Excelに自然言語で質問できるようになった

米国時間11月4日、Microsoft(マイクロソフト)はExcelを改訂し、旧態依然のスプレッドシートアプリに自然言語を導入したことを発表した。現在新機能を利用できるのはOffice Insidersのみで、人間に対するのと同じようにExcelに話しかけることができるもので、質問を書かなくても答が得られるようになるという。

「自然言語クエリはデータの分析やビジュアル化を、さまざまなレベルのExcel経験者にとって今以上にやりやすくする」とマイクロソフトは説明する。「初心者は数式を書かなくても自分のデータの価値を見抜けるようになり、パワーユーザーは適切な質問をするだけでグラフやテーブルを作れるのでデータ分析プロセスの時間を短縮してすばやく意思決定できるようになる」。

ちなみに、Googleは似たような機能をGoogleスプレッドシートですでに導入している。私の経験によると、データ発見に関してGoogleはときどきいい仕事をするが、意味のあるデータを1つも見つけられないこともしょっちゅうあるので、Excelがこれと比べてどこまでできるのか注目に値する。

本日の発表は、最近いくつか追加されているExcelの新しい機械学習機能の1つだ。ほかには株価、地理情報などについてユーザーの入力データを解釈するための追加情報を提供するものがある。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ParabolaはExcelで苦闘している人々を救う――簡単プログラミング・アプリが220万ドルを調達

最近いわゆる知識労働者の仕事はますます複雑、困難になっている。そうしたタスクの多くはPythonでスクリプトを書けば簡単に実行できる場合が多い。しかし知識労働者の誰もがプログラミング言語を習得しているわけではない。Alex Yaseenはコンピューター言語の知識なしで複雑なタスクが実行できるツールを提供していこうと考えている。

Yaseenは自分が開発しているParabolaのようなツールがプログラミング言語を習得していない知識労働者と複雑なタスクとの間のギャップを埋める役にたつと信じている。 プログラミングせずにこうした課題を処理しようとすれば、従来は巨大なExcelシートを作成する必要があった。これに対してParabolaはプログラミングの技能を必要とせずに表計算アプリで複雑な作業する場合に必要となる単調でミスを犯しやすい繰り返しを自動的に実行してくれる。このほど同社はMatrix Partnersがリードする新しいラウンドで220万ドルを調達したと発表した。

YaseenはParabolaについてこう説明している。

理屈からいって将来誰もがPythonその他のプログラミング言語を使うようになるとは思えない。これは間違いないだろう。それと同時に、多くの投資家と話をして、知識労働者間の競争はますます激しくなり、ますます高い効率性を求められるようになるだろうという点で意見が一致した。われわれはこのギャップを埋めるために何ができるかを考え、高度な技術的知識がなくても扱えるツールを提供しようと考えている。いわばエンジニアリングの知識なしにエンジニアになれるようなツールだ。

簡単にいえば Parabolaは複雑なタスクをビジュアルなワークフローに分解し、フローチャートをレゴブロック式に組み立てれば、その内容を実行してくれるようなツールだ。その部品は通常の表計算アプリ、Microsoft ExcelやGoogleスプレッドシートなどが持つのと同様の機能だが、Parabolaの場合、ツールは実行の繰り返しや分岐を簡単に設定できる。また作業をモデル化して全体を見通すことが容易であり、修正にも部品のドラグ・アンド・ドロップで柔軟に対応できる。

Parabolaが想定しているのは財務や販売の専門家で、Excelのシートを数十枚開き、数百ステップのマクロを実行しなければならないような作業を日常行っているユーザーだ。Parabola上で作業をモデル化すれば、あとは表計算シートの仕様による細部の修正などに煩わされることなく、処理が実行できるという。同時にParabolaのユーザー・インターフェイスは表計算をベースにしているので、多くのユーザーに抵抗が少ない。Yaseenによれば、表計算アプリがポピュラーなのは簡単に再計算ができるところが大きいという。

Yassenによれば表計算アプリは大量データの複雑な処理にはもともと向いていない。それでも多くのユーザーが表計算でタスクを実行しようとするのは、一部を修正した後、ワンクリックで即座に結果を見ることができるからだという。「エンジニアでない人々のマインドセットはエンジニアとは異なる。処理の効率性より、試行錯誤してその結果をすぐに見られることを優先する傾向が強い。プログラミング言語はこうした使い方に向いておらず、それが非エンジニア系の人々が表計算アプリを使い続ける理由だ」という。

〔日本版〕トップのGIFビデオにParabolaを利用した作業の流れが例示されている。これによればデータソースとしてDropboxとSalesforceのファイルを選び、テーブル結合、カラム分離、グループ化などの部品で処理した後、結果をGoogleスプレッドシートに出力すると同時にSalesforceに書き戻している。それぞれの部品を追加するときに作動条件を指定している。Parabolaのサイトには各種の実例が掲載されている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

近くMicrosoft Excelが大きく進化する――Ignite 2017カンファレンスで発表

Microsoft Excelのユーザーに朗報だ。ポピュラーな表計算アプリが人工知能の助けを借りて一段と賢くなり、外部との連携も容易になるという。

MicrosoftのIgnite 2017カンファレンスで、Officeプロダクトのゼネラルマネジャー、Jared SpataroとOffice 365のエコシステム・マーケティング担当ディレクター、Rob Howardが語ったところによると、Excelは近くアップデートを受け、ユーザーの入力を的確に理解すると同時に必要な関連情報をインターネットから検索、収集してくるようになる。

Spataroは「Excelには新しいデータ型が導入される。そうと聞いてもたいしたことには思えないかもしれない。これにどういう名前をつけようか議論しているところだ。しかしユーザーが本当にExcelに仕事の重要な部分を分担させているなら、新しいデータ型が使えるようになるというのは非常に大きな出来事になる」と語った。この新機能が一般公開されるのは2018年の初めになるという。

新機能は単にExcelを強化するだけではない。今日(米国時間9/26)のSpataroのデモを見たところでは、Microsoftのツールは近く、たとえば企業名を入力すると、それを企業名であると認識するようになる。しかもExcelはその企業名からAPIを通じてBingでインターネットを検索し、株価や時価総額などの情報を付加できるようになる。Excelは入力された一連の情報が企業名なのか都市名なのかを自動的に判別し、都市名であれば人口などの情報を収集し、付加する。

「歴史的にいえばExcelの得意分野は数値だ。テキストの場合は条件付書式などを設定することができた。しかし今後、Excelは数値とテキスト以外の豊富なデータ型を認識するようになる」とSpataroは言う。

Officeの開発チームは新しいビルトイン・ツールを追加する。これはExcelが表計算シートの重要部分を自動的に認識し、可視化するものだ。当面、Insight Serviceと呼ばれているが、基本的にPower BIのデータ可視化・分析ツールに近い機能を持つ。ちなみにGoogleスプレッドシートにも同様の機能が用意される。

「この機能はデータのリストを見て、それが何を表しているかを認識し、関連する洞察を提供するのが目的だ。テキストのリストだけでなく、グラフ、ピボットテーブルその他のデータの組み合わせもカバーする。人工知能がもっとも興味ある部分を判別し、トレンドや変化している部分を抽出する」という。人工知能が作成したグラフが気に入った場合、ユーザーはすぐにExcelに取り込むことができる。その後、他のグラフと同様、自由に編集が可能だ。

Microsoftが今週に入って発表したところによると、次のExcelのアップデートでは、同社のデータ・サイエンティストがExcelでのデータ解析用に開発した機械学習モデルを取り込める他、JavaScriptで自由にコードを書いて複雑なデータ処理を実行し、またほとんどあらゆるサードパーティー製のデータをAPIを通じて利用できるようになるという。

Spataroはまた「サードパーティーのサービスとこの種の連係が可能になることは、従来のスタティックなパッケージ(perpetural)版とOffice 365との違いを際立だせる。外部のサービスとの連係はExcelに新たな生命を吹き込む。Excelなどのツールはユーザー自身が所有するデータを処理する上で非常に重要なものだが、さらに外部のサービスのデータとリンクすることで魔法のような効果を生むだろう」と述べた。

ユーザーがサブスクリプション・モデルのOffice 365ではなく、パッケージ版のOfficeを所有したいと考えている場合でも、この機能はやがて利用できるようになる。Microsoftは今日、Officeの新しいパッケージ版は2018年の下半期にリリースされると発表した。この時期は2019年にごく近いため、Office 2019と呼ばれる。

「クラウド化によるイノベーションは今年のIgniteカンファレンスの大きなテーマだ。もちろんクラウド化にあたっては考慮すべき点が数多くある。一部ないし全部のアプリをオンプレミスのサーバーに置きたい顧客にとってパッケージ版のOffice 2019は非常に有用なアップデートとなるはずだ。数箇月のうちにさらに詳しい情報を発表できるようになるものと期待している」とSpataroはプレスリリースに書いている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

クラウド時代の高機能スプレッドシートをめざすFivetran, 統計やDB機能を充実

Y Combinatorから巣立ち今日(米国時間3/19)ローンチしたFivetranは、スプレッドシートという古酒を21世紀の新しい革袋に入れることをねらっている。とくに力を入れているのが、従来のスプレッドシートが弱かったデータ分析の分野だ。多くの人が今ではスプレッドシートを…相当無駄な時間を投じて…データベースのように利用しているから、Fivetranはスプレッドシートのこれまでの標準的な機能に加えて、SQL的なクェリやMatlabにあるような統計ツールを導入した。

協同ファウンダのGeorge Fraser(CEO)とTaylor Brown(プロマネ)らによると、製品の基本的なコンセプトは、“これまでのスプレッドシートにはプログラミングにできることの50%しかなかったから、残りの50%を持ち込もう”、というものだ。

確かに彼らの言うとおり、ExcelとMatlabの落差は大きすぎる。Fivetranの初期のプロトタイプはかなりMatlab的で一種のプログラミング環境みたいだった。しかし今日ローンチしたものは、通常のスプレッドシートに、高度なデータ分析(回帰分析など)やデータ変換を行うウィザード群と、SQLのselectやjoinの機能を加え、さらにデータのクリーニングやテキストマイニングなどの機能もある。計算はすべてクラウド上(Amazon EC2)で行われるので、ものすごく大きくて複雑なスプレッドシートでも作れる。

チームがこのSaaSスプレッドシートの開発に着手したのは昨年の12月で、現状ではExcelのドキュメントや、CSVやJSONのファイルをアップロードしてすぐに仕事を始められる。チームの長期的プラントしては、このスプレッドシートの表面的な機能(ユーザ体験)を縁の下の本物のデータベースが支える、という形も構想している。Fivetranのパワーを人びとに分かってもらうために、(全米大学バスケ大会)「3月の狂乱」(March Madness)対戦表シミュレータや一連のチュートリアルも提供している。

ユーザは自分のデータをアップロードし、Fivetranの”step”システムを使って操作する。その計算に基づいて、副次的なシートも作られる。これまでのスプレッドシートに比べるとかなり高度だが、Excelの公式(SUM(a,b)など)もそのまま使える。

今チームはスプレッドシート用のユニットテスト(各部分の試験)や改版履歴コントロール機能を開発中だ。

Fivetranの料金体系は、Webのホスティングサービスのそれに似ている。無料では、作れるプロジェクトが5つまで、使えるメモリは1GBまで。月額20ドルのベーシックプランではメモリ5GB、プロジェクト数10。最高は月額80ドルで、メモリは16GBまで使える(非常に大きなスプレッドシートだ)。

全体としてこれは、クラウドコンピューティング時代の新しいスプレッドシートとして、きわめて興味深い取り組みだ。企業の情報部門などには、近年のデータの増加とともに旧来のスプレッドシートではデータ集合に対し歯(刃)が立たなくなっているところも多い。かといって本格的なデータベースや統計パッケージは重すぎる。Fivetranのような高機能化したスプレッドシートに飛びつくところも多いだろう。Fivetranのによると、初期のユーザたちはすでに週あたり数時間の(スプレッドシート雑務の)時間節約を実現しているという。朝から晩までExcelのセルのコピペばっかしやらされている人は、Fivetranを試してみてはどうだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))