新の接続機能を備えたコンパネのヘッドユニットも、何種類か旧車用に発表している。

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

フェイスブックのデスクトップ版新デザインが正式発表、ダークモードがやっと使える

何カ月もテストをしていたFacebook(フェイスブック)の新デザインがついに正式に発表された。2019年の開発者会議F8で発表されたミニマリスト的なデスクトップデザインは、段階的に展開されてきた。2020年3月に同社は、その新バージョンを試してみるオプションを追加。ユーザーは元に戻って、なぜそうしたかをフィードバックすることができた。そして今週、新デザインは正式に決まった。手作業でアップデートするオプションも利用できる。

ユーザーが多く、人気のウェブサイトは変更が難しい。最高の新デザインでも、ユーザーはそれに適応するために脳の配線変えが必要だ。単純化もここでは重要となる。これまでさまざまなコンテンツのために新たな機能を次々と加えてきたフェイスブックのようなプラットフォームにとっては特に大きく要求される。初期のリリースで触ってみた経験からいうと、フェイスブックはこの「フレッシュでよりシンプルな」デザインのために空白のキャンバスを残すことを恐れていない。動画、ゲーム、グループなどのコンテンツが優先されている。

新デザインはモバイルアプリに倣って、ロードタイムの短縮とナビゲーションのしやすさを実現している。これまた、ユーザーは慣れる必要があるだろう。「Facebook.comが16年前にローンチしてから今日まで、私たちは成長しました。私たちは数多くの新機能を搭載し、それらを新しいデバイスとオペレーティングシステムに向けて最適化し、何百もの言語に拡張してきました。最近の私たちはモバイルのフェイスブック体験にフォーカスし、私たちのデスクトップサイトが後れていることに気づきました。そして、みんなが追いつくことをみんなが必要としています」とフェイブックはいう。

関連記事: デスクトップの「新しいFacebookに切り替え」が一般公開、ダークモードも使える

多くの人にとって最大のニュースは、待望のダークモードがデスクトップ版にやってきたことだろう。ついにフェイスブックは、Twitterなど多くのアプリケーションの仲間入りをした。ダークモードの利点はあなたもよくご存知だろう。目に優しいし、動画が観やすい。動画は、最近の同社で最もプライオリティが高いものだ。

さらに新しいのは、グループやページや、そして当然ながら広告を、前よりも手早く作れることだ。新バージョンにはそれぞれのプレビューもあるので、画面上の姿を公開する前に確認できる。

同社は現在も、ユーザーからのフィードバックを積極的に求めている。「設定」から不満を伝えることができる。フェイスブックはこれからもユーザーに喜んでもらうために、果てしない取り組みの中で、デザインの微調整を続けていく予定だ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

グーグルのビデオチャットアプリDuoに落書き機能や新エフェクトを搭載したファミリーモード登場

Google(グーグル)は米国時間5月8日に、ビデオチャットアプリGoogle Duoのアップデートをローンチした。なお、Google HangoutやGoogle MeetもDuoと同じビデオ+音声+テキストのチャットアプリだから間違えないように。

グーグルのチャットアプリの多さはいつもジョークのネタにされるが、その中でもDuoは、モバイルファーストでしかもパーソナルな会話を強調しており、HangoutやMeetとの差別化に努めている。初期には主に1対1の会話を想定していたため名称もDuoになったのだが、その後それも変わった。近く名前も変えるのだろう。今回のアップデートでは「ファミリーモード」が加わったが、名称はそのままだ。

ファミリーモードにすると、画面に落書きができたり、いろんな新しいエフェクトをアクティブにしたり、新しいマスクでドレスアップすることもできる。エフェクトやマスクは、1対1の通話でも使える。

グーグルは母の日用の特別なエフェクトも用意しているが、それは確実に母親にとって二度とDuoを使いたくないと不安にさせるほど特殊で、代わりに今度からは、Google Meetを使いたいと思わせるものだ。

やっと2020年4月に、AndroidとiOSでのDuoの最大チャット参加数が12に増やしたところだ。数週間後にはブラウザでもこの機能を実装し、Googleのアカウントがある人なら誰もが使うことができるようになる。

GoogleはDuoの新しい広告もローンチした。マーケターたちが在宅で作るとこうなるといった出来hのものだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

オバマ前大統領やレディー・ガガがYouTubeのバーチャル卒業式で来賓スピーチ

YouTubeは、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックで卒業式を中止や延期された世界中の2020年卒業生を慰めるオンラインプラットホームの仲間入りをしようとしている。このストリーミングプラットホームは米国時間5月5日に来賓のリストを発表したが、それは確かにスター性という点において他のサイトを羨ましがらせるものだ。

6月6日に開催されるイベントでは、前大統領のBarack Obama(バラク・オバマ)氏と前ファーストレディーのMichelle Obama(ミシェル・オバマ)氏が参加する。また祝賀を述べる人たちのリストには、ミュージシャンのLady Gaga(レディー・ガガ)氏とBTS、活動家でノーベル賞受賞者のMalala Yousafzai(マララ・ユスフザイ)氏、YouTubeの親会社であるAlphabetのCEOであるSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏、元米国務長官のCondoleezza Rice(コンドリーザ・ライス)氏、元CIA長官のRobert Gates(ロバート・ゲイツ)氏らが並んでいる。

関連記事: Facebook will stream a virtual graduation ceremony featuring Oprah and Miley Cyrus…Facebookのバーチャル卒業式はオプラ・ウィンフリーとマイリー・サイラスが来賓(未訳)

「特別出演」の中には超人気YouTuberやAlicia Keys(アリシア・キーズ)氏やKerry Washington(ケリー・ワシントン)氏らがいる。とにかく、めちゃくちゃ多様なスピーカーという点だけが売りだが、5月15日に開催されるFacebookのイベントよりも多くの人が集まるだろう。後者はOprah Winfrey(オプラ・ウィンフリー)やMiley Cyrus(マイリー・サイラス)をフィーチャーしている。

ライブのストリーミングは6月6日の太平洋時間正午(東部時間午後3時)に始まる

画像クレジット: MANDEL NGAN/AFP

新型コロナウイルス 関連アップデート

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

新型コロナ接触者追跡アプリの拡大流用に警鐘、「中央集中型」支持の英国でも

英国政府による新型コロナウイルス接触者追跡アプリの開発計画について、その透明性と拡大流用に関する懸念を表明する公開書簡に、英国のコンピュータセキュリティ専門家とプライバシー専門家が多数署名した。

2020年4月初めに世界中の300名近くの学者が署名した同様の公開書簡に続き、177名の学者の署名を集めたこの書簡は、接触者追跡テクノロジーの使用に対する慎重な姿勢を促し、接触者追跡アプリを導入する政府には、プライバシーを保護する技術やシステムを使用するよう呼びかけた。

英国の学者らはこの書簡の中で、3月初旬からデジタル接触者追跡アプリの開発を行ってきたNHSX(英国国民保険サービスのデジタル戦略を担当する組織)に言及して「公衆衛生におけるデジタルソリューションの有効性は、関係する全分野の専門家による深い分析を経て判断するべきであり、関係するリスクが妥当であると言うだけの価値があることを証明する十分な根拠が必要だ」と述べた。

また「報道によると、NHSXは感染者とその接触者全員の非匿名IDを中央集中型データベースに記録するアプローチを検討している。このようなシステムはいずれ(本来の目的から逸脱した拡大流用により)監視システムとして利用される可能性がある」とも述べている。

NHSXのCEOであるMatthew Gould(マシュー・グールド)氏は米国時間4月28日、英国議会の科学技術委員会に出席して証拠を提出していた。グールド氏は、間もなく導入されるアプリに採用される「中央集中型手法」は限定的なものであり、プライバシー保護にとって分散型は安全、中央集中型は危険という「二分思考は誤っている」と主張して、NHSXのアプローチを弁護した。

データの中央集中型管理が必要であるとNHSXが考える理由を説明するために、いくつかのシナリオを紹介した。しかし英国の学者らによる今回の書簡は「公衆衛生当局がどの程度のデータを必要とするかという点については、グループ間で意見が真っ向から対立するのを見てきた」として、中央集中型管理が必要であるという主張に疑問を投げかけた。

「使用目的の達成に必要な最小限のデータのみを収集する、という通常のデータ保護原則を適用するべきだと考える。このテクノロジーにはプライバシー侵害につながる特性や関係するリスクがあることを考えると、アプリを信頼してもらうには、このアプローチが単に手っ取り早い方法だとか『あれば便利だ』とかいうのではなく、本当に必要な手段であることを示す証拠を、公衆衛生当局が公式に提示しなければならない」とこの書簡は続いている。

欧州ではここ数週間、政府主導の新型コロナウイルス接触者追跡アプリのアーキテクチャ選択をめぐって激しい議論が行われている。分散型アプローチを支持する国もあれば、中央集中型アプローチを支持する国もある。一部の国ではAppleに対して、ライバル企業のAndroidメーカーであるGoogleと政府が共同で開発している新型コロナウイルス接触者追跡アプリとの互換性を持つクロスプラットフォームAPIを採用するよう圧力をかけている

欧州で開発が進められている政府主導の接触者追跡アプリのほとんどは、Bluetooth近接通信を使用して感染リスクを計算するように設計されている。スマートフォンのユーザーがお互いに接近すると、仮名化されたIDがデバイス間で交換される。しかし、そのIDが中央管理サーバーに保存されると、サーバーを管理する当局がIDから個人を再特定できるようになるため、国家による監視システムが構築されるリスクがある、とプライバシー専門家は懸念している。

中央集中型のシステムに代わるものとして、デバイスに保存されるIDを使ったピアツーピア通信による分散型システムが提案されている。感染リスクもデバイス上で計算され、プッシュ通知を他のデバイスに送信する時だけリレーサーバーが使用されるため、ソーシャルグラフを示すデータが組織的に公開されることはない。

しかし、このような分散型構造でも、感染が確認された人のIDを他の人のデバイスに通知する必要があるため、デバイスレベルでデータが傍受され、個人が再特定される可能性は存在する。

欧州では今のところ、政府主導の接触者追跡アプリに分散型アプローチを採用することが主流になっているといっていいだろう。注目すべきことに、初めは中央集中型アプローチを支持していたドイツ政府も後になって、エストニア、スペイン、スイスなどと同じように分散型アプローチへと方向転換した。その結果、現時点で中央集中型システムを支持している主要国はフランスと英国だけになった。

フランスでもこの問題について、専門家による議論が続いている。フランスでは4月末、中央集中型と分散型それぞれのアーキテクチャについて懸念を表明する書簡に数名の学者が署名した。学者らは、どのような追跡ツールを使用するにしても、「生じうるリスクが妥当であることを示す重要な証拠を示す必要がある」と主張している。

英国の場合、NHSXが開発する追跡アプリに関する重大な懸念は、政府によるソーシャルグラフデータの中央集中型収集と個人の再特定だけではない。その仕様や機能の拡大流用も重大な懸念となっている。

グールド氏は先日、追跡アプリは今後も流用されるだろうと述べ、その際に使用されるバージョンでは位置情報などの追加データを任意で提供するようユーザーに依頼する可能性があると付け加えた。さらに、NHSXは追跡アプリの使用は任意だとしているが、複数の機能がアプリに実装されると、同意の意味合いが薄まり、拡大流用がアプリ使用の強制につながるのではないか、という疑問が生じる可能性がある。

別の懸念は、英国スパイ機関の表向きの顔であるGCHQ(政府通信本部)も、追跡アプリのアーキテクチャ選定に関わってきたという点だ。さらに、グールド氏は昨日の科学技術委員会で、中央集中型アーキテクチャ採用の決定にNCSC(英国国家サイバーセキュリティセンター)が関与してきたかと問われた際に、答えをはぐらかした。

この面でもさらに別の懸念が予想される。HSJ誌は米国時間4月29日、Matt Hancock(マット・ハンコック)保健相が最近、英国諜報機関に新たな権限を与えたと報じた。これにより諜報機関は、新型コロナウイルスのパンデミック中に、医療サービスのネットワークや情報システムの「セキュリティ」に関するものであればどんな情報でも、その開示をNHSに要請できるようになる。

データベース好きのスパイ機関がそのような権限を手にしている状況で、プライバシー侵害への不安感が和らぐわけがない。

英国のデータ規制当局が追跡アプリの設計プロセスにどの程度深く関与してきたのか、という点も気になる。先にICO(英国情報コミッショナー事務局)の執行役員であるSimon McDougall(シモン・マクドガル)氏が、自分は追跡アプリの計画書を見たことがない、と公の討論会の場で発言したことが報じられたが、実はICOは4月24日に「高い透明性とガバナンスを確保できるようNHSXを支援している」との声明を出していた。

また、グールド氏は先日の科学技術委員会で、追跡アプリが流用される際にはその都度、NHSXがデータ保護影響評価(DPIA)を公開すると述べた。しかし、DPIAが公開されたことはまだない。

グールド氏はさらに、追跡アプリは「技術的には」今後数週間のうちに使用できるようになると述べたが、アプリのコードを公表して外部レビューを行う時期については明言できなかった。

英国の学者らは今回の書簡の中で、DPIAを追跡アプリの導入直前に公開するのではなく「今すぐ」公開するようNHSXに要請した。そうすることで、追跡アプリの使用が及ぼす影響について公に議論できるようにし、政府が実装したと主張する安全対策とプライバシー保護対策を国民が自ら精査できるようにするためだ。

英国の学者らは、システムのユーザー(感染を自ら報告する人を除く)を非匿名化してユーザーのソーシャルグラフを特定可能にするいかなるデータベースも作成しないことを公式に誓言するよう、NHSXに要請した。

学者らはまた、新型コロナウイルスのパンデミックの収束後に、NHXSが「拡大流用を回避する」べく追跡アプリをどのように段階的に停止するつもりなのか、詳しい説明をNHSXに求めた。

データベースの件についてTechCrunchがNHSXの広報担当者に尋ねると、それは英国保健省やNCSCが決めるべき問題だという回答が返ってきた。これでは、政府がアプリユーザーのデータを拡大流用してプライバシーが侵害されるのでは、という不安感が和らぐことはない。

TechCrunchはNHSXに対して、追跡アプリのDPIAの公開時期についても問い合わせたが、この記事の執筆時点でまだ回答は得られていない。

アップデート:NHSXのスポークスパーソンから以下のような返答を得ている。

我々はデータ保護に関する取り決めを追って公開します。また、このパンデミックの驚異が去った後には、この接触者追跡アプリはただちに停止される予定です。その際、ユーザーから共有されたデータは削除しますが、法と倫理を鑑みつつ、将来のウイルス研究に役立つデータは保存されます。

また、これに続いてスポークスパーソンは以下のコメントを追加した。

ユーザーからの許可を得た場合を除き、ユーザーデータは常に匿名化された状態で保存されます。また、匿名化解除のためにデータを照合できる他のデータベースは存在しません。

関連記事:新型コロナの接触者追跡とはどのようなものか?

Category:セキュリティ

Tags:新型コロナウイルス 接触者追跡

新型コロナウイルス 関連アップデート

[原文へ]

(翻訳:Dragonfly)

新型コロナウイルスに関するデマを暴くWhatsApp用チャットボット

WhatsApp(ワッツアップ)に何文字か書き込むだけで、新型コロナウイルス関連のデマを暴くことができるようになった。

ジャーナリズムを支援する非営利団体Poynter Institute(ポインター・インスティテュート)が、Facebook(フェイスブック)傘下のサービスであるWhatsAppで新しいチャットボットを公開した。これを使えば、世界中の人たちが、例えばこの感染症は中国・武漢の研究所から発せられたといったパンデミックに関する4000件を超えるデマの正体を暴けるようになる(武漢発祥の話は各方面で好まれている説だが、その主張を裏付ける証拠はまだ一般公開されていないため、今のところは虚偽とされる。念のためにいっておくが、ファクトチェック機関の言葉を引用したこのチャットボットは、そう示している)。

このチャットボットは、70以上の国々の100を超える独立系ファクトチェック機関が提供する情報に立脚している。Poyinter Instituteはそれを新型コロナウイルス(COVID-19)に関連するデマの暴露情報に関する最大のデータベースだといっている。このサービスは英語でのみ提供されているが、現在、ヒンディー語、スペイン語、ポルトガル語への対応に取り組んでいるところだとWhatsAppはいう。

チャットボットは次の方法でテストできる。連絡先に「+1 (727) 2912606」を登録して、「hi」と送信する。または、チャットボットの電話番号を連絡先に登録したくない場合は、http://poy.nu/ifcnbotをクリックする。

チャットボットに「hi」と送信し、「1」を送ると、チャットボットから新しいメッセージが届き、気になるキーワードまたは短い文章を入力するよう求められる。そして「origin(出所)」 や「garlic」(新型コロナウイルスにニンニクが効くという話は本当かを確かめたいとき)、その他の思いつく言葉を書いて送る(言葉を送ってから2、3秒待つと答えが返ってくるので、次の言葉を送るまで少し待とう)。

チャットボットはユーザーの国を特定し(モバイル機器の国番号を参照する)、その国に最も近いファクトチェック機関が審査した結果が示される。同時に、新型コロナウイルスに対処するための一般的なヒントも与えてくれる。

利用規約には、無料で24時間使えるとある。また、質問や調査機関やプログラムのパートナーからの回答とその他の対話を匿名化して集計し、共有する旨も書かれている。しかし「個人情報は絶対に共有しません」とのことだ。

IFCN(国際ファクトチェッキングネットワーク)のBaybars Orsek(バイバース・オーセック)氏は、声明の中で「毎月、友だちや家族とつながっていたい数十億人のユーザーがWhatsAppを頼りにしています。現在のような困難な時期には、すべてのプラットフォームで偽情報を広めて人々を惑わそうとする悪い人間が現れるため、ファクトチェック機関の仕事はこれまで以上に重要になります」と述べている。

この新しいチャットボットは、20億人以上のユーザーを擁するWhatsAppが、そのプラットフォーム上で偽情報が蔓延するのを防ごうと努力した最新の結果だ。この数カ月間、WhatsAppはWHOと協力して情報サービスを立ち上げたが、利用者は1日に100万人以上に達している。フェイスブックが所有するこのサービスはまた、各国の連邦政府や州政府とともに、感染症に関する信頼できる情報の提供も手伝っている。

WhatsAppは先日、メッセージの転送に新たな制限を加え、そのプラットフォーム上での転送量を大幅に削減し、さらに3月にはPoyinter InstituteのIFCNに100万ドル(約1億700万円)を寄付した。

画像クレジット:Jaap Arriens/NurPhoto / Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

[原文へ]

(翻訳:金井哲夫)

Uber Eatsがチェコ、エジプトなど7カ国から撤退、成長が見込めるマーケットに注力

オンデマンドフードデリバリーのUber Eats(ウーバー・イーツ)はいくつかのマーケットから撤退する。チェコ、エジプト、ホンジュラス、ルーマニア、サウジアラビア、ウルグアイ、ウクライナだ。

またアラブ首長国連邦(UAE)のUber Eats事業を、主に中東で配車サービスを展開している完全子会社のCareem(キャリーム)に移す。

「UAEでUber Eatsアプリを使っている消費者やレストランは数週間内にCareemプラットフォームに移行することになり、その後Uber Eatsアプリは使用できなくなる」と米証券取引委員会に提出された書類で事業移管について詳細に述べている。

「こうした決断は、いくつかの国に投資し、また別のマーケットでは撤退するなど、全マーケットにおいてUber Eatsが1番手か2番手でいられるようにするための戦略の一環として行われた」と書類には書かれている。

Uberの広報担当は、変更は新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックとは関係なく、すべてのUber Eatsマーケットで1番手か2番手でいるために現在展開している戦略と関連するものであり、一部の国には投資する一方で別の国からは撤退することを意味する、と述べた。

例えば2020年初めUberはインドのEats事業をライバルだった地元企業のZomato(ゾマト)に売却した。インドではZomatoとSwiggy(スウィギー)がマーケットの2トップだ(売却の一環でUberはZomatoの株式9.99%を取得した)。

Uber EatsのライバルGlovo(グロボ)もまた、赤字削減と収益化を目指して競争力のある構造にしようと、2020年初めにいくつかのマーケットからの撤退を発表した。同社もまた、事業を展開するすべてのマーケットでシェア1位か2位のプラットフォームになることを最終目標としている。

オンデマンドフード配達業界は、収益化について大きな疑問に直面している。そして現在、そこに新型コロナ危機も加わっている(英国拠点の同業他社Deliverooは先週、大量のレイオフを明らかにした)。オンデマンド事業はかなりのマーケットシェアを握らなければ収益をあげることができないため、そのマーケットで誰がトップなのかが明らかになるにつれ、競合する事業者の数は減っていくようだ。

今回の撤退に関する声明文で、Uberは次のように述べている。「チェコ、エジプト、ホンジュラス、ルーマニア、サウジアラビア、ウクライナ、ウルグアイで事業を停止することを決めた。またアラブ首長国連邦でアプリの提供を停止し、事業をCareemに移す。我々がトップシェアを握っている世界中の他のマーケットにエネルギーとリソースを集中的に注ぐという戦略を引き続き展開する」。

証券取引委員会への提出書類によると、事業が停止または移管されるマーケットは、Eatsの予約件数の1%、2020年第1四半期決算(EBITDA)の赤字の4%を占めた。

「戦略を実行することで、節約できた分をより良い投資リターンが得られそうな優先すべきマーケットに振り向けることができる」とも書かれている。

Uberは2020年初めに「6000以上の都市」で事業を展開しているとしたが、Uber Eatsの広報担当は今回撤退してもこの数字に変更はない、と語った。

同社がどのマーケットを今後優先すべきと考えているのかについての質問には答えなかった。またUberが撤退するマーケットの事業の譲渡先を探したのかどうかについても明らかではない。

証取委への提出書類によると、チェコ、エジプト、ホンジュラス、ルーマニア、サウジアラビア、ウクライナ、ウルグアイの事業は2020年6月4日までに完全停止となる。

Uber Rides事業は影響を受けない、とも付け加えられている。

Uberに近い情報筋は、マーケット展開の見直しで同社がグローサリー配達など新たなビジネスラインにリソースを注ぐことができるようになる、と指摘した。

新型コロナパンデミックは多くのマーケットでオンデマンドフードデリバリー事業を一変させた。利便性を愛する顧客がロックダウンによりこれまでよりも自分で料理するようになり、多くのレストランが店を閉めていて(少なくとも一時休業)、こうした事態はプラットフォームプロバイダーにも影響を及ぼしている。

と同時に、グローサリー配達では需要が増えている。Uberは4月にフランスでのグローサリー配達を全国に拡大すべく、大手スーパーCarrefour(カルフール)との提携を発表した。また、スペインとブラジルでもグローサリー関連で提携を結んだ。

消費者が新型コロナ感染リスクを下げながら食材を確保する方法を模索する中で、グローサリー配達の需要はかなり増加している。

処方薬や個人用保護具など他の種のデリバリーもまた、オンデマンド物流事業者にとっては絶好のチャンスとなりそうだが、いくつの主要フードデリバリープラットフォームが参入するかにもよる。

画像クレジット: TechCrunch

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

Instagramがライブ配信で非営利団体への寄付集めができる新機能をローンチ

新型コロナウイルス(CODID-19)のパンデミックの渦中である米国時間4月28日に、Instagramはライブ配信を使ってユーザーが非営利団体のために寄付ができる新機能の提供を開始した。Instagramには既にストーリーズに「寄付スタンプ」を追加できる機能があるが、この新しいLive Donations(ライブ寄付)では、誰もがライブ配信で資金調達ができるようになる。個人でも、複数の人たちとバーチャルテレソンのような形にしても、寄付を募ることが可能だ。

この新機能は、TikTokが動画投稿でもライブ配信でも使える寄付機能をローンチしたその翌日に登場した。

しかし、開始時にわずかな慈善活動しか対象としていなかったTikTokと異なり、Live Donationsは、100万を超える非営利団体への寄付活動を開始できるとFacebook(フェイスブック)は話している。

さらに寄付金は全額は直接、非営利団体に渡されるということだ。一部の資金調達プラットフォームでは手数料は当たり前になっているが、Instagramは一切取らない。

ライブ配信でこの寄付機能を使うには、Instagramのフィード画面左上のカメラアイコンをタップするか、フィードを右にスワイプする。そして画面下の「ライブ」をタップし、「Fundraiser(資金集め)」を選択して援助したい非営利団体を選択する。

配信が始まると、その資金集めをどれだけの人が支援しているか、どれだけの金額が集まったかがリアルタイムで示される。「View(表示)」をタップすれば、寄付してくれた人と寄付金額を個別に知ることができる。これを見てその人に配信中に感謝を叫んだり、「Wave」をリアルタイムで送ったりできる。

資金を集めた人、資金集めを行っている人に寄付した人、ストーリーズで寄付スタンプを使った人は、ブラジルのコミュニティ・イラストレーター@leonatsumeが制作した「I donated!(寄付したよ)」スタンプが使えるようになる。このスタンプは、自分のストーリーズに貼り付けて、慈善活動の宣伝に利用することも可能だ。自分の投稿は、フォローしていて同じく寄付をした人と共通のストーリーズに統合され、ストーリーズバーの先頭に表示される。

今週は、Sergio Ramos(セルヒオ・ラモス)氏、Sofia Carson(ソフィア・カーソン)氏、@muslimgirl、@montoyatwinz、Tori Kelly(トリー・ケリー)氏、@tank.sinatra、Lisa Rinna(リサ・リナ)氏といった数多くの著名人やクリエイターが、この新しいLive Donations機能を利用した。

Instagramは、パンデミックになってライブ配信の数が急激に増したと話している。

例えば2020年3月には、Instagramのライブ配信の利用件数は70パーセント増加し、会話、ダンスパーティー、ラップバトルなどが展開された。そして多くの利用者が、公式公開以前、既にLive Donationsを通じて非営利団体への寄付を行っていたとInstagramでは話している。

ソーシャルプラットフォームは、パンデミックの間も人々を結びつけくれる1つの手段だ。以前は苦戦していたInstagramのIGTVプラットフォームですら、利用者数が驚くほど増加した。アプリ利用情報の調査会社Apptopia(アプトピカ)の報告によると、IGTVの1日あたりの利用者数は、2020年3月中旬から4月中旬にかけての前月比で48パーセントも伸びたという。

Instagramの親会社であるフェイスブックも、利用者のライブ配信への関心の高まりを利用しようと、このところ、いくつもの新機能を発表している。例えば先週、フェイスブックはライブ動画で資金集めをする機能を導入した。フェイスブックが非営利団体の資金集めを支援するところであれば、どこでもこの機能が使える。また同社は「Live With」を復活させ、ライブ配信にゲストを招待できるようにした。ここでも寄付を募ることもできる。

さらにフェイスブックはMessenger RoomsというZoomのHousepartyに似た体験ができるサービスやFacebook Gamingのゲームストリーミングアプリ、PortalシリーズのデバイスからFacebookページやグループなどにライブ配信できる機能の提供も始めている。

[原文へ]
(翻訳:金井哲夫)

eコマースプラットフォームShopifyが小売支援のモバイルアプリ「Shop」をローンチ

100万店超のオンラインストアをサポートしていることで知られているShopifyが、Shopというシンプルな名称の消費者向け買い物アプリを立ち上げる。

このアプリは実際には、Shopifyの出店者や小売業者から発送された荷物を追跡するためのアプリArriveをアップデートして名称を新たにしたものだ。ShopifyによるとArriveはこれまでに消費者1600万人が利用した。

Shopでは荷物追跡ができる他、消費者がおすすめプロダクトのフィードをブラウズしたり、各ブランドについて調べたり、ワンクリックのShop Pay精算を使ってプロダクトを購入したりできる。

ShopifyのゼネラルマネジャーであるCarl Rivera(カール・リヴェラ)氏は、Shopの導入はデスクトップコマースからモバイルコマースへのシフトであるばかりでなく、モバイルウェブからネイティブモバイルアプリへのシフトである、と述べた。そして、我々の多くがいくつかのネイティブアプリのみをダウンロードして買い物するため、独立した個々のブランドが自前でアプリを立ち上げるのは難しいのが問題だった、とも指摘した。

「当社がShopで行いたいのは、ブランドが自前のアプリと呼べるような場所を提供すること」だという。

画像クレジット:Shop

Shopは、それぞれの買い物客にカスタマイズされた商品レコメンデーションを提供する。こうしたレコメンデーションはユーザーが既に興味を示したブランド、もしくはShopifyストアで商品を購入したブランド、アプリでプロフィールをフォローしているブランドのものとなる、とリヴェラ氏は説明した。

リヴェラ氏は他のオンラインストアの商品レコメンデーションを引き合いに出し、「あなたが知らないブランド、あるいは興味のないブランドの商品フィードを提供するプラットフォームのほとんどは広告によるものだ」と指摘し、Shopは広告を一切含まず、買い物客とブランドの双方が無料で利用できると述べた。

同氏は2018年後半に「Shopifyに加わったとき」からShopに取り組んできた、とも語った。ただ、直近の新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックと、それによって引き起こされている経済危機で、彼のチーム(大きくいえばShopify)は「小売業者を最大限サポートするために我々が今日できることは何か」を自問することになった。

そしてその答えの1つが、買い物客が地元の小売業者をブラウズして、どの店が発送もしくは店内購入に対応しているのかを確認し、そうした業者をサポートするために商品を購入することができる機能の提供となる。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

メッセージサービスTelegramの月間アクティブユーザーが4億人に到達

インスタントメッセージサービスのTelegram(テレグラム)は、月間アクティブユーザー数が4億人に達したと発表した。これは開始から7年目となる同サービスが、2019年10月に米証券取引委員会(SEC)に開示した時点での3億人のアクティブユーザー数から、成長を続けていることを意味する。

ロシアのソーシャルネットワークサイトのVKの創設者でもあるPavel Durov(パベル・デュロフ)氏によって設立されたTelegramは、毎日約150万人のユーザーが増え、20カ国以上で最もダウンロードされているソーシャルメディアアプリであると述べた。

TelegramはZoomやHousepartyの人気が高まりを受けて、年内にセキュアなビデオ通話機能をユーザーに提供するべく取り組んでいるという。なおドバイに本社を置く同社は、2018年に発表したものの2020年初めに計画が保留されたGram cryptocurrency walletTON Blockchainの将来については語らなかった。

「Telegramと旧来の競合サービスとの人気の差が縮まるにつれ、我々は当初の仮説の妥当性をさらに見出している」と、同社はブログ投稿で述べている。

Telegramは、世界で20億人以上のユーザーを集めているWhatsAppを含む、数多くの人気インスタントメッセージングサービスと競合している。同サービスはFacebook(フェイスブック)傘下の同サービスが停止すると、ユーザー数が急増することがよくある。また、デュロフ氏はWhatsAppを最も声高に批判している人物の1人でもある。

Telegramのデスクトップアプリはオンライン機能の利用に電話が必要なく、フォルダやクラウドストレージなどのさまざまな機能により、熱心なユーザーを獲得している。

しかしこれらの機能は、少なくとも数百万人のユーザーが映画や楽曲、アプリケーションの違法コピーを配信したり、ダウンロードするためにサービスを利用するなど、Telegramのプラットフォームの悪用も引き起こしている。違法コピーの問題は、今日でも蔓延している。

Telegramは常に、政府当局やさまざまな企業の意見を無視して運営されてきたが、その結果として興味深い事例がいくつか発生している。例えば中国において同サービスは禁止されているだが、実際のところ同国は最大の市場の1つとなっている。

中国の人々は仮想プライベートネットワーク(VPN)を使ってTelegramをダウンロードし、利用している。同国での厳しい検閲の中でTelegramは2020年初めに、新型コロナウイルス(COVID-19)に関する信頼できる情報を求めるWeChatユーザの避難所となった。

Telegramは米国時間4月24日、2万以上のステッカーを掲載したディレクトリを公開し、Android上の新しい添付ファイルメニューなどの改善点を説明した。同社はまた、学生のための教育テストのデータベースを作成しており、そのテストを作成するクリエイターに40万ユーロ(約4700万円)を配布する予定だと述べた。

なおTechCrunchは、Telegramが4億ユーザーのマイルストーンに達したとの情報を先週掴んでいたが、その時点では同社からの回答は得られなかった。

原文へ

(翻訳:塚本直樹 Twitter

アップル/グーグル共同開発のコロナウイルス接触者追跡APIの最初のバージョンが来週リリース

Apple(アップル)のCEO Tim Cook氏と欧州委員会の単一市場担当委員Thierry BretonThe氏の会話によると、AppleとGoogleが共同開発しているクロスプラットホームな接触者追跡APIは来週から使用できる。Breton氏が彼のオフィスで共有した写真には、彼とCook氏のビデオ会話の様子が写っており、また彼がLes Echosに語ったところによると、AppleのCEOは、公衆衛生当局のためにアプリを作るソフトウェアデベロッパーがその接触者追跡APIを利用できるのは4月28日からだ、と述べた。

AppleとGoogleは4月10日に、両社がiOSとAndroidの両方のモバイルデバイスで動く接触者追跡システムで協働していると発表し、そのオプトインのネットワークがユーザーの実際のID情報とは無関係なランダムなIDにより、COVID-19の検査で陽性と確認された人と接触した可能性を 通信する、と詳しく説明した。それは、個人のプライバシーを保護するために位置データを決して集めない分散システムで、AppleとGoogleは、そのAPIを使って作られたいかなるアプリも、それらがユーザーベースの最遠のリーチを持ちうるために、プロジェクトで協働することを選んだ。

その接触者追跡システムの展開は二段階で行われる。最初に、APIがデベロッパーにとって可利用になる…それが来週起きることだ。この段階は最初、5月中旬を予定していたが、Breton氏とCook氏の会話を聞いたかぎりでは両社はそのスケジュールを早めたようだ。ソーシャルディスタンシング措置の変様や緩和をいついかにして行うべきかを正しく知るためには、接触者追跡が喫緊に必要だから、このスケジュール変更は理にかなっている。

計画の第二段階は、接触者追跡システムのアップデートをOSのレベルで行うことだ。オプトインはデバイス上で管理され、AndroidもiOSスマートフォンもどちらも、このイン・アウトの切り替えにより、ローカルな追跡行為に参加できるものでなければならない。しかもそれは、公衆衛生当局の特定のアプリの有無とは無関係でなければならない。ただしAppleとGoogleが行なったQ&Aセッションによると、接触者の可能性を通知する公衆衛生アプリのダウンロードとインストールを示唆するプロンプトが出るのは構わない。それによってユーザーは、信頼できるソースから、次にどうすればよいか関する追加的情報を取得できるだろう。

なお、この第二段階は今年後半の展開になる。でもAPIの最初のバージョンの到着がこれだけ早まったことは、これをなるべく早く市場に出したいとする両社の意欲と努力の表れだろう。おそらく、相当多くの技術者をつぎ込んでいると思われる。

現在開発中またはすでに実装された接触者追跡システムはたくさんあるが、共通の技術による相互乗り入れ通信が可能で、もっとも人気の高い複数のモバイル機種間の幅広い参加の機会が開けることは、そんなシステムが実際に効果的でありうる大きなチャンスになるだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

EUのプライバシー専門家が新型コロナ接触追跡において分散型アプローチを推進

欧州のプライバシー専門家グループがBluetoothベースの新型コロナウイルス(COVID-19)の接触追跡のための分散型システムを提案した。このシステムは、データを集中管理するために局所に取り組むアプリよりも、より強力に不正使用や悪用からデータを保護することができると、グループは主張している。

グループが分散型プライバシー保護近接追跡(DP-PPT)と名付けたこのプロトコルは、スイス連邦工科大学チューリッヒ校、ベルギーのルーヴェンカトリック大学をはじめとする、欧州全土の7つ以上の研究機関の学者約25名によって設計された。

グループは、こちらでDP-PPTアプローチについて記載したホワイトペーパーを公開している。

このホワイトペーパーで重要なのは、この設計には、短期間のBluetooth識別子(ホワイトペーパーではEphIDと呼ぶ)を生成および共有するデバイスに基づいた、ユーザーのデバイス上における接触追跡とリスクに対するローカル処理が伴うという点である。

データをデバイスにプッシュするためには、バックエンドサーバーを使用する。つまり、感染者が新型コロナウイルス感染症と診断されると、保健当局が感染者のデバイスから感染期間中のEphIDの簡易表示をアップロードすることを認可する。アップロードされたデータは他のユーザーのデバイスに送信され、リスクの有無がローカルで計算され、適宜ユーザーに通知される。

この設計では、プールされたデータによってプライバシーリスクをもたらすような匿名化IDの集約を必要としない。そのため、システムを信頼してこのプロトコルを使用する接触追跡アプリを自発的にダウンロードするようにEU市民を説得することも容易になるだろう。これは、国家による個人レベルの監視には転用し難い設計であるからだ。

グループでは、ローカルで交換されたデータを盗聴したり、アプリを逆コンパイル/再コンパイルして要素を改変するなど、技術に精通するユーザーによって発生し得るその他の脅威についても議論している。包括的な論点は、「監視の忍び込み」(つまり、国家が公衆衛生上の危機に乗じて市民レベルの追跡インフラストラクチャを確立・維持するのではないかということ)につながる危険性のあるデータの中央集中型システムと比較して、こうしたリスクはより小さく管理しやすいということだ。

DP-PPTは、使用目的が限定され、公衆衛生上の危機の終結後は廃止することを考慮に入れて設計されている。

EPFL(スイス連邦工科大学ローザンヌ校)のCarmela Troncoso(カルメラ・トロンコソ)教授は次のように記している。「DP-PPTプロトコルは、プライバシーが保護された近接追跡アプローチが可能であり、国または組織がリスクと不正使用を支持する手法を受け入れる必要がないということを示しています。法律によって厳密な必要性と妥当性が求められ、近接追跡の基盤として社会的サポートがある状況では、この分散型設計で、不正使用されることのない近接追跡の実行手段を提供できるのです」。

ここ数週間、欧州各国の政府が、新型コロナウイルスを追跡するさまざまな目的でユーザーデータを引き渡すようデータ管理者に迫っている。また、研究者が新型コロナウイルスに対抗するうえで役立つという症状報告アプリなど、民間企業によって複数のアプリが市場に投入されている。大手テクノロジー企業は、公的医療目的と主張してインターネットユーザーの永続的な追跡を再度パッケージ化するためのPRの機会をうかがっているものの、実際の用途は不明瞭だ。

通信会社によるメタデータの取得は、市民の追跡ではなく、新型コロナウイルス感染症の蔓延のモデル化を目的としていると、ECが発言

欧州委員会は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって引き起こされた公衆衛生上の緊急事態への対処の一環として、集約されたユーザーの位置情報を共有するようヨーロッパの通信会社に求めている。「欧州委員会は、集約され匿名化された携帯電話の位置データの提供について携帯電話事業者との議論を開始した」と本日発表した。

新型コロナウイルスに関する次の大きな技術推進は、接触追跡アプリである可能性が高い。接触追跡アプリは、近接追跡Bluetoothテクノロジーを活用して、感染者と感染していない人々との間の接触をマッピングするアプリだ。

これは、何らかの形式で接触追跡を実施しなければ、人々の動きを抑制することでなんとか低下させた感染率が、経済活動や社会活動が再開された後、再び上昇するリスクがあるからである。ただし、接触追跡アプリが政策立案者や技術者の望み通り、新型コロナウイルス感染症の封じ込めに有効であるかどうかについてはまだ疑問が残る。

ただし、現時点で明確なのは、設計上プライバシーを考慮して慎重に設計されたプロトコルがなければ、接触追跡アプリによってプライバシー、すなわち、人々の居場所など、やっとのことで手に入れた人権に対するリスクが実際に生じるということだ。

新型コロナウイルス感染症との闘いという大義名分で権利を踏みにじることは、正当でもなく、その必要もないというのが、DP-PPTプロトコルを支持するグループの真意だ。

ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのMichael Veale(マイケル・ビール)博士は次のように述べている。「集中化に伴う大きな懸念事項の1つは、システムが拡張可能であり、国家が誰と誰が近しい関係にあるというソーシャルグラフを再構築できるため、それに基づいてプロファイリングやその他の規制に展開できるという点である。このデータは、公衆衛生以外の目的で法執行機関や情報機関によって勝手に使用される可能性があるのです」。博士は分散型設計の支持者でもある。

「一部の国ではこれに対して有効な法的保護措置を講じることができるかもしれませんが、欧州に集中型プロトコルを導入することで、近隣諸国は相互運用を余儀なくされ、分散型システムではなく集中型システムを使用せざるを得なくなります。逆の状況も当てはまります。分散型システムでは、他の国々がプライバシー保護アプローチを確実に使用することで、世界全体で新型コロナウイルス感染症のBluetoothに基づく追跡を監視目的で不正使用することに対する厳しい技術的制限が課されます」。

博士は近接データの集中化について次のように付け加えた。「集中化はまったく不要です。設計によるデータ保護では、目的に必要なデータのみを使用するように、データを最小限に抑えることを義務付けています。データの収集や集中化は、Bluetoothの接触追跡には技術的にまったく不要なのです」。

4月上旬、TechCrunchではドイツのフラウンホーファーHHI研究所が指揮する、技術者と科学者で構成される別の団体によるもう1つのEUにおける取り組みに関する記事を公開した。その記事では、汎欧州プライバシー保護近接追跡(PEPP-PT)という名称の、新型コロナウイルス感染症接触追跡に関する「プライバシー保護」標準の取り組みについて報告した。

記事を公開した時点では、このアプローチについて、匿名化IDの処理で集中型モデルのみに用途が固定されるかどうかは明らかになっていなかった。今回TechCrunchに語ってくれた、PEPP-PTプロジェクトの共同創始者の1人であるHans-Christian Boos(ハンス・クリスチャン・ブース)氏は、標準化の取り組みにおいて、接触追跡の処理で集中型アプローチと分散型アプローチの両方をサポートすることを認めた。

この取り組みは、EUのプライバシーコミュニティの一部から分散型アプローチではなく集中型アプローチにとって有利になると批判されている。批評家たちは、ユーザーのプライバシーを保護するという主要な主張が損なわれると強く反発している。しかしながら、ブース氏によると、この取り組みは世界中におけるデータの取り込みを最大化するために、実際に両方のアプローチに対応している。

また、ブース氏はデータが集中化されているか分散化されているかにかかわらず、相互運用可能であると述べている(ブース氏は、集中化シナリオでは、PEPP-PTを監督するために設立された非営利団体が(資金調達については懸案中であるものの)、集中型サーバー自体を管理できることが望まれる。これは、人権のための体制が整っていない地域などでのデータ集中化によるリスクをさらに軽減させるためのステップであると述べている)。

「集中化と分散化、両方の選択肢があります」と、ブース氏はTechCrunchに語った。「ニーズに応じて両方のソリューションを提供し、提供したソリューションを運用していきます。しかしながら、私がお伝えしたいのは、どちらのソリューションにもそれぞれメリットがあるということです。暗号学のコミュニティからは分散化を望む声が多く、一方医療コミュニティからは、感染者に関する情報を所有する人が多くなり過ぎることを懸念するため、分散化に反対する声が多くあります」。

「分散型システムでは、感染者の匿名IDをあらゆる人にブロードキャストすることになるという基本的な問題があります。そのため、一部の国の医療関連の法律では完全に禁止されています。暗号化手法を導入しているとはいえ、IDをあちこちにブロードキャストすることになります。これは、接触の有無を特定する唯一の手段が、ローカルの携帯電話であるからです」とブース氏は続ける。

「これは、分散型ソリューションの欠点です。その他の点は申し分ありません。集中型ソリューションには、単一の運用者が匿名化IDへのアクセス権を持つという欠点があります(ユーザーはその運用者を信頼するかしないかを選択できます)。これは、匿名化IDがブロードキャストされている場合とほとんど変わらないといえます。そのため、問題は、1人の関係者に匿名化IDへのアクセス権を持たせるのか、このアクセス権を全員に持たせるのかということになります。これは、最終的にはネットワーク経由で匿名化IDをブロードキャストすることになるため、なりすましにつながることがあるためです」。

「誰かが集中型サービスをハッキングできる可能性があると仮定すると、その誰かはサービスが経由しているルーターもハッキングできるということも考慮する必要があります。問題点は同じなのです」とブース氏は付け加えた。

「そのため、私たちはどちらのソリューションも提供します。どちらかを信奉しているというわけではありません。どちらのソリューションでも適切なプライバシーを提供しています。問題点は、どちらについてもどの程度信頼するか決めなければならない、ということです。データをブロードキャストする対象の大勢のユーザーか、サーバー運用者か、どちらをより信頼すべきでしょうか。または、ルーターがハッキングされる可能性があるという事実か、サーバーがハッキングされる可能性があるという事実か、どちらを信頼すべきでしょうか。どちらを信頼することもあり得ます。両方とも至極もっともな選択肢です。暗号化コミュニティの人々の間では、宗教染みた議論であるともいえます。ただし、暗号化で求められる内容と医療で求められる内容の間でバランスを取らなければなりません。そして、私たちはどちらを選択すべきかを決定できないため、両方のソリューションを提供することにしました」。

「私は選択肢は必要であると考えています。国際基準の策定を目指しているのであれば、宗教じみた争いは排除しなければならないためです」。

また、ブース氏は、このプロジェクトの目的は、各データへのアクセスに基づいてリスクを比較し、リスク評価を実施するためにそれぞれのプロトコル(集中型と分散型)を研究することだとも述べている。

「データ保護の観点からすると、当該データは完全に匿名化されています。これは、位置情報、時間、電話番号、MACアドレス、SIM番号のうち、どれも付属していないためです。明らかにされている唯一の要素は接触、つまり、2つの匿名ID間に問題となる接触があったということです。わかるのはそれだけです」と、ブース氏は述べている。「コンピュータサイエンティストやハッカーに対して問いたいのは、彼らに接触に関するリストやグラフを提供した場合、それからどのような情報を得られるのか、という点です。グラフでは、情報は相互に結ばれた数字にすぎません。問題はどのようにしてグラフから何らかの情報を導き出すのかということです。コンピュータサイエンティストやハッカーは今それに取り組んでいます。どのような結果が得られるか見守りたいと思います」。

「この議論については正当性を主張しようとする人が大勢います。これは正当性に関する議論ではありません。正当なことを実行することに関するものです。つまり、私たちは、このイニシアチブで適切な選択肢であればどんなものでも提供します。また、集中型にも分散型にも欠点がある場合は、それを公表します。そして、できる限り、その欠点について確証を得たり、それについて研究したりしていきます。各システムの特性を公表し、人々が地域のニーズに合ったタイプのシステムを選択できるようにします」とブース氏は付け加えた。

「一方のシステムが運用可能で、もう一方が完全に不可能であると判明したら、運用が不可能な方を廃止します。これまでのところどちらも「プライバシー保護」という観点から運用可能であるため、両方とも提供する予定です。ハッキングや、メタ情報の取得が可能であり、許容できないリスクが明らかになったため、運用不可能であると判明したシステムについては、完全に廃止して提供を止めます」。

ブース氏が「課題」と述べていた相互運用性については、氏によると各IDを計算する仕組みについて最終的な調整段階に入った。ただし、ブース氏は相互運用性については引き続き取り組みが進行中であり、相互運用性は必要不可欠な要素だと強調した。

「相互運用性がなければ、システム全体が意味を成さなくなります」とブース氏は述べる。「なぜまだこの相互運用性を得ることができないのかは課題といえますが、私たちはこの課題を解決しつつあり、まちがいなくうまくいくでしょう。相互運用性を機能させるためのアイデアはたくさんあるのです」

「すべての国が相互運用を行わないとすれば、もう一度国境を越えて連携する機会は訪れないでしょう」とブース氏は付け加えた。「ある国にデータを共有しない複数のアプリケーションがある場合、感染追跡の実現に必要となる大規模な参加者を集めることはできないでしょう。また、プライバシーに対する正しい取り組みについて単一の場で十分に議論しないと、そうした正しい取り組みはまったく浸透しないでしょうし、他人の電話番号や位置情報を使用する人々も少なからず現れるでしょう」。

PEPP-PTの連合グループはまだプロトコルやコードを公表していない。つまり、参加を望む外部の専門家が、レビューを行うために必要なデータを入手できていない。そうした専門家は、規格案に関連する具体的な設計上の選択肢について、情報提供を受けたうえでフィードバックを行うことができる。

ブース氏によると、連合グループはMozillaライセンスに基づき、4月上旬にコードをオープンソース化するとした。また、プロジェクトへの「あらゆる適切な提案」について大歓迎だと述べている。

ブーズ氏は次のように語っている。「現在、ベータメンバーのみがコードにアクセスできるのは、ベータメンバーがコードを最新バージョンに更新すると約束したためです。コードの最初のリリースの公開時までに、データプライバシーの検証とセキュリティの検証を確実に実施したいと考えています(こうした検証はオープンソースシステムでは省略されることがあるのです)。そうすることで、大幅な変更が発生しないという確信を持つことができます」。

プライバシーの専門家は、このプロトコルに関する透明性の欠如を懸念している。このような懸念により、詳細が決まっていないサポートを保留するよう開発者に求めている。また、EU各国の政府が介入し、中央集中型モデルに向けた取り組みを推進して、基本設計やデフォルト設定に組み込まれるべきEUの中核的なデータ保護原則から逸脱しようとしているのではないかという憶測さえあった。

SedaG @sedyst ·2020年4月6日
このすぐには理解できないメッセージは、PEPP-PTコンソーシアムには透明性が欠如しているということを意味しています。また、(複数の)政府がこのプロセスに介入して集中型モデルに向けた取り組みを推進しているか、介入している場合はどの程度介入しているのかということについて述べています。
非常に憂慮すべき展開です。


Michael Veale @mikarv
新型コロナウイルス感染症のBluetoothによる近接追跡に関する重要事項

「PEPP-PT」プロトコルは確定されていません。分散型プライバシー設計(DP-3T)は、恣意的な利用や機能クリープを防止します。集中型ではこれらを防止できません。

分散型に対する明示的な条件付きサポートがない限り、PEPP-PTを支持しないようにしましょう。


Mireille Hildebrandt @mireillemoret 2020年4月6日 午後9時40分
私はこれを読んで、PEPP-PTでは「ユーザー」(政府、プラットフォーム)が望む内容に応じて、さまざまな構成を実現できる、という意味に解釈しました。そこがDPbDDとは異なっていますね。それに、パートナーは誰であるのか、どのようなNDAが関係するのか、どのようなダウンストリームデータフローを使用するのかという疑問に対する答えも得られませんでした。

現状では、EUで長年使用されてきたデータ保護法は、データの最小化などの原則に基づいている。もう1つの主要な要件は透明性である。また、4月上旬、EUの主要なプライバシー規制当局であるEDPSは、新型コロナウイルス感染症接触追跡アプリに関する開発を監視しているとTechCrunchに語った。

「EDPSは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックと戦うための技術とデジタルアプリケーションの開発をサポートし、他国のデータ保護監督当局と連携してこれらの開発を注意深く監視しています。パンデミックと戦う上で保健当局が必要だと考えている個人データの処理について、GDPRは障害にはならないという見解を堅持しています」と広報担当者は語った。

「新型コロナウイルス感染症のパンデミックに対する戦いにおいて、すべての技術開発者が現在取り組んでいる有効な対策は、最初からデータ保護を実装している必要があります(例:設計原則によるデータ保護を適用する)。EDPSおよびデータ保護コミュニティは、この共同の取り組みで技術開発者を支援する準備ができています。データ保護機関の指針については次の資料を参照してください。EDPB Guidelines 4/2019 on Article 25 Data Protection by Design and by Default、およびEDPS Preliminary Opinion on Privacy by Design」。

また、私たちは、欧州委員会が新型コロナウイルスに関連して多数のアプリやツールが突如出現したことに注目しており、その有効性と欧州データ標準への準拠について注視していることも把握している。

ただし、欧州委員会は同時に、デジタル化、データ、AIを中核とする、欧州圏の産業戦略の再促進の一環としてビッグデータアジェンダを推進してきた。さらに、4月6日付のEuroactivの報道によると、欧州理事会からリークされた文書には、EU加盟国と欧州委員会がデジタルドメインのすべての領域で今後の政策を通知するために、「新型コロナウイルス感染症のパンデミックから得た経験を徹底的に分析する」と記載されていた。

そのため、EUにおいてさえ、新型コロナウイルス危機との接触リスクに関するデータが強く求められており、個人のプライバシー権を損なう恐れのある方向に開発が推し進められている。このため、国家によるデータの奪取を防ぐため、接触追跡を分散化しようとしている一定のプライバシー推進派から激しい反発が生じている。

欧州はデータの再利用を促進し、「高リスク」AIを規制する計画を立てている

欧州連合(EU)の議員は、あらゆる産業やセクターでデジタル化を推進し、欧州連合委員長のUrsula von der Leyen(ウルズラ・フォン・デア・ライエン)氏が「デジタル時代に適合した欧州」と掲げた課題を実現するため、欧州圏の新しいデジタル戦略に対する一連の提案を初めて立案した。また、これは、中国や米国に対する地域的な優位性を高めるための戦略として、新世代のデータ主導型サービスを強化するという目的で、ヨーロッパの大規模データセットのプールにある障壁を取り除くことに熱心な、欧州連合の「AIの奪い合い」とも言える。

ブース氏は、ベストプラクティスと見なされている「データの最小化」は、最終的には誰により大きな信頼を寄せるかという考え方に他ならないと述べている。「分散型アプローチおよび集中型アプローチについては、どちらもデータを最小化しているという意見があるかもしれませんが、1つのポイントでデータの最小化が行われていても、分散型システム全体でデータの最小化が実施されていることにはなりません」とブース氏は示唆する。

「問題は誰を信頼するのかということです。誰により大きな信頼を置くのか、これこそが本当の問題です。重要なデータは匿名化された接触のリストではなく、感染確定のデータであると理解しています」

「こうした問題の多くは、分散化と集中化の間で昔から行われてきた、宗教染みた議論において討論されてきました」とブース氏は付け加えた。「一般的に、ITは、分散化ツールと集中化ツールで揺れています。つまり、全面的な分散型または全面的な集中型のどちらか一方に決定することができないのです。どちらも完璧なソリューションではないためです。ただし、今回のケースでは、分散化と集中化の両方が有効なセキュリティオプションを提供すると考えています。また、どちらのアプローチも医療データを使用して実現が求められていることと、実現してはならないことに関して異なる意味を持っています。決定は全員に委ねられています」。

「私たちに求められているのは、両方のオプションを選択可能にすることです。また、ある機能についてその仕組み、相違点、リスクに関してじっくりと議論を交わし、単なる推測ではなく、適切な調査を行う必要があります」。

PEPP-PTの議論に誰が関与しているかという点について、プロジェクトの直接の参加者以外に政府と保健省が参加しているのは、「医療プロセスにPEPP-PTを組み込む必要がある」という実務的な理由からだと、ブース氏は述べた。「多くの国が、現在、公式の追跡アプリを作成しており、当然ながら、そのようなアプリはPEPP-PTに接続する必要があります」とブース氏は言う。

「また、私たちは各国の医療システムがどのようなものであれ、医療システムの関係者と話し合います。これは、医療システムとの最終的な境界にPEPP-PTを組み込み、検査と連動させる必要があるためです。感染症に関する法律とも連動させ、人々が、プライバシーや連絡先情報をさらすことなく地域の疾病対策予防センターと連絡を取ることができるようにする必要もあります。こうした点についても議論が交わされています」。

早期(ベータ)アクセス権を持つ開発者は、すでにシステムの簡易検査を実施している。PEPP-PT技術を利用する第一陣のアプリが一般的に出回る時期について尋ねると、ブース氏は、数週間以内でまもなくであると示唆した。

「そういったアプリのほとんどでは追跡レイヤーにPEPP-PTを導入するだけで済みます。医療プロセスとPEPP-PTを接続する方法を理解できるように十分な情報をすでに提供しています。アプリのリリースまでに長くかかるとは思いません」とブース氏は述べる。また、このプロジェクトでは、すぐに稼働させることのできる開発者リソースのない国を支援するために追跡参照アプリも提供している。

「ユーザーエンゲージメントでは、単なる追跡以上のことを行う必要があります。たとえば、疾病対策予防センターからの情報を含める必要があります。しかし、プロジェクトとして(より簡単)にこうしたこと開始するためにアプリのスケルトン実装を提供します」とブース氏は述べた。

さらに、ブース氏はこのように続けている。「先週以降私たちに電子メールを送信してくれたすべての人々が自分のアプリにPEPP-PTを導入してくれれば(幅広く導入してもらえる見込みです)、半数が導入してくれれば、滑り出しは非常に順調といえます。各国からの大量な人の流入と、従業員の復帰を特に望む企業の存在といった要因により、とりわけ、国際的なやり取りと相互運用性を実現するシステムの導入を求める声が強くあります」。

接触追跡アプリが、新型コロナウイルス(インフルエンザよりも感染性がはるかに高いことが判明している)の蔓延の制御に役立つかどうか、という広い観点に立って、ブース氏は次のように述べている「感染を隔離することが重要であるということがあまり議論になりません。この病気の問題点は、すでに感染していても無症状であることです。つまり、その人の体温を測定してそれで終わり、というわけにはいかないのです。過去の行動を調査しなければなりません。そして、デジタルを活用することなく、この調査を正確に実施できるとは思えません」。

「多くの病気が示しているように、感染の連鎖を隔離する必要があるという理論が全面的に真実であるならば(ただし、それぞれの病気は異なるため、100%の保証はないが、すべてのデータが隔離の必要性を示しています)、隔離こそがまちがいなく実行すべきことです。現在これほど多くの感染者がいるので、この議論には納得がいきます。世界は密接かつ相互につながっているため、世界各地で同じようなロックダウンが実施されることになるのでしょうか」。

「これこそが、R0値(1名の感染者から感染する可能性のある人数)が公表された時に、このようなアプリが市場に出回ることが納得できる唯一の理由です。R0値が1を下回ると、その国の感染件数が適切なレベルまで減ったことになります。また、感染症の関係者の言葉を借りれば、これは、病気を軽減するアプローチではなく、病気を封じ込めるアプローチ(今私たちが行っているような)に戻ることを意味するのだと思います」。

「接触連鎖評価のアプローチを使用することで、検査の優先順位が高まります。ただし、現在、人々は優先順位が正しいのかということではなく、検査のリソースに対して疑問を感じています」と、ブース氏は付け加えた。「検査と追跡は相互に独立しています。どちらも必要です。接触を追跡しても、検査を実施できないとしたら、追跡はいったい何の役に立つでしょうか。そのため、検査インフラストラクチャ『も』間違いなく必要です」。

画像クレジット:Rost-9D / Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

[原文へ]

(翻訳: Dragonfly)

フェイスブックのMessenger Kidsが70カ国以上で新たにローンチ、新機能も追加

Facebook(フェイスブック)はMessenger Kidsを新たに70カ国以上でリリースし、またさまざまな市場で順次展開する新機能を発表した。新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックの影響で世界中の学校が閉鎖されている中、今回の新機能では、親の監視下で子供が連絡先を追加できるようになっている。

この新機能はSupervised Friendingと呼ばれ、米国時間4月22日に他国に先駆けて米国でローンチされる。この機能が実装される前は、子供たちはMessenger Kidsのコンタクトの追加を親に承認してもらう必要があった。しかしSupervised Friendingでは、自分の子供が連絡先を承認、拒否、追加、削除できるオプションを親が有効にできる。親はMessengerによって通知され、ダッシュボードを通じて子供による連絡先の承認を上書きできる。

2番目の新機能は、親が教師など他の大人を子供をグループチャットに参加させるかどうかを許可できるというものだ。現在のところ米国、カナダ、ラテンアメリカで利用可能な3番目の新機能は、子供の連絡先の友達とその親、Messenger Kidsを持っている親のフェイスブックフレンドの子供、親がアプリをダウンロードするために招待した人の子供を含む、ユーザーのサークルに表示できる。

Facebookによるとこれらの新機能は、児童発達、メディア、オンラインの安全性の専門家で構成されるアドバイザリーグループであるYouth Advisorsの協力のもとで開発されたという。また同社は2月に、子供が誰とチャットしているのか、何を共有しているのかを簡単に確認できるアクティビティログなど、親がMessenger Kids上での子供の行動をコントロールするための新しいツールや機能を導入している。その一方で、TechCrunchのSarah Perez(サラ・ペレス)記者が指摘しているように、Facebookのプライバシーポリシーには個人データを収集可能な余地が十分に存在するのも事実だ。

原文へ

(翻訳:塚本直樹 Twitter

Googleは偽情報の多いインドで主要アプリ総動員の正しい新型コロナ情報を提供

Googleの月曜日(米国時間4/13)の発表によると、同社はインドで、コロナウイルス関連のアップデートをまとめたWebサイトを立ち上げ、また検索とYouTubeでは、インド厚生省などの権威ある機関からの情報とユーザーの地元の詳細情報を目立たせることになった。

またGoogle Mapsと検索では、インドの30あまりの都市の1500以上の食事とベッドが提供されるシェルターをガイドする。Googleによると、インドに何百万人もいる出稼ぎ労働者は、政府が疫病対策として都市の3週間のロックダウンを命じたため仕事を失い、帰郷を始めている。

これらのシェルターは、Google Assistantに英語かヒンズー語で“food shelters”と尋ねても見つかる。Assistantはスマートフォンや、KaiOSを使っているフィーチャーフォン、あるいはVodafone-Ideaの電話回線から利用できる(インドのそのほかの言語もサポートを準備している)。

Googleはカリフォルニア州マウンテンビューに本社のあるアメリカの大企業だが、同社にとってインドは重要な海外市場のひとつだ。同社は各国の保健医療行政の意思決定を助けるために、COVID-19 Community Mobility Reports(各地の人の移動に関する情報)を発行している(日本版)。このレポートは、公園、駅、食料品店などの公共的な場所における交通や人の移動の、最近数週間の変化を、グラフで報告している。

Mapsでは、Nearby Spotという案内表示により、食料品や生活必需品を売っているインド各地のお店を見つけやすくしている。

YouTubeと検索は、重要なニュースやインド厚生省からの情報、および症状と予防と治療に関するそのほかの権威あるコンテンツを一箇所にまとめて見せている。またYouTubeがそのホームページにローンチした「Coronavirus News Shelf」(コロナウイルスのニュース集)は、このアウトブレークに関する権威あるメディアからの最新ニュースを集めている。

最近の数週間でGoogle Pay、Walmart PhonePe、Paytmなどの決済サービスは、コロナウイルスと戦うインドの首相ナレンドラ・モディ氏のファンドに簡単に寄付できるようになった。Googleによると、同社の決済サービスからの寄付の総額は1300万ドルを超えた。

以上のようなさまざまな措置により、インドを何年も苦しめているもう一つのアウトブレーク、すなわち偽情報の封じ込めができるだろう。メッセージングサービスには、政府がやっていることに対する、勝手な想像に基づく嘘の情報や、この疫病を広めている犯人、昔からある民間療法など、いい加減な情報が溢れている。しかも、こういった出鱈目を、一部のテレビニュースが真実として報じ、それがインドの数億の人びとに伝わっている。

しかし中でもインドでいちばん人気のあるメッセージングサービスWhatsAppは、この感染症に関する情報を一層充実させようしている

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

長時間の在宅で2020年第1四半期のアプリの売上は史上最高を記録

新型コロナウイルスの感染拡大で家にいる時間が長くなり、買い物や資産管理、新しいエクササイズ探し、在宅勤務、エンターテインメントなど、モバイルアプリを使う時間が急激に長くなっている、米国時間4月2日にApp Annieが発表した最新のデータによると、2020年第1四半期のアプリの売上は史上最高になった。またAndroidデバイスの分析では、全世界での週あたりのアプリとゲームの平均使用時間も、前年同期比で20%増えている。

これらの要因は、アプリストアの記録的な売上増につながっている。

App Annieによると、2020年第1四半期には全世界のアプリストアの売上は234億ドル(約2兆5400億円)で、四半期としてはこれまでで最高となった。

このうち、iOSが150億ドル(約1兆6300億円)、Google Playが83億ドル(約9000億円)だ。両方ともそれぞれのプラットフォームで、前年より5%増えている。

ゲーム以外のアプリの売上は、iOSで35%、Google Playで15%を占めている。一方、この四半期にユーザーはゲームに167億ドル(約1兆8100億円)以上を支払った。

国別に見ると、iOSでは米国と中国、Google Playでは米国、日本、韓国の売上が大きい。

Androidではゲーム、ソーシャル、エンターテインメントアプリの売上が大きい。特にDisney+とTwitchがこの大きな要因となっている。

一方iOSでは、ゲーム、エンターテインメント、写真とビデオのアプリが売上のトップ3となっている。この四半期は、iOSの売上でTikTokがTinderとYouTubeに次ぐ第3位となっている点が目を引く。

2020年第1四半期のアプリのダウンロード数は310億回

2020年第1四半期には、アプリが新たに310億回ダウンロードされた。これは2019年第4四半期から15%の増加だ。第4四半期は通常、年末商戦で新しいスマートフォンが売れてアプリのインストール数が大きく加速するが、今年の第1四半期はそれを上回った。

Google Playのダウンロード数は前年比の5%増で225億回、iOSは前年比の15%増で90億回以上だった。

ゲーム以外のアプリは、Google Playでは全体のダウンロード数の55%、iOSでは65%だった。これは、人々が単にアプリで気晴らしをするだけでなく、仕事も家でするような新しい生活を送ったためにさまざまなモバイルアプリを求めていたことを示している。

Google Playのダウンロード数で最大の市場はインドとブラジルだ。これは人口が多いことと、安価なAndroidデバイスが多く使われていることによる。iOSのダウンロード数では中国と米国が2大市場で、この四半期の成長も中国と米国が主に牽引している。

カテゴリー別のダウンロード数は、Google Playではモバイルゲーム、ツール、エンターテインメントがトップ3で、iOSではゲーム、写真とビデオ、エンターテインメントだった。

Google PlayでもiOSでも、ゲームの成長が大きい。

2020年第1四半期では、モバイルゲームのダウンロード数が前年同期比20%増で130億回を超えた。前四半期との比較では30%増えている。

Google Playではゲームのダウンロードが前年比25%増で100億回近くに達した。iOSでも25%増えて30億回以上を記録した。

この四半期でダウンロード数が多かったのはパズル、シミュレーション、アクション、アーケードゲームだったが、売上ではロールプレイ、アクション、ストラテジーゲームが多くを占めている。これはいつものことだ。

ゲーム以外のカテゴリーでは、どちらのプラットフォームでも、ヘルス&フィットネス、教育、ビジネスのアプリが多くダウンロードされた。ヘルス&フィットネスは前四半期比でGoogle Playでは40%、iOSでは30%増えた。教育はGoogle Playで35%、iOSでは40%増となり、ビジネスはGoogle Playで30%、iOSでは35%増となった。

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)