国が支援するコロナウイルスの偽情報がまともなニュース媒体の記事よりも速く広く拡散

オックスフォード大学のアナリストたちの調査によると、ロシアと中国とトルコとイランの国が支援している媒体からの、新型コロナウイルスに関するいかがわしい記事が世界中で、メジャーなニュース媒体の記事よりも広く共有されている。フランス語とドイツ語とスペイン語と英語の普通のニュースサイトは、ソーシャルなエンゲージメントが、これら外国起源の記事よりも少ない。

この調査は、Computational Propaganda Project(コンピューターによるプロパガンダ研究)というプロジェクトが今行なっているCOVID-19偽情報キャンペーンのモニタリングの一部だ。この調査グループは、Le Monde、Der Spiegel、El Paisのようなメジャーなニュース媒体に比べて、Russia TodayやChina Radio Internationalなどの、国が背後にいる媒体のコンテンツが、いくつかの測度で4〜5倍多く共有されていることを発見した。

彼らの初期の報告書は、このタイプのメディアの英語による共有を主に取り上げていて、それらは一般的に、「特定の記述を強調している事実もどき」、と呼ばれている。

彼らが繰り返し何度も発見したのは、主流的なニュース媒体は全体的なプレゼンスでは勝(まさ)っているが、国が支えるジャンクニュースは、一つのポストや記事あたりのエンゲージメントがはるかに多いことだ。最近の報告では、メインストリームの記事が一本あたりで平均25のエンゲージメントを集めているのに対し、国支援の記事は125だった。ユーザーやフォロワーの数は数百万もいるから、全体ではとても大きな差になる。

そのデータにはもっと細かいニュアンスがいろいろあるけど、一般的な傾向としては上のようなことが言える。偽情報はボットや通常の共有などによって広く拡散しているが、普通のニュースソースはアウトプットを増やし、初期のリーチを大きくすることで数を稼いでいる。どちらも、最初の到達数ではそれほど変わらない。しかしまだ分からないのは、英語以外のメディアでもそうか、ということだ。

さまざまなニュースソースから3週間にわたって集めたデータからは、確かに上記のようなことが言える。メインストリームのメディアは全体的なリーチは大きいが、国支援のメディアは一つの記事あたりのエンゲージメントが非常に高いことが多い。それは、国支援の媒体が論争的なネタや対立を煽るような記述を多用するからだろう。調査は次のように述べている:

  • ロシアの、フランス語とドイツ語の媒体は、ヨーロッパにおける弱い民主主義と市民の動乱を一貫して強調しているが、パンデミックに関してはさまざまな陰謀説を提供していた。
  • 中国とトルコのスペイン語の媒体は、自国のグローバルな指導性とパンデミックとの戦いを宣伝しているが、ロシアとイランの媒体はラテンアメリカとアメリカのスペイン語ソーシャルメディアのユーザーを狙った、二極分化を煽るようなコンテンツを生成していた。

もちろん、この種のクリックベイトはソーシャルメディア上で野火のように広がるが、軽率にシェアボタンを押してしまう人たちは、それがどこかの政府が支援するニュース機関が世界に不和の種を播くためにやっていることだとは、夢にも思わない。

しかし一方ではこれを、相手がやるからこっちもやる、という一種のフェアプレーと見る見方もある。

たとえば、中国の国が支援するニュースは、ウイルスが中国の生物兵器だとする、アメリカで盛んな陰謀説に対抗して、それはアメリカの生物兵器を中国でばらまいて中国に罪を着せようとしているのだ、という説を流している。

オックスフォードのKatarian Rebello氏が、ニューズリリースで次のように述べている。「これらの国支援の媒体の多くが、コロナウイルスに関する事実に基づいた信頼できる記事と、誤解を招く、あるいは偽の情報をブレンドしている。それらにより、COVID-19パンデミックを理解しようとしている一般大衆のオーディエンスの間に、大きな不安を植え付けてしまうこともある」。

ここで挙げた国が支えている媒体は、アラビア語の市場にも大きなプレゼンスがあり、研究者たちは今後の調査でそれらを含めたいとしている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

コメントの管理を行うプラットフォームSpot.IMがOpenWebに改名

Spot.IMはTechCrunchのようなパブリッシャーのサイトにユーザーのコメントを管理するプラットフォームを提供している。今週同社は、OpenWebとしてリブランディングすることを発表した。

CEOで共同創業者のNadav Shoval(ナダブ・ショヴァル)氏によると、新しい名称はもっと大きなビジョンを表現しており、同社初のプロダクトである位置情報に対応したメッセージングサービスよりも意欲的だ。

ショヴァル氏は「我々全員が、自分たちが実際にやっていることをもっと誇りに思うべき時だと感じたんだ。それはオープンなウェブを救うことだ」。

具体的にショヴァル氏が望んでいるのは、オンラインの会話をFacebook(フェイスブック)のような大きなソーシャルプラットフォームから独立したパブリッシャーに戻すことだ。そのために彼は、通信品位法第230条の再検討や改正についての最近の議論(未訳記事)を指摘している。

ショヴァル氏によると、Twitter(ツイッター)の検閲行為に対するトランプ大統領の不平を額面どおりに受け取る必要はないが(未訳記事)、重要なのは「大きなテクノロジー企業の1社たりともコミュニケーションをコントロールすべきでない」という点だ。

その目的のために同社は、そのプラットフォームの改訂バージョンを披露した。そこにはパブリッシャーが自分たちのコミュニケーションの質を評価する、ユーザーがコメントに点数をつけてコメントの質の向上を奨励する、コメントがパブリッシャーの基準に違反していたら再考をうながすといった新機能がある。OpenWebはそうした警告のことを「nudges(ナッジ、注意を促すため人をひじで軽く突っつくこと)」と呼び、無視したければ無視してもよいとしている。

関連記事:Spot.IM raises $25M to help publishers engage with readers(未訳記事)

OpenWebのプロダクト担当上級副社長であるIdo Goldberg(イド・ゴールドバーグ)氏は「悪質な行為を、アルゴリズムだけに頼って特定することは止めた。ここで私たちが行ったのは、何百万もある会話の品質とスケールをどう見るべきかを理解することに多くの時間を費やした」という。

会話と感情表明における大きなテーマは礼儀だ。そういうゴールドバーグ氏は、OpenWebのナッジがユーザーの気持ちを変えて、もっとおだやかな言葉遣いのコメントになった例を挙げた。しかし礼儀が必ずしも常に良質な会話に導くとはいえないのではないか。なにしろ人種差別や性差別、同性愛者差別などのヘイトメッセージは、表面的には丁寧な言葉で語られていることが多い(The Atlantic記事)。

ゴールドバーグ氏は私の異論に対して「礼儀は基本線だ」と答えた。「無礼な言葉遣いになってきたら、建設的な会話をしたい人はその場を去るだろう」と彼はいう。

ショヴァル氏は 「良質な会話のための特効薬はない」という。OpenWebは「インターネットを検閲しているイーストコーストの左翼」には見られないようにして、良質な会話を奨励してきたし、各パブリッシャーと協力してやり過ぎにならないラインを見つけて、地域による違いにも配慮してきたが、結局のところそれは「終わりのない旅路を望んでいたことに他ならない」とのことだ。

関連記事:PACT Act takes on internet platform content rules with ‘a scalpel rather than a jackhammer’

画像クレジット:Tero Vesalainen

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

フェイスブックがGIFアニメのGIPHYを430億円相当で買収

Axiosによると、Facebook(フェイスブック)は米国時間5月15日に、ウェブ上のアニメGIFの検索エンジンでプラットフォームプロバイダーであるGIPHYを約4億ドル(約428億円)で買収することを確認した。その具体的な条件は公表されていない。GIPHYは現在、共有可能でエンゲージメントの高いコンテンツの中心的な発信源に成長しており、そのアニメーション化されたGIFは、フェイスブックのプラットフォームだけでなくウェブ上のその他のソーシャルアプリやサービスで幅広く利用されている。

特にGIPHYはInstagramに検索機能とステッカー機能を提供しており、今後もその機能を維持していずれはInstagramのチームの一部になるものと思われる。そしてGIPHYは既に行われた統合と今後の統合により、フェイスブックのその他のアプリでも利用できるようになるだろう。人びとは引き続き自分のGIFをアップロードすることが可能で、フェイスブックはGIPHYを自社ブランドで運営し、外部のデベロッパーもGIPHYを利用できるようにするだろう。

フェイスブックによると、同社はGIPHYの技術開発にも追加投資し、コンテンツとエンドポイント開発者レベルの両方で新たな関係を構築していくという。また、GIPHYが受信するトラフィックの50%はInstagram、Messenger、フェイスブック本体、WhatsAppなどフェイスブックのアプリからのものとのことだ。

GIPHYは2013年に創業され、最初は単なるGIFの検索エンジンだった。このウェブサイトの最初の重要な拡張がフェイスブック経由の共有を可能にする機能で、この機能は同社の創業年の後半に導入された。そしてその後すぐに第2の統合としてTwitterでも共有が可能になった。Crunchbaseの最新データによると、GIPHYはこれまでに5回のラウンドで1億5090万ドル(約162億円)を調達している。投資家はDFJ Growth、Lightspeed、Betaworks、GV、Lerer Hippeauなどだ。

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フェイスブックのデスクトップ版新デザインが正式発表、ダークモードがやっと使える

何カ月もテストをしていたFacebook(フェイスブック)の新デザインがついに正式に発表された。2019年の開発者会議F8で発表されたミニマリスト的なデスクトップデザインは、段階的に展開されてきた。2020年3月に同社は、その新バージョンを試してみるオプションを追加。ユーザーは元に戻って、なぜそうしたかをフィードバックすることができた。そして今週、新デザインは正式に決まった。手作業でアップデートするオプションも利用できる。

ユーザーが多く、人気のウェブサイトは変更が難しい。最高の新デザインでも、ユーザーはそれに適応するために脳の配線変えが必要だ。単純化もここでは重要となる。これまでさまざまなコンテンツのために新たな機能を次々と加えてきたフェイスブックのようなプラットフォームにとっては特に大きく要求される。初期のリリースで触ってみた経験からいうと、フェイスブックはこの「フレッシュでよりシンプルな」デザインのために空白のキャンバスを残すことを恐れていない。動画、ゲーム、グループなどのコンテンツが優先されている。

新デザインはモバイルアプリに倣って、ロードタイムの短縮とナビゲーションのしやすさを実現している。これまた、ユーザーは慣れる必要があるだろう。「Facebook.comが16年前にローンチしてから今日まで、私たちは成長しました。私たちは数多くの新機能を搭載し、それらを新しいデバイスとオペレーティングシステムに向けて最適化し、何百もの言語に拡張してきました。最近の私たちはモバイルのフェイスブック体験にフォーカスし、私たちのデスクトップサイトが後れていることに気づきました。そして、みんなが追いつくことをみんなが必要としています」とフェイブックはいう。

関連記事: デスクトップの「新しいFacebookに切り替え」が一般公開、ダークモードも使える

多くの人にとって最大のニュースは、待望のダークモードがデスクトップ版にやってきたことだろう。ついにフェイスブックは、Twitterなど多くのアプリケーションの仲間入りをした。ダークモードの利点はあなたもよくご存知だろう。目に優しいし、動画が観やすい。動画は、最近の同社で最もプライオリティが高いものだ。

さらに新しいのは、グループやページや、そして当然ながら広告を、前よりも手早く作れることだ。新バージョンにはそれぞれのプレビューもあるので、画面上の姿を公開する前に確認できる。

同社は現在も、ユーザーからのフィードバックを積極的に求めている。「設定」から不満を伝えることができる。フェイスブックはこれからもユーザーに喜んでもらうために、果てしない取り組みの中で、デザインの微調整を続けていく予定だ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Pinterestがメモや日付、セクション提案の新機能を導入

Pinterestは、レシピやバーチャルイベントなど外出自粛中の活動を整理しやすくする新機能を導入する。日付やメモをボードに追加できるほか、機械学習テクノロジーの助けを借りてボードのピンを自動で整理する機能もある。

Pinterestのプラットフォーム上では、外出自粛期間中に特定の種類のアクティビティが増加していると確認されている。例えば、サイト上でバーチャルイベントの計画を立てる人が50%以上増えた。バーチャルの誕生パーティー、出産祝い、教育活動などだ。

一方、自粛期間終了後の計画を立てる人々もいて、作成されたボードの数は前年の同時期と比べ60%増加している。ボードのエンゲージメントも前年比で75%近く、月ごとでは50%近く上昇している。

ボードにメモを追加できるようになったため、Pinterestユーザーは保存したものに自分用の注釈を付けられる。ピンしたレシピの材料、プロジェクトのタスク一覧、To Doリストなど、何でもメモすることができる。

また、ボードに日付も追加できるようになった。これはプロジェクトの計画だけでなく、ボードを日付で整理するためにも役立つ。日付を記録してあれば、プロジェクトが終わってアーカイブする古いボードをすぐ見つけられるようになるだろう。

さらにPinterestはボードのテクノロジーをアップグレードし、セクションの追加を提案するようになった。

例えば「子供」「アクティビティ」といった意味の広いボードがあると、Pinterestが「アートのプロジェクト」「屋外のゲーム」などとセクションを分けてピンを整理するよう提案してくることがある。新しいボードを作り、最初のピンを保存するとすぐにセクションを追加するように勧められることもある。

Pinterestによると、ピンをどのようにグループ化するかを判断するため、保存されている膨大なデータに、機械学習と同社のPinSage技術を組み合わせている。似たようなピンを正確にまとめ、ユーザーがボードをどのように整理したいかを予測しなくてはならないため難しい課題だと同社は述べている。

ボードの新機能は、米国時間5月6日から世界中でウェブ、iOS、Androidに対して公開が開始されている。

今回の新機能は、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大後に変化した利用者の行動にPinterestが対応しようとするものだ。利用者は、当面は旅行や人と会うイベントの計画を立てなくなり、代わりに子供の自宅学習やバーチャルイベントなど自粛に関連するアクティビティを整理するためにボードを使っている。

この新機能の公開前日である米国時間5月5日、Pinterestは新型コロナウイルス感染拡大の中でも第1四半期は堅調だったと発表した。同社の売上は前年比35%増の2億7200万ドル(約290億3000万円)、ユーザーベースは前年比26%増の3億6700万人で、ともに予測を上回った。ただし株価は、9セント下落の予測に対し、10セント下落した。

CNBCの記事によれば、ウォールストリートはPinterestのユーザー数の伸びには満足していない。米国でのユーザー数の増加は、2019年第4四半期は前年比8%増だったのに対し、2020年第1四半期は前年比6%増だった。年間ベースで前年比26%の成長は2019年第4四半期と同じで、つまり成長の度合いは増えていない。2020年3月にPinterestが発表した新型コロナウイルス関連の利用状況や、FacebookSnapchatといった他のソーシャルプラットフォームの成長を考えると、期待を下回っている。

Pinterestは新型コロナウイルスに関連して広告が減少していることから、今後は厳しいとの見通しも明らかにしている。

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(翻訳:Kaori Koyama)

大量の「いいね!」とコメントでインスタを欺く「ポッド」との戦い

ニューヨーク大学(NYU)の研究チームは、Instagramのアルゴリズムを操って露出を高めるために「いいね!」やコメントを組織的に交換するInstagramユーザーグループ(中にはメンバーが数千人になるものもある)を何百個も特定した。さらに同チームは、その研究の一環として、Instagramの投稿にこの手法が使われているかどうかを判断する機械学習モデルのトレーニングも行った。

「ポッド」と呼ばれるこの手法によるアクティビティは、厳密には本物のエンゲージメントとはいえないが、かといって偽のエンゲージメントとも断定できないため、検知や対抗措置の実施が難しい。また、以前は危険度が比較的低いと考えられていたが(偽アカウントやボット使用の問題と比べれば今でも確かに低い)、現在はその規模も影響力も拡大している。

インターネットで検索するとポッドは簡単に見つかる。誰でも参加可能なポッドもある。ポッドの結成場所として最も広く利用されているのはTelegramである。おおむね安全で、チャンネル加入人数に制限がないためだ。ポッド参加メンバーがInstagramに投稿してそのリンクをポッドで共有すると、同じポッドに参加する他のメンバーが「いいね!」やコメントを付ける。すると、その投稿がInstagramの「おすすめ」選定アルゴリズムによって拡散される可能性がはるかに高くなり、オーガニックなエンゲージメントが促進される、という仕組みだ。

互酬性のサービス化

グループのメンバーがお互いの投稿に「いいね!」を付け合う行為は、互酬性の乱用と呼ばれる。ソーシャルネットワークの運用会社もその存在を十分認識しており、この手のアクティビティを削除したことがある。しかし、NYUのTandon School of Engieeringの研究チームによると、この手法が研究されたり詳細に定義されたりしたことはないという。

今回の研究論文の主執筆者であるRachel Greenstadt(レイチェル・グリーンシュタット)氏は、「Instagramはこれまで、他者へのログイン情報提供などの自動化による脅威やボット被害に重点を置いていたのだと思う。我々がポッドを研究したのは、ポッド問題の深刻さが増しており、他の問題に比べて対抗措置を講じるのが難しいためだ」と説明している。

規模が小さければそれほど大きな問題にはならないように感じられるが、同チームの研究ではポッドによって操作された投稿が約200万件、ポッドに参加しているユーザーが10万人以上見つかった。さらに、これは公開されているデータを使って閲覧できる英語表示の投稿のみを調査した結果である。この研究論文はThe World Wide Web Conferenceの発表論文集に掲載された(ここから閲覧可能だ)。

重要なのは、このような互酬的な「いいね!」の付け合いには、形だけのエンゲージメントを増やす以上の効果があるという点である。ポッドに参加している投稿には多数の「いいね!」やコメントが付いたが、これは作為的なエンゲージメントだった。しかしその結果、Instagramのアルゴリズムがだまされてそのような投稿を優先表示するようになり、ポッドに参加していない投稿のエンゲージメントでさえも大幅に増加したのだ。

コメントを求められたInstagramは当初、このような行為は「Instagramのポリシーに違反しており、阻止するために数多くの措置を講じている」と回答し、今回の研究はNYUの研究チームとInstagramの共同研究ではないと述べた。

しかし実際のところ、NYUの研究チームは今回の研究プロジェクトの初期段階からInstagramの不正防止担当チームと接触していた。さらにこの研究結果を見る限り、Instagramがどのような措置を講じているにしろ、少なくともポッド問題に関しては思うような効果が出ていないことは明らかだ。筆者はInstagramの担当者に対してこの点を指摘した。何らかの回答があったら、この記事に追記する予定だ。

ポッド使用は「グレーゾーン」

とはいえ、ポッド禁止に向けてすぐに行動を起こせばよい、というわけでもない。ポッドによるアクティビティは多くの点で、友達同士あるいは興味が似ているユーザー同士がお互いの投稿にリアクションを返すという、Instagramが本来の使い方として意図しているアクティビティと同じだからだ。さらに、ポッド使用が不正行為であると簡単に決めつけられるわけでもない。

グリーンシュタット氏は次のように述べている。「ポッド使用はグレーゾーンで、判断が難しい。Instagramユーザーもそう考えていると思う。どこまでが許容範囲なのか。例えば記事を書いてソーシャルメディアに投稿し、そのリンクを友だちに送ると、その友だちが投稿に『いいね!』を付けてくれる。友だちが記事を書いて投稿したら、今度は自分が同じことをする。これはポッド行為になるのか。お互いに『いいね!』を付けることが問題であるとは必ずしもいえない。コンテンツの拡散・非拡散を判断する上でそのようなアクションをアルゴリズムがどう処理するべきか、ということが問題だ」。

そのような行為を何千人ものユーザーを使って組織的に行い、(一部のポッドグループで行われているように)ポッド参加メンバーに課金まですれば、明らかに不正行為になる。しかし、この線引きは簡単ではない。

それよりも肝心なのは、何をもってポッド行為とするかを定義しなければ線引きすらできない、という点である。今回の研究では、ポッド投稿と通常投稿の「いいね!」とコメントのパターンに見られる違いを精査することにより、ポッド行為の定義が行われた。

「ポッド投稿と通常投稿では、言葉の選択とタイミングのパターンに特徴の違いが見られる」と共同執筆者のJanith Weerasinghe(ジャニス・ウィーラシンゲ)氏は説明している。

容易に想像できることがだが、あまり興味のない投稿にコメントするよう強制されたユーザーは、内容に踏み込んだコメントはせず、「いい写真」とか「すごい」といった一般的な言葉でコメントする傾向がある。ヴィーラシンゲ氏によると、そのようなコメントを禁止しているポッドグループもあるにはあるが、多くはないとのことである。

ポッド投稿で使用される言葉の一覧を見ると、予想通り、フォロワーが多い投稿のコメント欄でよく目にする言葉ばかりだ。とはいえ、このことはInstagramのコメント欄では何といっても全般的に表現の幅が限られることを証明しているのかもしれない。

ポッドで多用される言葉

しかし、何千件ものポッド投稿と通常投稿を統計的に分析した結果、ポッド投稿では「一般的な表現を使った支持」コメントの割合が圧倒的に高く、しばしば予測可能なパターンで出現していることがわかった。

さらに、この分析データを基に機械学習モデルのトレーニングを行い、初見の投稿の中から最高90%の高精度でポッド投稿を特定することに成功した。この方法を使えば次々とポッドを発見できるかもしれないが、それらは氷山の一角にすぎないことを忘れてはならない。

グリーンシュタット氏は「今回の研究期間に、アクセスと発見が容易なポッドをかなりの数、特定できた。しかし今回、ポッド全体の大半を占め、小規模ながら高い利益を生み出してしているポッドを特定することができなかった。そのようなポッドには、ソーシャルメディアにおいて既にある程度の露出実績があるユーザー、つまりインフルエンサーでないと参加できないためだ。我々はインフルエンサーではないため、そのようなポッドに実際に参加して調査することはできなかった」と説明している。

ポッドと、ポッドによって操作された投稿の数はここ2年間で着実に増加している。2017年3月には7000件のポッド投稿が発見されたが、1年後には5万5000件近くまで急増した。2019年3月には10万件を超え、その数は今回の研究データの収集が終わる時点でも増え続けていた。現在、ポッドによる投稿は1日あたり4000回を超えているといっても過言ではなく、それぞれの投稿が、作為的にもオーガニックにも膨大な数のエンゲージメントを獲得している。現在、1つのポッドの参加メンバー数は平均900人で、中には1万人を超える参加メンバーを抱えるポッドもある。

「数人の研究者が、公開されているAPIとGoogleを使ってこのような発見をできたのであれば、なぜInstagramは今まで気づかなかったのか」と思う読者もいるかもしれない。

先ほども触れたが、Instagramは単にポッドを大きな脅威として認識していなかったために、それを阻止するポリシーやツールの開発を進めてこなかっただけなのかもしれない。「偽の『いいね!』、フォロー、コメントを生成するサードパーティ製のアプリやサービス」の使用を禁止するというInstagramのルールがこのようなポッドには適用されないことはほぼ確実だ。なぜならポッド行為は多くの点で、ユーザー間のまったく正当なやり取りと同じだからだ(ただし、Instagramはポッドがルール違反であると明言している)。また、偽アカウントやボットの方がはるかに大きい脅威であることも確かである。

さらに、ポッドが国家による意図的な虚偽情報拡散やその他の政治的な目的で利用される可能性もあることにはあるが、今回の研究中にその種のアクティビティは(それを具体的に探すことはしなかったが)発見されなかった。そのため、現在のところポッドの危険度は依然として比較的低いといえる。

とはいえ、ポッド行為の定義と検知に役立つデータをInstagramが持っていることは明らかであり、そのデータに基づいてポリシーやアルゴリズムを変更することも可能なはずだ。NYUの研究者たちは喜んで協力するだろう。

関連記事:あなたのインスタストーリーが知らないロシア人に見られているワケ

Category:ネットサービス

Tags:Instagram 機械学習 SNS

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(翻訳:Dragonfly)

新型コロナウイルスに関するデマを暴くWhatsApp用チャットボット

WhatsApp(ワッツアップ)に何文字か書き込むだけで、新型コロナウイルス関連のデマを暴くことができるようになった。

ジャーナリズムを支援する非営利団体Poynter Institute(ポインター・インスティテュート)が、Facebook(フェイスブック)傘下のサービスであるWhatsAppで新しいチャットボットを公開した。これを使えば、世界中の人たちが、例えばこの感染症は中国・武漢の研究所から発せられたといったパンデミックに関する4000件を超えるデマの正体を暴けるようになる(武漢発祥の話は各方面で好まれている説だが、その主張を裏付ける証拠はまだ一般公開されていないため、今のところは虚偽とされる。念のためにいっておくが、ファクトチェック機関の言葉を引用したこのチャットボットは、そう示している)。

このチャットボットは、70以上の国々の100を超える独立系ファクトチェック機関が提供する情報に立脚している。Poyinter Instituteはそれを新型コロナウイルス(COVID-19)に関連するデマの暴露情報に関する最大のデータベースだといっている。このサービスは英語でのみ提供されているが、現在、ヒンディー語、スペイン語、ポルトガル語への対応に取り組んでいるところだとWhatsAppはいう。

チャットボットは次の方法でテストできる。連絡先に「+1 (727) 2912606」を登録して、「hi」と送信する。または、チャットボットの電話番号を連絡先に登録したくない場合は、http://poy.nu/ifcnbotをクリックする。

チャットボットに「hi」と送信し、「1」を送ると、チャットボットから新しいメッセージが届き、気になるキーワードまたは短い文章を入力するよう求められる。そして「origin(出所)」 や「garlic」(新型コロナウイルスにニンニクが効くという話は本当かを確かめたいとき)、その他の思いつく言葉を書いて送る(言葉を送ってから2、3秒待つと答えが返ってくるので、次の言葉を送るまで少し待とう)。

チャットボットはユーザーの国を特定し(モバイル機器の国番号を参照する)、その国に最も近いファクトチェック機関が審査した結果が示される。同時に、新型コロナウイルスに対処するための一般的なヒントも与えてくれる。

利用規約には、無料で24時間使えるとある。また、質問や調査機関やプログラムのパートナーからの回答とその他の対話を匿名化して集計し、共有する旨も書かれている。しかし「個人情報は絶対に共有しません」とのことだ。

IFCN(国際ファクトチェッキングネットワーク)のBaybars Orsek(バイバース・オーセック)氏は、声明の中で「毎月、友だちや家族とつながっていたい数十億人のユーザーがWhatsAppを頼りにしています。現在のような困難な時期には、すべてのプラットフォームで偽情報を広めて人々を惑わそうとする悪い人間が現れるため、ファクトチェック機関の仕事はこれまで以上に重要になります」と述べている。

この新しいチャットボットは、20億人以上のユーザーを擁するWhatsAppが、そのプラットフォーム上で偽情報が蔓延するのを防ごうと努力した最新の結果だ。この数カ月間、WhatsAppはWHOと協力して情報サービスを立ち上げたが、利用者は1日に100万人以上に達している。フェイスブックが所有するこのサービスはまた、各国の連邦政府や州政府とともに、感染症に関する信頼できる情報の提供も手伝っている。

WhatsAppは先日、メッセージの転送に新たな制限を加え、そのプラットフォーム上での転送量を大幅に削減し、さらに3月にはPoyinter InstituteのIFCNに100万ドル(約1億700万円)を寄付した。

画像クレジット:Jaap Arriens/NurPhoto / Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:金井哲夫)

Facebookが新型コロナのコミュニティヘルプハブにギフトカード、求人、寄付ツールを追加

Facebook(フェイスブック)は新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックの中でより良いサービスを地域社会に提供するために、コミュニティヘルプハブを拡大する。ハブは既に食料品や物資、地域のリソースに関する情報を求める人や、ボランティアや手を貸してくれる人々によって利用されている。そして今回、フェイスブックは人々が地元の企業、血液バンク、非営利団体などをサポートできるように、ハブにさらに多くの機能を追加する。

フェイスブックはGivingTuesday(ギビングチューズデー)の取り組みの一環として、これらの新機能を米国時間5月5日に公開する。

通常、ギビングチュースデーの慈善寄付イベントは、ブラックフライデーとサイバーマンデーの終了後、アメリカの感謝祭後の火曜日に開催される。しかし、世界的なパンデミックによって引き起こされた前例のないニーズに対応するため、 「Giving Tuesday Now(ギビングチューズデーナウ)」 と呼ばれる緊急の寄付日が発表された。

この新しいイベントは明日、5月5日に開催されるが、既にフェイスブックだけでなくPayPal(ペイパル)、America’s Food Fund、Ford(フォード)、Bill & Melinda Gates Foundation、CDC Foundation、LinkedIn、United Way、GoFundMeなどを含む、多くのパートナーや支援者が参加している。

5月5日からフェイスブックのユーザーはFacebook.com/covidsupportのコミュニティヘルプハブにアクセスして、地元企業へのギフトカードを購入したり、地元の非営利団体や募金活動の寄付にサインアップしたり、地元の血液バンクでドナーになるために申し込んだり、あるいは地元での就職の機会を見つけられるようになる。

いくつかのケースでは、フェイスブックはこれらの機能を開始するために必要な技術を構築しており、ローンチするために必要なパートナーシップを形成していた。例えば、同社は2017年に血液バンクとフェイスブックユーザーをつなぐ取り組みを開始し、2019年6月にはアメリカへの献血機能を拡大した。

フェイスブックはまた、独自の資金調達プラットフォームも提供しており、2020年4月には企業が同プラットフォームを介して顧客にギフトカードを提供できるようにするツールに取り組んでいることを発表した。また同社は2018年から求人ポータルにも取り組んでいる。

そして5月5日には、これらの取り組みがコミュニティヘルプハブに集約され、可視性が向上する。

新機能により地元企業や非営利団体を支援しているのは、フェイスブックのプラットフォームだけではない。

近所ソーシャルネットワークのNextdoorも最近、企業が募金活動やギフトカードを宣伝できるツールをローンチした。Yelpは、企業がバーチャルサービスを宣伝する方法を追加したばかりだ。Instagram(インスタグラム)は企業向けにさまざまなツールを提供しており、フェイスブックのギフトカードやスタンプを利用して、食品を注文することなどができる。

刷新されたコミュニティヘルプのセクションは、米国時間5月5日に公開される。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

隔離生活で求められる自然発生的なコミュニケーションを生むソーシャルアプリたち

次世代版ソーシャルネットワーク、Clubhouse(クラブハウス)

カレンダーからの招待はもういらない。気軽に会話に飛び入りで参加しよう。これが新型コロナウイルス(COVID-19)による隔離で空白になってしまった我々のスケジュールを、商売の種にできないかと考えている新しいソーシャルスタートアップ企業に推進力を与えているコンセプトだ。しかし、こうしたソーシャルアプリはオンラインによる集いやオープンオフィスプランなど流動性あるアドホック、その場に応じた臨時的なコミュニケーションを実現することよって、新型コロナウイルス収束後の我々の働き方や人付き合いのあり方を変える可能性もある。「Live」は高性能ストリーミングの代名詞となっているが、これらの新しいアプリがスポットライトを当てているのは、目前のタスク、ゲーム、ディスカッションに加え、複数のユーザーである。

Clubhouse(クラブハウス)の「部屋」

Clubhouseの「room」

これらのスタートアップ企業の中で最も注目されているのが、ユーザーがいつでもチャットルームに参加できるオーディオベースのソーシャルネットワークであるClubhouseだ。ユーザーは自らがフォローするすべての人の部屋を確認し、ラベルの付いていない部屋を見つけたら、興味の赴くまま、会話に参加したり、ただ話に耳を傾けたり、といったことが可能である。活気のある部屋は多くのユーザーが集まるし、活気がなければユーザーは他のチャットサークルへ移っていく。

Clubhouseは先週末、人々が限定招待を求めて争奪戦を繰り広げたり、メンバーシップについて謙虚を装いながら自慢したり、人々のFOMOをからかったりするなど、VCのTwitterで大騒動を引き起こした。現在のところ、公開アプリやアクセスはない。Clubhouseという名は、人々が限定的な集団に属していたいと願う気持ちを完璧にとらえている。

Clubhouseは、Paul Davison(ポール・デイヴィスン)氏によって開発された。彼は過去にオフラインでの出会いを目的とした位置情報アプリHighlightおよびカメラロールすべてを公開するアプリShortsを開発した(2016年にPinterestが彼の開発チームを買収)。2020年に彼は、Alpha Exploration Coスタートアップスタジオを発表し、またラジオ形式の視聴者参加型番組を即座に放送可能なTalkshowを立ち上げた。新しい友だちを作る、生活をシェアする、考えを伝える、議論する。デイヴィスン氏の取り組みに通底するのが「スポンテニアス(自然発生的)」という概念だ。

Clubhouseはまだ始まったばかりの段階だ。ウェブサイトさえない。よく似た名前のClubhouse.ioと混同しないようにしよう。Clubhouseがどのようなものになるのかについての説明や、正式にリリースされるのか、またそれがいつになるのかは一切発表されておらず、またデイヴィスン氏も共同創業者のRohan Seth(ロハン・セス)氏もコメントを拒否している。しかし、肯定的な評価は、Twitterがテキストで行ったことを進化させるような、より即時的でマルチメディア的なアプローチに対する欲求があることを示している。

サプライズのない隔離生活

この隔離生活でわかったのは、皆と離れて1人になると、自然発生的な交流の機会を失うということだ。オフィスにいるなら、給湯室で偶然顔を合わせた同僚と軽い会話を交わしたり、インターネットで見つけたおもしろおかしいことを声に出してコメントしたりできる。パーティーではぶらぶら歩いて、1人でも知り合いがいるグループがあればそこに混じってみたり、興味をひく話が耳に飛び込んできたら、会話に参加したりできる。家にこもっているとこうした機会が失われる。相手の邪魔にならないテキストと違い、緊急性がないにもかかわらず手当り次第に友達に電話をしたりすることを我々は非難してきた。

Clubhouse(クラブハウス)の創業者ポール・ダビソン氏

Clubhouseの創業者ポール・デイヴィスン氏  画像クレジット:JD Lasica

日時の決まったZoomによる通話、実用的なSlackのスレッド、際限のないEメールのやり取りでは、意外性や、人々が互いのアイディアを交換し合う中で生まれる会話による喜びを捉えることができない。しかし、スマートアプリ開発者たちは、自然発生的というコンセプトがユーザーの生活やワークフローを絶えず妨害するものではないと考えている。ユーザーは会話に参加するかしないかについて決定権を持ち、また構わないで欲しい場合にはそれを表示することで、望む場合にのみ社会的つながりを持つことができる。

AppAnnieによるHousepartyのランクを示すチャート

AppAnnieによるHousepartyのランクを示すチャート

Housepartyはこの自然発生的というコンセプトを体現している。このアプリは新型コロナウイルスによる隔離が続く中、ユーザーがアプリを開いた瞬間に気分の赴くままに友だちとグループのビデオチャットルームに参加できるようにすることで、大ヒットしている。毎月5000万回のダウンロードがあり、一部の地域では新型コロナ以前の70倍を超える数に増加している。これは、米国を含む82カ国でソーシャルアプリ部門の第1位になり、16カ国でアプリ全体で第1位となった。

Discord本来はゲーム用に開発されたアプリだが、ユーザーはいつでも開いているビデオ、音声、およびチャットルームを通じて自然発生的に他のユーザーと交流を持つことができる。カリフォルニア州、ニューヨーク州、ニュージャージー州、ワシントン州など、早期に外出を禁止した州での使用の急増もあり、米国において日常的にDiscordの音声機能を使用するユーザーの数は50%増加した。モバイルゲームにオーバーレイされたビデオチャットアプリのBunchもまたランクを上げ主流になってきている。主なユーザー層は1日の総会話時間が150万分にのぼる女性にシフトしてきている。これらのアプリを使用することで、友達と合流し一緒に選んでプレイするのが簡単になる。

モバイルゲームにオーバーレイされたビデオチャットアプリ、Bunch

Bunch

即席オフィス

企業のビデオチャットツールは、強引でかつ事前準備のいるZoom通話に代わり、自然発生的コンセプトを取り入れたものになっている。これはZoomに対する反動で、終日ビデオチャット続きで何も成し遂げられないことに人々が気づいたためだ。

Loomを使用すると、ビデオクリップを簡単に録画して同僚に送信でき、同僚は時間のある時にそれを見ることができる。ビデオは撮影と同時にアップロードされるため、会話のスピードがアップする。

Loomを使用すると、ビデオクリップを簡単に録画して同僚に送信できる

Loom

Aroundでは、画面の上部に小さな円形のビデオウインドウが表示されるので、デスクトップの大部分を実際の作業のために使用しつつ、同僚と即座にコミュニケーションを取ることが可能だ。

Aroundでは、画面の上部に小さな円形のビデオウィンドウが表示される

Around

Screenは画面共有を起動できる小さなウィジェットである。全員が共有ウィンドウをコントロールできるカーソルを持ち、その場でコーディング、設計、書き込み、注釈を付けることができる。

Screenは、画面共有を起動できる小さなウィジェット

Screen

Pragliはアバターベースの仮想オフィスで、ユーザーは誰がカレンダーミーティングに参加しているか、その場にいないか、時間があるかを確認できるので、全員の空き時間をわざわざ探す必要なく、ボイスチャットやビデオチャットチャンネルを同時に開くタイミングを把握することができる。しかし、Slackのように自宅にまで追いかけて来ることなく、Pragliでは仮想オフィスにサインインまたはサインアウトして、1日を開始、終了することが可能だ。

Pragliはアバターベースの仮想オフィス

Pragli

声を届ける

ビジュアルコミュニケーションは、我々がいる場所が示せる携帯電話の画期的な機能だったが、外出できない現在、我々に表示するものはあまりない。これが、手数をかけずに自然発生的なコミュニケーションが取れるツールが流行するチャンス拡大のきっかけとなっている。リモートパーティー、迅速な問題解決など用途を問わず、Clubhouse以外の新しいアプリには、ビデオだけでなく音声機能が組み込まれている。音声を使えば迅速な情報交換が可能で、その場に居合わせているような臨場感もある上、仕事中にディスプレイが占拠されたり注意を全部持っていかれることもないし、見栄えを気にする必要もない。

High Fidelityは、Second Lifeの共同創業者であるPhilip Rosedale(フィリップ・ローズデール)氏が現在携わっている、資本金7200万ドル(約77億4000万円)のスタートアップ企業だ。High Fidelityは最近、バーチャルリアリティのコワーキングツールの構築から離れ、音声とヘッドフォンベースのオンラインイベントプラットフォームおよび人々が集うためのギャザリングスペースのテストを開始した。初期のベータ版ではユーザーは地図上で自身を示すドットを動かし、空間オーディオで彼らの近くにいる人物の声を聞くことができる。相手に近づけばその声は大きくなり、通り過ぎると消えていく。ユーザーは気分の赴くまま、小さなドットの集まりに近づいたり離れたりしながら、声の届く範囲で様々な会話を聞くことができる。

High Fidelityによる初期テストからの非公式な原寸模型

High Fidelityによる初期テストからの非公式な原寸模型 画像クレジット:DigitalGlobe / Getty Images

High Fidelityは現在テストマップとしてバーニングマンの衛星写真を使用している。実際のオフラインイベントと同じように思い思いの場所にDJが陣取り、リスナーはDJの間を行き来したり、友達と歩きながら会話したりする。バーニングマンは2020年の開催がキャンセルとなったため、High Fidelityはバーニングマンのオーガナイザーが約束したバーチャルバージョンを開催する候補者となる可能性がある。

Housepartyの元CEOであるBen Rubin(ベン・ルビン)氏と、Skypeエンジニアリング部門の統括部長であるBrian Meek(ブライアン・ミーク)氏は Slashtalkと呼ばれる自然発生的なチームワークツールを開発中だ。ルビン氏が去り、Housepartyは2019年中頃にFortnite-maker Epicに売却されたが、このゲーム業界の巨人は最近の隔離生活で成功の波に乗るまで、このアプリを放置していた。

Slashtalkは、迅速で分散型の会話を旨とする会議不要のツール

彼の新しいスタートアップ企業のウェブサイトには「Slashtalkは、迅速で分散型の会話を旨とする会議不要のツールです。我々は、適切な人員が適切な時に適切なトピックについて必要十分なだけ話し合えれば、ほとんどの会議は不要だと確信している」と書かれている。このツールを使えば、瞬時にボイスチャットまたはビデオチャットを始めることができ、日時の決まった共同セッションを待たずして、物事の段取りをつけることができる。

TechCrunch Disrupt NY 2015に出席したSlashtalk共同創設者ベン・ルビン氏

TechCrunch Disrupt NY 2015に出席したSlashtalk共同創設者ベン・ルビン氏

仕事にせよ遊びにせよ、これらの自然発生的な集いの場を提供するアプリは我々に縛りの少なかった若かかりし時代を思い起こさせる。カフェテリアや校庭をぶらぶらする、ショッピングモールに誰かいないかチェックする、部屋のドアが開け放たれた大学の学生寮の廊下を歩く、学生会館や広場でおしゃべりする。大人になる一歩手前の時代には、偶発的な交流の機会がたくさんある。

年を重ねてそれぞれが自宅を持つようになると、我々は文字通り壁を作って偶発的なコミュニケーションができるというシグナルを受ける能力を自ら制限してしまう。Down To LunchやSnapchatが買収したZenlyといったアプリや、Facebookが準備中のMessengerのステータス機能は、こうしたバリアを打ち破り、オフラインで誘うときの気まずさを感じないように設計されている

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実世界での交流や共同作業には、通常、交通手段や計画が必要になってくるが、ここで取り上げた新しいソーシャルアプリはたちどころに我々に集まる場所与えてくれる。前もってスケジュールする必要はない。妥当な距離圏内にいる人以外とつながることを阻んでいた地理的な制限もやはり消え去った。デジタルでなら、自らのネットワーク内から相手をよりどりみどりで選択可能だ。隔離生活で我々のカレンダーの一部は空白になってしまったが、これにより我々の選択肢が広がった。

様々な制限が取り除かれた今、必要なのは我々の意思だけだ。我々は繋がりを持ちたい相手と繋がり、望みを達成することができるのである。スポンテニアス(自然発生的)なアプリによって、瞬発力ある人間本来の性質は輝く。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Dragonfly)

Tags: ビデオチャット チャットアプリ ソーシャル 新型コロナウイルス COVID-19

Facebook Datingの新機能でバーチャルデートが可能に

米国時間4月24日、Facebookはユーザーはもうすぐ「バーチャルデート」ができるようになると発表した。Facebook Datingのユーザーは、本物のデートの代わりに新しいビデオ通話機能を利用することでMessenger経由でビデオ会話できるようになる。このような機能は、人びとが新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックにより、在宅と社会的距離を保つことを強要されている現在、需要が高まっている。

しかしオンラインのデートアプリは人びとを現実世界で結びつけることが本来の目的であり、その仮想化は大きな課題でもある。

今のところ、政府のロックダウンのためオンラインでデートした人が初めて実際にデートできる場所は限られている。レストランやモール、バー、その他の小売業施設は、新型コロナウイルスがアウトブレークしたすべての地域で閉鎖している。しかし、そんな制約がなくなっても、オンラインデートアプリのユーザーの多くは、知らない人との初めてのデートやお見合い的なデートを遠慮するだろう。相手をもっとよく知るためには、ビデオチャットがより安全なオプションとなる。

Facebook Datingが利用可能になると、オンラインでデートをする人びとは相手をバーチャルデートに誘うことができる。誘われた人は、画面に出るポップアップで、それを承諾したり断ったりできる。

承諾すると、Facebook DatingのユーザーはFacebook Messengerでビデオチャットができるようになり、お互いをもっとよく知ることができる。しかし、現在まだ開発途上の機能なので、プライバシーやセキュリティなどに関する詳しい情報は提供されていない。

パンデミックのためにデートの場所をビデオ上にしたオンラインデートアプリは、Facebookが初めてではない。しかもライバルとなるデートアプリの多くは、新型コロナの来襲以前からビデオ機能を導入している。

例えばBumbleは、ほぼ1年前から音声とビデオによる通話機能を提供している。その機能は電話やAppleのFaceTimeなどと同じだが、ユーザーは自分の電話番号やメールアドレスなどの個人情報をシェアしなくてもいいので安全だ。同社によるとこの機能は最近の2カ月で利用が急増し、今どきの仮想デートの人気を物語っている。

一方、Match Groupが同社の数多いデートアプリにビデオを導入したのは、もっと最近だ。2020年4月はMatchアプリにビデオチャットが加わり、すでにマッチした者がビデオで会話できる。Matchによると、同じくMatch傘下のHingeには「Dating from Home(自宅でデート)」というプロンプトがあり、独自のビデオデート機能を準備している。これまたMatch傘下のPlenty of Fish(PoF)は、3月にライブのストリーミングをローンチし、独身者とその友だちが相手を探す場所を提供した。

Match Groupの主力アプリであるTinderにはまだライブのビデオデート機能はないが、ユーザーはプロフィールにビデオを加えることができる。Tinderのビデオデートについて同社はまだ何も発表がないが、このご時世にビデオ通話が使えないのは、少々奇妙だ。

あまり知名度のないデートアプリも、eHarmonyの例に見られるように、ビデオデートでユーザー数を増やそうとしている。Facebookの新機能は展開が数カ月後になるとのことだが、Facebook Datingが使えるところならどこでも利用できる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

メッセージサービスTelegramの月間アクティブユーザーが4億人に到達

インスタントメッセージサービスのTelegram(テレグラム)は、月間アクティブユーザー数が4億人に達したと発表した。これは開始から7年目となる同サービスが、2019年10月に米証券取引委員会(SEC)に開示した時点での3億人のアクティブユーザー数から、成長を続けていることを意味する。

ロシアのソーシャルネットワークサイトのVKの創設者でもあるPavel Durov(パベル・デュロフ)氏によって設立されたTelegramは、毎日約150万人のユーザーが増え、20カ国以上で最もダウンロードされているソーシャルメディアアプリであると述べた。

TelegramはZoomやHousepartyの人気が高まりを受けて、年内にセキュアなビデオ通話機能をユーザーに提供するべく取り組んでいるという。なおドバイに本社を置く同社は、2018年に発表したものの2020年初めに計画が保留されたGram cryptocurrency walletTON Blockchainの将来については語らなかった。

「Telegramと旧来の競合サービスとの人気の差が縮まるにつれ、我々は当初の仮説の妥当性をさらに見出している」と、同社はブログ投稿で述べている。

Telegramは、世界で20億人以上のユーザーを集めているWhatsAppを含む、数多くの人気インスタントメッセージングサービスと競合している。同サービスはFacebook(フェイスブック)傘下の同サービスが停止すると、ユーザー数が急増することがよくある。また、デュロフ氏はWhatsAppを最も声高に批判している人物の1人でもある。

Telegramのデスクトップアプリはオンライン機能の利用に電話が必要なく、フォルダやクラウドストレージなどのさまざまな機能により、熱心なユーザーを獲得している。

しかしこれらの機能は、少なくとも数百万人のユーザーが映画や楽曲、アプリケーションの違法コピーを配信したり、ダウンロードするためにサービスを利用するなど、Telegramのプラットフォームの悪用も引き起こしている。違法コピーの問題は、今日でも蔓延している。

Telegramは常に、政府当局やさまざまな企業の意見を無視して運営されてきたが、その結果として興味深い事例がいくつか発生している。例えば中国において同サービスは禁止されているだが、実際のところ同国は最大の市場の1つとなっている。

中国の人々は仮想プライベートネットワーク(VPN)を使ってTelegramをダウンロードし、利用している。同国での厳しい検閲の中でTelegramは2020年初めに、新型コロナウイルス(COVID-19)に関する信頼できる情報を求めるWeChatユーザの避難所となった。

Telegramは米国時間4月24日、2万以上のステッカーを掲載したディレクトリを公開し、Android上の新しい添付ファイルメニューなどの改善点を説明した。同社はまた、学生のための教育テストのデータベースを作成しており、そのテストを作成するクリエイターに40万ユーロ(約4700万円)を配布する予定だと述べた。

なおTechCrunchは、Telegramが4億ユーザーのマイルストーンに達したとの情報を先週掴んでいたが、その時点では同社からの回答は得られなかった。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

外出禁止の影響でビデオチャットのHousepartyが1カ月で5000万ものサインアップを記録

「フォートナイト」で知られるゲームメーカーのEpic Gamesが2019年に買収した人気のビデオチャットアプリであるHousepartyが新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大の影響で大幅な成長を見せている。外出禁止措置のため友達や大切な人と直接会えなくなり、ビデオチャットアプリの需要が突然増えた。アプリストア分析会社のApp Annieによると、アプリのビデオ会議カテゴリーは2020年3月に過去最高を記録した。ただしHousepartyは、これまで数字を公表していなかった。

米国時間4月15日、Housepartyは方針を変えて過去1カ月のサインアップ数が5000万だったことを明らかにした。一部の市場では普段のおよそ70倍になった。

アプリ分析会社のApptopiaのデータによると、ここ数週間でインストール数が急増し、モバイルのダウンロード数も記録的な結果となった。Housepartyは、過去30日間でiOSとAndroidの新規インストールは1720万回と推計している。一方、調査会社のSensor Towerは2800万インストールと推計している。

HousepartyアプリはMacChromeでも利用できるが、これらの数字には含まれていない。

Housepartyによると、需要が増加し多くの市場でモバイルアプリストアのランキングの第1位になったという。

Housepartyは、米国のApp Storeなど82カ国でソーシャルアプリの第1位になった。米国のGoogle Play Storeではソーシャルアプリの第3位になった。

16カ国ではアプリ全体でも第1位になっている。米国のApp StoreとGoogle Play Storeではアプリ全体の第2位に近い結果となった。

同社によれば、ユーザーがこのアプリを使う時間は長く、平均で60分以上会話をしていた。新型コロナウイルスの影響が発生してからは、平均で80分ほどになることもあったという。

Housepartyは溜まり場のように設計されているため、ほかのビデオチャットアプリに比べると主に若年層のユーザーに訴求してきた。まず、Snapchatと統合している。そしてSnapchatと同様に、年齢の高いユーザーが苦手とするジェスチャー主体のナビゲーションを大幅に取り入れている。さらにアプリ内で他の人たちとトリビアや言葉当てゲームも楽しめる。

一方、ZoomやSkype、Google Hangoutsといったビデオチャットアプリのライバルたちは、リモートワーカーや企業向けとして多く使用されていたところに、新たにコンシューマーの使用が増えてきた。そのためこれらのアプリはやや古くさく、「楽しむ」という意図とは距離がある。

とはいうものの、Housepartyは新型コロナウイルス感染拡大を受けて利用が広がり、今はあらゆる年齢や属性の人たちがこのアプリを使っていると同社は述べている。

Housepartyのユーザーは平均23人の友達とつながり、ユーザーの半数近くは会話をしながらゲームをしている。この数字も、同社は以前は明らかにしていなかった(最近すべてのゲームを無料にしたことが利用状況に影響していると思われる)。

これまでずっと米国がHousepartyの最大の市場だったが、App AnnieがHousepartyの成長に関する2020年3月の報告によると、ヨーロッパでの需要が顕著だという。3月21日の週のインストール数は、2019年第4四半期の週あたりの平均インストール数と比較して、イタリアで423倍、スペインで2360倍と急上昇した。新型コロナウイルスの危機が起きる前はスペインなどの市場で広く普及したアプリではなかったことを考えると、驚くべき成長だ。

Housepartyはユーザー数や売上など重要な数字を公開しない傾向があるが、最新の数字を今回公開したのにはさまざまな理由があるようだ。

まずHousepartyは、最近複数のユーザーからソーシャルメディアの投稿を通じてデータ流出を告発されたという困った状況に注目されたくないのかもしれない。ユーザーがTwitterで、Housepartyの自分のユーザーデータがNetflixやSpotifyなどほかのアカウントへのアクセスに使われたと主張した。しかしHousepartyは流出を否定し、さらにソーシャルメディアの投稿が同社のビジネスに損害を与えることを目的とした「お金をもらっている商業活動」の一部であったとさえほのめかしている。同社はこの説を裏付ける証拠に対して100万ドル(約1億700万円)の報奨金を提供するとした。証拠はまだ見つからず、告発の投稿は消えた。

さらに、Housepartyの競合であるZoomはセキュリティとプライバシーに関する多くの問題で最近批判されている。これについてZoomのCEOのEric Yuan(エリック・ユアン)氏は謝罪し、修正すると約束した。当面、HousepartyはZoomの代替を求める人々にアピールして、インストールベースをさらに増やしたいと期待しているかもしれない。

最後に、企業の歴史の中でこれほど規格外の成長を詳しく公表できる場面は、そう何回もない。米国で1億5800万人、世界中で何億人もの人々が家にいるように指示されるとは前代未聞の事態だ。この事態は、ビデオチャットアプリにとっては成長の絶好の機会となっている。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Facebookのゲーム専用アプリがAndroidで2カ月前倒しで公開、iOS版もまもなく

Facebook(フェイスブック)のゲーム専用アプリGamingが、6月リリースの予定を前倒ししてAndroidで使えるようになった。新型コロナウイルス(COVID-19)によるパンデミックで多くの人が自宅に閉じこもり、エンターテインメントの選択肢を渇望している中で、予定よりも2カ月早く公開された。

ニューヨークタイムズ紙が週末に特ダネとしてこのアプリのリリースを報じた。そこには、Facebookがゲーム開発にかなり投資し、同社のユーザー25億人のうちプラットフォームでゲームをする月間ユーザー数は7億人超に達したと書かれている。ゲーム専用アプリの立ち上げは、これまで専用タブで展開されてきたコンテンツの次なるステップだ。

多くのユーザー獲得が目的であり(当然だ)、ほどなくiOSバージョンも加わる見込みだ(Appleの承認待ち)。「ただ『消費』するだけではなく、インタラクティブで人々をつなげるエンターテインメントだ」とアプリの責任者Fidji Simo (フィドジ・シーモ)氏は話し、「このところの外出禁止でゲームの利用は急増している」とも付け加えた。

Go Liveストリーミング機能があるこのアプリにとって、最大のライバルはTwitchとYouTubeだ。FacebookはすでにLive機能の中に巨大プラッフォームを持っている。Live機能は新型コロナウイルスによる外出禁止が続く中、人とつながる方法を模索する隔離されたユーザーにかなり利用されている。Go Liveでユーザーはゲームを直接自分のFacebookページにストリームして共有することができる。

ライブストリーミングはこのアプリの最大の目玉機能だ。その他にも、友人のアクティビティやカテゴリー別を通じてゲームを探すことができ、チャットプラットフォームも備えている。

このアプリは南米や東南アジアなどでの1年半にわたるテストを経て公開された。差し当たっては広告なしで提供されるが、閲覧者がストリーマーに贈る寄付「スター」の手数料を取ることで収益を上げる計画だ、と同社はニューヨークタイムズ紙に語った。

TwitchやYouTube方式が、Words With Friendなどのカジュアルなゲームによりフォーカスしている従来型のプラットフォームにいかに合わせるかはまだはっきりしていない。専門アプリとして機能を切り離すFacebookの試みのすべてが成功しているわけではないが、世界中で外出が禁止される中でユーザーは新たな形のコンテンツや社会とのつながりを探していて、リリースを早めたことは利用増につながるかもしれない。

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(翻訳:Mizoguchi

Facebookが親しい人とだけつながれるApple Watchアプリを試験展開

Facebook(フェイスブック)内のR&Dグループが米国時間4月14日、Apple Watchを通じて仲の良い友達とつながれる新しいアプリを発表した。このアプリはKit(Keep in Touch)という名称で、QRコードそしてFacebookがすでに展開しているMessengerサービスと一緒に使用する。

App Storeにある説明によると、使うにはまずApple WatchのQRコードを最初にスキャンするか、fb.com/devicesでアクセスコードを入力する。そして、Kitを使ってつながりたい人をMessengerの連絡先から選ぶ。

するとワンタップであらゆる種類のメッセージを送ることができるようになる。音声録音、絵文字、位置情報共有、走り書き、そして口述メモなども含まれる。Apple WatchからiMessageを使うのに似ている。しかしこれらのメッセージはSMSやiMessageではなくFacebookのMessengerサービス上で送信される。

新しいアプリではまた、通知を受け取ったり、送られてきたメッセージを読んだりすることもできる。

アプリの目的はユーザーがスマホを手にしなくても人とつながれるようにすること、とApp Storeの説明にはある。

FacebookのMessengerは既にApple Watchをサポートしているが、Kitは親友や家族といったかなり親しい人とつながることにフォーカスしている。そのため、小さなスクリーン上でメッセージを読んだり返信したりするApple WatchのMessengerとは異なるユーザーインターフェースや体験になる。

Kitは、FacebookのR&D部門であるNPE Teamが手がけた最新のアプリだ。NPE Teamは新しいアプリのコンセプトをテストしており、これまでにミームクリエイターのWhale、会話アプリのBump、音楽アプリのAux、ビデオアプリのHobbi、そして最新のものではカップル向けのアプリTunedなど、さまざまな新しいソーシャルアプリを生み出してきた。しかしユーザーを引きつけられないアプリはすぐに停止するとFacebookが以前語っていたように、それらのアプリの中で今日まで残っているのはわずかしかない。

これまでにNPE Teamが手がけた新しいソーシャル体験ができるアプリはFacebookの既存のプロダクトとつながっていなかった。KitはMessengerとつながっている。Messengerの10億を超えるユーザーにアピールするものであり、さらなるオーディエンスを取り込むことになるかもしれない。加えてKitは、新型コロナウイルス(COVID-19)により、人々が公共スペースにいるときや手袋をはめているときにスマホを触らないようにしている現在、極めて役立つものであると証明できるかもしれない。Kitではスマホを使わなくても親友や家族からの大事なメッセージに答えることができる。

Kitはまた、NPE TeamがApple Watchで展開する初のアプリという点でも特筆すべきものだ。

Facebookは通常NPE Teamの実験についてコメントせず、利用可能になったことを発表する。

Apptopiaのデータによると、Kitはまだ新しくApp Storeランキングに入っていない。現時点ではカナダでしか利用できないようだ。

無料でダウンロードできるiOSアプリだが、Apple Watchでのみ使える。

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(翻訳:Mizoguchi

パンデミックは我々が築き上げてきたテクノロジーに何を語るのか

機能不全は新しい日常ではない

チャットアプリで何度も繰り返しシェアされているジョーク*がある。そのジョークは選択式の質問になっていて、次のように問う。

「 職場のデジタルトランスフォーメーションの主役は誰か?」

正解は「A.CEO」でもなく「B.CTO」でもなく「C.COVID-19」だ。

この皮肉を裏付ける事実が少なからず存在する。新型コロナウイルス(COVID-19)は現在比喩的な意味で数多くのボタンを押している。世界中の多くの区域の人々が自宅軟禁にも似た隔離生活に直面している。これは人々や産業に対し多くの「一時停止」ボタンが押された状態だ。オフラインでのほとんどの社会活動および経済活動は突如として手の届かないものになった。

現代のライフスタイルにおけるこのような大規模な一時停止は、時間の経過とともに、物事の在りようを完全にリセットしてしまう可能性がある。今までは、通勤や気ままな旅行熱のために地球にかかる負荷は顧みられることなく、人々の移動は当たり前に受け取られていた。今までのこうした在り方が今後「平常通り」に戻ることはないだろう。

これを機会に世界のリーダーたちが立ち上がったとしたら、新型コロナウイルスによる危機は、二酸化炭素の排出を抑える方向へと舵を切るにはどう社会や経済を築くべきなのかを再考させてくれるきっかけとなるだろう。デジタル接続が利用可能で、またそれが信頼のおけるものである場合に、実際に会って行う必要がある会議はどれほどあるだろうか? 何百万ものオフィスワーカーが在宅勤務するようになりつつある現在、物理的な会議を行う必要性はほとんどなくなっているように思われる。

より多くの活動がオンラインで行われるようになっているなか、新型コロナウイルスは、ブロードバンドサービスを公益事業にするという主張を明らかに後押しする形になっている。全国的な危機に見舞われ、ごく近所の人にもリモートな手段を通じてしか会うことのできない現在、ソーシャルメディアでさえ、本当の意味で公共性のあるものに見える。

外出できない人々がデジタルな広場で思いのままにしゃべるために、再びFacebookに押し寄せているという報告がある。実際の目抜き通りが立ち入り禁止である今、年季の入ったソーシャルネットワークが新たな盛り上がりを見せている。

Facebookは当然この種の高度な社会的目的をすでに理解している。それゆえにFacebookは、自然災害、大事故、テロ攻撃などの異常事態の発生時に、ユーザーが自らを「無事だとマーク」するように誘導する機能を積極的に構築している(あるいは、それこそが民主主義を犠牲にしてでも、Facebookが政治家にそのデータプラットフォームを利用することを説得したそもそもの根拠である)。

平穏な時には、Facebookの「目的」は「暇つぶし」にくくることができるかもしれない。しかし、アテンションエコノミーに対する悪いイメージが増えている現在、Facebookの機能は、猛烈で持続的な攻撃にさらされている。

長期間に渡り、この大手のテック企業は、競合製品に対しスパイ行為買収を行ったり、あるいはクローン製品を作るなどといったエンジニアリング的手段を用い、社会的構造の頂点に立ち戻るように対応してきた。10年以上の間、Facebookはあらゆる手段を用いてこのやり方を成功させてきた。とはいえ、今回の利用の増加はFacebookの功績ではない。人々をだますダークパターンがパンデミックによって自然発生したからである。

ウイルスが蔓延する現在、最も興味深いのは、過去20年間にオンラインで構築されてきたデジタルテクノロジーのどれだけが、このようなディストピアを生き抜くためにうまく設計されてきたかである。

このレンズを通してみると、VRは決定的瞬間を迎えている。実際に目で見ることのできるものを、自ら選択するデジタルアドベンチャーと置き換えて、自宅にいながらにして仮想世界を探索させてくれるフェイスコンピューターはどうだろう。VRをもっと使えるようにするためにどんな工夫がされているか。パンデミック封鎖のためのロックダウンによる概念的な限界が、実際にはどのように影響しているか。

非常に特殊なニッチ的な用途以外では、バーチャルリアリティは豊かで質感のある現実の世界に匹敵する、説得力のある世界にはなれなかった。しかし突如として、我々は全員パンデミックに遭遇した。視野は劇的に狭まり、現実を伝えるニュースは常に悲惨だ。そこで、また皮肉たっぷりのジョークの登場となる。「次の休暇の行き先は?  A.ステイケーション(自宅や近場で過ごす)、B.(自宅の)空き部屋、C.VRによる逃避」

しかし、本当に脚光を浴びているのはビデオ会議だ。パンデミックの力を持ってしてもVRを普及させることはできないことがわかった。その代わりに、しばらく疎遠になっていた友情がZoomのグループチャットやGoogleのハングアウトを通じて再燃している。また、ビデオチャットアプリのHousepartyのダウンロード数が急増している。これはバーが閉まった今、毎晩飲み歩いていた人が別のナイトライフを探し求めているためだ。

関連記事:ビデオ会議アプリのダウンロードが新型コロナ需要で過去最多の週6200万回

退屈した有名人はTikTokアプリで楽しんでいる。InstagramやFacebookライブを通じて即席コンサートがリビングルームからライブストリーミングされている。あらゆる種類の人々が、社会的距離戦略や1人で(または家族とともに)家にこもらなければならないストレスを、リモートな手段による交流で紛らわせている。リモートブッククラブに入会したり、 バーチャルディスコに参加したり、エクササイズセッションにベッドルームから参加する人もいる。友人と過ごす静かなパブでの憩いの時間は、ボトル持参のグループビデオチャットにすんなり変わった。

これは決して通常ではないが、驚くべきことでもない。我々は未曾有の時を生きている。オンラインで人のぬくもりを求めることは、大量破壊と物理的分離(毎日数千人が亡くなるという、現在進行形の公衆衛生における緊急事態というトラウマはいうまでもなく)に対する人間の反応として、それが動くピクセルに過ぎなくても、当然の反応であるように感じられる。物理的接触のない交流でも、まったくないよりはましである。

しかし、これらのツールがすでに存在し、人々がログオンしストリーミングを開始できるよう準備を整えて待機しているという事実は、背筋を寒くさせる。

このことは、消費者向けテクノロジーが、招かれざる第三者の利益を追求する形で、我々の個別の、あるいはグループでの相互の交わり方を作り変えるよう、強力に設計されていることをはっきりと示している。

新型コロナウイルスに見舞われる前は、ソーシャルメディアの持つ、ユーザーを惹きつけフィード消費を受動的な形で行わせてしまう機能、つまり本当の人との付き合いを相手の生活を覗き見的に確認するという形に置き換えてしまう能力が、主な懸念の対象であった。複数の研究により、テクノロジーと孤独やうつ病との関連が明らかになっている。外出し、友人に会うことが文字通りできなくなった今、人との接触の喪失は現実的かつ深刻な問題である。従って、パンデミックの最中にオンライン上で人気が出たとしても、実際にはなんの成功の指標にもならない

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例えば、Housepartyは自らを「対面のソーシャルネットワーク」と謳っているが、それは実際には正反対である。 アプリを通し仮想的に集まるということは、対面での接触を見合わせているということだからである。

Facebookへのアクセスが新型コロナウイルスの流行で急増しているという事実は、同社のビジネスモデルが社会の混乱や悲惨さの中でこそ成功するものであることを示唆している。正直にいえば、我々は既にこのことに気付いていた。データ駆動型の広告テクノロジーとは、人々が何をしているかをこっそりスパイし、広告を見せて購買欲求を掻き立てるよう仕向ける技術と言い換えることができる。コロナウイルスはただ問題の核心をはっきりさせただけである。

デジタルに繋がりを持つためのハイテクツールがこんなにも豊富に存在しているという事実は、この危機にあってはすばらしい偶然の発見のように感じられる。恐ろしい世界的トラウマへの対処を可能にするフリーミアムの大鉱脈を探り当てたというわけだ。しかし気前よく差し出されたこれらのツールは実にいやらしい裏面を持っている。感染性があり、油断ならない狡猾さをもっているのがアテンションエコノミーだ。「普通の生活」が突然中断される前は、この汚れたテクノロジーに付けられていたラベルは「平常時用」というラベルであり、「世界的緊急事態用」ではなかった。

人々の関心(アテンション)を貪るこれらのアプリやサービスの設計が今ほどはっきりしたことはない。つまり、我々を混乱させ収益化の対象とする。人間味を欠くような方法でさりげなく我々の友情や人間関係に入り込んでくる。感情と関係性の在り方をつなぎ替える。直接的な交流を、バーチャルな交流に変えるよう我々に指示する。そしてこのバーチャルな交流の場は、求められてもいないのに我々のプライバシーや社会生活に入り込んできた先ほどの第三者により、データマイニングおよび収益化のために設計されたものだ。

人との繋がりは、このように取り込まれ編集し直され、一連の希薄で無意味な電子的処理に成り下がる。これらのプラットフォームは、個人の犠牲を省みることなく、多数のエンジニアを擁して様々な手段を用いて広告の機会を最大化している。

また今までよりも広大で侵襲的な監視資本主義が出現しているのも偶然ではない。新型コロナウイルスによる緊急事態によって、平常時にはこれらのビジネスモデルを大勢の目から隔てるのに使用される難読化装置が一部取り外されているからである。データを漁るトラッカーたちはこの機会を逃すまいと殺到している。

テクノロジーおよび広告の大手企業は新型コロナウイルスを追跡するためのデータやアプリの提供に関与しようと熱心に取り組んでいる。政府は、命を救うためのツールとリソースを大いに求めている。その中で、すでに大衆を監視するビジネスに関与している大量データ産業のロビイストたちは、現在のパンデミックを絶好の機会として、人々はプライバシーにそれほど関心がないという嘘を押し通そうとしている。

まず、人々を追跡するプラットフォームは人々への攻撃を「関連広告」として潤色し、実際よりも美しく見せた。今や、データ産業複合体は、パンデミックを撲滅する企業の社会的責任として、警察国家並の大量監視を急回転させている。その回転のなんと早いことか。

しかし、プラットフォームは自らの行き先に気を付けるべきである。家に軟禁され自分の携帯電話がスパイ道具にされていることに気が付いた人々は、この奇妙な前例のない時期に親しみやすいビデオチャットにサインアップしたのと同じくらいあっという間に、ハイテク企業を急に非難し始めるかもしれない。

それと、Zoom (そしてその他のビデオチャットアプリ)に忠告。 多くの人が君の「プライバシーポリシー」を実際に読んでいるかもしれない。今人々はオンラインに費やす時間がたっぷりあるのだ。これは相当な危機ではないのか。

Zoomについて、プライバシー、セキュリティに関する新たなホラーストーリーを毎日目にする。なぜ今一時にこうしたことが起こっているのだろう?

答えは簡単。問題は別に新しいものではない。突然皆がZoomを使うよう強制されたからである。そのため、より多くの人が問題に気が付き、オプトアウトができないために、さらにフラストレーションを感じるようになる。

はっきり言おう。 Zoomはマルウェアなのだ。

*ソースは個人のTwitterアカウント「@MBA_ish」

画像クレジット:Bryce Durbin

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳: Dragonfly)

フェイスブックは新型コロナの感染爆発に対応してコミュニティヘルプ機能をグローバルに拡大

Facebook(フェイスブック)が「コミュニティヘルプ」を開始したのは2017年。危機的事件の影響下にある人たちに、利用者が支援を提供したり、または援助を探したり受けたりできるようにする機能だ。以来これは、テロ攻撃や気象災害など、人為的、偶発的または天然の災厄の後にフェイスブック利用者を結び付けてきた。そして3月31日、フェイスブックはコミュニティヘルプを新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対応して機能を拡大する。新設された「COVID-19コミュニティヘルプハブ」は、新型コロナウイルスのアウトブレイクで被害を受けた人々が助けを求めたり、支援を申し出たりできるようになる。非営利の資金調達活動への寄付もできる。

フェイスブックが世界規模でコミュニティヘルプを展開するのは、今回が初めてだ。伝染病のパンデミックに使われるのも初めてとなる。

この機能はまず米国、カナダ、フランス、英国、オーストラリアで開始されるとFacebookは話している。

これと似たような機能は、フェイスブックのライバルである地域型SNSのNextdoor(ネクストドア)が、Help Map(ヘルプマップ)という形で最近導入しているが、まだ広く受け入れられてはいない。その原因にNextdoorがこの新機能を目立たせようとしていない点がある。現在それは「More」タブの中に埋もれていて、アプリの重要な機能としての扱いを受けていない。しかもHelp Mapは、支援を提供できる、または支援を必要としていることを利用者がリストに記入するだけのものだ。

それに対してフェイスブックのコミュニティヘルプハブは、フェイスブックが以前から取り組んでいる「クライシスレスポンス」の上に構築されていて、さまざまなツールが1箇所で使えるようになっている。

COVID-19コミュニティヘルプ機能は、Facebookで30カ国以上に展開されている「新型コロナウイルス(COVID-19)情報センター」の中にある。

3月初めに登場した新型コロナウイルス情報センターは、現在ニュースフィードのトップに表示され、世界の医療専門機関からの信頼できる医療情報にアクセスできるようになっている。また政治家、ジャーナリスト、その他の公的な人々の精査された投稿も読める。

提供開始以来、10億人を超える人たちが情報センターでシェアされた医療専門家の情報にアクセスし、フェイスブックやInstagramの教育的ポップアップを見ているとFacebookは話している。情報源の詳しい情報を学びたいと1億人以上の人がクリックスルーしたという。

本日の公式発表に先立って、新型コロナウイルス情報センターは、アメリカの一部の州でコミュニティヘルプの試験を行った。そこでは、各地域の利用者からの援助の要求があった。例えば病院でマスクを求めている、または食料品を配達するボランティアを募集しているなどだ。また、無償支援を申し出る人もいた。仕事を失ったパートタイマーに無料で食事を届けたい、ジムに通えなくなった人たちにバーチャル・ワークアウトを無料で指導したい、などといった内容だ。

これが今、対象市場全体にコミュニティーハブとして継続されるようになった。だが、今後はFacebookが主体的な目的を示す存在となる。資金調達がそのひとつだ。また食料品、赤ちゃん用品、洗面化粧品、事業支援といったカテゴリーも追加される。事業支援では各地域の企業が助けを求めたり、支援の申し出に対応できるようになる。

フェイスブックでは利用者は支援の申し出に関する投稿に対して、個人利用者として、あるいはフェイスブックページとして、投稿したりコメントしたりできると約束している。また個人でもフェイスブックページでも、助けを求める投稿をシェアして広めることができる。

さらに、COVID-19コミュニティヘルプハブは、国連財団とWHOによるCOVID-19 Solidarity Response Fund(COVID-19連帯対応資金)と、疾病管理予防センターによるCombat CoronavirusキャンペーンのためのFacebook募金という2つの新型コロナウイルス感染症のための募金活動を開始する(どちらも米国内のみ)。フェイスブックはそこで、それぞれ最大1000万ドル(約10億8000万円)の寄付金のマッチングを行う。まだスタートしていないが、間もなく、各地の非営利の募金活動を探して募金できるようになるとフェイスブックは話している。

フェイスブックによれば、今後数週間以内により多くの国々で新型コロナウイルスコミュニティヘルプハブが利用できるようになるという。まずは、リスクの高いヨーロッパとアジア太平洋地域の国々だ。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:金井哲夫)

フェイスブックは自らの規定に反してブラジル大統領の新型コロナに関する誤報を削除

Facebook(フェイスブック)は、ブラジルのJair Bolsonaro(ジャイール・ボルソナーロ)大統領による新型コロナウイルスに関する有害と思われる誤報の拡散を防ぐために、政治家の発言の虚偽をチェックしないという自らの方針に反した。Facebookが行なった断固たる選択は、米国時間3月29日にボルソナーロ氏がシェアしたビデオを削除することであり、そのビデオの中で彼は「ヒドロキシクロロキン(hydroxychloroquine)がどこでも効くんだよ」と主張している。その薬は新型コロナウイルスへの治療効果を試験されているが、研究者や保健医療機関はその効果を確認していない。

フェイスブックのスポークスパーソンはTechCrunchに対して次のように語っている。「フェイスブックとInstagramにおける弊社のコミュニティ規定に違反しているコンテンツは削除している。身体に害を及ぼす可能性のある誤報もそのひとつだ」。治癒や治療法、必要不可欠なサービスの利用可能性そして感染症の発生場所やその程度に関する虚偽の主張を特に禁じている。

BBC News Brazilが、ポルトガル語で最初に報じている。その削除されたビデオの中でボルソナーロ氏は路上商と話をしており、WHOが社会的距離を推奨しているにもかかわらず「彼らは仕事をしたいんだよ」と話していた。そして「あの薬、ヒドロキシクロロキンならどこでも効くんだよ」と口にしている。

誰にでも効く新型コロナウイルスの薬があると間違って信じると、外出や仕事、隔離状態の拒否も平気でできるようになり、ウイルスの拡散を強めるばかりかその抑止努力を無意味にし、医療システムを崩壊させる恐れもある。

そこでTwitterは謝った情報が広がるのを止めるために、日曜日にボルソナーロ氏のツイートを2つ、そして元ニューヨーク市長であるRudy Giuliani(ルドルフ・ジュリアーニ)氏のツイートを1つ削除した。しかし3月30日までFacebookは、政治家の主張の真実性をめぐる裁定役を基本的に避けてきた。それは悪名高く、Donald Trump(ドナルド・トランプ)をはじめとした政治広告の中にある露骨な誤報も、ファクトチェッカーに送ることを拒否してきた。

関連記事:トランプのコロナウイルス「デマ」発言を巡ってFacebookでファクトチェック抗争が勃発

しかし先週、Facebookは「差し迫った身体的危害を助長する可能性のある」新型コロナウイルスに関する誤報は、2018年以来のその他の案件に対して行ったように、直接かつ直ちに削除すると発表した。それに対してさほど緊急性がなく、身体的危害に直結しない陰謀説などはFacebookでのリーチを下げることができるファクトチェッカーへ送られる。

問題は、感染の深刻さや治療法の可能性、人びとを仕事に復帰させることに関する危険性などについて誤報をばらまいて批判されてきたトランプにも、このような削除やファクトチェックは適用されるのかということだ。Facebookは、自分たちの投稿を差別したり、検閲したりしているという虚偽の話による保守的な政治家や一般市民から反発を恐れていることで知られている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

消費者向けテクノロジーの新時代

世間はパンデミック一色だが、TechCrunchはスタートアップ世界の明るい話題を探し回っている。特にいろいろな状況にも関わらず実際に資金が流れている事柄に着目している。

D2Cの将来

先週の初めに、私たちはトップD2C投資家へのサーベイを行った。苦労しているセクターリーダーはいるものの、彼らは極めて楽観的であるように見えた。例えば、以下のものはLightspeed Venture PartnersのNicole Quinn(ニコール・クイン)氏が、投資家の活動と現在の投資状況を比較して述べたものだ。

私が主張しているのは、投資家たちが最近のいくつかのIPOのユニットエコノミクスを見て、それが全てのD2Cにも当てはまると考えるのは弱気過ぎるということです。実際には、美容のように製品マージンが90%を超える企業が多い分野や、Rothy’s(ロシーズ)のように口コミ効果の高い真のブランドがある分野があり、そうした分野では平均よりもはるかに優れたユニットエコノミクスが、不公平なほどの優位性を企業に与えています。

サーベイへのその他の回答者としては、Lerer HippeauのBen Lerer(ベン・ラーラー)氏とCaitlin Strandberg(ケイトリン・ストランドバーグ)氏、NorthzoneのGareth Jefferies(ガレス・ジェフリーズ)氏、Betaworks VenturesのMatthew Hartman(マシュー・ハルトマン)氏、Initialized CapitalのAlexis Ohanian(アレクシス・オハニアン)氏、AccelのLuca Bocchio(ルカ・ボッキオ)氏などが含まれる。

またサーベイとは別に、TechCrunchのConnie Loizos(コニー・ロイゾス)はAlexsis Ohanian(アレクシス・オハニアン)氏への個別インタビューを行っている。

不動産テックは(さらに)リモートになる

TechCrunchのArman Tabatabai(アルマン・タバタバイ)は、数カ月前に不動産ならびに不動産テック分野の投資家サーベイを実施したが、物理空間の将来が現在直面している問題を考慮すると、今回のウイルス問題を取り込んだ更新版が必要とされている。Dreamit VenturesのAndrew Ackerman(アンドリュー・アッカーマン)氏による明快な説明は次のとおりだ。

住宅の家主や不動産管理者をターゲットにしたスタートアップが、大いなる勝ち組になる可能性があります。テナントをより快適な場所にする住宅用のテナントアメニティプラットフォーム(例:Amenify)や、メンテナンス依頼の自動化(例:TravtusAptly)、メンテナンス自体の簡素化(例:NestEgg)、あるいは荷物の受け取りなどのオペレーションを楽にしてくれるビジネス(例:LUXER ONE)などが、突如上位に意識されるようになりました。

VCの投資家たちは「私に考えさせるな」とよく口にしますが、現在私たちは新型コロナウィルス(COVID-19)が私たちのポートフォリオにとって何を意味しているかを真剣に考えている最中です。なのでもし私たちが通常よりも投資の決断をすることが遅くなっても仕方がないと思って下さい。とはいえ、私たちの最高のリターンの中には、困難な時期に行われた投資からもたらされたものもあるという事実は強く認識しています。幸い、私たちはどんどん考えを進めています。

消費者向けテクノロジーの新時代

大勢の人間が自宅に留まっていることに、SaaS企業が新たな成長の機会をみているのは当然のことだ。しかし、仕事以外には何が行われているのだろうか?TechCrunch記者のJosh Constine(ジョシュ・コンスティン)は、自宅パーティーの復活、人気のソーシャルネットワークへのZoomの統合、およびその他のトレンドをまとめて、全体像をエレガントに説明している。ソーシャルツールがこれまで皆が期待していたようなやり方で本当に使われているのだ!

自慢することが何もないときのソーシャルメディアとは何だろう?私たちの多くが、それがはるかに楽しいことに気が付きつつある。私たちは、ソーシャルメディアを競争の場にしてしまっていたが、プレーの喜びを全身で受けとるのではなく、ずっとスコアボードを見つめていたのだ。しかし、ありがたいことに、Zoomには「いいね!」の数はない。永続的なものは残されない。これにより、私たち意思決定を頻繁に支配する、外部からの批評から解放されるのだ。どのように見られるかを気にするものではなく、どのように感じられるものかになり始めたのだ。それは私を安らかな気持ちにさせるだろうか、笑わせるだろうか、あるいは私の孤独を和らげてくれるのだろうか?やってみればよい。読書したり、入浴したり、あるいはボードゲームをプレイしたりするために家にいても見逃すものはないので、もうFOMO(fear of missing out、なにかを見逃すのではないかという脅迫観念から繰り返しSNSなどをチェックしてしまうこと)に怯える必要はない。自分の好きなことをしよう。

詳細な内容はTechCrunchのこの記事で確認してほしい。そして次に、これが向かっている場所、つまり仮想世界!?に関して私たちがまとめている記事を読んでほしい。TechCrunchのコラムニストであるEric Peckham(エリック・ペッカム)は先月の8部構成のシリーズでこの広大なトピックを分析し、先週にはTechCrunchの社内インタビューに応じて、今回のパンデミックが現在のトレンド与える影響をどのように見ているのかを説明した。

1年間で20億人以上の人々がビデオゲームをプレイしている。その意味で、市場への浸透度には驚くべきものがある。しかし、少なくとも私が米国のデータを見る限りでは、特定の日にゲームをプレイする人口の割合は、特定の日にソーシャルメディアを使用する人口の割合よりもはるかに低いままだ。

ゲームがソーシャル化し、ゲームプレイの目的を超えて人がたむろするための仮想世界になればなるほど、携帯電話で何かをできる5分の空き時間を、ソーシャルおよびエンターテインメントへの接点としての仮想世界に目を向ける人間は増えるだろう。ソーシャルメディアが、こうした人生のちょっとした空き時間を埋めてくれるのだ。MMOゲームは今のところそのような存在ではない。現在のゲームはゲームプレイに集中するようにデザインされているため、時間がかかるし、途切れずに集中する必要があるからだ。友達とたむろしながら探検を行うことができるRobloxのような仮想世界は、ユーザーの時間をInstagramと直接奪い合うことになる。

パンデミックにより一部のSEM価格が下落

TechCrunch記者のDanny Crichton(ダニー・クライトン)は、データサイエンティストとして、テクノロジーセクター全体で100を超えるユニコーンを分析し、パンデミック/景気後退によってそのキーワードの広告価格がどのように変化したかを調べた。

驚くべきことではないが、ほとんどすべての広告の価格が落ち込んでいる(いくつかの非常に興味深い例外を除く)。しかし、オンライン広告のパフォーマンスにおけるスタートアップ企業間のばらつきは、フードデリバリーやエンタープライズソフトウェア業界、そしてGoogle、Facebook、その他のデジタル広告ネットワークの長期的な収益パフォーマンスについて多くを語っている。

クラウドアイスクリームコーン画像

大規模テック企業は、スタートアップを支援するためにもっと多くのことをすべき

私が言いたいのは、強力な開発者向けプラットフォームを提供することに加えて、ということだ。TechCrunchのJosh Constine記者は、圧倒的優位な企業の課すホスティングとそれに関連する費用は、社会貢献として、あるいは自分自身のエコシステムを潰してしまわないように、徴収を見送られるか支払いを猶予されるべきだと訴えた

Google、AmazonそしてMicrosoftたちは家主なのだ。コロナウィルスによる経済危機の中で、スタートアップは家賃の支払いを猶予される必要がある。彼らは現金不足に陥っている。収益の流入が止まり、ベンチャー融資のような資本市場にはためらいがあるために、スタートアップや中小企業は、膨大な数の従業員を解雇したり、事業停止を行うリスクに直面している。一方、ハイテク大手は十分な現金を所有している。この10年間の成功が意味しているのは、嵐を数か月は乗り切ることができるということだ。だが彼らの顧客にはそれはできない。

その一方で、スタートアップ世界に対して友好に振る舞わない既存勢力から、マーケットシェアを奪おうと狙う中規模のスタートアップにとっては、今こそ良いチャンスなのだ。

その他もろもろ

  1. さまざまな人気SF小説を書き、たまにTechCrunchへの寄稿も行うEliot Peperは、「Uncommon Stock:Version 1.0」というタイトルの新刊を出版した。これは偶然麻薬カルテルと遭遇してしまったちいさなスタートアップの話だ。このニュースレターの現在の購読者は、上のリンクをクリックすると無料でダウンロードすることができる(米国時間の日曜日に終了する)。
  2. 私はSXSWでリモートワークについてのパネルをモデレートすることを計画していたが、他のイベントによってそれはとって代わられた。そのパネルは、Hiredのマーケティング担当副社長であるKatrina Wong(カトリーナ・ウォン)氏、Gitlabのリモート責任者のDarren Murph(ダレン・マーフ)氏、そしてBuildstackの創業者であるNate McGuire(ネイト・マクグワイヤ)氏らが参加したパネルとして、Zoomで行われた。そのビデオは現在ここから視聴することができる。リモートファーストになるためのコツを専門家たちの口から学んでほしい。

#EquityPod ポッドキャストより

Alexから、

NatashaDanny、そしてAlexの3人は、スタートアップに焦点を当てたトピックのために集まった。もちろん世界はCOVID-19のニュースで溢れている。実際関連のニュースもいくつか取り上げた。だがEquityはその原点に戻り、スタートアップとアクセラレータについて話そうと思う。今週は以下のような話題を取り上げた。

  • 500 Startupsからのビッグニュース、および アクセラレータの最新デモデーのお気に入りの企業について。Y Combinatorだけが唯一のアクセラレーターではないので、TechCrunchは500とその最新参加企業にも目配りを行っている。私たちは、インフルエンサー市場、ゴミ処理、eスポーツ問題に取り組む、目立ったスタートアップをいくつか取材した。
  • Plastiqは7500万ドル(約81億円)を調達して、人びとや企業がどこでも自分のクレジットカードを使えるように支援しようとしていた。だが、パンデミックのためにそれはクローズできなかった。
  • Stripeが主導するFastの最新の2000万ドル(約22億円)のラウンドについても話題にした。誰もが覚えているように、Stripeは最近では、SequoiaがFinixへ投資した資金を(Stripeと直接競合するという理由で)諦めたことで話題になった。1。しかし、それは過ぎた話だ。Fastが開発しているのは、高速で独立していると考えられているインターネット用の新しいログインならびにチェックアウトサービスである。
  • こうしたStripeの話題は、それに対抗できるスタートアップの1つであるBrexを思い出させる。これまでに知られているだけで3億ドル(約324億円)を超えるベンチャーキャピタル資金を集めているこのスタートアップは、最近3社を買収した
  • 私たちは、D2Cベンチャー調査のハイライトから、特定のチャネルでの顧客獲得コストの上昇、総利益率の重要性、および寝具通販のCasperが、業界の真の先駆者ではなかった理由に焦点を当てて話し合った。

ポッドキャストはここから聞くことができる

原文へ

(翻訳:sako)

子供も大人も自宅待機の中、バーチャルな世界が主流となる機会は到来しただろうか?

TechCrunchはこれまで、「メタバース」とも呼ばれるバーチャル世界の発展をつぶさに取材してきた。

Robloxなどのプラットフォームや、フォートナイトといったオープンワールド形式のゲームが成長した結果、ゲームのバーチャル世界を友達と一緒に楽しむのが近年で人気を集めつつあるが、若年層以外ではまだ主流の社会活動となってはいない。

TechCrunchのメディアコラムニストであるEric Peckhamは、3週間前に発表した詳細なレポートでソーシャルメディアの新たな時代としてバーチャル世界を位置付けた。8部に分かれたこのシリーズを通じて彼はバーチャル世界の歴史を振り返り、ゲームがすでにソーシャルネットワークと化している理由ソーシャルネットワークがもっとゲームを必要とする理由業界における今後数年間の動向およびゲームを通して社交することがまだ主流になっていない理由バーチャル世界が社会関係を健全にしていく仕組みバーチャル経済の未来この新たな市場で成功を収めつつある企業などを解説した。

たった3週間で、知識経済の大部分が突然バーチャルにすべてをやりとりする状況など、誰が想像できただろうか。そういうことから、私は、新型コロナウイルスが蔓延する中、人気が高まっているバーチャル世界の状況をよりよく把握したいと考えた。私はEricと電話対談し、その内容を公開することにした。

Danny Crichton:タイミングについて話そう。あなたがバーチャル世界に関する全8回の連載記事を書き終えた直後に突如として、この未曽有の現象、新型コロナウイルスの世界的流行が起こり、人類の大半が自宅にこもってオンラインのみでやりとりすることになった。今、バーチャル世界では何が起こっているのだろう。

Eric Peckham:私が一連の記事を執筆したのは、オープンワールド系MMOゲームに対する消費需要の増加と、FacebookやSnapなどの巨大ソーシャルメディアがバーチャル世界やソーシャルゲームを自社プラットフォームへ取り込もうとしている両側面で、すでにマルチバースへの関心が高まっていることに気づいていたからだ。大手企業は、バーチャル世界を将来のヴィジョンとして掲げるだけではなく、実行可能なやり方で計画している。また近年は、人々が長時間過ごすことのできる次世代のバーチャル世界、ユーザの貢献によって形作られる複雑な社会を持つバーチャル世界の構築に焦点を当てたスタートアップへのVC投資も盛んに行われている。

ゲーム業界の創業者や投資家に話を聞くと、ここ数週間で、大人も子供も自宅でのゲーム人口が増加し、利用率が大幅に上昇しているという。

こうした次世代バーチャル世界のほとんどはまだ非公開のベータ版だが、Roblox(ロブロックス)やマインクラフト、フォートナイトといった既に人気のプラットフォームは普段よりもかなり利用されている。自宅に閉じこもっている人々の多くが、ゲームの仮想世界を経由して脱出しているのだ。

あなたがそうした分析のすべてを連載記事に執筆したのはパンデミックの規模を知る前だった。この業界の見通しはどう変わったのだろうか。

日常的に人々がバーチャル世界で交流して社会活動を行うことが主流になるまでのタイムラインが加速すると考えられる。この自宅待機は数週間ではなく数ヶ月間続き、それによって人々の社交や在宅勤務に対する考え方も変わってくるだろう。

これは真に大きな文化的変化だ。コアのゲーミングコミュニティを超えて、より多くの人がバーチャル世界で時間を過ごし、友達とやりとりすることを楽しみ始めている。

インターネットユーザーの中でも、最も若い世代でこの傾向が特に顕著だ。9~12歳の子供の大半がマインクラフやRobloxのユーザーであり、そこで放課後に友達と時間を過ごしている。以前よりも急速に、高い年齢層へもこの傾向が広がるだろう。

史上最大規模で自宅待機が強制されているにも関わらず、VRヘッドセットはほとんど売り切れているという苦情をTwitterで目にしている。VRはバーチャル世界に不可欠な要素なのだろうか。

まあ、VRヘッドセットがなくても、バーチャル世界で他の人と交流して楽しむことはできる。スマートフォン、PC、ゲーム機を使って、今でも無数の人々がそうして楽しんでいる。

ゲームが要求するミッションをこなしながら、他の人々とやりとりできる、長い時間を過ごせるバーチャル世界を構築することが、ゲーミング業界が目指す理想だ。昨年最も人気を集めていたモバイルゲームとPCゲームの分野に、大規模多人数同時参加型オンラインゲーム(MMO)が挙げられる。

ゲームについていえば、一連の記事で特に興味深いと私が感じた点は、ゲーミングはまだそれほど人々へ浸透していないという事実だった。

年間でいえば、20億人以上の人がビデオゲームを楽しでいる。これ自体は、驚異的な市場浸透率だ。しかし、少なくとも私が得た米国のデータによると、毎日ゲームを楽しむ人口の割合は、毎日ソーシャルメディアを利用する人口に比べてずっと低いことがわかっている。

ゲームプレイのミッションを超えて、社会活動を行って互いとやりとりするためのバーチャル世界にゲームが進化するにつれ、スマートフォンで5分間楽しむ時間があれば、バーチャル世界で社会活動やエンターテイメントを選ぶ人々も増えていく。ソーシャルメディアは、生活の中でこうした短い時間を埋めている。現時点でMMOゲームがそうなってないのは、時間がかかり、継続して集中しなければならないというゲームプレイを中心に構築されているからだ。Robloxのように、友達と共に過ごすための系統に属するバーチャル世界は、インスタグラムとより直接的に競合できる。

RegalやAMCなどの映画館チェーンは、ウイルスの流行が終息するまで、すべての映画館を閉鎖すると今週発表した。これはバーチャル世界の企業に影響を与えるのだろうか。

私は、この2つは別々のメディアに属していると考えている。映画館の観客数は長年にわたって減少を続けており、これに対して映画産業は、映画館でプレミアム体験を提供し、チケット価格を上げることで対抗してきた。子供であれば、金曜日の夜に映画館へ行くのと同じ感覚で、あるいはより積極的に、友達と集まって一緒にゲームを楽しむだろう。若い人にとって、映画館はかつてほど文化的に身近な存在ではない。

一種のバーチャル世界、または少なくともバーチャル職場である、在宅ワークの大規模な実験が行われている。バーチャル世界の人気が高まるのは、エンターテイメント分野と、生産性指向のプラットフォームのどちらから始まるのだろう?

エンターテイメント側から始まるだろう。その理由の一部は、ビジネス環境で会議をする人々が、バーチャル世界をあまりプロフェッショナルではないと感じるのと比べて、礼儀作法をそれほど気にされない若い人々がそれを社会活動に使用するからだ。時間をかけて、バーチャル世界が社会活動で一般的になれば、ビジネスについても自然に話し合える場所になるだろう。

オンラインで仕事し、バーチャルでやりとりする人々が増えるにつれ、私たちが直面する大きな課題は、今市場にあるZoom通話やバーチャル会議用に出回っている技術の範囲を超えて、直接人々と触れ合って会話しているような状態へどうやって持っていくかだ。バーチャル世界で歩き回ることができなければ、それは難しいだろう。Zoom通話やその他のブロードキャストソフトで各自がボックスに収まっているだけでは、気さくに小さなグループを形成したり、1対1でやりとりできない。バーチャル世界の技術を基にした、バーチャルビジネス会議がどのように発展していくかを見るのは興味深い。この課題に取り組む企業をいくつか目にしている。

最後の質問になるが、今後大規模な経済不況が予想される。バーチャル世界で収入を得ている人々は、コロナウイルスでどのような変化に見舞われるのだろう。

私のシリーズ記事の最後から2番目では、バーチャル世界をめぐり形成されたバーチャル経済を扱っている。バーチャル世界であればどれでも、商業行為が行われており、人々はすでにゲームやSecond Lifeといった初期のバーチャル世界から実際の収入を得ている。

コロナウイルスの影響で自宅に待機する人々と、今後予想される不況の両方が、オンラインで収入を得るよう人々を後押しするだろう。バーチャル経済がゲーム内に公式に組み込まれた場合や、ゲームをめぐる未認可や非合法に形成されるバーチャル経済(こちらの方が一般的だ)のいずれであれ、その活動は増え続けるだけだ。

ありがとう、Eric。

画像クレジット: Shutterstock

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(翻訳:Dragonfly)

Facebookが正しい新型コロナウイルス情報へのリンクもブロック

Facebook(フェイスブック)のニュースフィードのスパムフィルターにバグがあり、MediumやBuzzfeed、USA Todayのような正しいウェブサイトの記事やコメントがブロックされている。一部の新型コロナウイルス関連コンテンツが共有をブロックされ、そのほかのリンクも、ブロックされるものとされないものがまちまちになっている。フィルターの不具合の原因は、よくわからない。Facebookはこれまでずっと、この感染拡大に関する誤報と戦ってきたが、ある種のやりすぎや技術的エラーが起きたのかもしれない。

情報筋はブロックされたリンクの例をたくさん提供してくれたが、Facebookのスポークスパーソンは「目下この問題を調査中なので、できるかぎり早く情報を共有したい。現在言えるのは調査中ということだけで、一体何が起きたのかについてはまだ何も言えない」と答えている。

その後、FacebookのGuy Rosen(ガイ・ローゼン)氏は次のようにツイートしている。 「今調査中だ。これはスパム対策システムのバグであり、コンテンツモデレーターが変わったこととは無関係だ。現在、ブロックされた記事を回復する作業をしている」

Facebookは、今週コンテンツモデレーターを在宅勤務とし、人工知能システムをより多く利用するようになっており、間違いが増えるかもしれないと警告している

実際に特定のリンクを共有しようとすると「あなたのポストはスパムに対するコミュニティ規定に違反している」と警告が表示される。そして「誰もあなたの投稿を見ることができません。偽の広告や詐欺、セキュリティの侵犯を防ぐために、基準を設けています」と説明が続く。

今週初めにFacebookは、価格の高騰を防ぐためにマスクの広告を禁じた。またFacebookはInstagramのホーム画面で感染予防情報を共有し、誤報をファクトチェッカーに送って確認させ、また研究者たちにデータを提供している。

関連記事:ザッカーバーグ氏がFacebookによる新型コロナウイルス感染症への取り組みを詳しく説明

現在のFacebookは、コミュニケーションのための公共施設のようなものなので、COVID-19のような危機下において特に重要なサービスになっている。Facebookで、ニュースメディアは救命方法を共有し、非営利団体は長期隔離で困窮するアーチストや企業のための募金を行っている。Facebookが正しい情報の流れを維持することは、これまで以上に重要なことなのだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa